キハ55系

Last-modified: 2011-03-01 (火) 16:26:58

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キハ55系
 ウィンが製造した気動車はこの系列のみである。キハ55系は国鉄型DCとして欠かせない車種ながらNゲージ完成品としては1980年代初頭の鉄道ブーム時に学研が製品化したきりで長らく比較的メジャーな形式であるがNゲージラインナップの穴となっていた。加えて1990年代中ごろより始まる全国的な「お宝ブーム」は鉄摸界にも波及し、絶版となって久しい学研製品が日の目を見るようになる。お世辞にも良いとはいえない出来ながら俄コレクターが増えたため相当なプレミア価格で取引されようになり、しかもいつでも買えるわけではないので、N暦の浅い国鉄型DCファンには手が出しにくくなっていた。恐らくはウィンもそういった当時の情勢に目をつけたものと思われる。同時期にトミックスも製品化予定としてカタログに掲載するが、しばらくはカタログの版を重ねても「製品化予定」のままの所謂「出す出す詐欺」状態で発売に至ったのは近年になってからである。
 モノとしては古の学研系の同タイトルを引き継いだと誤認されがちだが、学研製品にはバス窓車はラインナップされていないし一段窓車も両者を見比べてみると細部の意匠が異なっており全くの別金型による物である。しかしながら学研製品の立体コピペのようで学研のそれより目立つ窓ガラスと車体の隙間や直立したジャンパ栓受、モールド欠けしている乗務員扉など学研製品よりも劣る部分のある「劣化コピペ」である。恐らくは鉄道模型に明るくない金型屋に学研製品の現物を持ち込んで型を彫らせた程度であったと思われる。当初は一段窓車のみであったが前述のような背景があったためか2昔前の出来にも関わらずそこそこ売れたようで、後に量産型バス窓車が追加された。
 プロトタイプとしては一段窓車・量産型バス窓車・キロの3タイプで、エンジン数の異なる床板と色替えによってバリエーションを展開している。色の差異を除けば近年トミックスより製品化されたキハ55系と競合しており、ウィン製品が最新仕様HG車の足元にも及ばないのは言うまでもない。一段窓/バス窓混在のキロハやキニ・キユニあたりがラインナップされていたら面白いことになっていただろう。競合製品があるとはいえトミックス製HG車は大量増備するにはお財布に優しくなく(※1)、またカトー製DC辺りと混結するとグレードの違いが目立つ等の理由によりそこそこの需要はあるようで、改造用種車として求める人もいる。
下回りと上回りの組み付け方法までパクっているので学研/エーダイのキハ55系・キハ58系の動力ユニットを利用すればモーターライズは容易(ユニットの入手性は別として)あるが、同社の動力ユニットは精度が悪く走りがイマイチである上、ギアが摩滅しやすいという致命的な欠点を有するのでお勧めできない。
当初は2両セットの塗装済みキットのみで、後に1両セットやブラインド形式のe-kit未塗装シリーズもラインナップされている。塗装済みの分については貧相なGM製DT22(元を糺せば太古のエンドウ製)がセットされていた。
余談ながらこのキハ55系をベースに改造して原型とした思しきレジン製品が発売されていた(※2)。

※1 定価では両者ともほぼ同じであるが管財祭やその再放出、或いは在庫処分やトミックス製品化を受けた投売り等によって安価で出回る事となった。

※2 キユニや島原鉄道キハ55があった。このメーカーも最近倒産。
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1.製品ラインナップ
2.製品群
  車体の型を中心として分類すると3種になり、キハ55とキハ26の差異は専ら床板の違いのみである。
・一段窓車
 ウィン気動車製品の第1弾。1998年発売開始。
 元々ボディとガラスの隙間の大きかった学研製品の精度の悪い劣化コピーなのでその隙間はさらに大きくなっている。
・バス窓車
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 後に追加された種。1999年発売開始。
 屋根も独特のベンチレーターの専用品を起こしている。
 車体については既存の1段窓車の設計を流用し、客窓部分をバス窓に変更している。そのため、客室戸袋窓が1段窓のサイズとなっている(実車は客室部のバス窓の高さにあわせてたかい)。
 当然ながらガラスも新規であるが、1段窓車の最大の欠点であるボディとの隙間は改善された。
・キロ25
 実車通り一段窓車のみでバス窓車はない(詳しくは実車資料を参照されたし)
 ベンチレーターと排気管位置の異なる屋根も専用の物を起こしてはいるが、学研/エーダイでは再現されていた屋根端に寄った排気管は再現されておらず、一段窓キハと同じ形態になっている。
 ※実車のキロでは回転式クロスシートを装備する関係上、その回転に支障が出ないように排気管を小型化し端に寄せている。
 カラーバリエーションの少ないキハ55系中にあって帯色で種類を増やせそうなものだが、その点はあまり意識しなかったようだ。等級表示も初期急行色・準急色ともに1等・2等両方の組み合わせが実在(一部は極短期間)したが、初期急行色は1等、準急色は2等が印刷済みとなっている。
 後の管財祭りでテストショットと思わしきエラー仕様の窓ガラスが出回った。

