さいばん

Last-modified: 2024-05-01 (水) 16:24:05

東風谷早苗:早
洩矢諏訪子:諏
風見幽香:風
メディスン・メランコリー:メ
八雲紫:紫
博麗霊夢:霊


忙しい人のためのだんまくしょうじょさいばん
プロローグ


早「幻想郷は、謎に、ミステリーに、不思議に満ちているのですっ!」
諏「だいたい同じ意味合いじゃないかな」
早「そう!私がいるこの場所この瞬間にも何かが起こっているはずっ!つっかもーぜっ!オカルトボールッ!」
諏「早苗はいつも元気だなぁ…その元気がどこに向かってるのかサッパリだけど」
早「私、東風谷早苗は苦しんでいます。なぜって、それはですねぇ…退屈なんです!」
諏「大体の奴はそんな感じの理由から変な事始めて怒られるらしいよ」
早「今私の横でぺちゃくちゃ仰ってるのは諏訪子様です。多分暇人です」
諏「いやぁ~暇はいいよ?平和だし、何もしなくていいし、なんたって静かだ…」
早「なにワケわからないことをっ!諏訪子様は感じないのですか…?
  何もしない時間が淡々と過ぎていくこの瞬間…身体の細胞が劣化し魂すら爛れているような、この時をォォォォォ!!!」
諏「うるせ寝る時間だよ!今布団の中で寝ようとしてるんだよ!見ろ神奈子を!呼吸音すら立てず寝てるぞ!!!」
早「…居るように見えて居ませんし」
諏「そゆこと言うんじゃないよ…」
早「とにかく!私ちょっと霊夢さんのところに行ってきます!」
  私は明日生きる気力が沸くか心配なので霊夢さんの霊夢さんらしいところを見習ってアクティブになるのですっ!」
諏「もう一回言うよ?寝る時間だよ?」
早「では行ってきます!寝間着姿で!」
諏「あんまり迷惑にならないようにね?あと、殴られないように…」
早「な~ぐ~ら~れ~た~ら殴り返しちゃいます!ではっ!」
諏「行っちゃった…寝よ…」

諏「結局昼まで寝ちゃったよ…そういえば早苗はどうなったんだろ~か~…お?」
早「幻想郷は、謎に、ミステリーに!」
諏「いやいや昨日聞いたよ!」
早「おはようございます諏訪子様!私は昨日霊夢さんのところに行く途中目覚めました!」
諏「あぁ、到着する前に気が付いたんだ…」
早「ま境内には足を踏み入れましたけどね」
諏「そこまで行ったなら逆に霊夢訪ねなよ!いやそういうことはどうでもいいよこれなにィ!?」
早「見てください!守矢神社を奇跡の大改造!その名も~~~~!!!!!」

🎺

諏「守矢法律事務所…?」
早「なぁんで先に言っちゃうんですかぁ~も~」
諏「いやそりゃ言うよ!書いてあるもん!…っていうか神社どこいった!?」
早「奇跡の大改造ですから。この事務所が元神社です!まず奇跡で~神社の素材を還元して再構築、そして色々あってこんなに立派な事務所が出来ました」
諏「奇跡って言えば何でも許されると思うなよ?」
早「まぁまぁ。不思議な幻想郷を退屈しないで済む方法…それは事件が起きるのを待つのではなく、起きた事件をどうにかしろと依頼されるのを待つのです」
諏「いや、法律事務所じゃん。武力行使してくる奴に法律でどう戦うのさ?」
早「それはもうジャッジメントタイムでボコボコに!」
諏「何その時間…」
早「諏訪子様は反対なんですか~?」
諏「いや反対ですけど?」
早「でも私の活躍を一度見ればその考えも改まると思いますよ?」

諏「あのさー…弁護士的なことするってわけ?」
早「そーですねー」
諏「いくつか質問していいかな…?勝手に法律事務所建てていいの?」
早「どこに行って誰に許可貰えばいいのかわからないので」
諏「せめて私と神奈子には許可貰おうよ!」
早「ハンコはもらいましたよ!」
諏「勝手に押しただけだろっ!」
早「そもそも勝手に法律事務所建てていいのかとか仰いますけど、そんなこと気にしてたらこんなところに神社を無許可で移動させませんしっ」
諏「ぐぬぬ…!まぁそこは置いておこう…次の質問だけど、早苗は弁護士になりたかったの?子供の頃の夢だったとか?」
早「ぉ~夢ですかぁ~…子供の頃、私は思いましたねぇ。かっこよく働く人になりたいって」
諏「で、それが弁護士?」
早「いえ、ユンボです」
諏「重機だよ!」
早「まあその夢も幻想郷に来てしまったことで断たれてしまったので…弁護士にでもなっちゃおうかなと」
諏「幻想郷に来なくても叶わなかったと思うし、弁護士は弁護士でなるのはすごく大変なんだぞ」
早「言ったもの勝ちだと思いません?とにかく、今日から事務所を開いて依頼が来るのを待つのですっ」
諏「こんな辺鄙な場所に来ないでしょ…」
早「じゃあなぜこんな場所に神社を移動させたんですー!」
諏「山の上にあるとありがたいだろっ!」
早「じゃあ法律事務所もありがたいですよー!!御利益ありそうな上に、なんたって私が弁護します!」
諏「不安要素にまみれてる!」
早「失礼な―!」

諏「まあ飽きたら元の神社に戻しておくんだよ?誰も来ないだろうし…」
メ「わぁ~!こんなところに法律事務所がありましたぁ~!!これで怒られないで済みますぅ~」
諏「えぇっ…嘘ぉ…」
早「ほら見てください仕事の依頼ですよ!おいそこのお方!」
メ「あ!ここの関係者の方…オワァァァァ!?!?」
諏「いきなりなんだこいつ…」
メ「ちょっとッ…!緑の方ッ!!!ジャンプしてくださいィィィ!!!!」
早「…なんでです?まあいいですけど…うっ(ドルゥ~ン)うっ(ドルゥ~ン)…これで、良いですかぁ~?」
メ「おぉ、お、お、おぉぉ揺れてますねぇ~!!それはもうドゥルンドゥルンですぅ~!!!」
諏「こいつ…犯罪者予備軍じゃないか…?」
早「じゃあ退治しておきましょうか。それー」
メ「ホガァァァァァァ!!!ありがとうございま~す!じゃなくて、弁護士の方ですよねぇ?」
諏「結構タフだね…」
メ「このメディスン・メランコリー、セクシャルという毒がある限り不滅なのです!」
早「そのセクシャルさんが持ってきた依頼が、まさかあのようなことになるとは…今はまだ誰も予想できなかったのです」
諏「…なんか思わせぶりなナレーション入れてるね」
メ「セクシャルじゃなくてメディスンですよぉ~…じゃ明日の朝公判しますので、よろしくお願いしますね」
早「この東風谷早苗、華々しく法廷デビューしますっ!」
諏「すっごい雑に始まるよねぇ…」


