ブルーコスモス(ガンダムSEED)

Last-modified: 2024-03-12 (火) 23:03:59

登録日:2021/06/29 Tue 09:16:00
更新日:2024-03-12 (火) 23:03:59
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▽コメント欄
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核攻撃隊を出せ!目標はプラント群だ!!
あの忌々しい砂時計…一基残らず叩き落とすんだ!




今度こそ奴らの全てに死を!



くたばれ!宇宙(そら)の化け物!!



『青き清浄なる世界のために!!』



「ブルーコスモス(BLUE COSMOS)」とは『機動戦士ガンダムSEEDシリーズ?』に登場する市民団体及び思想主義。
同時にC.E.世界の人類に根付いてしまったイデオロギーを意味する単語でもある。

【概要】

「青き清浄なる世界のために」というナチュラル原理主義を題目に、反プラント、反コーディネイターを標榜する過激な政治結社にして市民団体。
コーディネイターを差別し憎悪する思想故に劇中では多種多様なテロや破壊活動、本編で起きた様々な悲劇に関与した。
作中で反コーディネイター思想やブルーコスモス思想が干渉して引き起こしたとされる代表的なものとして以下のものが挙げられる。

※一覧
年度事件
C.E.17年コーディネイター生成を行っていたシカゴの病院に対する焼き討ちで医師・看護士、入院患者らが一方的に虐殺。
(ブルーコスモスの関与が噂されたが真相不明)
C.E.40年以降思想に染まった軍人や一般市民による無差別なコーディネイター、コーディネイター研究者の暗殺・殺人・テロ行為多数勃発。
(なおこの流れで後にキラカガリ?の両親・ヒビキ夫妻は死亡する
C.E.53年ジョージ・グレン暗殺?(実行犯のナチュラルの少年の背後で糸を引いていた疑惑がある。あくまで疑惑止まり)
C.E.63年プラント内でのブルーコスモスによるテロの実行。
なおこのせいでプラント全体で深刻なエネルギー危機が発生。プラント側の独立の気運が高まる。
C.E.68年コロニー・メンデルへのテロ攻撃により死傷者多数。同時にメンデル内でバイオハザードが発生したことでコロニーが閉鎖。
C.E.70年プラント理事国との対談に向かうプラント評議会代表団への襲撃。結果1名が死亡*1
(実行犯はブルーコスモスだが黒幕はプラント理事国だった模様)
2月14日、思想に染まった将校が独断で血のバレンタイン事件?を実行
C.E.71年味方の地球軍兵士を捨て駒兼囮にしてのサイクロプスによるザフト軍殲滅
マスドライバーの徴発を目的としたオーブ連合首長国への侵攻
宇宙要塞ボアズ及びプラント本国への核攻撃(三隻同盟の奮闘によりプラントへの命中弾は無し)
C.E.73年プラント軍事施設アーモリーワンへのファントムペイン襲撃。
デストロイガンダム?の投入によるザフト駐留軍殲滅と同時に民間人の大量虐殺?
なお「民間人を巻き添えにして」ではなく民間人も意図的な攻撃対象である。
軌道間全方位戦略砲レクイエム?によるプラント本国への砲撃で民間人(推定)100万~300万人以上*2の大量虐殺。

このように、ざっと挙げただけでも関係した事件の血生臭さは歴代ガンダムシリーズの中でも群を抜く。
C.E.世界では反コーディネイターを掲げてのテロ行為全般は、例えブルーコスモス以外の団体であっても「ブルーコスモス系」と一括りにされているらしく、
『SEED DESTINY』の作中で「ブルーコスモス系テロリストによるテロ」とニュースで取り上げられるほど、『反コーディネイター思想=ブルーコスモス』の認識が世間一般にも浸透している。
そもそも、コーディネイターたちが『プラント』を建造してそこに続々と移住し始めたのには、ブルーコスモスに代表される反コーディネイター思想主義者達からの過激な差別・迫害から逃れるためという要因も大きく、バルトフェルド?「なんでコーディネイターを討つのが青き清浄なる世界のためなんだか…」「プラントとしては、そんなわけのわからん理由で討たれるのはたまらんさ」と辟易した口調で愚痴っている。
ブルーコスモスや関連団体によるコーディネイターへの過激な差別・迫害がなければ、『プラント』及び『Z.A.F.T.』は設立されないか、設立されるとしても確実に本編よりも遅かったと思われる。
何なら第1次連合・プラント大戦?すら起こることは無かったかもしれない。

このことから、『SEED』の劇中世界・歴史においてブルーコスモスの存在がナチュラルとコーディネイターの関係悪化に拍車をかけたのは間違いなく、『SEED』で描かれた時代に地球連合とプラントというそれぞれの共同体が、互いの存在を掛けた絶滅戦争を引き起こした要因・元凶の一つであることは疑いようがない事実と言える。

【歴史と変遷】

元々はアズラエル財団が結成した自然保護団体が母体。
初期は「遺伝子操作によって生まれるコーディネイターの存在は生命論理違反である」という考えから弾圧や反対デモを行う程度だったが、

  • C.E.22年のEvidence01*3の発見によりC.E.30年頃から弱体化を始めたキリスト教やイスラム教といった旧宗教の原理主義者・過激派・狂信派が合流。
  • C.E.52年のS2インフルエンザの大流行に乗じた「S2インフルエンザの流行はコーディネイター側のジョージ・グレン暗殺に対する報復やナチュラル殲滅作戦が原因である」といった陰謀論やデマ同然の噂の流布。
  • C.E.55年に国際法でコーディネイターの出産は禁じられたにもかかわらず違法に生まれ続ける事に不満を覚えた一部のメンバーが過激派に変貌。
  • C.E.70年の『エイプリルフール・クライシス』*4による社会不安の拡大と、エイプリルフール・クライシスに代表されるZ.A.F.T.の行動*5への反発。
  • 優れた能力と選民思想、優生思想でマウントを取ってくるコーディネイター達に対する不平不満や嫉妬、恐怖の蓄積と蔓延。

といった様々な要素が重なった結果思想が次第に肥大・先鋭化。
本編のようなコーディネイターへの差別思想に凝り固まり、彼らを排除するためなら過激な政治ロビー活動や迫害、ヘイトクライム、暗殺?、テロ行為すらも辞さない危険な思想主義へと変貌した。
なお、当たり前ではあるが構成員全員が暗殺者やテロリストという訳ではなく、初期のようにテロに走らず政治的ロビー活動や市民運動レベルのデモ行進程度に行動を収めるギリギリ良識的(?)な集団もいる。特定人種にそういった攻撃的な行動を取る時点で良識的かは疑問ではあるが。

加えてコペルニクスの悲劇や長年のコーディネイターへの迫害やテロ行為で遂にキレたプラント側が報復として地球側への物資輸出を停止した結果プラントの生産力に頼っていた理事国側は困窮。
これに目を付けた各政府の宣伝活動により反プラント・反コーディネイター感情が植えつけられてしまい、世界各地でブルーコスモス思想が加速・蔓延する遠因にもなった。

