TRPGの構成要素
- 人間関係性
- 協調型
多くのTRPGは、複数のプレイヤーが協調して目標を達成するようにデザインされている。 - 対立型
個人あるいはグループを組んだ複数のプレイヤーが、目標を達成するため競技的に対立するもの。どちらかと言えばボードゲーム向きであり、TRPGのシステムではあまり見られないが、競技的な対立ゲーム(個人競技スポーツ、学園ものの部活動など)を主軸とするTRPGで見られることもある。
なお一部には、TRPGそのものをプレイヤーvsゲーム・マスターの対立ゲームだと考える者もいるが、プレイヤーとゲーム・マスターは必ず対立するものではない。 - 孤立型
複数のプレイヤーが、互いに接触のないまま目標を達成するもの。TRPGの前提条件である「他者との交流」がプレイヤーとゲーム・マスターの1対1でしか成立しておらず、このタイプのTRPGはほぼ存在しない。
- 協調型
- 物語性
TRPGとその他のアナログ・ゲームを決定的に隔絶しているのは、物語性と言える。
逆に、既存のウォー・シミュレーション・ゲームに物語性を付加して作られたTRPGもある。そうしたシステムは戦闘時の戦略性(ゲーム性)が高い反面、その煩雑さを嫌い物語性を重視するプレイヤーからは敬遠されやすい。- ストーリー重視型
- キャラクター重視型
- ゲーム重視型
- ゲーム性
- 演出型
ゲームとしてのルールは簡便で、ゲームの処理に対して理由をこじつけたり、結果に対して経過を後付したりするもの。 - 戦術型
個人の戦闘技術に基づいた戦闘行動をゲームの主軸に置いたもの。 - 戦略型
集団戦闘における長期的・広範囲的な戦闘計画をゲームの主軸に置いたもの。 - 非TRPG型
他のゲームのゲーム性を、そのままTRPGに取り入れたもの。
- 演出型
コンセプト
システムの目的
プレイ目標
- TRPGそのものやルールへの理解
- TRPGやルールへの理解を促し、新規ユーザーを獲得することを目標とする。
- プレイヤーの嗜好とは異なるTRPGへの理解
- プレイヤーの好みとは傾向の異なるTRPGを経験させることにより、プレイ技術の向上や(異なるTRPGの)新規ユーザーの獲得を目標とする。
- プレイヤーの嗜好の充足
- 日常生活では得られない精神的充足を、TRPGによって得ることを目標とする。
想定しているユーザーのTRPG経験
- TRPG初心者
- TRPG経験が全くない、あるいはTRPGを遊んだことはあるがルールはほとんど覚えていない。
- ライト・ユーザー
- ある程度ルールやデータは覚えているものの、ゲームに深入りせず、実際にゲームする時間以外ではTRPGに関わらないユーザー。多くの場合プレイヤー専門で、ゲーム・マスターをすることに対しては消極的。
- 特定システム専用プレイヤー
- ある1種類のTRPGのみ遊ぶプレイヤー専門のユーザー。そのTRPGに対するこだわりが強い。異なるシステムのTRPGは存在を知らないか、あるいはプレイに対して消極的。
- 汎用プレイヤー
- システムが全く異なる複数のTRPGのプレイヤー用ルールをほぼ把握しており、遊びたい内容に適したTRPGを選ぶことができる。
- 特定システム専用ゲーム・マスター
- ある1種類のTRPGだけならゲーム・マスターも可能なユーザー。そのTRPGの経験は豊富だが、他のTRPGの経験には個人差がある。
- 他のTRPGに対して積極的ならば、汎用ゲーム・マスターへのステップアップ中である。
- 他のTRPGに対して消極的ならば、特定のTRPGに対するこだわりが強い。そのTRPGが扱わないジャンルを遊ぶ際は、他のTRPGを選ぶより、そのジャンルに対応できるルールの追加を選ぶ。
- 汎用ゲーム・マスター
- システムが全く異なる複数のTRPGのゲーム・マスター用ルールをほぼ把握しており、参加者の希望に応じたTRPGを選ぶことと、そのTRPGのゲーム・マスターができる。
- ヘビー・ユーザー
- ゲームに深入りし、そのシステムのあらゆるルールに対して造詣が深いユーザー。時には、そのシステムのデザイナーが忘れているルールも覚えていたりする。システム・デザイナーにとってありがたい反面、非常に怖い存在。
- オールマイティ
