ストーリーモード/ストーリーモード2

Last-modified: 2020-10-09 (金) 03:59:43

概要
かけあい(基本種~最上級種)

ストイックな踊子(あめのうずめの思い出)

折りたたみ
あめのうずめ1.pngあめのうずめ
「(シャラ~……シャララ~……)」
あめのうずめ2.pngあめのうずめ
「ふう、今日の舞いの稽古は
 このくらいにしておきましょうか。」
烏天狗
「(パチパチパチ……)
 すごーい! あめのうずめさん!」
烏天狗B.png
あめのうずめ3.pngあめのうずめ
「烏天狗さん?
 そこでずっと見てらしたのですか?」
烏天狗
「うん! ここでずっと見てたよー!
 噂には聞いていたけど、
 ホントに踊りが上手なんだね!」
烏天狗A.png
烏天狗
「私、声をかけるのも忘れて
 見惚れちゃってたよー!」
烏天狗B.png
あめのうずめ4.pngあめのうずめ
「ありがとうございます。」
あめのうずめ4.pngあめのうずめ
「私、この芸だけを一心不乱に
 磨いて来たものですから、
 そういわれると嬉しいものですね。」
烏天狗
「あめのうずめさん、
 ストイックだよねー!」
烏天狗A.png
烏天狗
「でも、そんなに上手くて
 稽古もしてるのに、なんで
 みんなの前では踊らないの?」
烏天狗C.png
あめのうずめ1.pngあめのうずめ
「私の舞いは、とある御方に見せる
 為だけに磨いてきた芸なものですから。」
あめのうずめ1.pngあめのうずめ
「その御方に見て頂けるだけで、
 十分なのです。」
烏天狗
「えー? じゃあ、その人だけにしか
 見せないの?」
烏天狗E.png
あめのうずめ1.pngあめのうずめ
「ええ、まあ……。」
烏天狗
「そんなのもったいないよー!」
烏天狗H.png
烏天狗
「せっかくそんなに上手なんだからさ、
 もっとたくさんの人にみてもらお?」
烏天狗A.png
烏天狗
「そしたらゼッタイ、みんなの注目を
 浴びて、人気者になれるよ!」
烏天狗B.png
あめのうずめ5.pngあめのうずめ
「う~ん……私、べつに注目を
 浴びたいわけじゃないですし……」
烏天狗
「えー!? なんでー!??」
烏天狗H.png
あめのうずめ6.pngあめのうずめ
「なんでと言われましても……。」
烏天狗
「もっと人前に出ていこうよ!
 女の子は人に見られてキレイに
 なるっていうじゃん?」
烏天狗B.png
烏天狗
「きっと、踊りにも
 もっと磨きがかかるよ!」
烏天狗B.png
あめのうずめ3.pngあめのうずめ
「そういうものでしょうか?」
烏天狗
「ゼッタイそうだよ!」
烏天狗B.png
烏天狗
「そうだ!
 今度さ、一緒に人がたくさんいる
 街へ出かけようよ!」
烏天狗C.png
烏天狗
「ついでに甘味処へ寄ってさ!
 流行りの呉服屋で服とか見たり!
 楽しいよ?」
烏天狗B.png
あめのうずめ6.pngあめのうずめ
「でも私、あまりそういった場所に
 慣れてなくて……。」
烏天狗
「だいじょーぶだいじょーぶ!
 私が付いてるから!
 じゃあね、約束だよ?」
烏天狗B.png
烏天狗
「(バサッ!)」
あめのうずめ7.pngあめのうずめ
「あ、ちょっと烏天狗さん!」
あめのうずめ1.pngあめのうずめ
「……行ってしまいました。」
あめのうずめ5.pngあめのうずめ
「街へ出て人の注目を浴びる……。
 いまいちピンと来ませんね。」
あめのうずめ1.pngあめのうずめ
「でも……」
あめのうずめ4.pngあめのうずめ
「なんだかちょっと楽しみです。」
後日、烏天狗と共にお出かけを楽しんだ、あめのうずめでした。

どんな話が好き?(やさふろひめの思い出)

折りたたみ
髭切
「ふむふむ……なるほど……。」
髭切G.png
やさふろひめ1.pngやさふろひめ
「あれ、髭切ちゃん、読書?」
髭切
「髭切……何ですか?」
髭切B.png
やさふろひめ2.pngやさふろひめ
「あ、ごめんごめん
 髭切『さん』だよね!
 間違えちゃった!」
髭切
「はい、そうですね。」
髭切C.png
やさふろひめ3.pngやさふろひめ
「髭切さん、なんの本読んでるの?」
髭切
「『兵法三十六計』という
 兵法書です。」
髭切G.png
やさふろひめ4.pngやさふろひめ
「兵法書!? なんか難しそうなの
 読んでるんだね。面白い?」
髭切
「『面白い』というよりは
 『為になる』といった内容ですね。」
髭切G.png
やさふろひめ3.pngやさふろひめ
「へえー、髭切ちゃ……さんは
 しっかり者だねえ。」
髭切
「それほどでも……。」
髭切E.png
髭切
「やさふろひめさんは
 どんな本を読むんですか?」
髭切A.png
やさふろひめ2.pngやさふろひめ
「私はもちろん、恋愛小説!」
髭切
「れ、恋愛小説、ですか……!?」
髭切F.png
やさふろひめ2.pngやさふろひめ
「そう!
 運命的に惹かれ合うふたり……!」
やさふろひめ2.pngやさふろひめ
「そして好きあってるのに
 互いの気持ちがすれ違ってしまう
 切なさ……!」
髭切
「はあ……。」
髭切H.png
やさふろひめ1.pngやさふろひめ
「あ、でも髭切さんはまだ
 恋愛のお話には興味ないかな?」
髭切
「ムッ……!」
髭切B.png
髭切
「子供扱いしないでください。
 私だって恋愛くらい……」
髭切C.png
やさふろひめ4.pngやさふろひめ
「してるの!?」
髭切
「……してないですけど。」
髭切H.png
やさふろひめ5.pngやさふろひめ
「なんだぁ……。
 恋バナが聞けるかと
 思ったのになー。」
髭切
「……そう言うやさふろひめさんは
 どうなんですか?」
髭切G.png
やさふろひめ6.pngやさふろひめ
「え?」
髭切
「恋愛のその……すれ違い?
 とか、そういう経験があるんですよね?」
髭切G.png
やさふろひめ6.pngやさふろひめ
「…………」
やさふろひめ7.pngやさふろひめ
「そ、そりゃーあるよ!
 もちろんあるよ!」
やさふろひめ7.pngやさふろひめ
「やーあのトキは
 いっぱいすれ違ったなー!」
やさふろひめ7.pngやさふろひめ
「切なくて切なくて、
 震えちゃったなー!!」
髭切
「…………。」
髭切D.png
それから小一時間、髭切は真偽の怪しい恋バナを
やさふろひめから聞かされ続けたのでした。

葛篭の中身は?(紅葉御前の思い出)

折りたたみ
鞍馬
「ふーむ……」
鞍馬C.png
紅葉御前1.png
「お、どうした鞍馬。
 珍しく悩み事?」
鞍馬
「紅葉御前か。」
鞍馬A.png
鞍馬
「この、いま私の目の前にある
 葛籠(つづら)なのだが……」
鞍馬A.png
紅葉御前2.png
「でかい葛籠だなあ。
 どうしたんだ? これ」
鞍馬
「今朝、うちの畑から
 出土したものらしい。」
鞍馬C.png
紅葉御前1.png
「へえ。
 で、中に何が入ってたの?」
鞍馬
「それがどうも、かなり手の込んだ術で
 封印されあるようでね」
鞍馬C.png
鞍馬
「ある一定の手順を踏まなければ
 開かない仕組みらしい。」
鞍馬C.png
紅葉御前1.png
「なるほど、開ける方法が解らなくて
 困ってるってわけね。」
鞍馬
「ああ。
 だが葛籠のフタを見てみたまえ。」
鞍馬C.png
紅葉御前1.png
「んー?
 なんか文字が書いてあるな。」
紅葉御前1.png
「“東から西へ旅した年寄り蛇が
 獣の足に噛みつく頃、東の巣穴
 にて獅子の扉は開かれる”」
紅葉御前3.png
「……なんだコレ?」
鞍馬
「恐らく暗号文になっているのだろう。」
鞍馬C.png
鞍馬
「この謎めいた言葉が示す手順を
 行えば封印が解けるはずだが……」
鞍馬C.png
紅葉御前2.png
「鞍馬でも解らないの!?」
鞍馬
「いや、だいたい解けてはいるんだ。」
鞍馬C.png
鞍馬
「最初の文は、恐らく“時刻”を
 表しているのだろう。」
鞍馬C.png
紅葉御前3.png
「これが??」
鞍馬
「遥か西方の国々では、
 年老いた蛇とは“竜”の事を示すのだ。」
鞍馬C.png
鞍馬
「“東から西へ旅した”とある事から
 元は東国の竜――つまり“辰”だ。」
鞍馬C.png
紅葉御前4.png
「ふーん?」
鞍馬
「そして、蛇が噛み付いた“獣の足”。
 獣の足と言えば四本足。」
鞍馬C.png
鞍馬
「以上の事から――」
鞍馬C.png
鞍馬
「“辰の四つ時”に、何かを行えば
 葛籠が開く、ということだろう。」
鞍馬C.png
紅葉御前4.png
「……へえー。」
鞍馬
「後はこの“東の巣穴にて獅子の扉は
 開かれる”の部分なのだが……。」
鞍馬C.png
鞍馬
「“東の巣穴”……そして“獅子”か。」
鞍馬C.png
鞍馬
「“東の巣穴”は検討が付くが、
 “獅子の扉”……
 これがちょっと解らないな。」
鞍馬C.png
紅葉御前1.png
「ねー鞍馬。」
鞍馬
「ん?」
鞍馬A.png
紅葉御前1.png
「要するにさ、
 コレが開けばいいんだよね?」
鞍馬
「ああ、もちろんそうだが……」
鞍馬A.png
鞍馬
「って、斧を振り上げて
 何をする気だ!?」
鞍馬D.png
紅葉御前5.png
「そーらぁッ!(ボコーン)」
鞍馬
「葛籠が……」
鞍馬C.png
紅葉御前1.png
「ホラ開いたよ♪
 これで解決でしょ?」
鞍馬
「…………」
鞍馬C.png
鞍馬
「確かに。」
鞍馬E.png
紅葉御前6.png
「ははっ、良かった良かった!」
鞍馬
(……どうやら私は知力で解決する
 ことに囚われ過ぎていたのかも
 しれないな。)
鞍馬F.png
紅葉御前1.png
「で、肝心の中身は……」
紅葉御前4.png
「あれ、カラッポ?」
鞍馬
「いや、何か紙切れが1枚、
 入っているぞ。」
鞍馬A.png
鞍馬
「札?
 それとも何かの地図か……?」
鞍馬A.png
紅葉御前1.png
「文字が書いてあるな。
 なになに……」
紅葉御前4.png
「“ ハ ズ レ だ に ゃ あ ”」
鞍馬
「…………。」
鞍馬G.png
誰かの手の込んだイタズラでした。

押し花を贈る相手(かやのひめの思い出)

折りたたみ
かやのひめ1.pngかやのひめ
「うーん、今日は討伐も無いし、
 退屈ね……。」
かやのひめ1.pngかやのひめ
「押し花にする花でも探そうかな。」
かやのひめ2.pngかやのひめ
(ん? 向こう側から、今まで
 嗅いだことのない花の香りが……?)
咲耶
「あら、あなた様は……
 かやのひめ様ですね?」
咲耶A.png
かやのひめ2.pngかやのひめ
(!
 この香り、この子から漂ってくる……)
咲耶
「わたくし、木花(このはな)家の
 咲耶と申します。」
咲耶B.png
かやのひめ2.pngかやのひめ
「あの木花家の……」
かやのひめ1.pngかやのひめ
「どうしてわたしの名前を
 知っているの?」
咲耶
「有名ですもの、存じ上げておりますわ。
 それに……」
咲耶A.png
咲耶
「お庭の裏でひとり、押し花を作られて
 いるのを何度かお見かけしましたので。」
咲耶A.png
かやのひめ3.pngかやのひめ
「なっ!?
 あれ、み、見てたの……?」
咲耶
「えっ……」
咲耶C.png
咲耶
「ご、ごめんなさい。あまり人に
 見られたくなかったのですね……」
咲耶D.png
咲耶
「とても楽しげに綺麗な押し花を
 作られていたので、咲耶はつい……」
咲耶D.png
かやのひめ4.pngかやのひめ
「べ、べつに隠れて作ってたわけじゃ
 ないわよ!」
かやのひめ1.pngかやのひめ
「ただ……」
咲耶
「ただ……?」
咲耶D.png
かやのひめ4.pngかやのひめ
「あの時は、○○に
 あげる為の押し花を作ってたから……」
咲耶
「え?」
咲耶E.png
かやのひめ5.pngかやのひめ
「……な、なんでもないわよ!」
かやのひめ5.pngかやのひめ
「あのとき作った押し花、
 あまり出来が良くなかっただけ!」
かやのひめ5.pngかやのひめ
「だから見られたくなかったの!」
咲耶
「そんな、とても綺麗にできていると
 咲耶は思いましたが……」
咲耶D.png
かやのひめ2.pngかやのひめ
「そ、そう!?」
かやのひめ6.pngかやのひめ
「あ、あなたがそう言うなら、
 誰か「その辺の人」にでも
 あげちゃおうかなー?」
咲耶
「まあ……」
咲耶C.png
咲耶
「それなら是非、
 わたくしに頂けませんか?」
咲耶A.png
かやのひめ3.pngかやのひめ
「え!?」
咲耶
「あれだけ綺麗な押し花ですもの。
 咲耶はお部屋に飾っておきたいです。」
咲耶A.png
かやのひめ3.pngかやのひめ
「そ、それは……」
かやのひめ4.pngかやのひめ
「困る……」
咲耶
「ご、ごめんなさい。
 わたくしまた、こんな図々しいこと……」
咲耶D.png
かやのひめ4.pngかやのひめ
「そ、そうじゃなくて……」
かやのひめ4.pngかやのひめ
「その……あなたには今度、
 別のやつを作ってあげるわ。」
かやのひめ4.pngかやのひめ
「ちゃんとした、
 出来のいいやつをね!」
咲耶
「本当ですか!?
 咲耶はとても嬉しいです!」
咲耶B.png
かやのひめ7.pngかやのひめ
「べ、別に大層なものじゃないんだから、
 そんなに喜ばなくたっていいわよ!」
咲耶
「いいえ、楽しみにしています!」
咲耶B.png
後日、咲耶には出来のいい押し花を、
 ○○には出来の悪い(と本人は言う)
 押し花を贈った、かやのひめでした。

訪れし災厄(やたのひめの思い出)

