用語集

Last-modified: 2025-08-31 (日) 11:11:14

本編外での用語は用語集(小説外)を参照。

A-Z

悪魔

神話などにおける神々や人間に仇成す邪悪な存在のこと。
この世界では稀に前触れもなく現れて人間を喰らう凶暴な化物がこう呼ばれている。
その正体は瘴気によって狂化した魔族の中で、転移魔法に覚醒してこの大陸へ渡った者のこと。
ゲーム知識でそれを知るレミリアの助言により国交の妨げになるとして悪魔の正体についてはアンヘルによって緘口令が敷かれ、魔王のみが使える魂を縛る契約魔法で国民全員に狂化について人間に話すことを禁じられた。
偽ピナ断罪劇の後にアンヘルは「悪魔が星の乙女の肉体を乗っ取り、王国を騙して悪魔の脅威となる聖女レミリアを排除した」と偽ピナに全ての罪を集約するカバーストーリーに利用している。

悪役令嬢

言葉の通り主人公の敵やライバルにあたる令嬢。
乙女ゲームの中で主人公に敵対し、婚約破棄され破滅を迎えるということが定形文とされており、そんな彼女たちを主役にしたものは「悪役令嬢もの」とジャンル化されている。
本編内ではゲーム内でのレミリア様が相当する。
この話は愛を知った悪役であったレミリア様と物語の悪役である偽ピナの戦いを描いた話でもあると言えよう。
なお、しばしば言及されているが実際の乙女ゲームでは悪役令嬢に相当するキャラクターはほぼ存在せず、あくまでも架空の乙女ゲームの存在であることが多い。

アスモーディの塊根

コミカライズにて、偽ピナがロマノに頼んだ品のひとつ。
ゲーム内では魔界編にて登場する魔族用の好感度アイテムの材料と思われる。

オトキシ

「星の乙女と救世の騎士」の愛称。
現代から来た転生者がこの世界のことを指すときにはこの言葉を指している。

過去の水鏡

魔族に伝わる魔術。
水を張った水盆と砕いた魔晶石、そして記憶を読みたい場所と対象の情報などを揃えることで過去の映像を遡れる。
ゲーム中やファンブックに登場しない魔術なのでエミやリィナは知らなかった。
レミリアはこれをゲームのアルバム機能に相当するものだと推測している。
魔族はプライベート空間に簡単なおまじないをかけて防いでいる。

偽証

裁判などで嘘の証言を行うこと。
創作物の中には証人が平気で発言を二転三転させ嘘がバレてもお咎め無しなものもあるので犯罪ではないイメージを持たれがちだが、実際の証人は公正さを保つため「規範に従い真実のみを述べる」と宣誓し実行することが義務付けられており、偽証は司法の信頼を著しく損なう行為として基本的に国や時代を問わず重罪となる。例えば現代日本では3ヶ月以上10年以下の拘禁刑と定められている。
因みに中世ヨーロッパでは神に誓う形式だった為、神を欺いたとして殺人より重い罪として扱われたという。
一応記憶違いなどで事実と反する証言になってしまった場合は罪にならない場合もあるが、他人の名誉を傷つけた、人生を狂わせた代償として賠償などの責任を背負うことになる可能性はある。
作中では偽ピナが相手の同情を引いたり王命であるかのように勘違いさせたりと様々な手段を用い、貴族平民の身分を問わず大勢の人間に小さな嘘や脚色混じりの短い証言を行わせそれを継ぎ接ぎすることで状況証拠をでっち上げるという手法でエミを陥れた。
そのため協力した者たちの多くは「他の人も証言しているから」「少し大袈裟に言っただけで完全な嘘じゃないから」「王太子に従った方が利益になるから」「星の乙女(平民)を虐げるなんて許せない、これは人助けで正義の行いだから」「お伽話のような素敵な恋物語を応援したいから」「レミリアに対する劣等感や嫉妬や逆恨みを晴らす好機だから」「グラウプナー家が嫌いだから」などの軽い認識であり、証言という行為の重みを実感しておらず罪の意識はほぼ無かった。
実際、証拠集めを終えたレミリアがこのまま偽証を放置すると大変な事になると警告する悪夢を見せた後でも証言を訂正した者は判明している範囲で僅か四人。
夜会で冤罪だったことが判明した際はweb版・書籍版では罪を認める者が多かったが、コミカライズ版では罪を認めてレミリアに謝罪するどころか、逆に証拠映像の方が捏造だと騒ぎ立てる者、自分も騙された被害者だと開き直る者、偽ピナやウィリアルドに助けを求め泣き喚く者がほとんどという有様だった。
もちろんそのような言い逃れが通じるはずもなく、全員が連行され後日王国の法により裁かれた。
具体的にどのような量刑が下されたのかは書かれていないが、平気で嘘を吐き無実の人間を貶める信用できない者であると認識されたことで閑職に回されたり馘首されるばかりでなく、実家や親類縁者や後見人などの身内からも不法行為に対する怒りや同類扱いされる忌避感から廃嫡や絶縁などの私的な追加制裁を受けたりと、輝かしい未来が閉ざされる自業自得の末路を迎えている。