思想蔓延に伴う悪影響

第1次連合・プラント大戦の激化や長期化に伴い、単純明快な題目に共感した地球連合軍の兵士にもブルーコスモスの過激思想が蔓延を始める。
終盤ではサイクロプス?が用いられた『オペレーション・スピットブレイク』でブルーコスモスの派閥勢力が相対的に強まったこともあり、
本来、地球連合軍からすると直接戦争とは関係のない民間人であるブルーコスモスの盟主が戦争及び戦略立案に直接介入できるほど強い影響力を獲得してしまった。
結果第1次連合・プラント大戦では多くの軍人がブルーコスモス思想に染まってしまい、ブルーコスモスの思想と彼らが掲げる「青き清浄なる世界のために」という題目は、

『コーディネイターを排除する(=殺す)ためならどんな非人道的で残虐な手段を使っても正当化される』

という免罪符へと変貌。連合軍内ではコーディネイターを憎む歪んだ考えで戦う狂気の兵士で溢れ返ってしまうなど、最早カルト思想の様相を呈していく。
こうなってしまうと最早組織の自浄作用は期待できず、コーディネイターを同じ人類ではなく「どんなに残酷に殺しても許される化物」とする差別的認識が軍部を超えて世界規模で蔓延。
本来なら「抑止力」として用いられるはずの核ミサイル?あたかも通常のミサイル兵器感覚で濫用し始め、末端の兵士も核兵器による民間人の大量虐殺に加担することに事に何の疑問も覚えないどころか、嬉々として加担するようになった。

極端な者になるとコーディネイターそのもののみならず親プラント派の地域、更には地球連合に協力しない中立国までも同様に敵と見做しており、
例えば『SEED』では、中立を表明しているオーブ連合首長国に対し、

  • 「地球国家でありながら我が身可愛さに自分だけ平和を謳歌しようとする卑怯者(要約)」
  • 「共に『人類の敵(プラント)』と戦うと表明しないのであればプラント支援国家と判断する」

という、ほとんど難癖に近い一方的な宣戦布告*6をして攻撃を仕掛けて最終的にオーブ連合首長国壊滅の引き金を引き、
『DESTINY』では、ザフトを進んで受け入れたベルリンに対し巨大MSデストロイの投入を以て粛清、一般市民を大量に殺戮する惨劇を引き起こしている。
ベルリン粛清については流石にロゴスメンバーからの疑問の声も無かった訳ではないが、
トップのジブリールは「例えナチュラルであろうが、コーディネイターと馴れ合うような裏切り者はこの様に地獄に落ちる(発言大意)」とまるで意に介さなかった。

【組織構造】

あくまでも「市民団体」であるため軍には属さず、過去のガンダムシリーズの似た組織であるティターンズのような明確な組織系統図は存在せず、私兵ともいえる軍事組織も保有していない。
一応ブルーコスモス主義者の内、政治面で特に有力な人物は「盟主」と呼ばれ事実上のブルーコスモスの指導者に位置する。

特色として「『コーディネイターに反対』という意見立場を取る者なら誰でもブルーコスモスを名乗って良い」という意外な程の懐の広さがあり、
構成員の大半はナチュラルだが、自らの出自に悩んだ結果ブルーコスモス思想に行き着いたコーディネイターも僅かだが存在する。
この、

  • 場合によってはコーディネイターすら取り込める敷居の異様な低さと懐の広さ
  • 老若男女でも直感的に理解しやすい単純明快な分かりやすさ

がSEED世界の地球で絶大な影響力と支持を有してしまう原因となり、C.E.68年には末端の自称も含めれば全世界の支持者数は統計で数十万人規模に膨れ上がったともされる。
なお反コーディネイター運動が最大限に膨れ上がったのはあくまでもC.E.70年である上に、反コーディネイター思想に共感してしまう些細な差別感情や嫌悪すらも極端な話ブルーコスモスの範疇に収まってしまうため、
統計に入っていない潜在的な支持者も含めれば最盛期の支持者数は数百万人、或いはそれ以上になっていた可能性もある。

結果、地球の社会のありとあらゆる団体に支持者が存在。
構成員の国籍、年齢、職業、立場も様々で各国の政財界や地球連合軍部にも根を張っている…というより完全に癒着している。
C.E.71年の大戦末期には地球連合軍の末端から上層部に至るまでの多くの兵士ブルーコスモス思想に染まってしまい、結果としてプラントと地球との絶滅戦争を加速させる遠因となってしまう。
上で「明確な私兵は持たない」と表現したが、厳密に言えば大西洋連邦そのものが事実上のブルーコスモスの私兵へと変貌してしまったとも言えなくもない。
何ならコーディネイターを憎む過激化・暴徒化した一般市民達もまたブルーコスモスの私兵であると言える。
後にブルーコスモスと深い繋がりを持つロゴス直属の私兵「ファントムペイン」が結成され、ブルーコスモスの実質的な私兵として運用された。
連合側を擁護するなら、あくまでブルーコスモス思想は連合軍で全面的に受け入れられている訳ではない。
実際軍の会議中もオーブ侵略やプラント本国への核攻撃によるコーディネイター虐殺に難色を示す良識のある将校もそれなりに多い。

  • アズラエルのオーブ攻撃をあたかも新型兵器のデモンストレーションの場として見なすかのような言動やコーディネイターへの差別発言に対して難色や嫌悪を表す将校
  • 血のバレンタインの話題になった際には「あれは君達が…」とアズラエル及びブルーコスモスを批判する声を上げる上級将校

といった人達もそれなりにいた。
とはいえ、結局アズラエルを抑制するどころかアズラエルに睨みつけられただけで黙らされ、オーブ侵攻やプラントへの核攻撃も実行に移されているため、
『SEED』後半では地球連合軍の上層部はブルーコスモスに逆らえず、その傀儡と化していると言っても過言ではない状態であった。

『DESTINY』では詳細は不明だが前大戦の影響で勢いが弱まっており、直属とも言えるファントム・ペインを除くと、ブルーコスモスが思うままに操れる軍隊というものはほとんどなくなっている。
動員に成功しているところもあるがそれも脅したり話を付けて借りている様な状態で、とてもではないが大軍からは程遠かった。
そんな状態だったこともあり、作中後半のベルリン粛清やレクイエム発射といった暴挙の後には地球軍を離反し、ザフトやオーブ軍側に付いた者も小規模艦隊ほどの数出ていた。
一方で元々連合も一枚岩ではないことや、地球に対する恐怖政治を敷いたりしたデュランダルなども相まって、ブルーコスモスを取り巻く環境が更にややこしくなっていた側面もある。

ロゴス

「残っていればね…」
「残りを纏めるんでしょう?憎しみという愛で…」
「しかし…どれほどの被害になるのかね?」「戦争は良いが、こういうのは困るねぇ…」
「どちらにせよ、『青き清浄なる世界のために』さ」