折りたたみ
やたのひめ1.pngやたのひめ
「黒い風が……哭き始めたわ……」
空狐
「やたのひめさん?」
空狐A.png
空狐
「そんな高い木の上に立って、
 何を眺めてるんですか?」
空狐A.png
やたのひめ1.pngやたのひめ
「私が眺めているものは、『世界』――」
空狐
「え?」
空狐B.png
やたのひめ1.pngやたのひめ
「――それが、『監視者』たる
 この私に課せられた使命なの」
空狐
「よ、よくわからないけれど、
 何かを見張っているのですね……?」
空狐C.png
やたのひめ1.pngやたのひめ
「ええ……
 でも気を付けなければならないわ」
やたのひめ1.pngやたのひめ
「深遠を覗く時、深遠もまた
 此方を覗いて居るのだから――」
空狐
「???
 は、はあ……」
空狐B.png
やたのひめ1.pngやたのひめ
「空狐……あなたも気を付けることね。」
やたのひめ1.pngやたのひめ
「じきにこの庭を『災厄』が襲う――
 そんな兆しが『視』えるわ。」
空狐
「ええっ! ど、どうしてそんなことが
 分かるんですかっ!?」
空狐D.png
空狐
「はっ!まさか……」
空狐D.png
空狐
「やたのひめさんが
 『せかいのかんししゃ』だから……?」
空狐D.png
やたのひめ2.pngやたのひめ
「ふふふ……!」
空狐
「そ、それで一体、この庭に
 どんな災厄が?」
空狐E.png
空狐
「ひょっとして、強い物怪か何かが
 やってくるのですかっ?」
空狐E.png
やたのひめ1.pngやたのひめ
「そう……『彼の者』が
 『白き仮面(ペルソナ)』を纏いし時……」
やたのひめ1.pngやたのひめ
「『災厄』はその姿を現すのよ」
空狐
「し、『しろきべるそな』とは、
 いったい……!?」
空狐D.png
やたのひめ1.pngやたのひめ
「彼の者が齎す
 『破滅の狂宴(ヴァルプルギス)』――」
やたのひめ1.pngやたのひめ
「この庭は、その宿命(さだめ)から
 逃れることはできないわ……」
空狐
「そ、そんな!
 何か手だては……」
空狐E.png
やたのひめ1.pngやたのひめ
「……安心して。」
やたのひめ1.pngやたのひめ
「たとえ『災厄』がこの庭が滅ぼそうとも、
 式姫達には傷ひとつ付けさせはしないわ」
空狐
「や、やたのひめさん……
 なぜ右腕を押さえて……!?」
空狐D.png
やたのひめ3.pngやたのひめ
「この『忌避せし力』……」
やたのひめ1.pngやたのひめ
「もう二度と使うことは無いと
 思っていたけれど……!!」
空狐
「み、右腕が痛いのですか!?
 ちょっと見せてくだ……」
空狐E.png
空狐
「……あっ!?」
空狐D.png
やたのひめ4.pngやたのひめ
「あっ……空狐が石につまずいて……」
空狐
(ゴゴゴゴ……!)」
空狐F.png
やたのひめ4.pngやたのひめ
「手に持っていた仮面を
 かぶってしまった……」
やたのひめ1.pngやたのひめ
「“空狐がまた暴走するかも”っていう
 白峯の今朝の予言……」
やたのひめ3.pngやたのひめ
「やはり見事に的中したようね。」
空狐
「オロカナルニンゲンドモヨ……!」」
空狐F.png
やたのひめ1.pngやたのひめ
「さて……」
やたのひめ5.pngやたのひめ
「……逃げよ。」
暴走した空狐によって庭は滅茶苦茶になりましたが、
 みんなで『避難』したので庭の式姫たちは無事でした。

みんな友達!(いすずひめの思い出)

折りたたみ
孫麗
「むうー、これは手ごわいなあ……」
孫麗A.png
いすずひめ1.pngいすずひめ
「やっほー孫麗! どうしたの?
 難しい顔で地図眺めちゃって」
孫麗
「あ、いすずひめ。」
孫麗B.png
いすずひめ2.pngいすずひめ
「悩み事があるなら何でも言って!
 私にできることなら力になるよ!」
孫麗
「んーでもこの話は相談されても
 困るんじゃないかなーって……」
孫麗C.png
いすずひめ1.pngいすずひめ
「そんな水くさいこと言わずにさ!」
いすずひめ1.pngいすずひめ
「大事な友達なんだから、
 孫麗の悩みは私の悩みだよ!」
孫麗
「……うん、そうだね! 友達だもんね!」
孫麗D.png
いすずひめ2.pngいすずひめ
「そうだよ!」
いすずひめ1.pngいすずひめ
「孫麗が悩むっていう事は、やっぱり
 「冒険」」に関すること?」
孫麗
「実はそうなんだー。
 今度、東の方にある「鬼ヶ島」っていう
 島を探検しようと思ってるんだけど――」
孫麗A.png
いすずひめ3.pngいすずひめ
「あ、知ってる!
 あの鬼がたくさん住んでる島ね。」
孫麗
「そうそう、あの島だよ。」
孫麗E.png
孫麗
「それで、あそこ攻略する為にはいくつかの
 難関を越えなきゃいけないんだよね。」
孫麗C.png
いすずひめ1.pngいすずひめ
「へー、それって、どういう難関?」
孫麗
「まず、島へ辿り着く為には潮の流れの速い
 海を渡らないといけないんだけど――」
孫麗A.png
孫麗
「そこを渡れるだけの腕を持つ船頭さんが
 見つからないんだよねー……」
孫麗C.png
いすずひめ2.pngいすずひめ
「あ! それなら友達にすごく腕の良い
 船頭さんがいるよ!
 頼んでみよっか?」
孫麗
「えっ、ホント? 助かるよ!」
孫麗E.png
いすずひめ1.pngいすずひめ
「うん! 他には?」
孫麗
「それとね、あの島は地形が入り組んでるん
 だけど、詳しい地図もないから迷わずに
 探検できるかどうか……」
孫麗A.png
いすずひめ2.pngいすずひめ
「あ! それならあの島の地形に詳しい
 友達がいるから、道案内してもらえる
 よう、頼んでみよっか?」
孫麗
「そ、そんな人まで友達にいるんだ。」
孫麗F.png
孫麗
「まあでも、そういう人が付いてきてくれると
 心強いかな!」
孫麗G.png
いすずひめ2.pngいすずひめ
「うん!
 これであの島を攻略できそう?」
孫麗
「うーん、あとひとつ。」
孫麗C.png
孫麗
「実はこれが今回いちばんの
 難関なんだけど――」
孫麗A.png
孫麗
「あの島にはすっごく凶暴な物怪の
 「一つ目入道」が棲んでいるらしいんだ。」
孫麗A.png
孫麗
「あいつに立ち向かえるくらい腕の立つ人が
 何人も居ないと――」
孫麗A.png
いすずひめ3.pngいすずひめ
「あ、それもきっと大丈夫だよ!」
孫麗
「も、もしかして腕の立つ友達も
 おおぜい呼んでくれる、とか?」
孫麗F.png
いすずひめ1.pngいすずひめ
「ううん! そうじゃなくって――」
いすずひめ2.pngいすずひめ
「その一つ目入道さんも、私の友達なの!」
いすずひめ2.pngいすずひめ
「「孫麗が来ても襲わないように」って
 お願いしとくよ!」
孫麗
「……え、えぇー……!?」
孫麗H.png
ひょっとして、いすずひめに頼めば行けない場所など無いのではないか――
などと思ってしまう、孫麗でした。

昼の顔と夜の顔(天羽々斬の思い出)

折りたたみ
天羽々斬1.png天羽々斬
「ええと、明日はこっちの屋敷で、
 あさってはあっちの広場で……、と」
仙狸
「天羽々斬殿、わっちに何か用があると
 聞いて来たのじゃが……」
仙狸D.png
仙狸
「ふむ? 筆など執って
 何を記しておるのじゃ?」
仙狸C.png
天羽々斬1.png天羽々斬
「仙狸さん。
 良い所においでくださいました。
 これをご覧下さい。」
仙狸
「これは……何かの予定表のようじゃが?」
仙狸D.png
天羽々斬1.png天羽々斬
「ええ、そうです。」
天羽々斬1.png天羽々斬
「私、あちこちのお家で
 『子守』のお仕事を引き受けておりまして。
 これはその予定表です」
仙狸
「むむ、なんと……! ほぼ毎日、
 ぎっしり予定が詰まっておるではないか。」
仙狸E.png
仙狸
「これほど毎日子供達の相手をして、
 大変ではないのか?」
仙狸F.png
天羽々斬1.png天羽々斬
「いいえ全然。」
天羽々斬2.png天羽々斬
「私にとって、無邪気な子供たちと
 共に過ごす時ほど満たされた時間は
 ありませんから!」
仙狸
「ふーむ、お主の「子供好き」は、
 相変わらずじゃのう。」
仙狸D.png
仙狸
(ちと行き過ぎなような気もするがの……)
仙狸F.png
仙狸
「それで、わっちに用とは?
 この子守の予定に関することかの?」
仙狸D.png
天羽々斬1.png天羽々斬
「はい。
 実は今度、子供達に色々なお話を
 聞かせてあげようかと思っておりまして。」
仙狸
「ほう?」
仙狸C.png
天羽々斬1.png天羽々斬
「もしよろしければ、子供達に大人気だと
 評判の仙狸さんの昔話を
 聞かせてやって欲しいのです。」
仙狸
「ふむ、そういうことなら是非もない。」
仙狸D.png
仙狸
「わっちの話で良いなら、
 いくらでも聞かせてやろうぞ。」
仙狸B.png
天羽々斬2.png天羽々斬
「ありがとうございます!
 子供達も、きっと喜びますよ。」
仙狸
「だと良いの。」
仙狸B.png
仙狸
「……おや?」
仙狸C.png
仙狸
「この予定表によると、この日の夜にも
 予定が入っておるようじゃが、これは?」
仙狸C.png
天羽々斬1.png天羽々斬
「ああ、
 そっちは『子守』の予定ではなく――」
天羽々斬
(シュン!)
天羽々斬A.png
仙狸
「!?」
仙狸E.png
天羽々斬
「『暗殺』のお仕事の予定ですよ。」
天羽々斬A.png
仙狸5.png仙狸
「い、いつの間に背後に……!」
天羽々斬
「もちろん、標的は子供達を泣かすような
 超極悪人に限りますけれどね。」
天羽々斬A.png
仙狸6.png仙狸
「むむ……わっちが気配さえ見失うとは、
 恐るべき身のこなし……
 さすがは天羽々斬殿じゃな。」
天羽々斬
「ふふ、これしきの動きができなければ、
 暗殺の仕事は務まりませんからね。」
天羽々斬A.png
天羽々斬
「――はっ!?
 あそこを歩いているのは!!」
天羽々斬B.png
白兎3.png白兎
「~♪」
天羽々斬
「白兎ちゃんだー!」
天羽々斬C.png
白兎5.png白兎
「!?」
天羽々斬
「お願い抱っこさせてー♪
 逃げないでー♪」
天羽々斬C.png
仙狸7.png仙狸
「……………………。」
仙狸1.png仙狸
「コレさえなければ
 『優しくて格好良いお姉さん』
 なんじゃがのう…………」
恐るべき身のこなしで白兎を追いかけ回す天羽々斬に、
 なんだかとても残念な気持ちになる、仙狸なのでした。

こうみえても(くらかけみやの思い出)

折りたたみ
くらかけみや1.pngくらかけみや
「………」
バステト
「あたしの魂を聴きやがれー!」
バステトA.png
バステト
「お、そこのネコ!
 あたしの魂の音楽を聴いていきやがれー!」
バステトB.png
くらかけみや1.pngくらかけみや
「………(こくん)」
バステト
「いくよーっ!」
バステトA.png
バステト
(ギャギャギャギューンギューン!!!)
バステトC.png
くらかけみや1.pngくらかけみや
「………」
バステト
「うおおー!」
(ギャギャギャギャーン!!!)
バステトD.png
くらかけみや1.pngくらかけみや
「………」
バステト
(こ、こいつのこの無反応……)
バステトE.png
バステト
(……あたしの魂の演奏が、
 こいつの魂には響いていないのか!?)
バステトE.png
おつの
「あれーなんかすっごく賑やかだなーって
 思ったらバステトちゃんが演奏してたんだ
 ねー!やっぱり激しくてカッコいーね!」
おつのD.png
バステト1.pngバステト
「おつの!」
バステト2.pngバステト
「でも、こいつにはあたしの魂が
 届いてないみたいなんだ……!」
バステト2.pngバステト
「もしかしてこいつには……」
バステト1.pngバステト
「「魂」が、無いのかっ!?」
くらかけみや1.pngくらかけみや
「………」
おつの
「あーくらかけみやちゃんに
 聴かせてあげてたんだねー!」
おつのD.png
おつの
「大丈夫だよ!
 ちゃんと、バステトちゃんの魂の音は
 届いてるよ!」
おつのD.png
バステト1.pngバステト
「わ、わかるのか……?」
おつの
「ほら尻尾をよーくみて?
 左右にゆっくり揺れてるでしょー?」
おつのD.png
くらかけみや1.pngくらかけみや
「………(ゆらゆら)」
バステト
「あ、ああ……」
バステトA.png
おつの1.pngおつの
「この尻尾の動きはね、
 くらかけみやちゃんが
 喜んでる時の癖なんだよー!」
バステト
「そ、そうなのか……?」
バステトF.png
くらかけみや1.pngくらかけみや
「………(ゆらゆら)」
バステト
「よ、よーしそれなら改めて――」
バステトA.png
バステト
「あたしの魂を! 聴きやがれー!」
(ギャギャギャギューンギューン!!!)
バステトC.png
おつの
「ほらみてみて!
 くらかけみやちゃんの尻尾が!」
おつのD.png
くらかけみや2.pngくらかけみや
「………(びしびしびしびしびし!)」
バステト
(ギャギャギャギャーン!!)
バステトC.png
くらかけみや2.pngくらかけみや
「………(びしびしびしびし!!)」
バステト
「ふー……」
バステトG.png
バステト
「くらかけみや!
 あんたも良い「魂」を
 持ってるみたいだな!」
バステトH.png
くらかけみや3.pngくらかけみや
「…………(ゆらゆらー)」
魂と魂を響かせあった、
くらかけみやとバステトなのでした。

愛深きゆえに(鈴鹿御前の思い出)

折りたたみ
鈴鹿御前1.png鈴鹿御前
「ふう……洗濯物も干しましたし、
 玄関の掃除も終えていますし……」
鈴鹿御前2.png鈴鹿御前
「次は昼食の準備かしらね。」
座敷童子
「鈴鹿さん、こんにちはっ!」
座敷童子A.png
鈴鹿御前2.png鈴鹿御前
「あらこんにちは、座敷童子。
 今日も元気そうね」
座敷童子
「はいっ、元気ですっ!」
座敷童子B.png
座敷童子
「ボクがこんなに元気なのは、
 鈴鹿さんのおかげなんですよっ!」
座敷童子B.png
鈴鹿御前3.png鈴鹿御前
「私の? どうしてかしら。」
座敷童子
「鈴鹿さんは、いつもここの家事を完璧に
 こなしてくれてますよね?」
座敷童子A.png
鈴鹿御前4.png鈴鹿御前
「ええ、ここはあの人が帰ってくる
 場所ですもの。いつでも迎えられる
 ようにしておかないと♡」
座敷童子
「ボクは『家』に憑く付喪神なので、
 鈴鹿さんがそうやって家を守ってくれる
 おかげで力を保っていられるんですっ!」
座敷童子A.png
鈴鹿御前2.png鈴鹿御前
「そう……それはよかったわ。」
鈴鹿御前2.png鈴鹿御前
「それなら、この庭が物怪に
 荒らされることなく平和なのも――」
鈴鹿御前2.png鈴鹿御前
「「幸福を呼び込む式姫」と云われる
 あなたが居るおかげかもしれないわね。」
座敷童子
「そ、そんなー! ボクにはそんなに
 大きな力はありませんよー。」
座敷童子C.png
座敷童子
「せいぜい、その家の住人にささやかな
 幸運を運べるくらいですからっ!」
座敷童子C.png
鈴鹿御前3.png鈴鹿御前
「ささやかな幸運……
 例えばどんなことかしら?」
座敷童子
「うーん、そうですね……
 あっそうだ!」
座敷童子A.png
座敷童子
「昨日の夜、○○さんとふたりで
 お庭を散歩していた時のこと
 なんですけど……」
座敷童子A.png
鈴鹿御前5.png鈴鹿御前
「!!!」
座敷童子
「なんと、
 カラスウリの花を見つけたんです。」
座敷童子B.png
座敷童子
「夜の間にしか咲かない
 とっても珍しい花なんですよっ!」
座敷童子B.png
鈴鹿御前6.png鈴鹿御前
「……二人きりで夜の散歩……」
座敷童子
「えっ?」
座敷童子D.png
鈴鹿御前6.png鈴鹿御前
「そう……あの人……」
座敷童子
「……あっ! いやでもそのっ……」
座敷童子E.png
座敷童子
「お互いひとりでお散歩してたら、
 たまたま出会っただけで……」
座敷童子C.png
鈴鹿御前6.png鈴鹿御前
「私の知らない所で……」
鈴鹿御前7.png鈴鹿御前
「若い式姫の子に
 手を出して……!!!」
座敷童子
(あわわわ……!
 ボク、ひょっとして……)
座敷童子E.png
座敷童子
(○○さんに、
 「不幸」を運んじゃった……?)
座敷童子E.png
座敷童子
「ち、違うんです鈴鹿さーん!
 誤解なんですー!!」
座敷童子C.png
その夜、○○の部屋の机には
一通の置き手紙が置いてあり、そこにはただ一言、こう書いてありました。

