戦闘機動

Last-modified: 2018-11-10 (土) 17:30:14

目次

 

基本機動

これらの基本機動は、横や後ろを見ながらでも一通りできるようにしておくべきである。

ターン、旋回

エルロンを使って曲がりたい方に機体を傾け、機首軸線が水平線に平行に動くようエレベータで引き起こす。上昇旋回や降下旋回でも同様。
エルロンと同時にラダーを同じ方向に軽くかけ、滑り計の玉が中央に静止するよう調節する。ラダーを戻さずにかけ続けると一時的に旋回率を高めることができるが、速度が落ちる。
機体を大きく傾けて強く引き起こす(垂直旋回)と急旋回できるが、速度も急激に落ち、引き起こしすぎると失速し錐揉みに入る。また最初にラダーを一杯にかけながら横転することで素早く急旋回に入ることができるが、十分な練習が必要。
機体によって、高度・速度を維持しつつ最も短時間で旋回できる速度(コーナー速度)は異なる。これより早いと旋回時間は長く、旋回半径は大きくなる。遅いと旋回時間は長いが半径は小さくなる。

 

ループ、宙返り

水平飛行から操縦桿を手前に引き、上方へ宙返りをする。左右にねじれないようにラダーも使用する。途中で失速しないための開始速度と引き起こし量を把握し、360度回転(ループ)して開始時と同じ高度・方向になるようにすること。

 

エルロンロール

エルロンを使って360度ロールする。開始時と終了時に同じ高度・方向になるようにする。
狙った位置でロールを停止するには、早めにエルロンを戻し、少し反対にかけてロールを止める必要がある。

 

バレルロール

引き起こしながらロールすることで、らせん状に飛行する。360度ロールした時点で最初と同じ向き・高度になるようにする。ラダーも併用し、3軸のバランスをとる必要がある。照準が前方の空に円を描くようにすると成功する。
途中でロールを止めることでズーム上昇や背面からのダイブ、急旋回などにスムーズにつなげることができる。あまりエネルギーを消費せずに軌道を大きく変えることができるため、ハイヨーヨーと組み合わせる、後方に高速で接近してきた敵機をオーバーシュートさせるなどの使い方がある。

 

横滑り

ラダーをかけながら、ロールを打ち消すよう逆向きにエルロンを使うと、機体は水平を保ちながら横滑りする。これによって空気抵抗を増やし、スロットルを閉じるだけよりも早く速度を落とすことができる。また敵に攻撃されたとき、横滑りで進行方向をごまかし、見越し射撃を難しくすることができる。
45度以上のバンクをかけ、旋回しないよう操縦桿を押しながら上向きにラダーをかけると、速度をあまり上げずに急激に高度が下がる。逆に下向きにラダーをかけると、ひねりこむようにダイブに入る。
横滑りと引き起こしを同時に行うと容易に錐揉みに入るので注意。

 

戦闘機動

インメルマンターン

水平飛行から操縦桿を引いて上方へ180度ループ、ループの頂点で180度ロールして、そのまま水平飛行に戻る。水平飛行に移ると同時にロールが完了するのが最も効率がよい。
進行方向が真逆となる。自機が高速であれば、水平旋回より早く方向転換できる。

 

スプリットS

水平飛行から180度ロールして背面になり、操縦桿を引いて下方へ180度ループ、そのまま水平飛行に戻る。
進行方向が真逆となる。下降途中にロールすればターン後の進路を自由に変更することもできる。
自機が低速の時に特に有効。高速で開始すると高度の低下が大きく、速度がつきすぎる問題がある。
回避機動として使う場合、自機のロール率と急降下限界速度が敵より高い場合に有効である。攻撃に使う場合には、速度がつきすぎて照準できないような事態に陥らないよう気をつける。

 

シャンデル

別名ピッチバック。インメルマンターンを斜めにしたように上昇しながら反転する。インメルマンターンより低速でも行え、進路の変更も容易である。
速度を落としすぎないように注意。また敵が後ろにいる場合、速度と上昇力があれば敵を釣り上げてエネルギーを失わせることが可能だが、敵の照準に入った状態で行うと容易に撃墜される。

 

スライスバック

スプリットSを斜めにしたように下降しながら反転する。高度が下がりすぎない利点がある。

 

シザース

敵が後ろから接近しているとき、左右の急旋回を繰り返してジグザグに飛行しオーバーシュートさせる。常に敵を目視し、敵に照準される前に切り返すようにすること。
低速でのロール率と旋回性能に優れた機種で特に有効。

 

ローリングシザース

敵が後ろから接近しているとき、敵を上に見るようにロールしながら急上昇・背面急降下を繰り返してオーバーシュートさせる。急上昇で速度を落としすぎないことと、敵を見失わないようにすること。
ロール率に優れた機種で有効。上昇力が高ければさらに良い。

