劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール アルセウス 超克の時空へ

Last-modified: 2024-03-15 (金) 09:11:00

登録日:2020/08/11 (火) 13:28:00
更新日:2024-03-15 (金) 09:11:00
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Tag: 劇場版 劇場版ポケットモンスター ポケットモンスター ポケモン 映画 アニメ 神々の戦い三部作 ミワセウス アルセウス ディアルガ パルキア ギラティナ ヒードラン ギザみみピチュー 超克 命の宝玉 銀の水 魔獣 約束 裏切り タイムトラベル 歴史改変 心のアンテナ 湯山邦彦 メテオラ ミチーナ ギリシャ 自立 水の都の護神のアンチテーゼ 何故かなかなか立たなかった項目 豊穣 劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール アルセウス 超克の時空へ 園田英樹 東宝 哀しき悪役 OLM アニメ映画 2009年 DP編 シンオウ地方


超克せよ! 時空のさだめを!

◆概要


『劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール アルセウス 超克の時空へ』は、劇場版ポケットモンスターの第12作目。
公開日は2009年7月18日。興行収入は46.7億円。
ED主題歌はしょこたん?の『心のアンテナ』。
本作の舞台ミチーナのモデルは、ギリシャの世界遺産メテオラ。

劇場版『[[ダイヤモンド&パール>ポケットモンスター ダイヤモンド&パール]]』三作目にして、『[[ディアルガVSパルキアVSダークライ>劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ]]』、『[[ギラティナと氷空の花束 シェイミ>劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ギラティナと氷空の花束 シェイミ]]』から続いた「神々の戦い三部作」のトリを飾る作品である。
そのため、前作・前々作で登場した「神々」たる伝説のポケモン?、ディアルガ・パルキア・ギラティナが揃い踏み。
さらにエンディングには前作・前々作に登場したキャラクターも出演するという集大成的作品となっている。

また、金銀リメイクであるHGSSの発売を控えていたため、ギザみみピチューや金銀御三家?など、第二世代出身のポケモンがフィーチャーされている。

劇場配信のアルセウスはそれぞれの伝説のポケモンが使える専用技を習得した、非常に豪華な仕様。
特に「シャドーダイブ」は、癖があるとはいえ威力・タイプ・効果共に強力な技であったので、長年にわたって全解禁ルールで使用され続けた。*1
しかし、前売り配布は……(後述)

タイトルにある「超克」とは、「困難や苦しみにうちかち、それを乗りこえること」を表す言葉。
公式サイトでもしっかりと解説があり、作品を最後まで観ると、それの意味するものが分かる仕掛けになっている

◆ストーリー


豊かな自然に囲まれた美しい町「ミチーナ」。しかし、そこには負の歴史があった。
今から数千年前、すべてを生み出したと言われるポケモン・アルセウスが、飛来する隕石からミチーナの地を身を挺して守り、傷ついたところをミチーナの長・ダモスに助けられた。
アルセウスはその恩から、荒れ果てた土地の復興のため、己の命の源の一部を『命の宝玉』として貸し与えた。
この力によって、荒廃していたミチーナは緑豊かな土地になった。
ところが『命の宝玉』返却の期限である皆既日食の日*2、ダモスはその約束を破り、アルセウスに攻撃を仕掛けた。
裏切られたアルセウスは神殿を破壊し、激しい怒りを抱えたまま、長い眠りについた。

そして現代。アルセウスは人間に裏切られたあの日を思い出し、
「人間は裁きを受けねばならない」
と、不吉な言葉と共に目覚めようとしていた。
これまでに起きた伝説のポケモンがらみの異変、それはアルセウスが再び目覚める前触れだった。
目覚めたアルセウスは宣言通り、人間に裁きを下すべく破壊活動を始めてしまう。そこに現れる三体の「神々」、ディアルガ・パルキア・ギラティナ。
サトシたち一行はディアルガの力により、ミチーナの神殿の守り人であり、ポケモンと心を通わす能力を持つシーナと共に古代のミチーナヘと送られた。

果たして、ミチーナの過去の真相とは……?
サトシたちは、負の歴史を正すことができるのであろうか!?

