mRNAワクチンとは?

Last-modified: 2022-11-13 (日) 02:35:17

このページでは、近年コロナウイルスによるパンデミックで注目されているワクチン、「mRNAワクチン」について解説しています。
mRNAワクチンは、陰謀論者や反ワクチン支持者から「DNAを変化させるワクチン」などの疑似科学的な根拠を言われており、ウィキの根幹的な目的のために記載しています。

目次

RNAって何?

簡単に言うとたんぱく質を合成するための設計図であり、DNAから「転写」されて生成されるmRNAと、そのmRNAを元にリボソームからの指令でたんぱく質を構築するためのアミノ酸を運ぶtRNAが存在している。
以降説明するmRNAは、DNAから写し取られて独立したものであり、DNAと連結したものではない。

そもそもmRNAとは?

mRNAは、DNAから写し取られた情報を持つRNAであり、四つの塩基(アデニン[A]、ウラシル[U]、シトシン[C]、グアニン[G])から構成されている。
四つの塩基の内の三つで構成された塩基配列をコドンと呼び、mRNAはこのコドンの連結により一本線の姿を為している。
mRNAは「転写」と呼ばれる細胞核内の動作によって組み立てられ、完成すると元のDNAが存在する核から脱出し、細胞内に存在するリボソームという構造とつながり、そこからリボソームにmRNAの持つ情報を読み取られる。
その後、リボソームはmRNAから読み取ったコドンに対応するtRNA(転移RNA)を呼び出す。
ここで呼び出されるtRNAはmRNAに含まれるコドンに対応したアンチコドン(mRNAのコドンと対応するtRNAのコドン)を持ち、mRNAの持つ情報を元にtRNAの持つアミノ酸から所定のたんぱく質を組み立てる
このたんぱく質を組み立てる様子は「翻訳」と呼ばれており、翻訳によって体内の酵素などといったたんぱく質が構成されている。
つまり、mRNAは所定のたんぱく質の作り方が書かれた原本のDNAから、情報を写し取った使い捨ての設計図である。

mRNAワクチンとは?

mRNAワクチンは、前述の「翻訳」を利用したワクチンであり、体外的に化学合成されたRNAの分子をヒトの細胞内に挿入、mRNAワクチンとして機能させることで、普通は病原体やがん細胞によって作られる外来たんぱく質(抗原)が生成される。生成された抗原は宿主を傷つけることなく、対応する病原体やがん細胞を特定、破壊する方法を記憶する獲得免疫を刺激。
さらにこの抗原は免疫応答を誘発させる一方、mRNAが注入された細胞は単に抗原を提示するだけであり、抗体の標的にならないので安全である。
つまり、「無害だけど普通は病原体に作られる外来たんぱく質」を作ってそこから獲得免疫を刺激、免疫応答を誘発させることで特定のウイルスを排除する、という代物である。
なお、化学生成されたRNAは、ウイルスの抗原を構築するためのmRNA特定の部分のコピーであるため、「何かしらやばい部分が生成されるんじゃいか?」という心配はない。

従来のワクチンとの比較

かつてのワクチンは弱化したウイルス、もしくは抗体を注入することでヒト細胞に抗原を生成させるという形で体内における免疫を構築していたのだが、このワクチンではその抗原の生成がより簡単であり、さらに宿主の身体を傷つけることもない。
さらに細胞を使って抗原を生成するため、体液性免疫おろか細胞性免疫すら刺激するため、ウイルスへの抵抗は従来のものよりも高まる。
設計・製造のスピードも格段に高いためすぐに量産可能であるのも利点の一つである。

コロナワクチンとしての期待

このワクチンは、特定のウイルスの持つRNAを作り、それを注入して抗原を発生させ、獲得免疫を刺激することでそのウイルスの抵抗を構築するという特性を持っており、この技術を使えばワクチンが作りづらいとされるコロナウイルスも排除可能となると言われている。
2020年12月ごろには完全に治験が完了し、コロナワクチンとしてすでに2つのmRNAワクチンが存在する。

反コロナ・反ワクチン派の主張

Qアノン信者、反コロナ・反ワクチン派の人々などは「mRNAワクチンはヒトのDNAを変異させるワクチンであり、最新の治験データを無視していて、安全性の確認が取れていない」として、有毒なウイルスであるという誤情報を流布している。
これに転じて、人口削減陰謀論やモデルナ社に対する誹謗中傷に繋げる人々が多く、また情報知識に疎い人々がこれらの情報に騙されるという事態が発生している。
現在存在するコロナウイルス用mRNAワクチンは最新の治験をもって採用されたものであり、細胞に注入するものも上記にある通り、ウイルスの抗原を構築するためのmRNA特定を行う部分のコピーであるため、DNAとは全く関係がない。