 

スパイラルダイブ

機首下げ状態で垂直旋回に入り、そのままピッチとバンクを調整して、急旋回しながら螺旋状に降下する。
敵が後方にいる時に、近づいたところで速度を急激に落として(スロットル閉、フラップなど)オーバーシュートさせることができる。特に高速で旋回性能の低い相手に有効。

 

ハイヨーヨー

自機の速度が速く、敵機の後ろにつくために減速しての急旋回が必要なときに、上昇して速度を落としながら敵機を上に見るようにロールし、敵機に向かって旋回・降下する。
速度を高度に変換することで、(上から見て)小さい半径で旋回し、降下によって速度を取り戻すことが出来る。
上昇中に翼や機首の下に敵を隠して見失わないよう注意。

 

相手がハイヨーヨーを使ってきた場合、旋回をやめ降下加速して引き離す。

 

バレルロールアタック

ハイヨーヨーの派生技。自機が敵機の前方に向かっており、進路が直交するときに、上昇して敵機の後方に向かってバレルロールし、敵機を上に見るようにロールを続けて後ろにつく。
相手がバレルロールアタックを使ってきた場合、自分もバレルロールし、ローリングシザースに持ち込む。

 

ローヨーヨー

旋回や追尾で、目標敵機の速度が速く距離が縮まらないときの追撃法。機首を下げて降下加速しながら目標の下に向かい、上昇し敵機を捉える。
旋回戦闘では自機の旋回コースを下に傾け、相手の未来位置を下から突き上げるように動くことで距離を詰めることができる。
加速には限度があるため、一度の降下加速で腹の下にもぐりこめないほど引き離されている場合には、あまり役に立たない。

 

相手がローヨーヨーを使ってきた場合は、上昇して縦旋回勝負に切り替えるか、自分も降下旋回してすれちがうようにする。

 

スナップロール

強くラダーをかけながら操縦桿を素早く引くと、ラダーをかけた方の翼が失速して錐揉みに入る。すぐに操縦桿を戻し、逆ラダーをかけることで回転を止める。
通常のロールよりかなり速い横転が可能だが、任意の位置で止めるにはラダー操作のタイミングが難しく、またエネルギーの喪失も大きい。操作を誤るとただのスピンになってしまう。
現実には半横転からダイブにつなげたり、回避機動として使用されたらしいが、失速機動なのでゲームでの再現には限界がある。

 

ハンマーヘッドターン

垂直に近い急上昇の頂点で、左右どちらか(上昇時に横滑りしやすい機体ならその方向)にフルラダーをかけ、180度方向転換して急降下する。

 

戦術

一般則として、航空機の全エネルギーは位置エネルギー(高度)と運動エネルギー(速度)の和であり、高度は速度に、速度は高度に変換できる(機体強度やエンジンによる上限あり)。全エネルギーはエンジン出力によって少しずつ供給され、空気抵抗によって消費される。空気抵抗は速度が高くなると大きくなり、また引き起こし、横滑り、フラップ、各種外部装備などによって増大する。つまり、空戦機動は大量のエネルギーを消費する。後のジェット戦闘機と異なり、エンジン出力は素早くエネルギーを回復できるほど大きくない。
従って、高度でエネルギーを蓄え、降下加速して攻撃を加え、短時間で終わらせて上昇するのが最も効率的である。これに機種ごとの、得意な高度・速度・機動の違いが加わる。

また、どれだけエネルギーがあっても敵の存在に気付かなければ意味はない。常に周囲を見渡し、頻繁に進路を
変えて後下方の死角を確認し、敵味方の位置と動きを把握すること。

  • マルチプレイでは、OODAループの考え方が参考になる。これは観察→(情報の)方向付け→判断→実行を繰り返すなかで、観察~実行を高速化して先手を打ち続けることで、相手から判断し対応する余裕を奪うというものである。
    同じ戦法を続けるのではなく、機会があれば戦法を切り替える、いったん相手の死角に入るなどによって判断ミスを誘う。
 

接近

同高度で互いに接近しあう時は運まかせのヘッドオン射撃は避けること。左右に少し離れた位置に向かい、すれ違った相手の後ろをとるように機動する。
別の方向に向かう敵に接近する時は、互いの位置と速度を計算し、旋回半径を考えて、有利な位置につけるコースをとる。敵の現在位置に向かって直進するのは通常よいやり方ではない。
逆に敵が横~後ろから接近してくる時は、相手がこちらの後方~後上方につきにくくなるように、相手に向かって旋回する。

  • 爆撃機の編隊に接近する場合、離れた位置で高度を上げてから接近するのが有利。
  • すれちがう時や急降下攻撃をかける時などは、いったん上下左右あるいは後ろに離れた位置に向かい、そこから攻撃位置につくようにするとよい。逆に相手が向かってくるときは、直交または急角度で交差するような機動をとることで回避できる。
 

