全般
圧縮学習
記憶操作の応用で、仮想空間上で教育用AIによる学習を行う技術。寝ているだけで知識が植え付けられるのではなく、仮想空間上にて本人が学習/訓練を行う必要がある。怠惰な性質なものが圧縮学習を受けても効果は薄い。仮想空間上では主観時間を大幅に引き延ばせるため、外界での1日が、この空間の中では1年(365日)に相当する。
これによりローティーンの能力者でも高度な戦術的判断を下すことができる。圧縮学習は民生においても実用化されており、教育コストの削減と魔物被害からの人材補充に寄与している。
脳に負担をかけるため、圧縮学習を受けられるのは一生に一度のみである。また施術期間が一日を超えると脳死率が8割を越え、三日以上の施術は成功例が無い。既に多くの経験や知識を有している大人は圧縮学習は効果が薄い。
超AIが教育用AIの任にあたる場合もある。成功率や学習効率は上昇するが、後述のナイトメアシンドロームを発症する可能性がある。
ナイトメアシンドローム
被験者は圧縮学習中、仮想空間内に教育用AIと二人きりの状態で主観時間にして一年近く隔離される。被験者がホームシックになって空間から出たいと言い出した場合、脳死危険性を考慮して圧縮学習は中断され、失敗する。失敗を避けるため、超AIは被験者との信頼関係を構築するが、それにより超AIへの心的依存(ナイトメアシンドローム)を発症する場合がある。
記憶消去
主に精神的外傷や依存症の治療の為に行われる処置。自分の名前と社会常識以外全て飛んでしまう記憶喪失状態となり、自身のかつての思い出の品を目にしてもそれをみずからの体験と認識することができない。精神外傷治療の最後の手段であり、ある意味では人格の死である。第二の人生を送ることになる。
サイキック
プロレマ
魔物の持つエッセンスの結晶であり、生命や感情のエネルギーを超能力エネルギーに変換する触媒。
外見上は小さな宝石で、いわゆるサイキック化手術により、これを体内に埋め込むことでPKやESPが取得可能となる。
メディウム化による肉体変容の際にも体内でプロレマが形成される。
特定の分野に反応するプロレマは火炎プロレマや呪殺プロレマと呼称される。
プロレマの中でももっとも希少かつ取り扱いの困難なものはギガプロレマと呼ばれる。
ハッカー
ハッカーという言葉
この世界におけるハッカーという語は「サモンアプリを使い魔物を従属させる力を持つ人間」の総称である。サモンアプリは超AIが作成した、人類の技術を越えた極めて高度なプログラムであり、その使用者は限られている。超能力者でなければ扱うことができず、アプリの入手も評議会を介さなければならない。
サモンアプリ
本来、魔物を召喚し使役する為には高度な知識と魔力が要求され、魔方陣の構築、生贄の準備などによって手間がかかるものとなる。サモンアプリはこの召喚/使役プロセスを自動化し、戦闘中でさえも隙を見せること無く魔物を高速召喚することができる。
サモンアプリによる召喚と使役は、メディウムの変身と違い完全に使役する立場ではあるが、召喚した魔物は戦闘後に解放される。これは魔物を捕らえるという人類のニーズとは相反しており、最大の欠点となる。
魔物が活動するためのエーテル体形成にはハッカーの生命エネルギー(ライフ)を使用する。
超AI
超AIはそこらの産業用ロボットなどとは違い、人類と同等の権利を認められた一個の人格である。超AIはネットワークの住人であり、現実世界への介入手段を持たない(やろうと思えば持てそうだが、持ちたがらない。これは人類のフランケンシュタインコンプレックスを想起させるからといわれている)。そのためしばしばハッカーと協力関係を構築する。
評議会所属の主たる超AI
恐怖/フィリオリ。光明/メイエル、疾風/アミーシャ、地獄/ミゼーナ、氷雪/ラフィーナ
漆黒/ラトゥーラ、雷鳴/ミーティア、死/ネムリィ、深海/エピティア、侵蝕/ハイソニア。参考
オーダー所属の主たる超AI
ネットワークとアセンション/Ascension
宇宙船全体を網羅する巨大なネットワークが存在する。ほぼすべてのCOMPは有線あるいは無線によって接続されており、理論上はどこからでもアクセスが可能。
統合SNS「アセンション」もまたハッカーと超AIの活動場所あるいは社交場所となる。
仮想現実技術については一部の専門分野や圧縮学習、ゲームなどでのみ実用化されており、ヘッドマウントディスプレイを使う。脳神経接続技術は実用化されていない。ネットワークの住人たる超AIが人類の侵入を好まないという説もある。
悪鬼/フィーンド
魔物たちの中でもハッカー的存在であり、高度な知性を持ちCOMPの扱いに長けた魔物である。
放棄区画のネットワークは彼らによってアクセス権を掌握されており、放棄区画の情報を収集することは困難。
病魔/キャリアー
ネットワークを住処とする実体を持たない魔物。悪意と意思を持ったコンピュータウィルス的存在であり、超AIの魔物版である。多くは悪鬼に使役され、ネットワークに広がり汚染を広げようとする。個々の能力は超AIたちに及ばないものの、雑草のように生命力が高く根絶は困難。
メディウム
メディウム化
魔物の体液を注がれたり、魔物の放つ瘴気に長期間晒されることでメディウム化の可能性が発生する。
適性がないものはメディウム化の進行中に発狂するか衰弱して死に至る。適正は「周囲から欲望を向けられやすい外見」のもの、つまり若く美しい女性の多くは適性を持つ。逆に男性の多くは適性がない。
超能力化手術を受けているハッカーやサイキックの多くはメディウム化への適性を失う。
メディウム化の完了期間は個体差が激しく、数時間で終わることもあるが、ほとんどは数ヶ月を要する。