常識に囚われない第一公判 前編

紫「それでは、博麗霊夢による殺人の公判を始めちゃうわ」
諏「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?ちょちょちょちょちょ!」
紫「え~…弁護側のぉ~…オプションさんは静粛に!」
諏「オプションって言うな!早苗!」
早「なんですか諏訪子様ぁ?見てくださいよぉここが幻想郷の裁判所なんですね~」
諏「ここがどことかどういう風な作りなのかはどーでもいい!博麗の巫女が殺人ですとぉ~!?」
早「殺人…人ならそうなるんでしょうけど、妖怪を殺した場合はどう呼ぶのが正しいんでしょうかねぇ」
諏「そんなことどうでもいいよ!霊夢が…ついにやっちゃったのかアイツ…」
紫「裁判長はゆかりんよ」
諏「なんで!?」
紫「なんでって何よ~!あ~、ここは裁判長らしく厳粛に行こうかしら~♪ 何故そのようなことを尋ねるのかね?」
諏「口調とかはどうでもいいよぉ!もっとさあ、裁判長は裁判長にふさわしい人物がいるだろ!?閻魔とかさぁ!」
紫「仮に幻想郷で裁判がこれから数百万と繰り返されることがあって、裁判長が"あの閻魔"だったとしても!
  この公判の裁判長はわたし!それは揺るがないのっ!」
諏「えぇ~…」
紫「例え並行世界の幻想郷の裁判全部にぃ~!!!私じゃない裁判長が居たとしてもぉ~~~!!!!!
  ここにいるのは私っ!それが運命!!!そして世界の可能性、全ての可能性って奴なのよぉ~~~!!!」
諏「なんでそこまでエキサイトしてるのさぁ…わ、分かったよ…裁判長はお前さんでいいよ」
紫「ふん、分かればよろしい。おほほほほ。さて、弁護側の準備は?」
早「問題なし!すべてOK!冤罪だろうが犯罪者だろうが救ってみせますよ!」
諏「助けすぎィッ!」
紫「では検察側、準備はよろしいですか」
諏「そういえば誰がやるんだろう」
メ「ぬっふふふふふふ…」
早「むー昨日のあの毒人形さんでしょうかぁ?ま楽勝ですね。片手で捻ってボッキボキに粉砕ですよ」
メ「むふふーん…私はただの脇役。そう、主役はこの人ですよー!」

………

早「…その主役はどこでしょうかぁ?」
紫「遅刻してるみたいね」
風「んふっ、ちょっと遠かったから遅れちゃったわぁ~。でもね、そんなことはどうでもいいのよ」
諏「全然よくない!」
風「力は風見幽香、テクニックは風見幽香、スピードは風見幽香、残虐性は風見幽香、ボディの強靭さは風見幽香、そしてその実態はッ!」

🥁

風「弾幕検事最後の刺客、風見幽香よ~!」
諏「いきなり最後なんだね…」
早「スピードはとんでもないヘッポコ具合ですねぇ」
諏「遅刻してるからね」
風「ガブッ!グッ…そ、そんなことはどうでもいいのよ…
  あ~ら、あなたみたいな小娘が私とやり合おうなんて。おへそでハーブティー沸かしちゃうわ~!
  メディスン、なんでこんなの選んだの?」
メ「顔とお腹の間にある箇所の、圧倒的な感じから選びました!」
紫「ずいぶん自分に正直な被告ね…」
メ「アイヤイヤ!私は何もやってませんからぁ!」
風「いつかお世話になるでしょうから、その時は容赦なく豚箱に入れてあげるわ」
メ「ギャフン!」
風「今日はね、そこに居る紅白巫女…博麗霊夢の殺人について、問い詰めて突き詰めて私の華麗な勝利のひとつになってもらうのよ 」
早「つまり霊夢さんを犯人にして捕まえて、有能なところをアピールするってことですね」
諏「幻想郷の司法って結局どうなってんのかサッパリなのに、どこにアピールするんだろう」
メ「幽香さんのざんじんざんばのしせんと腕っ節でどんな強情な犯人も罪を認めるってもんですよ!」

紫「では被告」
霊「早苗さーなんでこんなところにいるのー?」
早「でぇ!?私は霊夢さんを助けてきたんですよー!?」
紫「被告人」
霊「助けるって別に困ってないわよ。助けるならお賽銭入れてよね」
紫「霊夢!」
霊「うるっさいわねぇ!」
紫「霊夢は今日何でこんな状況になってるかわかってる?」
霊「あぁ~わかってるわかってるめっちゃ分かってるわよ。早く帰らせてね」
諏「全然わかってなさそう…」
早「逆にあんな態度だから実際はやってないって可能性もありますよ」
霊「ね~紫~私喉渇いちゃった」
紫「え~っと………我慢してっ」
霊「分かったぁ」
諏「緊張感ないな!」
風「メディスン、事件のあらましを説明してあげなさい。この3匹の無知なメス共にッ」
早「メスとはなんですぅ!諏訪子様ならともかくー!」
諏「私も遺憾だぞ!」
紫「…というか私も入ってるの!?」
霊「ねぇ、なんでみんな集まってるの?」
風「…4匹に説明してあげなさい」
メ「アイアイサー!昨日の朝、博麗神社で遺体が発見されました!遺体は伊吹萃香。博麗神社の居候のようなものしている鬼です!
風「博麗神社の敷地内で死んでいたのなら、犯人は自然とその子に絞られるワケ」
メ「まー楽な事件だと思って弁護側は適当でいいと思った訳ですよ~ぬっははははぁ!」
早「ムカーッ!!!」
諏「おい!そこの人形!早苗を怒らせるとものすごい口調で当たり散らすぞ!」
メ「なんなんですかその前フリ。その手には乗りませんよー!とにかくそこの巫女さんが犯人なのは明白なんですぅ~!」
早「本当にそうなんでしょうか」

霊「ねえねえ紫~」
紫「私今裁判長やってるんだから、勝手に話しかけてもらっても困るんだけど」
霊「なんかの出し物の練習でもしてんの?能みたいな」
紫「こぉんな能あるわけないでしょ!」
諏「あんな感じだから、実際どうなのか見当もつかないねぇ」
早「とにかく!霊夢さんが犯人と言うのならば、その根拠を教えてもらいましょう!」
風「メディスン、あの小娘に言ってあげなさい」
メ「言い包めることができたらセクハラフリーですね~!」
早「そんなわけないでしょーぅ!」
メ「私だってたまには飴が欲しいんですけどねぇ…まいいですよ説明してあげまーす!」
紫「でーはー 、えーっと…貴方ってどういう役割なの?」
風「メディスンはパシリよ」
紫「ではパシリは説明お願いするわ」
メ「了解でぇす!」
諏「メンタルすごいな…」

