ダークナイト(映画)

Last-modified: 2024-05-12 (日) 14:04:51

登録日:2015-08-11 (火) 00:37:03
更新日:2024-05-12 (日) 14:04:51
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最凶の敵が、来る

『ダークナイト(The Dark Knight)』は、2008年の米映画。
映画バットマンシリーズ第6弾で、前作『バットマン ビギンズ』の続編。
前作から引き続き、監督はクリストファー・ノーラン、主演はクリスチャン・ベール。脚本はクリストファーと弟のジョナサン・ノーランが合同で担当。
アメコミ映画のタイトルには主人公またはチームの名前を冠するのが常識となっていたが、本作では原題の段階で「The Dark Knight」となり、主人公であるバットマンの名前を含まない大胆な題名になった。
そのタイトルの法則は『ダークナイト ライジング?』やスーパーマン映画の新シリーズ『マン・オブ・スティール?』にも受け継がれた。
元々「ダークナイト」とは原作におけるバットマンの異名であり、本作のストーリー自体がバットマンがそう呼ばれるようになった経緯を描いている。
本作の成功により、ノーラン版バットマンは「ダークナイト」の呼称が定着していき、最終的にはノーラン版3部作が『ダークナイト トリロジー』『ダークナイト3部作』等と呼ばれるきっかけにもなった。
日本での興行収入こそ奮わなかったものの、バットマンの宿敵・ジョーカーの登場による話題性に加え、前作以上に重厚な作風・ストーリーが高く評価され世界的な大ヒット作となった。

【物語】

マフィアと癒着のある銀行がピエロのマスクをかぶった強盗グループに襲撃される。
しかし、強盗達は一人、また一人と仲間を殺し始める。
最後に生き残った男がマスクを外すと、そこにはピエロのメイクを施した不気味な顔があった。

犯罪こそ最高のジョーク、と豪語するその男の名は「ジョーカー」。
ジョーカーの出現によってゴッサムシティはかつてない混乱に陥る。

【登場人物】

※日本語吹替は映像ソフト版/テレビ朝日日曜洋画劇場』の順で記載。

  • ブルース・ウェイン
    演:クリスチャン・ベール
    日本語吹替:檀臣幸/藤真秀

ウェイン・エンタープライズの会長で、ゴッサムシティ有数の大富豪。
アリバイ工作のためにボリジョイ・バレエ団のメンバーをクルージングに招待するなど、“裏の顔”を隠すことへの徹底ぶりは相変わらず。
本作ではそれとは逆に表の顔を利用して潜入捜査を行ったことも。

  • ハービー・デント
    演:アーロン・エッカート
    日本語吹替:木下浩之/井上和彦

市民から「光の騎士」とあだ名される新任地方検事で、レイチェルの恋人。
強い正義感と行動力を持ち、ブルースは「ハービーがいればバットマンは必要なくなる」と考える程高く評価している。
バットマンやゴードンと協力し、マフィアの半数を投獄する事に成功した。
行動を決定するコイントスで使用するコインは両面とも表であり、自分の行動は常に正義であるという信念を表している。

  • アルフレッド・ペニーワース
    演:マイケル・ケイン
    日本語吹替:小川真司/糸博

ウェイン家の老執事で、バットマンとしての活動もサポートする。
無関係な人々が犠牲になる事に苦悩するブルースにバットマンの役割と必要性を説く。

  • レイチェル・ドーズ
    演:マギー・ギレンホール
    日本語吹替:本田貴子/岡寛恵

ブルースで幼馴染でゴッサムの悪を法で裁く検事。
ブルースとの約束とハービーからのプロポーズの間で揺れていたが、
思いの丈を綴った手紙をアルフレッドに託す。
前作でレイチェルを演じたケイティ・ホームズはスケジュールの都合により降板…マギー・ギレンホールに変更となった。
日本語吹き替えキャストまで変更されたので、完全な別人である。

映像ソフト版における吹き替え担当の本田貴子氏は『キャットウーマン(映画)』でもペイシェンス・フィリップス/キャットウーマン役で出演しており、異なるDCコミックのヒロインを2度演じる事になった。

  • ジム・ゴードン
    演:ゲイリー・オールドマン
    日本語吹替:納谷六朗/立木文彦

ゴッサム市警の刑事でバットマンの協力者。
前作の活躍で昇進しており、そのおかげで捜査チームの中心人物として活躍しているものの、長年の職務において身に染み付いた中立性があらゆる行動に影響してしまっており、
劇中でハービーから「汚職警官の摘発」を進言された際には痛いところを突かれたような態度でマフィアの検挙を優先する等、ゴッサム市警における根本的な問題に対しては消極的であった*1
中盤でジョーカーの凶弾から市長を庇い……。