メディウム化の完了時点で成長及び老化が停止する。
白紙のメディウム
魔物と契約していないメディウム。多くのメディウムがこの状態。
外見的には通常の人間と全く見分けがつかないが、メディウム化の際に体型や髪や瞳の色が変わる場合がある。
エネミースキャンにより「メディウム」と判定される。市民ランクに識別子(マイナス)がつく。契約しているか、していないかを判別することはできない。
アストラル体、エーテル体の魔物に襲われる危険性がある。
アストラル体は誘惑をささやくことしか出来ないが、エーテル体は拘束や陵辱により心を折り肉体を捧げさせることができる。
縁を刻む
魔物は目の前の人間がメディウムかそうでないかを識別できる。
また魔物は自分がメディウム化させた人間がどこにいるかをおぼろげながら感知できる。
この細い因縁の糸を結ぶことを魔物達は「縁を刻む」と呼んでいる。
縁を刻まれた者は身体のどこかに紋様が浮かび上がる。これは縁を刻んだ魔物の所有物であることをあらわし、メディウム化が完了すると魔物が迎えに来ることもある。
メディウムは縁を刻んだ魔物に、微量ながらエネルギーを供給しつづけることになる。
メディウムが睡眠中に見る夢は縁を結んだ魔物の影響を強く受ける。
紋様はカードを封じ込めるなど魔物を無力化(滅ぼすことは不可能)することでしか消すことができない。
また他の魔物が紋様を気にすることはほとんどなく、誘惑などにより縁を「上書き」しようとする。
縁によるエネルギーの供給はアストラル体の実体化や、エーテル体の維持に使われているといわれる。
淫魔人形/Lechery Doll
魔物の巣に囚われたメディウムの成れの果て。肉体奪取用というよりは愛玩用やエネルギーを絞り取るために変容させられている。基本的には通常のメディウムと差違はないが、魔物たちの完全な奴隷であり、複数の魔物から縁を刻まれている場合も多い。一人で複数体のエーテル体を維持できると目される。
幾重にも重ねられた淫らな刻印は彼女らの精神で猛威を振るう。その思考は主人の魔物への思慕と陵辱への期待で埋め尽くされ、過去の記憶は欠落していく。多くは自分が人間であったことすら忘れており、救出できたとしてもその心を救うことはできない。
戦闘能力を持たず、完全体の素体としての価値は低い。しかしながら人類が魔物の巣に迂闊に攻め込むことができない要因の一つでもある。
契約-変身前
カードに封じ込めた魔物と契約する。無許可での契約は違法であるし、カードは一般には流通していない。
契約した魔物はメディウムに憑依し、その肉体をみずからの器として徐々に変容させる。
肉体の制御はメディウムに主導権があり、両者は精神的会話が可能。
能力値はメディウム本人のものを使用する。
スキルはメディウム本人のものを使用する。
属性耐性/弱点はメディウム本人のものを使用する。
契約時、弱点を二つ持つ魔物の場合、どちらかの弱点を「通常」にすることができる。
変身の瞬間
変身はみずからの手番に宣言することで処理される。
変身には手番を消費せず、すぐに変身後の能力で行動が可能となる。
変身するとライフが回復する。魔物の脅威度によって回復量が変化する。
変身後
魔物に変身しても肉体の主導権はメディウムにある。
魔物の多くは人型を外れた異形だが、魔物の知識や経験の一部を受け継ぐため、戦闘中は何ら問題なく行動することができる。
能力値はそれぞれ、メディウムと魔物の高い方を使用する。
スキルはメディウムと魔物の両方を使用できる。
属性耐性/弱点は魔物のものを使用する。ただし契約時に弱点を補正しているのに注意する必要がある。
死亡時
メディウムは死ぬ。魔物はアストラル体となり解放される。
非戦闘時
メディウムが魔物に"お願い"し、魔物が同意することで魔物のスキルやテレポートなどの基本サイキックを使用できる。サイキックを使用する数秒から数分間の間魔物が肉体の主導権を得る。"乗りこなし"とも呼ばれ、リトラセーニャ・ソサエティのメディウムは特に多用している。
堕落
どのような状態でもPCの魔物化/NPC化は行われないが、メディウムにとって魔物による欲望の充足は麻薬的な快感を伴う自我の危機であり、NPCの場合は堕落や精神崩壊のリスクを伴う。堕落とは魔物に籠絡され、言いなりの状態となったメディウムの成れの果ての状態である。魔物と共に積極的に欲望の充足の為に行動し、遠からず露見して評議会に処分されるか、魔物に肉体を捧げることとなる。
隔離施設
精神崩壊あるいは堕落したメディウムがぶちこまれる、面会、通信、出所不能の刑務所のような施設。ほとんど情報公開されておらず、ここへの入所は実質的な社会的抹殺である。実際のところ数ヶ月で安楽死が行われている。
ロボトミー
サイキック能力除去手術。魔物への変身能力も奪うことができ、まるで生きているカードであるかのように魔物を封じ込めることができる。しかしながら集中力や記憶力などの知能の低下が副作用として残る。違法に契約したメディウムはこの処置がなされており、隔離施設とともにリトラセーニャ・ソサエティから恐れられている。
欲望抑制剤(堕天使の恩寵)
略称ギフト。小さなカプセル剤で、メディウムの性欲及び感度、破壊衝動、吸血衝動などを大幅に減退させ妄想を抑制する精神薬。各地の病院、診療所、ドラッグストアで取り扱いされており、メディウムは無償で購入することができる。効果時間は10時間。製造は評議会資本の製薬会社だが、その開発にはリトラセーニャ・ソサエティが関わっているとも言われている。副作用、依存性は発見されていないが、服用はほとんど義務である。