王冠軍(英: Armed Forces of the Crown)、通称女王陛下の軍隊(英: Her Majesty's Armed Forces)、もしくは英国軍(英: British Armed Forces)は、グレートブリテン及びアイルランド連合王国の軍隊である。
王冠軍 Armed Forces of the Crown British Armed Forces | |||
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ロゴ | |||
構成 | 王立海軍 英国陸軍 王立空軍 | 目次 | |
司令部 | 国防省, ロンドン | ||
Commander-in-chief | Victoria Ⅱ | ||
Defence Secretary | Isaac Levingston | ||
Chief of the Defence Staff | Christian Pershing | ||
兵役適齢 | 16 | ||
徴兵制度 | なし | ||
実務総数 | 266,490 現役兵 50,710 予備兵 |
概要
王冠軍は、3つの軍種で構成されている; 王立海軍(Royal Navy, RM)および王立海兵隊?(Royal Marine, RM)(女王陛下のネイバル・サービスを形成)、英国陸軍(British Army, BA)、王立空軍(Royal Air Force, RAF)。部隊は国防省(Ministry of Defence)によって管理され、国防大臣が議長を務める国防評議会(Defence Council)によって運用されている。最高司令官(Commander-in-Chief)は連合王国君主、即ち王冠(The Crown)であり、すべての軍の兵員は王冠に忠誠を誓う。1689年の権利章典(Bill of Rights of 1689) は、平時の常備軍を維持するために議会の同意を要求している。従って、議会は少なくとも5年に1回、国軍法(Armed Forces Act) を可決することでこれを承認する。しかし、王立海軍、王立空軍および王立海兵隊はこの法律を要求していない。王冠軍は連合王国と王室属領および海外領土を保護し、英国の世界的な安全保障上の利益を促進し、国際的な平和維持活動を支援する責任を持つ。王冠軍は、18世紀、19世紀、20世紀初頭に大英帝国を支配的な世界大国として確立する上で重要な役割を果たした。王冠軍は、七年戦争、ナポレオン戦争、クリミア戦争、第一次世界大戦および第二次世界大戦など、世界の大国間の主要な戦争で行動を実施してきた。これらの決定的な戦争での連合王国の勝利により、世界の出来事に影響を与え、世界有数の軍事力および経済力の一つとしての地位を確立した。冷戦の終結以来、王冠軍は多くの紛争地帯に派遣された。多くの場合、海外遠征軍、有志連合、または平和維持活動の一部として配備され、アンティグア、バーレーン、ブルネイ、カナダ、ドミニカ、ドイツ、グレナダ、ケニア、ネパール、オマーン、カタール、セントクリストファー・ネイビス・アンギラ、セントルシア、セントビンセント、シンガポール、トンガ、トルーシャル・オマーンおよびアメリカ合衆国に基地と施設を有し、部隊を駐在させている。
歴史
大英帝国とパクス・ブリタニカ
1707年の合同法(Acts of Union 1707) により、イングランドとスコットランドの軍隊は連合王国の軍隊に統合された。
17世紀後半、特に18世紀を通じて、連合王国の外交政策は、軍事的、外交的、商業的手段、特に主要な競合他社を通じて、スペイン、オランダ、フランスといったヨーロッパの競争相手の拡大を封じ込めようとした。これにより、連合王国は植民地の所有権と世界貿易をめぐる多くの激しい紛争に巻き込まれた。これには、英西(Anglo-Spanish) 戦争や英蘭(Anglo-Dutch) 戦争、フランスとの一連の「世界戦争」が含まれる; 七年戦争(Seven Years' War, 1756–1763)、フランス革命戦争(French Revolutionary Wars, 1792–1802)、ナポレオン戦争(Napoleonic Wars, 1803–1815)。ナポレオン戦争中、HMS Victory に乗艦したホレーショ・ネルソン(Horatio Nelson) の指揮下でのトラファルガー(Battle of Trafalgar) での王立海軍の勝利(1805年) は、連合王国の海上優位性の頂点を示し、王立海軍は海洋における覇権の地位に置かれまた。 1815年のナポレオン戦争の終結までに、連合王国は世界の支配的な大国になり、大英帝国はその後、パクス・ブリタニカ(Pax Britannica) として知られる比較的平和な期間をもたらした。
グレート・ゲーム
