あるじよ!!
我が主よ!! 我が主人インテグラヘルシングよ!!
命令を!!
我が下僕
吸血鬼アーカードよ!! 命令する!!
白衣の軍には白銀の銃を以って朱に染めよ
黒衣の軍には黒鉄の銃を以って朱に染めよ
一木一草尽く我らの敵を赤色に染め上げよ
見敵必殺! 見敵必殺!!
総滅せよ 彼らをこの島から生かして帰すな
拘 束 制 御 術 式 零 号 開 放
了解 認識した 我が主
ドイツ第三帝国 NSDAP私兵集団 武装親衛隊
吸血鬼化 装甲擲弾兵 戦闘団 「最後の大隊」
残存総兵力 572名
ローマ・カトリック ヴァチカン教皇庁
第9次空中機動十字軍
残存総兵力 2875名
大英帝国 王立国教騎士団
残存兵力 3名
拘束制御術式零号 開放!!
帰還を果たせ!! 幾千幾万となって帰還を果たせ
謳え!!
私は ヘルメスの鳥
私は自らの 羽根を喰らい
飼い慣らされる
ここにいる全てが感じたのだ
「恐ろしい事になる」と
この化け物を倒してしまわないと恐ろしい事になると!!
来るぞ
河が来る 死の河が!!
死人が舞い 地獄が歌う
あれが吸血鬼 アーカードそのものだ
血とは 魂の通貨 命の貨幣
命の取り引きの媒介物に過ぎない
血を吸う事は命の全存在を自らのものとすることだ
今のおまえならば 理解できるだろう セラス・ヴィクトリア
はい!!
戦鍋旗…!!
イェニ=チェリ軍団!!
貴様はそんなものまで そんなものまで 喰ったのか!!
道理で死なぬはずだ 道理で殺せぬはずだ!!
奴は一体どれ程の命を持っている!? 一体どれ程の人間の命を吸ったのだ!?
ワラキア…公国軍…!!
お…おまえは おまえは
自分の兵まで…ッ
自分の家臣まで…ッ
自分の領民まで……ッ!!
何て奴だ…ッ
お前は何だ!! 化け物!!
悪魔……!!
悪魔……!!
全周防御!! 全周防御!!
方陣だ!! 方陣を組め!!
何だ!! 何が…
何が起きている!?
死だ!!
死が起きている!!
お…おおお
いいなあ!! これ!!
欲しい!! 素晴しい!!
天も無く
地も無く
人々は突っ切り
獣は吠え立てる
まるで彼らの宇宙が
一切合切咆哮を
始めた様だ
死ねや 死ねや
人間は歩き回る
陽炎に過ぎない
闘え 死ね
後は全て
くだらないものだ
死んでしまえばよい
消えてしまえばよい
きっと彼らの
全てが仇人で
世界がその
絶対応報に
頭を上げたのだ
お おお おおおおおお
戦列崩壊!!
戦列崩壊!!
これはもう戦いとは呼べません!
司教猊下!! 退却を!! 司教猊下!!
ふざけるな!!
俺は!! 司教じゃない!! 大司教だ!!
大 司 教なんだ!!
ぐぅ… う…
!!
う…あ ひ… う…
ベタッ ベタ ガリッ ベタッ
ガリ ガリリ ガリ ガリッ ガリ
………ッ …ハッ はは…っ
硬化テクタイト複合の強化ガラスだ 傷も付かんよ!!亡者共!!
ギュパッ ガキッ ビキッ ビキビキ ビキ ビキ
!! あ… あぁ あ アン…アンデルセン!! アンデルセン!!
AAANNDEERSSOONNN
我らは第13課 神罰の地上代行者なり
我らは一切の矛盾無くお前の夢を打ち砕く
さらば!!
我が友!!
アンデルセンッ アンデルセンッ!!
助けて…アンデルセンッ!! 助けて…ッ 先生…ッ 先生ッ!!
お… ぐ …が があ…あ
こんなところで……ッ 俺は…ッ こんなところで死ぬのかッ!!
こんなところで ひとりぼっちで死ぬのかッ…!!
