やはり後進国日本なのか。
日本では徴税(課税・収税)と執行(滞納処分・差押え)が同じ機関(国税庁や地方自治体の税務課など)に属していることが問題ではないかという問題
日本では徴税(課税・収税)と執行(滞納処分・差押え)が同じ機関(国税庁や地方自治体の税務課など)に属していることが問題ではないかという問題
日本の徴税と執行の一体化
日本では、国税については国税庁(税務署)が徴税から執行までを一貫して担当し、地方税についても地方自治体(市区町村や都道府県)の税務課が徴収と滞納処分の両方を担当しています。
つまり、同じ組織が「税額を決める→徴収する→強制執行する(差押え等)」までを行うため、権力が集中しやすい構造になっています。
他国の例:徴税と執行を分離するケース
多くの国では、徴税と滞納処分を分離することで権力の抑制を図っています。例えば:
アメリカ:連邦税を徴収するのはIRS(内国歳入庁)だが、強制執行は司法機関(裁判所)や財務省の別部門が関与する。
イギリス:徴税を担当するのは**HMRC(英国歳入関税庁)だが、強制執行には独立した執行官(bailiffs)**が関与する。
ドイツ:徴税をするのは財務局(Finanzamt)だが、強制執行は独立した執行機関や裁判所が関与することがある。
日本の制度の問題点
1. 権力の集中と濫用のリスク
同じ機関が課税・徴収・執行までを担当すると、納税者の異議申し立てが通りにくくなる。
例えば、税務署が誤った課税をした場合、本来なら第三者機関がチェックすべきだが、日本では同じ税務署が執行まで行うため、不服申し立てが難しい。
強制執行が行われた後に課税ミスが発覚しても、納税者の救済が遅れるケースがある
2. 恣意的な執行が可能になる
税務当局が特定の個人・企業に対して意図的に厳しく執行することも可能になる。
例えば、政権に批判的な企業や個人がターゲットにされる可能性がある。
逆に、政治的に近い企業や団体が甘く扱われることもある(脱税を見逃すなど)。
3. 抑止力が働きにくい
他国では、徴税機関と執行機関が分かれているため、相互監視が機能しやすい。
日本では、税務署内で「徴税→執行」まで完結するため、不当な徴収が行われても、チェックする機関がない。
改革するならどうすればいい?
もし日本も改革するとすれば、以下のような方法が考えられる。
徴税と執行を分離する
国税庁(税務署)は徴税のみに専念し、執行は**独立した機関(例えば裁判所や第三者機関)**が行う。
これにより、不当な課税や恣意的な差押えが減る可能性がある。
独立した税務監査機関を設置する
国税庁の判断が適正かどうかを外部の機関がチェックできる仕組みを作る。
例えば、フランスには「税務裁判所」があり、税務当局の決定に対する異議申し立てを迅速に処理する仕組みがある。
納税者の権利を強化する
納税者が異議を申し立てやすい制度を整備し、不服申し立ての手続きを簡素化する。
日本では、税務署の決定に異議を唱えるには長い手続きが必要で、その間に強制執行されてしまうことがある。
まとめ
日本では徴税と執行が同じ機関(国税庁や地方自治体の税務課)に集中しており、権力の濫用や不正の温床になるリスクがある。
一方、多くの国では徴税と執行を分離することで、税務当局の権力を抑制し、納税者の権利を守る仕組みを導入している。
日本でも、徴税と執行を分離することで、より公平で透明性の高い税制度を実現できる可能性がある。