メ「事件当日、被告人と被害者は2人仲良く寂しく飲み会をしてたとのこと」
霊「ええ、美味しかったわ………水」
早「お酒飲みましょうよー!」
メ「そして夜も更けてきた頃、被告は境内に人の気配がしたので被害者に見てこいと頼んだそうです」
諏「自分で行きなよ!」
霊「なんかあいつ、私の役に立ちたいなぁっとか言ってた気がするのよねぇ」
諏「嘘ォつけェ!」
メ「様子を見に行って一向に戻って来ない被害者。そして朝に死体となって発見された訳です!」
紫「なるほど…とても分かりやすい話ですね」
風「まあ言うまでもないでしょうけど、登場人物は2人。片方が死んでるんだから片方が犯人よね」
早「異議あり!決めつけるのは早計です」
風「あなただって早く帰りたいでしょ~?さっさとそいつ有罪にした方が楽じゃない?」
早「そういうわけにはいきません!」
霊「私も早く帰りたいなぁ~~~???」
諏「このままだとあんたが帰るのは牢屋だよ…」

紫「とりあえず、検察側が霊夢を犯人だと思った根拠を説明してもらいましょう」
風「弁護人の出番もなく終わっちゃうんじゃないのかしらねぇ」
早「そんなことありませんっ!というか、先ほどの説明じゃ情報足りません!霊夢さんに質問させてください」
紫「…認める?霊夢はどう思う?」
霊「いんじゃないの?質問くらい」
紫「じゃあ弁護人の要求を認めます」
諏「それでいいのか…」
早「なぜ境内に人の気配がしたからって、見に行かせる必要があったんです?」
霊「うぇ?決まってるじゃないの」
早「それがわからないから尋ねているんですっ」
霊「賽銭入れたかもしれないでしょ!」
紫「被告人!いきなりキレちゃダメよ」
霊「紫はなんなの!?私のおばあちゃんかなんかなの!?」
紫「お…美人お姉さんよ☆」
風「願望は却下するわ」
紫「グフゥ」

メ「賽銭が入れられたかどうかの確認に行かせて、入ってなかったか被害者がちょろまかそうとしたところ
  激怒した博麗の巫女に見つかって殺害されたんじゃないですかぁ?」
風「これ以上分かりやすい動機もないわよね」
早「ぐぬぬぬ…」
諏「いやいやいや異議唱えようよ!」
早「イヤ霊夢さんならやりかねないかなぁって…」
諏「…確かにッ!」
早「とにかく、入れられたかどうかわからない賽銭の有無で知人を殺害するような人だったら…霊夢さんはとっくに犯罪者ですよっ!」
霊「ヌンニィ!?」
風「そ、その弁護はどうなのかしら…」
紫「でも不思議と言いたいことはわかるわね」
風「そぉんなこと言ったところで、友達だから~知人だから~って理由で庇ってるだけに過ぎないわ」
早「そもそも死因はなんなんですぅ!?」
風「?………メディスン、弁護士ちゃんに捜査資料渡したわよねぇ?」
メ「それはもう昨日の時点でバッチリチリバツですよ!」
早「私は説明書とか読まないタイプですから」
風「そういう問題じゃないわぁっ!」
紫「弁護人!今すぐ自分で確認するように」
諏「ぐうの音も出ないほど早苗が悪いな」
霊「早苗は本当におっちょこちょいねぇ~」
早「もぉ~しょうがないですね~…ちょっと待ってくださいねぇ~…なになにぃ~…」


常識に囚われない第一公判 後編

紫「ちゃんと確認できた?」
早「はいっ!遺体に目立った外傷無し、死因は…溺死ですとぉぉぉ!?」
霊「へー、神社で溺死とかある意味器用よねー」
諏「霊夢はいつまで他人事なんだろう…」
早「もう霊夢さんのマイペースは置いておきます。溺死ってどういうことですかー」
風「溺れ死んだのよ」
早「それはわかってますよ!溺死がなんで他殺扱いなんですか!?霊夢さんは水を出す能力なんてありませんよ!」
霊「まあ出そうと思えば水分は」
紫「ゆかりんもやろうと思えば」
早「今そういうこといらないですっ!」
メ「まあ流石の私もそういう趣味はありませんねぇ」
風「メディスン、減俸」
メ「えええええ!?」
風「あのアッパラパーに説明してあげなさい」
メ「…幽香さんがやればいいのでは」
風「ちょっとこっち来なさぁ~い」
メ「ほぉ!なんかくれるんですかぁ~!?」
風「セヤァ!!!!!」
メ「オ"ォ"ゴホ"ハ"ァ"ッ"ッ"ハ"ィ"ガト"ウ"ゴザイ"マ"ス"!!!説明させていただきまぁす!!!」
霊「微笑ましい光景ってやつね~」
諏「どこがだ!!!」
紫「えぇ…裁判長感動しちゃったぁ」
諏「なぁんでだ!!!!」
早「諏訪子様ちょっと黙っててください」
諏「どぉぉしてだぁ!!!!!」
早「説明聞くので―」
諏「アあぁ…まぁ……うん…」

メ「被害者は溺死。しかし見つかった場所に問題があるんですよー。
  これを聞いてまだ事故死って言うならとっとと帰った方が身の為ですはい」
早「そっちが呼んだのに―!」
メ「被害者の鬼はなんと!賽銭箱から見つかったんですよ~賽銭箱~。当然博麗神社に備えてあったアレです」
紫「いつも空っぽ、もしくはゴミ箱と化してるアレねー」
風「アレよ」
早「な…賽銭箱の中ですとぉ!?」
メ「うるさいですねぇ…まあ殴られて気絶させられた後、箱に入れられてその後に水とか入れられて溺死させられたんでしょうね」
風「弁護人、これを聞いてまだ事故死なんて言うつもり?い~わよ私は~?そんなアッパラパ~な主張と戦う方が楽だからぁ~」
早「ぐぬぬぬぬぬ…」
諏「流石に事件性ありだねぇ。向こうの主張に無理なところはないみたいだし」
早「うっふふふふ…いいえ、大丈夫です諏訪子様。あっちの方も結構抜けてる頭のようですし」
メ「それって自分は抜けてるって白状してるようなものなのでは」