追尾

敵の前方に向かう(リードパーシュート)と、速度が劣っていても敵との距離を詰めることができるが、交差角度は大きくなる。遠くの敵に対しては、敵の数百m以上前方に向かって直進することで効率的に距離を詰めることができる。
敵の後方に向かう(ラグパーシュート)と、遠回りになるが、速度が勝っていれば敵の真後ろにつくことができる。また旋回戦では、旋回半径を大きくして高速で回ることができる。
これらを使い分けて、攻撃しやすい位置を占位する。

 

攻撃

エネルギーや位置取りで相手よりも優位にある場合、その優位を生かして攻撃する。注意すべきはオーバーシュートして反撃されないこと、攻撃に手間取ってエネルギーを消耗しないことなどである。
特に重く非力な機体(LaGG-3など)では、一度エネルギーを消耗すると回復は難しい。
また銃座をもつ機体への攻撃では、真後ろからの接近・銃座の射界内で速度を落とすことは禁物である。
主な攻撃パターンには以下のようなものがある。

  • 高い高度から敵の前方に向かってまっすぐ降下し、敵のすぐ後ろを通過するようにすれ違いながら射撃する。
    真後ろからだと敵が機首に隠れるため、やや横から角度をつけて降下する。
  • 高い高度から敵の後方に向かって降下し、引き起こして真後ろから射撃、そのまま上昇して離脱する。
    エネルギー差が小さい時は後上方に戻って繰り返す。
  • 高い高度から敵の後下方に向かって降下し、上昇しながら射撃する。
    死角から攻撃できる利点がある。

態勢に差がないときは、自機のエネルギー消費をおさえつつ相手にエネルギーを消費させ、自機の長所を活かし相手の長所を殺すような戦法で戦う。

  • 相手の動きを読んで攻撃しやすい位置に先回りし、急旋回や急上昇を強いてエネルギーを消費させる。
  • 旋回性能で勝る場合は、相手の旋回コースより内側を通り、相手の未来位置に対する有利な位置に最短コースで向かう。
    旋回性能が低い場合は、ヨーヨー機動などを活用してエネルギー消費を節約しながら、遠回りでも無理なく機動できるコースで攻撃位置に向かう。
  • 上昇力で勝る場合は、相手を上昇させてエネルギーを消費させ、上を押さえる。

攻撃するときは目の前の敵に集中し、周囲の確認がおろそかになりがちである。必ず周りを見るくせをつけること。

 

防御

自分が攻撃された場合は、相手の位置と動きを確認し、エネルギーの無駄な消費を避けつつ確実に攻撃をかわす事が重要になる。相手が離脱すればその間に上昇してエネルギーを稼ぎ、追従してくれば格闘戦に入って、相手のエネルギーを消費させつつ逆転を狙う。
あまりに不利なら、ダイブなどで離脱に徹するのも一つの手である。この時は離脱する方向に注意すること。

  • 相手の動きを読んで距離を離すか急角度で交差するようにし、互角の態勢に持ち込む。
  • 後ろから撃たれた時の射撃回避の基本は、撃たれる直前に相手がいる方(右後方の敵に対しては右)に急旋回すること。ただし相手の射線を横切らないようにする。また旋回が早すぎると相手に照準修正の余裕を与える。
  • 撃たれるまで気づかなかった場合、射線の反対側に急旋回する。
  • 後ろをとられた後逆転を狙う機動としては、垂直旋回、スパイラルダイブ、バレルロール、シザース、ローリングシザースなどがある。機体の特性に合わせて選択すること。またいずれの場合も、相手の動きをよく見ること。
  • 回避機動でエネルギーを消費しすぎないよう注意すること。相手がそれ以上に消耗していない限りじり貧になる。
  • バレルロールなどで相手と背中合わせになった状態からダイブすると離脱しやすい。特に高速でのロールが速い機種では、緩降下旋回で互いの速度を上げてから180度ロールすると相手は追従できない。
 

集団戦

敵味方が複数になると、相互支援の要素が加わる。基本は味方を攻撃する敵の後ろにつく、あるいは逆に自分を追う敵を味方の前に誘い込むことである。
孤立した機体は絶好の目標になる。敵味方の位置と動きを常に把握し、味方から離れての深追いは避けること。

  • 敵の後ろをとった有利な状態でも、長時間追尾して孤立するより、追尾を切り上げて味方と再合流するほうが良いことが多い。
 

敵を追尾し攻撃する際は周囲の確認がおろそかになりがちである。また攻撃のためにエネルギーを消費しすぎると他の敵に対して不利になる。攻撃中の機体は絶好の目標でもあることを忘れないこと。