3.部品
・ボディ
 前述の通りの3種である。成形色は一般的なグレーであるが、一段窓の首都圏色のみ半透明の乳白色となっている。
 動力及びライトユニットは一切ないが、天井にはモーター部分の「逃げ」や導光材を通す穴を含めて不必要な部分までも学研製品をそっくりそのままコピーしている。
・屋根
 ボディに対応して3種ある。一段窓キハ用とキロ用は似ているがベンチレーター配置と排気管位置が作り別けられている。特に屋根単体で見た時に間違えやすいが、湯口の位置で判別が可能である(一段窓キハ用は2-3番目のベンチレーター間にあり、キロ用は1-2番目のベンチレーター間にある)。
 クモユニ同様の濃グレー成形でやや生っぽい質感となっているが、塗装済みキットを含めて塗装は施されてはいなかった。
・ガラス
側窓はボディに対応して3種ある。同一金型に側面・前面(デフロスタ付)・ライトレンズ2種が彫り込まれており、側面違いの3種に加え、恐らくは別であろうデフロスタ無し前面窓の型の合計4個の金型で全てに対応していたと思われる。
一段ガラスはエッジの緩い「ビン底ガラス」仕様となっており、後発のキロ・バス窓では多少の改善が見られる。
前面窓は学研製品には無かったデフロスタ無しが加わり、2タイプ存在する。塗装済みキットの場合は両方が封入され、デフロスタ無しをデフォルトとしデフロスタつきはオマケであった。デフロスタ付窓も前述の通り金型が3種存在し、それに対応するようにデフロスタのモールドが微妙に異なる3タイプが存在する。さらには細部の寸法も微妙に差があるようで、どのボディに対して何れのデフロスタ付窓が取り付けられると言うわけではなく、組み合わせによっては上手く嵌らないようである。このことは裏を返せば、ボディ側にも車種間に寸法的な誤差があることを示しており、ウィンらしいといえばウィンらしい現象である。
理由は分らないが、このキハ55系用のクリアパーツはアクリルのような材質で、歪みを直そうと手で曲げる程度でも簡単に割れてしまうので取り扱いには注意が必要。

・ライトレンズ
当パーツも学研のそれをコピーしているので、導光を意識した形状になっている。ヘッドライトは断面がまっ平らという学研製の欠点をそのまま受け継いでいる。テールライトはクリア成形で導光部によって左右が繋がっている。
・床板
 床板は1エンジンと2エンジンの2種を製作してはいるが、カトー製キハ58系をコピーしているので床下機器は大幅に異なる。しかしながら旧学研製品でも既存のキハ58系の下回り流用であったし、他に近い物は無かった。さらにはトミックスよりキハ55系が発売された現在でさえその下回りのみの入手は難しいため改造・自作車両にはキハ58系用が用いられる事例が多く、ある程度のN暦を持つ人々には違和感は少ないようだ。
 シート・内装の類は無く、ウェイト用の枠が上面に成形されている。また、そのウェイト自体もGMキットに付属の小型のタイプと同じである。
4.カラーバリエーション
・急行色
 HIMG1727a.JPG非純正品
 国鉄急行型の標準塗装。クリーム色を基調に窓回り・裾を赤11号で塗装。当初は雨樋も赤11号であったが次第に省略される。ウィンでは省略されたパターンを急行色、当初の雨樋赤のパターンを旧急行色として区別していた。
・旧急行色
 急行色の一種で雨樋部分と前面の雨樋相当部を赤色としたもの。
・初期急行色
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 「みやぎの」登場時に採用された塗色。キロについては青帯・1等表記付。
・準急色
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 カラシ色に赤帯。キロについては前部客ドア以降が青帯になり2等表記付。
・首都圏色
 いわゆるタラコ。同じ首都圏色ながら一段窓とバス窓では色調が異なる。
 キロの首都圏色(=キハ26-400・-600)は製品化されなかった模様。