「あなた、信じていますからね?」

からかい上手(かぶきりひめの思い出)

折りたたみ
古椿
「うーむ、
 どうにもヒマでありますねー 」
古椿A.png
太郎坊G.png太郎坊
「よんよ~ん♪」
古椿
「お、あそこに居るのは
 タロちゃんでありますね」
古椿A.png
古椿
「ここはひとつ、
 イタズラを仕掛けてやるであります!」
古椿B.png
古椿
「背後から近づいて……」
古椿A.png
古椿
「わッ!!
 であります!」
古椿B.png
太郎坊1.png太郎坊
「……ん?
 古椿、いったい何をやっているのだよん?」
古椿
「あ、あれ……?」
古椿C.png
太郎坊1.png太郎坊
「変な古椿だよん。もう行くよん?」
古椿D.png古椿
「平然とした様子で向こうへ
 行ってしまったであります……」
古椿D.png古椿
「おかしい……怖がり屋のタロちゃんなら
 「ぎゃああ!」などと声を上げて
 驚くはずなのでありますが……」
太郎坊
「古椿、何ひとりでブツブツ
 呟いているんだよん?」
太郎坊F.png
古椿5.png古椿
「ぎゃああ!」
太郎坊
「う、後ろから声を掛けただけなのに、
 なに大げさに驚いてるんだよん。
 びっくりするんだよん」
太郎坊D.png
古椿7.png古椿
「た、タロちゃん!?
 でもさっき向こうへ歩いて……」
太郎坊
「なに意味不明なこと
 言ってるんだよん?」
太郎坊A.png
太郎坊
「いつにも増して変な古椿だよん。
 もう行くよん?」
太郎坊G.png
古椿
「タ、タロちゃんがふたり……!?
 いったいどういうことでありますか……?」
古椿8.png
古椿1.png古椿
「本当であります。
 いたいどういうことでありますか……?」
古椿
「全くおかしなことも
 あるものでありますよねえ……」
古椿8.png
古椿
「……ん?」
古椿A.png
古椿1.png古椿
「……ん?」
古椿
「ぎゃああああああ!?」
古椿E.png
古椿
「こ、この私までもうひとり
 いるでありまーす!?!?」
古椿E.png
古椿1.png古椿
「うふふふ……」
古椿
「!?」
古椿E.png
かぶきりひめ1.pngかぶきりひめ
「(ドロン!)」
かぶきりひめ2.pngかぶきりひめ
「正体は私でしたー♪」
古椿
「へ、変化の術で化けた
 かぶきりひめでありましたか!」
古椿E.png
かぶきりひめ3.pngかぶきりひめ
「うふふ、ゴメンね?
 退屈そうにしてたから、
 ついイタズラしたくなっちゃった♡」
古椿
「むむむ! 変化の術を悪用して
 人を驚かそうなんて、ひどいであります!」
古椿F.png
かぶきりひめ4.pngかぶきりひめ
「あら? 古椿ちゃんも太郎坊ちゃんに
 化けた私を驚かせようとして
 なかったかしら?」
古椿
「…………」
古椿G.png
かぶきりひめ3.pngかぶきりひめ
「イタズラしようとしたのはそっちが
 先なんだから、おあいこよね?」
古椿
「……返す言葉も無いでありまーす……」
古椿H.png
かぶきりひめ2.pngかぶきりひめ
「うふふ♪ それじゃお詫びのしるしとして、
 美味しいお茶を淹れたわよ。
 どうぞ!」
古椿
「お茶でありますか……?」
古椿D.png
古椿
「この古椿様の繊細な心が
 お茶の一杯くらいで
 癒されるなどと……!(ずずっ……)」
古椿A.png
古椿
「!!
 こ、これは……」
古椿E.png
古椿
「なんと美味いお茶でありますか!」
古椿B.png
かぶきりひめ5.pngかぶきりひめ
「うふふ……飲んじゃったわね?
 古椿ちゃん……」
古椿
「!?」
古椿E.png
かぶきりひめ5.pngかぶきりひめ
「そのお茶も私の術で見た目を
 欺いたもの……
 本当の中身は……」
古椿
「ぎゃああ! 何か変なものを
 飲まされてしまったでありまーす!」
古椿F.png
かぶきりひめ3.pngかぶきりひめ
「……なーんてね♪
 うそうそ、冗談よ♡」
古椿
「…………」
古椿C.png
古椿
「ほ、本当でありますか……?
 また古椿を騙してたり
 しないでありますか……?」
古椿C.png
かぶきりひめ2.pngかぶきりひめ
「うふふ、ごめんごめん。
 あんまり無防備だから、もう少しだけ
 からかいたくなっちゃっただけよ♡」
かぶきりひめ2.pngかぶきりひめ
「そのお茶は私がちゃーんと心を込めて
 淹れた普通のお茶。本当よ♪」
古椿
「……そういえば、かぶきりひめの淹れた
 お茶を飲むと幸せになれる、という噂、
 聞いたことあるでありますね。」
古椿A.png
古椿
「これがそのお茶でありますか……」
古椿A.png
かぶきりひめ3.pngかぶきりひめ
「ホラ、おかわりもあるから、
 たくさん飲むといいわよ♪」
古椿
「(ま……また何か騙そうとしているような
 気がするのでありまーす……)」
古椿C.png
古椿のそんな一抹の不安さえすぐに忘れさせてしまうくらい、
かぶきりひめの淹れたお茶はとても美味しかったのでした。

それぞれの場所(おつのの思い出)

折りたたみ
おつの1.pngおつの
「♪~」
かるら
「あ! いたいた、おつのちゃん!
 グッドニュースですよー♪」
かるらA.png
おつの2.pngおつの
「ん? どうしたの? かるらちゃん」
かるら
「私たちアイドルユニット「暴れん坊天狗」の
 次の公演開催が決定しちゃいました♪」
かるらB.png
おつの3.pngおつの
「あ!ついに決まったんだー!
 やったー!楽しみだねー!」
かるら
「この公演も私の笛の音でファンのみんなの
 心をどんどん浄化しちゃいますよ~♪」
かるらC.png
おつの3.pngおつの
「私もあば天のメインMCとして、今回も
 曲の合間に喋って喋って喋りまくるよ!」
天狗
「お待ちなさいな!」
天狗F.png
おつの2.pngおつの
「天狗ちゃん!?」
天狗
「この公演では、おつのに代わって……」
天狗F.png
天狗
「このわたくしが、メインMCを務めますわ!」
天狗F.png
かるら1.pngかるら
「ええっ! 急にどうしたの? 天狗ちゃん」
天狗
「かるらはファンの心を癒す笛の音色――」
天狗F.png
天狗
「おつのはファンのテンションを盛り上げる
 マシンガントーク――」
天狗F.png
天狗
「しかしわたくしには、そういう
 ユニット内での立ち位置がありませんの!」
天狗A.png
かるら2.pngかるら
「そ、そんなことないですよー」
おつの4.pngおつの
「うーん……」
おつの1.pngおつの
「いいよー! 次の公演のメインMCは
 天狗ちゃんで行こう!」
天狗
「ず、随分と軽いノリですわね……。」
天狗G.png
おつの1.pngおつの
「だってー」
おつの1.pngおつの
「天狗ちゃんの言うとおり、コンサートじゃ
 いつも喋り出したら自分でも止められなく
 なって私がずっと喋っちゃうもんねー」
おつの1.pngおつの
「だから天狗ちゃんもファンのみんなに伝えた
 い事があるならどんどん伝えちゃう方がファ
 ンも喜んでくれると思うんだーきっと」
天狗
「…………」
天狗E.png
おつの5.pngおつの
「でもひとつだけいわせて?天狗ちゃん。」
天狗
「な、なんですの?」
天狗C.png
おつの5.pngおつの
「天狗ちゃんはあば天での立ち位置がないって
 いうけど、そんな事ぜったいにないよ!」
おつの5.pngおつの
「だって天狗ちゃんには私にもかるらちゃんに
 もない魅力があってそれはあば天になくちゃ
 ならないもので私やかるらちゃんじゃ代わり
 になれないものだもん、だって」
天狗
「……ちょ……」
天狗D.png
おつの5.pngおつの
「例えば天狗ちゃんのそのグイグイ攻めて
 いく姿勢とかちょっととんがった性格とかって
 わたしやかるらちゃんには全然ないし、まして
 や天狗ちゃんは天狗ちゃんの持ち味を」
天狗
「ちょ、ちょっとおつの! わかったですの!
 だからストップ、ストーップ!!」
天狗D.png
おつの6.pngおつの
「……?」
天狗
「…………」
天狗B.png
天狗
「……やっぱりわたくし、
 メインMCは遠慮しておきますわ」
天狗B.png
おつの7.pngおつの
「あれ? どうして?」
天狗
「今のマシンガントークを聞いてると、やっぱり
 わたくしにはその役目は務まらない気がして
 参りましたの。」
天狗B.png
おつの5.pngおつの
「えーそんなことないよーファンのみんなだって
 天狗ちゃんのMCきっともっとたくさん聞きたい
 って思ってるよーたぶん絶対まちがいなく」
天狗
「それに、貴方の言うとおりですしね。」
天狗F.png
おつの2.pngおつの
「え?」
天狗
「おつのはおつの。かるらはかるら。
 わたくしはわたくし。」
天狗F.png
天狗
「わたくしはわたくしとしてステージに立てば
 いいのであって、何も、おつのの居る場所に
 わたくしが立つ必要などなかったのですわ」
天狗F.png
かるら3.pngかるら
「うん、そうですね! 3人それぞれ違う
 色彩あっての「暴れん坊天狗」ですから!」
天狗
「でもおつの!」
天狗A.png
天狗
「やっぱりあなたはちょっと喋りすぎですわよ!
 次のコンサートでは少し自重するですの!」
天狗A.png
おつの3.pngおつの
「あははー! うん、次のコンサートでは
 なるべく善処するよー!」
でもやっぱり、この時の公演でもお喋りが止まらず
天狗に怒られてしまった、おつのなのでした。

おゆきと雪遊び(おゆきの思い出)

折りたたみ
狛犬
「うおおーん!
 ごめんなさいッスー!」
狛犬C.png
コロボックル
「アレ? 狛犬がなんか
 叫びながら逃げてったヨ。」
コロA.png
おゆき1.pngおゆき
「こらーっ!
 逃げるなバカ狛犬!!」
コロボックル
「あ、今度はおゆきが走って来タ。」
コロA.png
おゆき1.pngおゆき
「……ああもう! 見失った!」
おゆき1.pngおゆき
「あ、コロボックルちゃん。
 バカ狛犬を見なかった?」
コロボックル
「狛犬なら向こうの方へ
 スゴイ速さで消えてったヨ。」
コロA.png
おゆき2.pngおゆき
「まったく相っ変わらず
 逃げ足の速い……!」
コロボックル
「おゆき、何かあったノ?」
コロA.png
おゆき1.pngおゆき
「聞いてよコロボックルちゃん!」
おゆき1.pngおゆき
「あのバカ狛犬ったら、
 また辺り構わず突撃して、この庭の壁を
 壊しちゃったのよ。」
おゆき1.pngおゆき
「帰ってきたらお仕置きとして
 氷漬けの刑だわ!」
コロボックル
「……。」
コロF.png
コロボックル
「なんだかおゆきって、いつも狛犬と
 仲良く遊んでるネ!」
コロE.png
おゆき3.pngおゆき
「べ、別に遊んでるわけじゃ
 ないわよ!」
おゆき2.pngおゆき
「アイツったらいっつもこの庭で
 面倒事を起こすんだもの。
 目を離しておけないだけよ。」
コロボックル
「じゃあ、たまにはコロとも
 遊んで欲しいナ!」
コロC.png
コロボックル
「おゆきの側に居るとコロの
 故郷に居るみたいデ、
 元気が出るんだヨ!」
コロC.png
おゆき4.pngおゆき
「ああ、そういえばコロボックルちゃんの
 故郷ってかなり北の方の土地だったわね。」
コロボックル
「そうだヨ! 冬になると
 辺り一面猛吹雪で氷漬け!」
コロE.png
コロボックル
「おゆきが狛犬と遊んでる時みたい
 にネ!」
コロC.png
おゆき1.pngおゆき
「だから別に遊んでるわけじゃ
 ないって!」
コロボックル
「でもおゆきも
 『氷漬けコレクションが増えたわ!』トカ
 言って、スッゴク楽しそうに見えたヨ?」
コロE.png
おゆき3.pngおゆき
「うっ……! あんた結構
 痛い所を突いてくるわね……」
コロボックル
「だからサ、コロもおゆきと
 雪遊びしたいんだヨ!」
コロE.png
コロボックル
「コロなら氷漬けにされたって
 全然平気だヨ!」
コロC.png
おゆき5.pngおゆき
「し、しないわよそんなこと。」
おゆき5.pngおゆき
「あれはそのとき気に入ったものを
 少しの間そばに留めておきたい
 だけで……」
コロボックル
「ソレじゃあ狛犬は、
 いつもおゆきのお気に入り?」
コロA.png
おゆき3.pngおゆき
「ち、ちがっ!
 そういうことじゃなくて……!」
コロボックル
「コロもおゆきの「お気に入り」に
 なりたいナー! そしたら一緒に
 雪遊びしてくれル?」
コロE.png
おゆき2.pngおゆき
「……もう。氷漬けにならなくたって
 ちゃんと遊んであげるわよ。」
コロボックル
「ほんと? ヤッター♪」
コロC.png
おゆき6.pngおゆき
「それと、あんたにも私の氷漬け
 コレクションも見せてあげるわ。」
おゆき7.pngおゆき
「バカ狛犬が帰ってきたら、
 あいつの氷漬けも追加ね!」
こうして庭一面に真っ白な雪を降らせて一緒に雪遊びを楽しんだ、
おゆきとコロボックルなのでした。

姉からの試練(膝丸の思い出)

