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Last-modified: 2008-10-14 (火) 22:51:20

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208 名前: Let's肝試し! (23) [sage] 投稿日: 2008/07/27(日) 15:42:28 ID:bTtdD44i
――――外――――
ミカヤ「もしかして今の悲鳴、シグルド達?」
ヘクトル「セリカやエリンシア姉上の悲鳴も混ざってたな」
リン「へぇ…なかなか頑張るわね、マルス達」
ズズン…ドゴォッ…
エイリーク「なんか尋常じゃない音が聞こえますけど…」
エフラム「微妙にだが…大地が揺れている…中で何が起きているんだ」
セリス「なんだか楽しそうだねー」
アルム「いや楽しそうな音には聞こえないよ…むしろ物騒な音だよこれ」
エリウッド「zzz…(木陰で優雅に昼寝中)」
――――廃ビル内――――
―4F―
ダダダダダダッ…!
セリカ「なんだかんだで…!」
エリンシア「4Fに来ちゃいましたけど…!!」
シグルド「旗なぞ探していられるかーーー!!!」
アイク「俺と戦うまで逃がさんぞ!!」
シュバァ!!
セリカ「きゃあ!? 下手したら直撃したわよ今の!」
シグルド「く…まるでジェ○ソンに追われているようだ!」
エリンシア「ま、まだ効果は消えないのですか…!」

ロイ「ど、どうしよう…このままじゃちょっとヤバイよ! 
   幻覚ガスもまだ8分は解けないのに! 下手したらもっとかかる可能性もあるのに…」
リーフ「え、なんでさ、8分以上もかかっちゃうの!?」
ロイ「人によって個人差があるんだよ…効果時間は10分が最短、
   長い時は30分ぐらいはかかっちゃうんだ…」
マルス「30分もかかったら…シグルド兄さんは良しとして、
    セリカとエリンシア姉さんの体力が持たないだろうな…
    それに行き止まりにいったらアウトだし…」
リーフ「でも僕らが出て行ってもどうにもならないよ…」
マルス「しかし放っとくわけにもいかないよ…」
シグルド達(+アイク)の後を追う形でマルス達が4Fに到着する
マルス「くそ…なにか…なにかないか…これは!?」
たまたますぐそこの部屋にてこの状況を打破する術を探していたマルスはある物を見つけた
マルス「(これならいける!)ロイ、今すぐ外にでてミカヤ姉さんを呼んできて!」
ロイ「え、なんで!?」
マルス「説明は後! いいから早く!」
ロイ「う、うん…! すぐに呼んでくる!」
ロイは全速力で隠し階段を下りに行った…
209 名前: Let's肝試し! (24) [sage] 投稿日: 2008/07/27(日) 15:45:24 ID:bTtdD44i
ここまで説明をしなかったが隠し階段は1F、2F、3F、4Fへすぐに行ける
本来は非常階段の目的で作られたものだが忘れ去られ、
半壊したビルを修理する際に誤って入口を埋めてしまったが
年月が経ち、建物そのものが脆くなったので1番手が入る前の30分間で使えるようにしていたのだ
リーフ「僕たちはどうするのさ?」
マルス「僕はここでロイとミカヤ姉さんの到着を待つ、
    リーフはシグルド兄さん達とうまく合流してこの部屋へ誘導して」
マルスは4Fの見取り図に赤丸をつけたものをリーフに渡す
リーフ「ここに何かあるの?」
マルス「そこの部屋の床は物理防御床で出来てるんだ、
    それに逃げ回ってたらミカヤ姉さん達が到着しても見つけるまでに時間がかかっちゃう、
    だから唯一武器を持ってきてたシグルド兄さんにその部屋でアイク兄さんを相手にして
    時間を稼いでもらって、ミカヤ姉さんが到着するまで持久戦さ」
リーフ「荒っぽいね…でもこれが最良の策だろうね、了解、いってくるよ」
マルスの手にしていた物を見て了承の意を示し、リーフは駆け出した
見取り図を手に廊下を走る、ときどき聞こえるラグネルの衝撃音で
おおよその位置を推測し、先回りをする
リーフ(というか僕達、家族で肝試しをしにきたんだよね…?
    なんでこんな修羅場になってるんだろう…)
今更である…
――――外――――
ロイ「はぁ…はぁ…階段駆け降りはキツイよ~…
   でもそんなこと言ってる場合じゃないや…」
ヘクトル「ん…? あれはロイじゃねぇか?」
エイリーク「ロイ? どうかしたのですか?」
ロイ「はぁ、はぁ…ミ、ミカヤ姉さんいる?」
ミカヤ「え、私に何か用?」
ロイ「説明は後! 今すぐ一緒に来て!」
ミカヤ「え…どこに…? まさか」
ロイ「ビルの4F!」
ミカヤ「い、嫌よ! なんでまた入らなきゃいけないのぉ!?」
ロイ「アイク兄さんが(そりゃもう)大変なんだよ! いいから来て!」
ミカヤ「ア、アイクが…!? 大怪我でもしたの!?」
血の気が失せ、別の意味で寒くなるミカヤ(それは杞憂だが…)
ロイ「と、とにかく来て 説明は走りながらするよ!」
ミカヤ「…わかったわ」
ミカヤは初めてビル内に入るときとは違い、『長女』としての顔をして
ロイの後を追い始めた…
210 名前: Let's肝試し! (25) [sage] 投稿日: 2008/07/27(日) 15:46:52 ID:bTtdD44i
――――side リーフ――――
シュバァ!
リーフ(!、近い! すぐそこだ)

