第11話【ナンバーズ】

Last-modified: 2009-03-20 (金) 11:29:45

リィンフォースⅡと同じぐらい背丈、赤い髪に、露出度の高い服装。
その少女は、自分の名をアギトと名乗った。
恐らく、先程の視覚、聴覚を奪った魔法はこのアギトのものだろう。
メイはティアナを守るようにして立ち、モードをフォースへと移行。
右手でソードモード一本を握る。左手は握り拳をつくろうとすると激痛が走るが、あえて表情には出さない。
アギトによる魔法攻撃、紫色の焔玉をかわすフォワードメンバー。
放たれた焔玉は地に着弾し、粉塵と水しぶきを巻き上げる。
その二つを裂き、ガリュウが自身の刃による突きを放った。
対するのはギンガ、リボルバーナックルを用いて対抗し、二つの攻撃がぶつかりあい、衝撃が周辺を駆け抜け、両者は互いに吹き飛んだ。
威力は互角。
すると、今度はアギトによる攻撃だ。彼女の周囲に発生する今度はオレンジ色をした炎。それを操り、広範囲に渡って攻撃を放つ。
それをかわすべく、その場にいる六人は柱の陰に姿を隠した。
「ティア、どうするの?」
「任務はあくまでケースの確保よ。撤退しながら引き付ける!」
「通信によれば、ヴィータ副隊長とリィン曹長が向かってるらしい。」
メイが柱の陰から敵の様子を窺うようにしながら言った。

「なんとか…合流できれば…。」
ティアナは思考を巡らす。
『よし、なかなかいいぞ、三人とも…もうすぐそっちに着く。』
『リィンもいるです!皆さん、状況に合わせたいい判断ですよ!』
ヴィータとリィンフォースから入る念話が入った。

「ルル、なんか近付いてきてる!…魔力反応は……でけぇ!!」
ルーテシアの付近を浮遊するアギトが身振り手振りで伝えていると天井が崩れ、粉塵が辺りに立ち込める。
そして、直後
「捕えよ!凍てつく足枷!!フリーレンフェッセルン!!」
粉塵の中から姿を現したリィンフォースによる捕獲魔法が発動される。
ルーテシア、アギトを中心に渦巻く水流が一瞬光を放ち、光が晴れたときには、渦巻く水流のまま凍結していた。
そして、
「吹き飛べぇぇええ!!」
残るガリュウにはヴィータによるグラーフアイゼン、ギガントフォルムによる打撃を見舞い、吹き飛ばした。

「待たせたな…。」
「みんな無事でよかったです!」
ヴィータとリィンフォースが自分達が捕獲、及び攻撃した相手の状況を確認するが、ガリュウの姿はなかった。
さらに、ルーテシアとアギトの姿もだ。
ズンッ!!
振動が地下を走る。
「何、これは!?」
メイが声をあげる。他のメンバーも突然の事態に驚いているようだ。
「大型召喚の気配があります。たぶん…それが原因で…。」
気を失っていたキャロが意識を取り戻した。
「とにかく、脱出だ!スバル!!」
ヴィータは指示をだす。基本的にフォワード陣は隊長、副隊長を除いて空を飛べない。
そこでスバルのウィングロードを使い、脱出経路を確保するのだ。
もちろん、メイは飛べるのだが、彼一人で全員を運ぶのは無理だろう。
スバルはウィングロードを発動させた。

『フルバースト・アームズシフト』
一斉に起動する砲撃、射撃魔法がアームズモードにより瞬時に威力強化、射程延長が行われる。
ヤマトが両方のファーウェルの引金を引くと一斉に全てが発射され、遥か遠方の敵を撃ち落としていった。
それも束の間、視界の隅に空を駆ける紫色の光弾を捉える。
頬を伝う汗。
「長期戦になればこっちが不利に…」

放たれる奔流の嵐をかわし、弾き、防ぎ、千歳へとファーウェルが向けられ、引金がひかれる。
銃口から溢れだす光が環状魔法陣によって増幅され、極大の奔流がはなたれる。
「いったい、どうしちゃたんだよ!2人とも!」
『ヤマトさん、ファーウェル、アームズモード排熱追い付きません。限界です。これ以上撃てば…』
ロングアーチからの通信に焦りを覚えるヤマト。
『あとは私がやるよ。二人はヤマト君とシグナムが引き付けてくれとるから…あとはまかせて…と言ってもあと残りは七編隊やけどな。』
はやてからの通信が割って入ると、幾分かヤマトの表情が和らいだ。
「お願いするよ。モード解除」
GNアームズ、トランザムモードが解除され、中断した分の残りエネルギーでヤマトは千歳を迎え撃った。

