ここはモナコモンテカルロ、絶対に抜けない

Last-modified: 2023-12-28 (木) 19:28:15

'92モナコGP、実況はフジテレビの三宅アナ、解説の今宮サン、津川サン、
ピットリポートの川井チャンの緊張感溢れる絡みを堪能下さい。

ポールポジションは、
N・マンセル(Wil) 1:19:495
以下
R・パトレーゼ(Wil)
A・セナ(Mcl)
J・アレジ(Fer)
G・ベルガー(Mcl)
M・シューマッハ(Ben)
M・ブランドル(Ben)
I・カペリ(Fer)
J・ハーバート(Lts)
A・デ・チェザリス(Tyr)
M・アルボレート(Ftw)
G・モルビデリ(Min)
M・グージェルミン(Jor)
M・ハッキネン(Lts)
B・ガショー(Vtr)
K・ヴェンドリンガー(Mch)
C・フィッティパルディ(Min)
P・L・マルティニ(Scu)
鈴木亜久里(Ftw)
J・J・レート(Scu)
S・モデナ(Jor)
T・ブーツェン(Lig)
E・コマス(Lig)
O・グルイヤール(Tyr)
G・タルキーニ(Fdm)
R・モレノ(Adm)
の26台、ちなみに片山右京(Vtr)は予備予選落ち。

ここまでは開幕から5連勝のマンセルの独壇場、誰もがモナコ初勝利を確信していた。
もう間違いない、2位を走行しているセナは、はるか後方。
誰もがそう思った71周目、事態は急変する。

三宅:本当に、このウイリアムズ・ルノーの安定性は抜群なモノがあります。南アフリカではあの
   高地でも大丈夫でした。メキシコのあのバンピーなコースも、アクティブサスは耐えました。
   そしてブラジルでも、スペインのウェットコースも耐えました。そしてサンマリノの暑さの中
   でも耐え抜きました。
   そしてこの初めてのストリートサーキット、このモナコでも完全なアドバンテージを、
   ウイリアムズ・ルノーは保っています。

【そこへピットリポート、川井氏から一報が飛び込む】

川井:三宅さん、そのウイリアムズなんですが、ピットの方、ちょっと騒がしいですね。
   タイヤ用意していますねぇ。

三宅:ウィリアムズがですかぁ?

川井:ええ。

三宅:ああー、そうですか。

川井:はい

三宅:はい、ああー、ご覧の様に・・・何が起こっているのでしょうか?もうタイヤウォーマーも
   外していますね。

川井:そうですね。

三宅:えぇ。

【ピットレーンに入るウイリアムズのマシン】

三宅:ああっとぉ、これは・・・!どちらか?

今宮:マンセル!!

川井:マンセル!!マンセルです!!

三宅:マンセルだ、ナイジェル・マンセルがピットイン!ナイジェル・マンセルがピットインです。
   何が起こったのか?ナイジェル・マンセル、タイヤ交換だけか!?ナイジェル・マンセルが、なんとピットイン!

【マンセルはタイヤか足回りの異常を察知し緊急ピットイン。後に左リアタイヤのホイールを留めるナットが緩んでいた事が判明】
【この間にセナがトップに立ち逆転した。しかし、あっという間にセナの背後にマンセル!】
【そしてここからはマンセル怒濤の追撃に対してブロックするセナ!】

三宅:「さぁ、ナイジェル・マンセルがアイルトン・セナの後ろに忍び寄ってきた。
    ナイジェルマンセルが来た。ナイジェルマンセルが来た。
    (今シーズン)これまで(マンセルの)目の前を走った車はありません。
    アイルトン・セナが、初めてこのナイジェルマンセルの前に躍り出ています。
    さぁ~、ウィリアムズ・ルノーの前に
    初めてマクラーレン・ホンダが走っている。
    マクラーレン・ホンダ、何としてもここは押さえなきゃいけない。
    さぁ~、マンセルが後ろについた」

今宮:「さぁ~、入った!」

三宅:「マンセルが入った、マンセルが入った。
    ストレート、ホームストレート、ホームストレートを駆け抜けていく!
    ここは(セナが)押さえ込む、ここは押さえ込む」

