街 (1)

Last-modified: 2021-08-19 (木) 17:37:04
496 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 00:30 ID:.0bLTA6s

  俺は子供の頃からどこか曲がった人間だったらしい。
  幼稚園の砂場ではただ壊すためだけに砂の城を作り、
  小学校に上がった頃には完成したばかりのプラモデルを
  階段から転がすのが趣味みたいになっていたそうだ。


 
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497 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 00:30 ID:.0bLTA6s

  小学校高学年の頃、家庭科の時間に隣の女の子の手を
  縫針で突き刺した。その子はすぐ泣き出してしまい、
  教室は大騒ぎになって、先生にもひどく怒られた。
  アレがミスだったのか、それとも故意にやったのかは
  今でも思い出せない。



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498 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 00:31 ID:.0bLTA6s

  中学校に入っても俺はどこか曲がったままだった。
  最初の半年は普通に友達もいて楽しくやっていた。
  だがある日、持ち歩いていたナイフをみんなの前で
  落としてしまい、誰かが縫針の話を蒸し返したせいもあって
  みんなが俺を避けるようになった。


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499 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 00:31 ID:.0bLTA6s

  この頃から俺のナイフは牙をむくようになった。休み時間や放課後、
  こっそり職員駐車場に行き、その隅に集まっている猫を餌で釣り、
  耳や鼻を切り落としたりして遊んでいた。中には臭い奴もいたので
  消臭剤も一緒に持ち歩くようになった。
 



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500 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 00:31 ID:.0bLTA6s

  しかし、土の中に隠しておいた死体が見つかり、学校中に噂が広まった。
  全校集会でも校長や生活指導の先生がその話をした。しかし、
  俺が職員室に呼ばれることはなく、みんなは俺を疑いながらも誰一人として
  この件について語ろうとはしなかった。

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501 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 00:31 ID:.0bLTA6s

  そして俺は完全に孤立した。いつしか俺は図書室が拠点となり、
  そこで色々な本を読んで様々な知識を吸収した。そしてある本が
  俺の人生を決定づけた。その本には生物の体細胞のデータをもとに
  ゼロから生物を作る、クローン技術について書かれていた・・・

  
                ∧∧
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502 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 00:31 ID:.0bLTA6s

  ・・・それから俺は独学で生物学を学び、気が付くと
  大学を2年で卒業、立て続けに新技術を開発し、
  「生物学会の奇跡」とまで呼ばれるようになっていた。
  今は国の援助金で研究を進めている。
 
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503 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 00:32 ID:.0bLTA6s
  
  表向きは野菜だの家畜だの品種改良の研究を進めていたのだが・・・
  実は政府にも秘密のプロジェクトを着々と進めていた。そして今日。
  遂に完璧なクローン生物の開発に成功した。あの時から夢見ていた、
  何をしようと誰にも文句を言われない、俺だけの「猫」が・・・
    
        _____
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                                 つづく
























506 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 02:19 ID:.0bLTA6s

  彼女を試験官から出した途端、自分の目に映るもの全てが珍しいのか
  室内の研究機材、コップ、ライター・・・あらゆる物に興味を示していた。
  まあ無理もない。体は大人だが頭の中は赤子同然なのだから・・・
 
 

         ∧∧        ∧_∧ 
        (゚O゚*)       (    )
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        .~|  |        │ │ │
         U゛U        (_(__)


507 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 02:20 ID:.0bLTA6s

  やがて俺の存在に気付き、半ば反射的にあのポーズをとる。クローンと言えども
  この習性は変わらない。まあ当たり前と言えば当たり前なのだが・・・

   
 
          ∧∧        ∧_∧ 
         (*゚ー゚)       (    )
        / つ つ       (    )
       ~(  /         │ │ │
        U゛U         (_(__)


508 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 02:20 ID:.0bLTA6s

  まあノミはいないだろうし害もなさそうだから少しの間だけ好きにさせて見た。
  こうすることによって俺の中に眠る獣が次第に目を覚ましていくのだ・・・

     
 
                 ∧∧∧_∧ 
                 (*^ー^)    )
                 |  ⊃    )
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                   (_(__)


509 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 02:20 ID:.0bLTA6s

  そして俺の怒りと狂気が頂点に達した時・・・


       
                  ・., .
                 ∧.,,∵∧_∧ 
                (*゚O゚)(    )
                /U ⊃( つ   ) :;
              ~(_つノ  │ │ │ .:, ;:;>
                 (/  (_(__)


510 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 02:20 ID:.0bLTA6s

  あの頃の快感が蘇る・・・俺が長年追いつづけてきたのはこの瞬間だったのか・・・?

               
       
                  ;;. , ∧_∧ 
                   ∧.,,,∴ (    ) 
                (*;;O;=⊂    つ ⌒ 。
                 / @ ⊃ │ │ │
              ~( つ つ..;,.(_(__) .。..,⊂@..., :;>


511 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 02:21 ID:.0bLTA6s
  
  ・・・いや、今はどうでもいい・・・ただ壊すのみ・・・もっと奥まで・・・

     
       
               , .。;: ;・∧_∧ 
                ∴ :.,8 (    )  
               ∧..,, ,o;:8⊂    ) 
               ((*;;O)∩∩│ │ │
               ヽ..;,._;..,,ノ(_(__) .。..,⊂@..。., :;>


512 名前:( ´∀`)さん[sage] 投稿日:2002/04/30(水) 02:21 ID:.0bLTA6s

  ――ふと正気に戻り、彼女を見たが、もはや原形を留めぬ程の壊れようだった。
  しかし・・・まだ何かが足りない。俺が求めていた「破壊」にはまだ遠い・・・

  
       
 
                     ∧_∧ 
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                                        つづく




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