嫌だッ 嫌だ!!
ひとりぼっちで生まれて… ひとりぼっちで死ぬのか…ッ
畜生…ッ
ここが君の新しい「家」だよ
先生僕はなんでここにいるのか
なぜ父さまも母さまも僕をむかえにこないのか
僕が
妾の子だからなのでしょう?
友達なんかいらない
仲間なんかいらない
父さまも母さまもいらない!!
先生 アンデルセン先生
僕は偉くなる偉くなってやる
偉くなって誰も彼も見返してやる!!
馬鹿だよおまえ
大馬鹿野郎
アンデルセンより全武装神父隊に告ぐ
第9次十字軍遠征 熱狂的再征服は完全に壊滅した
朝が来る 夢はもはや醒めた ヴァチカンへ帰還せよ
そッ そんな!! アンデルセン!!
貴様らの死ぬ場所はここではない!! 帰れ!!
ヴァチカンを守れ 法皇を守れ 未来永劫カトリックを守れ
俺はあいつを倒す 吸血鬼を倒す!! 倒さなければならぬ
そッ そんな!! そんな…ッ あんな男と闘ってどうなるというのです
否!! 今だ 今しかない アーカードが拘束制御を全開放した今 只今がその時だ
あれは奴の持つ 全ての命を 全て開放して 全てを攻撃に叩き込む術式だ
城から全ての兵士を出撃させた総掛りだ 城の中に立つは領主がただ一人!!
奴は一人だ ただ一人!! いまやただ一人の吸血鬼 ただ一人のドラキュラだ
恐らくあの狂った大隊指揮官は これが これのみが 目的だったのだ
アーカード ただ一人を打倒するための生け贄だ
千人の武装SSを 三千人の十字軍を 百万人の英国人を 敵も味方も
きっと俺が 征く事も
御然らばだ諸君
マクスウェルが泣いている どうしようもないあの馬鹿が
相もかわらず意気地のない弱虫めが
御然らば!!
いずれ辺獄で
神父!!
神父!! 神父!! アンデルセン神父!!
おかえり 伯爵
ただいま 伯爵
あ あのう お おか おか おかえりなさいマスター
マスター ヒゲだったんですね ヒゲ
(ズゥッ・・)
!!
(くしゃ くしゃ くしゃ)
セラス セラス ヴィクトリア
見事だ 我が宿敵!!
我らは神の代理人 神罰の地上代行者
我らが使命は 我が神に逆らう愚者を
その肉の一片までも絶滅すること
AMEN
何という男だ 人の身でよくぞここまで練り上げた
敵よ! 殺してみせろ!! この心臓に銃剣を突き立ててみせろ!!
500年前のように!! 100年前のように!!
この私の夢のはざまを終わらせてみせろ!!
愛しき御敵よ!!
語るに 及ばず!!
「どうする どうするんだ?
化け物はここにいるぞ!! キリスト教徒
倒すんだろ? 勝機はいくらだ
千に1つか万に一つか
億か 兆か それとも京か」
「それがたとえ那由他の彼方でも 俺には充分に過ぎる!!」
執事
バーホーデンのココアを 良く練って持って来い
ミルクと砂糖アリアリで
ス・・ッ
ロンドンは滅び 「十字軍」は滅び
「最後の大隊」も 滅びつつある
「ノントラルト小隊連絡途絶」
「応戦しろ馬鹿野郎」
「誰も応答しません」
「空中巡洋艦より打電
「ビュルガーブロイケラ」我 全弾薬残余無し」
そしてアーカードはそこにいる
そして私はここにいる
全ては順調 全く以って順調だ
どうしたクリスチャン
調子はどうだ? 満身創痍だな 腕が千切れて落ちるぞ
どうするんだ? おまえは犬か? それとも人間か?
それがどうした吸血鬼
まだ腕がちぎれただけじゃねえか
能書き垂れてねえで来いよ かかって来い
早く! 早く!!
素敵だ
やはり人間は
素晴らしい
前へ 前へ 前へ 前へ
前へ 前へ 前へ 前へ!!