『SEED DESTINY』に登場した秘密結社にしてブルーコスモスの上位組織。
地球圏の軍事、金融、化学、穀物生産といった産業を支える大企業の大物経営者10人で構成されており、中にはブルーコスモスの盟主も存在する。
彼らが地球圏全体の経済を支えているといっても過言ではなく、ブルーコスモスの活動の資金源としても機能。
そしてその経済や社会への影響力から世論の情報操作も容易に可能にしており、地球連合軍上層部側のシンパと合わせて極めて短時間のうちに世論を反コーディネイターに染め上げるほどの力を持つ。
おまけに地球連合軍の軍部ともズブズブに癒着しているため、戦争特需で利益を得るための手段としてブルーコスモスの活動やイデオロギーを利用していた節が見られ、
利益目的だけで長年プラントと地球の対立を煽り、軍人・民間人問わず犠牲が出る戦争やブルーコスモスのテロ活動を激化させていたという。
当然兵器生産や物資供給にも深く関わっているため、彼らの威光が地球連合をブルーコスモスに逆らえない下僕同然に変えてしまった原因であったともいえる。
インタビューによれば「歴代のアメリカ大統領を決めて戦争を起こすのも終わらせるのも彼らであり、人類の悪意が集まっているような存在」だったとか。

また彼らはあくまでブルーコスモスという存在や反コーディネイター思想を戦争経済を効率的に回すための便利な思想の1つとしか思っていなかった様子。
実際コーディネイター抹殺への意識を滾らせていた熱意あるメンバーは『DESTINY』の時点でジブリール以外だと何と0人。
コーディネイター殲滅にさほど熱意を持っていない彼らの言動に、直接文句を言う事はせずとも、会議が終わって一人になった途端に不機嫌さを露わにし、苛立つジブリールの姿も見受けられた。
つまるところ、ロゴスにとってブルーコスモスの思想も、それによって奪われる人命も、自分たちの私腹を肥やし経済を回すための手段でしかなかった。
デストロイガンダムを用いたベルリンでの大量虐殺を見て辟易するかのような口調をしていた者もおり、逆に言えばロゴスの大半はブルーコスモス過激派やザラ派とは異なり、敵対者を滅ぼすなんてことは望んでいなかったと言える。

だがそんな世界経済を牛耳る秘密結社も、よりにもよってC.E.71年の大戦末期の頃のブルーコスモスのトップがコーディネイター排除の急先鋒といえるムルタ・アズラエル?だったことで暴走。
彼がブルーコスモスを扇動してプラントを抹殺させる方向に進んだためにその手綱が取れなくなってしまっている。
具体的には、Z.A.F.T.が開発したNジャマーキャンセラーを入手した際、核兵器の再使用を優先するか地球のインフラ復旧を優先するかという会議でアズラエルは、

  • 深刻なエネルギー不足への危機感
  • 核兵器を使用することに対する心理的な抵抗感*7

から軍事利用を渋る地球連合上層部を黙らせ、プラント殲滅のためにNジャマーキャンセラーを軍事利用する方向に強引にでも進めた。
その結果、地球圏のインフラ復旧はまともに進まなかったと思われる(あくまでもアズラエル主導の話であり、ロゴスの立場からするとインフラ復旧を優先する方が利益になる可能性が高い)。

大戦終結後、後任の後釜であるロード・ジブリール?に指導者のバトンが渡されるも、こっちもこっちでアズラエルと同等かそれ以上の反コーディネイター思想主義者であった。
そのためアズラエル時代と同様にブルーコスモスの手綱を取ることは困難となり、大戦時と変わらずブルーコスモスの活動は暴走をし始める。
その結果、ジブリールが扇動・主導した数々の非人道的作戦に関与したことをプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダル?のプロパガンダによってその存在と共に世界に暴露され、組織は壊滅した。

なおデュランダルにより悪い部分ばかり作中でフューチャーされたので視聴者にとって分かりにくい面があるが、経済や流通を担っていたロゴスが魔女狩りの如く狩られて壊滅されたことで、地球圏の経済は大混乱に陥ったという。
これらは後付けや裏設定などではなく、劇中でカガリも言及している。
デュランダルからしてみれば自身のプランを遂行するのにちょうど都合よく配置されていた悪役ポジションといったところ。ブルーコスモスをさっさとパージしていればこうはならなかったのかもしれない。

【その後】

この巨大市民団体も勢力的にはC.E.71年の頃がピークだったようで、大戦終結後のC.E.73年にはアズラエルが戦死したこともあって勢力は弱体化。
それでもなお、散発的で小規模なコーディネイターを標的としたテロは未だに続いている様子であったが、サトーが引き起こしたユニウスセブン落下テロ「ブレイク・ザ・ワールド?事件」による未曾有の大災害を利用してジブリールが主導でプロパガンダを行わせることで、再びC.E.71年時代のような苛烈な反コーディネイター感情が盛り上がった。
が、厭戦ムードがそれ以上に強い時代だったこともあってそれほどのレベルで盛り上がったのは一部の地域且つ短期間であり、テロが起きてもほどなくして鎮圧されたり、世界規模には広がらなかった。
さらに連合と戦いつつも(表面上は)融和路線も打ち出していたギルバート・デュランダルの反ロゴスのプロパガンダと一大宣伝の煽りを受けて、上述したように最大のスポンサーであったロゴスが崩壊。ブルーコスモスも指導者とバックボーンを同時に失う憂き目にあう。
またこの際デュランダルはロゴス(とブルーコスモスを)「コーディネイターとナチュラルの憎しみを煽る世界の敵」と喧伝したのだが、これに賛同する市民は存外多かったようで、世界もコーディネイターとナチュラルの争いに疲れ切っていた事が伺える。

C.E.75の時代になるとブルーコスモスは地球連合から事実上パージされたに等しく、ただのテロ組織にまで落ちぶれてしまっている。
一方でブルーコスモスはC.E.の長い争いと憎悪の連鎖の果てに「コーディネイターを嫉妬・嫌悪・憎悪するイデオロギー或いはミームの概念」へと昇華され世界に深く根付いてしまったため、
「ブルーコスモス」とその指導者の名前を出すだけで反コーディネイター感情を持つ民衆をテロリストとして動かせてしまう状況になっている。
また同時にコーディネイター(やザフト)側もブルーコスモスに対する憎悪は根強く、彼らの名前が出てくると極めて感情的に動く軍人も少なくない。
新たな指導者であるミケール大佐はこの状況を利用し、ブルーコスモスと自身の名前を餌にして元地球連合軍将校達によるテロ行為(プラント自治区への攻撃も含む)を繰り返し、逆上したザフト軍に地球連合の領地を侵犯させて再び「ナチュラル対コーディネイターの世界大戦」を勃発させようとしていた。
なお単なる元地球連合軍のテロ組織というには十分すぎる兵力を有しており、ジェットストライカー装備のウィンダムを多数保有し、
果ては時代遅れ気味とはいえ戦略兵器?デストロイガンダム?を最低でも2機(1機は完動品、1機は応急処置をしただけの半壊品)運用している。
プラント、オーブ、そして大西洋連邦はこの状況を問題視しており、彼らの共同出資で設立された世界平和監視機構コンパスではミケールを逮捕することで一連の悪循環を止めようとしているが……

