パシフィック・リム

Last-modified: 2024-03-17 (日) 12:24:14

登録日:2013/10/14 (月) 02:20:21
更新日:2024-03-17 (日) 12:24:14
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Tag: 映画 曖昧さ回避 怪獣 怪獣プロレス 特撮 ハリウッド レジェンダリー・ピクチャーズ ロマン パシフィック・リム 菊地凛子 ロボット 進撃の巨人←ではない←むしろキングコング 海外作品 豪華声優陣 ワーナー・ブラザース チャーリー・ハナム イドリス・エルバ 杉田智和 林原めぐみ 玄田哲章 男のロマン 男の夢 心は少年 ギレルモデルトロ←世界一のオタク アニメ化 21年春アニメ 漢の義務教育 ギレルモ・デル・トロ



『この映画をモンスターマスター、レイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎?に捧ぐ』

パシフィック・リムとは

1.環太平洋諸国のこと。

2.2013年公開のSFモンスター映画。
ハリウッドの怪獣映画なんてアレだろ、と「GODZILLA(映画)」の怪獣映画としてのデキに絶望した日本の怪獣ファンも唸った、
ギレルモ・デル・トロの日本文化への重い愛と偏った知識が大爆発した世紀の怪作である。
制作は後にハリウッド版新ゴジラこと「GODZILLA ゴジラ」や「キングコング 髑髏島の巨神?」を手がけるレジェンダリー・ピクチャーズ、配給はワーナー・ブラザーズ。

本稿ではもちろん2について詳述する。1については地理の教科書とか読んでください。

●目次

あらすじ

2013年、北太平洋チャレンジャー海淵に突如として現れた、
次元の裂け目から這い出してきた「アックスヘッド」が、上陸地のサンフランシスコを廃墟に変えなおも進撃。
米軍の捨て身の総攻撃も通じず、やむを得ず核弾頭を3発使用しオークランド(アスレチックスの本拠地の方)を犠牲にアックスヘッドは葬るが、
その後も環太平洋地域に次々と怪獣が来襲。それに危機感を抱いた各国は環太平洋防衛軍(PPDC)を結成。

そして怪獣に立ち向かうための切り札である巨大ロボット兵器建造計画「イェーガー・プログラム」を発動。
そうして作り上げたイェーガーの活躍で、深海より襲い来る「KAIJU(これ以降本稿では特に必要のない限り怪獣と記載)」に対しても優勢に戦っていた。
しかし、怪獣もイェーガーの行動を学習し強化されていきイェーガーの損耗率も高まり、更にイェーガーの建造費維持費が環太平洋諸国の財政を圧迫。
進退窮まったPPDC参加各国政府は「命の壁」という巨大な防壁を築き、逃げ隠れる道を選択。
しかし、PPDCは香港のイェーガーの基地「シャッタードーム」に残存した各国のイェーガーを集め、深海底の次元の裂け目を破壊、怪獣出現の根絶を図る。
2025年初頭、文明を破壊せんとする怪獣と人類の存亡をかけた壮絶な死闘が始まるのだった。

登場人物

メインキャラ

  • ローリー・ベケット(演:チャーリー・ハナム 日本語吹替:杉田智和
    本作の主人公。アメリカ製造のイェーガー「ジプシー・デンジャー」を駆る。
    経験のあるパイロットで、撃破数も多い方であったが、
    作中冒頭のナイフヘッドとの戦いで兄のヤンシーを失い、辛くもナイフヘッドは撃破し帰還するがトラウマになってしまい
    アラスカの命の壁工事現場を転々としながらそこで壁を作る仕事に従事していた。
    ペントコスト司令にケツをひっぱたかれ、ナイフヘッドとの戦いで損傷後放置されていたが、決戦に向け近代化改装を施され復活したジプシーと現役に復帰する。
    フランス系で、兄の他に妹がいる。
  • 森マコ(演:菊地凛子 日本語吹替:林原めぐみ 幼年期:芦田愛菜)
    本作のヒロイン。ローリーとはいい感じになるけどキスの一つもないからご安心ください。一応互いに惹かれてはいるようだが。
    かつて東京に現れた怪獣により家族を失い、当時日本所属のイェーガーパイロットだったペントコストに養女として引き取られる。
    パイロット適性は高いが、義父でありPPDCの上官でもあるペントコストによりパイロットとしての道を閉ざされていた。
    ジプシー・デンジャーの近代化改装にも携わるなど、エンジニアとしても才覚がある模様。
    日本語を片言程度にしか話せない設定があり、劇中でもそれを活かした小気味良いアメリカンな会話がある。ただし吹替版を見ているとわからない。
    森家は20代続く刀匠・刃物鍛冶の一族らしく、ジプシーに搭載された切り札はその知見が生きていると言えなくもない。
    父はまさお、母はすまこで、京都弁話者らしい。
  • スタッカー・ペントコスト(演:イドリス・エルバ 日本語吹替:玄田哲章
    PPDCの司令官。冒頭ではローリーとヤンシーが所属していたアンカレッジ基地の司令であった。
    謹厳で司令としての職務に忠実であんまり悪い司令ではないのだが、声のせいで策が失敗するようにしか思えない。
    まあ、怪獣の猛攻を予期しきれず戦力の逐次投入の愚を犯して僅かな戦力を失ってしまったのだが……。
    かつて日本所属のイェーガー「コヨーテ・タンゴ」のパイロットだったが、不十分な放射線シールドにより被爆し、末期癌を患っており余命はそう長くない。
    上記の通り日本に滞在していた経験があるため、外国人助っ人選手程度には日本語が話せるらしい。