大英帝国の古きライバルはもはや脅威ではなかったが、19世紀には新たなライバルであるロシア帝国が出現し、中央アジアの覇権を握る、「グレート・ゲーム(The Great Game)」として知られる二大国間の戦略的競争が見られた。大英帝国は、この地域でのロシアの膨張主義が最終的にインドにおける帝国を脅かすことを恐れていた。これに対して、大英帝国は、第一次アングロ・アフガン戦争(First Anglo-Afghan War, 1839-1842)、第二次アングロ・アフガン戦争(Second Anglo-Afghan War, 1878-1880) およびチベット遠征(British expedition to Tibet, 1903–1904) を含む、ロシアの野心に対する先制行動を数多く実施した。この期間中、大英帝国はヨーロッパの権力のバランスを維持しようとしたが、特にロシアの拡張主義に対しては、オスマン帝国の衰退を犠牲にして「トルコのヨーロッパ地域を切り開く(carve up the European part of Turkey)」という野望を持っていた。これは最終的に、ロシア帝国に対するクリミア戦争(Crimean War, 1854–1856) への大英帝国の介入につながった。
第一次世界大戦
20世紀初頭は、統一されたドイツ帝国の出現もあって、大英帝国とロシア帝国の間の緊張は緩和された。この時代は、弩級戦艦、魚雷や潜水艦といった海軍技術の大幅な進歩を促進する英独海軍の軍拡競争を引き起こし、1906年には、連合王国は唯一の海上における主敵がドイツであると判断した。ヨーロッパの関係に蓄積された緊張は、英国軍史で最も壊滅的な戦争として今日認識されている、第一次世界大戦(First World War, 1914–1918) を招くことになる。第一次世界大戦における同盟及び連合国(Allied and associated Powers) の勝利は、中央同盟国(Central Powers) の敗北、ドイツ帝国の終焉,、ヴェルサイユ条約(Treaty of Versailles)、国際連盟(League of Nations) の設立をもたらした。
第二次世界大戦
第一次世界大戦に敗北したドイツ・ワイマール共和国は1933年までにファシストが政権を獲得した。ナチス・ドイツ(Nati Germany) は、アドルフ・ヒトラーの指導下で、ヴェルサイユ条約に反抗し再武装した。再びヨーロッパの関係に緊張が集まると、1939年9月、ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発した(Second World War, 1939–1945)。この大戦争は、英国史上最も広範であり、王冠軍と連邦軍(Commonwealth troops) はヨーロッパと北アフリカから中東と極東に亘る戦役で戦った。第二次世界大戦中、およそ39万人の王冠軍および連邦軍が命を落とした。連合国(Allies) の勝利は、枢軸国(Axis powers)の敗北と国際連合(United Nations) の設立をもたらした。
指揮系統
女王、ヴィクトリア二世(Victoria Ⅱ) は連合王国の国王(Sovereign) であり、最高司令官(Commander-in-Chief of the Armed Forces of the Crown) である。しかしながら、長年の慣習では、国王大権を行使することにより、連合王国首相および国防大臣に事実上の執行権を与えており、内閣の支援を受けた首相は、軍隊の使用に関する重要な決定を下す。しかし、依然として女王は軍の究極の権威であり続け、将校や兵士は君主への絶対の忠誠を誓う。
国防省(Ministry of Defence) は、政府の部門であり、軍隊の国防政策の策定と実行を担当する最高レベルの軍事本部である。現在、99,505人の民間職員を雇用している。国防省は、国防大臣(Secretary of State for Defence) によって管理されており、国軍大臣(Minister of State for the Armed Forces) 、国防調達大臣(Minister for Defence Procurement)、退役軍人大臣(Minister for Veterans' Affairs) の3つの役職の任命が含まれている。部隊の管理に対する責任は、国防評議会(Defence Council)、参謀本部(Chiefs of Staff Committee)、防衛管理委員会(Defence Management Board)および3つの軍種委員会などの多くの委員会に委任されている。国防省と参謀本部で構成される国防評議会は、「国防の実施のための正式な法的基盤」を提供する。3つの軍種委員会: 海軍本部委員会(Admiralty Board)、陸軍委員会(Army Board)、空軍委員会(Air Force Board)は、それぞれ国防大臣が議長を務めている。
参謀本部長(Chief of the Defence Staff) は、王冠軍における最高位の軍人であり、海軍大将(Admiral)、大将(General) および空軍大将(Air Chief Marshal) を任命する。参謀本部長は、事務次官(Permanent Secretary) とともに、国防大臣に対する主要なアドバイザーとなる。王冠軍の3つの軍種には、それぞれの参謀長が存在する; 第一海軍卿および海軍参謀総長(First Sea Lord and Chief of Naval Staff)、陸軍参謀総長(Chief of the General Staff)、空軍参謀総長(Chief of the Air Staff)。
関連項目
グレートブリテン及びアイルランド連合王国/関連項目
最終更新 | 2019-09-09 (月) 13:01:00 |
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