折りたたみ
膝丸1.png膝丸
「ふわ~ん! お姉ちゃあああああん!」
髭切
「どうしました? 膝丸」
髭切A.png
膝丸1.png膝丸
「あそこっ!
 あそこの壁に大きなトカゲが!」
髭切
「……ただのヤモリじゃないですか。
 別に噛み付いたりしませんよ」
髭切D.png
膝丸2.png膝丸
「でっ、でも……」
髭切
「……」
髭切D.png
髭切
「まったく……膝丸、あなたは少し
 臆病が過ぎるのでは?」
髭切C.png
膝丸2.png膝丸
「だ……だってえお姉ちゃん……」
膝丸2.png膝丸
「怖いものは……
 やっぱり怖いんだもん……」
髭切
「ふーむ……」
髭切H.png
髭切
(妹はどうしてこれほど臆病な性格に
 育ってしまったのか……)
髭切H.png
髭切
(もしや……私のせい?)
髭切A.png
髭切
(可愛い妹に頼りにされるのが嬉しくて、
 つい甘やかしてしまったのかも……)
髭切B.png
膝丸3.png膝丸
「ど……どうしたの? お姉ちゃん」
髭切
「膝丸……私は決心しました」
髭切C.png
髭切
「○○さんにお願いして、
 私はしばらく遠くへおでかけに
 出ようかと思います。」
髭切G.png
膝丸4.png膝丸
「へ……?」
膝丸5.png膝丸
「そ、それじゃあ私も
 お姉ちゃんと一緒に……」
髭切
「いいえ膝丸。
 あなたはこの庭でお留守番です。」
髭切G.png
髭切
「私が居ない間にもし何かが起こっても、
 自分一人の力で解決するのです!」
髭切G.png
膝丸4.png膝丸
「え……」
膝丸6.png膝丸
「ええええ~!?」
膝丸1.png膝丸
「やだああ!
 お姉ちゃんが居ないなんてやだあああ!」
膝丸1.png膝丸
「私も一緒に連れてってええ~!」
髭切
(そう……いつかこの先、私と離れ離れに
 なってしまうこともあるかもしれない……)
髭切G.png
髭切
(そんな日が来た時のためにも、
 ここは心を鬼にして……!)
髭切B.png
髭切
「ダメです! このおでかけに、
 あなたを一緒に連れては行けません!」
髭切B.png
膝丸2.png膝丸
「ううう~……」
髭切
「……大丈夫。たとえ遠く離れていても、
 私の魂はいつだってあなたの側に居ます」
髭切G.png
髭切
「強き心を持つのです、膝丸。」
髭切G.png
膝丸4.png膝丸
「お姉ちゃん……」
膝丸4.png膝丸
(そう……お姉ちゃんはいつだって
 私のことを一番に思ってくれてる……)
膝丸4.png膝丸
(この厳しさも、
 私の為を思えばこそ……!)
膝丸5.png膝丸
「分かったよ、お姉ちゃん――」
膝丸7.png膝丸
「私、お姉ちゃんが側に居ない間も……
 ひとりで立派に歩んで見せるよ!」
髭切
「そう! その意気です!」
髭切E.png
髭切
「達者でやるのですよ、膝丸……」
髭切E.png
3日後に髭切がおでかけから帰ってくると、
そこにはほんのちょっぴりだけ成長した
膝丸の姿があったのでした。

葛の葉のお遊び(葛の葉の思い出)

折りたたみ
古椿
「うーむ、
 どうにもヒマでありますねー」
古椿A.png
太郎坊G.png太郎坊
「よんよ~ん♪」
古椿
「お、あそこに居るのは
 タロちゃんでありますね」
古椿A.png
古椿
「今度こそ、タロちゃんにイタズラして
 ヒマ潰しするでありまーす♪」
古椿B.png
葛の葉1.png葛の葉
「あら、そこで何をしているのかしら?」
古椿
「げっ!
 く、葛の葉どの……!」
古椿E.png
葛の葉2.png葛の葉
「人の顔をみて「げっ」だなんて、
 ご挨拶ねえ。」
葛の葉2.png葛の葉
「ええと……」
葛の葉1.png葛の葉
「『羽虫』だったかしら?
 あなたの名前。」
古椿
「『古椿』!
 古椿であります!」
古椿F.png
葛の葉2.png葛の葉
「古椿……?
 なんだかしっくりこないわねえ。」
葛の葉1.png葛の葉
「『羽虫』に改名しなさい。
 その方がよく似合っているわ」
古椿
「似合いたくないであります!」
古椿F.png
葛の葉1.png葛の葉
「ふうん……
 ところであなた、いまヒマよね?」
古椿
「えっ?」
古椿E.png
葛の葉2.png葛の葉
「私もちょうど今、
 少し退屈してたところなのよねえ……」
古椿
「ええと……この古椿、ちょっと大事な
 用事を思い出したでありまーす!」
古椿G.png
葛の葉3.png葛の葉
「お待ちなさいな」
古椿
(ぎくっ!)
古椿G.png
葛の葉1.png葛の葉
「あなた、」
葛の葉1.png葛の葉
「今、」
葛の葉1.png葛の葉
「ヒマよね?」
古椿
「……ハイ……
 古椿はヒマでありまーす……」
古椿H.png
葛の葉1.png葛の葉
「そう。良かったわ」
葛の葉1.png葛の葉
「それじゃあ、あなた――」
葛の葉1.png葛の葉
「何か面白いことやってみて?」
古椿
「無茶ブリであります!!」
古椿E.png
葛の葉4.png葛の葉
「あら何故かしら?」
葛の葉1.png葛の葉
「いつもあちこちちょっかい出して
 痛い目に遭っているあなたは
 見ていて面白いわよ?」
葛の葉1.png葛の葉
「とても滑稽で。」
古椿
「あれは別にギャグでやってるわけじゃ
 ないであります!」
古椿E.png
葛の葉5.png葛の葉
「何よ、できないの?
 つまらないわねえ。」
古椿
「そ、そう言うなら葛の葉どのが
 何か面白いことをやってみるで
 あります!」
古椿A.png
葛の葉6.png葛の葉
「私が?」
葛の葉1.png葛の葉
「いいわよ。今からあなたに対して、
 とっても面白い事をしてあげる。」
葛の葉1.png葛の葉
「それじゃあ――」
葛の葉1.png葛の葉
「「赤く染まるやつ」と
 「赤く腫れるやつ」……」
葛の葉1.png葛の葉
「どちらがよいかしら?」
古椿
「どっちもイヤであります!
 どっちも絶対面白くないやつで
 あります!」
古椿E.png
葛の葉1.png葛の葉
「ばかねえ、
 すごく面白いに決まってるじゃない。」
葛の葉7.png葛の葉
「私が♥」
古椿
「やっぱり
 そうなるでありますかー!」
古椿E.png
葛の葉7.png葛の葉
「ふふふ、やっぱり見ていて
 面白いわねえ」
葛の葉7.png葛の葉
「羽虫は。」
古椿
「古椿!
 古椿でありまーす!」
古椿F.png
そのドSっぷりで古椿を散々振り回して
存分にヒマつぶしを楽しんだ、
葛の葉なのでした。

真面目な夜摩天(夜摩天の思い出)

折りたたみ
夜摩天1.png夜摩天
「闇冥姫ちゃん!」
闇冥姫
「あ、夜摩天さん!
 どうしたのー?」
闇冥姫A.png
夜摩天1.png夜摩天
「あなたが先日あの世へ
 送った魂、また人違いでしたよ!」
闇冥姫
「あれー? また間違えたー?
 エヘヘー!」
闇冥姫A.png
夜摩天2.png夜摩天
「魂を現世に還すのも一苦労なん
 ですから、しっかりして下さい」
夜摩天1.png夜摩天
「それと龍神さん!」
龍神
「うむ?」
龍神A.png
夜摩天1.png夜摩天
「居間のタンスを
 勝手に漁らないように!」
龍神
「む……勇者でもダメなのか?」
龍神B.png
夜摩天1.png夜摩天
「勇者でもダメです!」
夜摩天1.png夜摩天
「あと閻魔!」
閻魔
「んー……?」
閻魔A.png
夜摩天1.png夜摩天
「あなた○○さんに
 おつかいを頼まれていたはずでしょう!」
閻魔
「あー、すっかり忘れてたわー」
閻魔B.png
夜摩天2.png夜摩天
「単に面倒くさかっただけでしょう……」
閻魔
「まあいいじゃーん」
閻魔B.png
閻魔
「あんまり口うるさくしてると
 早く老けちゃうわよー?」
閻魔B.png
夜摩天3.png夜摩天
「なっ……!!」
閻魔
「なんつってー。」
閻魔B.png
閻魔
「じゃーねー」
夜摩天4.png夜摩天
「まったく……」
夜摩天5.png夜摩天
(でも確かに……私はいつも周りに
 ガミガミ怒ってばかり……)
紅葉御前
「あ! 夜摩天、どうしたんだ?
 浮かない顔して」
紅葉御前A.png
夜摩天2.png夜摩天
「紅葉御前さん……私、皆にちょっと
 小言を言い過ぎなのでしょうか……?」
紅葉御前
「ど、どうしたんだ急に。」
紅葉御前B.png
夜摩天2.png夜摩天
「職業柄、不届きや怠慢があるとつい
 口喧しく注意してしまうのですが……」
夜摩天2.png夜摩天
「ここは冥府じゃないですし、
 ひょっとすると皆さんに迷惑がられて
 いるのではないか、と……」
紅葉御前
「んー
 別にそんなことはないと思うけど。」
紅葉御前A.png
夜摩天2.png夜摩天
「閻魔にはよく「口うるさい」とか
 言われるし……」
紅葉御前
「それはまあ、閻魔だしな」
紅葉御前A.png
夜摩天5.png夜摩天
「お料理をしたら「瘴気の塊」とか
 言われるし……」
紅葉御前
(それは、どうしようもないかな)
紅葉御前C.png
夜摩天2.png夜摩天
「私、今みたいに他人の行動に口を
 出すのはやめて、もう少し大人しく
 すべきでしょうか……」
紅葉御前
「夜摩天、
 そんなの全然気にすることないよ」
紅葉御前A.png
夜摩天6.png夜摩天
「そ、そうでしょうか?」
紅葉御前
「みんな夜摩天の言うことを
 迷惑だなんて思ってなんてない」
紅葉御前A.png
紅葉御前
「その証拠に、夜摩天に言われたら
 みんな素直に聞くだろう?」
紅葉御前A.png
紅葉御前
「みんな夜摩天の言うことならきっと
 正しいんだって分かってるからだよ」
紅葉御前A.png
紅葉御前
「……まあ、
 閻魔は例外かもしれないが」
紅葉御前C.png
夜摩天5.png夜摩天
「閻魔は……
 昔からずっとああですね」
紅葉御前
「至らない所をちゃんと指摘してくれる
 人が居るってのはありがたいもん
 なんだよ。」
紅葉御前A.png
紅葉御前
「私みたいな
 ガサツなやつにとっては、特にね。」
紅葉御前A.png
夜摩天6.png夜摩天
「そ、そういうものでしょうか?」
紅葉御前
「ああ、だからこれからもビシバシ
 頼むよ、夜摩天!」
紅葉御前D.png
夜摩天6.png夜摩天
「……」
夜摩天7.png夜摩天
「……はい!」
紅葉御前
「ところでさ……」
紅葉御前C.png
夜摩天8.png夜摩天
「はい?」
紅葉御前
「居間のタンスの建て付けが悪くて
 斧でぶっ叩いたら、
 粉々になっちゃったんだけど……」
紅葉御前C.png
夜摩天1.png夜摩天
「紅葉御前さん!!」
やっぱり自分が皆にしっかり目を配らないと……!
と意を新たにする夜摩天なのでした。

お洒落な鵷鶵(鵷鶵の思い出)

折りたたみ
えんすう1.png鵷鶵
「この前街歩きしてて
 見つけたんだけど、」
えんすう2.png鵷鶵
「ここの近くに、
 新しくお洒落な小物屋ができてたよ。」
おつの
「えー!もしかしてその小物屋って、
 全国各地から珍しい小物が
 集まってる所?」
おつのB.png
おつの
「吉祥天たちが話をしてて、
 ずっと行きたいと思ってたんだー!
 今度一緒にいこうよー。」
おつのA.png
えんすう2.png鵷鶵
「うん、行ってみよう。
 何か良い小物が見つかるといいな!」
おつの
「……」
おつのD.png
えんすう3.png鵷鶵
「……? どうしたの?
 おつのが黙るなんて珍しいね。」
おつの
「鵷鶵っていつもお洒落だなーって
 思わず見惚れちゃったー!」
おつのA.png
おつの
「新しいお洒落なお店全部チェック
 してるし、鳳凰ちゃんも言ってたけど、
 洗練された都会の女性って感じだよね」
おつのD.png
えんすう1.png鵷鶵
「お洒落なものは好きだけど、
 別に普通だよ。」
おつの
「服も小物もきちんと
 トレンド押さえてるし、」
おつのD.png
おつの
「なのに、流行のど真ん中にいますよー
 って雰囲気がなくて、」
おつのD.png
おつの
「さりげなく取り入れてるところが
 すごいよねー!」
おつのA.png
えんすう4.png鵷鶵
「そんなことないと思うけどなー。」
おつの
「ううん! 鵷鶵が変な格好しているの
 見たことないし、」
おつのD.png
おつの
「どんなに忙しくても、
 毎日きちんとしてるよねー。」
おつのA.png
おつの
「毎日近くでお洒落な鵷鶵を見れるのは
 ファッションの参考になって良いけど」
おつのD.png
おつの
「お洒落じゃない鵷鶵って
 どんな感じなんだろーって
 ちょっと考えちゃったー!」
おつのA.png
えんすう5.png鵷鶵
「変な格好って……」
えんすう1.png鵷鶵
「……でも仮装みたいで
 ちょっと新鮮かもね。」
おつの
「でしょー!でも迷うなー。
 どんな格好だと、いつもとちょっと違う
 鵷鶵を見られるかなー、」
おつのD.png
おつの
「うーん、ウィッグとか?
 あはは、それじゃ仮装かー!」
おつのD.png
おつの
「それじゃあやっぱり着物を変えると
 印象変わるのかなー?」
おつのD.png
おつの
「いろんな変わった格好をした
 鵷鶵を見たいけど、」
おつのD.png
おつの
「自分を一番分かっているのは
 鵷鶵本人だから、」
おつのD.png
おつの
「例えば、自分がどんな格好だと
 いつもと違う鵷鶵になりそう?」
おつのE.png
えんすう4.png鵷鶵
「うーん……普段着ないものかー。」
えんすう1.png鵷鶵
「あまりに古くなった着物だと、
 裁断して巾着や小物にして
 再利用してるから、」
えんすう1.png鵷鶵
「ボロボロの着物は着ないかなー。」
おつの
「そうなんだー!
 鵷鶵が持ってる巾着や小物も
 お洒落なのは、」
おつのE.png
おつの
「お洒落な着物を
 再利用していたからなんだねー。」
おつのA.png
おつの
「うーん、ボロボロの着物かー!
 確かに鵷鶵が着ているところ
 見たことないやー」
おつのD.png
おつの
「ちょっと想像してみるね……」
おつのD.png
えんすう1.png鵷鶵
「……」
おつの
「うーん、どんなにボロボロを着せても、
 モデルが鵷鶵だから」
おつのF.png
おつの
「ダメージ加工の古着を生かした
 ビンテージファッションの
 お洒落な鵷鶵になるねー。」
おつのD.png
おつの
「でもこれが狛犬ちゃんをモデルにすると、
 迷子になって一週間くらいさまよって」
おつのE.png
おつの
「ボロボロになった様子って感じで
 違う意味ですごく似合うんだよねー。」
おつのA.png
えんすう4.png鵷鶵
「狛犬ちゃんが一週間迷子か……
 ちょっとありえそう。」
えんすう3.png鵷鶵
「うーん、なら、
 すごく変な形の帽子をかぶるのは?」
おつの
「変な形かー極端に小さい帽子とか
 明らかに帽子の役割を
 果たしていないものとかかなー?」
おつのD.png
おつの
「変な帽子っていろいろあるけど
 例えば吉祥天たちが好きな、」
おつのD.png
おつの
「「骨侍ぬいぐるみ」を使った帽子とか
 どうかなー?」
おつのE.png
おつの
「頭に骨侍の顔がどーんって乗ってるの。」
おつのA.png
おつの
「うーん……
 それでも革のジャケットが似合いそうな、
 ロックなファッションの鵷鶵になるなー。」
おつのD.png
おつの
「それもお洒落だねー。」
おつのA.png
えんすう3.png鵷鶵
「左右違う足袋を履くとか……!」
おつの
「左右違う足袋かー、
 例えば足袋じゃないけど」
おつのD.png
おつの
「片方の足に一反木綿を
 巻き付けるとかどうかなー?」
おつのD.png
おつの
「うーんちょっと包帯みたいだし
 仮装っぽいねー」
おつのF.png
おつの
「でも鵷鶵がやると
 アシンメトリーでダークな雰囲気の
 お洒落になりそうだなー。」
おつのD.png
えんすう1.png鵷鶵
「服や足袋で変えられないなら……」
えんすう2.png鵷鶵
「櫛でといていない
 ボサボサの髪にするとか!」
おつの
「ボサボサの髪ねー。
 例えば山姥みたな感じかなー?」
おつのD.png
おつの
「あはは、それ面白いかもー!」
おつのA.png
おつの
「うーんでもきっとそれでも
 鵷鶵がやると無造作ヘアとか
 寝ぐせ風ヘアって感じで」
おつのE.png
おつの
「あえて整えていない斬新な
 緩めのファッションとして街で
 流行るんだろうなー。」
おつのD.png
おつの
「髪形を変えても鵷鶵は
 お洒落なままだねー。」
おつのA.png
結局どんなに変な格好をしても、
 お洒落になってしまう、鵷鶵なのでした。

