クモユニ143・147

Last-modified: 2011-09-02 (金) 12:32:06

 ウィン製の郵便荷物電車はこの1種のみである。寒地型タイフォンのクモユニ143をプロトタイプとし、クモユニ147とすると厳密にはタイフォン形状(暖地型スリットタイフォン)が異なるが作り別けはされず寒地型のまま流用している。切妻に傾斜をつけた運転台窓をもつ、所謂103顔の標準的な「ニモ電」のスタイルながら僅か9両(143:4両・147:5両)の小所帯であり塗色を含めバリエーションは少ない。しかしながらクモユニ143は車両が現存し、なおかつ国鉄の郵便荷物輸送廃止の後も房総地区の新聞輸送で1996年まで活躍し良く知られている点が模型化の選定につながったというのは想像に難くなく、このグループの中でも数が少ないほうの143をプロトタイプにしている点を見ても明らかだろう。
 2011年現在、クモユニ143/147のNゲージ製品はマイクロエース完成品各種・タヴァサのコンバージョンキット等あり今更再販しても誰も得しないものと思われる。
 実車についての詳細はウィキペディアの国鉄143系電車 を参照のこと。

 下回りはトミックス製103系用を使用するため床下機器配置は実車とは異なる。T車については比較的近いモハ103用を使用するのであまり気にならないが、M車ではモハ102用を使用するため実車とは全く似てないばかりかT車とも揃わなくなる。加えてトミックス製103系と113/115系の中間車床板は共通なのでDT21台車装備のクモユニ147とする場合は113/115系を使うのが妥当と思われるが、構造上103系用の内装にしか対応していないので加工もしくはパーツ組換などの工夫を要する。

 屋上機器、角型ベンチレーター・ヒューズ箱・避雷器はウィン独自で製作してはいるが、トミックス製品をコピーしたようで同社製がほぼ無加工で流用可能。パンタについては近郊型同様に自社では製作しておらず終始トミックス流用となる。実車通りのPS23を載せたいところだが、取り付け穴は旧タイプのPS16対応の中央の角穴2つなのでPS23を載せるには加工必須となる。

 商品形態としては2両用ウレタンを水色の紙箱に収めたもので、フィルム部の窓から中身を確認できた。M+T・T+Tの2両入り完成品と上回りのみの塗装済みキットが出ており比較的前者をよく目にした。トミックス製下回り・パンタを組み込んだ完成品が広く一般流通していた点では近郊型と異なる。
 末期にブラインド形式によるe-kit未塗装シリーズ展開時には、101系&103系の通勤型シリーズに組み入れられている。これは実車が101系改造であるからではなく(モデルには101系との互換性はない)、モデルの人気を見越しての判断と思われ、結果としてはその思惑通り(?)でクモユニ目当てに通勤型シリーズを延々買った方もいるようだ。


カラーバリエーション
 製品化された塗色は以下の4種でこれは実車でのバリエーションとほぼ対応している(営業線上にあるもののみ)。
・身延線色
 HIMG1694.JPG HIMG1696.JPG
 クモユニ143登場時の赤に白帯のカラー。身延線新性能化のために115系2000番台と共に投入された。
 色調はトミックス製品よりやや暗めの赤でカトー製品に近い印象を受けるが許容範囲内であろう。
 「荷物」・「郵〒便」・「クモユニ143-1」が印刷済み
 A-039クモユニ143身延色M+T     定価12500円(税別) 2000年
 A-040クモユニ143身延色T+T      定価8500円(税別) 2000年
 A-041クモユニ143身延色塗装済キット 定価3000円(税別) 2000年
 ※上記の画像は管財流品をベースとした非純正品
・湘南色
 極短期間に終った長岡配置時代の塗色。-1については検査周期の関係か、湘南色に塗り替えられることなく転属したため同色を纏ったことはない。
 印刷済みナンバーは「クモユニ143-3」
 A-045クモユニ143湘南色M+T     定価12500円(税別) 2000年      
 A-046クモユニ143湘南色T+T      定価8500円(税別) 2000年
 A-047クモユニ143湘南色塗装済キット 定価3000円(税別) 2000年
・横須賀色
 千葉(幕張電車区)に転属後以降の塗色。実車は郵便輸送廃止後に房総ローカルの新聞輸送用に運用された。そのため「クモユニ」ながら郵便は扱わないため横須賀色に塗替後は「郵便」表記がない。製品でこの点はしっかり押さえられている。
 同じ横須賀色ながら後発の近郊型とは色調が全然合わず、とりわけ青色についてはGM鉄道カラーの近鉄ダークブルーに酷似。
印刷済みのナンバーは「クモユニ143-2」している。
 A-042クモユニ143横須賀色M+T    定価12500円(税別) 2000年
 A-043クモユニ143横須賀色T+T    定価12500円(税別) 2000年
 A-044クモユニ143横須賀色塗装済キット定価3000円(税別) 2000年
・飯田線色(クモユニ147)
 スカイブルーに白帯のカラー。飯田線新性能化時に119系電車と共に投入された。程なく飯田線を撤退しそのままの色で大垣電車区に転属となったが、ここでも長くは無く国鉄の郵便荷物輸送廃止を受けて旅客用に改造された。
 A-036クモユニ147飯田色M+T     定価12000円(税別) 2000年
 A-037クモユニ147飯田色T+T      定価8000円(税別) 2000年
 A-038クモユニ147飯田色塗装済キット 定価3000円(税別) 2000年


ボディ
  [添付]
 トミックス動力流用で尚且つ奥まった荷物扉を再現しようとした関係からか、全体的に大きめに作られており、下回りを組み込むと実車より胴長短足な印象になるほか、113系・115系近郊型と連結した際に車体の太さが目立ってしまう。
屋根
  [添付]
 成形色は濃いグレーでやや生っぽい。片側3箇所ずつ計6つの爪がボディ天井部に噛み合うNゲージに良く見られる組み付け方法で、嵌めあいはやや固い印象。
 パンタはトミックス旧PS16(0201)にのみ対応し、取り付け穴は中央に角穴2つ。実車に倣いPS23を取り付けるには軽度の加工を要する。通気ダクト・信号炎管・ホイッスルカバーがモールドされており、ホイッスルカバーはただの長方形の形状のため、まるでそのようには見えない。実車ではパンタ折りたたみ高さが低いPS23を積んでも身延線の狭小トンネルの基準(折り畳み高さ3960mm)をクリアできずパンタ取付部を20mm低くしたプチ低屋根仕様になっており、これは併結相手の115系モハ114-2600も同様であるがウィン製品では再現されていない。クモユニ147では投入線区である飯田線には身延線ほどの厳しい基準はなくその必要もないがクモユニ143と共通設計であるため同じくプチ低屋根仕様になっていた。
屋上機器
ベンチレーター
  [添付]
避雷器
 HIMG1762.JPG
ヒューズ箱
  [添付]
ガラス
  [添付]
 ガラスは4面ともはめ込み式で一つの金型で成形されている。
 側面ガラスは左右がそれぞれ1枚で成形。前面ガラスは表示幕部・運転台・前照灯が一体となり、尾灯は左右それぞれが独立し、計3つのパーツで構成される。