なんという男だ
まるで まるであの男達の様だ
あの日 100年前のあの日 私は全身全霊を以って闘った
そして敗れた 完全に
アーサー・ホルムウッド
キンシー・モリス
ジャック・セワード そして
そして エイブラハム・ヴァン・ヘルシング
夢の様だ 人間とは夢の様だ!
来い さあ来いよ アレクサンド・アンデルセン!!
敵が幾千ありとても 突き破れ!! 突き崩せ!!
戦列を散らせて 命を散らせて その後方へ その後方へ
私の眼前に立ってみせろ あの男の様に
あの年老いた ただの人間の あの男の様に
あの男の様に 見事 私の心の臓腑に突き立ててみせろ!!
おお お おお お
邪ァ魔ァアをぉおォォ すゥるゥなああ!!
貴様ら…!! この…この馬鹿野郎!!
この‥大馬鹿野郎ゥ共め
このままヴァチカンに帰ったら 私達は私達ではなくなってしまう
イスカリオテの第13課でなくなってしまう!!
ただの糞尿と血のつまった肉の袋になってしまう!!
「そうあれかしと叫んで斬れば 世界はするりと片付き申す」
そう教えて下さったのはあなたじゃないか!!
さあこれより狂信者の手管を御覧にいれましょう
馬鹿野郎共が
誰奴も彼奴も死ぬ事ばかり考えやがって
地獄が満杯になって
かわりに教皇庁はガラガラになって
いいだろう ついて来い
これより地獄へ驀地に突撃する
いつものようについて来い!!
さくりさくりと死んでいく
だが涙一粒 舌打ち一ツ 誰一人こぼさない
なぜなら彼らの心にあるのは歓喜だからだ
一つの歓喜を共通意志として 無数の命が一つの命のようにうごめきのたうち
血を流しながら血を求め
増殖と総減をくりかえしながら
無限に戦い続ける
その歓喜が「神」に対する信仰であれ
「国家社会主義」による戦争であれ
「アーカード」という存在への一体であれ
我々はもはやようやく同じものだ
夢の様じゃないか
黒い兄弟たち
行きます
逝け!!
AMEN
おお お オ お あ お
お先に!!
殺しきれる武器を持っているのは
お前だけじゃないんだぜ
あの囲みを突き破り 私の眼前に立ったか
さすがだ さすがはイスカリオテ さすがはアレクサンド アンデルセン
[第3課「マタイ」 特秘 聖遺物管理局]
それがお前たちの 切り札か
「釘」か!!
「聖骸布」「聖杯」「千人長の槍」
ローマからことごとく散失した聖遺物最後の一ツ
そうだ
「奇蹟の残り香」「エレナの聖釘」
そうだ!!
やめろ!! アンデルセン!!
化け物になる気か!! 神の化け物に!!
神の力の 不死身の 本当の玩具になる気か
同じだ まるで同じ糞たれだ
神を肯定した化け物と 神を否定した化け物と
そんな奇蹟の残骸を使って お前も奇蹟の残骸になるつもりか
俺を お前を 俺たちの闘争を 彼岸の彼方へ追いやるつもりか
俺のような化け物は 人間でいる事にいられなかった弱い化け物は
人間に倒されなければならないんだ!!
やめろ人間!! 化け物にはなるな 俺のような
これ程戦ったのだ 本当はお前もわかっているはずだ
俺はただの銃剣でいい 神罰という名の銃剣でいい
俺は生まれながらに嵐なら良かった 脅威ならば良かった 一つの炸薬ならば良かった
心無く涙もない ただの恐ろしい暴風なら良かった
これを突き刺す事で そうなれるなら そうしよう そうあれかし
この
この 大馬鹿野郎!!
茨……!!
茨が…ッ
神父…!! あなたは… あなたは一体 何になったのですか!!
And the soldiers twisted a crown of thorns…
アンデルセンはもはや 体は人ではない
お前も私ももはや死んで朽ちて果てるには
ここをえぐるしかないのだ
心の臓腑を
上陸部隊との連絡が取れません!! 往信途絶!!