- TRPG経験を問わない。
システムの雰囲気(登場人物の死にやすさ)
- ギャグ
- 爆弾が爆発しても黒焦げアフロになるか人間が放物線を描いて飛ぶだけで、誰も死なない。さすがに核爆弾が投下されたら死人も出るが、そんな事態はまずあり得ない。
- ほのぼの
- その世界の一般人は普通に死にやすいが、敵味方問わず、死人が出ることは滅多にない。誰かが死ぬことは最低最悪の結末であり、罰せられるべき行為である。
- ドラマティック
- その世界の一般人は普通に死にやすいが、PCは特別な存在なので簡単には死なない。
- シリアス
- PCはその世界で特別と言うわけではなく、一般人と同じくらいに死にやすい。
- ブラック・ユーモア
- PCはその世界で特別と言うわけではなく、一般人と同じくらいに死にやすい。が、PCが死ぬと何故か即座に、同等の能力を持ったPCが再登場する。
- ホラー
- 肉体的な負傷で死ぬことは少ないが、正気を失って精神的に“死”ぬ危険の方が高い。
システムの傾向
- 人間関係性を重視
- プレイヤー同士が協調的な仲間
- プレイヤー同士がチームを組んでいる。あるいは、特に対立する必然性がない。
- 他プレイヤーとの対立を望むプレイヤーには向かない。
- プレイヤー同士が好意的対立
- プレイヤー同士は対立関係にあるが、特に敵意はなく、必要ならば協調して行動できる。内心は敵対していても、戦略的な協調関係にある場合も含まれる。また個人競技スポーツでもよく見られる。
- プレイヤー同士が敵意的対立
- プレイヤー同士は対立関係にあり、互いに敵意を持っているため、協調することはあり得ない。
- TRPG向きではなく、ボード・ゲーム向き。むしろボード・ゲームを勧めたい。
- プレイヤー同士は協調、ゲーム・マスターとは敵意的対立
- プレイヤー同士は協調できる関係だが、ゲーム・マスターとは敵意的に対立している。
- TRPGはTRPGでも、テーブルトークRPGではなくタクティカルRPGを望んでいると思われる。
- 物語性を重視
- 冒険譚型
- 結果より、困難を乗り越える過程を重視する。結果は過程に付随するものである。
- 英雄譚型
- 困難を乗り越える過程も、行動した結果も重視する。
- 勝者論型
- 過程より、行動した結果を重視する。過程は後付であったり、都合の悪いところだけ省かれていたり、時には捏造さえもあり得る。
- ゲーム性を重視
- 戦術ゲーム
- プレイヤーはひとつの戦闘集団。
- 戦略ゲーム
- プレイヤーはある戦闘集団の幹部で、部下を指揮する(あるいは指揮しつつ自ら戦う)。
キャラクター構築法
- ゲーム要素先行型
ゲームの進行に必要なキャラクター要素を構築し、そこからキャラクターの個性をイメージする方法。ゲーム性を重視するシステム向き。
- イメージ先行型
キャラクターのイメージを思い描き、それに基づいてゲームの進行に必要なキャラクター要素を構築する方法。物語性を重視するシステムや原作が存在するシステム向き。- 不完全再現型
- 実際に構築されるキャラクターが、イメージより未熟であったり重要な部分が欠けていたりするもの。
- ゲームを通じて「成長」させ元のイメージに近づけることになるが、ゲーム中の経験によって元のイメージと異なるキャラクターに「成長」することも少なくない。
- ほぼ完全再現型
- 実際に構築されるキャラクターが、イメージの重要な部分をほぼ完全に再現できるもの。重要な部分が再現できていれば、完全完璧な再現でなくても問題になることは少ない。
- キャラクター構築においてキャラクターのイメージをほぼ完全再現できる場合、そのシステムは「常にキャラクターをほぼ思い通りに再現できる」と言う先入観を、プレイヤーに与え勝ちである。そのため、イメージに沿ったキャラクターの行動が不可能な場合、プレイヤーが「キャラクターのイメージを行動で再現できない」点に不満を持つ場合も少なくない。
目的達成の手段
- 戦闘
- 暴力による目的達成。
- 取引
- 交換条件の成立による目的達成。
- 説得
- 相手の自主的な意志変更を目的とした会話による目的達成。
システムのルール量
- 軽量級