時空管理局 陸士部隊地上本部。
「なんだ?一体何事だ、これは…。」
「本局遺失物捜査部、機動六課の戦闘…、そのリアルタイム映像です。
撃たれているのはかねてより報告がある、AMF保有のアンノウン。
撃っているのは恐らく機動六課の部隊長、魔導士ランクは総合SS。」
ソファに座っているかっぷくのいい男は聴きとがめた。
「ん、地上部隊にSS?聞いておらんぞ!」
口調から、なんとなく不機嫌さが窺える。
しかし、そんな彼の傍らに立っている女性は、さして表情を変えることもなく、淡々と続けた。
「所属は本局ですから…。」
「後見人と部隊長は?」
相変わらず声には不機嫌さが込められているように聴こえるが
そばに立つ女性がモニターを操作すると三名の顔写真がモニターに映った。
「左から、後見人の筆頭は本局次元航行部隊提督、クロノ・ハラオウン提督と、リンディ・ハラオウン統括官。
そして聖王教会の騎士、カリム・グラシア殿のお三方です。」
「ちっ、英雄気取りの青二才どもが…。」
明らかな嫌悪を表す男。女は続ける。
「部隊長は八神はやて二等陸佐。」
男は顔を歪めた。
「八神はやて?あの八神はやてか?」
「はい、闇の書事件の八神はやてです。」
それを聴き、テーブルをバンッと叩いて腰をあげる。
「中規模次元侵食未遂の根源…あのギル・グレアムの被保護者、どちらも犯罪者ではないか!」
腕を組、ドカッとソファに男は再び腰をかける。
「八神二佐の執行猶予期間は過ぎてますし、グレアム提督の件は不問…と言うことになっております。
ですから…」
「同じことだ!!」
女の言葉を遮り、男は声を荒げた。
「犯した罪が消えるものか!」
呆れたような顔をする女はメガネの位置を直してから言った。
「問題発言です。公式の場ではお控えなさいますよう…。」
「分かっている。忌々しい、海の連中はいつもそうだ。危険要素を軽視しすぎる。」
「中将は二年前から地上部隊への対AMF兵器戦の対応予算を棄却しておられますので、本局と聖王教会が独自に立ち上げたのでしょう。」
相変わらず、表情を変えないまま女が理由を言った。
「ちっ!
近く、お前が直接査察に入れ。何か一つでも問題点や失態を見付けたら即、部隊長の査問だ。」
了解と敬礼する女。
「平和惚けした教会連中を叩くいい機械になるかもしれんからな。」
そう言って男は席をたった。

崩れ行く地下道。
その上では召喚した獣を操るルーテシアの姿。
「だ、駄目だよ!ルル!!これはまずいって!埋まったなかからどうやってケースを探す?
あいつらだって局員とは言え、潰れて死んじゃうかもなんだぞ?」
アギトが全身を使ってルーテシアに注意する。
「大丈夫…あのぐらいのレベルなら…たぶん、死なない。
ケースはクアットロとセインに頼んで探してもらう…。」
そう、抑揚なく言うルーテシアにまたもや全身を使っての猛抗議。
「よくねーよ!ルル!あの変態医師とか、ナンバーズ連中、半蔵とか千歳なんたらなんかと関わっちゃ駄目だって!
ゼストの旦那も言ってたろ?あいつら口ばっかうまいけど、実際のところ私達のことなんて、精々実験動物ぐらいにしか…」
ズドンッ
何かを押し潰すような音。音の源を見れば、召喚した獣がいる地面が陥没していた。
どうやら、地下を押し潰したようだ。
「やっちまった…。」
がっくりと肩を落とすアギト。
そんなアギトを放置し、ルーテシアはガリュウへと向き直る。先の戦闘での怪我の状態を気遣うが、ガリュウは動作で心配はないと示した。
「戻っていいよ?アギトがいてくれるから…。」
ガリュウは主の気遣いにしたがって、姿を消した。
「ジライオンも…。」
戻っていいと言おうとした瞬間、桃色の召喚魔法陣が発生。
そこから発生するアルケミックチェーンがジライオン絡めとり、拘束した。
ジライオンは拘束を逃れようともがくが抜け出せない。
「な、なんだ?」
アギトが警戒し、辺りを見回すと、あるビルの屋上にキャロが立っていた。
そして頭上を二本の光の道が駆ける。そして、左右にそれぞれスバルとギンガ。
そして、中心にヴィータが、その上をメイが飛ぶ。
その光景に表情を険しくするルーテシアとアギト。
響く銃声。
とっさに回避する二人。
アギトが炎を、ルーテシアがダガーをティアナに向け放つ。
『GNフォルティス』
遠距離から放たれる膨大な魔力エネルギーがその二つの魔法を飲み込んだ。

