大清漢民国憲法

Last-modified: 2019-05-08 (水) 07:12:12
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最終更新日時2019-05-08 (水) 07:12:12

前文

清漢国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
清漢国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
清漢国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

第1章 皇帝

第1条 皇帝は、大清漢民国の象徴であり清漢国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する国家主席の総意に基く。
第2条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第3条 皇帝の国事に関するすべての行為には、皇帝府と清政府の助言と承認を必要とし、清政府が、その責任を負ふ。
第4条 皇帝は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
第条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、皇帝の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条の規定を準用する。

第6条 皇帝は、国会の指名に基いて、国家主席を任命する。
第7条 皇帝は、清政府の助言と承認により、国民のために、下の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
四 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
五 栄典を授与すること。
六 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
七 外国の大使及び公使を接受すること。
八 儀式を行ふこと。
第8条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

第2章 国民の権利及び義務

第9条 清漢国民たる要件は、法律でこれを定める。
第10条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第11条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
第12条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第13条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第14条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第15条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
第16条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第17条 学問の自由は、これを保障する。
第18条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
第19条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
第20条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
第21条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3 児童は、これを酷使してはならない。
第22条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
第23条 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
第24条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
第25条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
第26条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
第27条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
第28条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第27条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
2 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
第29条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

第3章 国会

第30条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第31条 国会は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
第32条 国会議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
第33条 選挙区、投票の方法その他国会議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
第34条 国会議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
第35条 国会の常会は、毎年一回これを召集する。
第36条 清政府は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の3分の1以上の要求があれば、清政府は、その召集を決定しなければならない。
第37条 国会は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。
第38条 国会は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き、議決することができない。
2 国会議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第39条 国会の会議は、公開とする。但し、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2 国会は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
3 出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
第40条 議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
2 議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。
第41条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、国会で可決したとき法律となる。
第42条 国会は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
第43条 国家主席その他の国務大臣は、国会の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。

第4章 清政府

第44条 行政権は、清政府に属する。
第45条 清政府は、法律の定めるところにより、その首長たる国家主席及びその他の国務大臣でこれを組織する。
2 国家主席その他の国務大臣は、文民でなければならない。
3 清政府は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
第46条 国家主席は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
第47条 国家主席は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
2 国家主席は、任意に国務大臣を罷免することができる。
第48条 国家主席は、清政府を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。
第49条 清政府は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
第50条 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、国家主席が連署することを必要とする。
第51条 国務大臣は、その在任中、国家主席の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

第5章 財政

第52条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
第53条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
第54条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。
第55条 清政府は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
第56条 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
2 すべて予備費の支出については、清政府は、事後に国会の承諾を得なければならない。
第57条 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。
第58条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
第59条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、清政府は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。
第60条 清政府は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。

第6章 地方自治

第61条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
第62条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
第63条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
第64条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

第7章 改正

第65条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

第8章 最高法規

第66条 この憲法が清漢国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第67条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 清漢民国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
第68条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

第9章 補則

第69条 この憲法は、公布の日から起算して6箇月を経過した日から、これを施行する。
第70条 この憲法施行の際現に在職する国務大臣、国会議員でその地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。