エリンシア「はぁ、はぁ…私…もう体力が…」
セリカ「私もちょっとまずいかも…」
シグルド「頑張るんだ二人とも…!」
シグルドはまだ体力に余裕はあるようだが女性二人には結構キツイようだ
アイク(逃げてばかりでラチがあかんな…どこかに追い込めればいいんだが)
リーフ「兄さん達! ようやく見つけた!」
シグルドの目の前にまたスケルトンが…
シグルド「!、新手か!? くそ…!」
ガキンッ!!
リーフ「ちょ、兄さん僕だよリーフだよ!! ティルフィングやめて!」
シグルド「リーフ!? なぜお前がスケルトンに…あ、そうか幻覚ガスの効果か…」
壁に刺さったティルフィングを引き抜く
リーフ「今、マルス兄さんがアイク兄さんを止めるための作戦を実行してる、
    シグルド兄さん達も協力して」
エリンシア「ハァ…ハァ…ど、どうするのですか」
セリカ「正直…ハァ、体力がもうないんだけど…ハァ…」
リーフ「今から三人とも僕の案内する部屋についてきて、早く!」
アイク「そこか…! ん、なんか一匹多いぞ、スケルトンがいる…」
エリンシア「まだ私は走れますけど…セリカが…」
セリカ「私…もう走れないわよ…」
シグルド「…おとなしくしていろよ、セリカ」
え、と聞く前にセリカはシグルドによって抱きかかえられる
セリカ「え、ちょ、兄さん…?」
シグルド「走るぞ!」
リーフの先導の元、シグルド達は走りだす
アイクの衝撃波をかいくぐり、目的の場所へと一行は無事に辿り着いた―――――

リーフ「シグルド兄さん、手短にやってほしいことを話す、
    この部屋でアイク兄さんと戦って時間を稼いで、
    この部屋は物理防御床で構成されている、
    通常よりアイク兄さんの攻撃力は落ちるはずだよ」
シグルド「…作戦の内容はよくわからんが、時間を稼げばいいんだな?」
リーフ「そう、ミカヤ姉さんが来るまで、ね…持久戦だよ、
    勝つことよりも耐えることを最優先事項にして」
シグルド「わかった…エリンシア、セリカを任せる、二人とも離れているんだ」
エリンシア「わかりました、セリカちゃんのことは任せてください」
セリカ「よ、よくわからないけど頑張って、シグルド兄さん」
リーフ「悪いけど…僕は武器を持っていない、手伝うことはできないと思って」
ああ…と答え、ティルフィングを構える
そこにアイクが部屋へゆっくりと入ってきた
211 名前: Let's肝試し! (26) [sage] 投稿日: 2008/07/27(日) 15:48:06 ID:bTtdD44i
アイク「もう逃げられんぞ、あきらめて戦ってもらおうか、
    あんたが俺の前に立った時点であんたは俺の敵だ」
シグルド(お前から私達の所に来たんだろうが!!!)
思わず心中で突っ込むシグルドだった、
アイクは未だ幻覚ガスの効果が切れておらず、四人とも魔物にしか見えていない、
迷いなくラグネルを突きつける、敵と相対した時の目をしながら…
シグルド「もう逃げ場もない…受け入れてやるさ、
     だが、先ほどと同じだ、相手は…私一人だ」
アイク「いいだろう(漆黒の騎士と戦ったときを思い出すな)」
リーフ(場違いな考えだけどエリンシア姉さんとセリカには
    魔物同士の戦いにしか見えないんだろうなぁ、
    僕は普通に見えるからかなり緊迫感感じるけど…)
双方お互いの武器を敵へ向ける、呼吸の合った時が――――
アイク&シグルド「「行くぞ!!」」
試合開始だった―――
ガインッ!
双方の武器をぶつけ合う、武器を相手の方に押し込むように力を入れ合う
シグルド(くそ…やはり力では敵わないか…!)
自分の方に武器が押し返されているのがはっきりわかる、
力での勝負は部が悪いと判断し、後ろへ跳び、シグルドはアイクとの距離を一旦離す
アイク「ぬぅん!!」
アイクはそこに追い打ちを入れるように踏み込みながら横に大振りの一撃を繰り出す
シグルド「おわっ!?」
まさか届くとは思わなかったため慌ててもう一度後ろへ跳ぶ
シグルド(こうして戦ってみるとラグネルはかなり脅威だな…)
アイクが持つとそれなりの大きさにしか見えないが
実はかなり刀身が長い、加えて衝撃波を出せて、使用者の防御力を上げる…
シグルド(私のティルフィングもそれなりの性能だが…
     とにかく特攻タイプのアイクにはかなり合った武器だろうな…
     持久戦なのだから防御に徹すればよさそうだが、相手はアイク、
     力づくで防御を崩されかねない、それなりに攻めなければ…)
態勢を立て直し、今度はこちらから攻める
シグルド「はぁっ!」
ギンッ!
あっさり受け止められてしまう、そしてそのままアイクはティルフィングを跳ね上げる
シグルド(しまった…!)
先ほどのカウンターと同じ状況である、武器の重心が上にあがり、体勢を崩されてしまう
アイク「甘いと言っている!」