アギトを取り囲む無数の氷のダガー。そして、ルーテシアをおう金色の光。
彼女の胸につきつけられるストラーダの尖端。
六課フォワードメンバー五人の連携で、アギトとルーテシアの拘束に成功した。
「ここまでです!」
リィンフォースにより二人にバインドがかけられる。もがくアギトとは別に、ルーテシアは落ち着いたものだった。

アギトの前に降りるヴィータと、メイ。
「子供いじめてるみてぇでいい気分はしねぇんだが…市街地での危険魔法使用に公務執行妨害、その他諸々で逮捕する。」

そこより離れた廃ビルの屋上に、二つの人影があった。
一人は二又に髪を結んだ女、クアットロだ。
「ディエチちゃぁん、ちゃんと見えてるぅ?」
勘に触るしゃべり方で言うクアットロ。
「あぁ…」
と答えるディエチと呼ばれる女は大きな布に包まれた何かを持っている。
「遮蔽物もないし、空気も澄んでる。よく見える」
はおっているマントが風になびく。そんな彼女の瞳に写る何かの光。
「でもいいのかクアットロ…、撃っちゃって…。
ケースは残せるだろうけどマテリアルの方は破壊しちゃうことになる。」
ディエチの言葉にクアットロはおもしろおかしそうな調子で答えた。
「ドクターとウーノ姉様曰く、あのマテリアルがあたりなら本当に聖王の器なら、砲撃くらいで死んだりしないから大丈夫…だそうよ?」
「ふ~ん…。」
と興味無さそうに呟くディエチ。それから、持っている自分の背丈以上もある何かの布をはぎとった。
巨大なバズーカ砲を思わせるような形状をしている。
クアットロに入る女性からの通信。
『クアットロ、ルーテシアお嬢様とアギトが捕まったわ。』
「あぁん、そう言えば、例のチビ騎士に捕まってましたねぇ~。」
白々しく言うクアットロ。
『今はセインが様子をうかがっているけど…』
「フォローします?」
『お願い。』
それを聞くとクアットロはメガネの位置を直し、セインと呼ばれる何者かに念話を使って通信を開始した。

『セインちゃん』
「は~い、クア姉…。」
『こっちから指示を出すわ。お姉さまの言う通りに動いてね?』

「うん、了解!」
と、ヴィータたちがいる道路の下に生えている手がそう言った。

『は~い!ルーお嬢様。』
フォワードメンバー、リィンフォース、ギンガに囲まれているルーテシアに念話が入った。
「(クアットロ…)」
声から相手を推察する。
『何やらピンチのようで、お邪魔でなければクアットロがお手伝い致します。』
何やらつっかかる言い方だが、ルーテシアは気にしないようだ。
「(お願い…)」
と念話で返す。
念話の向こうで醜悪に顔を歪めるクアットロ。
『は~い、ではお嬢様…、クアットロの言う通りの言葉を、その赤い騎士に…。』

一方、なのはとフェイトはヘリの護衛へと向かう途中だった。
「よかった、ヘリは無事」
フェイトが安堵する。しかし、なのはは異常に気づき、顔をしかめた。
『市街地にエネルギー反応!大きいです!』
『そんな…まさか!?』
管制の異常を察知したはやてはフレスベルグを中断。
ヤマトも、気をとられていた。
「ヤマト!」
シグナムに大声で呼ばれ、気付くと、
『ネットガン』
半蔵の放つ蜘蛛の巣型ネットが左のファーウェルに巻き付いた。
「しまった!?」
ネットは特別仕様でファーウェルに電撃が流れる。ファーウェルに触れる前に手放すと、左のフリーダムが爆発。
(まだかすり傷程度だ。本体はまだここだ)
シールドを張り、直ぐ様リフレクタービットの回避、千歳、半蔵の迎撃にうつる。
市街地。
ディエチを中心に渦巻く、オレンジの光。魔法陣とは異なる。
そして、巨大な砲口をストームレイダーへと向ける。鮮やかな光を収束させていく。
『砲撃のチャージを確認!物理破壊型。推定、Sランク!』