末路

ミケール大佐は戦闘の最中、新興国家ファウンデーション王国の自作自演による核攻撃に巻き込まれ台詞もないまま消滅。
そもそも彼らに何かしらの支援を与えて武装蜂起に踏み切らせたのもファウンデーション王国であることが示唆(小説版においてファウンデーションがブルーコスモスの暴発を誘うために何らかの工作員を送り込んだことが明言されている)されており、
そのファウンデーションも指導者を含め全て失われたことで完全に後ろ盾を失ってしまった可能性が高い。実際にブルーコスモスはファウンデーションの蜂起後物語から完全にフェードアウトすることになる。

もっとも、今後世論のコーディネイターへの憎悪や嫌悪、差別意識が過激化・先鋭化すれば無限に蘇り続ける可能性があり、
C.E.の人類がお互いを憎み妬む差別意識と争いの連鎖から解き放たれない限り、ブルーコスモスが掲げた反コーディネイター思想とその影響から、ナチュラル、ひいては人類全体が脱却することは永遠にできないだろう。

【主要構成員】

盟主

  • ムルタ・アズラエル?
    言って解ればこの世に争いなんて無くなります。解らないから敵になるんでしょう?
    そして敵は、討たねば!

CV:檜山修之?

『SEED』に登場。
アズラエル財団の若きトップであり、C.E.71年時代の盟主。みんな大好き僕らの盟主王。
プラント本国への核攻撃(=民間人をも標的とした未曾有の大量虐殺)が成功しそうな瞬間悪意に満ちたほくそ笑みを浮かべるなど、ブルーコスモスのエゴと反コーディネイター思想の体現者とも言える存在。
C.E.71年の大戦末期では「国防産業連合理事」という肩書と政治力を利用して地球軍司令部すら手懐け、後期GAT-Xシリーズ運用のためのオブザーバーとしてドミニオンに乗艦。
地球軍の実質的な総司令官のような立ち位置で『軍』の規律と統制ガン無視の強権を振るい、最前線でプラント及びコーディネイターの抹殺を主導し続けた。

ただし、「檻に繋いでおく(=自分たちナチュラルの完全支配下に置く)」ことが出来るならという前提でコーディネイターの有効活用も視野に入れていた節があるなど、例え忌み嫌っているものであっても利用価値があるなら使おうとするビジネスマンらしい柔軟な思考も持ち合わせていた。
そのため「実はブルーコスモスの中では穏健派寄りの過激派だったのではないか」という意見もある……が、劇中彼の発言や行った行動の数々は間違いなく地球とプラント間の憎悪を加速させており、C.E.世界を人類滅亡目前にまで追いやりかけた元凶である。
詳しくは個別項目を参照。

  • ロード・ジブリール?
    コーディネイターを「倒せ」「滅ぼせ」「やっつけろ」と!あれだけ盛り上げて差し上げたのに!その火を消しておしまいですか!?

CV:堀秀行

『SEED DESTINY』に登場。
秘密結社ロゴスのメンバーであり、C.E.73年時代の盟主。
アズラエルの死後弱体化したブルーコスモスを立て直した功労者であり、下手をするとアズラエル以上の過激派。
コーディネイター抹殺を目的にロゴスのトップとしてC.E.での戦争やナチュラル・コーディネイター間の対立を煽り、同時にコーディネイター抹殺のためならナチュラルの殺害も躊躇わない苛烈な反コーディネイター思想から数々の非人道的作戦の指示を下して多くの悲劇を招いた。
手駒のファントムペインを裏で動かしつつもアズラエルと違い積極的に前線に姿を見せず、アズラエルと比較されて「アズラエル以下の小物」と見做されやすいが、しでかした悪行の規模と数は前任のアズラエルをも凌ぐ。
詳しくは個別項目を参照。

政治家

  • ジョージ・アルスター
    奪われた味方機に落とされる…そんなふざけた話、あるか!

CV:関俊彦

『SEED』に登場。
大西洋連邦の外務次官でフレイ・アルスターの父親。
穏健派だったがブルーコスモスの一員であったため、外務次官という立場を利用して地球連合各加盟国にコーディネイターの排斥を呼びかけるロビー活動を実施していた。
家庭でもブルーコスモス思想の教育をしていたらしく、フレイが当初コーディネイターを毛嫌いしていたある意味元凶。
ただし娘想いな親バカだったのもまた事実であり、フレイが乗艦しているアークエンジェルに合流しようと戦艦モンドゴメリに同乗して最前線まで赴いて出迎えようとする行動力を持っていた。
だが、合流直前に艦隊がザフトの襲撃を受けてしまい、脱出艇に間に合わず、艦が撃沈したため艦隊諸共死亡してしまった。
このせいで大体物語中盤までフレイのメンタルにダメージを与えてしまい、ストーリー中盤の人間関係のドロドロっぷりの遠因となってしまった。

因みに担当声優がラウ・ル・クルーゼやレイ・ザ・バレルと同じで、作中でも実際に声がそっくりという設定であったが、彼らとは特に何の関係も無かった。
それと同時にガンダムSEED作中のCV関俊彦は全員死ぬジンクスにも繋がってる。

  • ジョゼフ・コープランド
    大体、君のファントムペインだって大した成果を挙げられていないじゃないかッ!

CV:楠大典(TV版)/中田譲治(スペシャルエディション版)

『SEED DESTINY』に登場。
大西洋連邦の大統領を務めるナチュラルの男性。
地球連合の派閥である大西洋連邦の中でも穏健派の人物として知られており、「プラントも含めた地球圏統一国家の樹立」を公約に掲げ選挙に出馬し当選。
彼本人はコーディネイターに対する差別意識はなくプラントとの戦争にも消極的だったが、彼の当選はロゴスの支援あってのものであり、彼らからの支持を役人のように粛々と、時にはしぶしぶながらも従っており、実際はロゴスに都合のいい傀儡と化してしまっている。
ロゴスメンバーからも「大西洋連邦の小僧」呼ばわりされ、軽く見られていた。
デュランダルによるロゴス打倒宣言からヘブンズベース攻防戦にかけては、大西洋連邦内に反戦気運が高まってきたことから静観していたが、レクイエム攻防戦ではフォーレを防衛するため月艦隊を発進させたアルザッヘル基地の司令部で険しい表情を浮かべている姿が確認できるため、あくまで地球連合軍ロゴス派として行動していたと思われる。
しかし、ジブリールから「臆病者」と言われている事からレクイエムの使用にはあまり賛同していない様子が窺える。
ジブリールの死後、デュランダルの提示したデスティニー・プランにオーブ連合首長国のカガリ・ユラ・アスハが反対を表明したことに影響され、月のアルザッヘル基地から連合軍月艦隊の残存部隊を出撃させたが、デュランダルが発射したレクイエムによって艦隊や基地もろとも消し飛ばされ死亡した。