笛の音診療所(かるらの思い出)

折りたたみ
かるら4.pngかるら
「~♪~♪」
仙狸
「かるらの笛の音は、いつ聞いても
 美しいのう。心がほっとするわい。」
仙狸D.png
かるら5.pngかるら
「ありがとうございます。
 そう言っていただけると嬉しいです♪」
仙狸
「そういえば、最近よくここで
 笛を吹いているようじゃが……」
仙狸C.png
仙狸
「そんなに練習してるということは、
 「暴れん坊天狗」のライブが近いのか?」
仙狸C.png
かるら5.pngかるら
「ライブの練習はもちろんですが、
 最近は別の理由で吹いていることが
 多いんです!」
仙狸
「別の理由じゃと……?
 それは一体――」
仙狸C.png
狗賓
「かるらさん、こんにちは。
 おや、仙狸さんも煩悩浄化に
 来ていたのですか?」
狗賓B.png
狗賓
「私もまた来てしまいました。
 かるらさん、いつものを
 よろしくお願いします。」
狗賓B.png
かるら5.pngかるら
「はい!お任せください。
 それでは、気持ちを楽にして
 くださいね~。」
かるら4.pngかるら
「~♪~♪」
狗賓
「…………」
狗賓B.png
狗賓
「…………ふぅ。
 おかげで五平餅を食べすぎずに
 済みました。」
狗賓E.png
仙狸3.png仙狸
「……どういうことじゃ?」
狗賓
「最近忙しくて、ついついストレスで
 五平餅を食べ過ぎてしまって……」
狗賓F.png
狗賓
「それを防ぐために、定期的に
 かるらさんに煩悩浄化を
 してもらっているのです。」
狗賓B.png
狗賓
「ありがとうございました。
 またよろしくお願いします」
狗賓A.png
かるら3.pngかるら
「いえいえ、いつも家事などで
 お世話になっていますから♪
 またいつでもいらしてくださいね。」
仙狸
「たしかにかるらの笛の音には
 煩悩浄化の作用があるが……
 定期的にとは――」
仙狸D.png
狛犬
「かるらさーん!
 助けて欲しいッスー!」
狛犬F.png
かるら3.pngかるら
「こんにちは。
 今日はどうされましたか?」
狛犬
「修行を頑張らなきゃいけないのに、
 木の棒を見るとすぐ
 飛びついてしまうッス!」
狛犬B.png
狛犬
「かるらさん、今日もよろしくッス!」
狛犬C.png
かるら5.pngかるら
「はーい♪
 深呼吸してくださいね。」
かるら4.pngかるら
「~♪~♪」
狛犬
「…………」
狛犬E.png
狛犬
「……うぉー!頭がすっきりしたッス!
 かるらさん、
 ありがとうございましたッス!」
狛犬C.png
かるら5.pngかるら
「修行頑張ってくださいね♪」
仙狸
「……もしや、今のような式姫達の
 煩悩浄化をやっているから、
 最近ここでよく笛を吹いておるのか?」
仙狸C.png
かるら5.pngかるら
「はい♪皆さんいろいろと悩みも
 多いみたいで。」
かるら3.pngかるら
「私が力になれることは、
 協力したいのです。」
仙狸
「その気持ちは分らんでもないが……」
仙狸F.png
仙狸
「まったく……まるでここは
 「かるらの笛の音診療所」じゃな。」
仙狸A.png
かるら5.pngかるら
「笛の音診療所ですか……
 なんだか素敵ですね!」
古椿3.png古椿
「これはこれは仙狸殿!
 今日も狸のまんまる尻尾が
 ぽんぽこぽんでありますな!」
仙狸
「じゃから、わっちは狸ではないと
 何度言えば――」
仙狸E.png
古椿3.png古椿
「かるら殿の笛の音と
 狸のぽんぽこ二重奏であります!」
仙狸
「……わ、わっちは猫じゃ……!」
仙狸G.png
かるら3.pngかるら
「お二人とも、落ち着いてください。」
かるら4.pngかるら
「~♪~♪」
仙狸
「…………」
仙狸D.png
古椿1.png古椿
「…………」
仙狸
「……ふぅ。心が静まったようじゃ。
 かるら、礼を言うぞ。」
仙狸A.png
古椿
「……はっ!
 何やらぼーっとしてしまったで
 あります!」
古椿E.png
古椿
「古椿は忙しいので
 これにておさらばであります!」
古椿A.png
仙狸
「ふむ……かるらの笛、
 なかなかに良いな。」
仙狸D.png
かるら3.pngかるら
「仙狸さんも、何かあったら遠慮なく
 ここへ来てくださいね。」
その後も、煩悩浄化をするためにかるらの笛の音を聞きに来る者は、
後を絶えなかったのでした。

地球に関する知識(紫の君の思い出)

折りたたみ
紫の君1.png紫の君
「――ふむ。地球とはどこまでも
 興味深いのう……」
古椿
「やや? これはこれは紫の君!
 何の本を読んでいるでありますか?」
古椿A.png
紫の君2.png紫の君
「おお、古椿。
 これは地球についての本じゃ。」
紫の君1.png紫の君
「地球人の進歩や地球上に存在する
 あらゆる均衡について書いてある。」
古椿
「むむ……ずいぶんと難しそうな本を
 読んでいるでありますな!」
古椿D.png
紫の君3.png紫の君
「うむ。地球人がいかにして
 進歩を遂げたかということや――」
紫の君1.png紫の君
「地球上に存在するエネルギーで
 どのように均衡を
 保っているかなど――」
古椿
「そんなもの読まなくても
 もっと身近な例でこの古椿が
 教えてあげるであります!」
古椿B.png
紫の君1.png紫の君
「ほう、それはありがたい。
 本だけじゃと、ちと難しくてのう。」
古椿
「さっそく式姫達を観察して、
 地球を知るであります!」
古椿A.png
古椿
「まずはタナトス殿を見るであります!」
古椿B.png
紫の君4.png紫の君
「タナトスがどうかしたのか?」
仙狸
「タナトスの部屋は相変わらずの
 散らかりぶりじゃな……」
仙狸F.png
タナトス1.pngタナトス
「書類が多いもので。」
タナトス1.pngタナトス
「でもどこに何があるかは分かるので
 心配要りませんよ。」
仙狸
「そ、そうなのか……?」
仙狸E.png
古椿
「今はあのように、部屋の中は散らかり
 まるで台風の後のようであります。」
古椿A.png
紫の君5.png紫の君
「うむ……
 確かに物が散乱しておるのう。」
古椿
「でも、日が沈むと‥…」
古椿A.png
タナトス2.pngタナトス
「……ん?
 なんだこの散らかった部屋はー!!」
タナトス2.pngタナトス
「ったく、何でこんなに
 物が散乱してるんだ!」
タナトス2.pngタナトス
「仕方ねえから、俺が片づけてやる!」
古椿
「――と、あのように
 夜は自ら掃除を始めるであります。」
古椿A.png
古椿
「タナトス殿をはじめとする地球人は
 こうやって部屋を散らかしたり
 片づけたりしながら――」
古椿A.png
古椿
「快適な部屋を
 保っているのであります!」
古椿B.png
紫の君2.png紫の君
「なるほど
 地球人はこのようにして
 部屋の均衡を保っているのじゃな。」
古椿
「これこそが
 「地球の均衡」であります!」
古椿B.png
紫の君3.png紫の君
「本には載っていない情報じゃな。
 実地での説明、勉強になったぞ!」
古椿
「次はあそこにいる熊野と狛犬を
 観察するであります!」
古椿A.png
熊野1.png熊野
「狛犬、今日も修練を
 頑張っているようだね。」
熊野1.png熊野
「よかったら、この滋養強壮剤を
 飲んでみないか?」
狛犬
「いいんッスか!?
 ありがとうッス!
 これで元気いっぱいッスね!」
狛犬C.png
狛犬
(ゴクリ)
狛犬E.png
狛犬
「おー! 体中に力が沸いてくるッス!」
狛犬C.png
狛犬
「……ん?
 でも……なんか頭がもぞもぞするッス~」
狛犬E.png
猫又5.png猫又
「狛犬に熊野、二人とも何をしてる――」
猫又2.png猫又
「こ、狛犬……!
 その頭一体どうしたんだにゃー!?」
狛犬
「……?
 頭がどうしたんスか?」
狛犬E.png
猫又2.png猫又
「こ、狛犬の頭に
 耳が四つ生えてるにゃー!!」
狛犬
「え!?」
狛犬D.png
狛犬
(サワサワ……)
狛犬E.png
狛犬
「ほ、本当ッス! 耳が増えてるッスー!」
狛犬D.png
熊野2.png熊野
「おっと、もう少し配合を
 調整した方が良さそうだな。」
熊野1.png熊野
「元気にはなったけど、
 副作用として耳が増える、と。」
熊野1.png熊野
「耳はしばらくしたら
 元に戻ると思うから。」
古椿
「――と、あのように地球人は
 日々研究に励み――」
古椿A.png
古椿
「多くの犠牲を払いながら
 進歩しているのであります。」
古椿B.png
紫の君4.png紫の君
「なるほど……!
 「失敗は成功のもと」
 というやつじゃな!」
古椿
「まあこの古椿様ほどになれば、
 あのように慌ただしい日々を
 送らずとも――」
古椿A.png
古椿
「自然と「地球の進歩や均衡」を
 悟ることできるのであります!」
古椿E.png
紫の君3.png紫の君
「さすが地球代表の古椿……
 私もいつか古椿のように――」
葛の葉4.png葛の葉
「あら、紫の君に古椿。」
古椿
「むむ……! 葛の葉殿!」
古椿D.png
葛の葉1.png葛の葉
「こんな所で何をしているの?」
紫の君
「古椿が地球について
 教えてくれるというので――」
紫の君A.png
紫の君
「式姫達を見て学んでおったところじゃ。」
紫の君B.png
古椿
「そうであります!」
古椿A.png
古椿
「地球代表の古椿様が直々に
 紫の君に地球人の進歩と均衡を――」
古椿A.png
葛の葉7.png葛の葉
「面白そうね。
 私も少し教えてあげましょうか。」
古椿
「それには及ばないであります!」
古椿E.png
古椿
「葛の葉殿にもこの古椿が特別に
 教えてあげてもいいでありますよ!」
古椿A.png
古椿
「古椿様のありがたいお言葉を――」
古椿E.png
葛の葉1.png葛の葉
「口を慎みなさい、老木。」
古椿
「ろ……老木!?」
古椿C.png
古椿
「た、確かに古椿は数百年生きる
 立派な椿であります!」
古椿A.png
古椿
「いわば老木は褒め言葉で――」
古椿A.png
葛の葉5.png葛の葉
「ではこういえば良いかしら……?」
葛の葉1.png葛の葉
「黙れ羽虫。」
古椿
「は、羽虫……」
古椿C.png
葛の葉7.png葛の葉
「紫の君に教えてあげるわ。」
葛の葉7.png葛の葉
「地球では、調子に乗った人にこうして
 お灸を据えて、人格を調整するの。」
葛の葉1.png葛の葉
「地球人の均衡を保つためにね。」
紫の君
「ほう……!
 地球人はなかなかに嗜虐的なのじゃな!」
紫の君C.png
紫の君
「これも本には
 書かれていないことじゃったから、
 良い勉強になったぞ!」
紫の君B.png
こうして紫の君は地球に関する
間違った知識を
 習得したのであった。

美肌の秘訣(吸血姫の思い出)

折りたたみ
吸血姫1.png吸血姫
「ふああ……良く寝たのう。
 さて、今宵も――」
吸血姫2.png吸血姫
「……む?
 今、何か視線を感じたような……」
吸血姫3.png吸血姫
「気のせいかのう?」
吸血姫4.png吸血姫
「いかなる悪党が
 向かって来ようとも
 わらわが返り討ちにしてくれよう。」
吸血姫5.png吸血姫
「気を取り直して、
 まずは日課の月光浴じゃ!」
吸血姫5.png吸血姫
「月の光を浴びて、月の力を――」
吸血姫1.png吸血姫
「ふむ……やはり誰かが
 わらわを見ておるようじゃのう。」
吸血姫4.png吸血姫
「隠れておる者よ、こそこそせず、
 わらわの前に姿を現すのじゃ!」
八百比丘尼
「あら……ばれちゃったわね。」
八百比丘尼A.png
吸血姫6.png吸血姫
「なんじゃ八百比丘尼……
 わらわを陰から見ていたのは、
 おぬしじゃったのか!」
八百比丘尼
「そうなの、こそこそしちゃって
 ごめんなさいね。」
八百比丘尼B.png
八百比丘尼
「実は、どうしても吸血姫さんに
 聞きたいことがあって……」
八百比丘尼B.png
吸血姫3.png吸血姫
「わらわに聞きたいこととな。
 一体なんじゃ……?」
八百比丘尼
「吸血姫さんは、日焼けしてもすぐに
 肌の色が戻るそうね。」
八百比丘尼C.png
八百比丘尼
「日焼けは乙女の大敵……」
八百比丘尼C.png
八百比丘尼
「シミもシワも作らず
 すぐに白くなるなんて……」
八百比丘尼C.png
八百比丘尼
「一体どんなお手入れをしているのか
 その美肌の秘訣を教えて欲しいの!」
八百比丘尼C.png
吸血姫1.png吸血姫
「ふむ……
 確かに、わらわは日焼けしても
 すぐに色が戻るがのう……」
吸血姫7.png吸血姫
「どうしてそうなるのか、詳しいことは
 自分でもよく分からぬのじゃ。」
吸血姫1.png吸血姫
「じゃが、もしかすると……
 わらわの習慣に、
 その秘密があるのかもしれぬな。」
吸血姫2.png吸血姫
「気になるのであれば、
 今日一日、
 わらわに密着調査しても良いぞ!」
八百比丘尼
「まぁ! いいの?
 嬉しいわ~!」
八百比丘尼D.png
八百比丘尼
「吸血姫さんの
 美肌の謎が解明されれば――」
八百比丘尼D.png
八百比丘尼
「世の乙女達に
 大きく貢献出来るわ!」
八百比丘尼D.png
吸血姫5.png吸血姫
「うむ。 まずはわらわの日課、
 月光浴からじゃ!」
八百比丘尼
「月光浴……
 たしかに、
 月には力を感じるけれど――」
八百比丘尼C.png
八百比丘尼
「夜更かしはお肌の大敵だわ。」
八百比丘尼B.png
吸血姫1.png吸血姫
「ふむ。夜更かしと言っても、
 わらわは昼間に
 たっぷり寝ておるからのう。」
吸血姫8.png吸血姫
「きちんと睡眠を取れば、
 問題ないじゃろう。」
八百比丘尼
「そう……それなら、
 ひとまずやってみようかしら。」
八百比丘尼E.png
吸血姫8.png吸血姫
「…………」
八百比丘尼
「…………」
八百比丘尼F.png
吸血姫2.png吸血姫
「……どうじゃ?
 なにか変化はあったかのう?」
八百比丘尼
「そうね‥…
 なんとなく肌に良い気もするけど、、
 特に変化はないみたい。」
八百比丘尼C.png
吸血姫1.png吸血姫
「そうか……では次に、
 空を飛び回り夜空を散歩するぞ。」
吸血姫5.png吸血姫
「誰もいない夜空を
 自由に飛び回るのは爽快じゃぞ!」
八百比丘尼
「夜空の散歩、素敵ね!」
八百比丘尼D.png
八百比丘尼
「あ……
 でも私、空を飛べないの……」
八百比丘尼G.png
吸血姫1.png吸血姫
「心配には及ばぬ。
 このコウモリ達が、おぬしを乗せて
 飛んでくれるからの。」
八百比丘尼
「空を飛ぶのは少し怖いけど、
 面白そうね。」
八百比丘尼D.png
吸血姫5.png吸血姫
「では行くぞ!」
八百比丘尼
「風が気持ちいいわね~!
 それに、なんだか
 星が近くなった気がするわ。」
八百比丘尼D.png
吸血姫8.png吸血姫
「うむ、地上から見上げる夜空とは
 また違って見えるじゃろう。」
八百比丘尼
「そうね……
 で、でも、風に当たりすぎて、
 肌が乾いてきたような……」
八百比丘尼B.png
吸血姫6.png吸血姫
「む? では地上に降りるかのう。」
吸血姫1.png吸血姫
「夜空の散歩はどうじゃったかの?」
八百比丘尼
「楽しかったわ~!
 だけど、肌が少し
 乾燥しちゃったみたい……」
八百比丘尼F.png
吸血姫3.png吸血姫
「ふむ、これもだめか。」
吸血姫5.png吸血姫
「では次に、
 棺桶に横たわってみるぞ。」
吸血姫5.png吸血姫
「わらわはいつも、
 棺桶で寝ておるからの。」
八百比丘尼
「か、棺桶……
 少し不気味だけど、
 美白の為ね……!」
八百比丘尼G.png
吸血姫8.png吸血姫
「…………」
八百比丘尼
「…………」
八百比丘尼F.png
吸血姫2.png吸血姫
「……どうじゃ?
 なにか変化はあったかのう?」
八百比丘尼
「うーん、難しいわね。
 ジメジメしているから、
 肌の保湿には良いのかしら?」
八百比丘尼C.png
吸血姫2.png吸血姫
「あ、もしかすると――」
吸血姫1.png吸血姫
「すぐに結果が出ないだけで、
 日焼けした時に実感できるのかも
 しれぬのう!」
八百比丘尼
「そうね……
 それに、夜って
 肌の状態も分かり辛いわ。」
八百比丘尼E.png
吸血姫1.png吸血姫
「では昼間に見てみると――」
吸血姫6.png吸血姫
「むむ……?」
八百比丘尼
「どうしたの?」
八百比丘尼C.png
吸血姫2.png吸血姫
「そういえば八百比丘尼、
 おぬしは不老じゃったのう。」
吸血姫7.png吸血姫
「いくら日焼けしても、
 肌が劣化しないおぬしには
 関係のないことじゃないのかのう?」
吸血姫1.png吸血姫
「見たところ、
 シミもシワも見当たらぬ。」
八百比丘尼
「これは不老のおかげじゃなくて、
 私のお手入れの賜物なのよ!」
八百比丘尼F.png
吸血姫3.png吸血姫
「ふむ。お手入れの効果も
 少しはあるじゃろうが……」
吸血姫2.png吸血姫
「そう考えると、不死である
 わらわも似たようなものじゃ。」
吸血姫1.png吸血姫
「わらわの肌は、不死のお陰で
 成り立っておるのかもしれぬのう。」
吸血姫1.png吸血姫
「肌が荒れぬわらわ達が
 美肌の秘訣を考えても、
 どうにもならん気がするが――」
八百比丘尼
「そ、そんな……!
 なら一体どうしたら……?」
八百比丘尼A.png
吸血姫8.png吸血姫
「そうじゃな……」
吸血姫1.png吸血姫
「ふむ……わらわの眷属になれば、
 わらわと同じような
 肌になれるが……」
八百比丘尼
「それよ!
 きっとそれが美肌の秘訣ね!」
八百比丘尼D.png
八百比丘尼
「私も試してみようかしら……!」
八百比丘尼D.png
吸血姫5.png吸血姫
「うむ。 では早速
 わらわがおぬしの血を吸って、
 一度死者になってもらって――」
八百比丘尼
「し、死者ですって!?
 いくら美肌でも、死者はちょっと……」
八百比丘尼A.png
吸血姫2.png吸血姫
「む? そうか……人魚の血を
 吸ってみたかったのじゃが……」
結局、地道なお手入れを
することにした八百比丘尼と
血を吸えず、少しがっかりした
吸血姫なのでした。

