どこに向かっているのかと思ったら・・・ここはお前が封印されていた"ナイトメア"じゃないのか? | |
当たり前でしょ?あたしが封印から解かれたって噂があの陰険な奴の耳まで流れてたら、一度くらいは確かめにくるでしょ? もう力では負けないはずだし、潜伏しているうちにあいつが来たら―― | |
誰が誰に何をすると? |
突然聞こえた女の声に振り向くと、まるで待ちくたびれたというような姿の女が立っていた。
ぐっとかぶったフード、そして包帯に包まれている上半身。
その姿から彼女がオフィーリアの復讐の相手―リリスだと推測できた。
あらら、噂をすれば影がさすということは、こういう時に使うのね? ねぇ、根暗な人、お元気? | |
……あの男がお前を解放したのか…まぁいい、ついてこい |
その言葉の後、リリスはすばやくその姿を消した。
いきなり何言ってんのよ!ちょっと、あたしの話聞けってば!どこ行くのよ! | |
…さて、どうする? | |
あたしに聞かないでよ!とにかくぶつかってみるだけ。考えるのは後だわ |
俺達はリリスの後を追い、エレベーターに乗った。ずいぶんの間、俺達は何も話せずにいた。
その沈黙を割ろうとでもするように、さびた鉄門がいやな音を立てながら開かれた。
そのとき俺の目に映ったのは―今までネット・スフィアでは見たことがなかった風景だった。
数多くの牢屋が並んである牢獄。
今は空きっぱなしだが、この間までは人が住んでいたように本や雑貨などが散らかされていた。
廊下を抜けて俺たちはコンテナがたくさん詰めてあるホールにたどり着いた。
さぁ、もう話したほうがいいわよ。ここまで来てあげたんだからね | |
(通信)オフィーリア・ウィルスをここまでつれてきたか…よくやったぞ、リリス |
どこからか、野太い声が聞こえてきた。これはいったい…
あんた!あたしをだましたのね! | |
…エスパーガードよ、例の件は忘れていないな? | |
例の件?ああ、お前が我々の手下になる代わりにその"オフィーリア・ウィルス"と男を見逃してやるという約束か | |
あ…あんた、あいつらとそんな契約してたの?それであたしを攻撃するふりをして、封印して… | |
ハハっ!たかがAIの分際で我々と取引ができるとでも思ったのか? 笑わせるな!だがお前のおかげで手間がはぶけた事は感謝しているぞ。 | |
…結局は私をもだましたのか? | |
問答無用!人間の偉大さを思い知るがいい! |
彼の言葉が終わったとたん、地面が揺らぎ始めた。
その瞬間オフィーリアの目は驚きに満ちていたが、すぐ何かの決心したような目の色に変わった。
よけて! |
俺とリリスはオフィーリアが放った力によって飛ばされた。
同時に、俺たちが立っていた場所にまぶしい光の柱が降り注がれた。
ぐぅっ! | |
オフィーリア! | |
オフィーリア! | |
ごめんね…リリス…あんたのこと、もっとよく知っていれば… つまんないやつだけど…あいつのこと、よろしくね… |
「システム・メッセージ」:ウィルス駆除完了。
光の柱が消えて行き、オフィーリアの影もだんだん薄くなっていった。
俺は何もできずにそれを見つめていた。ただ虚しく…悲しく…
彼女がいた場所に残されたのは、彼女に絡み付いていた錠と鎖、そして小さな人形だった。
唖然となっている俺に、リリスが声をかけた。
このままだと私と君もあいつらに狙われてしまう。 私の代わりに消えたオフィーリアのためにも、私に力を貸してほしい |
そうだった。ウィルスとみなしてオフィーリアを消した奴らなら、同じウィルスであるリリスとやらもうち消そうとするはずだ。
それに、彼女たちに触れた俺のパーソナル・データも…
俺はオフィーリアの人形を手に握って立ち上がった。
そうすると今まで使っていたツイン・ブレードは消え去り、巨大なハンマーが現れた。
それに触れると、更に重く強い力が体に流れ込んできた…
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