またしても腹部に強烈な一撃を叩きこまれる、その威力に後ろへ体がふっとばされる…
シグルド(ぐ…)
だが、体勢を崩さず後退しただけで済ませられた、
先ほどと違い威力が落ちているからだ、物理防御床の恩恵である
シグルド(確かにこの部屋、持久戦にはもってこいだな…!)
アイク「どうした…そんなものなのか」
シグルド(だがまともに受け続けるとやばい…攻めと守りを適切に行わねば…)
ひとまず相手の出方を伺う、アイクとしばしにらみ合う形になる
212 名前: Let's肝試し! (27) [sage] 投稿日: 2008/07/27(日) 15:49:20 ID:bTtdD44i
アイク「…来ないのか、ならこれでどうだ…」
ラグネルを上段に構える、そして
アイク「はぁ!!」
勢いよく振り下ろした、衝撃波がものすごい速さでシグルドに襲いかかる
シグルド(衝撃波が来たか…!)
横に跳び、寸でのところでかわす
アイク(よけたか、なかなかやるな…ならこれでどうだ)
再びラグネルを上段に構える、そして振り下ろす
シグルド(またか…!)
再び横へ跳ぶ――が
アイク「そこだ!」
再び衝撃波が襲いかかる
シグルド(早い!!)
とっさに反応は出来たもののかすってしまう
シグルド(危なかった…もう少し反応が遅かったら直撃だ…)
アイク「なかなかやるな、楽しいぞ…!」
シグルド(とてもじゃないが楽しめんぞ私は!!)
アイクはワクワクしながら、
シグルドはさっきから心臓バクバク状態である…
アイク「だが逃げてばかりで通用すると思うな、次は外さん」
そう言い、アイクはラグネルを横へ構える
シグルド(横に構えただと、何を…まさか!)
アイク「ぬぅん!!」
またしても衝撃波、ただし今度は横向きの衝撃波だ
シグルド(受け止めるしかない…!)
ズガァッ!!
シグルド「ぐぅ…!!」
受け止めきれずに床に倒れてしまう
シグルド(近距離も遠距離も力の差がありすぎる…!)
近寄れば剣術で吹っ飛ばされ、距離をとれば衝撃波が飛んでくる
アイクの攻撃には死角がなかった
アイク「…遠距離戦だけではつまらん、こちらから仕掛けさせてもらうぞ」
シグルド(なんだと!?)
ドゴォッ!!
床を一部を粉砕する威力をもった攻撃がシグルドのいた場所に繰り出された
シグルドはその場から跳び、床を転がり、回避していた
シグルド(こ、殺す気かアイク…!)
事実そのつもりなのだが…アイクには魔物にしか見えてないのだから
アイク「あんた、遠距離攻撃の術がないだろう
    もしそんなものがあるのなら、さっき俺と距離がとれたときに
    使ってたはずだ、一方的な試合ではつまらん、お前の剣術を見せてみろ」
シグルド(『剣術』…か…)
シグルドはゆっくりと立ち上がる
シグルド(幼い時から…お前はひたすらに強さを求めていたな、
     何度も私に挑んでは、お前は何度も負けていて…)
―――いつかシグルド兄さんの剣術を完全に超えてやる!
シグルド(お前はいつもそう言っていたな、あの時は子供だった、
     太刀筋は滅茶苦茶で…そんな未来など訪れないかもしれないと…
     そう思っていた)
アイク「来い…」
ラグネルをこちらに向けられるのを視界に納める
213 名前: Let's肝試し! (28) [sage] 投稿日: 2008/07/27(日) 15:50:59 ID:bTtdD44i
シグルド(だがお前は立派に成長した、
     その剣で今はたくさんの人を救えるだろう、
     剣術もあの頃からは考えられないほど上達して…
     常識では計り知れないほどの力を手に入れた…努力の結果なのだろうな、
     事実私は今こうしてお前に押されてしまっている…)
―――だが…
ティルフィングをアイクへ向ける
シグルド(だからといって私の剣術を超えたとは言わせんぞ、アイク!)
―――本当に私を『完全に』超えたのか、見せてみろ!
シグルド「行くぞ! アイク!」
強く踏み込み、アイクに一撃を浴びせようとする
キンッ!
またしても受け止められる
アイク「何度言えばわかる…!!」
再びティルフィングを上にあげられ、重心が上へ移動する
そしてそのままラグネルを横に払う
アイク(なんだと!?)
しかしシグルドの姿が自分からはすでに遠ざかっていた
空振りをしてしまい、アイクの防御がおろそかになる
シグルド「そこだっ!!」
遠ざかっていたシグルドが接近してくる、
だがアイクは態勢を立て直すのが間に合わなかった
アイクの体に一撃が浴びせられた
アイク「ぐ…!!」
アイクは態勢を立て直そうと後ろへ跳ぶ
シグルド「まだ終わりじゃないぞ…!」
攻撃後再び床を蹴り、アイクに接近を続ける
アイク(くそ、態勢が整えられん…!!)
今のアイクは完全に防御態勢が崩れてしまっている
シグルドは間髪いれずにアイクへ攻撃を浴びせ続けた