早「先ほどあなたは、殴られて気絶させられたーとか言いましたね?資料を見てください!外傷無しですよ!」
メ「…!ナニィー!?」
紫「つまり…どういうこと?」
早「別になんということはありません。萃香さんは自分から賽銭箱に入った可能性があります」
風「フッ、フ…ブ、ブフフフゥ…w」
早「…な、なんですかそのかわいさを醸し出そうとして結果的に子供が怯えそう含み笑いは…」
風「ぅるさいわねぇ!異議ありよ! 」
霊「じゃあ異議認めちゃうわね」
諏「認めない方が霊夢のためなんだけど…」
早「霊夢さんは被告人というか…この公判のマスコットと化しています…放ってきましょう」

風「外傷無し、ねぇ…じゃあ聞くけどあなたは鬼の体に傷を残せる?」
早「な!?…あ、いや~もしかして出来るかもしれませんし~…が、頑張ればなんとか~…」
風「出来るの出来ないのどっちなの?!」
早「出来ませぇん!」
風「鬼って頑丈なのよ?もしかして殴られた衝撃で脳が揺れて気絶したかもしれないけど傷は残らなかった。以上よ」
早「そんなのアリですかぁ~?」
紫「被告人、そこのところはどうなの?」
霊「そこのところって何よ」
風「あの鬼を常日頃殴ってたでしょうけど、出血したりコブとか作ったことはあるの?」
霊「あんたに誰かを常日頃殴ってたかどうかとか言われたかないわよ」」
風「ウグッ!」
メ「そこで言い込められてどうするんですかぁ!」

早「霊夢さん、あんまり不利になるようなこと言わないで下さいよぉぅ」
風「そういうわけにはいかないわよー。真実を語ってもらわないと!」
紫「検察側の意見を認めます」
霊「意見認めるのにわざわざ紫の許可もらわないといけないなんて、面倒くさいのね
  まぁ萃香はたまに吹っ飛ばしたりしてたわね」
風「で、気絶は?」
霊「別にいちいち気絶してたかなんて確認しないけど」
風「ぁ~…ん~…」
メ「まあそりゃそうですよねー」
早「霊夢さんですしねぇ」
風「今の証言の時間なんだったのよォ!」
紫「とにかく、被害者は気絶したかしてないかわからないってことね」
風「そもそも気絶したかしてないかなんて些細なことよ。結果的に被害者が箱の中に入ってて死んでたんだから!」
早「ですが犯人を決定づける証拠がありません」
紫「弁護側の言うことは一理あります」
風「何寝言言ってるの!博麗神社の賽銭箱の中なのよ!」
早「賽銭箱なんでどこでもあります!」
諏「ねーよ!」
早「…そこそこにはいろんなところにありますっ!だから博麗神社にあった箱が博麗神社のものだったとは限らないのです!」
風「そんな賽銭箱がどこにあるのよ」
早「う~ん…諏訪子神社とか…?」
諏「オォイ!」
霊「守矢神社って…賽銭箱あるの…!?」
早「そりゃありますよぉ立派なのがぁ……ハッ!?」
風「ふ~ん…」
諏「自信満々に不利になること言うなよ早苗…」
早「い、いえ~少なくとも霊夢さんへの矛先は多少変更できました!」
諏「結果的に私たちが疑われたらどうすんだ」
早「安心してください」
諏「できねぇ…」

早「今までのそちらの主張には、結局霊夢さんが犯人だという決定的な証拠ありません」
風「そっちだって霊夢以外が犯人っていう証拠はないじゃないの」
早「証拠はないです…でも第三者が居るって可能性をメディスンさんが言ってたじゃないですか」
メ「ハッ!?えっ、あの…幽香さんにしばかれるので言ってないことにしてくれませんかぁ~!!」
早「ダメに決まってます!先ほど被告は境内に人の気配がしたので、被害者に見てこいと頼んだって仰ってたじゃないですかー!」
メ「だって被告人から聞いた情報ですしそりゃ言いますよぉ~ねぇ幽香さん!」
風「1週間水抜き」
メ「キツイ!!!」
風「まぁそう言ってたわね。で、そいつは誰なの」
早「は?」
風「は?じゃないわよ!いたかもしれない~じゃあそいつが犯人ねぇ~で終わるわけないでしょ~?
  第三者が確実に居た根拠を示さないと意味のない主張ねぇ」

諏「早苗…ちょ、ちょっといい?」
早「…なんですか諏訪子様ぁ、今いいところなんですよ?」
諏「事件の日さぁ、神社に行ってたよねぇ早苗」
早「あ」
紫「えっ!?」
霊「えっ」
メ「ぬぁ!?」
風「なっ…なぁんですってぇぇぇぇ!?」
紫「弁護人!どういうことなの」
早「あの~…霊夢さんを目指そうとしたんですけど、途中で帰ったんです」
メ「めちゃめちゃ怪しいじゃないですかぁ!!」
霊「あ~、あの気配早苗だったのね。なんか緑っぽい気はしてたわぁ」
早「気配を色で判断しないでくださいっ!確かにあの夜、神社には行きましたけど誰とも会わず帰ってきました。そうですよね諏訪子様!」
諏「いや~…口頭でそう聞いただけだから…私は知らないよ?」
早「裏切者ー!」
諏「あんな真夜中に私を叩き起こして、よくわからない理由で出かけるからいけないんだぞ!」
紫「弁護人の助手の主張を認めます」
早「キャホッ!」

風「つまり、第三者が確実に居たっていうことは立証されたわねぇ~。よかったわね~」
早「ぐッぬぬぬぬ…!」
風「怪しい理由で神社を訪れた第三者は、被害者に目撃されて殺害。罪を擦り付けるために賽銭箱で殺した…ってところかしらぁ~?」
霊「へぇ~!酷いことするわねぇ~早苗って悪いやつね~」
早「ぃやってませぇん!そもそも殺す理由がないですしー!」
メ「きっとぉ恥ずかしいところを見られたとかですよぉ?ぬっへへへへへへw」
紫「計画的というより突発的な犯行ね」
早「ちょーちょーちょちょちょーちょ!私が犯人っていうことで終わろうとしてますよねぇ!?待ってくださぁい!」
霊「早苗が萃香を懲らしめたのなら私帰れる?」
紫「一応帰れるわね」
霊「うーん…でも牢屋にいる早苗ってなんか笑うに笑えないからもうちょっと我慢してあげるわ」
早「いやなんで笑おうとするんですか?!とにかく私も、多分霊夢さんもやってません!」
風「そこまで言うのなら、やってない証拠とまでは言わないけど何か掲示してみなさい」