イェーガーパイロット

  • ハーク・ハンセン(演:マックス・マルティーニ 日本語吹替:池田秀一?
    ANZAC所属のイェーガーパイロット。かつては空軍の腕利きでもあった。
    怪獣との戦い「KAIJU War」に於いてほぼずっと前線に立ち続け、
    イェーガーも最も古いモデルから最新鋭機まで乗り続けている。ペントコストとは戦友であり仲が良い。
    現在の乗機は最新鋭機「ストライカー・エウレカ」。残念だが赤くない。でもイェーガーとしては速い。
    子育てに失敗したのが最近の悩み。そらシャア?なら……あの人は失敗する前にアレか。
    ちなみにハークは愛称で、ハーキュリーズ(ヘラクレスの英語読み)が本名である。12回殺さないと死なないわけじゃない。
    実際に死ななかったけどな!
  • チャック・ハンセン(演:ロバート・カジンスキー 日本語吹替:浪川大輔?
    ANZAC所属のイェーガーパイロット。ハークの悩みの種である実子。
    完璧主義者故、ローリーを「兄を犠牲に生き延びたキョシヌケ野郎」と見ており、
    事あるごとにバカにするし、初のイェーガー操縦を失敗したマコに「親のコネでパイロットになったド素人」と悪態をついたり、年故に判断や反応にキレがなくなりつつある父もライバル視して見下し気味な、なんか初見だとウザい子。
    ただし、彼らが戦っているのは一瞬の判断ミスが作戦の成否に繋がる対怪獣戦であり、一概に彼を非難することも出来ないだろう。
    母の死の真実や父の本音を知りながらも、それを上手く消化できない長引きすぎな反抗期真っ盛り野郎だが、ローリーやマコのように見下した相手も結果を出せば認めるくらいの器量はある。
  • タン三兄弟(演:チャールズ・ルー、ランス・ルー、マーク・ルー 日本語吹替:三宅貴大)
    中国のイェーガーパイロット。三つ子。ちなみに俳優さんも三つ子。
    主な舞台となる香港では知らぬ者のない英雄であり、
    三つ子という特性を活かした必殺技「雷雲旋風拳(サンダークラウドフォーメーション)」は怪獣を無慈悲に切り裂く。
    ちなみに武器や戦略などにも造詣が深いため、パイロットとして以外の貢献度も高いらしい。
  • カイダノフスキー夫妻(演:ロバート・マイエ、ヘザー・ドークセン 日本語吹替:木村雅史、愛河里花子)
    ロシアのイェーガーパイロット夫妻で、
    2mを超える体躯を誇る夫のアレクシス、女性としては長身で切れると夫より怖いサーシャのコンビ。
    無骨かつパワーでぶん殴る愛機とそっくりな二人である。
    ブリーチ破壊作戦で使用された核は彼らが調達した。ペントコスト曰くなんでも調達出来るとかなんとか。