◆主な登場人物


  • サトシ?
    CV:松本梨香?
    ご存知主人公。シーナからはミチーナに伝わる言い伝えの「雷の魔獣使い」と推測される。
    今回は負の歴史を正すために、仲間たちと共にタイムトラベルをすることになる。
    もちろんスーパーマサラ人?っぷりを発揮する場面もあるよ!
  • ヒカリ?
    CV:豊口めぐみ?
    DP編ヒロイン。
    サトシらと共に過去の世界へ。
  • タケシ?
    CV:うえだゆうじ?
    ジムリーダー?で現ポケモンブリーダー。
    シーナをナンパするが、案の定な結果に終わる。
  • ムサシ? CV:林原めぐみ
  • コジロウ? CV:三木眞一郎?
  • ニャース? CV:犬山イヌコ
    ロケット団?のいつもの3人組。
    過去に送られることはなかったが、神々の戦いから逃げ回る最中、ムサシが本物の『命の宝玉』を発見していた。
    何気に大きな手柄だが、結局それが活かされることはなかった……
    もし現代のみで話が進行していたら、見せ場も増えていたのかもしれない。
  • シーナ
    CV:北乃きい
    ミチーナの遺跡の守り人の女性。
    アルセウスの目覚めのタイミングを調査しており、前作・前々作の舞台であるアラモスタウンや氷河地帯を訪れていた。
    ポケモンと心を見せ合う能力を持ち、伝説のポケモンたちすら説得してしまうという、とんでもないスペックの持ち主。ちなみにこれは先祖のダモス譲りのもの。
    しかし怒りで我を失っているポケモンには通用しなかった。
    アルセウスの怒りを鎮めるべく『命の宝玉』を返却しようとするも、偽物をつかまされて火に油を注ぐ原因になったり、信じて説得したギシンに騙されたりと、どうにも損な役回りが目立つ。
    しかしダモスと共に、アルセウスを攻撃するポケモンたちを説得するなど、裏方として大いに活躍した。
  • ケビン
    CV:岸祐二
    シーナと同じく、遺跡の守り人を務める青年。
    彼女と共に異変を調査したりしていたが、過去に送りこまれることがなかったので、いまいち影が薄い。
  • ダモス
    CV:高嶋政宏
    シーナの先祖にして、古代のミチーナの長。
    隕石からミチーナを守り深手を負ったアルセウスを助け、絆を結ぶことになる。
    さらに荒廃したミチーナを救うために『命の宝玉』を貸し与えられ、復興に尽力する。
    が、最終的にアルセウスを裏切り、後世へ禍根を残した……と伝えられていた。

しかしその真相は、ギシンのドータクン?に「さいみんじゅつ」をかけられ裏切るように仕向けられたというものだった。
つまり彼は、本来は善良でありながら、後世に悪名だけが残ってしまったという悲劇の人物だったのである
未来からやって来たサトシ一行の誤解が解けた後は、事態の収拾に奔走する。
ぶっちゃけ終盤では、この人がいなければ詰んでいた。

  • ギシン
    CV:山寺宏一?
    ダモスの部下。しかしその本性はダモスを幽閉して自分がミチーナの長になり、濡れ衣を着せるという奸臣だった。
    つまり今回の事件ばかりか、前作・前々作の事件の元凶でもある
    さらに未来から来たシーナの話から当初の計画を変更、アルセウスを完全に葬ろうとするという、まさに神をも恐れぬ所業を見せつけた
    しかしそれは、『命の宝玉』の返却で起こりうる、ミチーナが再び荒廃する未来を危惧していた故のものだった
    手段はともかく、動機については情状酌量の余地があったためか、エンディングでは……

名前の由来は「疑心暗鬼」から。

◆主な登場ポケモン


  • ピカチュウ
    CV:大谷育江?
    我らがマスコット。
    アルセウスへ攻撃したことにより、耐性に穴ができていることを突き止めるきっかけとなった。
  • ギザみみピチュー?
    CV:中川翔子?
    左耳がくせっ毛で「ギザみみ」と言われているピチュー。性別はメスで、ウブのみが大好物。
    ダモスの仲間で、幽閉されていた彼とサトシ一行を助けた。
    アニメでは同年4月2日からエンディングテーマが「もえよ ギザみみピチュー!」となるなど、かなりプッシュされていた。
    さらに湯山監督は「でんきタイプのポケモンが物語のカギを握る」とも発言していた。そりゃ確かにカギ持ってたけどさ……
    そして同時期のポケモンジェットオリジナルアニメ「ピカチュウのキラキラだいそうさく!」のメインポケモンでもあった。(CVは真堂圭)