諏「とにかく重要なのは殺害現場じゃないかなぁ」
早「そうですよねぇ…何かないでしょうかぁ…」
霊「そもそもなんで賽銭箱に入ってたの?萃香って酔っ払いすぎて、ちょっと考えがアレすぎないかしら?」
紫「霊夢?故人をアレとか言うのはちょっとよろしくないわよ?」
早「入れられたんじゃなく入った……あ!サイバンチョーーーッ!!!」
紫「ゎっ!何よ…」
早「博麗神社の賽銭箱はどう開けるか霊夢さんに聞きたいんです!」
霊「いいわよー」
早「アリガトウゴザイマス!」
紫「あのー…私の判断を仰いでから話進めない?」
風「いいんじゃないの?聞くくらいは。まぁ、娑婆最後の尋問だと思うけど」

早「霊夢さん、あの賽銭箱はどう開けるんですか?前に開けたのはいつですか?」
霊「は?いつもお金が入ってないんだから、開ける必要ないでしょ?」
諏「えぇ…何言ってるんだアイツ…」
早「どういう…ことです…?」
霊「開けたことないわよ?たまにひっくり返すけど」
早「じゃ、じゃあ…開ける方法は…?」
霊「さぁ?」
早「うぇぇぇぇぇ!?」
風「異議あり!被告は嘘をついているわ!」
霊「なんでぇ?」
風「なんでって……罪を逃れるための嘘じゃないの!?」
霊「どこが?」
風「開ける方法知ってるくせに知らないフリして開けたことないなんて言ってるわけでしょ?」
霊「知らないものは知らないわよ!!!そもそも開けられる構造してるのか開けられた痕跡があるのか調べるのはそっちでしょぉ!?」
風「ガフッ!」
紫「とんでもないことになっちゃったわねぇ…
  開けられる方法は関係者くらいしか知らないから賽銭箱に入れた人が霊夢だけっていう主張は無理みたいねぇ」
風「クッ…!あいつが自分の神社の賽銭箱を担いで、博麗神社に持ってきて被害者を詰め込んだのよ!」
早「それも調べればわかることですよね」
風「ぬぐぐぐぐぐくぅ…!おのれェ…!」

紫「この時点で判決を下すことはできないみたいね。各々調査をして明日続きをしましょう」
霊「やったぁ~!!!やっと帰れるわぁ~!」
メ「いやー霊夢さんはしばらく勾留ですよ」
霊「おのれェェェェゥッ!!!」
紫「じゃあ一旦閉廷よ」


常識に囚われない調査タイム

諏「なんだか…いろいろ凝縮された時間だったな…」
メ「いあいあぁまったくでしゅよぉこちの身にもなってくでゃさいよぉ」
諏「なんか身体の輪郭変になってない?」
メ「幽香さんにいろいろご褒ぶぃもらっちゃってゃのでぇ」
諏「とりあえずこっち見ないで」
メ「酷い言われようですねぇ!」
早「とりあえずなんでこんなところに?」
メ「にぇ、監視です!」
早「誰のですか?」
メ「あなたですよ!さっきの法廷で真犯人の候補として躍り出ましたよねぇ!?」
早「それはもう煌びやかに華やかに!」
メ「本来なら博麗の巫女さんと一緒に勾留するところなんですけどぉ、幽香さんの判断で私の監視付きではありますけど弁護が続けられるんでぇす」
諏「結構ゆるゆるだねぇ」
早「まぁいつの間にか生えてきたような裁判所と、どこにあるのかどんな感じなのか説明もない法廷でやるようなことですし」
メ「そういうことを言うんじゃないですぅ!とにかく幽香さんのおかげで調査もさせてあげるんですからありがたく思ってくださいよー」
早「大体把握しました☆」
メ「ぜーんぶ理解してくださいよー!」

諏「てゆか早苗が真犯人候補になったのに、あの検事は何考えてんだろう」
メ「なんだかんだで霊夢さんが本命だと思ってるみたいですよ?」
早「そこまでして有罪にしたいんでしょうか…」
メ「上位がいなくなれば自分が3位になれるかもとかよくわからないこと言ってましたね」
諏「ちなみに最近あいつはどうなの」
メ「22位です」
早「あー…」
諏「あ、あー…」

早「さあ、調査を始めましょう」
メ「まあ~既に私達がやっちゃいましたけどねぇ!ッハッハッハー!」
早「ぐっ!証拠隠滅されてしまいました!」
メ「人聞き悪いですねぇ。背後から持ち上げてポイポィポィポィポィポィポイ!しますよぉ」
早「それをあの検事さんにやろうとするとどうなります?」
メ「両手が行方不明です…いや、足も…あでもよく考えたら頭ごと吹き飛ぶので体の感覚が全て無くなりますねぇ~ぃやぁ~お恥ずかしぃ~///」
早「…ど、どうリアクションすればいいんでしょうか…」
諏「さぁ…」
メ「んーとりあえず前もって撮影した現場の写真です!天狗さんがいたので協力してもらいました」
早「はぁ、まあ賽銭箱を外から見た写真ですよねー」
諏「別にこれは写真なんて見なくても実物見ればいいんじゃないの?」
メ「解体しちゃいました」
諏「なんでだよ!」
メ「遺体を出すためですね」
早「普通に出せばいいじゃないですかー!」
メ「さっきの写真を見てください?賽銭箱の下の方です!」
諏「お?なんか…内側から飛び出てる…?」
メ「"ツノ"ですぅ!被害者の頭には立派なツノが生えてますので、賽銭箱を貫通していたんですよ。まあ当然と言えば当然ですねー」
諏「なんか…アホみたいだな…」
メ「そういうのをいろいろまとめた資料をお渡ししまぁーす!」
早「つまり賽銭箱は既になく…ここに来た意味は…?」
メ「ほぼなしです!」
諏「帰ろうか…」
早「ですねぇ…」

風「あなたまだ話してないこととかあるんじゃないの」
霊「なんのなんの?」
風「事件のことよ!神社で大事件があったでしょ!?」
霊「あぁ!私の山菜の話、する?山菜の話」
風「しないわよ!あんたの山菜の話は!!あんたの山菜じゃなくて敷地の山菜でしょ!?」
霊「逆に幽香は話ないの?」
風「ないわよ!!イヤイヤあるわよ…あるからここにいるんでしょぉ!!!」
霊「何味で食べるの?」
風「山菜の話はしないわよ!ハーブとかは採るけどぉ"ぉ"!」
霊「なんで?」
風「あるからよ!ハーブあるから!」
霊「何味?」
風「ハーブの味よッッッ!!!」
霊「ハーブの味…ハーブの味って何よ、すごいわねぇ」
風「今はハーブはいいのよ山菜の話でしょ………山菜の話はしないわよ!!!!」
霊「山菜の話?」
風「しないッ!事件よッ!」
霊「ハーブ事件?」
風「そんな事件ないわよォ!長年植物に携わってきた私でもないわよそんな事件はァ!!!」
霊「なんでハーブ採るの?」
風「えっ?うーん、お茶にしたりアロマにしたりぃ…」
霊「どう採るの?」
風「え~?こーやって屈んでぇ?」
霊「へぇー」
風「絶対興味ないわよねッ?!」
霊「だっていつ野良マスパ出てくるかなーって」
風「出ないわよ!私のどぉんなエピソードにもそんな怪しいの出てこないわよ!!」
霊「あいつ速いもんねぇ…」
風「私だって速いわよ!」
霊「定時で?」
風「家に帰る時間の話じゃないわよォ…!」
霊「私はいつ帰っていいの?」
風「しばらくこのままッ!」
霊「17時まで?」
風「なんで定時で帰ろうとしてんのよ!どこの!?なんの定時なのよ!今日はこのまま!!!」
霊「なんでなんでー?」
風「事件あったからぁ!!!」
霊「何ハーブの?」
風「ハーブの事件はないわよ!あんたハーブでもやってんのォォォ!?」

