第09話【マランビジー】

Last-modified: 2009-03-17 (火) 13:37:16

治安維持局管制、ガーディアン。
『そう…レリックが…。』
神妙な面持ちで、はやての話を聞くカリム。
「それを、小さな男の子が持ってたぁ言うんも気になってな…。
ガジェットや召喚士たちが出てきたら市街地付近での戦闘になる。なるべく迅速に確実に片付けなあかん。」
『近隣の舞台には…もう?』
クロノがはやてに聞く。
「うん、市街地と海岸線の部隊には連絡したよ。
奥の手ぇもださなあかんかもしれん…。」
覚悟をきめるようにはやては言った。
『そうならないことを祈るがな…。』
クロノの言葉を聞いたカリムはシグナムを治安維持局へと戻るように指示をだした。
「ヤマトリング・ベル部隊長はなのは隊長達の動向を頼むわな。チョバム強化は中断。直ちにヘリへ向かって欲しい。」
アラートにガーディアンに駆け付けたヤマトにはやてはそう指示した。
「了解。」
返事をするとヤマトはシャーリーからデバイスを受取り、外へでる。
「こちらフリーダム2、ヘリへ向かうぞ!!」
ヤマトは疾走でなのは達が集まるヘリへ向かった。

路地。
「うん、バイタルは安定してるわね。危険な反応もないし…。心配ないわ。」
シャマルの言葉に安堵するマイト、ランド、マリア、クリス。
「ごめんね、みんな、お休みの最中だったのに…。」
フェイトは新人たちに申し訳なさそうに言う。
しかし新人たちは、口々に平気だといった。
「ケースと男の子は、このままヘリで搬送するから…、みんなはこっちで現場調査ね。」
なのはの指示に従い、早速、新人たちは現場調査を開始した。

ガーディアン。
一方、管制は次々と現れるガジェットに対応をおわれていた。
新人たちの現場へガジェット1型が二十機、海上方面から12機構成の隊が5グループ。
「多いなぁ…。」
はやての表情が険しくなる。そこへ、メイからの通信が入る。
『ジャスティス2からガーディアンへ。
こちらジャスティス2、海上で演習中だったんだけど、ランドール三佐が許可をくれた。
今、現場に向かってる。
それから、もう一人』
『航空1039部隊、ナガト・ランドール三等空尉です。別件捜査の途中だったんですが、そちらの事例とも関係がありそうなんです。
参加してもよろしいでしょうか?』
ナガト・ランドールはマイトの兄である。
「うん、ほんならお願いや。」

ストームレイダー。
『メイはリインと合流。協力して海岸の南西方向を鎮圧』
「南西方向了解です!」
フェイトの肩にのっているリインが返事をする。
『なのは隊長とフェイト隊長とヤマト副隊長は北西部から』
「「「了解!」」」

市街地。
『ナガトは現場のフォワードたちと合流。
みちみち、別件のことも聞かせてな?』
「了解!!」
ナガトは少し長いマイトと同系色の髪を翻し、駆け出した。

高い塔に佇む真紅色の髪の女性。赤でまとめた服装が、彼女の肌の白さを際立てていた。
女性の名はローズマリー。
『ヘリに回収されたマテリアルは、兄妹たちが回収します。ローズマリー様は地下に…。』
「わかったわ。」
女からの通信にローズマリーは頷く。
『騎士ウィリアムと、融合騎ゼクティ様は?』
「別行動をしている。」
『お一人ですか?』
「一人じゃないわ。彼らがいる」
ローズマリーが手の甲をかざすと、オレンジ楕円の固まりが姿を現す。
「モビルガジェットがいる。」
『失礼しました。協力が必要でしたら、お申し付け下さい。最優先で実行します。』
通信が切られ、一人、ローズマリーは黒い何かに向かって呟く。
「RX-107 ロゼット強化陸戦形態。」
オレンジの魔法陣を展開し、ローズマリーは姿を消した。