逆ハー

逆ハーレムの略語。
ひとりの男性が複数の女性を侍らせるハーレム状態の逆、つまりひとりの女性が複数の男性を侍らせている状態。
元々の人柄と前世のオトキシ知識によって幼馴染達と良好な関係を築くエミを偽ピナが批判した時に使用されたが、当然エミにそのようなつもりはなかったので完全な言いがかりである。
そして思い込みでエミの逆ハー計画を罵倒した偽ピナ自身は「ウィルもクロードもデイビッドもステファン*1も、特にアンヘル様は絶対にアンタなんかに渡さない」と盛大なブーメラン発言をしている。
当然ながらレミリアは「複数人の名前を挙げて全員を「渡さない」と言うお前の方が異性を侍らせたがっていると思うのだけれど」と痛烈に批判している。

狂化

魔族にある日突然起きる症状。魔族の間では「死に至る病」と呼ばれていた。
発症すると理性を失い、同族や人間を食らうようになってしまう。
身体能力も上がり今までに使えなかった魔法も使えるようになり、転移魔法によって人間の住む地域に現れて襲った個体が「悪魔」の正体である。
原因は魔国の中心に眠る創世神から湧いて出る瘴気。
魔国以外は瘴気が薄いために影響は薄いが暴露し続ければ人間も発症する可能性がある。
聖属性魔法の浄化をかければ回避可能だが、魔族は瘴気への耐性が高い代わりに聖属性と相性が悪いため覚えられなかった。

現代知識

現代社会を構成する知識や技術のこと。
異世界で現代知識を応用して社会を発展させるという展開は創作作品において広く根付いており、よき方向へ向かう成功例や悪しき事象を発生させる失敗例を含めて幅広く描かれている。

作者のX情報によれば、前世のエミは学校で配られた資料集などを隅々まで読む子で、知らない言葉や気になったことがあったら立ち止まって調べるのを苦に思わない好奇心旺盛な性格だった。
エミ自身はそれらを100%知識として身につけていたわけではないが、転生してからはこの世界での技術的社会制度的な制約を考慮した上で再現可能かを検討し、生活向上に役立つ発明や給食制度などの社会福祉政策の実現に成功している。
レミリアはさらにエミが忘れていて思い出せなかった記憶まで閲覧することができるためより効率的に活用している。
一方、聞きかじりの浅い知識を知ったかぶりして出鱈目混じりに開陳し試行錯誤の労力を他人に丸投げしてばかりの偽ピナや、エミがこの世界で再現するのは難しいと判断して採用しなかった案を没にした理由を考えないまま企画として出したクロードは失敗している。

恋の秘薬

1.架空の乙女ゲームアプリ「星の乙女と救世の騎士」の課金アイテムのひとつ。
 通常の好感度アップアイテムは攻略対象の好みのものであっても0.02%しか上がらないが、これはひとつで5%も上昇する。
 これを使うと見ることのできないイベントがあるため攻略掲示板では邪道と呼ばれていたが、使用しているユーザーは多かったらしい。
2.本作中にて魔族が経営する店で売られているアイテム。
 経口摂取させることでゲーム内のように大きく好感度を上げられる。
 偽ピナは差し入れの手作りクッキーにこれを混ぜてウィル達とその毒見役の護衛に摂取させて完全に篭絡した。
 とある魔族の調合師が作ったポーションに彼の魅了の魔力が移ってしまい、それが人間にだけ効くとして魅力の香水とともに商品化されていた。
 レミリアは追放後にこれらが貴族に目を付けられているとソーンに忠告、販売中止となっている。
 誤解されることが多いが、あくまでも好感度が大きく上昇するだけで対象を洗脳する効果は無い。