今宮:「いやぁ~、でもマンセルの加速がいい!」

三宅:「さぁ、そしてエルミタージュ・・・、あぁ~、行くの行くのか!!」

今宮:「うわぁ~、ここで抜かれちゃうのか!」

三宅:「押さえるセナ、押さえるセナ。76周目、凄いバトルだ!!
    凄いバトルです。これはモナコグランプリ、
    史上に残るバトルになるかもしれません。」

今宮:「50回記念ですね!」

三宅:「素晴らしいレースになっている、メモリアルレース!
    この50回目のレースは凄いバトル!
    76周目、アイルトン・セナとナイジェルマンセルの凄いバトルです」

   
三宅:「さぁ、マンセルが行く、マンセルが行く。
    1分21秒台という信じられないタイムを刻みながら
    ナイジェルマンセルがセナの後ろ。
    しかし、セナは押さえる、セナは押さえます!」

    
三宅:「さぁ~」

今宮:「きたっ!」 

三宅:「さぁ、ここが問題だ、ここ問題だ。ここも抜きどころ!
    シケインの手前で大丈夫かセナ! さぁ、しかし押さえ込む。
    ここのスピードはホンダは速いぞ!
    ここの最高スピードはホンダの方が上回っています。
    マクラーレン・ホンダの方が上、ルノーよりも上です」

    
三宅:「さぁ、問題はこのあたり」

今宮:「あぁ、もう~」

川井:「三宅さん、三宅さん、ホンダの方もですねぇ、
    ボタン(オーバーテイクボタン)を押せと言うような事、言っていますね」

津川:「オーバーテイク(ボタン)ですね」

三宅:「もう、あと、あと2周です。
    さ、しかし、後ろに来ている! また来ている!
    またマンセルが行く! ラスカスです!」

今宮:「あぁ、いや、でも・・・」

三宅:「これは、外から行く!もうマンセルがどっからでも行ける!」

今宮:「どっからでも行けますよ!」

三宅:「どのコーナーでも行く、どのコーナーでも行く! さぁ、ストレート!」

 
三宅:「ここが問題だ、ここが問題だ。
    さぁ、77周目に入ります。77周目。あと2周です!あと2周です。

三宅:さぁ~ど~か、ナイジェル・マンセルが後ろから、エルミタージュ、このパワーは、
   ここでのパワーはホンダが上か?ルノーエンジンも追いかける、ルノーもモナコで勝ちたい!

今宮:今、ブルーフラッグ(青旗、接近中の後続車に進路を譲れ)が出ましたよね?オフィシャルの方からねぇ・・・。

三宅:そうですね、オフィシャルの方から出ています。しかしあと2周、あと2周!!
   セナは絶対譲りません!譲るわけがない!さぁ、こっから下り坂、こっから下り坂。
   又ブルーフラッグが振られている。
   完全にスピードでは、現在のスピード、フレッシュタイヤを履いたナイジェル・マンセルは、
   完全にセナよりもスピードは上。
   しかし、モナコでは抜かせません!
   アイルトン・セナ、目の前にあるこの勝利のチャンスを、セナがみすみす逃すはずが
   ありません!
   さぁ、トンネルの中に入っていった。さぁ、後ろについたマンセル。
   マンセル後ろにつく!

今宮:これぇ、勝負でしょう。

三宅:さぁ、どうか?シケインが、待っているが。

津川:ああ~っ・・・

三宅:どうか?セナ抑えた!セナ抑えた!セナ抑えます!セナ、スライドしながら抑えていく!

三宅:凄いレースです、凄いバトルです、凄いドッグファイトです!!!

今宮:抜けないですねぇ・・・

三宅:抜かせない!レッドファイブが右に左に懸命にプレッシャーをかけますが、
   抜けない!抜けない!セナが行く、セナが抑える!
   さぁ、さぁ、ファーステスト・・・最後の、ファイナルラップが近づいてくる!最後のラップだ!
   ほとんどもう、ホイールとホイール、ホイールとウィングがくっつかんばかりに・・・、
   ナイジェル・マンセルがまた外から行く!