- プレイヤーやキャラクターの個性を問わない基本的なルールのみに絞り、細かい状況や行動についてのルールは特に規定しない。TRPGに慣れていると物足りないが、TRPG初心者には把握しやすい。
- 中量級
- 基本的なルールに加え、それら対する物足りなさを補完する程度の細かいルールが加えられたもの。TRPG初心者にはルール量が多く把握しづらいが、TRPGに慣れているとルールに沿った個性的な行動を取ることができる。
- 重量級
- ある1種類の専門的ルールだけで、1冊の本が出来るほどのルール量のもの。多くの場合、拡張ルールとして別売りになっている。TRPG初心者向きではなく、TRPGに慣れていても深入りする気がなければ特に必要ではない。
システムのデータ量
- 軽量級
- 選択できるキャラクター要素を、基本的な要素に絞って意図的に少なくし、データ量を抑えたもの。TRPGに慣れていると物足りないが、TRPG初心者には把握しやすい。
- 中量級
- 選択できるキャラクター要素に、基本的な要素と少量のヴァリエーションを準備しておき、似たようなキャラクター要素でも個性を表現できるようにしたもの。TRPG初心者にはデータ量が多く把握しづらいが、TRPGに慣れているとキャラクター要素で任意の個性を表現できる。
- 重量級
- ある1種類の専門的データだけで、1冊の本が出来るほどのデータ量のもの。多くの場合、拡張ルールとして別売りになっている。TRPG初心者向きではなく、TRPGに慣れていても深入りする気がなければ特に必要ではない。
プレイヤー・キャラクター
プレイヤーとの相違性
- プレイヤー発言はキャラクター発言である
- ルールで規定されていない部分においては、プレイヤーとキャラクターを同一視する。
- プレイヤー発言とキャラクター発言は異なる
- キャラクターとプレイヤーとは別人であることが、ルールなどによって明確に規定される。物語性を重視するシステムに多く見られる。
- 必要に応じプレイヤー発言とキャラクター発言を切り替えられる
- プレイヤー発言を担うキャラクターと、そのキャラクターが演じる劇中劇のキャラクターとが存在する。いわゆる「メタフィクションRPG」。
英雄としての資質
- 凡人
- 個性はあるものの一般的で平凡で、英雄としての資質は特になく、歴史に名を残すことはない。
- 有名な凡人
- 能力としては平凡で、英雄としての資質は特にないが、親が有名だったり幼い頃に突出した個性を持っていたりしたため、名前だけは歴史に残る。ただし特に印象に残らないか、他が優れているため相対的に劣った印象を持たれることになる。
- 優れた凡人
- 平凡と言うには優れた能力を持っており、それなりの実績も残しているが、英雄と言うほどの資質でもなく、歴史に名を残すことはない。
- 局地的英雄
- 特定の分野では突出した才能を発揮する英雄的な存在だが、その他の部分では平凡より劣る能力しか持たない(肉体的・精神的障害を負っている場合もある)。多くの場合、「凡人」からは理解されにくい。
- 英雄の卵
- 平凡と言うには優れた能力を持っており、英雄としての資質を備えている。歴史に名を残す可能性もあるが、現時点では実績が少なく「優れた凡人」との区別はできない。
- 知る人ぞ知る英雄
- 英雄としての資質を備えており、それなりの実績も残している。一般には知られていないが、積極的に情報を得る者にはよく知られている。歴史的にあまり有名とは言えないが、資料を調べれば名前と有名な実績は知ることができる。
- ぷち英雄
- 英雄としての資質を備えており、それなりの実績も残している。限定された状況や範囲でならば一般にも知られており、積極的に情報を得る者には常識的に知られている。歴史的にあまり有名とは言えないが、資料を調べれば名前や有名な実績は知ることができる。
- 名実共に英雄
- 多くの実績を残し、一般によく知られる英雄。歴史的にも有名で、資料を調べれば些細なエピソードを知ることもできる。
- 誰もが知る大英雄
- 非常に有名で多くの実績があるため、知らない方が非常識、と言えるレベルの英雄。歴史的に見ても、他の英雄より突出して優れている。
- カリスマ英雄