早「今頃霊夢さんは…取調室で酷いことをされているに違いありません」
諏「取調室って酷いことする部屋じゃないぞ」
早「いいえ私は知っているんです!おのれー!」
諏「その怒りを調査に向けておこうよ」
早「その通りですね。そういえば私の監視役のメディスンさんは隣にいるんですけど完全に無言なのが逆に怖いです」
諏「気にしたら負けさ…えーっと、さっきもらった資料によると博麗神社とここ守矢神社にある賽銭箱はほぼ同じ大きさだ」
早「これを使って、当日何が起こったかシミュレーションできますね」
諏「えぇっと…ちょっとお前」
メ「はぁ?なんですぅ?」
諏「ちょっとさあ、この被り物を装備するんだ」
メ「ぇぇぇえええ!いいんですかぁ~!!こんな立派なものを~!そういうご趣味があったんですねぇ~」
諏「どういう趣味だ!まぁツノの被り物であっという間に被害者だ。お前さんは身長的にも似ている」
メ「そちらがやった方がいいのでは?背丈どころか声も似てますしー」
早「そんなことしたらどっちがどっちかわからなくなるじゃないですかっ!」
諏「死体と家族の見分けぐらいつけよ!」
メ「まあいいですけどねぇ~はぅん…じゃあわたしはなにをすればぁ?」
早「とりあえず想像ですけど、当日の流れをやってみましょう。まずはお賽銭箱の前にやってくる被害者」
…………
メ「オッス!オラ萃香!」
早「ちょっと萃香さん感がなっちゃいませんねぇ…ちょっと諏訪子様、見せてあげてください」
諏「ブッッッヘャッヒャッヒャァッ!wwwさぁ~wいwせぇ~wんwぶぁ~wこぉ~www
  おぉ?wなかみぃ…ウヘヒャアヒャヒャハハハ!!!wwwwオ"ェ"ェ"ェ"ベボベボエボボエボベボロボロボロ」
早「以上、諏訪子様による萃香さんのマネ。演目は『賽銭箱を確認したら賽銭が入ってなかったので笑ってたら粗相してしまった』でした」
メ「嘔吐漫談で暮らしていけるんじゃないでしょうかー」
諏「そぉんな漫談ねぇよ!!やりたくもない!」
早「とりあえず確認したかしてないかはどうでもいいんですっ!そこで犯人の登場です」
諏「とりあえず私が犯人役だな」
メ「外傷はなかったですけどどうすんですー?」
諏「当て身!!!」
メ「アグアッ!!」
早「被害者を気絶させた犯人は、なぜか賽銭箱の中に押し込めて」
諏「じゃあ押し込めるか」
早「そうですね。そんなこともあろうかと、賽銭箱の蓋は蝶番を付けて簡単に開けられるようにしておきましたし」
諏「おお!そうか!盗まれ放題だぁ!」
早「ワッハッハッ!」
諏「後で直しておくことにしつつ…蓋開け―の、被害者を仰向けに詰め込みーの……詰め込…おぉ?」
早「うーんツノが引っかかってちゃんと仰向けに入らないんですけどぉ…」
諏「強引にやれば入るんじゃないの?」
早「そうですかぁ…?う、そぉぉぉい!わっ!?折れたっ!」
諏「ツノは折れてないけど…何か違うところ折れちゃった!!!」
早「うぅーん…う~~~ん………メディスンさんってデュラハンでしたよね確か…西洋妖怪的な…」
諏「おぅ、おおう……そうだね…」
早「メディスンさんは置いといてっ。実際に萃香さんは賽銭箱に仰向けに入ってたようですね」
諏「賽銭箱の手前に角が貫通してて、反対の奥側にも同じ高さに内側からツノが貫通して穴が開いていたわけだ」
早「…どうやって入れるんです?」
諏「知らんよ…」
早「賽銭箱の中のこれどうします…?」
諏「し、知らんよ…」
早「とりあえず、二つに分かれちゃった元メディスンさんは、検事さんの家に届けておきましょう!」

風「あいつ結局何も喋らなかったわねぇ…ふっ、まぁいいわ。明日の法廷で締め上げてあげる
  …んっ?これ何かしら…あ、ヤダプレゼント?フ~ンフフ~ンフフ~ンフフ~♪…フ、フ…ふ…フェァッ
  ギヤ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!!!!!!!!」


常識に囚われない第二公判

紫「では、博麗霊夢殺人事件…あっじゃなくて、博麗霊夢によるあの~…ア、んとにかく!二日目始めるけどいいわよね?」
諏「いいわけないだろちゃんと言えよ…」
紫「昨日の公判では賽銭箱について詳しく分かっていなかったと思うから、今日はそこを重点的にね」
風「あぁ…」
紫「えーっと…検察側?準備いいかしら?」
風「まぁ一応…」
霊「人なんて殺してないわよ!妖怪ならたまに色々アレしちゃうけど、とにかく早くどうにかしなさいよね早苗!!!」
風「昨日私が頑張った結果、被告に自分の状況を教えることはできたわ」
紫「それはそれは…ご苦労様ね…」
風「…我ながらよくやったわ」
霊「あいつ昨日、ずっと私になんかわけわかんないこと延々言ってたわよ」
風「こぉっちの台詞じゃあぁっ!」
メ「それが幽香さんのお仕事ですからにぇ~」
紫「検察側のあなた…」
メ「はぁいなんでしょぉ」
紫「首が…180度回転してるみたいだけど…」
メ「そんなひもありますよ!」
紫「…ならそういうことで」
諏「どういうことだ!」
霊「まああなたたちの関係には口は出さないけど、…幽香?暴力はいけないんじゃないの?」
風「私じゃないわよ!むしろ私はくっつけてあげたんだからぁ!」
早「あれってくっつけられたんですねぇ」
諏「死んだかと思ったよ^^」