小説版では戦争に積極的ではない部分が強調されており、アルザッヘル基地にいたのは反ロゴスを掲げる民衆の暴動から避難していたためと推測されている。
デスティニー・プラン発表後、事実上の敗戦となった連合軍部がプラントに対する抵抗を示していた事に関して「袂を分かつ」と表現されていたことから、アルザッヘルの地球連合軍月艦隊の出撃はコープランドの意思ではなかったようだが、デュランダルからは「小物」と侮られ、連合の掌握どころか軍部の突出を止める力すら持っていないコープランドには価値がないとして切り捨てられてしまい、アニメ同様の末路を迎えた。

なお大西洋連邦は彼の死後ブルーコスモスと完全に袂を分ったようで、コンパスにも比較的協力的な姿勢を見せている。

軍人

  • ウィリアム・サザーランド
    不運な出来事だったのですよ全ては。そして、恐らくはこれから起こることも…
    全ては青き清浄なる世界のために

CV:稲葉実

『SEED』に登場。
地球連合軍最高司令部統合作戦室所属の上級将校。階級は大佐。
タカ派の筆頭にしてブルーコスモス思想に染まり切ったバリバリの反コーディネイター主義者で、周囲の上級将校も自身と同じくブルーコスモスの思想に同調する反コーディネイター主義者で固めている。
現場を重視し、キラ・ヤマトにも一定の理解を示すなどの姿勢から、アークエンジェルクルーからも信頼の厚かったデュエイン・ハルバートン提督とは思想から何からまるで対照的な将校として描かれており、ハルバートンが批難していた「現場(犠牲)を数字でしか知らない」将校の一人でもある。
「オペレーション・スピットブレイク」を利用した捨て駒作戦を「不運な出来事」と例えてサラッと流して何の感傷も感じず、アラスカ基地が何も知らされず身勝手に捨て駒にされた地球軍兵士達の地獄絵図と化していく最中、安全地帯でまったりコーヒーブレイクしていたのはこの人。

劇中ではキラがストライクに乗って戦果を挙げていくことを疎み、アークエンジェルを意図的に物資の補給・援軍を断ち孤立無援の状態に置いてアラスカ基地に付く前にアークエンジェル諸共ザフトに撃沈させようとした筋金入りの差別意識の持ち主。
その上、自分の目論見に反してザフトの攻撃を掻い潜ったアークエンジェルがアラスカに到着した際には、アークエンジェルクルーの生還を口だけは歓迎しているように振る舞いつつ、
査問会では、「砂漠の虎」の撃破や敵側に奪取された四機の『G』を向こうに回してアークエンジェルを守り抜いたというキラ=ストライクの戦果には言及しない一方で、
自分がアークエンジェルを孤立させた影響もあることを棚に上げてアークエンジェルが関わったことで発生した連合軍の損害の責任を全てキラのせいであるかのようにこじつけ、
マリューたちクルーのキラへ寄せていた信頼や情を咎めるように「何故民間人とはいえコーディネイターを殺さないばかりかストライクに乗せ続けたのか」と糾弾。
「ストライクに乗り込んだのがただの学生なら良かった」=「ヘリオポリスでマリューはストライクと死んでいればよかった」*8とまで言い放つ*9ほど。
ストライクがコーディネイターであるキラに委ねられ、あまつさえ凄まじい戦果を挙げたことを露骨なまでに疎んでいることと、
そのストライクに守られたアークエンジェル、及びそのクルーにもいい感情を抱いていない本心が透ける振る舞いを見せ、
ムウやナタル、フレイといった、彼にとってまだ利用価値がある者を「異動命令」という体で引き抜いた上でアークエンジェルをアラスカ基地の防衛隊に任命。
地球圏のザフト軍を壊滅させるついでに、目障りなアークエンジェル及びそのクルーを抹殺しようとした。
この非道な行動がアークエンジェルクルーの離反に繋がることになる。

劇中終盤ではアズラエルの片腕的人物として活躍。
アズラエルを「アズラエル様」と恭しく呼び、ボアズ攻略戦や第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦の指揮官としてピースメーカー隊及び地球軍艦隊の指揮を執った。
だが、最後はデュエルが放ったグレネード弾が乗艦ドゥーリットルの艦橋に直撃したことで爆死した。
漫画『SEED Re』では血のバレンタインでユニウスセブンを核攻撃した指揮官として描かれている。つまりは漫画版を基準で考えるならば彼がSEED本編での泥沼の戦争の引き金を引いた元凶であった。

  • イアン・リー
    何かある度に『揺り籠』に戻す必要があるパイロットなど、ラボは本気で使えると思っているのでしょうか?

CV:西前忠久

『SEED DESTINY』に登場。
ファントムペインの母艦「ガーティ・ルー」の艦長。階級は少佐。
実直な性格だが良くも悪くも上官に忠実な職業軍人であったためか、エクステンデットの戦闘での運用はメンテナンスの手間も考慮して余り賛成的ではなかった。
レクイエム攻防戦で艦やジブリール共々戦死。

  • ホアキン
    CV:中村秀利

『C.E.73 STARGAZER』に登場。スウェンらの上官で階級は中佐。
難民キャンプだけでなく、中立を表明し元地球連合軍人も受け入れる研究施設の『DSSD』だろうが構わず襲撃させる冷酷な指揮官。
だが終盤アポロンAの存在に気付かず、あっけない最期を遂げる。

  • ミケール

『SEED FREEDOM』に登場。階級は大佐……だが、「元」が付く。
前述の通りC.E.75時点ではブルーコスモスは事実上地球連合からは完全にパージされており、大西洋連邦は勿論のことブルーコスモス(ロゴス)に協力的であったユーラシア連邦ですら、
建前とは言え「ブルーコスモスは一歩も領内に入れさせん」とまで言われてしまっている。
だがミケール大佐はどこかに後ろ盾があるのか反コーディネイター思想を持つ将兵たちとともに武装蜂起し、作中では少なくとも4回の大規模なテロ行為を起こしている。
いずれも母艦や基地などを使わず帰還を前提としない特攻に等しいテロであり、双方に大きな犠牲が出ている。
劇中冒頭で描かれるテロに至っては本人が不在であるにもかかわらず「ミケール大佐」の名前を出すだけでデストロイガンダムまで持ち出すほどの大部隊が動くほどであり、コンパスでは彼の逮捕を最優先目的としている。

番外

  • 三輪防人?
  • コルベット?