地下水路。
鼻を突く様な臭いがするなかをかけるバリアジャケットを装備した4人。
「ナガトさん、お久しぶりです!」
『うん、久しぶり、マリア。現場リーダーは君だろ?指示をくれるかな?』
「はい。」
簡潔に合流地点を伝えるマリア。ナガトは了解し、合流地点を目指す。
「ナガトさんって、マイトの兄さんだよね?」
「僕の高速移動剣術の先生で、年も階級も五つ上!20歳と三等空尉」
皆が関心するなか、マリアがナガトに次の指示をだした。

一方空。
プラズマランサー、アクセルシューター、ドラグーンによりガジェットを破壊するフェイトとなのはとヤマト。

ガーディアン
「フリーダム1、2、ジャスティス1、エンゲージ。」
管制局員からはいる現状報告。そして、ナガトから別件をはやては聞いていた。

『私が呼ばれた事故現場にあったのは、ガジェットの残骸と、壊れた生体ポッドなんです。
ちょうど、5~6歳の子どもが入るぐらいの…。
近くに何か重いものを引きずったような後があったのでそれを辿って行こうとした最中、連絡を受けた次第です。
それから、この生体ポッド…。前の事件で良く似たものを見た記憶があるんです。
人造魔導士計画の…素体培養機…。しかも二年前と同じものだ…』
「うん、私も…あるよ。確かそうやったはずや。」
ギンガの話を頷いて聞くはやて。
『これはあくまで推測ですが…。あの子はまた人造魔導士の素材として造られた第二の子どもなのではないかと…。』

地下水路。
走り続けるフォワードたち。
「人造魔導士って?」
ランドが聞くとマイトが言った。
「優秀な遺伝子を使って、人工的に作り出した子供に、投薬とか機械部品の埋め込みで後天的に強力な能力や魔力を持たせる。
それが人造魔導士。
倫理的な問題はもちろん、現在の技術じゃどうしたっていろいろな部分で無理が生じる…。
コストも合わない。だから、よっぽどどうかしてる連中でない限り、手を出したりしない技術のはずなんだけど…。」
「あっ!」
その時、ランドのデバイス、マグナムが反応した。
「来る!モビルガジェット、六機!!」
足を止める4人。

南西方向海上。
あらかたのガジェットを片付けたメイとリインは他のフォローに回ろうとしていた。
しかし、水平線にかなりのガジェットを肉眼で確認できる。
「増援…?」
それは北西方向を担当しているなのはとヤマトとフェイトも同様だった。
背中合わせになり、周囲を見回すフェイト、なのは、ヤマト。

その遥か遠方上空に魔法陣を展開している人の陰。
「ハハハ…、クワトルの、固有スキル、フェイクコンフューズ。
嘘と幻のトリックで…酔い痴れてもらおう?」
眼鏡をかけた男は面白おかしそうに、笑ってそう言った。

ガーディアン。
モニターに増え続けるガジェットの機影。
「航空反応増大!これ…嘘でしょ?」
思わず目をつぶりたくなってしまうような敵の数に、スタッフたちが声を失った。

波形をチェックしても、全ての敵影は実機と判断される。
実際、なのはたちにも目視で確認できるとのこと。
ついに、ガーディアンを統べる八神はやてが重たい腰をあげた。

北西海上上空。
懸命に敵機の撃墜に励むも、実機と幻影が混じっているのでなんとも戦いづらい状況だ。
フェイトの顔に焦りの色が浮かぶ。
「くそ!センサーにもノイズがかかっている!」
「防衛ラインを割られない自信はあるけど…。ちょっときりがないね…。」
なのはがフェイトに言う。
「ここまで派手なひきつけをするってことは…。」
考えられることは二つ。
「地下か、ヘリの方に主力が向かってる。」
フェイトの考えていることを察したなのはが続けた。
「なのは、私とヤマトが残ってここを押さえるから…メイと一緒に…。
コンビでも普通に戦ってたんじゃ時間がかかりすぎる。
限定解除すれば広域殲滅でまとめて落とせる。」
「それは…そうだけど…。」
と渋るなのは。
「何だか嫌な予感がするんだ。」
『割り込み失礼。』
フェイトとなのはとヤマトの会話に割ってはいったのは、はやての通信だった。