ちなみに前売り配布はこのポケモン……ではなくピカチュウカラーのピチュー(要するに色違い?)。
このポケモンを入手するには、本作公開後に発売されたHGSSに前述のピチューを送り、ウバメのもりの社に先頭にして連れて行く必要があった。*3
しかしこのギザみみピチュー、進化できない、他のデータに移すこともできない、とどめにポケシフター?で第五世代に移すこともできないという、ある意味大きな悲しみを背負った存在である
シフトファクトリーの研究員によると、セレビィ?と時渡りでやってきたポケモンで、一緒に長い時間渡ってきた影響が体に残っているため、元の場所にいた方が良いとのこと。
もし当時入手していたのなら、たまにはそのROMを開いて愛でてあげよう。

また、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL?』ではピチューのカラーバリエーションとして登場している。
(CVは変わらず、本作で担当しているこおろぎさとみ氏のまま)

  • ヒードラン?
    CV:三宅健太?
    ご存じゴキブロス。ちゃんと壁を這いまわり、天井に張りつく場面もあるよ!
    ギシンのポケモンだが、最終的にドータクン共々サトシ側に寝返った。
  • ディアルガ?パルキア?ギラティナ?

それぞれ、「時間の神」「空間の神」「反転世界の主」とされる伝説のポケモン。
アルセウスの目覚めの余波が原因で、お互いいがみ合い、前作・前々作から事件の原因となっていたが、シーナのおかげで和解する。
そして目覚めたアルセウスに挑むが、彼らの力をもってしてもアルセウスの力は圧倒的だった。
しかしパルキアが空間を操る力で時間を稼ぐ間に、ディアルガはサトシ一行とシーナを過去に送り、事件解決の突破口を作り出すというファインプレーを見せている。
最初に送った場所は裏切りが実行される瞬間という、対処のしようのない場面だったのはご愛敬。

  • アルセウス?
    CV:美輪明宏
    すべてを生み出したといわれる伝説のポケモン。
    古代人の裏切りによって人間に深い憎しみを抱き、裁きを下すべく現代に目覚める。
    さらに目覚めが近づくにつれて徐々に時空を歪ませていき、その歪みが本来出会うはずの無かったディアルガの空間とパルキアの空間を接触させてしまい、
    二匹の争いと、ギラティナが巻きこまれるきっかけを作った。
    しかし本来は隕石からミチーナを守ったり、助けてもらった恩に『命の宝玉』を貸し与えたりと、守り神の性質を併せ持つ慈悲深い性格。
    命をかけてミチーナを守った上に、命の一部を差し出してまで復興に協力していただけに、その怒りももっともである。

「命の源」と呼ばれるそれぞれのポケモンのタイプに対応できる16のプレート?*4を持ち、その力で相手の攻撃を無効化できる。
さらに全種類が揃っていれば不死身という、まさに「すべてを超越した神」にふさわしい破格のスペックを誇る。
しかし下記のタイプのプレートで『命の宝玉』を作ったため、の耐性に穴ができ、不死身でなくなってしまった。
それでも上記の「神々」を軽くあしらうほどの実力を持つが、ギシンにその弱点を突かれ追い詰められてゆく。
逆に言えば、パルキアが水技を持っていれば、あそこまで一方的な展開になっていなかったのかもしれない。

湯山監督のインタビューによると、「あまりにも存在が大きすぎるため、とても現代で問題を解決するのは無理だろう」とのことで、サトシたちは過去にタイムスリップすることになった。*5
(この題材自体は『時を超えた遭遇?』ですでに扱われているが、タイムスリップしたのはサトシたちではなくユキナリで、タイムスリップの内容も未来から過去へではなく過去から未来へである)
さらにメタなことを言うと、これだけ無敵だと話が成り立たなくなってしまうので、弱体化補正?をかけられるのも無理はない。

なお、公開当時は中の人由来で「ミワセウス」の愛称で呼ばれていた。
美輪氏によると、何の見返りも求めず、命の危険を承知で人間を助けたアルセウスは、『無償の愛』を体現した存在とのこと。