風「昨日、被害者を取り出すために解体した賽銭箱を再調査したわ。」
  賽銭箱には開けられる箇所など無く、そして木材同士の接合部分を調べた結果、以前解体されたことはないと断定できるわ」
霊「つまり私が犯人じゃないってことね。早く出しなさいよ!」
紫「まだ終わってないから!ちょっとー!霊夢にお菓子とかあげてぇ!」
メ「霊夢さん、私の懐で温めたおせんべいをどーぞ」
霊「おせんべいはいいんだけど、こっち向いて話してよね」
メ「一応そちらに身体は向けてるんですけどねぇ~」
紫「無理矢理動かすとポロッといきそうね」
風「で、被害者が賽銭箱に入っている時、箱の底に液体が少し溜まっていたわ」
  そして賽銭箱の周りも濡れていたのよ。その液体の成分を調べたけど酒だったわ」
紫「つまり被害者は、お酒に溺れて死んだのね」
風「酒呑みにはお似合いの死に方なんじゃないかしら」
早「確かに」
諏「感心するなよぉ」

風「まぁその他は弁護側に資料を渡してあると思うし、問題ないわよね」
早「質問よろしいですか?」
風「どうぞご自由に」
早「遺体の入っている箱の周りが濡れているのは写真でわかるんですけど、同じように濡れて散らばってるこれは何です?」
風「葉っぱと、博麗神社で引けるおみくじね」
早「おみくじって普通どこかに結びつけますよね」
風「う~ん、博麗神社流なんじゃないの?」
紫「どうなの霊夢?」
霊「お茶ちょーだぁい」
メ「はいはいしょうがないですねぇ私が淹れてあげますよアーッチャアアアア!!!」
霊「そりゃ見ないで急須から湯飲みに注ごうとしたらそうなるわよ、バカねぇ」};
紫「霊夢、おみくじは引かれた後どうしていたの?」
霊「引いた奴の好きにさせてたわよ!!!」
風「つまりそこら辺に捨てられてたわけね」
メ「ひっどいですねぇ~」
風「今のアンタみたいだわ」

早「そういえば中に入っていた液体ですけど、どれくらいまで入ってたのでしょうか?」
メ「え~っとですねぇ~…んぇ~、エー、ア?アァ?ア?ン?ア…ちょっと資料が読めないからお願いできますぅ?」
霊「しょうがないわねぇ…内部に満たされていたであろう液体は、内面の湿り気具合から見て賽銭箱の縁近くまで注がれていたーですって」
早「つまりなみなみだったわけですね?」
諏「となると、穴が開いたのは注がれた後かな」
早「なぜそんなことを…?そもそも溺死させる方がおかしいですよね?」
霊「そもそも酒なんて私持ってないわよ」
早「ムッ!?もしや………裁判長!溺死の原因になったその賽銭箱に注がれたお酒は、被害者が自ら入れたものかもしれません」
紫「えっ!?どういうこと?説明してちょうだい!」
風「馬鹿みたいなこと言ったら、メディスンに襲わせちゃうわよ」
メ「今襲いかかってもいいですよぉ~そぉ~れえへへへへへへへへwww」
風「こっち来るんじゃないわよぉ!!!」
メ「いや~弁護士さんの方を見てるんですぅ!体が勝手にぃぃぃ!」
風「デァ"リ"ヤ"ァ"ァ"ァ"!!!!!」
メ「フ"ア"リ"ガト"ウ"ゴザイマァァァス!!!!!フ"ォ"!?顔の向きが治りました!!!やったー!!!」
諏「簡単な構造だなぁ…」
霊「これで私のお茶も注げるわね」
メ「当たり前ですよぉ~アッーチャアアアッッッ!!!」
紫「…ただの不器用だったみたいね」

早「そろそろいいですかぁぁぁぁ!?!?!?」
霊「私を犯人にするようなこと言ったら、容赦しないわよ!!!」
早「言う訳ないでしょうっ。コホン、なぜ被害者さんがお酒を入れたかというと、それは…霊夢さんに頼まれたことを行うためです!」
霊「お賽銭?」
早「そうです!でも萃香さんはおそらく酔っ払っていたはず!」
風「その根拠は?」
早「萃香さんはいつも酔ってるんです!」
紫「弁護人の主張を認めるわ」
風「なぁにぃ!?」
早「酔ってて賽銭箱の開け方もわからない被害者は…ひっくり返せばいいものを無駄に知恵を絞ったのです…」
  そう!賽銭箱の中をお酒で満たして、浮いてきたお金を回収しようとしたのですっ!」
メ「小銭とか浮きますぅ?」
早「そこまで頭が回られないのが酔っ払っいクオリティーなのです!!」
  萃香さんの持つひょうたんは、いっぱいお酒が出ると聞いてます。それを使って賽銭箱にお酒を満たし、中身を浮かせて回収したわけです」
風「異議あり!あれは水を酒に変えられるだけで、賽銭箱を満たすには全然足りないわ!」
早「じゃあ水場を何度も往復したんじゃないですか?ひょうたんで水を汲んでは賽銭箱へ、その間にひょうたんの中の水はお酒に」
風「ウゥッ…!な、なんて無駄な努力なの…!」
紫「さっきの写真に写っていた散らばった葉っぱやおみくじは、賽銭箱の中にあったものということね?」
早「そうです!どうですかぁ~?フッフフゥ~ン♪」
風「で?」
早「は?」
風「回収方法は分かったわ。なんで賽銭箱に酒が入ってて、周りが濡れてたのかも納得のいく説明だったわ」
早「そ、そうでしょ~流石私です」
風「入ってた賽銭をちょろまかそうとしたところをそこにいる巫女が目撃、激怒して殺害。以上よ」
霊「ちょぉっとぉ!!!なぁんでそうなるのよぉ!!!」
風「あなたの頼りの弁護人の話を参考にさせてもらっただけよ?」
霊「すぁぬぁうぇぇぇぇ!!!」
早「イヤイヤイヤイヤイヤ!!!そこまで言ってませんよ!? そこに別の犯人が来た可能性だってあります!」
風「その可能性を示さなければ、いくら謎を解いても無駄ね。 むしろ霊夢が犯人だって決定付けていくだけよ?」
メ「ダメな弁護人さんですねーぷっぷぷーのぷ―w」