はやては、なのはとヤマトとフェイトにヘリの護衛を指示。
メイとリインフォースには地下のフォワードのサポートを指示した。
自分はガーディアン上空からの超長距離空間攻撃によりガジェットを実機、幻影を問わずまとめて破壊する策に出た。
そのために、クロノから限定解除の許可をもらっている。
現状、クロノとカリムからの一度ずつしか解除は許可してもらえない。
しかも、今回の解除はスリーランク解除まで、よってはやてのランクはシングルSと言うことになる。
限定解除使用許諾とりな押しも難しいとのことだ。
しかし、はやては言った。
「使える能力を出し惜しみして、後で後悔するのは嫌や」
好き好んで使いたいわけじゃない。だが、使えるなら使う。
「久しぶりの遠距離広域魔法、行ってみようか!!」
はやてはシュベルトクロイツを構え、夜天の書を開いた。

『ガーディアン6、シャリオから、ガーディアン1八神部隊長へ』
「はいな!」
シャーリーからの通信にシャキっと返事をするはやて。
『シューティングサポートシステム準備完了です。
シュベルトクロイツとのシンクロ誤差、調整終了です。』
「うん、了解。ごめんな、精密コントロールとかは、リィンと一緒やないとどうも苦手でな…。」
『その辺はこっちにお任せください。準備完了です。』
「おおきにな…。」
通信を終え、シュベルトクロイツを天に掲げ、夜天の書を開く。
「来よ、白銀の風、天より注ぐ矢羽となれ!!」
はやての正面に環状魔法陣が発生。
さらに、その魔法陣を四角く囲むように4つの環状魔法陣が発生する。
『フリーダム1、2、ジャスティス1、安全域に待避…えっ!?新たな魔導師が接近してきます!!
ガーディアン1に接近する魔力反応あり、これは…!』
「何やて!?」
耳を疑うはやて。
『トライブレード』
『ファンネル』
発射体勢に入っているはやてに向かい来る手裏剣型の黄色の刃。
不規則な直線的な動きをする赤色の発射体が次々と奔流を放つ。
はやては発射を解除。直ぐに回避行動に移るが、背後にファンネルが待ち構えていた。
「しまっ…。」
はやての目先三寸を閃く蒼い閃光がファンネルを次々と撃ち落としていく。
「また、お前らか!!」
「一条寺ヤマト!?」
シュヴァルツが口を開く。
メリルははやてに斬りかかろうとしていたが、レフトヴェスバーで牽制。
視線をヤマトへと移す。
はやての前に舞い降りるヤマト。
「なんだか知らないが、どうしてこんなことをする!?…、破壊か?殺戮か?」
すると突然、シュヴァルツの頬を涙が伝う。
「お前が母さんを、父さんを殺した!!!!」
『アクティブカノンラピッド』
「ッ!?(何だ……一体どういう…ことなんだ…。)」
黄色の奔流を障壁で凌ぐ。
その様子に見とれているはやてにヤマトは指示をだす。「ここは俺が奴らの相手を受ける!はやてはガジェットの撃墜を!!」
『カスタムサーベルモード』
激突する蒼と黒の魔力が紫電を這わす。しかし、五秒と持たず、弾き飛ばされるヤマト。
『ファンネル』
そこへ幾つもの発射体より、降り注ぐ九十の奔流。
両腕から波状のシールドを展開。回避しながら攻撃範囲から離脱する。
背後に迫るメリルの連結ハンドサーベルによる一閃。
「あなたは、絶対に殺さなければ存在なの!家族のために!」
「ファーウェル!」
『M.E.P.Emode』

