この世を語る言葉

Last-modified: 2012-07-04 (水) 22:49:37
「常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」
(アルベルト・アインシュタイン)

この世の「常識」とは何か。それはただの偏見にすぎないとアインシュタインは言う。
常識にとらわれていては見えない真実が無数にある。
常識だと思っていたものがただの幻想に過ぎないことが星の数ほどある。
世界は広い。見える範囲よりずっとずっと、遥か広大に続くこの世界。
まずはちっぽけな自分の常識を捨てること。
それが、世界に触れる第一歩です。
comment by 神居鈴
 
「受けがたき人身を受けて、遇いがたき本願に遇いて、
発しがたき道心を発して、離れがたき輪廻の里を離れて、
生まれがたき浄土に往生せんこと、悦びの中の悦びなり」
(『一紙小消息』 法然)

ここは直訳ではなく、現代風の意訳を書いてみます。

「人として命をたまわり、連綿と続く先人の教えに出会い、
自らの進むべき道を見出し、心を未来へと馳せ、
まばゆい光のなかに希望を見出すこと、それほどの喜びがあろうか」

法然の言葉はこのような解釈ができるかと思われます。
「人として命を授かり、せいいっぱい生き、そして死んでゆき、
新たな世代に希望を託すこと。これ以上の喜びはない」
いま、ここに生きているいのち。それはかけがえのない奇蹟の産物です。
そのことに感謝し、また、無駄にしないように生きる。
時代を超えて、いま、我々は800年以上前に生きた高僧の言葉を、
もう一度心に刻まねばならないのかもしれません。
comment by 神居鈴
 
「理想郷は場所じゃなくて、人の中にあると思うの。だから慎重に選ばなきゃいけない」
(ゲーム『Bioshock2』 エレノア・ラム)

たとえどんなに恵まれた場所であっても、人の心が荒んでいれば、そこは地獄となる。
逆に、どんなに荒んだ場所であっても、人の心が豊かであれば、そこは理想郷と呼ばれる。
もし居場所がないと感じたら、まずは自分の心を見つめ直してみるべきかもしれません。
comment by 神居鈴
 
「星はいつだって……。ほんの少し顔をあげさえすれば、すぐそこにあったのにね……。
いつだって、またたきながら、たくさんのことを教えてくれていたのにね……」
(ゲーム『ToHeart2』 草壁優季)

忘れてしまった事、見えなくなってしまった事、気にしなくなってしまった事。
でも、振り向けばいつだってそこにあるもの、変わらないもの……。
そんな事は、案外多いものです。
たまには立ち止まって、夜空に星を数えるように、
大切な物を思い出してみるのも良いかもしれません。
comment by 白詰草
 
「わたし…思うんだ…
わたしたちが漫然といつも通りの生活をしてる時でも…
わたしたちが関心も持たず…知らないだけで…
世界はいつも動いてるし…
いろんな人が…いろんな大事な何かのために働いてるんだって……」
(漫画『パスポート・ブルー』 一文字乙姫 …著:石渡治)

ある大事件を傍観者として体験した後日、乙姫が友人に語った台詞。
いまある日常や平和は、決して最初からそこにあったものではないし、
なんの努力もなしに維持できているものでもない。
何気なく推移していく風景の裏で、誰かが必死に働いて維持されているもの。
その価値に気づいた時、人は子供から一歩大人へとなるのかもしれません。
comment by 神居鈴
 
「どんなに恐ろしい武器を持っても、
たくさんのかわいそうなロボットを操っても、
土から離れては生きられないのよ」
(アニメ『天空の城ラピュタ』 シータ …監督:宮崎駿)

強大な武力を手にし、人の命を踏みにじりながら、
「人がゴミのようだ」「ラピュタは滅びぬ」とうそぶくムスカに対し、
シータが"それは違う"と反抗した言葉。
ここで言う"土"とは、大地のことももちろん指しますが、
それ以上に、人が人と暮らしていくための基盤(=大地)となる、
"道徳心"や"優しさ"を指すようにも思います。
普段は気にすることの少ない、今そこに"あたりまえにあるもの"。
それらがいかに重要で、大事なものなのか、手放してはいけないものなのか、
シータが伝えたかったのは、そのことではなかったでしょうか。
comment by 神居鈴
 
「わたしはつねに傍観者だった
いままで…ずっと…
…でも、それじゃっ…
ほんとうのことはわからないんだっ…!!」
(漫画『わたしに××しなさい!』 氷室雪菜 …著:遠山えま)

人の視線から逃れるため、人をレンズ越しにしか眺めようとしなかった雪菜が、
初めて、人に見てもらうため、人を見るために、眼鏡を外した時の言葉。
遠くから見ているだけでわかるのは、そのものの外見だけ。
そのものに"触れる"には、怖くても、自分から手を伸ばす必要があります。
comment by 白詰草
 