その他重要キャラクター

  • ニュートン・ガイズラー(演:チャーリー・デイ 日本語吹替:古谷徹?
    PPDC所属の科学士官。生物的な面から怪獣の謎を解き明かそうとする。
    父はピアノ調律師、母は世界的オペラ歌手。ギーク丸出しだがシド・ヴィシャスに憧れるなどパンクロック的要素を好む。(映像特典より)
    全身に怪獣のタトゥーを入れるくらいの怪獣マニア。
    怪獣にロマンを見出しており、それを理解できない固い頭のゴットリープとは折り合いが悪い。
    BD映像特典によると、昔怪獣についてハーマンと文通していた頃は激論を交わし合うなど割と良好な仲だったらしいが、対面した結果が最悪だったようだ。
    年齢は45歳だが、精神年齢は12歳らしい。(映像特典より)
    声はアムロだが、別にイェーガーを上手く扱えたりサイコフレームの共振で奇跡を起こしたりしない。
    しかし、彼の取った行動が終盤での突破口を開く。
  • ハーマン・ゴットリープ(演:バーン・ゴーマン 日本語吹替:三ツ矢雄二
    PPDC所属の科学士官。数理学者であり、数学的アプローチから怪獣の出現周期を探る。
    BD映像特典によると彼の父はイェーガーを考えだした科学者らしく、父の才覚をうまく継いだようだ。
    つまり、彼がブンドドやってたのがイェーガー開発のきっかけになったようなのだが……まあ、
    Tail from Year Zeroのあの人の息子ということは苦労したんだろうか……。
    ニュートとは文通していた頃は意気投合していたらしい。
    超のつく潔癖症で、怪獣のモツを持っても平気で手も洗わずに触ろうとし、理屈を軽視する傾向にあるガイズラーとは折り合いが悪い。
    他にも性格面での折り合いが最悪だったが、ある出来事を期に和解。ガイズラーと取った行動が終盤での突破口を開く。
  • ハンニバル・チャウ(演:ロン・パールマン 日本語吹替:ケンドーコバヤシ?
    香港を拠点に、怪獣の死骸から回収した臓器や皮膚、寄生虫など大概のものを売りさばく闇商人。
    この世界では怪獣のモツを漢方薬などにする需要があるらしい。まさに終末論の世界。
    各国政府の資金を失ったPPDCに怪獣の死骸の独占権を譲ってもらう見返りに資金提供をしているくらいには繁盛している模様。
    デルトロ監督作品の常連であるロン・パールマンが演じた役だけあって中盤以降色々と活躍する。
  • テンドー・チョイ(演:クリフトン・コリンズJr. 日本語吹替:千葉繁
    イェーガーチームのオペレーター。ローリーとの付き合いはアンカレッジ基地時代からと長い。
    吹替があの千葉繁だが、うるさくはないよ!
    怪獣の認識名の考案も行っている様で、ナイフヘッドやオオタチ、スラターンあたりは彼の考案。
    真面目な性格だが、スペイン風のレトロファッションを愛する洒落者でもある。

イェーガー

独立項目があるので詳細はそっち?を参照していただきたい。
ここでは詳述しないのでざっくり言うと、二人一組で動きをトレースして動かす怪獣狩りの巨大ロボットである。うーん、ロマン。

作中登場機

  • ジプシー・デンジャー
    主人公機。青いボディが特徴で格闘戦を得意とする。一回大破させられたが復活した不屈の機体。
    必殺武器はプラズマキャノンとチェーンソード。
  • ストライカー・エウレカ
    最高の性能を持つとされる最新鋭イェーガー。デザインはジプシー用に書かれたものらしい。
    胸部に格納された対怪獣六連装ミサイルランチャー「エア・ミサイル」一斉射撃は怪獣の息の根を容易く止めうる威力。
  • チェルノ・アルファ
    パシフィック・リムファンのアイドル(異論は認める)。
    頭でっかちで若干ファンシーさを醸し出すが、
    回避をせずに装甲ですべて受け、代わりにひたすらぶん殴って怪獣を殺す男の中の男めいた機体。
  • クリムゾン・タイフーン
    中国雑技団っぽいイェーガー。右腕2本、左腕1本の3本腕ロボ。
    必殺技は雷雲旋風拳(サンダークラウドフォーメーション)。
  • コヨーテ・タンゴ
    日本のイェーガー。射撃武器ばっかりという仕様。
    本編では本格戦闘はしない。がっかり。
  • タシット・ローニン、ホライゾン・ブレイヴ、ロミオ・ブルー
    冒頭に少しだけ姿を見せるイェーガー。