リーフ(すごい…アイク兄さんを押してる…!!)
セリカ「嘘…アイク兄さんが押されてるなんて…」
エリンシア「なんかすごいことになっていますわね…」

アイク「く…やるな…!!」
攻撃を受けながらアイクはラグネルを逆手に持ち、上段に構える
シグルド「!?」
アイクはラグネルを床に刺した、そしてそれと同時に大きな火柱があがる
シグルド「く…やはりそう都合よくいかないか…」
アイク「俺としたことが…油断したみたいだな…
    だが同じ手はもう通用しないぞ…」
アイクの目は好敵手に会えた喜びで溢れていた…
シグルド(今の手はもう使えない…唯一隙があったが…
     これが無くなると、さすがに勝てそうにはないな…)
アイク「まだまだ、これからだ…う…? なんだ…?」
シグルド「ん…?」
急に頭を抱え始めたアイク、そして片膝をついてしまう
シグルド(これはスリープ? ということは…)
視線を入口の方へ向けると、そこにはミカヤとロイとマルスの姿が
マルス「いやーごめんごめん遅くなっちゃった…」
ロイ「ミカヤ姉さんを連れて来ようとしたはいいものの、
   入ってから進むのが遅くて…」
ミカヤ「だ、だってしょうがないじゃない!! 怖いものは怖いの!!///」
アイク「う…なんだか眠く…zzzz」
アイクは深い眠りの世界へと旅立った…
214 名前: Let's肝試し! (29) [sage] 投稿日: 2008/07/27(日) 15:52:13 ID:bTtdD44i
リーフ「ふぅ…一時はどうなるかと思った…」
エリンシア「なんだかすごい普通じゃない肝試しになりましたわね…」
セリカ「というかアイク兄さんに追いかけまわされたときが一番怖かったわよ…」
追われていたときの事を思い出し、セリカはブルッと身を震わせる
シグルド「本当にな…あれは夢に出そうだよ…」
リーフ「それにしてもさっきは驚いたよ…シグルド兄さん
    ほんの少しの間とはいえ剣術でアイク兄さんを押してたもの」
ロイ「え、嘘!?」
シグルド「たまたまさ…ただの長兄としての意地でしかない、
     あの後戦い続けてたら確実に負けてたろうさ、
     とにかく…すごく疲れた…先に外へ出てるぞ…」
マルス「お疲れ様ーあ、そうだこれ」
マルスは旗を差し出す
シグルド「ああ…もう存在そのものを忘れていたよ、
     でもいいのか? 一応ちゃんと行ったことの証明なのだろう」
マルス「さすがにアイク兄さんに追い回されるという最大の恐怖を味わって
    疲労が溜まってる人には酷だと思うからね…」
シグルド「皆にはちょっと申し訳ないが…ありがたくもらっておく、じゃあな…」
疲労困憊といった様子でシグルドは退出した
エリンシア「あ、そういえば皆普通に見えていますわ」
セリカ「あ、本当だ、幻覚ガスの効果切れたみたいね」
ロイ「一応、そのゴメン、まさかこうなるとは思わなくてさ」
セリカ「しょうがないわよ、予想できる方が凄いわ、
    それにアイク兄さんに追われたのはこの際抜けば
    結構楽しませてもらったもの、それでチャラにしてあげるわよ」
エリンシア「じゃあ私も悪いですけど先に外へ出てますね」
セリカ「私も…さすがに疲れちゃったわ…お先に」
この二人も疲れたのだろう、心なしか疲れた顔をしながら部屋を出る
リーフ「あ、お疲れ様、ゆっくり休んでね…」
ロイ「…それにしても、スリープで眠らせるなら何もミカヤ姉さんじゃなくても
   エリンシア姉さんでもよかったんじゃないの?」
マルス「うん、そう思ったんだけどね、そのスリープの杖、見てみて」
ロイ「あ、壊れてる…なんで? 少なくとも3回ぐらいは使えるはずなのに」
マルス「誰かが使ってほったらかしにしてたんだろうね、
    使用回数があと1回なのがわかったのさ、もしこれを失敗したら終わる、
    確実性を追求したかったのさ」
ロイ「ああ、そういうこと…魔力はミカヤ姉さんが圧倒的に高いしね…」
リーフ「なんか色々あったけど、まだ肝試しは続けるんでしょ?」
マルス「もちろんさ、次の準備をしよう」
ロイ「じゃあ、ミカヤ姉さん、先に外に行って…て…ああ、無理か」
ミカヤ「ひ、一人で帰るのはちょっと…」
マルス「あ、そういえばアイク兄さんどうしよう…眠ったまんまだ…僕らだけで運び出すのは無理だよ」
ミカヤ「あ、じゃあ私が連れて帰るわ」
癒しの手を使い、アイクを起こす
アイク「う…ここは…俺は…確か…ん…? なんでミカヤ姉さんが?」
ミカヤ「おはよう、アイク、ほら、早く外に出るわよ」
アイク「そうだ…!、なあミカヤ姉さん、ここにとてつもなく強い魔物がいたんだ!!」
突如歓喜に溢れ目を輝かせながらミカヤに事の詳細を話そうとする
ミカヤ「帰りながら聞いてあげるわ、行きましょう?」
アイクは事細かにその魔物の事を話しながら、
ミカヤはそれを楽しそうに聞きながら、部屋を出て行った
アイクは…最後までその魔物の正体には気付かなかったようだ
215 名前: Let's肝試し! (30) [sage] 投稿日: 2008/07/27(日) 15:53:09 ID:bTtdD44i
マルス「うまい具合に同行者を見つけたね、ミカヤ姉さん」
リーフ&ロイ「だね」
マルス「それにしても不幸中の幸いだね…シグルド兄さん」
ロイ「何が? そしてどういうこと?」
マルス「あのアイク兄さんの様子からして、自分が戦っていたのは
    シグルド兄さんだと気づいていない事さ、
    もし戦ってて幻覚ガスの効果が切れ、
    自分をほんの少しでも圧倒したのをシグルド兄さんだと知ってしまったら…」
リーフ「シグルド兄さん死亡フラグだね…
    日常でシグルド兄さんと戦いたい衝動に駆られるだろうし…」
ロイ「ああ、そういうことか…確かに不幸中の幸いだ…」
思わぬイレギュラーの介入により混乱の極みに達した2番手の肝試しは
こうして終了したのだった…
――――外――――
ヘクトル「シグルド兄上が帰ってきたぞ」
アルム「セリカにエリンシア姉さんも一緒だ」
リン「でもなんかすごい疲れた顔してない…?」
エフラム「シグルド兄上なんか今にも倒れそうだぞ」
エリウッド「zzz…(木陰で優雅に熟睡中)」
シグルド「た、ただいま…」
セリカ「い、今戻ったわ…」
エリンシア「つ、疲れましたわね…」
アルム「セリカ、何があったの? 肝試しってそんなに疲れるものだった?」
セリカ「あ、アルム…疲れるってものじゃなかったわよ…」
アルム(なにがあったんだろ…)
シグルド「と…とりあえず3番手、行ってこい」
リン「ヘクトルとエリウッドとエフラム兄さんね」
エフラム「よし…俺達か、何があったかは知らんが楽しみだ」
ヘクトル「同感だぜ! 行こうぜエリウッド! 廃ビルが俺達を呼んでるぜ!」
エリウッド「zzz…(相変わらず優雅に爆睡中)」
ヘクトル「って、ヲイ!! 何寝てんだよ!!?」
リン「さっきからずっと寝てるわよ…あまりにも心地良さそうで起こせなかったわ…」
エイリ-ク「一応『僕らの番が回ったら起こしてくれ』と言っておられましたが…」
エフラム「少し申し訳ないが…起こさせてもらおう、起きてくれ兄上」
ユサユサと軽くエリウッドの体を揺さぶる
エリウッド「う…ん、あれ、僕らの番かい…?」
ヘクトル「おう、そうだ、早く行こうぜ」
エリウッド「わかった、行こうかー…」
ヘクトル「って、ヲイ! そっちじゃねぇって!! まるで逆方向じゃねーか!」
エリウッド「え? あーごめんごめん…じゃあ気を取り直してゴー…」
ヘクトル「だからそっちじゃねぇっつーの!!」
エフラム(完全に寝ぼけているな…大丈夫だろうか)
3番手(エリウッド、エフラム、ヘクトル)の肝試しが始まる…
…はて? なにか忘れていないだろうか…?
―――廃ビル内(隠し階段)―――
ミカヤ「ア、アイク…離れたりしちゃ嫌よ…!」
アイク「ミカヤ姉さん、いい加減慣れてくれ…」
ミカヤ「ど、どうしても怖いのよ…」
アイク「しかしまだ4Fから3Fの間なのは異常だと思うんだが」
ミカヤ「いいの! 足元がよく見えないんだから慎重に降りてるの!///」
アイク「…」
果たして外に出るまでにいつまでかかるのだろうか…