- 実績はそこそこだが、強烈な印象によって実績以上の名声を得た英雄。歴史的には資料を調べれば有名な実績を知ることができるが、付随する、あるいは実績とは全く関係ないエピソードが強い印象と個性を与えている。
- 無冠の英雄
- それなりに有名で実績もありながら、より有名でより実績ある英雄の陰に隠れてしまった小英雄。歴史的にはあまり注目されず見逃されやすいが、資料を調べれば有名な実績は知ることができる。
- 知られざる英雄
- 英雄として優れた資質を備えていたり、歴史的英雄と変わらない実績を残していたりするが、何らかの理由で名前や実績を隠したり、他の英雄に奪われたりした日陰の英雄。歴史的にはほとんど、あるいは全くの無名。
社会的立場
- 一般より劣る
- 英雄としての資質の有無に関わらず、何らかの理由で一般人より低い地位にあり、必要ならば誰もがそうと知ることができる。刑務に服する犯罪者や被差別者(奴隷、社会的賎民)など。
- 無名で一般的
- 英雄としての資質の有無に関わらず、表向き、社会的には全くの無名。社会的影響力は皆無。
- 二流の有名人
- 一般に有名とは言いがたいが、限定された状況や範囲では有名で高い地位にある。一般社会に対してある程度の社会的影響力を持つが、それほど強くない。あるいは、限定された状況や範囲に対して強い社会的影響力を持つ。
- 一流の無名人
- 一般に有名とは言いがたいが、限定された状況や範囲では有名で高い地位にある。ただし「二流の有名人」と異なり、一般社会に対して強い社会的影響力を持つ。
- 場合によっては特定の集団に属し、個人としては無名でも属する集団そのものは一流の有名人に相当する場合(マスコミ、政党など)もある。
- 一流の有名人
- 一般に有名で高い地位にあり、一般社会に対して強い社会的影響力を持つ。
- 超一流の無名人
- 一般に有名とは言いがたいが、限定された状況や範囲では有名で高い地位にある。一般社会に対して強い社会的影響力を持ち、必要ならば最終決定権を行使できる。
- 場合によっては特定の集団に属し、個人としては無名でも属する集団そのものは一流・超一流の有名人に相当する場合(マスコミ、政党など)もある。
- 超一流の有名人
- 一般に有名で高い地位にあり、一般社会に対して強い社会的影響力を持ち、必要ならば最終決定権を行使できる。
- 実力なき有名人
- 一般に有名で高い地位にあり、一般社会に対して強い社会的影響力を持つが、それは表向きだけの「飾り物」な有名人。いわゆる傀儡。
- 隔世の立場
- 世俗においては特別な立場にあり、必要ならば誰もがそうと知ることができる。限定された状況や範囲では、それなりの社会的影響力を持つ。聖職者や軍人、警察官など。
- 隠された立場
- 表向きの社会的立場とは異なる、裏の社会的立場がある。裏の立場を知られると、表の立場に悪影響がある。
行動目的
- 背景世界による行動目的
- 背景世界が規定する1つ
- あらゆるプレイヤー・キャラクターに共通する1つの行動目的を、背景世界によって規定されている。
- 背景世界が規定する選択肢から選ぶ
- あらゆるプレイヤー・キャラクターに共通する行動目的が複数提示されており、その中からプレイヤーが任意の行動目的を選択できるもの。他のプレイヤーと行動目的が一致しなくても良い。
- 背景世界による規定なし
- 特に、背景世界によってプレイヤー・キャラクターの行動目的を規定されてはいない。
- 個人的な行動目的
- 社会的立場による必然
- 社会的に「そうしなければいけない」立場にあり、これを拒否すると社会的制裁を受けることになる。
- 他者への貢献
- 社会的な拘束はないが、自ら積極的に「他者へ貢献」する。いわゆる「献身的」な行動。
- 常に「献身的」な人物であれば、自ら望んで「他者へ貢献する社会的立場」に立つこともある。
- 自己の充足
- 社会的な拘束はなく、また他人のためではなく「自分のため」に行動する。
- 経済的利益の追求、技術や知識など能力の向上、その他精神的充足感の追求、真相の究明、復讐など。
背景世界
背景世界の再現性
- 独自の世界のTRPG化
- TRPGでない作品のTRPG化
- 他のTRPGの移植
対立の構図
- 異なる価値観の対立
- 社会的対立
- 種族、民族、政治、国家、宗教、組織、派閥など
- 矛盾した自己に対する葛藤