弾け飛ぶ薬筒。
背中の翼が十枚となり、肩にも三枚ずつ翼が出てくる。スピードがあがり、高速戦での体の安定性が格段に上がった。残像も発生するようになる。
「あかん、もしここで撃てばヤマト君を発射に巻き込んでまう。
何とか、場所を…移せんか?ヤマト君!」
シュヴァルツとメリル、それから20のファンネルがヤマトを追い詰める。
『『ファンネル』』
ファンネルの雨がヤマトに降り注ぐが、残像のせいで一度も当たってはいない
『メガランチャー』
奔流が放たれる。
二対一、空中で何度も、何発も交差する三色の閃光。
キュベレイⅢによるファンネルの対象集中砲火を上昇後退しながらかわす。
反転するヤマトの視界。
落下に合わせ、ドラグーンで自分を狙うファンネルに向け放つ。
三つを破壊した。しかし、メリルは動じない。新たにファンネルを生成、飛ばす。
シュヴァルツからは距離をとりつつ、ヤマトは決して自ら接近戦を挑まないように戦っていた。

「何とか撃てないか!?
こっちは…。
くそっ!!こいつらッ!!」
『トリプルトライブレード』
「貴様が家族を!!!!」
放たれる3つのトライブレード。
真ん中のブレードを撃ち落とし、二つのブレードを二重の右袈裟で叩き落とす。
『ドラグーンフルバースト』
「くっ!!」
『シールド』
腕を交差させ、自分をすっぽり覆うほどの波状シールドを展開。
十の太い奔流が張られたシールドに突き刺さる。
「うっ…ぐ…。」
何とか防いだものの吹き飛ばされ、バランスを崩し、失速する。
「今だよ!シュヴァルツ。」
「分かってる!!」
『アクティブカノン』
「くっそぉぉおお!!!」
はやてがヤマトを助けに入ろうとするが、ファンネルで牽制される。
これでは、詠唱に時間がかかる広域魔法は撃てない。
放たれるアクティブカノンをシールドで受け、シュヴァルツとメリルへと通常射撃を連射する。
このままでは、駄目だ。
ヤマトは焦る。現場の幻影と実機の混じったガジェットの件は知っている。
無数に放たれる奔流を間を縫って避ける。
少しでもずれれば当たってしまうようなそんな隙間をだ。
誰かがやらなければ、現場も、ガーディアンもなのは達も危ない。
「くそ!このままだったら、相手の思うつぼだ。切りぬけるのだったら、アレを使うしかない!」
ヤマトに向かってくる2人。
『Infinity Mode』
ヤマトに包み込む光は眩い光を放ち、2人を寄せ突かない。
「何なんだ!目が!」
「何よ!」
ヤマトはインフィニティモードを発動し、バリアジャケットが変化し、チョバムアーマーも装備。対するファーウェルは二刀剣から120センチ以上のある長剣に変わる。
セレスティアルソードと言うモードだ。
「姿が変わった!?だが!」
勢いよく後退し、直後のシュヴァルツの斬撃を宙返りしてかわす。
そこへすかさず降り注ぐ黄色の奔流の雨がシールドごとヤマトを吹き飛ばす。
「ヤマト君!!」
ファンネルはを防ぐのに必死なはやて。
「貴様!!」
『ワイヤードバインド』
放たれる魔力のワイヤーがヤマトを捕えようとしたその時
『シュランゲフォルム』
連なる連結刃がワイヤーを弾いた。
「すまない、遅れた。」
声と共に現れたのは、騎士甲冑を纏った剣の騎士、シグナムだった。
「ボサッとしてる暇はない。やるならやれ、主をお守りするのは私の仕事だ。」
シグナムの言葉に頷くヤマト。
「シャーリー!!」
『了解、これよりフリーダム2、デバイスファーウェルとのシンクロ、及びシューティングサポートに移ります。』
シグナムはシュヴァルツを押さえている間にフリーダムのカートリッジをリロードする。
はやてはメリルだ。
しかし、はやての放つ魔力弾はことごとくファンネルに撃ち落とされていく。
驚異的なスピードで動き回る発射体と短い間隔で連射されるため、かわすのも、撃ち落とすのも難しい魔法。