309 名前: Let’s肝試し!(31) [sage] 投稿日: 2008/07/31(木) 18:24:31 ID:9/yRRUE6
―――肝試し(エリウッド&ヘクトル&エフラム)―――
―1F―
ヘクトル「待ちわびたぜ、さてマルス達のお手並み拝見といくか!」
エフラム「あのシグルド兄上に悲鳴を上げさせたほどだからな、結構期待できるかもしれん」
一回目は確かにマルス達の罠だが
二回目はアイクに追いかけられていたときのものなのであしからず…
エリウッド「やあ、それにしても久々だねー肝試しなんて」
ヘクトル「確かにな…そういやお前その頃から病弱だったけど
     肝試しには多少無理してでも来てたよな?」
エリウッド「うん、何が起きるかわからないから確かに怖いけど、その分楽しいからね」
エフラム「それにしても大丈夫なのか、兄上…さっきから少しふらついているが…」
エリウッド「ああ…ごめんごめん、実は昨日遅くまで家計簿とかつけてて寝られなかったんだ
      この前暑さで倒れちゃった時少しいい加減につけちゃってたから…」
ヘクトル「だからさっき爆睡してたのか」
エリウッド「まあ、だいぶ頭がスッキリしたよ、心配しないでも大丈夫さ」
エフラム「まあ、とりあえず進むか…そうでなければ始まらん」
ヘクトル「よっしゃー! 俺が先陣きってやるぜ!」
ゴスンッ
ヘクトル「…いってぇーー!!?」
エフラム「先陣切るのは結構だが、進む方向をちゃんと見ろヘクトル、そっちは壁…だ?」
自分の進むべき方向を見ていたエフラムはヘクトルの馬鹿さに呆れながらもヘクトルの方を見たが
エフラムは自分の目を疑った、ヘクトルの向かった先にも確かに道があるのだ
ヘクトル「くっそ、どうなってんだ…ってこれただの写真じゃねーか!!」
一見、道に見えた場所は実はただの写真、暗い中では判別がつきにくいため効果はあるだろう
エリウッド「いやーよく考えるねー」
ヘクトル「くそ…いきなりはめられたぜ…」
エリウッド「まあ、暗いから用心しよう」

310 名前: Let’s肝試し!(32) [sage] 投稿日: 2008/07/31(木) 18:27:20 ID:9/yRRUE6
マルス「やっぱり猪突猛進なヘクトル兄さんが犠牲になったか」
リーフ「それにしてもあんな猛スピードで壁に突っ込んで…壁にヒビでも入ってなければいいけど」
ロイ「というかさ、建物の構造上、あり得ない方向に偽物の道の写真貼ったんだけど…」
マルス「まあ、ヘクトル兄さんだし」
リーフ「要するに馬鹿ってことだよね、それ…」
マルス「ううん、筋肉馬鹿」
ロイ「ひどっ」

ヘクトル「そうだ、ただ廊下だけ通っていくんじゃつまんねぇし、
     通りがかった部屋全部見ながら行かねーか?」
エフラム「うむ、多少時間はかかるかもしれないが賛成だ
     最短ルートではつまらんからな」
エリウッド「僕もかまわないよ、じゃあそうしようか」

リーフ「いい情報ゲーット」
マルス「部屋を見て回るならたくさん脅かすチャンスがあるね」
ロイ「そうなると、1Fで仕掛けるのはあきらめて2Fへ行っちゃわない?
   一応1Fにもそれなりに罠あるし、今のうちに2Fの部屋に細工しようよ」
マルス「そうだね、1Fは罠に任せよう」
リーフ「了解」
そそくさと隠し階段を使い、2Fへ上りにマルス達は行動を開始した

ヘクトル「思ったより部屋ねぇな…」
エフラム「一部壊れていて入れないところもあるしな…」
エリウッド「ん、ここのドア、鍵かかってないみたい…」
ヘクトル「よっしゃー、今度こそ俺が先陣をきってやるぜ!」
ヘクトルはドアノブを回し、勢いよくドアを開け、部屋に身をすべりこませた――が
ドガァッ!!
ヘクトル「…いっっっっってえぇぇぇ!!!」
強打した顔面を押さえ、ゴロゴロと床を転げまわるヘクトル
エリウッド「…これは君だからこそかかったんじゃないかな?」
エフラム「同感だ…」
実はそのドアはダミー、つまりは偽物である
偽物のドアを開けた先に部屋なぞあるわけがない
部屋があると信じて疑わなかったヘクトルはまたしても壁に激突したのだった
エフラム「全く…少しは警戒したらどうだ」
ヘクトル「なんだとっ! お前だったら慎重に開けたって言うのかよ!?」
エフラム「当り前だ、なにがあるかわからんのにそんな大胆な行動なぞできるか、この猪突猛進男が」
ヘクトル「だれが猪突猛進男だーー!!」
エフラム「お前のことだ、だいたいお前はだな…」

311 名前: Let’s肝試し!(33) [sage] 投稿日: 2008/07/31(木) 18:29:09 ID:9/yRRUE6
エリウッド「やれやれ…先が思いやられるなぁ…」
一応エリウッドの目線の先には二階への階段があるのだが口論を始めた二人には見えていないようだ
いつ気づいてくれるのだろうかと二人を見ながらエリウッドはそう思ったのだった

―2F―
エリウッド「やれやれ…2Fに行くのにちょっと時間がかかってしまったね…」
結局口論が始まってから5分、ずっと不毛な争いをしていたのである
ヘクトル「くそ…次はひっかからねーぞ!」
エフラム「…ふぅ」
エリウッド「まあ、何事も慎重に、ね」
ヘクトル「おう! 身長にだな」
エリウッド「漢字違うよ、これでこの先大丈夫なのかな…ああ、頭と胃が…」
頭痛と胃痛がしたエリウッドだった…

マルス「お、きたきた…」
リーフ「それにしても今回の罠…方向性違うよね?」
ロイ「うん、脅かすためというより攻撃的だよ」
マルス「だって目標物見つけたら突進のヘクトル兄さんがいるんだよ?
    こんな面白そうな人は僕たちの家族ではヘクトル兄さんぐらいのものなんだから
    たくさん遊び倒してあげないと」
ロイ(黒い…! 黒過ぎるよマルス兄さん!!)

