ストーリー

Last-modified: 2008-10-31 (金) 21:19:52
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22世紀の未来世界。科学は高度に発展し、太陽エネルギーが一種のクリーンで便利なエネルギーとして普及していた。地球の環境も20世紀から21世紀にかけてのひどい汚染から徐々に回復しつつある。いっぽう、世界の人口も上昇の一途をたどり、20世紀末の60億人、21世紀末の83億人から、西暦2165年の最新統計では全世界の人口は126億人にまで達していた。

 

人口の膨張にともない、いろいろな社会問題も出てきた。ここ数年、各国の政治や経済は大きな打撃を受けており、そのうち最も大きな問題は貧富の格差である。このストーリーの舞台となるA国を例にとれば、最も富裕な層である20%の家庭と、最も貧困である20%の家庭との間には、一万倍以上もの所得格差が生じている。このような状況に直面しているA国の与党は、適切な政策を打ち出すこともできず、民衆の不満の声に囲まれている。

 

ついに、次期総理選挙の際、「人民に財産を返還する」ことをスローガンにした独裁政党Tpartyが最後に勝利し、国家機器の制御権を得た。この党の党首が総理になってからまず始めたのは、貧富格差を縮めるための政策発表でもなければ、経済振興のための施策でもなく、世界各国の著名な科学者たちを集め、ある秘密の実験団体を組織することであった。科学者の中には、量子力学や相対理論、超ひも理論および熱力学等の物理学者が大勢含まれていた。この団体の目的とするものは不明だが、ちまたには様々なうわさが流れていた。


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しかし、実験団体の責任者であるマー博士にとっては、この実験は彼が一生をかけて心血をそそいだ結晶である。実は博士は、「反物質」(Anti-Matter)と呼ばれるエネルギーの生産および量産をすでに成功させている。そしてこのエネルギーの量産こそが、マー博士の究極の夢へ向けての開始となる。「Anti-Matter(以下AMエネルギー)」とは、20世紀末に発見されたもので、その物理特性は一般の物質とまるきり反対であり、一般の物質がAMエネルギーとぶつかった時には、巨大なエネルギーが発生する。それは、太陽エネルギーよりも数倍大きなものなのだ。

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その後、マー博士は東奔西走し、ついにA国の新与党総理を説得、軍の協力のもと、全力でAMエネルギーを燃料とする「タイムマシーン」を開発するように話した。この発明こそが、彼の一生の夢である。それは、意のままに行きたい時代へタイムスリップでき、歴史の様々な事件を自ら見ることができるのだ! 実はA国の総理にも自分の考えがあった。ひとつは、マー博士の成功を願い、全世界に向けてこの偉大な発明を発表し、A国が長い間着せられていた「科学弱国」という汚名を払拭すること、もうひとつは、この全く新しい「時空旅行」によってビジネスチャンスをつかみ、これによって、危機的な国家財政を救おうというものだ。また、もし時空旅行が一般的になれば、現在25億人にも達する人口問題を、「時空移民」とうい形で解決できるのでは、とも考えているのだ。

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双方の協議は合意に達し、タイムマシーンの機体製造工程もいよいよ完成間近となっていた。しかし、タイムマシーンの正式起動実験を行う予定日の前日、実験室が何者かによって破壊されたのだ!

 

巨大な時空初号機(タイムマシーン1号機--マー博士は二台製作しており、そのうち一台を予備としている)が設計図もろとも盗まれただけでなく、その場にいた科学者たちは全て殺され、いたるところに血が飛び散り、見るも無残な光景となった。調査の結果、タイムマシーンの燃料であるAMエネルギーも全て盗まれていた。マー博士の計算では、盗まれたAMエネルギーの総量は、地球を300回も破滅させるほどのものである!軍部とA国総理は情報を聞いて慌てふたむき、マー博士と対策を練ることになった。

 

マー博士もショックが大きく、顔が青ざめていた。しかし、ぐずぐずはしていられない。博士は総理に対し、犯人の動機は未だに不明だが、彼らの目的は、過去に戻って現在の世界を変えようとしていることだろう、との考えを示した。

 

「現在の世界を?」総理は怒鳴った。「つまり、過去の歴史を変えさえすれば、我々の世界も変わってしまうということか!?」総理の顔は、マー博士と同じく沈痛なものになった。

 

「その可能性は大きいです」マー博士は少し冷静になって答えた。「いわゆるパラレルワールドという概念も排除できませんが、ここはやはり最悪の事態を想定して対処したほうがよろしいかと。」マー博士は続けて言った。「いま、我々にできることは、犯人が隠れている時空を見つけ出し、タイムマシーンとAMエネルギーを取り戻すことです。そして彼らが歴史を捻じ曲げ、或いは人類数千年の蓄積した貴い文化を破壊することを防ぐのです」

 

「この件は全て、君に全権をゆだねる。それから・・・」総理はマー博士に耳打ちして言った:「もし見つけられなければ、ここへは戻ってくるな」。総理の心は乱れていた。いま考えなければならないのは、Tparty内で彼の失脚を狙う同僚や、野党からの非難や嘲笑にいかに対応し、なおかつ25億人の人民の生活をどうやって守るかということだった。

 

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まず、マー博士は最初の行き先について考えた。人類の歴史のなかで、最もキーポイントとなるのは、いつの時代だろうか。イエス・キリストの誕生?コロンブスの新大陸発見?ルネッサンスや産業革命、フランス革命は?これらはもちろん大きな出来事ではある、しかし、マー博士の心の中には、何かひっかかるものがあった。確かにこれらは歴史の大事なポイントなのだが、それよりも、もっと歴史の片隅に隠された時空にこそ、大きなキーポイントがあるような気がしているのだ。
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次に、軍から提供された精鋭部隊のなかから、この大役に適した人材を選ばなければならない。この機密行動に参加する人間は、体力的に優れているだけでなく、格闘技や知力も人並み以上でなければならない。

 

このようにして「時空機動部隊」が成立され、マー博士は彼らを呼びのタイムマシーンである時空二号機へと乗せた。そして二号機に残されたAMエネルギーを使って、マー博士が判断した歴史のキーポイントである「秦の時代」へと出発させた。

 
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しかし、AMエネルギーが足りなかったのか、あるいはマー博士の設計に不備があったのか、時空二号機は、時空の隙間に入る重要なタイミングに、突然、正体不明の時空の乱れに邪魔され、当初の軌道から外れてしまった。こうして、時空二号機は不明の時代へと流れ着き、一行は現代との連絡も途絶えてしまった。

 

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さて、物語の本筋はここからだ。マー博士はこの事件に対処するためにいくつかの対策を始めた。

 

見知らぬ時代、見知らぬ場所、時空機動部隊はこれから何をすべきなのか!

 

そして、タイムマシーン盗難事件の真相は? ハルカで、プレイヤーはその答を探し出すであろう!