上陸軍第7小隊ブリップ消滅!! 呼びかけを続けろ!!
全滅したのでは…!! 全滅だと!!
着上陸した降下部隊のブリップが消滅していきます 壊滅…ッ!!
何がいったい起きたのだ 下では一体何が!?
少佐!! 少佐殿!! 御指示を!! 少佐殿!!
うるさいなぁ 静かにしろ 出し物の佳境ぐらい 静かに鑑賞したまえよ
たかが自分達の部隊が壊滅するぐらいで 初めての処女のように泣き出すなんて
艦長!! 全艦の残存全乗員に火器と弾薬を分配しろ
負傷兵で立てる者も全てだ 立てない者には手榴弾を配れ
しかし… しかし全員分の銃も弾薬も もはやありません
じゃあ 鉄パイプでも資材でもなんでも良い 兵隊は武装して集結だ
あれが終わったら みんないっしょに突撃しよう 楽しいぞ すごく
ホルスト ヴェッセルの歌を歌いながら
みんなで遮に無に突ッ込むんだ 楽しいぞ
♪最後の戦いに 今こそ点呼は 鳴り響く
我ら既に 闘争準備は 万端なり♪
どうした なぜ歌わない?
もう うんざりだ
もううんざりだ我々は親衛隊じゃない
ドイツ海軍だ
英国軍に対する意地で我々はあなたについてきた
だが もううんざりだ!!
これはもう戦いじゃない
部下をこれ以上殺させるわけにはいかない!!
ここまで来てまだ闘争の本質がわかってないのか
はは なんとも物わかりの悪い
だがまあいい
抗命は戦さの華だ
駄目だ ドク 当たらん
相変わらず射撃が下手すぎます
(どうやって親衛隊に入ったんだろう この人)
少佐殿!!
うん 射殺しろ 敗北主義者だ
残存兵員に武装させろ憲兵少尉
命令に従わない者は君の判断に任す
物事にはハレもケもある
闘争の根幹を教育してやれ
何者かを打ち倒しに来た者は
何者かに打ち倒されなければならぬ
それに 作戦はすべて計画通りじゃないか
この戦争は
この私の小さな手の平から出たことなど一度たりとも無いのだ
其はもはや 人で無く魔で無く
昼で無く 夜でも無い
彼の世界が 彼の世界が燃え出す
彼の世界が終わる 燃えて 堕ちる
誰だ あれは誰だ
ああ あれはおれだ
神様 神様
神様 私は決してあなたに お願いなど言いません
神様 神様
私は決してあなたに 慈悲を乞いたりはしません
戦え 皆 戦え 皆 神のために戦え
神は 助けを乞う者を 助けたりしない 慈悲を乞う者を 救ったりしない
それは祈りではなく 神に陳情しているだけだ 死ねばよい
戦え 皆 戦え 戦いとは祈りそのものだ
あきれかえる程の祈りの果てに 神は降りてくる
神の王国は 降りてくる!!
百人のために一人が死ね 千人のために十人死ね 万人のために百人死ね
ならば 億土の神の世界のために この私の小さな世界が燃えて墜ちても
その果てに 神は降りてくる
それは 私の祈りの果ての 神の王国だ
皆で 祈れ
裂けて 砕けて 割れて 散る
祈りと 祈りと 祈りの果てに
みじめな私の元に あわれな私達の元に
馬の群れのように 神は降りてくる!! 天上から!!
それで
それで 降りてきたかね? 神は 楽園は
どうした 答えろよ 王様
狂った王様
皆 死んだ
皆 死んだぞ
お前のために お前の信じるもののために
お前の楽園のために お前の神様のために
お前の祈りのために
皆 死んでしまった
お前はもう王じゃない 神の従僕ですらない いや もはや人ではない
敵を殺し 味方を殺し 守るべき民も 治めるべき国も
男も 女も 老人も 子供も 自分までも
度し難い 全く以って度し難い化け物だよ 「伯爵」
それでもなお あきらめを踏破するのなら
マスタ――!!
声がする 呼び声がする
なあんだ お前か