◆キーアイテム


  • 『命の宝玉』

ダモスに助けられたアルセウスが貸し与えた、命の源の一部から作り出した宝玉。
の力*6を主体に、それらをの力で溶け合わせ、その力をの力で高める形で作られており、その年の冬を越せないほどの痛手を負ったミチーナに豊穣をもたらした。
しかしギシンの裏切りにより、後世で大きな災いの火種となってしまう。
過去に渡ってこれを返却することが、本作の大きな目的となる。
これが無くなればミチーナは元の荒地に戻ってしまうと、ギシンは危惧していたが……
なお、は一見豊穣と関係なさそうに見えるが、前者は放電で空気中の窒素を水に溶け込ませ、大地に天然の肥料を提供する働きがある。*7
後者は世界各地で自然を神格化した存在として描かれていることが由来だろう。
作中では返す際に偽物にすり替えられていた為に事態が悪化した。ちなみに本物はロケット団がこっそり手に入れており、お宝として持ち出そうとしたが歴史改変で消滅した。
ぶっちゃけ、ディアルガがいなくてもこいつらだけで事態は回復したかもしれないのは内緒(アルセウスの人間不信が治るかは別だが)。

  • 『銀の水』

ギシンがアルセウスを策略にはめるときに用いた、特殊な水。水銀ではない。
本来の計画では岩で動きを封じていたが、シーナの話から岩では反撃されることを知り、これの使用を決行。
タイプに耐性を失っていたアルセウスを完全に固め、あわや命を落とす寸前まで追い詰めた。
……冷静に考えても、かなりエグい攻撃である。
予告ではこれに巻き込まれるロケット団が登場したが、彼らはタイムスリップに巻きこまれなかったため、本編でそのシーンはない。

  • 時空儀
    神殿の遺跡内にある、世界の中で刻々と変化する時間と空間の状態を示す器具。
    これを使ってシーナとケビンは、時空が乱れる場所とアルセウスの現れる時期を探っていた。
  • 魔獣装具
    古代のミチーナで使われていた、ポケモンを操るための装身具。
    当時のミチーナでは、ポケモンたちは「魔獣」と呼ばれており、アルセウスも「神々」を「魔獣」と呼んでいた。
    しかしその待遇は、牢屋で雑魚寝していたり、チコリータ?ヒノアラシ?の扱いを見ていると、あまり良くなかったものと想像できる。
    事件解決後はアルセウスの力によって解放され、その後の歴史も考えると、ポケモンたちの待遇も向上したようだ。

◆映画終盤


牢屋から脱出したサトシ一行だが、ギシンの計略は止められず、アルセウスに無数のポケモンたちによる電撃攻撃と、『銀の水』が襲いかかる。
シーナとダモスはポケモンたちを説得し、サトシは『命の宝玉』の奪還に成功するも、人間に深い恨みを抱いたアルセウスは受け取らない。
さらに追い打ちをかけるように、サトシ一行とシーナの体が少しずつ消え始める。
アルセウスの命が消えつつあり、同時に未来から来た彼らが存在する事実もなくなりつつあったのだ。
そんな中、ダモスは諦めることなく、心を見せ合う能力で怒りにとらわれたアルセウスに呼びかけ続ける。

……やがてその思いは通じ、アルセウスは正気に戻った。そして、『命の宝玉』が元のプレートに変わると、アルセウスの体内へと入っていった。
アルセウスはまばゆい金色の光に包まれながら完全復活を遂げ、消えてしまったサトシ一行も復活。
「サトシとピカチュウ……私の命を救ってくれたのは、お前たちか?」
「違います……ここにいる、みんなです!
そう、サトシとピカチュウ、ヒカリとタケシ、シーナとダモス、そして協力してくれたポケモンたち。誰か一人、一匹欠けてもこの偉業は成し遂げられないものだった。
アルセウスは人間たちを赦し、『銀の水』の放流のし過ぎで崩落を始めた神殿から、一行やポケモンたちを助けた。魔獣装具も次々に外されていく。
しかし、この件で力を使い果たしたアルセウスは長い眠りにつくことに。
「さらばじゃ、ダモス……サトシ、ピカチュウ……そして……愛する者たちよ……
そしてサトシ一行にもこの時代との別れの時が訪れ、元の時代へと帰っていった。

元の時代へと帰還したサトシ一行。だが、彼らが見たものは……

満身創痍となり倒れ伏すディアルガ・パルキア・ギラティナ。
破壊されつくされたミチーナ。
そして、裁きを下し続けるアルセウス……

以前と何も変わってない、悪夢のような光景だった
サトシはアルセウスに呼びかける。

「アルセウスーーー!!」

その呼びかけが通じ、アルセウスは過去で起きたすべてを思い出す。やがて攻撃は消え、破壊された町も修復されていった。歴史が正しい方向に改変されたのだ。
しかし、疑問が一つ残った。
過去に『命の宝玉』を返したのなら、ここは元の荒地に戻るはずではないか?
アルセウスは答える。
「私の力ではない。お前たちの先祖が命をかけてこの土地を育てたのだ。この土地は、人間とポケモンの努力で生き返らせたのだよ……

