20世紀初頭にMLBで活躍したタイ・カッブ(1886年~1961年)の蔑称。
概要
カッブはMLBのキャリアにおいて、9年連続を含む12回の首位打者、MLB史上初の通算4000本安打達成*1、現在もMLB記録の生涯通算打率.366*2、1909年には世界唯一の六冠王*3を達成するなど華々しい成績を残しアメリカ野球殿堂入りの第1号選手の一人となり「球聖」の別称が付けられた。
その一方で「最高の技術と最低の人格」「メジャーリーグ史上、最も偉大かつ最も嫌われた選手」と言われるほど素行面での悪名も高く、人種差別主義者であり、乱闘の際には相手に銃を突きつけるなどとても暴力的であったという。これらの行動から周りから嫌われていたため、一族の為に立派な墓を作ったが一族から墓に入る事を拒まれた、自身の葬儀には球界関係者が4人しか参列しなかったという逸話がある。
なんJではこれらの粗暴なエピソードに加えて、タイ・カッブがランナーでホーム突入の際に相手捕手に飛び蹴りを食らわせる画像が有名。「ぐう聖」の反対が「ぐう畜」であることに准えて、カッブの別称「球聖」から「球畜」の蔑称が定着することとなる。
実際のタイ・カッブ
長らく素行の悪さが伝えられてきたカッブであるが、実はその悪評のほとんどが記者によって意図的にでっち上げたものだったことが判明している。前述の人種差別主義者だったという明確な証拠は無く*4、前述の葬儀についてもカッブの家族が球界関係者の参列を予め断っていたためである*5。カッブが自身の出自についての野次を浴びせた観客を殴ったために無期限の出場停止処分となった際*6、チームメイトがこの処分を不服として試合をボイコット*7。カッブがチームメイトを説得して*8ボイコットを止めさせたという畜生とは真逆の人柄を表すようなエピソードがある。
カッブの現役中期頃からベーブ・ルースがメジャーリーグで頭角を現し、ルースの後の活躍は誰もが知るものである。容姿やプレースタイルが真逆な2人は何かと比較されることが多く、ルースが誰もが認める「ヒーロー」であるのに対し、カッブは「ヒール」として扱われることが多い。このことから華々しい成績を残したにも関わらず、前述の悪評が広まったこともあって何かと不遇な扱いを受けていた選手であった。
粗暴であったことにも理由があり、カッブは父親を尊敬していたがその父親が不倫をしていた母親に殺されるという過去があったせいで性格が粗暴に変わってしまったと言われている。*9
ある時にMLBを永久追放となった選手*10に出会った際、誰も自分の事を覚えていないだろうと漏らしたその選手に対してカッブは「ああ。お前が優れたバッターだった*11ということ以外、忘れてしまった」と言い放ったぐう聖エピソードもある。
つまり、なんJにおいて、でっち上げのエピソードから「球畜」の蔑称を付けられたことは完全に風評被害である。
タイカップ式バット
日本で「つちのこバット」「こけしバット」など呼ばれるグリップエンドの非常に太いバットはカッブが現役時代使用していたバット形状に似ているため「タイカップ*12式バット」と総称されたりする。
著名な使い手
小柄な選手に使い手が多いが使いこなすのが難しいバットであり赤星引退後はフライボール革命の影響もあり現在ではほとんど使われていない。