「世間虚仮 唯仏是真」
(聖徳太子)

世間は虚仮にして、ただ仏のみこれ真なり。
目に見えるものは虚構に過ぎず、仏こそが真実であるという聖徳太子の言葉です。
では仏とは何か? 如来だの観音だのという、偶像としての「ほとけさま」ではありません。
仏というのは、理念です。
物事が持つ本質、世界を構築している根源、それらを指して「仏」と言います。
それを想う時、太子の言葉が非常にシンプルなものであることに気づくはず。
要するに、「周りに振り回されず、自分を律し、よく物事を考えて生きなさい」ということ。
長い時を超えて、昔の人の言葉は、今を生きる者の糧。
ご先祖様というのは、そういうものなのかもしれません。
comment by 神居鈴
 
「まともじゃダメなのさ。
イカれた世界は、イカれた奴じゃなきゃ理解できねえのさ」
(ゲーム『ALAN WAKE』 オーディン・アンダーソン)

アーティストばかりを集めた精神科クリニック、
そのクリニックの患者であるオーディンが、アランに語った言葉。
自分たちを狂人と決めつける担当医への不満も含んでいますが、
いずれにせよ、示唆に富んだ言葉であることは確か。
今見ているこの世界と、他人が見ている世界は、はたして同一か否か?
人類の、永遠の謎であるかもしれません。
comment by 神居鈴
 
「もし聖人ばかりの世界があるとしたら、そこはたぶん「地獄」という名でよばれるだろう」
(漫画『銀河鉄道999』 …著:松本零士)

実際には悪人もいるはずなのに、旅人たちに
「ここは聖人しかいない清らかな街」と無理に印象づけようとしていた
「ざんげの星」の話における最後のモノローグ。
メーテルは言う
「善人もいれば極悪人もいる、汚いことをしているいやな人間もいる。
でもそれが人の住む所の常識。あたりまえのこと。
それだからこそ生きがいも面白さもあるのに」と。
人の営みは、決して正しいことばかりではない。むしろ、悪いことの方が多いかもしれない。
でも、全体を俯瞰してみれば、清濁併せ持ったそれらの事象こそが、
人の歴史であり、人の活力であり、そして、代え難い人の魅力でもある。
偏らず、まっすぐに、逸らすことなく、世界を見つめていたいものです。
comment by 神居鈴
 
「行く川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず」
(随筆『方丈記』 …著:鴨長明)

同じように見えて、しかし、その形はめまぐるしく変化していく川の流れ。
それはすなわちこの世であり、人でもある。
今日は今日、明日は明日。
悩める時も、また次の日になれば違う水が流れています。
comment by 神居鈴
 
「創造主や古代の王、大自然の驚異を神ととらえる国や民族が多い中
小さな虫や草花や捨てられた器物までをも神と感ずる民族は、世界中で日本だけです」
(漫画『孔雀王 曲神記』 大山津見神 …著:荻野真)

実際に日本だけかどうかは不明ですが、
しかし、この感性が非常に希少であることは論を待ちません。
そして、とても温かいものだと言うことも。
comment by 白詰草
 
「世界はいつだって、目に見えない選択肢で満ちている。
気づこうとさえすれば、誰の手にも無限に世界は選び取れるのだわ」
(漫画『ローゼンメイデン』 真紅 …著:PEACH-PIT)

未来が見えないことと、未来がないことは違う。
暗闇の中、そこになにもないように思えても、
ほんの少しだけ目を懲らしさえすれば、
輝ける景色が広がっていることに気づくはず。
人の持つ可能性を語った、真紅の台詞です。
comment by 白詰草
 
「人々はローマが偉大であるからローマを愛したのではない。
ローマは人々がローマを愛したから偉大となったのだ」
(G・K・チェスタトン)

最初から完璧なものなどないってことですね。
そして、そうであるが故に、人の手によって磨き上げる喜びがそこには存在します。
comment by 神居鈴
 
「どんなに古ぼけていても、それを必要とする人は必ず居るはずです」
(ゲーム『ToHeart2』 小牧愛佳)

それは世界の何かでも、あるいはどこかの誰かでも同じ事。
意味はなくても、意味がある。
不要であっても必要なもの。
だから――
comment by 白詰草
 
「封建社会の完成形は、少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ」
(漫画『シグルイ』 …著:山口貴由(漫画)/南條範夫(原作))

武士道をサドマゾとして扱われては侍もたまったものではないだろうが、
客観的に見ると確かにそうなっている。
物事の多面性を端的に言い表した一文。
comment by 神居鈴
 
