チチウイッカプイ

Last-modified: 2017-06-18 (日) 21:48:10

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チチウイッカプイ (Thisi-Viccapui)は、太古より極北東の氷に閉ざされた海と山に孤立して生存してきた部族である。少なくとも今までは。

国旗

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より東方の大陸から渡ってきたことを示す太陽の意匠があしらわれている。
紅白の背景の意味は不明。

概要

氷結した海の彼方に存在する半島は、大寒波到来以前から氷に閉ざされ、東ヤーディシア文明から認知すらされたことがない魔境である。

旧来の技術では外界の民が侵入することはほぼ不可能であった。
稀にチチウイッカプイの頑健な司祭が極東ヤーディシアの島や北ヤーディシアの草原地帯に現れ商取引をすることだけが、チチウイッカプイと外界の持つ唯一の交流であった。

東ヤーディシアの探検家が砕氷船を改良し、海氷を破ってチチウイッカプイの土地に足を踏み入れたのは、ほんの2年前の話である。

しかし、チチウイッカプイに足を踏み入れた「外国人」は、彼が最初ではなかった。
探検家はそこで未知の文明と、そして、いるはずのない人々と遭遇したのである。

地理

イルルクーツクク(4)

世界で一般に「雪原の都市」と言って想起されるのがこの町である。年中平均気温が-30℃とチチウイッカプイの中では非常に温暖で、そもそもチチウイッカプイ人は定住していない。
もっぱら西方の遊牧民が交易のために滞留する中継地である。彼らは、チチウイッカプイの司祭が巨大な荷車を引いてくるのを待っている。

ヤルルクーツクク(39)

極北の地。もはやそこに人は存在しない。
西方の遊牧民との交易のために、司祭が行き来するだけである。

マグデナ(40)

凍結港。ユーノスフリャーンスクと同様の漁が小規模に行われる程度で、そのほとんどは踏破困難な雪原である。

アヌディリ(41)

首都。海からのアクセスもなく、チチウイッカプイ人の手引きが無ければまず侵入できない秘境。
飛行機での侵入を試みたものもいるが、ほとんどは到達前に雪塵と極寒のために墜落しており、ごくわずかな生還者も、その物語がほら話にしか聞こえないために功績を認められていないでいる。

ユーノスフリャーンスク(42)

南海に面した凍結港。チチウイッカプイを訪れようとする者は、この地で司祭と接触する必要がある。
夏でも流氷や凍結箇所が多く、渡航には頑丈な砕氷船を必要とする。
冬には凍結面に生まれる巨大な穴を利用した漁が行われており、チチウイッカプイの食料供給源となっている。
この漁の中で、穴から偶然釣り上げられた記念碑石が、チチウイッカプイを大きく変えることになる。

政治

政治体制は古来からの部族的な合議制である。首長ポルタコルパも、優越した権限はほとんどない。
首脳陣は卓越した司祭で構成されている。
主に技術面から指導を行うアドバイザー集団がいるらしい・・・

用語

司祭

チチウイッカプイに住む超人。かつては純白の熊革服を着こんでいたが、最近は衣服の軽量化が図られ、特殊な合成繊維を用いた装束を着用している。
祭祀をつかさどるだけでなく、その異常な身体能力と寒気への適応力を駆使して全国を飛び回り、ヤルルクーツククやユーノスフリャーンスクでの交易や、外界からの訪問者への対応に従事している。

前史

ヤーディシアの列強がプラガヴィアや東ヤーディシアへの進出を進める中、陸軍国であったチクレシュッテン=メクスフォルト=フォロノワ=シャーレン四重帝国は出遅れていた。
プラガヴィアに植民地を建設しようという目論見は迷走し、もはや利潤を上げるための大陸外経営は絶望的であった。

そんな中、チーシャ連邦科学技術省の密命を帯びた科学者・技術者を中心とする一団が、北東ヤーディシアに到達した。
彼らはまだ通行可能だった東西ヤーディシアに5本の海底ケーブルと予備の電話線1本を渡し、雪と氷だけの大地に100%近代的な都市を建設、東ヤーディシア人もあずかり知らぬ奥地で、本国と連携た秘密裏のチーシャ流技術革新に貢献した。

大寒波。不意に、東西の交流が寸断された。
最新式だったはずの海底ケーブルが次々と落ちていく中、旧式の「ただ太い棒のような金属線を海底に沈めただけ」の予備電話線は生き続けた。
北東に取り残されたチーシャ人は、幸いにして自活できる都市を築いていた。彼らは独自の極寒生活を送りながら、本国との通信を続けて技術をアップデートし続けた。

しかし、その奇妙なイージーライフは永遠に続かなかった。
西ヤーディシアに発生した大戦で、チーシャ大同帝国が崩壊しようとする最中、東西最後の連絡線が機能停止した。
故国はどうなったのか。我々は先祖の土地に帰ることができるのか。
数代前に消え去った先住民の名を借りた彼らは、未開の面を被り、史上最大の迷走を開始した。