ヘクトル「…!?」
エリウッド「ん? どうしたんだいヘクトル」
ヘクトル「いや、なんか寒気が…」
エフラム「なんだ、臆病風にでも吹かれたか?」
ヘクトル「ちげーよ!! 少し嫌な感じがしただけだ!」
エフラム「…それを臆病風に吹かれるというのではないのか?」
ヘクトル「だから違うっつーの!!」

リーフ「それにしても…思わぬ拾い物したよねー」
マルス「そうだね、あれはちょっと予想外だったけど、あれはあれで面白そうだよ」
ロイ「僕も驚いたよ…でもだからこそ出来るんだよね、あのドッキリ」
リーフ「いやぁ、エリウッド兄さんたちの反応が楽しみだ」
一体何の事を話しているのだろうか…?

エリウッド「お、部屋があるよ」
エフラム「よし入ってみるか」
ヘクトル「…俺が一番先に入る」
エフラム「さっきの二の舞ではないのか?」
ヘクトル「るせー! 見てろ、さっきの汚名を挽回してやるぜ!!」
エリウッド「汚名は挽回するものじゃないよ…挽回してどうするのさ」
――ピンポンパンポーン…『挽回するのは『名誉』、汚名は『返上』です』――
312 名前: Let’s肝試し!(34) [sage] 投稿日: 2008/07/31(木) 18:30:58 ID:9/yRRUE6
ヘクトルはそーっとドアを開ける…何も起きない
ヘクトル「へ、どーだ、俺だってこんな風に伸長に行動できるんだz」
ドドドドドッ!
エフラム「…慎重に…なぁ…」
エリウッド「…ていうかまだ漢字間違ってるし…」
二人は天井から降ってきたたくさんのボールの山を白い眼で見るのだった
ヘクトル「ぶはっ! なんでこうなるんだよ!?」
エフラム「お前の危機意識が足りないからだ」
ヘクトル「ちくしょーー!! 絶対に挽回してやるからな!」
エリウッド「だから汚名は挽回じゃないと何度も(略」
先は長そうだ…ちなみにこの後もことごとく罠にはまったのは
ヘクトルであったことを明記しておく

ヘクトル「ぜぇー…ぜぇー…」
エフラム「ここまで罠にはまっているといっそ清々しく思えるぞ?」
ヘクトル「う、うるせぇー…」
もはやボロボロである…何があったかは皆さんの想像にお任せ致します
エリウッド「んーまあ…もうすぐ3Fだ
      2Fの最後の部屋までに汚名『返上』できるように頑張ろうよ、ヘクトル」
ヘクトル「おう、このまま3Fになんかいけるか…!」
エリウッドは返上という言葉を強調して言ったが…ヘクトルに伝わったのだろうか?
エフラム「ん、すぐそこが3Fへの階段だ」
エリウッド「てことは、この部屋が2Fのラストか」
ヘクトル「よっし、今度こそ挽回してみせるぜ」
エリウッド「はぁー…」
伝わってなかったようだ…
今までのようにヘクトルがドアを開ける
ギィッ…という古めかしい音を立て、ドアが開く
ヘクトルは慎重に部屋へ入る、一歩一歩に最大の注意を払いながら抜き足差し足で…
それに続く形でエフラムとエリウッドも入る
…部屋に入って1分経過
ヘクトル「なんだよ、何も起きねーじゃねーか…」
エフラム「なんだ…つまらんな…」
ヘクトル「くっそ…ちゃんとしかけとけよマルス達!」
エリウッド「しかし変だな、ここまで全部仕掛けが施されてたのに」
313 名前: Let’s肝試し!(35) [sage] 投稿日: 2008/07/31(木) 18:32:50 ID:9/yRRUE6
ブツッ…ザーーーーーーーーー
ヘクトル&エフラム&エリウッド(((!?)))
いきなり部屋に置いてあったテレビが砂嵐状態になった
エフラム「なんだ…!?」
エリウッド「――! なにかいる、そこのソファーの影だ!」
ヘクトル「誰だ! 出てきやがれ」
砂嵐の耳障りな音を立てるテレビとは反対の方向に置いてあるソファーに全員目を向けると…
ノソッ…
出てきたのは髪を振り乱し、這いつくばりながらこちらに向かってくる、おそらく女性…
エフラム「誰なんだ…!?」
ヘクトル「リーフかマルスかロイか? そんな変装じゃ驚かねーよ! 出直してきやがれ」
つかつかとヘクトルはその女性(?)に対して歩みを進める
いつの間にかテレビの砂嵐は消えている…
ヘクトル「さあ、白状しやが…れ…」
ガシッ!とヘクトルは足を掴まれる、そして女性が顔をあげると生気のない黄色の瞳がのぞいた
エリウッド「ね、ねぇ…二人とも…その人…マルスでもリーフでもロイでもないよね…」
エフラム「あ、ああ…あの三人で黄色の瞳の奴はいない…」
ヘクトル「つーことは…」
???「ねぇ…」
――ナ ン デ コ ン ナ ト コ ロ ニ イ ル ノ ?
不気味な笑みを浮かべ、女性はそう口にした…聞いた者全員を凍りつかせるような声で…
ヘクトル&エリウッド「「貞○が出たあああああああ!!!!!」」
エフラム「お、おい! 二人とも勝手に行くな!!」
ヘクトルは足を掴んでいる女性の手を払い、エリウッドと共に3Fへ逃げ出した…
エフラムも先ほどの女性の声に少しばかり寒い思いをしながら3Fへ…