全く『ガンダムSEED』とは関係ないくせにスパロボシリーズ?異様に?ブルーコスモスに?馴染んでいた人達。?
ぶっちゃけるとスパロボに全く出してもらえないサザーランドの代役である。にしても馴染み過ぎである……

また『SEED DESTINY』時代の戦いを描いた作品?ではこの人がファントムペインに潜入活動をしていたこともある。
ジブリールから「生粋のブルーコスモス」と評されたが、一体どんな演技をしたんだろうか?
ついでに『SEED DESTINY』終了後設定のこの作品?でも、コイツ?がプレイヤーから元ブルーコスモス所属疑惑を抱かれていたりする。
その他にも別の作品?では、あのジョージ・アルスターと声がそっくりな最低なヤツ?が影でブルーコスモスを利用していた設定となっており、
更にその上の黒幕?が全ての元凶となっている。偶然か、その黒幕と対峙する主人公?の中の人はアズラエルと同じだったり…

【ブルーコスモスが関与した軍事関連】

兵器系

MK5 戦術核ミサイル?

撃たなきゃ勝てないでしょうがこの戦争!敵はコーディネイターなんですよ?徹底的にやらなきゃ……
大体、核なんて前にももう撃ったんだ。それを何で躊躇うんです?

上のキャラの濃すぎる盟主2人と並び、ある意味ブルーコスモスの顔的存在。
核ミサイル自体は時たまガンダム作品で登場する兵器だが、SEED世界では大量殺戮兵器として通常兵器感覚で頻繁に使用された。
弾種は明言されていないが、後述のNジャマーで使用不可能に陥ることから純粋な核分裂弾か、起爆に原爆を用いる核融合弾と思われる*10
威力も凄まじく、Nジャマー影響下では地球連合軍の侵攻を幾度となく撥ね退けた宇宙要塞『ボアズ』を、数十発の核ミサイルを撃ち込むことで壊滅させることに成功している。
地球軍的にも本来は倫理面から積極的な軍事利用はアウトな代物。地球軍に籍を置いていたナタルすらもボアズ攻撃時の運用は公然と批判したが、アズラエルの強権により倫理的批判は問答無用で捻じ伏せられた。

劇中ではストーリー開始前に1発の核ミサイルを農業用プラント・ユニウスセブンの中央部に命中させて崩壊させ、中の住民24万3721名を殺害する大惨劇「血のバレンタイン」を齎した。
アスラン・ザラの母親も、この血のバレンタインに巻き込まれたことで命を落としている。
このためプラント側は基本的に核兵器全般を憎んでおり、「攻撃されることは当然ながら使用も忌避感が強い」という設定があるため、
劇中で使用するのは全て連合内のブルーコスモス思想の信奉者によるものとされる他、自分たちの環境や政治的な関係などもあってか、地球上では一切使用していない。
結果、報復として地球にニュートロンジャマーがバラ撒かれて『エイプリルフール・クライシス』が発生。以後泥沼極まる地球軍とザフト軍の戦争が勃発した。

サイクロプス システム?

「……この犠牲により、戦争が早期終結に向かわん事を切に願う…」

「青き清浄なる世界の為に」

『SEED』にて登場。
地下に敷き詰められたパラボラアンテナによって強力なマイクロ波を発生させ、有効範囲内を破壊し尽くす「クリーンで使いやすい自爆装置」。
MS等の兵器は推進剤や兵装の搭載火薬が加熱され自然発火し爆散、人体などの生物の場合は体内の水分が沸騰・蒸発し、直後に全身がグロい音と共に破裂して血しぶきと化す。
なおシステムの構造上、効果的に運用するためには敵軍を懐深くまで潜り込ませなければならないため、流石に無人では敵軍に怪しまれて侵入されない可能性があることから、
自分達(ブルーコスモス及び大西洋連邦)にとって都合の悪かったり死んでも問題ない味方を囮兼捨て駒として扱う必要がある。
そのため、「オペレーション・スピットブレイク」時は、上層部は予め安全地帯に移動した上でZ.A.F.T.兵を十分範囲内に引き込んでから起動するべくおおよその時間を決めて待機していたが、
元々捨て駒にしても(彼ら視点で)問題ない兵士たちだったとはいえ、彼らが最前線で奮戦していることに一切同情や慙愧の念を覚えないどころか、
将校たちは決行時間まで雑談に耽り、ザザーランドに至っては優雅に時間潰しのティーブレイクを楽しんでいた。
発動直前には上述の言葉を口にしたが、彼らが犠牲となる者たちに何の感傷も抱いていない*11のは目にも明らかであり、神の視点から見ている視聴者からすれば「どの口が」としか言いようのない白々しい文句であった。
詳しくは個別項目にて。

戦闘用コーディネイター

『ASTRAY』にて登場。
アズラエル主導で開発された、戦闘に特化した遺伝子調整がなされたコーディネイターの総称。後の生体CPUの前身となった。
地球連合軍が、どうしても個々の能力差が目立つZ.A.F.T.(コーディネイター)の兵士に対抗するべく生み出した、文字通り戦闘用のコーディネイター。
遺伝子操作の段階で服従遺伝子を仕込まれた上で洗脳も施され、自我も破壊された彼らは、何よりも「ナチュラルのためになること」を優先して行動する。
アズラエルの柔軟性が現れた発想だが、考え方としては「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!?」と概ね同じなので両者の相互理解・融和とは対極に位置している。

なお生体CPUが完成したことで、大半の戦闘用コーディネイター達は処分されたが、自ら傭兵として居場所を勝ち取った『サーペントテール』の叢雲劾?や、
ロンド・ミナ・サハク?が双子のギナから事実上譲り受け、側近として重宝している何名かの「ソキウス」等、『DESTINY』でも一部の戦闘用コーディネイターは生存が確認されている。

生体CPU?

別名「ブーステッドマン」「エクステンデッド」
『SEED』シリーズ全般で登場するSEED版強化人間?
ナチュラルの少年少女に外科的措置・洗脳教育・投薬・マインドコントロールなどを行って、能力を常に限界以上に引き出せる状態にすることで、後天的にコーディネイターに匹敵する情報処理能力やMS操縦技術を持つ兵士を作り上げる非人道的技術。
ムルタ・アズラエル主導の元C.E.71年のオーブ連合首長国への侵攻の折にブーステッドマンが実戦投入され多大な戦果を挙げた。
そのため『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』及び派生作品ではより効率的かつ最適なものに改良された改善版生体CPU 「エクステンデッド」が開発。
ロゴス直属の非合法特務部隊ファントムペインに投入され此方でもザフト軍の一流パイロットにも引けを取らない高い操縦技術を見せた。
詳しくは個別項目を参照。

少年少女を、その過去を名実ともに完全に抹消した上で、

  • 定期的に劇薬を投与されなければ生命活動が維持できないほどの身体改造を施す
  • 生命の危険が伴う前線投入が前提
  • 無理な身体改造の影響で戦死しなくとも早死にする
  • 書類上ではパイロットではなく生体CPU、つまり人間ではなく消耗品として扱う

