登録日:2022-02-20 (日) 16:20:40
更新日:2024-05-26 (日) 20:51:19
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自動車整備士(じどうしゃせいびし)は、自動車のメンテナンスにかかわる職業の人たちのこと。また、それにかかわるために必要な国家資格を持っている人のことを指す。
簡単に言ってしまうと、「車のお医者さん」である。
概要
自動車の診断、点検、分解、組み立て、修理、調整などにかかわる人のことを指す。
自動車に使われている科学技術は常に進歩し続けているものであるため、当然作業の手順や使用部品なども常に変わってゆく。この仕事を行うためには常に最新の技術についての知識を自分から進んで取り入れ、勉強し続けなければならない(それが苦手な人には、はっきり言って向いていない職業である)。
また、体力や身体的な強さも必要であり、かなりハードである。例えば重量物(部品など)の運搬や暑い場所での作業、辛い姿勢での作業などもしばしば発生する。また、有毒な化学物質を取り扱う場面もあり、細心の注意を払う能力も必要になる。
車両の整備は僅かなミスや抜けが故障や交通事故の原因に直結しうる他、最悪の場合作業者のみならず、お客様である運転者や更に無関係の人間の命にもかかわる責任重大な仕事である。そのため、日本では国家試験が実施されており、これに合格した者だけが自動車整備士を名乗ることができる。
なお整備業務の一部(灯火装置の点検、ガラスや内装の確認、メーターの確認、ワイパーの確認、タイヤ交換、エンジンオイルの交換、板金塗装、洗車など)は自動車整備士の資格が無くても行うことができる。このため、(実務経験を積んで国家試験の受験資格を得るために)整備工場やカー用品店、ガソリンスタンドなどに一旦就職し、働きながら資格取得を目指す人も多い。また、無資格者でも趣味で車をいじることが可能となっている。
ちなみに整備士の資格を持っていないけど整備の仕事に就いている人のことを整備工や工員と言って区別する。
一方、ブレーキやエンジンなどの安全にかかわる部品の分解や点検などは整備士の資格を持った人にしか許されない独占業務である。また、これらは専門的知識を持ち経験豊富な整備士が行わなければ整備不良の原因になり、危険である。
工業系の資格の中では電気工事士や危険物取扱者と並んで有名なものの一つである。
資格保有者のうち97%が男性であり、女性は整備士全体のわずか3%しかいない。
区分
自動車整備士の資格には以下の区分がある。
- 一級大型自動車整備士
- 一級小型自動車整備士
- 一級二輪自動車整備士
- 二級ガソリン自動車整備士
- 二級ジーゼル自動車整備士
- 二級自動車シャシ整備士
- 二級二輪自動車整備士
- 三級自動車シャシ整備士
- 三級自動車ガソリン・エンジン整備士
- 三級自動車ジーゼル・エンジン整備士
- 三級二輪自動車整備士
ガソリン自動車整備士はガソリン車の整備を、ジーゼル自動車整備士はディーゼル車の整備を行うことができる。三級整備士は(二級以上の資格を持った上司や先輩の指示を受けながら)エンジン部の基本的な整備のみを行うことができるが、二級整備士は殆どの作業を一人で行うことができる。
ただし電気自動車*1や水素自動車、自動運転、安全装置などの高度な知識が必要なものは一級整備士の資格が必要。
シャシ整備士は車体とエンジン以外の部分の整備を行うことができる。二級シャシ整備士であればブレーキやサスペンションなどの整備も行うことができる。
正直に言うとシャシ整備士だけだと微妙なので、ガソリン整備士またはジーゼル整備士などと併せて取得する人が多い。
二輪整備士はオートバイや原動機付自転車(原付)の整備士である。
殆どの実務は二級の資格があれば間に合うため、一級小型整備士の資格保有者は全国的に見ても非常に少ない。なお、一級大型整備士と一級二輪整備士は一応区分が存在するものの、資格保有者は存在せず、国家試験も実施されていない。
また上記とは別に以下の3区分もあり、これらは特殊整備士と総称される。特殊整備士はそれぞれの部品に限定したスペシャリスト(専門家)である。
- 自動車タイヤ整備士(タイヤとその附属装置のスペシャリスト)
- 自動車電気装置整備士(電気装置のスペシャリスト)
- 自動車車体整備士(車枠と車体のスペシャリスト)
なおタイヤ整備士の試験は現在実施されていない。
国家試験
※実際に受験する際は、ちゃんと公式サイトの説明を確認すること!
ここに書かれている内容との差異で問題が発生しても責任は取らないよ!
試験は学科と実技の二段階実施される。受験のチャンスは年2回である。
試験内容は各都道府県や区分によっても異なるが、どの区分でも学科試験では構造・機能、検査、整備用試験機・工具、材料、図面、法規などの知識が、実技試験では基本工作、点検、修理、試験機や工具の使い方などのスキルが問われる。
受験資格
人命や安全にかかわる資格であるため、医療系の資格や建築士などと同様に、学歴や実務経験による厳しい受験資格が設定されている。
実務経験によって受験資格を得る場合、三級は通常1年以上、二級は(三級取得後)通常3年以上、一級は(二級取得後)3年以上の実務経験が必要になる。
(ただし大学や高等専門学校、工業高校や農業高校などの機械系の学科を卒業した場合、必要な実務年数が通常より短縮されることも)
また、特定の養成施設を卒業することで受験資格を得る方法もある。(というかむしろこちらが主流派?)
- 三級は工業高校の自動車科や一部の農業高校の農業機械科を卒業すれば受験資格が得られる。(ただし自動車科や整備士養成コースを置いている高校は全国的に見ても非常に少ない)
- 二級は2~3年制の専門学校?(自動車大学校)を卒業すれば受験資格が得られる。また、一部の工業系の短期大学にも二級整備士の養成コースがある。
- 一級は4年制の自動車大学校(高度専門士の称号が得られるところ)を卒業すれば受験資格が得られる。また、一部の大学の工学部にも一級整備士の養成コースがある。
社会的評価
業務独占資格であり交通を支える資格であるため景気に関係なく安定した需要がある。そのため、これを持っていれば就職・転職活動の際にも履歴書に書けるし、評価される場面は多い。TOYOTA?やホンダ、日産といった大手自動車メーカーの修理工場やディーラーなどへの就職・転職にも有利にはたらく場合がある。
ただし、就職先自体は沢山あるものの、給料は必ずしも高いとは限らないのでご注意を。
余談
漫画『くそみそテクニック?』の登場人物である阿部高和?の職業はしばしば自動車整備士と紹介されることがあるが、上記にあるように資格保有者じゃないと整備士を名乗れないため、その場合は整備工と紹介するのが正しい。
彼が資格を保有していたかどうかは不明である。
追記、修正は車が好きな人にお願いします。