Z-Seed_942_第01話

Last-modified: 2007-11-12 (月) 13:01:26

第01話『新生活』

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そして現在、士官学校の試験を受けている。
今更労働者になるなどプライドが許さなかったし、
それ以外に食う方法を知らなかったからだ。
幸か不幸か、この世界の情勢は不安定らしく、そこら中に

『貴方の若さ、必要です
――ザフト軍』

というポスターが貼ってあったので、直ぐ様応募した訳だ。

「筆記は優秀、体力も問題なし。年齢が気になる所だが、それを差し引いても優秀だ。
よろしい!アカデミーの入学を認めましょう」
「ありがとうございます」

この歳にして学生――何とも滑稽である。

入学式まで日雇いのアルバイトという屈辱的な方法で身を立て、遂に私は新しい生活に身を投じた。

「諸君の力が、プラントの未来を……」

入学式での、評議会議長殿の祝辞が耳に障るのは何故だろうか?

「ねぇねぇ、あの人……」
「何でオジサンが……」

赤い髪の女学生たちの視線が痛いのは何故だろうか?

貴様らの顔は覚えたぞ。覚悟しておけ。

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寮に持ち込む荷物はごく僅かだった。
私は余った時間をアカデミーの図書室での読書に使っていた。
早く情勢を頭に叩き込んでおかねば、変人のレッテルを張られかねないからだ。

「……フリーダム、ジャスティスの二機が一騎当千の活躍を……
ええい!主観の入った情報などゴミクズだ!
客観的な情報は無いのか!」

ついつい大声を出してしまい、私の学生生活は『図書室の変人』という通り名から始まってしまうのだった。

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ルームメイトは私に気を使っていた。

「シロッコさんは、何処のプラント出身で?」

敬語を使わんでもいい、と言ったにも関わらず、彼は敬語を使い続けていたのだ。

「私はアプリリウス出身だ」

履歴書の内容は頭に叩き込んでいた。

「良いとこの人なんですねぇ」
「この間、道路舗装のアルバイトをしていたが」

これが良くないのだろう。
しかし、どうしても皮肉が口をついて出てしまうのが私の性癖なのだ。

「……は、はぁ。それはどうも……」

そら見たことか!
それから、ルームメイトは一層気を使うようになった。

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教官のシゴキは酷いものだった。
私とて体力には些か自信があったが、そんな自信は脆くも崩れ去った。

「こらぁぁ!シロッコォ!貴様それでも試験に通ったのか!」

――うるさい、俗物め――

言ってやりたいが、学生の分際はわきまえねばならぬ。

「申し訳……ありません……」
「オッサンはオッサンか!?根性見せろ!」
「……プッ」

今笑った黒髪の小僧、許さんぞ。

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MSシュミレーションは私の独断場だった。
周囲がヨチヨチ歩きをしているにも関わらず、私は颯爽どバーニアを吹かして旋回していたのだから。
MSの操縦は、私の世界と相違無かったのだ。

「あ、あいつ……何者だ!?」
「……っていうか、何でMSの操縦いきなり出来るの?」

いきなりでは無いのだよ!いきなりでは!
貴様らヒヨッコには想像もつかんような修羅場を幾度と無く、くぐり抜けてきたこのパプティマス=シロッコの美技に酔いしれるがいい!

「シロッコォ、貴様ァ!誰がそんな事を命令したか!腕立て100回!」
「申し訳ありません」

調子に乗るとは私らしくも無いな……。

「プッ」

黒髪の小僧ぉぉぉ!