仮設

Last-modified: 2014-03-07 (金) 23:49:00

仮設といってもいろいろあるが、うちの会社に関係ある直接仮設のみ取り扱ってみる。

遣方

建築物を建てるために作る大まかな目印みたいなもの。基本的には通り芯の位置を把握するために作る。
積算するときは建築面積。

墨出し

建築物を建てるために作る細かい目印みたいなもの。壁の芯や開口部の位置等、多岐にわたる。
積算するときは述べ床面積。

養生

建築物を建てるにあたって、品質の良いものを作るために使うもの。コンクリートが雨に濡れないようにしたり、塗装が他のところにつかないようにしたりする。
積算するときは述べ床面積…ワリあわなくね?と思うときもある。

整理清掃後片付け

建築物を建てる時に、周辺の不要物を片付けたり、清掃するためのもの。使用道路を清掃したり、現場内を片付けたりすること。
積算するときは述べ床面積…やっぱりワリあわなくね?と思うときもある。

枠組本足場

手摺先行型の外部足場等を建てること。

まずは積算
※公共建築数量積算基準 H18年版
外部本足場の数量は、足場の中心の水平長さと構造物等の上部までの高さによる面積とする。
なお、足場の中心は、作業幅を設けるものとし、その数量は足場の水平長さとする。
また、最上部には安全手摺を設けるものとし、その数量は足場の水平長さとする。

ということで、例としてざっくりとした建物を考える。
鉄筋コンクリート造3階建、地階無し、外壁吹き付け塗装仕上げ
外壁距離 10m 、 10mの四角型の建物。建物上部までの高さは10m。

足場の中心は外壁面から+1.0mなので、中心距離=12m 、 12mになる。
これに、建物の上部までの高さを掛けるので
(12+12+12+12)×10=480㎡
となる。これが掛け面積。

次はどの仮設を使用するのか
※公共建築工事積算基準等の運用H25年版 表A1-1

1200枠鉄筋コンクリート造外壁タイル等(6階建以上)
900枠鉄筋コンクリート造外壁タイル等(5階建以下)
鉄筋コンクリート造外壁吹付け仕上げ程度(2階建以上)
鉄骨造外壁パネル・スレート張り(2階建以上)
600枠鉄筋コンクリート造外壁吹付け仕上げ程度(平家建て)
鉄骨造外壁パネル・スレート張り(平家建て)
600枠+板付布枠500枠1枚地下階の外部足場

建物の構造から、積算に使用する枠は900枠となる。

次は歩掛を見てみる。
※公共建築工事標準単価積算基準 H25年版 2-建築工事
枠組本足場【手摺先行方式】:900枠(500+240布枠) 掛け面積1m2当たり

名称摘要単位足場高さ12m未満足場高さ22m未満足場高さ22m以上備考
建枠900×1700mm0.380.380.38仮設資材賃料
板付布枠500×1800mm0.320.320.32
240×1800mm0.320.320.32
筋違1200×1800mm0.320.320.32
合板足場板240×4000×25mm0.050.030.02
ジャッキベースストローク250mm0.120.080.06
壁つなぎL=600程度0.030.030.03
先行手摺枠0.360.360.36
つま先板(幅木)0.680.680.68
手摺枠組本足場用0.360.360.36
修理費111
とび工0.0440.0490.054
その他111

枠組み足場階段を含む。表中の施工手間は、掛け65%、払い35%の割合とする。

これに、現在の相場のリース料等を含み、1㎡あたりの金額を算出する。
例として1m2あたりの金額が2500円になったとする。
注意点としては、地域や相場によってこの値段は変動するということ。2000円くらいの時もあれば3000円くらいの時もあるのでその都度計算するのがいい。

これらから、内訳書に書く内容は

名称摘要単位数量単価金額備考
枠組本足場(手摺先行方式)900枠使用4802,5001,200,000

となる。
注意としては、これには安全手摺も、養生シートも見ていないこと。
安全手摺は必ず付けなければいけないので別途計算、養生シートは状況により付けなければいけないので別途計算が必要になる。
当然運搬賃も見てないので、計算しないとダメ。

内部躯体足場

内部の躯体を行うにあたり、枠組足場等を設置しなければいけない時(天井高が高いスラブの型枠取付等)に使われる。当然枠組足場を建てるので手摺先行である必要がある。

内部仕上足場

内装の仕上げを行うにあたり、必要な足場を作成すること。枠組足場等ならば手摺先行型の必要がある。脚立の場合は高さが1.8m以下でなければならない。

先行手すり方式

ちょこちょこ出てきている先行手すり方式。簡単にいうと、足場の上に載る時に、すでに手すりがあるような状態を保て、ということ。
順を追って説明+間違いやすいところを書いてみると

1:まず、先行手すりをつける。メーカーによっていろいろあるが、ここでは持ち上げ方式で例を見てみる。
2:手すりが付いたので上に上がれるようになる。
3:上に上がったら次の段の足場を組む作業を…してはダメ。物の落下防止措置として10cm以上の高さを持つ巾木やらメッシュシート等を取り付けなければならない。とりあえず10cm以上の巾木を取り付けたことにする。
4:これで上の段の施工ができる。枠やら筋交いやらを取り付けていく。
5:さて、持ち上げ方式なので、現在の段についている先行手すりを上に上げることができる。なので先行手すりを取りはず・・・せない。先行手すりを取り外す=その階にて落下の可能性が生じるので、落下防止措置として筋交い+15cm以上の巾木をつけなければならない。現在ついている巾木は10cmなのでNG。そもそも巾木を固定していたのではずす必要も出てくる。よって、10cmの巾木を取り外して15cmのものに交換する必要がある。
6:これで先行手すりを取りはずせる。上に持ち上げて次の階へ。

つまるところ、手順を間違ったり材料の選定を間違えるとエライことになってしまうので注意。
とりあえず、持ち上げ方式の場合は
先行手すり取り付け→布板(アンチ)取り付け→階段取り付け→15cm巾木仮止め→枠取り付け→巾木を枠に取り付け→筋交い取り付け→先行手すり持ち上げ
という順番でないとNGとなってしまう。

ということで試してみた…巾木を取り付けなおすのが面倒だと職人に言われたので、持ち上げ方式は使用するのが難しいかもしれない。
ただ、お金のない現場や、いまから足場屋をするぜ、って人たちは先行投資する金がない時これでがんばるしかない。
先行手すり固定方式でざっくり言って500ほどあれば、体育館くらいの大きさの建物に対応できるので問題ないと思う。金額だとメーカーにもよるが2,500,000くらい。リースしたほうが安いかもね。