「インキューレントスキル・ヘビーバレン発動」
ディエチは淡々と作業を進めていく。

一方、ルーテシアはクアットロの指示通りの言葉をヴィータへと告げていた。
「逮捕は…いいけど…。大事なヘリは…放ってていいの?」
驚愕する一同。直ぐ様ヴィータがメイに指示をだす。
「メイ、早くヘリに向かえ!」
「えっ?向かえったって今から…」

「あなたは…また、守れないかもね…。」
ルーテシアは続ける。

「早く!!お前なら、間に合うかもしれないだろぉ!!!」
怒鳴るヴィータに気押され、メイはカートリッジを消費。ストームレイダーへと向かった。
『ファフニール Form, ファトゥムウイング』
飛翔を開始したメイの姿は見る間に小さくなっていった。

「発射。」
覇気、怒気、なんの感情も篭っていないただの言葉で、ヘビーバレンは放たれた。
放たれた閃光はストームレイダーへと一直線に向かう。
機動六課一同に走る緊張。
ヤマトもシグナムも気にかかりはするが、今は気を散らせない。
ファーウェルのカートリッジをリロードし、通常射撃でビットを撃ち落として行く。
「集中しろ!一条寺ヤマト!気にかかるのは分かるが…くっ!!」
GNダガーブーメランを弾くシグナム。しかし、直後に突進してきた半蔵にタックルで吹き飛ばされる。
「シグナムさん!くっ!千歳さん!!」
ロングサーベル一閃を体を沈め、かわし、カウンターで逆手横一閃を見舞う。
しかし、それはシールドで弾かれた。

はなたれる砲火がストームレイダーを飲み込まんと襲う。
そして、爆炎をあげた。

『砲撃…ヘリに直…撃…?』
ロングアーチスタッフの愕然とした声。
『そんなはずない!』
『ジャミングが酷い、データ来ません!』

「ストーム…レイダーが……。」
一瞬の反応の遅れをラウは見逃さない。
『』
ヤマトの背後に奔流が直撃した。
「ぐぁぁっ!!直撃!?」
『ハイマットモード、ダウン・ドラグーン損傷。』
ファーウェルから状況が伝えられ、スピード、高速戦闘での安定性がダウンする。
「おぉぉ!!」
半蔵がシールドの障壁を展開しながら、盾を突きだし、シグナムに攻撃をしかけてる。
障壁を展開。
一瞬だけ抵抗を見せるが、簡単にシールドに突破され、ネットガンで引っ張られる。
そして、オーライザーにロングヒートサーベル、シールド・アタックモードを追加し、連携させシグナムを吹き飛ばした。

市街地。
「うっふふのふ~…。どう?この完璧な計画!」
クアットロは楽しげに言う。
「黙って、今、命中確認中。」
ディエチはクアットロを制すると、撃墜確認に集中した。
「あれ…まだ飛んでる。」
晴れていく爆煙の中に揺らめく人影。
管理局、機動六課が誇るエースオブエース、高町なのはだ。
「スターズ2とロングアーチへ、こちらスターズ1。
ギリギリセーフでヘリの防御成功!」
「へへっ防衛成功だな」
ヤマトは少し笑みを浮かべた。

ほっとする六課一同。
そしてクアットロとディエチも目を丸くしていた。その二人めがけ、フォトンランサーの雨と、デリュージーが降り注ぐ。
かわす二人、その背後に降り立つフェイトと前に降り立つメイ。
「囲まれた…。」
「早い!?」
左右に散るクアットロ、ディエチ。そして、同様にメイとフェイトも左右に散る。
「止まりなさい!市街地での危険魔法使用、及び、殺人未遂の現行犯で逮捕します!」
八発のプラズマランサーが用意される。
「今日は遠慮しときますぅ~!」
相変わらずふざけた調子のクアットロが言う、そして合流したディエチを追うのはメイだ。
「IS発動、シルバーカーテン!」
姿を消す二人。
「メイ、一旦引くよ!はやて!」