など、倫理を無視するどころか倫理に中指を立てて喧嘩を売る所業を体現している。
さらに、無理な身体改造を行う時点で元々の思想である「人体を改良し優れた能力を授けることは人倫に悖る」という部分からも逸脱しているようにしか思えないが、ブルーコスモスの観点からするとこれでも遺伝子改造よりはマシという認識らしい*12
こうして「青き清浄なる世界」実現の為、ブルーコスモス思想に染まり、過激なまでにコーディネイターとザフト、プラントに敵愾心を抱く軍関係者や研究者達の手で極秘裏に研究開発が断行された。

因みにこれだけ非人道的な手段を取って兵士として送り出す所業をしていながら、SEEDシリーズ全体を通して見ても連合軍内部からは生体CPUの運用に関する批判や糾弾は殆ど出なかった。

TSX-MA717/ZD ペルグランデ

『ASTRAY』にて登場。
アズラエル財団が主導となりブルーコスモスが開発した試作型巨大MAで、SEED世界でもトップクラスのゲテモノ。
オレンジ色のヒトデ、テトラポット、あるいは撒菱を彷彿とさせるトンチキ極まりないビジュアルが特徴。

機体としては

  • NJCによる核エンジン
  • PS装甲
  • 上部に搭載された3基の大型ドラグーン・システム

を搭載。
適正必須のドラグーンを一般兵が扱うために、パイロット3人の脳を外科手術で強引に同調、擬似的に空間認識能力持ちにして運用する『R-TYPE』に出てきそうな非人道的設計をしているのが最大の特色。
つまり、一人は縦の動きに専念。一人は横の動きに専念。一人は奥行きの動きに専念。といった制御方法となる。
分離式のコクピットを持つが、使うとドラグーンの制御は出来なくなるため緊急脱出時にしか使えない。
劇中ではアズラエル財団保有の軍事要塞を守るために運用され、ブルーフレームセカンドLと交戦した。

GFAS-X1 デストロイガンダム?

「全て焦土と化して何も残らんわ」「どこまで焼き払うつもりなんだこれで」

そこにZ.A.F.T.がいる限り、どこまでもですよ。
変に馴れ合う連中にもう一度はっきりと教えてやりませんとね。我等ナチュラルとコーディネイターは違うのだということを!
それを裏切るような真似をすれば地獄に堕ちるのだということをね…

『SEED DESTINY』にて登場。
地球連合軍の狂気の産物であり、コーディネイターへの憎悪と恐怖症に凝り固まったジブリールが主導となって造り上げた戦術兵器の皮を被った戦略兵器。
ベルリンでの大量虐殺の立役者。詳細は個別項目を参照。

軌道間全方位戦略砲レクイエム?

さぁ、奏でてやろうデュランダル…!お前達の為のレクイエムを!!

『SEED DESTINY』にて登場。
地球連合軍が月の裏面にあるダイダロス基地にて極秘裏に開発した超巨大ビーム砲。
ビームを曲げるゲシュマイディッヒ・パンツァーを搭載した複数の中継ステーションにビームを経由させることで、地球圏のどこでも狙い撃てる。
簡単に言えば、ガンダム版反射衛星砲。
SEED世界屈指の大虐殺を実行した立役者であり、ジブリールの手により実際に発射されたが、
その前後には「最近は巨費を投じて折角戦略兵器を作ったのにビビって撃たないヘタレ政治家が多くて困る。これでは何のために軍人やってるのか分からなくなる(要約)」と愚痴ってジブリールと気軽に雑談を交わし、
プラントへの砲撃に加担した指揮官が登場するなど、最早自分たちは民間人の虐殺という軍人として最悪の行動をしている自覚がないブルーコスモス過激派に属する連合上層部の末期ぶりが分かる一幕があった。
詳細は個別項目を参照。

影響を受けた部隊関連

ガーディアンズ

コミカライズ作品『機動戦士ガンダムSEED Re』で登場。
ユニウスセブンに対する核攻撃部隊として描かれ、血のバレンタイン事件を引き起こした元凶となった。
部隊構成は後のピースメーカー隊と同等であり、指揮官はウィリアム・ザザーランド大佐が務めた。

実戦運用には自艦の兵士からも否定的な意見が飛び出したが、「これが本艦の使命」「確固たる理事国の意思を思い知らせる」というザザーランドの強権により、強引に作戦は実行されてしまう。
そもそもザザーランドからすれば降伏勧告からの開戦自体「バカバカしいこと」と苦々しい顔をしていたので最初から核攻撃による大量虐殺が前提だった模様。
そして核攻撃を実行したことに苦々しい顔や愕然とした表情を見せるハルバートン提督やマリュー・ラミアスの姿もあった。

ピースメーカー隊

道は拓いたようですな。『ピースメーカー隊』、発進します

さ、次はいよいよ本国だ…。これでやっと終わるよ、この戦争もさ♪

当時のブルーコスモス盟主であったアズラエルが、核使用を渋る連合上層部を「核は持ってりゃ嬉しいただのコレクションじゃあない!」と叱咤。
本来抑止力として扱われるべき核兵器をコーディネイター抹殺のため積極的に使わせる方向に舵を切らせた結果生まれた、ブルーコスモスが掲げるコーディネイター廃絶思想の極北とも言える存在。

具体的にはC.E.71年の大戦末期、クルーゼ?フレイ・アルスター?を経由してアズラエルに横流しした「Nジャマー・キャンセラー」のデータにより、再び地球連合にも核の使用が可能になったことで結成された特務部隊。
上記の「MK5 戦術核ミサイル」が装備された、地球連合軍のかつての主力であるモビルアーマー「メビウス」で構成されており、劇中において、

  • 後期GAT-Xシリーズ
  • アークエンジェル級二番艦「ドミニオン」

と並ぶ地球連合側の切り札たる戦略兵器?として活躍した。
…しかしその実情は、クルーゼが画策する人類絶滅のための「最後の扉」の1つであった。

「ボアズ」攻略戦では、この部隊による数十発の核ミサイル弾幕の集中砲火によってボアズを極短時間で壊滅に追い込んでいる。
続く第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦でもプラント群に対し核ミサイルの弾幕を放ち、Z.A.F.T.の迎撃を後期GATシリーズに任せることでプラント壊滅は成ったかに思われたが、
流星の如く駆け付けたミーティア?装備のフリーダム?ジャスティス?に核ミサイルは一基残らず叩き落された。
以降も何度かピースメーカー隊はプラント壊滅を狙うものの、その度にZ.A.F.T.と三隻同盟によって阻止されている。

だがこの特務部隊の実戦投入がプラント側のザフト軍兵士達、そして何より最高指導者パトリック・ザラ?のトラウマを刺激して激怒させ、報復行動の一環として最終兵器ジェネシス?の実戦運用が決定。
おまけにZ.A.F.T.側の地球軍への憎悪を暴走させてしまうなど、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦を泥沼の地獄に変えた元凶となった。

そして、報復として放たれたジェネシスの一射によって地球連合軍は壊滅的な被害を受け、最早戦闘続行は不可能といえる状況に追い込まれたが、
ジェネシスが地球にも熱線を放てることを危惧し狂乱したアズラエルが掲げた「ジェネシスの破壊」「核攻撃によるプラント殲滅」を至上命題とし、隊はジェネシス照射以降もアズラエルの意向を受けた連合軍により運用されたが、命題をどちらも果たせないままに大戦終結を迎えている。

「ピースメーカー」とは直訳して「平和を作るもの」の意味。
(コーディネイターを核兵器で滅ぼして)平和を作る」とは何とも悪趣味である。
とはいえ現実にピースメーカーの通称を持つ兵器はあり、コルトSAAやB-36*13などがほぼ同じ意味で名付けられているため、正確にはブルーコスモスというより大西洋連邦(≒アメリカ)の伝統的ブラックジョークに近い。
ちなみに現実では他にも「ピースキーパー(平和を守るもの)」という名称を持つ拳銃やICBM(大陸間弾道ミサイル)もある。

ファントムペイン

よーし、行こう!…慎ましく、な!