  • ルーシャス・フォックス
    演:モーガン・フリーマン
    日本語吹替:池田勝/坂口芳貞

ウェイン・エンタープライズの社長で応用科学部元室長。
バットマンの武装を製作し、ブルースをサポートする。
終盤あるシステムの使用法に関してバットマンと衝突する。

  • コールマン・リース
    演:ジョシュア・ハート
    日本語吹替:遊佐浩二/村治学

ウェイン・エンタープライズの会計士。
応用科学部の資金の動きからバットマンの正体を知る。
ニュース番組でバットマンの正体を暴露しようとしたものの、ゴッサムを混乱に陥れる材料としてジョーカーに利用される。

  • アンソニー・ガルシア市長
    演:ネスター・カーボネル
    日本語吹替:上田燿司/江原正士?

ゴッサムシティの市長。
市民から称賛されているハービーの正義感を評価しているが、その一方では多くを敵に回しかねないハイリスクな活動方針に対しては苦言を呈している。

  • マイケル・ワーツ
    演:ロン・ディーン
    日本語吹替:遠藤純一/楠見尚己
  • アンナ・ラミレス
    演:モニーク・ガブリエラ・カーネン
    日本語吹替:朴璐美?/東條加那子

ゴードンの部下達。
2人共汚職警官であるが、前作で登場したアーノルドと同じく黙認状態である。

  • ラウ
    演:チン・ハン
    日本語吹替:伊丸岡篤/横堀悦夫

香港系投資会社ラウ・ファンド社の社長。どこか前川清に似ている。
マフィアとの繋がりがばれ、香港の本社へ逃亡する。

【登場キャラクター】

⚫︎バットマン
ブルース・ウェインの裏の顔であり、闇に紛れてゴッサムの悪を裁く「闇の騎士(ダークナイト)」。
ゴッサムの人々を人質に取ったジョーカーの脅迫や、レイチェルとの関係に苦悩する。

⚫︎ジョナサン・クレイン/スケアクロウ
演:キリアン・マーフィー
日本語吹替:遊佐浩二/諏訪部順一?

冒頭、薬の取引でマフィアともめている所を偽バットマン、更に本物のバットマンの襲撃を受ける。
部下、マフィア、偽バットマン共々逮捕された。

⚫︎ジョーカー
演:ヒース・レジャー
日本語吹替:藤原啓治?大塚芳忠

ゴッサムシティに突如現れた指紋、DNA、歯形といった経歴が一切存在しない正体不明の犯罪者。
悪趣味な紫色のスーツに口元から耳に至る笑っているかのような傷跡と、ピエロ?のような不気味なメイクが特徴で、犯行現場には名刺代わりにトランプのジョーカーを残す。
特定の部下は持たず、犯行ごとに殺害し、使い捨てている。

爆発の派手さと安価さを理由にダイナマイトやガソリンによる破壊活動を行う。
殺人には相手が苦しむ様をゆっくり味わえるという理由からフォールディングナイフを好んで使用するが、拳銃を始めとする銃火器の扱いにも長けている。
身体能力はかなり高いが、流石にバットマン相手には一方的に叩きのめされており、バットマンが尻餅を付いたり、バットスーツに不備があった時でしかダメージを与えられなかった。
だが、逆に考えればその程度の身体能力しか持たない者がバットマンを苦しめ、ゴッサムを恐怖に陥れたのも、ジョーカーの恐るべき部分といえる。

上記のように自ら殺人・破壊活動も行うが、他人を自分と同じところまで堕とし、破滅させるのが常套手段である。
そのため、自分と同じ狂人でありながら正義を行おうとするバットマンには特に固執している。

マフィアの資金を強奪した後、マフィアのボスと奪った金の半分でバットマンを始末する契約を結ぶと、マスメディアを利用した劇場型犯罪でバットマンを精神的に追い詰め、自分を殺害させようと目論む。
しかし、バットマンとして名乗り出たハービーを追撃中に、バットマンと死を偽装していたゴードンによって逮捕された。