運命を共にする者(戦乙女の思い出)

折りたたみ
戦乙女1.png戦乙女
「――災いを誘いし妖よ……
 我が槍の糧となれ……!」
やたのひめ
(か、かっこいい……!)
やたのひめA.png
やたのひめ
(えーっと、
 『災いを誘いし』っと……)
やたのひめA.png
戦乙女2.png戦乙女
(――ん?)
戦乙女1.png戦乙女
「そんなところで
 何をしているのですか?
 紙と筆なんて持って……」
やたのひめ
「わ……!
 え、えっと、その……」
やたのひめB.png
やたのひめ
「あなたの裁きを、
 わたしの『暗黒眼』に
 刻んでいたのよ。」
やたのひめC.png
やたのひめ
「いつか来る、
 『終末の刻』に備えてね。」
やたのひめC.png
戦乙女1.png戦乙女
「終末の刻(ラグナロク)……」
戦乙女1.png戦乙女
「漆黒が世界を覆う刻……
 私達式姫は世界を守護する
 宿命(さだめ)にありますからね。」
戦乙女2.png戦乙女
「同じ宿命を背負いし仲間として
 よければ共に、
 修練を積んでみませんか?」
戦乙女1.png戦乙女
「ただ見ているよりも――」
戦乙女3.png戦乙女
「体に感覚を刻む方が
 早く自分の力になりますよ。」
やたのひめ
「一緒に修練!?
 やった……じゃくて――」
やたのひめB.png
やたのひめ
「そうね。」
やたのひめC.png
やたのひめ
「孤高に飛ぶのも良いけれど、
 ヴァルハラの戦士と
 運命を共にするのも面白そうね。」
やたのひめC.png
戦乙女3.png戦乙女
「では早速修練に励みましょう。」
戦乙女1.png戦乙女
「いつもの日課では、
 この後、山の頂で妖の気配を
 感じとる修練を行っています。」
戦乙女1.png戦乙女
(妖が行動を起こす前に見つけて
 対処するのが一番ですからね。)
戦乙女3.png戦乙女
「まずはこの山で
 一番大きな木の上に立ち、
 目を閉じて感覚を研ぎ澄まします。」
やたのひめ
「邪眼を鎮め……
 五感の限界を超越するのね。」
やたのひめC.png
戦乙女3.png戦乙女
「そうです。
 遥か遠方の気配まで
 感じとりましょう。」
戦乙女4.png戦乙女
(…………)
やたのひめ
(…………)
やたのひめD.png
やたのひめ
(静寂の中で、
 感覚を研ぎ澄ます……)
やたのひめD.png
やたのひめ
(それっぽくてかっこいい……!)
やたのひめC.png
戦乙女2.png戦乙女
「どうです?
 感じ取れましたか?」
やたのひめ
「え……? ええ……!
 聞こえたわ。
 彼方で蠢く闇の雄叫びが……」
やたのひめB.png
戦乙女5.png戦乙女
「はい……私もここより北西に、
 妖の気配を感じました。」
戦乙女5.png戦乙女
「被害が出る前に、
 裁きの鉄槌を下しましょう。」
やたのひめ
「そうね。この吹き渡る疾風……
 『審判の夜』にふさわしいわ。」
やたのひめB.png
戦乙女1.png戦乙女
「裁きが終わったら、
 次は私と実戦で
 修練を行いましょう。」
やたのひめ
「実戦……
 わたしの闇と、あなたの光――」
やたのひめE.png
やたのひめ
「ぶつかった時に
 どんな花を咲かせるか楽しみだわ。」
やたのひめC.png
やたのひめ
(実戦かぁ……ドキドキ……!)
やたのひめC.png
やたのひめ
(――数時間後――)
やたのひめC.png
戦乙女5.png戦乙女
「まだまだ、あなたには
 秘められし力があるはず……!」
戦乙女5.png戦乙女
「一撃一撃に全力で臨むのです……!」
やたのひめ
「はぁ……はぁ……」
やたのひめD.png
戦乙女4.png戦乙女
「そうです。
 その調子……!」
戦乙女5.png戦乙女
「自分の内に秘めたる限界を
 雲外蒼天(うんがいそうてん)の
 気持ちで突破するのです……!」
やたのひめ
「雲外蒼天……」
やたのひめC.png
やたのひめ
「はー!!」
やたのひめE.png
戦乙女1.png戦乙女
「……!」
戦乙女5.png戦乙女
「今の一撃は、
 これまでの攻撃とは
 全く違いました……」
戦乙女5.png戦乙女
「ついに
 限界を超越したのですね……!」
やたのひめ
「……これがわたしの……
 はぁ、はぁ……」
やたのひめD.png
やたのひめ
「真の力……はぁ、
 『闇の終焉(しゅうえん)』よ……」
やたのひめD.png
戦乙女3.png戦乙女
「素晴らしい……!
 これであなたも、立派な戦士です。」
戦乙女2.png戦乙女
「今日はもう遅いので、
 ここまでにしましょうか。」
戦乙女4.png戦乙女
「きちんと休息を取り、
 戦う力の糧となる食事を――」
戦乙女2.png戦乙女
「……? やたのひめさん?」
やたのひめ
「…………
 ……スー、スー……」
やたのひめD.png
戦乙女2.png戦乙女
「……どうやら……
 疲れて寝てしまったようですね。」
戦乙女3.png戦乙女
「……ふふふ。
 気持ちよさそうな寝顔です……」
戦乙女3.png戦乙女
(よく頑張りましたね。)
すやすや眠るやたのひめを、
優しい眼差しで見つめる
戦乙女なのでした。

最強の助っ人(死神の思い出)

折りたたみ
死神1.png死神
「――はぁ……
 今月も顧客満足度が
 とても低かったデスね……」
タナトス
「豪華な粗品をプレゼントだとか――」
タナトスA.png
タナトス
「素敵なキャンペーンも
 開催していたのにね」
タナトスB.png
死神1.png死神
「はい……考えられる要因は
 恐らく魂を狩る死神の数が
 少ないことデス。」
死神2.png死神
「本来なら魂一つ一つに寄り添って、
 丁寧に冥府へご案内するのが
 理想なのデスが……」
死神1.png死神
「死神が少ないので、
 どうしても流れ作業に
 なってしまいます……」
タナトス
「それで、
 魂達の満足度が低いのね。」
タナトスC.png
死神3.png死神
「そうなのデス……」
死神4.png死神
「短期間でも良いから、
 誰か協力してくれる方が
 いたら良いのデスが……」
タナトス
「そうね……
 あ、一人思い当たる式姫がいるわ。」
タナトスC.png
タナトス
「天探女さんよ。」
タナトスD.png
死神5.png死神
「確かに……天探女さんなら、
 すぐに仕事を覚えられそうだし――」
死神6.png死神
「何よりとても立派な斧を
 持っていますからね!」
タナトス
「ええ。適任だと思うわ。」
タナトスA.png
天探女
「――私に何かご用でしょうか。」
天探女A.png
死神4.png死神
「ちょうど良いところに来ました!
 じつは折り入って頼みがあります!」
死神3.png死神
「かくかくしかじかで――」
死神6.png死神
「――というわけなんデス!
 どうデスか?」
天探女
「つまり死神さんのお手伝いとして、
 魂を狩れば良いのですね。」
天探女A.png
死神4.png死神
「そうデス!」
天探女
「承知しました。
 それでは――」
天探女B.png
天探女
「ピピピ……
 「魂収穫モード」起動。」
天探女C.png
死神6.png死神
「さすが天探女さんデス!
 頼りになりますね!」
死神4.png死神
「ただし、
 今回はただの魂狩りではなく、
 一つ一つの魂に寄り添って――」
天探女
「目的地を設定してください。」
天探女D.png
死神7.png死神
「え? あ、そうデスねー……
 まずはあの東の村にしましょう!」
天探女
「目的地、登録完了。
 魂狩りを開始します。」
天探女C.png
死神6.png死神
「はい! それで先程の続きデスが、
 今回の目標は丁寧なご案内が――」
天探女
「短時間でより多くの魂を
 的確に狩れるよう――」
天探女B.png
天探女
「まずは地域全体に照準を合わせ、
 それから対象者を探知し、
 「昇天ビーム」を放ちます。」
天探女E.png
死神5.png死神
「「昇天ビーム」……?」
天探女
「照準を東の村に設定。
 「昇天ビーム」発射まで――」
天探女C.png
天探女
「5、4、3、2――」
天探女D.png
死神7.png死神
「わー! 良く分からないけど、
 待ってください!」
天探女
「――発射を中止しました。」
天探女C.png
死神1.png死神
「はぁ……危ないところでした。」
死神3.png死神
「いいデスか、天探女さん。
 今回は、短時間で多くの魂を
 狩るのではなく――」
死神4.png死神
「魂一つ一つに寄り添って、
 丁寧にご案内することが
 目標なのデス!」
死神4.png死神
「ビームではなく、
 直接魂の元へ行き、
 きちんと接客しましょう!」
天探女
「理解しました。
 それでは――」
天探女A.png
天探女
「「営業モード」起動。」
天探女C.png
天探女
「――今回冥府へ
 ご出発される方にはなんと……!」
天探女E.png
天探女
「永久サポートが付いてくる!
 不安があれば
 いつでもご連絡下さい!」
天探女E.png
天探女
「死神スタッフがすぐに
 あなたの元へ駆け付けます!」
天探女F.png
天探女
「さらに!
 今回だけの特別企画!」
天探女E.png
天探女
「冥府オリジナルで、
 吸水性抜群の
 手ぬぐいをプレゼント!」
天探女E.png
天探女
「……と、このような感じで
 問題ないでしょうか。」
天探女A.png
死神7.png死神
「す……すごいデス……!」
死神4.png死神
「これなら魂の皆さんも、
 安心して冥府へ行けるし――」
死神6.png死神
「顧客満足度アップも
 間違いなしデス!」
死神6.png死神
「天探女さんは
 最強の助っ人デスね!」
天探女
「ありがとうございます。」
天探女F.png
死神6.png死神
「顧客満足度大幅アップを目指して
 一緒に頑張りましょう!」
その後、顧客満足度が
上がったかどうかは
定かではありませんが――
「弁舌には感心した」という
アンケート結果が
多数寄せられたそうです。

弱点克服!(獅子女の思い出)