……そう、先祖とポケモンたちは、『命の宝玉』がなくても困難を「超克」し、この地を守り続けたのだ。
さらにケビンは、あるものを見つけていた。
それは、過去の世界におけるサトシ一行の活躍を描いた石碑だった。そこには、ダモスからのメッセージが刻まれていた。

信じる心を教えてくれた、未来の子どもたちよ。
君たちの未来が、もっと素晴らしい場所になるように、私は、いつも祈っている。
君たちのいる未来は、どんな所なんだろう?

ダモスからの、数千年越しの感謝と祝福の言葉を見て、思わず涙ぐむシーナたち。
アルセウスも「お前たちの世界は素晴らしい所だ」と祝福してくれた。
そして去り際に、「私もこの世界の一部だということが、今やっとわかった気がする」と、考えを改めたことを示す言葉を残したのだった……

以下余談

……さて、本作の結末を見て、気づいただろうか。
実はこれ、劇場版ポケモンの中でも名作と名高い水の都の護神』の結末と正反対なのである。
この二作の共通点は「町の根幹を司る、伝説のポケモンの命から作られたアイテムが失われる」という展開。
『水の都の護神』ではラティオス?が犠牲となり新たな『こころのしずく』へと生まれ変わった。
この作品の結末は「死してなお失われることのない絆」「人知れず他者のために戦う者の存在」を表している。
が、そもそも舞台となったアルトマーレ自体、ラティオスたちの犠牲前提で平和が成り立つ構造になっている
さらにエンディングでは、ラティオスたちの命と魂(『こころのしずく』)を利用する古代の防衛装置が修復される描写すらある。
つまり見方を変えれば、「結局、犠牲に依存した構造が維持されたまま」「犠牲になった本人がその構造から脱却するチャンスを潰した」とも取れる。この辺は当該項目も参照。

一方本作は負の歴史を改変し、『命の宝玉』、つまりアルセウスの庇護から自立するという終わり方になっている。
しかも歴史にその功績が刻まれるというオマケつき。あちらは当事者以外、事件が知られることのないまま終わったのに……
また、本作では負の歴史を持つことが明言されるが、『水の都の護神』では歴史はほぼ正の面しか語られず、細かい設定から初めて影の部分が見えてくる構造となっている。
防衛装置ですら、「『こころのしずく』に秘められたパワーを、ラティオス達を“使って”引き出す」と、その後の展開を仄めかしはするものの、劇中では否定的なことは言われないのだ。
そして悪役の扱いも、『水の都の護神』では逮捕こそされたものの、さらなる悪事を目論んでいるという形で終わったが、本作ではやり直しのチャンスを与えられている。

こうして見ると、見事までに対極的な二作。この機に見比べてみるのも一興かもしれない。
また『水の都の護神』といえば5周年記念作品で、本作といえば10作記念作品から繋がる物語。
『水の都の護神』といえば緑無印最後の映画で、本作といえばダイパ最初の映画の真相をも教えてくれる映画なのだ…!

←前作
[[劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ギラティナと氷空の花束 シェイミ ]]

[[劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール 幻影の覇者 ゾロアーク]]

追記・修正は、困難を超克してからお願いします。



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*1 ただし、第四世代ではレベル100のポケモンには戦闘で努力値を振れず、いわゆるドーピングアイテムでも100ずつしか振れなかったため、実力を発揮できるようになったのは第五世代以降となる
*2 公開当時の7月22日、世界各地で日食が確認されたが、日本では梅雨前線のため、ほとんどの地域では観測が困難だった
*3 内部的には「出会った手段が『運命的な出会い』である『色違い』のピチュー」であれば親がしょこたんでなくてもokなので、DPの任意コードバグやら改造やらを使ってデータを書き換えれば配布の終了した現在でもイベントを発生させられる。
*4 第四世代当時の数。フェアリータイプ登場後は17になっている
*5 https://www.pokemon-movie.jp/history/history2009/
*6 このうち土と水は『光輪の超魔神』に登場する、いましめのツボの素材にもなっている
*7 稲妻の呼び名も、雷が落ちた場所で稲がよく育つことからつけられた