早「ンま…まだ謎は残ってますよっ!どうやって箱に入れたのか!それが分からない限りは霊夢さんが犯人とは言えないはずです!」
風「なんかの能力で入れたんじゃな~いの~?」
霊「私にそんな能力ないわよっ」
紫「確かに霊夢にはそんな器用な能力ないわねぇ」
霊「んーだとコラァッ!!やるかァッ!?」
紫「イ、やらない!やりませんー!暴力反対よ!」
メ「そもそも開かない箱に強引に体を詰める能力なんて要りませんねぇ」
諏「まぁできるとしたらぁ………あっ!」
……………
紫「…え?なんでこっち見てるの…?」
霊「あぁあ!!紫できるじゃない。紫犯人だわ。やぁった~帰れるぅ~!」
紫「いやいやいや!異議あり!異議ありよ!そんな事言うと霊夢有罪よ!」
霊「そんなのアリぃ!?」
メ「まあまあ霊夢さん、懐で温めたおまんじゅうあげますから」
霊「やったぁ~ありがとぉ~?」
諏「好物の前で全力だなあいつ…」
早「なにかの能力……強引に身体を……好物に全力………!ムホー!?」
諏「ななななんだよ!?いきなり変な声出すなぁ!」
早「謎は全て解けたぁ!!」
風「じゃあ霊夢犯人で」
霊「なにぃー!?」
早「エ、違います!事件の真相です!」
紫「真犯人が分かったのね!?」
早「真犯人…?まー…まそうなりますね!」
風「面白いじゃない。教えてもらおうじゃないの」

早「まずは、なぜ賽銭箱の中に萃香さんが居たのかをご説明します」
霊「手短にね」
早「ちゃんと言わせてください!被害者の萃香さんが賽銭箱の中身を取り出そうとして中にお酒を入れた!ここまではいいですね?」
霊「うぁぉ~ん…まあいいけどぉ~…」
早「なんで釈然としてないんですかぁ!ここでみなさんには萃香さんの気持ちになってもらいます!」
風「じゃあ…裁判長。被害者の気持ちになって」
紫「あ、ぃいわよ?…うひゃひゃひゃひゃひゃー萃香お姉さんに任せなさぁーい。あぁらいやだわぁーお賽銭箱がお酒で満たされてるわぁー」
風「…やっぱいいわ」
紫「なんでよ!私今回そんなにやることなくて暇なのよ!」
霊「そんなこと言ったら私もよ?」
早「被告人は暇とか忙しいとかそういう次元にはいないと思います!ま~話進めますよ!!萃香さんにとってお酒とは何です?」
霊「なにって…好きなもの?」
早「その好きなものが目の前に広がっていたら何をしますか?私たちは常識に囚われすぎていたのですっ!」
風「えっ」
諏「まさか…」
メ「なんと!」
早「そう!自分で飲むために自ら入っていったのです!」
紫「えぇ~!?」
風「い、異議ありよ!賽銭箱は開かなかったのよ!?いくら小柄な被害者でも…って、あぁぁぁっ!」
早「幽香さんも気がついたようですね…萃香さんはいろんなものを散らしたり萃めたりする能力で自分の大きさもある程度自由自在なはずですっ」
霊「あぁ~…たまにミニサイズでウロウロしてたけど、あのサイズなら賽銭箱の隙間くらい余裕でしょうね」
風「バカバカッ!なに言ってるのよ!!だったら最初から小さくなって賽銭取り出しなさいよぉ!」
早「酔っ払いにそんな理屈通じませんっ」
風「ガフッ!」
紫「まぁ…あの萃香だからそんなことまで気が回らないでしょうねぇ…」
メ「酷い言われようですぅ…親近感湧きまぁす」
早「小さくなった萃香さんは、お酒のプールにダイブ!スイミング&ドリンキング!」
諏「あの鬼にとっては夢心地…酒池肉林だったろうねぇ」
早「そして萃香さんが身に着けている分銅のようなもの。アレ重いですよね」
霊「ぶつけられたことはあるわね」
早「どうでしたか?」
霊「マジギレしてあげたわ」
早「ま、まあ霊夢さんが怒るくらいぶつけられたら痛いので重さはあるはず!小さくなった萃香さんを賽銭箱に沈めるほどにはっ」
風「じゃあ…じゃああなたはこう言いたいワケ?酒に満たされた賽銭箱に沈んだ鬼が、酒を飲みつつ幸せ気分で泥酔と溺死したって!?」
早「そのっ通りっでぇすっ!」
紫「う~ん、じゃあ賽銭箱に開いていた穴は、死んだ被害者が死ぬ間際、能力的な要素が切れてきて徐々に元の大きさに戻っていくうちにできたってこと?」
早「元の大きさに戻っていくうちに賽銭箱の幅より長い萃香さんのツノが作った穴と言えます」
  そしてツノに塞がれているとはいえ、キッチリ塞いでいるわけではないのでそこからお酒が漏れたのでしょうね」

紫「えーっと…あの~…うぅん、検察側のなんか反論ある?」
風「んなバカなぁ~ん!そんなアホみたいな理由で私が負けるのぉ!?これってただの…!」
早「そうです。ただの…」
霊「自殺よね?」
風「ググガガググ…ゴ、ゴッゴォガァァァァァ!!!!」
メ「うわぁぁぁ!なんてこった!幽香さんがオーバーヒートしちゃったぁ!!」
霊「この人でなし検事!人を殺人犯扱いするからよっ!!!」
紫「えぇ~~~なんだかよくわからない事件だったわぁ。幻想郷には不思議が満ちている。今回の出来事もその一環だったのかしらね」
早「その通りです。私たちはそれを常識に囚われないように、そして常識を忘れないように受け止めないといけないのです!」
霊「紫ぃ~~~私早く帰りたいぃ~~~」
紫「今となってはあまり意味のないことだけど、判決を下すわ。博麗霊夢『無罪』!」


エピローグ

早「こうして不思議な事件は解決しました。そして萃香さんは数日後、普通に生き返っていました
  たぶん誰かが1UPでも供えたのでしょう。結果いつも通りの幻想郷に戻ったのでした
  しかししばらくの間、宴会の席で霊夢さんは…」

霊「誰か賽銭箱の中身見てきてぇ~?w誰かにぶっ転がされちゃうかもしれないけどぉ~wぬぇっはっはっひゃっはっひぇぁっはっwwwwwww」

早「という不謹慎ジョークが、霊夢さんの中だけで流行ったのでした」
諏「なあ早苗…」
早「私は思うのです。この事件は」
諏「早苗!!!」
早「なんですか諏訪子様ー!人がせっかく感傷に浸りつつ次への意気込みとか語ろうとしてるのにー!」
諏「うるっせぇ寝る時間だよ!!今布団の中で寝ようとしてるんだよ!見ろ神奈子を!呼吸音すら立てず寝てるぞ!!!」
早「この口うるさい諏訪子様が、まさかあんなことになってしまうなんて」
諏「なぁんだよ!不穏な感じで終わろうとするなぁ!!」
早「しかし私の冒険はこれからです!そのためには修行あるのみ!ではっ!!!」
諏「行っちゃった………寝よぅ…」