三宅:ラスカス、ラスカスを抜けた。ラスカスを抜けた。これから78周目、これから78周目。
   凄いレースになりました、凄いレースになりました。
   さぁ、ファイナルラップ。ファイナルラップ。泣いても笑ってもこれが最後のラップ!
   78周目に入ります。78周目に入ります。
   さぁ、259.584km、この戦いの果てには一体何が待っているんでしょうか?
   アイルトン・セナと、そして、ナイジェル・マンセルの差はこれだけ!たったこれだけ。
   信じられないような、凄いレースになりました。
   さぁ、駆け下りていくアイルトン・セナ。

三宅:アイルトン・セナ、念願の今シーズン初勝利か?
   ナイジェル・マンセルの開幕6連勝も、そしてルノーエンジンの初勝利も、
   モナコでの悲願のセナ・・・マンセルの初勝利もここで消えてしまうんでしょうか?
   さぁ~!

今宮:これはぁ、接触しない限り抜けないですね。

三宅:えぇ、これはちょっと無理、無理のような感じがしますが。
   さぁ最後のチャンスだ、最後のチャンス。
   高速コーナー、どうか?抜かせないセナ、セナ抜かせない!

津川:駄目だっ、駄目だっ・・・

三宅:抜かせないセナ、セナ抜かせない

今宮:う~ん、抑えちゃいましたね。

三宅:ナイジェル・マンセル、勝利の勝利の灯火が、向こうでかすかに揺れて今にも消えそうです!
   さぁ、シケインを抜けていった、アイルトン・セナ、やはりモナコでは強いのか?
   4連覇目前、アイルトン・セナ、4連覇目前。あぁ、このモナコの4連覇というよりも、この
   勝利は、・・・マクラーレン・ホンダにとっては、大きな、大きな意味があります!
   さぁ、これからラスカスに入る。ご覧の差。

三宅:どんなにしても抜けない。ここはモナコ、モンテカルロ。絶対に抜けないっ!!!

三宅:さぁ、ここでかわして、最後の直線、最後の直線。
   さぁ、しかし、こっからの立ち上がりはホンダは速いぞ!こっからの立ち上がりホンダは速い!
   後ろから、マンセル。
   マンセルどうか?
   さぁ、ゴールイ~ン!

津川:やったっ。

三宅:アイルトン・セナ、逃げ切った! アイルトン・セナ、抑えきった!
   今シーズン初勝利、ナイジェル・マンセル開幕から6連勝も無し。

今宮:ああっ!?エンジンから煙!セナのエンジンから煙がでましたねぇ。

津川:煙が出ましたよぉ!

三宅:ナイジェルマンセルの勝利は無し。
   そして、そしてアイルトン・セナのエンジンの後ろから、車の後ろから煙!
   最後の最後、ギリギリいっぱいのところで、ギリギリいっぱいのところまで、このマクラーレン・
   ホンダのマシンは我慢しました。
   ナイジェル・マンセルの開幕6連勝も、ルノーエンジンのこのモナコ初勝利も、マンセルのモナコ
   初勝利も何もかも消えました。

今宮:勝てませんねぇ・・・マンセル・・・ルノー・・・

三宅:ナイジェル・マンセル、どーしても、ルノーエンジン、どーしてもこのモナコで勝てない。
   そしてアイルトン・セナ!このモナコグランプリ4連勝です!

川井:三宅さん!

三宅:はい。

川井:ホンダのスタッフ泣いてますねぇ。

三宅:泣いてますかぁ~。

川井:えぇ、ホンダのスタッフ泣いてます。

三宅:そうでしょう、本当に、本当に辛いシーズン。80、1981年以来マクラーレン・ホンダ、
   マクラーレンチームは、マクラーレンチームは、最悪の序盤戦を送ってきたわけであります。
   5戦して未勝利でした。しかしこの6戦目ついにホンダエンジンが、ルノーエンジンを抑えた。
   マクラーレンホンダがウィリアムズルノーを抑えました!