好感度

ある対象に対して抱く好感の度合い。
オトキシのような乙女ゲームなどの恋愛シミュレーションゲームでは特に重要なステータス。
ゲーム中では最大値は100%でキャラごとに好みのプレゼントを贈る、パーティメンバーに入れて戦闘を行うなどで微量ずつ上昇していく。
課金アイテムである恋の秘薬で大きく上げられる。
あえて好感度が低い状態を楽しみたいコアユーザー向けに好感度を下げるアイテムも存在しており、レミリアはこれを使って偽ピナが稼いだ好感度を消すことを考えたが、エミが築いた好感度も消えてしまうので断念した。

公式チート

オトキシのラスボス・レミリアを表した、エミの記憶の中の言葉。
邪神と魔王アンヘルに次ぐステータスの高さに加え、ゲーム中に主人公たちを襲う不都合の解消の為に様々な能力を有している。
非常に稀有な転移や攻撃・治癒・幻惑・変身魔法、テイマーのような能力、医学と毒物と呪術の知識とまさにチートとしか言えないようなスペックを持つ。
魔術師型のキャラクターにも関わらず、主人公側の仲間キャラで最強に育つ物理型のウィリアルドよりも物理ダメージで勝るなど、ラスボスの名に恥じない強さ。
本作中では幼少期からエミがレベリングを行っていたことに加え、レミリアも各地の救済やアイテム収集のついでにレベリングを続けたことで天界の主を単体で滅するなどオトキシ以上にステータスが強化されている様子。

浄化の乙女

女神レンゲより、創世神を救い魔界の瘴気を浄化した少女に与えられる称号。
魔界、ひいては世界を救った証とも言えるもので、本来は浄化の力の持ち主である星の乙女が授かるものだった。
つまり本来であればピナが授かるべき称号であったため、レミリアは割と本気で「手垢の付いたものを贈られた気分だ」と内心で嫌がっていた。
ゲームでは称号を授かるとアンヘルから魔晶石をもらうことができるらしい。

瘴気

魔国の中心に眠る創世神から湧いて出るもので、曝露した生物を変質や死亡させてしまう。
魔族が狂化に至ってしまう原因であり、魔国の地では実りが少ない理由である。
地上で神としての権能を使う度に溜まっていく澱みであり、コミカライズでは人間に例えれば疲労によって生まれる老廃物のようなものとも説明されている。
天界で権能を振るう分には発生しないのだが、創世神はそれを知る前に力を使いすぎたせいで蓄積してしまい自力では天界に戻れなくなってしまった。
そこで創世神の為に末娘である浄化の女神レンゲが地上へ浄化の花弁を撒くことで祓っていたのだが、天界の主がこれを横取りした上に彼女を幽閉してしまったことで事態が悪化、創世神自身まで瘴気の影響を受けてしまい世界滅亡の危機になってしまっていた。

聖鎧

ドワーフの国を守護する火の神が打つ特別な鎧。
神の裁きを退ける力を持つため装備者に神罰は効かず、神を討つ力を与えらえれる。
火の神を降ろしているドワーフの国の姫巫女プシュークがレミリアの為に作ったものは金地に青い紋章が入った優美なもの。
かつてウィリアルドの祖先に与えられた聖鎧も存在し、国宝として宝物庫にしまわれている。
一方レミリアは後の世で神と人との関係の災いになりかねないとの理由で創世神再誕後にサラ経由で返還している。
(厳密には「エミだったらそうするから」という理由によるもの)
とはいえ建国当時の不安定だっただろう情勢や不安を拭えなかっただろう人心を考慮すれば、求心力や武威の具体的な象徴となるものは必要だった可能性はあり、王国が聖鎧を国宝として保管した判断を一概に批判するのも良くないと思われる。

炊き出し

災害や貧困などで困窮した状況下にある多数の人を対象として、料理やその他の食料や毛布等の生活物資を無償提供する一連の行動。
作中では偽ピナが行っていたが、慈善事業ではなく王都にいるだろう攻略対象たちを誘き寄せる為の人気取りが目的だった。
そのため飢餓が起きているわけでもない王都の、しかもメインストリートで行った結果浮浪者が大挙して押しかける結果となり治安や衛生状態が悪化。
評価を得るどころか貴族だけでなく民からも非難を受けることとなった。
コミカライズでは掘り下げられており、「なぜこんなところで?」と疑問を呈する通行人や、貧民救済ならば就労支援なども組み合わせなければ意味が無いと呆れる重臣たちの姿も追加されている。
結局最後は食中毒事件を引き起こし甚大な被害を齎す大失態となり、ウィリアルドが謹慎処分を受ける結果となった。
後に呼ばれてもいないのに会議へ乱入し得意げに御高説を垂れる偽ピナに対して重臣たちが上記の事件を揶揄、ウィリアルドと偽ピナが恥辱に震える場面もある。
なお、エミの場合はグラウプナー領で無料給食制度を開始して貧しい子供も学校に通えるきっかけになるなど成果を上げている。
いくつかの貴族も類似の制度を作り成功を収めたことから、国としてもそれを参考にした制度を作る話もあったのだが…。