折りたたみ
獅子女1.png獅子女
「――なぞなぞだにゃあ!」
獅子女2.png獅子女
「「あたたかい」所に住んでいる
 タヌキの色は何色だにゃあ?」
蜥蜴丸
「え……?」
蜥蜴丸A.png
蜥蜴丸
「タヌキは皆
 茶色だと思っていましたが……」
蜥蜴丸B.png
蜥蜴丸
「他の色のタヌキも
 存在するんですね。」
蜥蜴丸C.png
獅子女3.png獅子女
「これはなぞなぞだにゃあ……」
獅子女2.png獅子女
「だから事実かどうかは、
 あんまり考えなくて良いにゃあ。」
蜥蜴丸
「うーん……
 難しいですね……」
蜥蜴丸B.png
獅子女1.png獅子女
「答えは赤色だにゃあ!」
蜥蜴丸
「赤いタヌキ……ですか!」
蜥蜴丸A.png
獅子女2.png獅子女
「「あたたかい」から「た」を抜くと、
 「あかい」になるにゃあ!」
蜥蜴丸
「なるほど……
 そういうことだたのですね!」
蜥蜴丸D.png
獅子女1.png獅子女
「そうだにゃあ!
 それじゃあ第二問!」
獅子女3.png獅子女
「今度は
 蜥蜴丸にも分かりやすいように、
 事実に基づいた問題にゃあ!」
獅子女2.png獅子女
「形がないのに――」
獅子女1.png獅子女
「長い時間をかければ
 やがては岩を砕くもの、
 何か分かるかにゃあ?」
蜥蜴丸
「ああ、それなら検討が付きます。」
蜥蜴丸E.png
蜥蜴丸
「答えは努力する心です!」
蜥蜴丸F.png
蜥蜴丸
「形はないけれど、
 長い期間修練を積んで
 努力すれば――」
蜥蜴丸E.png
蜥蜴丸
「やがては岩をも砕くような力を
 手に入れることが出来ます。」
蜥蜴丸F.png
獅子女4.png獅子女
「むむ……確かに言われてみれば
 それも間違っていないにゃあ。」
獅子女2.png獅子女
「私が用意した答えは
 「水」だったにゃあ。」
蜥蜴丸
「なるほど……「水」でしたか!」
蜥蜴丸A.png
蜥蜴丸
「…………」
蜥蜴丸B.png
蜥蜴丸
「獅子女殿に頼みがあります。」
蜥蜴丸B.png
蜥蜴丸
「私の弱点克服を
 手伝っていただけませんか?」
蜥蜴丸C.png
獅子女5.png獅子女
「弱点克服?」
蜥蜴丸
「はい!」
蜥蜴丸E.png
蜥蜴丸
「トンチやなぞなぞを理解できれば、
 今後の修練にも
 役立つと思うんです。」
蜥蜴丸E.png
獅子女3.png獅子女
「そ、そうかにゃあ?」
獅子女2.png獅子女
「でも……分かったにゃあ!」
蜥蜴丸
「ありがとうございます!」
蜥蜴丸F.png
獅子女2.png獅子女
「それじゃあ、
 このなぞなぞの本に書いてある問題を
 一緒に考えてみるにゃあ!」
蜥蜴丸
「ふむふむ……」
蜥蜴丸E.png
蜥蜴丸
「犬、牛、バッタの中で、
 呼びかけても応えないのは
 どれか……ですか。」
蜥蜴丸A.png
獅子女2.png獅子女
「常識に当てはめて考えると
 分からなくなるけど――」
獅子女1.png獅子女
「少しだけ頭を柔らかくすると
 分かるにゃあ!」
蜥蜴丸
「呼びかけても応えない……
 うーん……」
蜥蜴丸B.png
獅子女2.png獅子女
「呼びかけても応えないということは、
 つまりどういうことにゃあ?」
蜥蜴丸
「……無視する、
 ということでしょうか?」
蜥蜴丸A.png
獅子女1.png獅子女
「そうにゃあ!」
獅子女2.png獅子女
「この問題は――」
獅子女1.png獅子女
「犬、牛、バッタの中で、
 「無視する」のはどれか
 考えるにゃあ!」
獅子女2.png獅子女
「「無視」は同じ読み方で、
 「昆虫」の方の漢字もあるにゃあ。」
獅子女1.png獅子女
「つまり、このなぞなぞの答えは
 バッタだにゃあ!」
蜥蜴丸
「なるほど……!
 そういった流れで考えるのですね。」
蜥蜴丸F.png
獅子女2.png獅子女
「そうにゃあ!
 それじゃ次は――」
獅子女1.png獅子女
「――と、まあ今日は
 こんなところかにゃあ。」
蜥蜴丸
「ありがとうございます!」
蜥蜴丸F.png
蜥蜴丸
「だんだん
 理解出来るようになってきました!」
蜥蜴丸E.png
蜥蜴丸
「是非、お礼をさせてください。」
蜥蜴丸F.png
獅子女1.png獅子女
「お礼だなんていらないにゃあ!」
蜥蜴丸
「いえ、そういう訳には……」
蜥蜴丸E.png
蜥蜴丸
「あ……!」
蜥蜴丸A.png
蜥蜴丸
「次は私に
 獅子女殿の弱点を克服する
 お手伝いをさせてください!」
蜥蜴丸F.png
獅子女6.png獅子女
「私の弱点ってことは……
 か、雷にゃあ……?」
蜥蜴丸
「はい!
 ……ちょうど良かった。」
蜥蜴丸F.png
蜥蜴丸
「雲行きが怪しいので、
 この後雷雨になりそうですね。
 早速始めましょう!」
蜥蜴丸E.png
獅子女3.png獅子女
「えーっと……
 始めるって何をだにゃあ!?」
獅子女6.png獅子女
「それに私の弱点は
 克服しなくても良いんだにゃあ!」
蜥蜴丸
「いいえ。
 弱点はどんなものでも
 潰しておくことが大事ですよ。」
蜥蜴丸G.png
蜥蜴丸
「まずは山頂に上り、
 雷を間近で感じて
 恐怖心を払拭しましょう。」
蜥蜴丸E.png
獅子女7.png獅子女
「ま、まま間近で雷を……!?」
蜥蜴丸
「安心して下さい。
 雷に当たらないよう、
 私がお守りしますから。」
蜥蜴丸F.png
獅子女7.png獅子女
「そういう問題じゃないにゃあ……!」
この後、周りの式姫達が
蜥蜴丸を止めてくれたおかげで
難を逃れた獅子女でした。

天仙の疑問(天仙の思い出)

折りたたみ
天仙1.png天仙
「――フレイさん
 ちょっといいかしら。」
フレイ
「こんにちは。」
フレイA.png
天仙2.png天仙
「今日はあなたに
 聞きたいことがあって来たの。」
フレイ
「聞きたいこと、ですか。」
フレイB.png
フレイ
「私に分かることなら、
 何でもお答えしますよ。」
フレイC.png
天仙3.png天仙
「よかったわ。
 早速なんだけど――」
天仙1.png天仙
「私に「努力」とは何なのか
 教えて欲しいのよ。」
フレイ
「「努力」……ですか?」
フレイD.png
天仙1.png天仙
「以前フレイさんや
 蜥蜴丸さんが鍛錬中に――」
天仙1.png天仙
「「努力は報われる」と
 言っていたのが気になって……」
天仙1.png天仙
「今日は
 「努力」について学びに来たの。」
フレイ
「そうでしたか!」
フレイE.png
フレイ
「「努力」とは、
 ある目標にむかって力を尽くして
 励むことを表します。」
フレイA.png
天仙2.png天仙
「力を尽くすって……
 どうやるのかしら?」
フレイ
「そ、それは……
 己の限界を超えるほどの
 全力を――」
フレイE.png
天仙4.png天仙
「全力って……?」
フレイ
「言葉で表すのは
 少々難しいようですね……」
フレイB.png
フレイ
「よければ、
 これから私の鍛錬を見に
 いらっしゃいませんか?」
フレイB.png
フレイ
「そこで「努力」とはなにかを
 ご説明します!」
フレイC.png
天仙3.png天仙
「ありがとう、楽しみだわ。」
天仙3.png天仙
(…………)
フレイ
「――先程もご説明した通り、
 「努力」とはある目標に向かって
 励むことを表します。」
フレイA.png
フレイ
「目標として設定するのは、
 今の自分にできないこと、
 成し遂げたいことになります。」
フレイA.png
フレイ
「例えば、私の今の目標は――」
フレイA.png
フレイ
「敵に息をつかせぬほどの
 連続した攻撃を
 行えるようになることです。」
フレイA.png
フレイ
「日々鍛錬を積んでいるのですが、
 一筋縄ではいかず……」
フレイA.png
天仙4.png天仙
「そうなのね……」
天仙5.png天仙
「私はやりたいことがあったら
 すぐに
 やってみるようにしているの。」
天仙5.png天仙
「それで大概のことは
 自然と出来るようになるわ。」
フレイ
「天仙は天才肌なのですね!」
フレイC.png
フレイ
「それなら仕方ありません。」
フレイC.png
フレイ
「こうなったら、
 出来ないものが見つかるまで
 いろいろと試してみましょう!」
フレイC.png
天仙5.png天仙
「それが良いわね。
 まずは
 何からやってみようかしら?」
フレイ
「それでは――」
フレイA.png
フレイ
「これから行う鍛錬に少し
 お付き合いいただけますか?」
フレイA.png
フレイ
「私の連続攻撃を
 かわしてみて下さい!」
フレイA.png
天仙3.png天仙
「わかったわ。」
天仙5.png天仙
「シュバババババ!」
天仙5.png天仙
「シュッ! シュシュシュ!」
フレイ
「さすがですね!
 ではこれはどうですか?」
フレイC.png
フレイ
「ドドドドド!」
フレイA.png
フレイ
「シュ! フワフワ~」
フレイA.png
天仙4.png天仙
「すごいわ!
 フレイさんの攻撃の速度が
 どんどん早くなっているみたい。」
天仙4.png天仙
「ふふふ、
 なんだか楽しくなってきたわ。」
天仙4.png天仙
「私も、
 もっと早くかわしてみるわね!」
天仙5.png天仙
「ドドドドド!」
天仙5.png天仙
「シュッ! シュシュシュ!」
天仙5.png天仙
(…………)
フレイ
「――天仙、
 ありがとうございます!」
フレイC.png
フレイ
「あなたのおかげで、
 目標にしていた連続攻撃が
 できるようになりました!」
フレイC.png
天仙3.png天仙
「あら、それはよかったわ。」
天仙1.png天仙
「私自身の「できないこと」は
 見つからなかったけれど……」
天仙5.png天仙
「でもフレイさんの、
 その素敵な笑顔を見て
 分かった気がするわ。」
天仙5.png天仙
「「努力」って、
 必死になって成し遂げる分――」
天仙3.png天仙
「出来た時の喜びも大きいのね。」
フレイ
「はい! その通りです!」
フレイC.png
フレイ
「当初の目的からは
 少しずれてしまいましたが……」
フレイF.png
フレイ
「天仙に
 少しでも分かって頂けたのなら
 よかったです。」
フレイC.png
天仙3.png天仙
「ええ。
 フレイさんにお願いしてよかった。」
天仙3.png天仙
「ありがとう。」
フレイ
「こちらこそ!
 よければまた
 私の鍛錬に付き合って下さい。」
フレイC.png
天仙3.png天仙
「もちろんよ。」
天仙3.png天仙
「今日はとても充実した、
 素敵な日だったわ。」
思いがけず
お互いの願いが叶い、
双方が満足した一日なのであった。

堕天使の誤算(堕天使の思い出)

折りたたみ
堕天使1.png堕天使
(今日は誰を堕落させようかなー。)
堕天使2.png堕天使
(閻魔は堕落のさせ甲斐がないし、)
堕天使3.png堕天使
(蜥蜴丸を堕落させようとすると、
 何故か
 鍛錬に巻き込まれるし……)
堕天使4.png堕天使
(うーん……)
堕天使5.png堕天使
(そうだ!
 もっと欲に従順な子ども達とか
 いいんじゃない?)
堕天使2.png堕天使
(……まあ、閻魔も蜥蜴丸も
 ある意味自分の欲に
 従順なんだけどねー。)
堕天使2.png堕天使
(あ! ちょうど良い所に
 鳳凰ちゃん発見!)
堕天使5.png堕天使
(ぷぷぷ、堕落させちゃおーっと!)
堕天使1.png堕天使
「――鳳凰ちゃん、何してるのー?」
鳳凰
「あ、堕天使さん!
 こんにちはでフ!」
鳳凰A.png
鳳凰
「今スー姉ちゃんみたいな
 都会の女になれるよう、」
鳳凰B.png
鳳凰
「修行をしていたところでフ!」
鳳凰C.png
堕天使5.png堕天使
「へえー!
 修行って、どんな?」
鳳凰
「今は、歩き方を練習してたでフ!」
鳳凰B.png
堕天使6.png堕天使
「歩き方?」
鳳凰
「スー姉ちゃんみたいな
 都会の女は、
 街をさっそうと歩くんでフ!」
鳳凰C.png
鳳凰
「だから私も、
 頑張ってかっこよく歩けるように
 練習してるでフ!」
鳳凰B.png
鳳凰
「これがなかなか難しいんでフ……」
鳳凰D.png
鳳凰
(トテ、トテ、トテ……)
鳳凰E.png
堕天使5.png堕天使
「練習なんかしなくても
 大丈夫だって!」
堕天使1.png堕天使
「歩き方なんて、
 人それぞれなんだし。」
堕天使5.png堕天使
「それに鳳凰はありのままで
 素敵なんだからさー。」
鳳凰
「ほ、本当でフか!?」
鳳凰F.png
堕天使5.png堕天使
「うんうん!」
堕天使1.png堕天使
「だから一緒にダラダラしよーよ!」
鳳凰
(うぅ……
 せっかく堕天使さんが
 誘ってくれたんでフ……)
鳳凰E.png
鳳凰
「わ、わかったでフ!」
鳳凰D.png
堕天使5.png堕天使
「うんうん、そうでなくちゃ!」
鳳凰
「それで、ダラダラって
 何をするでフか?」
鳳凰A.png
堕天使1.png堕天使
「お茶を飲んだり、
 ゴロゴロしたり……」
堕天使5.png堕天使
「とにかくゆっくりする……かな!」
鳳凰
「そうでフか!」
鳳凰B.png
鳳凰
「それじゃあ、
 さっそく一緒にゆっくりしまフ!」
鳳凰C.png
堕天使5.png堕天使
(鳳凰堕落作戦、大成功―!)
鳳凰
(…………)
鳳凰B.png
堕天使6.png堕天使
「――ねえ鳳凰、
 それ何読んでるの?」
鳳凰
「これは『オシャレ絵巻』っていう
 雑誌でフ!」
鳳凰C.png
鳳凰
「スー姉ちゃん達が編集していて、」
鳳凰B.png
鳳凰
「都会のお洒落な女は、
 皆これを愛読しているらしいでフ!」
鳳凰C.png
堕天使1.png堕天使
「へえー。」
堕天使6.png堕天使
「この印をつけているのはー?」
鳳凰
「え!?」
鳳凰F.png
鳳凰
「こ、これは、そのっ……」
鳳凰D.png
鳳凰
「いつか着れたらいいなって思ってる
 着物でフ……!」
鳳凰E.png
鳳凰
「でも……身長とか足りなくて、
 今の私には似合わないんでフ……」
鳳凰D.png
堕天使6.png堕天使
「ふーん。」
堕天使1.png堕天使
「私はこっちの着物の方が
 鳳凰には似合うと思うけどなー。」
鳳凰
「あ……!」
鳳凰A.png
鳳凰
「こっちの着物は見てなかったでフ!」
鳳凰A.png
鳳凰
「これもかわいいでフねー!」
鳳凰C.png
堕天使5.png堕天使
「でしょー?」
堕天使5.png堕天使
「お洒落とかよくわかんないけど、
 自分に合ったものを着る方が
 格好良く見えるんじゃないかなー?」
堕天使2.png堕天使
「ほら、
 無理に背伸びして合わせても
 しんどいだけだしさー。」
鳳凰
「なるほどでフ!
 勉強になりまフ!」
鳳凰B.png
鳳凰
(さらさら……)
鳳凰B.png
堕天使3.png堕天使
「な、何も書き留めるようなことじゃ
 ないよ……」
鳳凰
「すごいなーって思ったり、
 なるほどって思ったことは――」
鳳凰B.png
鳳凰
「なんでも書き留めるように
 しているんでフ!」
鳳凰C.png
鳳凰
「じつはずっと、
 都会の女になるためには
 どうしたらいいんだろうって――」
鳳凰B.png
鳳凰
「思い悩んでいたでフ……」
鳳凰E.png
鳳凰
「でも、堕天使さんの言葉で、
 なんだかそのモヤモヤが
 晴れた気がしたでフ!」
鳳凰C.png
堕天使6.png堕天使
「そ、そうなの……?」
鳳凰
「いつか私と同じように
 悩んでる子がいたら、」
鳳凰B.png
鳳凰
「その子にも堕天使さんみたいに
 元気の出る言葉を
 かけてあげたいでフ!」
鳳凰C.png
鳳凰
「ありがとうでフ!」
鳳凰B.png
堕天使3.png堕天使
「ど、どういたしまして……」
堕天使3.png堕天使
(…)
堕天使2.png堕天使
(――はあ、鳳凰を堕落させることに
 成功したはずなのに……)」
堕天使3.png堕天使
(なんだろう、この気持ち。)
堕天使6.png堕天使
(……久しぶりに蜥蜴丸と一緒に
 術の鍛錬でもするかなー。)
堕落させるつもりが
思いがけず
鳳凰の姿に心を洗われ、
その後しばらく蜥蜴丸との
鍛錬に励む堕天使であった。