『SEED DESTINY』『SEED C.E.73 STARGAZER』にて登場。
ロゴス直属の地球連合軍特務部隊。正式名称「第81独立機動群」
母艦はガーティ・ルー級特殊戦闘艦?を使用する。
より使い勝手がよく、秘匿性の高い精鋭部隊を求めたロゴスの意向を受け結成された非正規部隊であり、プラントへの強襲・MSの奪取など正規部隊では行えない汚れ仕事が主任務。
「あくまでロゴスの私兵であって地球連合正規軍ではない」という建前からユニウス条約では保有禁止の兵器も自由に装備・運用でき、ロゴスからの潤沢な資金のバックアップにより他の地球軍部隊とは比べ物にならないほどの最新鋭技術が導入されている。

主力の兵士は主にブーステッドマンやエクステンデットからなる。
また兵士は孤児をブルーコスモスが運営する施設で引き取った上で洗脳教育して兵士化しているため、実際にはブルーコスモスも密接に関わっている。
当然倫理的には完全にアウトなので、味方の地球軍にすらその存在を知る者は少ない。

部隊名は「幻肢痛」の意味。
欠損し存在しなくなったはずの部位の痛みを感じる現象のことで、物々しい響きだがれっきとした医学用語である。
「存在しないのに痛みは感じる」という点を「極秘の非正規部隊」である事に準えたのだろうか。

クルセイダーズ

「この青き清浄なる世界にコーディネイターの居場所など無いということを、今度こそ思い知らせてやるのだ!!」

「そぉら行け!今度こそ!青き清浄なる世界の為に!」

『SEED DESTINY』にて登場。
ブレイク・ザ・ワールドの被害で全世界規模で膨れ上がった反コーディネイター感情の煽りを受けて結成された、ブルーコスモス主導のプラント本国核攻撃部隊パート2。
「核ミサイル搭載マルチランチャーパック」を2門装備させた最新鋭のMSウィンダムで構成されており、単発しか核ミサイルを撃てなかった上記のピースメーカー隊の欠点を大幅に改善することに成功してしまった部隊。
MAではなくMSになったので隊全体の戦闘力も上がっていると推察される。

連合のプラント本国侵攻作戦「フォックストロット・ノベンバー」で投入され、2度目のプラント本国への核攻撃を実行した。
核ミサイル攻撃時のパイロットの差別思想に酔いしれてラリったような目つきは中々にインパクトがある。
ただしザフト側もただ無策でいたわけではなく、対核ミサイル用新兵器ニュートロンスタンピーダーに阻まれ、母艦を含め全ての核ミサイルが誘爆したことで作戦は失敗した挙句部隊は全滅している。
これを警戒してか地球軍も核を使用する事は無くなったが、実はプラントとしてもかなりギリギリであり、Nスタンピーダーは1つしか用意が無い上に1回で使用不能になってしまうため、成功したのはプラントにとっては分の悪い賭けに勝ったような恰好であった。

語源は「十字軍」を意味する英語。
ピースメーカーと同じく、元ネタに近い感じだったりする。

【余談】

政治結社、反プラント、反コーディネイター思想とその主義者の総称である「ブルーコスモス」。スローガンの「青き清浄なる世界のために」を英文で記した「Save THe Nature」なTシャツです。

地球をバックに宇宙を駆ける3機の、あのガンダム達の姿も…

人類の業が煮詰まったような集団だが、なんと公式通販でロゴマーク付きのTシャツが販売されている。
なお英文では「FOR THE PRESERVATION OUR BLUE AND PURE WOULD!」と表記されている。

なお、余談の余談だが、名前から『SEED』本編とほぼ同時期には青い『コスモス』の名前を持つヒーロー?がいたが、当然思想も全くブルーコスモスとは真逆の考えを持っている。

青き清浄なる世界を取り戻すために追記・修正よろしくお願いします。



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*1 理事国の代表全員が死亡した『コペルニクスの悲劇』とは別件。あちらの犯人は不明。
*2 プラント6基が破壊された事、プラントの総人口6000万人と構成コロニーが約120基である事から1基辺りの住民は約50万人×6で約300万となる。ただしユニウスセブンは農業プラント(≒居住区がおそらく少ない)故にか人口約24万人だったため、居住人数はコロニーにも寄る模様。
*3 ジョージ・グレンを主軸とした木星探査メンバーが地球に持ち帰った、地球外生命体の存在を示す化石。『宇宙クジラ』の別名で知られる。
*4 Z.A.F.T.が地上全土にNジャマーを散布し、原子力発電などを出来なくさせられ、地球はエネルギー不足に喘ぐこととなった。
*5 『血のバレンタイン事件』等の連合軍の行動への報復という側面もあり、一方的にZ.A.F.T.を批判することは実のところ地球側も出来ないのだが。
*6 そもそも目当てはオーブのマスドライバー施設とモルゲンレーテであったため、宣戦布告のお題目など何でも良かったであろうという事情もある。
*7 そしてそれに踏み切り、失敗した時の責任を取りたくないという保身意識
*8 偶然ストライクに乗り込んだキラがカレッジに通うコーディネイターであったからこそその場でOSを書き換えながら応戦するという離れ業が出来たのであり、キラがもしもナチュラルであればマリュー諸共ストライクは撃墜されていたのはほぼ間違いない。
*9 あくまでそういう意味合いに受け取れる発言だったというだけで、本人がそういう意図の下に発言したのかは不明だが、コーディネイター憎しが先行して自身の発言内容に気が回っていないというのならそれはそれで問題である。
*10 コズミック・イラではレーザー核融合は実用化に至っていない。
*11 特にタカ派のザザーランドが顕著
*12 戦争の当事者としてはナチュラルの兵士では、よほど天賦の才に恵まれていない限り、ここまでしないとコーディネイターの兵士に対抗できないという切実な事情がある。
*13 第二次世界大戦後にアメリカ軍が運用した戦略爆撃機。ちなみに他にも「コンカラー(征服者)」「ビッグスティック(棍棒)」という通称を持っている