肉体に宿る人間の根源そのもので転生なども含めこの世界においては精霊の管轄である。
たとえ死んでも本質は変わらず、善悪はその魂に刻まれており環境などでは変わらないとレミリアは推測している。
もっともこれは作中でもゲーム中でも共通してクズだったグラウプナー公爵や裏四馬鹿を知ったレミリア個人の推測であり、それが正しいと断言されているわけではない。
実際作中では愚行を犯し四馬鹿と蔑称が付けられているウィル達も、ゲームではレミリアの死すら悼み悔やむ立派な四英雄へと成長を遂げていることが番外編にて明らかになっている。

断罪劇

衆目を集めた状態で罪を裁くこと。
断罪対象者を晒し者として名声を貶める、断罪対象者に被害を受けた側の名誉回復を目的とすることが多い。
悪役令嬢系、ざまぁ系の作品とは相性が良く、本作でも最序盤とクライマックスで二度行われる。

ダンジョン

RPGでは定番の迷路に似た構造をもつ迷宮のような空間。
この世界においてはレンゲが監禁されたせいで瘴気を浄化できなくなったため、代替え措置として人間に浄化を肩代わりさせる目的で作られた隔離施設のようなもの。
創世神が自身の体から溢れる瘴気を作り替えて魔物にした上でダンジョンに放ち、ダンジョンに訪れた冒険者たちが魔物を討つことで瘴気の浄化が果たされる……というサイクルが想定されていたのだが、
瘴気の蔓延のスピードが人間たちの討伐の度合いをはるかに上回ってしまったため、ダンジョンから魔物があふれ出し地上の各地に出没するようになってしまった。

使い魔

手足となって使役される魔物や精霊、動物のこと。
ゲーム内ではカラスが、本編では蜘蛛がレミリアの使い魔となってスパイや映像の収集を行っている。
その他書籍版ではコウモリや蟻に似た魔物をテイムして使役している。

転移門

王国がある大陸と魔国がある大陸を繋ぐゲートのこと。
結ぶ座標は固定されて変更は出来ないものの、制限の厳しい転移魔法とは違い無制限に人や物を送り込める。
レミリアは「エミの記憶の中にあった猫型ロボットの持つピンクのドア」と表現している。
禁呪とされる古代魔法の悪魔召喚の知識、素質を持つ者自体が希少な転移魔法の才能、この二つを組み合わせ固定化する優れた錬金術の腕という、全てを兼ね備えたレミリアにしか作れない代物である。

天眼

魔王の血を引く者に受け継がれる嘘を見抜くと呼ばれる目。天眼を持って産まれてきた子が次の魔王になるとされている。
アンヘルは生まれつき有していたが、実は持たずに生まれた者に移植して受け継がせることが出来るらしい。
実際には真実を見抜くのではなく、当人がついた嘘の自覚を見ることが出来る、と言うもの。
そのため嘘をつかずに伝えたいように話が出来たり心から信じている場合はそう伝わるため人物鑑定眼と併用して使わなければならない。
魔王家にしか基本知られてないため偽ピナが魔王の情報を知っていることが明らかになった。

毒味

貴人に出される食物が安全であるかどうかを実際に食して確認すること。
本編では王太子の護衛時に毒味で口にした恋の秘薬で骨抜きにされた数人の近衛がいたことが明かされている。
純粋に任務を果たした彼らは偽ピナの被害者であると考える読者は多い。

内政

国内の政治、行政のこと。主に土木、社会福祉、衛生、産業などがあり反対語は外征、外交。
本編ではルグラーツェの統治や孤児の保護などの社会福祉、輪栽式農業などの産業、ダムをつくるなどの土木が行われている。