―――さきほどの部屋―――
???「あら…案外効き目あったわね…」
???「姉さん演技上手いな、俺も少し鳥肌が立ったぞ」
???「そう? まあ、ありがとう」
三人が逃げ去ったあと、そこに拍手をしながらの訪問者が
マルス「いやぁ、見事だったよ、迫真の演技だ」
マルスである、
そう、察しのいい方は気づいたかもしれないが協力者がいたのだ
ミカヤ「ふぅ、驚かせちゃった三人には悪いけど…ちょっと楽しかったわ」
アイク「俺もだ、地味な役割だったがやってて楽しかった」
それはミカヤとアイクだった
314 名前: Let’s肝試し!(36) [sage] 投稿日: 2008/07/31(木) 18:34:48 ID:9/yRRUE6
―――数十分前(隠し階段)―――
カンカンカン…
リーフ「さーて二階にはどんな罠仕掛けようか…」
マルス「そうだねー…部屋の数は結構あるし、仕掛け甲斐がありそうだよ」
ロイ「これはかなり面白くなってきたね!」
先ほど途中の部屋をすべて訪問するという情報を得た後、
三人が各部屋に仕掛けをしに2Fへ急いでいたときのことである
マルス「ん…? なんか聞こえない?」
ロイ「え…」
リーフ「ほんとだ…これは人の声?」
今三人は1Fから2Fの間辺りにいる
その少し上の方から人の声が聞こえるのだ
――まっ……ア…ク
――だ…じょ……だ……んと待って…から…
マルス「この声…まさか」
ロイ「ミカヤ姉さんとアイク兄さん!?」
リーフ「えぇ!? なんで!?」
――な…か下…ら声…聞こ…
――落ち…いて…れ…姉さ…
階段を上がるたびにだいぶ鮮明に聞こえてきた
ミカヤ「ア、アイクなんとかしてぇ…」
アイク「いや、なんとかするもなにも…しがみつかれてたら何もできん」
マルス「ミカヤ姉さん、アイク兄さん!」
アイク「! マルスか!」
ミカヤ「え…マルスだったの? なんでここに?」
リーフ「いや、それこっちのセリフ…」
ロイ「そうだね…」
ミカヤ「あ…///」
ごもっとも…
とりあえず隠し階段の2Fへ出る扉の前でアイクは事の次第を説明した…
マルス「……要するに、あの一件以来ずーーーっと階段を下りてたってこと?」
アイク「そういうことだ…あの魔物の事についても話尽くせてしまった」
ロイ「いくらなんでも遅すぎでしょ…(ていうかやっぱりシグルド兄さんだと気づいてないんだ)」
リーフ「姉さんの怖がりもここまでいくと異常」
ミカヤ「…」
もはや何も言い返せないのかミカヤはだんまりである…
マルス「…姉さん達、ついでに皆を脅かすのに一役買ってみない?」
ミカヤ「え…何で?」
マルス「さっきリーフも言ってたけど、ちょっと怖がりすぎるよ、
    エリウッド兄さん達にはちょっと申し訳ないけど
    皆を脅かすという名目で少し楽しんでみたら?」
ミカヤ「私も少しはどうにかしたほうがいいかなって思ってるけど、
    でも脅かしたりするために一人で物陰に潜んだりはちょっと…」
リーフ「僕たち三人は仕掛けを作らないといけない、だけど丁度いい人がいるからさ」
アイク「…俺か?」
ロイ「うん、ミカヤ姉さん、アイク兄さんと二人で組んで脅かすんなら平気じゃない?」
315 名前: Let’s肝試し!(37) [sage] 投稿日: 2008/07/31(木) 18:36:58 ID:9/yRRUE6
ミカヤ「同行者がいれば…大丈夫よ」
アイク「まあ…俺はかまわんが、どうすればいい?
    せいぜいラグネル持って追い回すぐらいしか俺にはできんが」
リーフ「死者が出かねませんからやめてください…ていうか脅かすじゃ済まないしそれ」
ロイ(さっきも危うくそれで犠牲者が出るところだったし…)
言わずもがな2番手の肝試しの事である
マルス「んー…あ、そうだ…ミカヤ姉さん、髪それなりに長いよね」
ミカヤ「え? そうね…で?」
マルス「ならこんなのはどうかな」
マルスは今思いついた脅かす手段を説明する………
リーフ「…それなんてリンg(自主規制)」
ロイ「ホラー映画の定番中の定番だね」
アイク「そういえばヘクトルとエリウッド…その映画を見て卒倒したことがあったな」
マルス「え? そうなの?」
ミカヤ「ああ、あれは確かアイクとシグルドと私で居間でそれを見てた時だったかしら…」
ロイ「え、ミカヤ姉さんもその時居たの? だってホラーって…」
ミカヤ「うん…といっても私はそういうの苦手だったから見てたんじゃなくて
    たまたま通りかかったんだけど…」
―――過去(兄弟家)―――
その時も季節は夏、様々な手段で人々は涼を求める季節
その様々な手段のうちの一つ、『ホラー』
それはもう人の恐怖心を煽るかのごとく、特殊なメイクや演出、突如響く悲鳴
それを人々は鑑賞し、内側から涼しくなる
もちろんそれは兄弟家でも一部の人間が用いていた
ほぼ全員が寝静まった夜中、シグルドは明日仕事が休みであるという事もあり
たまたま居間でテレビをみていたときに偶然見つけたホラー映画を見ていた
シグルド「おおう…何度見ても驚かされるな、この映画は…」
以前に見た懐かしさから思わずチャンネルをそのままにしてしまったシグルドは
そのホラー映画(リンg(ダキュン!))に見入ってしまっていた
そこに…
ガチャッ
アイク「ん…? まだ寝ていなかったのかシグルド兄さん」
アイクが入ってきた、バタンとドアを閉め、シグルドに近寄る
シグルド「おお、アイクか、懐かしい映画をやっていてな、つい見入ってしまったんだ」
アイク「懐かしい映画だと?」
シグルド「ああ、これだ」
シグルドはテレビに顎をしゃくり、アイクはテレビの方を見る