【メカニック】

⚫︎バットスーツ
ブルースの要望で柔軟性が上がったが、反面防御力は若干落ちた。腕のトゲは発射可能。

⚫︎バットモービル(タンブラー)
ジョーカーの発射したロケット弾からハービーの護送車をかばった際に深刻なダメージを負い、バットポッドを射出した後、破棄(自爆)された。

⚫︎バットポッド
タンブラーに新たに搭載されたオートバイ型脱出ユニット。
タイヤ内部にエンジンを内蔵しており、最高速度は169km/h。
前車輪には80mmブラスト砲、マシンガン、ワイヤー付きロケットアンカーを装備している。

追記・修正お願いします。


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※以下、ネタバレ注意……。

















































残酷な世の中で、唯一の正義は――運だ。

【物語・後半】

ジョーカーの逮捕は演技だった。
油断したハービーとレイチェルは、マフィアと繋がりのある警官によって爆弾とガソリン入りのドラム缶が仕掛けられた倉庫に閉じ込められてしまう。
ジョーカーから2人の居場所を聞き出し、バットマンはレイチェルの元へ、ゴードンはハービーの元へ向かう。
しかし、ジョーカーの巧みな誘導によりバットマンは2人の監禁場所を誤認しており、救出されたのはハービーのみだった。
レイチェルの救出は間に合わず、彼女は爆弾の爆発に巻き込まれて死亡してしまう。

⚫︎トゥーフェイス?
左半身の火傷、レイチェルの死、そしてジョーカーとの対話によって、ハービー・デントが悪への憎悪に支配された姿。
前述した出来事によって精神に変調をきたしたのは間違いないが、ハービーには元々危うい部分が存在し、ジョーカーはそこを見抜いていた。
(捕らえたジョーカーの部下に対する拷問や脅迫。両面表のエラーコインは彼の独善を表しているとも取れる)
「正義」よりも「運」こそが強く平等と考えるようになり、街の混乱に乗じて拳銃を使いマフィアのボスや汚職警官に私刑を下していく。
私刑執行の際も、両表コインの焦げて潰れた面を裏に見立てコイントスを行う。

【余談】

ポスターなどではジョーカーが全面的にピックアップされ、トゥーフェイスの登場は予告映像にて匂わせる程度で映画公開まで伏せられていた。
もっとも、トゥーフェイスの本名であるハービー・デントが登場するため勘のいいファンは気づいていた人もいた模様。

ちなみにジョーカーがハービーにかけるセリフが日本語版では一か所誤っており、公平さ(Fair)を恐怖(Fear)と誤訳してしまっている。
トゥーフェイスが物事を二者択一のコイントスで決めるようになることにつながる重要な部分のため、これから視聴する際はこの点に注意してみるといいだろう。

悪役・ジョーカーの背筋が凍りつくような狂気を原作通り、否、原作以上の形に完成させて演じきったヒース・レジャーの怪演は、バットマンファンのみならず多くの映画ファンの間で今なお伝説の演技として語られている。
武内P?こと声優の武内駿輔氏が演劇の道を志すことになったきっかけも本作でのヒースである。
ヒースはジョーカーを演じるにあたって1ヶ月間ホテルの一室に閉じこもって役作りを行ったという。

ヒースは本作公開を前に急性薬物中毒で急逝してしまったのだが、映画ファンの間では「ヒースが死んだのは役作りの過程でジョーカーに近づきすぎたために発狂したからでは?」という噂がまことしやかに囁かれている。
実際には根も葉もない噂でしかない*2のだが、逆に言えば、そのような噂が立つほどの名演技だったということだろう。
ヒース当人としては今作での演技は彼の自慢だったらしく、次回作の出演にも乗り気だったそうな。

ちなみに、ヒースの遺作は今作ではなく、テリー・ギリアム監督のダークファンタジー『Dr.パルナサスの鏡』。
未完成部分にはヒースと親交のあったジョニー・デップ、コリン・ファレル、ジュード・ロウを代役に立てて完成に漕ぎ着けた。

彼はヒーローじゃない。
静かなる追記・修正者、荒らしに目を光らせる番人。
wiki篭りだ。



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*1 前作よりはマシになってはいるものの、ゴッサム市警は未だに汚職警官が多く、ハービーがマークしている汚職警官全員を摘発しようものならゴードン1人で捜査しなければならなくなるほど汚職が蔓延している状況であった。
*2 実際の死因は彼が当時服用していた数種類の医療薬が反応し合って中毒症状を起こしてしまったから。有り体に言えば薬の副作用による事故死である。