ブルフレイム

王城のある場所。
首都なのか国の名前なのかは明記されていないが、アンヘルが『ブルフレイムの王城』という言い回しをしていることから国名ではないかと思われる。

冒険者

危険が伴う冒険に挑戦する、ファンタジー系作品ではお馴染みの職業のこと。
魔物討伐や護衛など依頼の受注、ダンジョン攻略、素材の収集・売却などで生計を立てており、レミリアも追放されてからは冒険者業で村の資金を稼いでいた。
魔国から王国へ避難してきた魔族の一部も冒険者になり魔国への仕送りや次に避難してきた同族を養っている。
ある程度の規模の町には依頼の掲示や素材の買い取りを行う冒険者ギルドが存在し、登録している冒険者はギルドタグを所持している。
依頼の達成などによってギルド独自の冒険者ランクは変化していき、高ランク冒険者となると依頼の指名料金が増えたり領主に直訴できたりする。
レミリアは転移魔法などを存分に使うためにソロ活動をしていたが複数人でパーティーを組んでいる冒険者たちもいる。

星の乙女

世界の危機を解決する為に遣わされるという精霊に愛された少女。
仲間や道具の力を高めたり眠っていた才能を目覚めさせたり農地の実りを豊かにしたりなど、周囲に様々な恩恵を与える能力があるという。
また、精霊の加護により人に好かれやすくなるオーラが出るといわれる。
なお実は星の乙女本人固有の能力と言えるのは魔力不要のバフ能力くらいで、逸話に語られる能力の多くは一緒にいる精霊たちの影響によるものだったりする。
物語の舞台であるブルフレイム王国の建国王はかつて狂った女神を討った勇者であり、戦友だった星の乙女と結ばれたという伝説から、星の乙女は信仰対象にもなっている。

星の乙女と救世の騎士

エミやリィナがプレイしていた架空の乙女ゲームアプリのタイトル。本作品の舞台でもある。
乙女ゲーム風のRPGで、ターン制のカードゲームのようなシステム。
魔法学園を舞台とした第一章、世界滅亡を防ぐ戦いへと身を投じる第二章以降のストーリーで展開されており、6年目に最終章を配信してサービス終了した。
エンディングでは一番好感度の高いキャラ、上限まで上がったキャラが複数いる場合は選んでハッピーエンドを迎える。
課金をすれば全員とのプロポーズと結婚式が見られた。
完結後もファンブックが発売されるなど、ソーシャルゲームでは円満な最期と呼べる。

魔術師

魔法使いにあたる職業。
作中のネームドキャラではレミリア、ミザリー、ステファンが相当する。
エミが非殺生の日常魔法の開発に携わるまでは「戦時以外では金食い虫」と言われ地位が低かった。

魔晶石

魔物の体内から採取できる魔石を加工した青紫の宝石。
ゲーム内ではログインボーナスや課金などで得られ、ガチャに使うと「神殿で祈りを捧げながら握りしめると魔晶石は強い輝きの後に消え、新しい仲間の訓示が得られる」という演出でキャラクターを得られる。
「割る」ことでスタミナと呼ばれる行動可能回数が最大値まで回復することができるようだ。
実際にこの現実世界では「体に接触させた状態で破損させる(割る)と魔力や体力が回復する」という使われ方をしている。物語の中のように一律に最大まで回復できる訳ではなく、大きさによって回復量に差があるものだが一般的に普及している存在だった。

魔物

人に仇なす怪物の総称。
その正体は邪神に堕ちかけた創世神が、浄化の代替えを人間に担わせるべく自身の体からあふれる瘴気を作り替えたことで生まれた存在。
本来は人間の生活圏に影響を及ぼさないよう隔離施設として作られたダンジョンに放たれていたが、
事態の悪化に伴って人間の手による討伐が追い付かなくなり、地上に溢れ出るようになってしまった。
小説ではファンタジー作品ではお馴染みのゴブリン種、コミカライズではニワトリやみみずの魔物が出現している。

マヨネーズ

卵黄と酢と植物油を混和して作る調味料。
異世界転生系作品の現代知識チートの一つとしてよく利用される。
材料や製法が単純で、中世ヨーロッパの保存技術でも日持ちがするとされていた事が理由と思われる。
ただし中世ヨーロッパのレシピと現代日本の家庭用レシピは別物な事に注意。
まず私達が知るマヨネーズはすぐに食べるまたは冷蔵保存が前提なので、風味優先で酢の量が当時のものよりも少ない。
また酢の殺菌作用を十分に効かせるには全体をむらなく乳化し満遍なく酢を行き渡らせねばならないのだか、これを人力でやるには大の男が汗だくになるほど力を込めて長時間撹拌する必要がある。
そのため当時でもマヨネーズが原因の食中毒は発生していたようだ。
お手軽簡単で絶対安心な品ではないのである。
小説版でエミは新鮮で衛生的な卵の一般流通は難しいと判断してマヨネーズの特許取得と公開を断念している。
偽ピナは安易に手を出し大々的に販売した結果、大量食中毒事件を発生させている。
一方レミリアは殺菌魔法を開発した上で使い切りサイズに小分け販売することで食中毒を防いでいる。