壺のお詫び(龍神の思い出)

折りたたみ
龍神1.png龍神
(ガサガサ……)
龍神2.png龍神
「うーん、お宝らしき物は
 見つからないな。」
龍神3.png龍神
「この蔵になら、
 何かレアアイテムが
 隠されていると思ったんだが……」
龍神4.png龍神
「もっと奥の方まで探してみるか……」
龍神4.png龍神
(ガサガサ……)
龍神1.png龍神
「む?
 この布は何だ……?」
龍神1.png龍神
(バサッ!)
龍神5.png龍神
「おお……!
 これは……!」
龍神5.pngメッセージ1.png
龍神4.png龍神
「随分古びた壺だ……」
龍神5.png龍神
「それに
 この見たことのない独特な模様……」
龍神6.png龍神
「お宝の匂いがするな。」
龍神7.png龍神
「きっとこの壺の中には――」
龍神6.png龍神
「太古のパワーがゲットできる
 レアアイテムが入ってるに
 違いない!」
龍神4.png龍神
「いくつかあるが……
 まずはこの手前の壺を
 割ってみよう。」
龍神4.png龍神
(パリンッ)
龍神1.png龍神
「これは空か。
 隣の壺はどうだろうか。」
龍神1.png龍神
(パリンッ)
龍神2.png龍神
「こちらもはずれか……」
龍神4.png龍神
「こうなったら
 全部割ってみるしかないな。」
龍神4.png龍神
(パリンッ)
龍神4.png龍神
(パリンッ!)
龍神2.png龍神
「――結局
 何も出てこなかったな……」
龍神2.png龍神
「当たり前だが、レアアイテムは
 簡単には手に入らないようだ。」
仙狸
「――あ、おぬし!」
仙狸E.png
仙狸
「むぅ……
 ついに見つけてしまったか……」
仙狸F.png
龍神1.png龍神
「ん? 仙狸か。
 見つけてしまった、とは……?」
仙狸
「その壺は――」
仙狸A.png
仙狸
「とても古い土器でのう。
 壺自体が、
 ちょっとしたお宝だったのじゃ。」
仙狸F.png
仙狸
「龍神に見つかれば
 割られてしまうと思い――」
仙狸C.png
仙狸
「蔵の奥に隠しておったのじゃが……」
仙狸A.png
龍神5.png龍神
「そうか。
 だから何のアイテムも
 出てこなかったんだな。」
龍神2.png龍神
「しかし……
 それは悪いことをしてしまった。」
龍神1.png龍神
「まさかこの古びた壺が
 仙狸のお宝だったとは……」
龍神2.png龍神
「すまない……」
仙狸
「いや……」
仙狸D.png
仙狸
「きちんと手入れもせずに
 しまっておいた
 わっちが悪いのじゃ。」
仙狸A.png
仙狸
「まあ、気にせんでよいからの!」
仙狸D.png
仙狸
「…」
仙狸D.png
龍神1.png龍神
「……仙狸はああ言っていたが――」
龍神2.png龍神
「仙狸からメンタルポイント……
 MPが失われたように見えた。」
龍神5.png龍神
「やはり
 大切なものだったに違いない……」
龍神2.png龍神
「うーん、
 どう詫びればいいものか……」
龍神1.png龍神
「私が所持する
 ありったけのゴールドで償うか……」
龍神2.png龍神
「いや、歴史ある宝を
 ゴールドでは補えないだろう。」
龍神5.png龍神
「……そうだ!」
龍神6.png龍神
「割ってしまった壺の代わりになる、
 宝を探せばいいんだ!」
龍神4.png龍神
「まずはこの蔵で探してみよう。」
龍神6.png龍神
「仙狸が喜びそうな
 お宝アイテムを見つけるぞ!」
龍神4.png龍神
「――おお、
 この埃まみれの本棚には
 お宝が眠ってそうだな。」
龍神4.png龍神
(ガサゴソ……)
龍神1.png龍神
「おや?
 この謎の書は何だ?」
龍神5.pngメッセージ2.png
龍神1.png龍神
「不思議な書だな……
 お、裏表紙に名が書いてあるぞ。」
龍神5.png龍神
「ほう、
 やさふろひめの物か!」
龍神3.png龍神
「興味深いが、お宝とは言えないな。」
龍神5.png龍神
「……お、こっちにも何かあるぞ。」
龍神7.png龍神
「随分古い巻物だ……
 もしかすると――」
龍神4.png龍神
「お宝の在処が
 書かれているかもしれない!」
龍神1.png龍神
「……?
 見慣れない
 不思議な文字で書かれているな。」
龍神5.png龍神
「もしや古の魔術書か!?」
龍神1.png龍神
「ん……?
 なんだ、鞍馬の名が
 記されているじゃないか。」
龍神5.pngメッセージ3.png
龍神7.png龍神
「外国の古い兵法書か!
 鞍馬らしいな。」
龍神5.png龍神
「――わ!」
龍神5.png龍神
「驚いた……
 これは……妖か……?」
龍神5.pngメッセージ4.png
龍神4.png龍神
「なんだ、
 おゆきの氷漬けコレクションか。」
龍神2.png龍神
「……なかなかお宝は
 見つからないな。」
龍神4.png龍神
「少し遠出して
 探しに行ってみるとしよう。」
龍神2.png龍神
「――だめだ……
 仙狸が喜びそうなお宝は
 見つからなかった……」
龍神1.png龍神
「やはり宝探しの冒険をするには
 パーティーが必要だったようだ……」
龍神2.png龍神
「一人ではできることも限られる……」
仙狸
「――む? 龍神……
 そんなにぼろぼろで、
 一体どうしたのじゃ?」
仙狸C.png
龍神5.png龍神
「仙狸……!」
龍神2.png龍神
「すまない……
 あの壺の代わりになるお宝を
 探しに行ったんだが……」
龍神2.png龍神
「見つからなかった……」
仙狸
「なんじゃおぬし……」
仙狸E.png
仙狸
「もしやあれからずっと
 代わりになる物を
 探しておったのか……?」
仙狸E.png
龍神2.png龍神
「知らなかったとはいえ、
 仙狸の大事な宝を
 壊してしまったからな……」
仙狸
「あの壺は、おぬしをそのように
 苦労させるほどの価値はない……」
仙狸A.png
仙狸
「だから、詫びの品などなくとも――」
仙狸F.png
仙狸
「おぬしがそう思ってくれただけで
 充分じゃ!」
仙狸D.png
龍神1.png龍神
「だがそういうわけには――」
仙狸
「そうじゃな……」
仙狸C.png
仙狸
「ならば、今日一日の冒険話でも
 聞かせてもらおうかの。」
仙狸D.png
龍神6.png龍神
「おお、それならたくさんあるぞ!
 摩訶不思議な物を
 たくさん見つけたからな。」
仙狸
「ほう、それは面白そうじゃな!」
仙狸D.png
仙狸
「さあ、ちょうど美味な甘味と
 渋い茶の用意が出来たところじゃ。」
仙狸D.png
仙狸
「縁側でゆっくり聞かせてくれ。」
仙狸B.png
お茶を飲みながら、
束の間の冒険話を仙狸に聞かせた
龍神であった。

皆の想い(小烏丸の思い出02)

折りたたみ
こうめ1.pngこうめ
「おお、おぬしか!
 今日も変わらず元気そうじゃな。」
こうめ2.pngこうめ
「――何をしているのか、じゃと?」
こうめ3.pngこうめ
「特に何かをしていたわけではない。
 ただ――」
こうめ4.pngこうめ
「改めてこの庭の変わりように
 驚いておったのじゃ!」
こうめ3.pngこうめ
「以前は妖気に包まれておった
 この地も――」
こうめ1.pngこうめ
「今ではすっかり浄化され、
 美しくなってきておる!」
こうめ1.pngこうめ
「これも皆、
 おぬしが心地よい庭を造り――」
こうめ4.pngこうめ
「式姫達と共に物怪討伐に
 励んでくれたおかげじゃな!
小烏丸
「――お二人共、
 ここに居たのですね。」
小烏丸D.png
こうめ4.pngこうめ
「小烏丸か!
 おぬしもここに座って、
 これまでのことを語らぬか?」
小烏丸
「これまでのこと、ですか?」
小烏丸A.png
こうめ1.pngこうめ
「うむ。」
こうめ3.pngこうめ
「最初は小烏丸と白兎。
 狛犬、天女から
 始まったのじゃったな!」
白兎
「――なになにー!
 私を呼んだー?」
白兎A.png
狛犬5.PNG狛犬
「狛犬はここッスー!
 今日も元気ッスー!」
天女
「呼びましたかあ?
 あら、皆さんお揃いですねえ。」
天女B.png
小烏丸1.png小烏丸
「そうですね。
 初めはご主人様と私達だけで
 物怪討伐を行っていました。」
白兎
「今はたーくさん仲間ができたね!」
白兎A.png
狛犬5.PNG狛犬
「狛犬、毎日楽しいッス!
 仲間がいっぱいで嬉しいッスー!」
天女
「ふふふ。
 この庭も、
 随分にぎやかになりました。」
天女E.png
小烏丸1.png小烏丸
「きっとこれからも、
 ご主人様の周りには
 たくさんの仲間たちが集い――」
小烏丸2.png小烏丸
「朗らかな日々が
 続いて行くんだと思います。」
白兎
「そうだねー!」
白兎C.png
こうめ3.pngこうめ
「たまにはこうして
 皆で茶でも飲みながら――」
こうめ1.pngこうめ
「初心を振り返るのも良いな!」
こうめ4.pngこうめ
「まあ、つまり……
 おぬしに改めて礼を言いたいのじゃ!」
こうめ1.pngこうめ
「ありがとうの!」
小烏丸
「私からも、ありがとうございます。」
小烏丸B.png
白兎
「ご主人様、ありがとうー!」
白兎A.png
狛犬
「ありがとうッスー!
 突撃ッスー!」
狛犬A.png
天女
「ありがとうございます。」
天女F.png
こうめ4.pngこうめ
「これからも、
 皆と共に世の浄化に努めるぞ!」
こうめ1.pngこうめ
「もちろん、わしも一緒じゃ!」
これまでの感謝の気持ちを
○○に伝え、そしてこれからも主人と共に
世を住み良いものとしていくことを
誓った式姫達であった。

新たな旅路へ(小烏丸の思い出03)

折りたたみ
こうめ2.pngこうめ
「――おお、
 ついにここまで来たのじゃな!」
こうめ3.pngこうめ
「わし達がであった頃は、
 そこら中に物怪が蔓延り――」
こうめ5.pngこうめ
「とても人が住めるような
 状態ではなかったが……」
こうめ1.pngこうめ
「おぬしと式姫達のお陰で、
 この一帯は
 平和を取り戻すことが出来た。」
こうめ4.pngこうめ
「礼を言うぞ!」
小烏丸
「――私からも、
 お礼を言わせてください。」
小烏丸D.png
小烏丸
「ご主人様。
 私たちをここまで導いてくださり、
 ありがとうございます。」
小烏丸B.png
こうめ4.pngこうめ
「おお、小烏丸もおったのか!」
小烏丸
「私は常に、
 ご主人様のそばに
 控えていますので。」
小烏丸G.png
こうめ1.pngこうめ
「うむ、そうじゃったな!」
こうめ1.pngこうめ
「ほれ、○○。
 辺りを見渡してみよ。」
こうめ3.pngこうめ
「こんなにも美しい庭を
 おぬしは作り上げた。」
こうめ4.pngこうめ
「ただの庭ではない、
 式姫達の笑顔が溢れる
 この世に二つとないものじゃ!」
小烏丸
「この場所があるおかげで、
 私達は存分に物怪と戦えました。」
小烏丸B.png
こうめ1.pngこうめ
「まこと、帰る場所があるのは
 幸せなことじゃな!」
こうめ3.pngこうめ
「……さて、辺りに跋扈する
 物怪を討つという目標は達成した。」
こうめ1.pngこうめ
「このままこの庭で
 平穏に暮らすのも良いが……」
こうめ3.pngこうめ
「わしには一つ、
 考えがあってのう。」
小烏丸
「考え、ですか?」
小烏丸A.png
こうめ3.pngこうめ
「うむ。
 それは――」
こうめ1.pngこうめ
「この庭から……旅立つことじゃ!」
小烏丸
「旅立つ……?」
小烏丸A.png
こうめ4.pngこうめ
「そうじゃ!
 この地が平和になった今――」
こうめ1.pngこうめ
「わしはもっと広い世界を
 見てみたくなってのう!」
こうめ3.pngこうめ
「最初におぬしと共に
 この地の討伐に
 始めたころのように――」
こうめ1.pngこうめ
「他の地も清め、
 新たな安寧の場所を造るのも
 また一興だと思わぬか?」
小烏丸
「安寧の場所……」
小烏丸A.png
こうめ4.pngこうめ
「もちろん、式姫達もおぬしも、
 皆一緒に旅に出るのじゃ!」
狛犬
「――え! 皆で旅!?
 楽しそうッスー!」
狛犬C.png
狛犬
「早速出発ッスー!」
狛犬A.png
天女6.png天女
「――皆さん勢揃いで、
 どうしたんですかあ?」
白兎
「何して遊んでるのー?
 わたしも仲間に入れて欲しいなー!」
白兎A.png
小烏丸3.png小烏丸
「それが……こうめさんが、
 皆で新たな旅に出ようと……」
白兎
「皆で旅行へ行くのー?
 やったー!」
白兎A.png
天女
「ふふふ、
 それは賑やかで素敵ですね。」
天女E.png
こうめ1.pngこうめ
「皆も賛同してくれるようじゃな。
 ○○、おぬしはどうじゃ?」
狛犬
「ご主人様も一緒に行くッスー!
 絶対楽しいッスー!」
狛犬C.png
白兎3.png白兎
「うんうん!
 また皆で物怪を討伐して――」
白兎1.png白兎
「ここみたいな、
 素敵なところを作ろうよ!」
天女
「新しい出会いも
 あるかもしれませんねぇ。」
天女F.png
小烏丸6.png小烏丸
「私はご主人様の意思に従います。」
小烏丸2.png小烏丸
「どんな場所にいようと、
 私は……私達は常に
 ご主人様と共にあります。」
狛犬
「そうッスー!
 ずっと一緒ッスー!」
狛犬A.png
こうめ3.pngこうめ
「返事を
 もったいぶっておるようじゃが、
 おぬしの顔を見ればわかる。」
こうめ4.pngこうめ
「何しろ長い付き合いじゃからな!」
こうめ1.pngこうめ
「○○も決心したのならば、
 旅の準備を整えるのじゃ。」
白兎
「何を持って行こうかなー!」
白兎E.png
白兎
「そうだ、狛犬がくれた
 綺麗な石を持って行こう!」
白兎A.png
狛犬4.PNG狛犬
「狛犬も、宝物の
 木の枝を持って行くッスー!」
天女
「ふふふ、
 旅の準備というものは、
 心が躍りますね。」
天女E.png
こうめ4.pngこうめ
「うむ。
 皆が一緒だからこそじゃ!」
こうめ2.pngこうめ
「こうしてはおれん。」
こうめ3.pngこうめ
「わしも秘伝の梅干しを
 持って行かねばならんからな!」
小烏丸
「ご主人様、どれも思い入れある
 思い出の品ですが……」
小烏丸G.png
小烏丸
「さすがに飛び石は
 置いていかれてはいかがでしょう。」
小烏丸E.png
小烏丸
「私達もこの庭が大好きです。
 また戻って来られますよ。」
小烏丸B.png
小烏丸
「さあ、荷造りをお手伝いいたします。」
小烏丸B.png
こうめ4.pngこうめ
「うむ。
 新たな旅の始まりじゃ!」
こうして、この庭で
面白おかしく過ごした思い出を
各々胸に抱き、新たな旅路への一歩を
踏み出したのであった。