怪獣

海の底に空いたゲートから出現する巨大生物。外見のバリエーションは多いように見えて色味はだいたい同じ。
人類を滅ぼさんとする挙動を取る。

作中登場怪獣

詳しくはこちら?
前述するように言語からして「KAIJU」と表記されている。

  • アックスヘッド(トレスパッサー)
    2013年に初めて地球に現れた怪獣。サンフランシスコの金門橋をぶっ壊し衝撃を与えた。
    初めての戦いとなったため討伐に時間がかかってしまい、6日間で3つの都市を破壊。核兵器でオークランドごと葬られた。
  • オニババ
    東京を襲った怪獣。コヨーテ・タンゴにより討伐されたが、
    3時間仕事になってしまいパイロットは被曝し重病を患うことになった。名前が酷い。
  • ナイフヘッド
    ナイフヘッド君としてマスコットもやっている怪獣。
    冒頭で「ジプシー・デンジャー」を大破させヤンシーを食い殺したが、ジプシーに撃破された。
  • ムタヴォア(ブレードヘッド)
    シドニーに現れ、命の壁を破壊し籠城作戦をぶち壊しにした。
    しかし、壁の破壊でバテたのかあっけなく撃破された。
  • レザーバック
    ゴリラめいたボディを持つ怪獣。機敏かつパワフルで、豪腕の一撃は軟なイェーガーなら耐えられない。
    脳筋に見えるが、背部の器官からEMPバーストを放ち電子機器をダウンさせるテクニカルな戦法も披露した。
  • オオタチ
    ポケモンとは関係ない。体液の毒性が非常に高く体液ぶっ掛けが必殺技になる。
    海も泳げるし陸でも素早く、さらに前脚の飛膜を広げて成層圏の上まで飛んでいけるトンデモスペックの怪獣。
    怪獣の中でも明確に性別の推定ができる要素がある存在。
  • ライジュウ
    ワニのような体の怪獣。水中での高速戦闘に特化している。
    ガボラっぽい頭を覆う外骨格があり、これを閉じての高速突撃は危ない。
  • スカナー
    デッカイ角が特徴的な怪獣。刃物を深々と頭に突き立てられて海底火山に投げ入れられても仲間の救援に向かうくらいにはタフ。
  • スラターン
    観測史上最大の怪獣。オオタチ以上の猛毒体液と自由自在に動く尻尾が武器。
    水爆の攻撃にも耐えるとんでもないタフさを誇る。

以下ネタバレ

先駆者プリカーサー
怪獣を送り込んでいた文明を築いた、異世界『アンティヴァース』の住人。地球侵略を狙い、クローン技術を使用し怪獣を作り上げ、チャレンジャー海淵から送り込んだ張本人。
二対の腕や膜を持つ外観が特徴。

命の壁

イェーガー運用で疲弊した環太平洋諸国が、イェーガーでの抗戦を放棄し代わりに都市を護るために作った壁をこう呼んでいる。
ただ、ムタヴォアに真っ向からぶち壊された上、オオタチのように空を飛ぶ怪獣まで現れたため、
費用がかかるし弱いからと放棄したイェーガー以下の役立たずになってしまった。
とある漫画のウォールマリアだってもっと粘ったぞ。

評判・興行収入など

VFXの素晴らしさや、怪獣やイェーガーの重量感ある表現に評価の重点を置く人種には非常に高評価であった。
特に小島監督は大絶賛で、ツイッターでもパシフィック・リム関連のことを多々つぶやいていた。
他にも永井豪などマンガやアニメ、特撮に携わったり造詣の深い人種にはワクワクがとまんねぇぞ!と非常に好意的に受け入れられた。
筆者も冒頭のアックスヘッドに肉薄して叩き落とされたF-22を見て大興奮したものである。
しかし、特撮慣れしていないラブストーリーやなんかも見たりする批評家やハリウッド大作に飛びつく人種にはストーリー面での薄さが気になるようで、向き不向きが激しい映画といえる。

興行収入は全世界で4億ドルで、制作費の1億9千万ドルはなんとか回収出来た模様。続編の計画もあるとか。
あの終わり方で続編とかゼツボー的に勝ち目がないぜ!
ちなみに、中国での初週興行収入はワーナー・ブラザース配給の映画として歴代最高の数字を叩き出した。
日本ではBD/DVDの予約が始まってすぐにネット通販サイトの殆どで瞬殺されるという、ハリウッド映画としては異例の事態が発生。
オタクに人気のコンテンツをなめてはいけなかった。転売ヤー殺すべし、慈悲はない。
そのため、プレミアム限定版が5000セットから5000セット増産となり10000セットとなった。
興味がある人は是非買ってみて欲しいが、この映画の真価は3D、特にIMAXシアターでこそ発揮されるので是非見ていただきたかったが…
と思っていたら、一部劇場で2013年10月からリバイバル上映が決まった。未見なら是非。

2018年4月には続編の『パシフィック・リム:アップライジング』が公開された。
監督はデル・トロ氏に代わり、Netflixドラマ『デアデビル』のスティーブン・デナイトが担当。
こちらはイェーガーが怪獣映画というよりロボットアニメ風の動きをする方向に路線変更したり、前作のキャラクターがまさかの展開になったりするため1作目のファンからは賛否両論。

2021年にはスピンオフのアニメ『パシフィック・リム:暗黒の大陸』がNetflixで配信された。

加筆・修正はドリフトして記事とのニュートラル・シェイクハンドが済んでからお願いします。



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