「前回はいいようにやられたが、今回はそうは行かんぞ?」
「俺はあいつに用があるんだ…。お前が邪魔をすると言うのなら、討つ!」
『ソードアックス・ソードモード』
斧状の魔力刃から剣状が黒い筒から発生する。
「討てるものならな…。」
ジャキッと音を立てシグナムはレヴァンティンを構えた。

「銀月の槍となりて…」
『ランサー』
赤色の鋭いランサーがはやてへと向かう。
「(あかん…かぁ。)」
はやてはシュベルトクロイツでランサーを弾く。
メリルから四方八方に飛び散る黄色の発射体つきの閃光。
「…くっ…。」
はやての頬を汗が伝う。すると、ヤマトがファンネルとはやての間に割って入り、ファンネルを迎撃しながら二人でかわす。
ファンネルによる砲火を止めないまま、メリルは次の魔法を繰り出した。
『ファンネルミサイル』
ファンネルが直接ヤマトへと向かう。
『ガーディアン6からフリーダム2へ!
ファンネルとのシンクロ誤差修正、シューティングサポートシステム準備完了しました。』
「助かる!」

各角度から弧を描くように向かってくるファンネル。

『Type Rush SEED Burst』
空に向けるソード。失われる目の光、急上昇する魔力、鋭くなる目付き。
『ライザーソード』
天まで伸びた巨大な魔力刃が本物・幻影のガジェットとモビルガジェットとファンネルを飲み込む。
「これがファーウェルの力だ!」
ガーディアン
「凄い…一振りで40以上のガジェットを…」
ガーディアンはヤマトのライザーソードを見て呆気にとられている。
「ヤマト君のソードが天まで届いとる…」
「こんなこけ落としの攻撃など!」
シュヴァルツがヤマトの方へ向かうとヤマトは上空に上がった
『チョバムアーマーパージアタック。』
ヤマトに纏う追加装甲が離れていく。その装甲はヤマトの意志で動いており、一種の遠隔操作になる。
シュヴァルツのファンネル攻撃を遠隔チョバムで受け流しながら準備を進めていく行くヤマト。
『ライザーソード、スタンバイ』

「これで決める!」
ヤマトはライザーソードで回転斬りをした。魔力刃は回るようにガジェット・モビルガジェットを切り裂く。
なのはとフェイトのいるフィールドでも肉眼でもライザーソードの魔力刃と爆発が見える。
「ヤマトの力?」
『フリーダム2、ガジェットとモビルガジェット、計80機撃破』
「ええ!?ヤマトが80機も!?」
たった一振りで80機も撃墜するヤマトの活躍を聞いたなのははビックリしていた。これは撃墜王は間違いなく取れるレベルだ。

「この敵ヤバくない?」
メリルは危機感を覚えて、シュヴァルツに促す。
「こんなのに当たったらまともではない…撤退する!」
2人はヤマトとはやてとシグナムを残して撤退し出した。
「撤退!?」
「油断したアカン。まだくるかもしれない」
シグナムははやての言葉で厳戒態勢に入るとともにヤマトははやてに
「フリーダム2はなのは隊長とフェイト隊長の援護に回る。いいかな?」
「ええよ、戦力は多い方がええ」
はやてはにっこり微笑んでヤマトの方を見る。
「恩にきる!フリーダム2はフリーダム1とジャスティス1の援護に回る!」
ヤマトはM.E.P.Eを発動して高速でなのは達の元へ向かった。

「なのは!フェイト!無事か!?」
ヤマトはなのは達の元へたどり着き、M.E.P.Eを解除した。
「いいところに来てくれた。」
「私だけでは手に負えないの。いい?」
なのはは単刀直入で戦況を説明して、ヤマトは同意した。
実機と幻影が入り混じったガジェットとモビルガジェットの大群にどう攻めるのだろうか