「位置確認、詠唱完了!発動まで、あと四秒!」

はやての言葉に、フェイトとメイが身を翻し、二人を追うのをやめる。
「離れた!?何で?」
シルバーカーテンを解除、適当な場所で動きをとめると空中にある漆黒のかたまりに気付いた。
「広域…空間攻撃!?」
「うっそぉ~ん!!」
デアボリックエミッションが発動。
迫りくる空間攻撃から逃れるため、ひた走るクアットロとディエチ。クアットロにディエチは抱えられ、なんとか攻撃範囲から逃れるが、三方向から砲撃魔法で狙われる二人。
絶対絶命そう思った時だった。
『ディエチ!クアットロ!!じっとしてろ!!』

声がした。
『IS発動!ライドインパルス!』
フェイトが発射体制に入る。
「トライデント・スマッシャー!!」
二発のカートリッジと控えに放たれる三本に分かれる奔流。
「エクセリオン・バスター!!」
一発のカートリッジと引き替えに放たれる桜色の奔流。
『オールウェポン・フルバースト・GNアームズ・Sタイプ!』
10発のカートリッジを破棄、20本の奔流が放たれる。
前方向から放たれる砲撃が、クアットロ、ディエチを狙い、そして、奔流同士が激突、爆発を起こした。
しかし、直撃したかと思われた砲撃は何者かの乱入により避けられていた。
「ふぅ~、ドーレねぇさま、助かりましたぁ~。」
とクアットロ。
「…感謝…。」
とディエチ、それぞれ憔悴しきった顔で言う。
「ぼぉっとするな、さっさとたて。
馬鹿ものどもめ、監視目的だったが来といてよかった…。
セインはお嬢とケースの確保を完遂したそうだ。
合流して戻るぞ。」
そして、ロングアーチは三人の行方を見失った。

レリックの確保は出来たものの、五人を逃した事を悔いているフォワードメンバー。
そして、ティアナとスバルにまんまと欺かれたナンバーズとルーテシア、アギト。
ナンバーズは悔しがったがどうやら、ルーテシアの探しているナンバーとは違ったらしかった。

ロングアーチより戦闘状況が報告される。
『スターズ5、敵と今だ交戦中。ライトニング2、戦線より離脱させられてます。』

『フルバースト』
放たれる4本の奔流で千歳を吹き飛ばし、直後の半蔵のオーライザーをかわす。
その直後、半蔵の腕からにより放たれる蜘蛛の巣がヤマトを捕えようと向かってきた。
サーベルで弾くため、フリーダムをサーベルに変え、振るうが、直前で特殊な蜘蛛の巣が4つに分かれた。
『Explosion Bind』
空を切るサーベル。
「こ…これは…!?」
「終りだ、千歳、カウント十秒だ、離脱するぞ。」
千歳はリフレクタービットを戻し、離脱を始めた。
「了解した…。」
千歳も離脱を開始。
一人、上空に取り残されるヤマト。もがく、しかし、抜けない。
『解除まで残り五秒、爆発まで残り七秒』
フリーダムが警告と報告する。
『回避距離まで約二キロ、回避は不可能です。』
「待て!くそ!何だ、この蜘蛛の巣!やけに頑丈だな!」
『一条寺ヤマト、今行く。』
シグナムからの通信が入るが
「駄目だ、シグナムさん、来るなぁぁあ!!」
『解除、レアメタルディフェンス展開』
カートリッジを消費、自分を覆うシールドを発生させ、さらに

『レアメタルシールド』
両腕でシールドを展開したのも束の間、朱色の閃光に飲み込まれた。
膨大なエネルギーと光が溢れ、空気を振動させる。円を描くように広がって行く爆発。
舞い上がる煙を突き破りヤマトが落下して来たのは五分程たってからだった。
煙が尾を引く。
二重の頑丈なシールドが効いたせいか、バリアジャケットのリアクターパージまでで、ダメージは押さえられていた。
ファーウェルのフレームの破片で傷付いたのか、頭から血を流している。
シグナムが抱きとめた。
騒然とするロングアーチにシグナムは言った。
「スターズ5、ライトニング2、戻るぞ!ストームレイダーに早く戻れと伝えろ!重症だ。」
青色のインナースーツが血で染まり、黒く変色しつつあった。
シグナムはヤマトを抱える手を見た。生暖かい液体で、手は真っ赤に染まっていた。

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