「ことばも種も違うけれど、僕達はあたたかな世界でつながっている」
(漫画『ちょこっとヒメ』 にいちゃん …著:カザマアヤミ)

台詞そのものは、飼っているペットを想って紡がれた言葉。
でも、この言葉はこの世界そのものを表していると言っていいはず。
どんな国の、どんな人の上にも陽の光は降り注ぐ。
遠く離れた見知らぬ人とだって、この空は繋がっている。
仲良くできないことなんか、ない。
comment by 白詰草
 
ゲデヒトニス「データベースによりますと、約4万8千年前まで、この地上で2番目に知能の高い生物だった、とあります」
ドロッセル 「人類は?」
ゲデヒトニス「3番目のようです」
(OVA『ファイアボール』 ゲデヒトニスとドロッセルの会話 …プロデュース・脚本・監督:荒川航)

数万年後の未来における、ロボットたちの会話。話題はイルカについて。
数万年後に評価されるとしたら、本当にこんな感じなのかも?
comment by 白詰草
 
「すべての芸術、すべての教育は、単に自然の付属物に過ぎない」
(アリストテレス)

だがそれでも人は自然を超えようとする。
負の遺産を作りながら、それでも、その中から人は進歩の苗を育てていく。
comment by 神居鈴
 
「徹底的に現世的な人々には、現世そのものを理解することさえできぬものだ」
(G・K・チェスタトン)

人の思考で全てを網羅できるほどこの世界は狭くない。
そして、そう思うことによって、世界がなお広がっていくことを示唆している言葉。
逆説の魔術師・チェスタトンの真骨頂。
comment by 神居鈴
 
「最も正しき戦争よりも、最も不正なる平和を取らん」
(マルクス・トゥッリウス・キケロ)

建前がどうであろうと、戦争よりも平和の方が良いに決まっている。
長ったらしい理屈に価値はないのだ。
comment by 神居鈴
 
「昇る太陽が夕刻地平に沈むように、
輝く星がいつか暁の黎明にまぎれ、消えていくように、
そして不死身と見えた勇猛な兵士もいつかは墓の底に眠るように、
不滅と見える文明にも生涯があります。
ビッチ・ポイントで、一つの文明が死んだ。
ノアの洪水伝説にも見えるように、文明の死とは、常に、溺死なのです」
(推理小説『水晶のピラミッド』 御手洗潔 …著:島田荘司)

かつて、講談社ノベルス版『アトポス』のあらすじにて、
御手洗潔の推理を指して「託宣」という表現を用いていた。
「文明の死は常に溺死」――。
本当に、この言葉は託宣なのかもしれない。
comment by 神居鈴
 
「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ。
普段はそんなものは存在しない」
(推理小説『すべてがFになる』 犀川創平 …著:森博嗣)

西之園萌絵の問い「先生、現実って何でしょう?」
に対して、犀川創平が返した答え。
思考すること、それが人間の証明であり、世界の証明でもある。
comment by 神居鈴
 
「えへへ……。不思議なことって……
なんとなく隠されている気がして……。
私からは遠く離れたところで起こるような気がして……。
でも、こんな近くでも起こるんだね。
ほんと、世界は不思議で満ちてるよ!」
(ゲーム『ToHeart2 XRATED』 笹森花梨)

生きることは決してつらいことばかりじゃない。
彼女の言葉は、この世への賛歌だとおもう。
comment by 白詰草
 
「この世には不思議なことなど何もないのだよ」
(推理小説『姑獲鳥の夏』 中禅寺秋彦 …著:京極夏彦)

真意は言葉の表面にあらず。
この言葉は 「この世は不思議なことしかない」
と考えていることの裏返し。
とても力強く、優しい言葉だと思う。
comment by 神居鈴
 
「小さなカミキリ虫の手足をバラバラに四ツにちぎると、日本になるんだね」
(戯曲『小指の思い出』 少年2 …著:野田秀樹)

それは日本か、それとも人か
野田秀樹の、言葉の魔術が光る
comment by 白詰草
 
「綺麗な空……美しい……本当に美しい世界。
一瞬の輝きが、どうしてこんなにも、愛おしいのかな」
(ゲーム『ToHeart2』 草壁優季)

世界は美しい
ほんの少しだけ、上を見上げれば…それがわかる
comment by 白詰草
 
 

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  • すみませんが、俺のサイトにここのサイトをリンクで貼っても宜しいでしょうか? -- 2011-06-04 (土) 01:45:35
  • 構いませんよ、ぜひ貼ってやってください -- 神居鈴@管理人? 2011-06-07 (火) 20:28:52
  • 有難うございます。誰も見に来てないですけど、リンク貼らせてもらいます。 -- 2011-06-08 (水) 15:27:10