地下水路。

六機のガジェットを殲滅したマイト、マリア、ランド、クリス、4人。
ズドォンッ!!
と言う破壊音とともに、近くの壁が崩れた。
「敵か!?」
粉塵が舞い上がり、フォワードメンバーを緊張させる。
ロングソード形態のフォースソードを構えるヤマトと同様に、他3名も警戒体勢にはいる。
徐々に浮かんでくるシルエットは人型。長い髪が揺れ、モーター音が木霊している。
粉塵が晴れると真っ先にマイトとマリアが声をあげた。
「兄さん!!」
「ナガトさん!」
再会を喜ぶマイトとマリア。
「一緒にケースを探しだそう。ここまでのガジェットは叩いてきたと思うから…。」
ナガトの登場にあっけにとられているのはランドとクリスの2人だ。
そんな2人に気付いたナガトが微笑みかけると敬礼で返すランドとクリス。
ナガトを加え、再び走り出すフォワードメンバー。
マイトによるとケースがある場所までもう少しらしい。
途中に現れるガジェットを蹴散らし、ひた走る。
途中の大型モビルガジェット・アッシマーはランドール兄弟のコンビネーションで撃破。
さらに奥へと進むと、下水によってゆっくりと流れていくケースをクリスが見つけた。
「あった!」
と報告するクリスに、探していた皆が喜ぶ。
ザッザッザッ…
最中になる奇怪な音。
「何この音?」
マリアが不思議そうな顔で言う。
「馬鹿!敵だぁっ!!マリアッ!!」
逃げろ!!まで言い切れず、ランドはブーストを展開。加速して音源を追う。
黄色の魔力弾四発がクリスを襲った。直撃はしなかったが衝撃で吹き飛ばされるクリス。
近くにいたマイトが応戦するも、避けられ、逆に鋭い何かが肩をかすめた。
わずかながら飛ぶ鮮血。
駆け寄ろうとするクリスを蒲うようにたつマイト。
そして、ランドが追っていた音源がようやく姿を露にした。
なんとも形容しがたい不気味ないでたち。
その姿に見とれていると、先の爆風により吹き飛ばされた際に取り落としたケースを六人が見知らぬ女性が手にしていた。
赤の髪、額の紋様、全体的に黒でまとめた服装。
ローズマリーとモビルガジェット・ロゼットの陸戦強化仕様だ。
「あっ!?それは…。」
クリスがレリックのケースを取り返そうと駆け寄るが…。
「邪魔よ。」
抑揚の無い声、立ちはだかるロゼット。発射態勢に入る溢れ出す淡い黄色の砲台。クリスはプロテクションを使うが、プロテクションは砕け散り、閃光に飲み込まれた。

吹き飛ばされるクリス。マイトを巻き添えにして地を支える支柱にめり込んだ。
そんな二人にローズマリーは目もくれず、歩き出そうとする。
「あっ!コラ、待てっ!!」
ランドが追おうとするが、ロゼットが行く手を阻む。マイトは拳を繰り出すが。かわされる。
しかし、それをフォローするかの様にナガトのフォースソードでの一撃がロゼットを狙う。
実体シールドでガードするロゼット。
しかし、ガードの上からでもナガトの一撃はロゼットを破壊させた。
その間にローズマリーは歩いて離れていってしまうが、そんな彼女の首につきつけられる紫色の魔力刃。
姿を現すマリア。
ウロボロスの第二形態、ソードモード。
「手荒な真似してごめんなさい…。だけどそれ、ホントに危ないものなんです。
渡してくれますか?」
それは知っているという顔をするローズマリー。しかし、動きをとめ、何事かに頷き、目を閉じる。
「ソニックパニッシャー!!」
声。
刹那、爆光にも似た凄まじい音と閃光の衝撃。目を閉じ、耳を塞ぐフォワードメンバーたち。
音と光が去ったとき、マリアの目の前に現れるロゼット本体。陸戦強化武装が破壊されただけだ。
右手の白い筒から発生している魔力刃がマリアを狙う。
見開かれるマリアの目。割り込む鮮やかな光。
弾け飛ぶ薬筒。
飛び散る鮮血。
『プリズムバレット』
七色の閃光の銃撃が左手に突き刺さる刃ごとロゼットを破壊して吹き飛ばした。

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