魅力の香水

1.架空の乙女ゲームアプリ「星の乙女と救世の騎士」の課金アイテムのひとつ。
 プレゼントを贈る、行動を共にするなどで上昇する好感度を2倍に出来るアイテム。
 一度使用すると一か月効果が持続すると説明されている。
 「一緒に過ごす事で相手は好意を抱くようになる」というフレーバーテキストが書かれている。
2.本作中にて魔族が経営する店で売られているアイテム。
 ゲーム中と同じく好感度上昇にボーナスがかかる。
 あくまでも上昇量に倍率がかかるだけなので、そもそも好感度が上がらなければ効果が無い。
 レミリア曰く、嗅ぎ慣れない甘い匂いがするらしい。
 とある魔族の調合師が作ったポーションに彼の魅了の魔力が移ってしまい、それが人間にだけ効くとして恋の秘薬とともに商品化されていた。
 レミリアは追放後にこれらが貴族に目を付けられているとソーンに忠告、販売中止となっている。
 本来はゲームのように一か月しか効果が持続しないはずだが、星の乙女が使用するとその加護が持つ強化効果によって効果期間が延びてしまうらしい。

勇者

選ばれし英雄のこと。
火の神が打つ聖鎧を授かり、夫の男神を人間に奪われた嫉妬から国を滅ぼしかけた女神を討った青年がウィリアルドの祖先である。
同じく聖鎧を授かったレミリアも勇者であるといえるだろう。

リリスの花の蜜

偽ピナがロマノに頼んだ品のひとつ。
ゲーム内では魔界編にて登場する魔族用の好感度アイテムの材料と思われる。
魔族に対して感情を操作する作用があるとレミリアが忠告したことによってアンヘルが輸出を禁じた。

リリンの実

人間界には存在しない魔国産の果実。ブドウ色の小ぶりの桃のような見た目をしている。
正常な状態に身体を回復させる効果を持ち、効能は摂取する人間の魔力量に比例する。
これを発酵させ、ハーブなども併せることによって生まれた特製のリリン酒は「恋の秘薬」の解毒剤にもなる。

輪栽式農業

近代のヨーロッパで行われた耕作方式であり、それまでの三圃式農業を上回る収益をもたらした。
しばしばなろうでも使われる技術なのだがとても勤勉とは言えない偽ピナがなぜ知っていたのかを議論されることが多く、ゲームのイベントであった、農業知識を持つキャラクターがいたなどのさまざまな予想が挙げられている。
因みにこの農法は飼料にも緑肥にもなる根粒菌共生型マメ科植物の利用が要である。
レミリアはエミの知識を基にきちんと仕組みを理解した上で、魔族たちが作った高品質堆肥とドワーフ国で見つけたトパルス豆を用いて再現している。
一方偽ピナとウィリアルドのそれは「家畜の排泄物がそのまま肥料になるから大丈夫」という間違った前提による欠陥農法であり、もし広めていたら土地の荒廃は避けられなかったと思われる。

ルグラーツェ

レミリアが追放された先で作り上げた村、およびその村を拠点とする商会の名前。
グラウプナー公爵領内の田舎にあり、最寄りの村には徒歩で二時間もかかる僻地だがその後凄まじい発展を遂げて村と呼ぶには違和感を覚えるほどに栄える。
この名前は長らく書籍版のみでしか出ていなかったためかレミリアの領地、貿易都市、はじまりの村などと呼ばれることが多い。
一通りの施設が揃う発展具合はお忍びで訪問したエルハーシャが想像以上だと冷や汗をかくほど。
住民は皆支給された揃いの服を着用しているが、これはレミリアが一目で住民か侵入者か判別するために取り入れた。
この世界の古い言葉で「美しい恵み」という意味であり、恵美(エミ)の名前に肖ってレミリアが名付けた。


*1 何故かコミカライズではステファンは省かれている