316 名前: Let’s肝試し!(38) [sage] 投稿日: 2008/07/31(木) 18:42:48 ID:9/yRRUE6
アイク「これは?」
シグルド「リn(ダキュン!)という映画だ、過去にヒットした名作だぞ」
アイク「なんかタイトルがよく聞こえなかった気がするが、まあいい、
    たまには俺もこういうのを見てみるか、明日は休みだしな」
シグルド「私もだ、ちなみにまだ冒頭に入ってちょっとしたところだ、話の内容は―――」
しばし二人でテレビを無言で見続ける、およそ半分ぐらいみたところで
シグルド「どうだ? 感想としては」
シグルドはアイクにそう問いかけてみた
アイク「案外面白いな、それにしても所々、顔色が悪い奴らが出てくるな、なんでだ?」
シグルド(そうきたか…まあ、こういうので怖がるようなお前じゃないからな…)
シグルドは思わず苦笑してしまう、
アイクはいつもの仏頂面であるものの楽しんではいるらしく画面に見入っている
映画はクライマックスに近付いていく、それと同時に演出がだんだん激しくなる、恐怖の頂点だ
居間でテレビに見入る男二人、そこに
ガチャッ
ミカヤ「あれ、アイクにシグルド、起きてたの? って…」
ミカヤが現れた、弟二人に声をかけると同時に
二人の見てたホラー映画を見て少し血の気が失せる
ミカヤ「そ、それって…」
アイク「ああ、なんでも過去にヒットした映画らしい、なかなか面白いぞ」
シグルド「というか…もしかして音が大きくて起こしてしまったか? すまん」
ミカヤ「あ、ううん、ちょっと喉が渇いて水を飲みに来ただけだから…音は大丈夫よ」
そそくさと台所に引っこむミカヤ、二人の見えないところではちょっと耳を塞いでみたり…
その時、家の別の場所では…
ヘクトル「うー暑くて眠れねぇ…くそ!」
暑さに睡眠を妨害され、少し苛つくはヘクトル
ヘクトル「…なんか冷たいのでも飲みに行くか…」
一旦蒲団から抜け出し、ヘクトルは部屋を後にし、台所を目指す
その途中、見覚えのある赤い髪をした少年の姿を見つける
ヘクトル「エリウッドか?」
エリウッドと呼ばれた人物はこちらを振り返った
エリウッド「ヘクトル、どうしたんだい? こんな時間に」
ヘクトル「人のこと言えねーだろ、俺は台所に水でも飲みに行こうとしただけだ、お前は?」
エリウッド「僕も同じ…暑くて寝苦しくてさ」
ヘクトル「お前もか…」
ヘクトルは夏の暑さに対する文句を言いつつ、エリウッドはそれを聞きつつ、台所へ向かう
エリウッド「あれ? 居間の明かりがついてる」

317 名前: Let’s肝試し!(39) [sage] 投稿日: 2008/07/31(木) 18:45:44 ID:9/yRRUE6
開け放たれた扉からは居間の光が漏れていた
ヘクトル「マジだ、まだ誰か起きてるのか?」
居間の入口へ気配を殺して二人は近づく
エリウッド「アイク兄上とシグルド兄上の声が聞こえるね」
ヘクトル「大人は夜更かしかよ…しかし何をしてるんだ?」
エリウッド「僕もちょっと気になるかな…」
ヘクトル「どれどれ…」
二人は横から少し顔を出し、中の様子をうかがう
エリウッド「テレビでも見てるのかな?」
ヘクトル「ん…よく見えねーな」
エリウッド「んーと…?」
ヘクトル「んー?」
二人がさらに顔を出し、テレビの映像が鮮明に見えたその瞬間
「ギャアァァァァァ!!!」
悲鳴とともに気色の悪い女性の顔がアップでうつる
エリウッド&ヘクトル((……ふー…))
バタンッ!!
派手な音を立てて二人は床に倒れ伏すのだった

アイク「なんだ? 今の音は」
ミカヤ「え、え、何?」
シグルド「ん…って、エリウッドとヘクトル!? どうしたんだ!?」
シグルドが廊下を覗き込むとそこには気絶したエリウッドとヘクトルの姿が…
アイク「おい、どうした…! どっちでもいい、答えてくれ!」
ミカヤ「きゃー! ちょっと二人とも大丈夫!!?」
そんな夏の夜のプチ騒動――――

ロイ「そんな事があったんだ…知らなかったよ」
マルス「僕らはその頃はたぶん熟睡してたからね」
リーフ「うーん…気絶してたエリウッド兄さんとヘクトル兄さんか…ちょっと見てみたかったな」
アイク「まあ、あの頃はまだ二人とも少年だったからな、ああいうのに対する耐性がなかったんだろう」
ミカヤ「思えばあの時ちゃんとドアを閉めとけばよかったかもしれないわね…」
あの時、二人の見ていたホラー物に動揺してしまい、ドアを閉めるのを忘れてしまっていたのだ
マルス「それにしても…思わぬところでヘクトル兄さんの弱みを握る材料が増えたよ…」
ロイ(マルス兄さん、何考えてるのさ…)
リーフ(微妙に笑顔が怖い)
アイク「それより、まだ行かなくて大丈夫なのか?」
ロイ「あ、しまった話こんじゃった」
リーフ「いけない、いけない…早く仕掛けをしないと」
マルス「まあ、とりあえずアイク兄さんとミカヤ姉さんはこっちの部屋に一旦来て
    ロイとリーフは先に仕掛けをお願い」
ロイ&リーフ「「了解」」
二人は仕掛けをしに通り道にある部屋一つ一つに細工をしに走っていった

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