Leopard 2A5 MBT
車両性能
AB | RB | SB | |
Battle Rating | 13.0 | ||
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Rank | VIII | ||
車種 | Main Battle Tank |
AB | RB/SB | |
重量(ton) | 59.0 | |
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エンジン出力(ps) | 1500 | |
2,600rpm | ||
出力重量比(ps/t) | 25.42 | |
最高速度(km/h) | 76 | 65 |
後退速度(km/h) | 34 | 32 |
砲塔旋回速度(°/s) | 45.0 | |
仰俯角(°) | -9/20 | |
車体装甲厚(KE) (前/側/後)(mm) | 500/50/20 | |
車体装甲厚(HEAT) (前/側/後)(mm) | 600/50/20 | |
砲塔装甲厚(KE) (前/側/後)(mm) | 700/50/50 | |
砲塔装甲厚(HEAT) (前/側/後)(mm) | 1100/50/50 | |
再装填時間(sec) | 6.7 | |
砲安定化装置 | 有(two-plane) |
基本武装
武装名称 | 搭載弾薬数 | |
主砲 | 120mm Rheinmetall L/44 cannon | 42 |
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副武装 | 76mm smoke grenade launcher | 16 |
副武装 | 7.62mm MG3A1 machine gun (coaxial) | 2000 |
副武装 | 7.62mm MG3A1 machine gun (pintle mounted) | 2000 |
弾薬*1
名称 | 弾種 | 貫徹力(mm)@衝突角90° | 初速(m/s) | 砲弾重量(kg) | 爆薬量(g) | |||||
10m | 100m | 500m | 1000m | 1500m | 2000m | |||||
名称 | 砲弾標準化(°)@衝突角30° | 信管感度(mm) | 信管延期距離(m) | 跳弾確率(%) | ||||||
0 | 50 | 100 | ||||||||
DM53 | APDS-FS | 700 | 690 | 685 | 680 | 675 | 670 | 1670 | 5 | N/A |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
DM12 | HEATFS | 650 | 915 | 18 | 2,790 | |||||
DM53 | +1.5 | N/A | N/A | 12 | 10 | 9 | ||||
DM12 | +0 | 0.1 | 0.0 | 25 | 18 | 15 |
詳しくは砲弾の頁を参照
解説
ドイツのRANK VIII主力戦車 Leopard 2A5は旧西ドイツが1979年に運用を開始したLeopard 2A4*2にKWS計画*3を基にした改修を施した第3.5世代主力戦車である。砲塔前面部に楔型のショト装甲という増加装甲ボックスが追加され、大きく外見が変化している。ドイツ連邦軍内では1995年に350輌のLeopard 2A4がLeopard 2A5に改修され、その後2014年までに322輌のLeopard 2A5がLeopard 2A6に追加改修された。
火力
搭載されている120mm Rheinmetall L/44砲はイギリスのChallenger 1/2とフランスのAMX-56 Leclercを除く殆どの西側諸国戦車*4の主砲に採用されるという実績を持つ滑腔砲。NATO軍戦車の実質標準となっている。APFSDS弾とHEATFS弾を使用可能。APFSDS弾は運動エネルギー弾の中ではゲーム内で最も高い貫徹力誇り、最速レベルの初速も備えているため扱いやすい。HEATFS弾はAPFSDS弾よりも威力が高いという利点があるが、APFSDS弾よりも貫徹力が低い上に、複合装甲に対しては更に有効貫徹力が落ちてしまうため側面を取った時位にしか使う機会はないだろう。45°/sという対空自走砲並の砲塔旋回速度を持ち、仰俯角も広く取ることができる(-9°/20°)ため非常の砲の取り回しが良い(但し高出力エンジンを格納しきれずに車体後部が盛り上がってしまっているため後方への俯角が全く取れない点には注意)。装填速度はT-90の125mm砲よりも早い6.7秒。
装甲
KWS計画により砲塔前面に砲塔側面にまで及ぶ増加装甲ボックス(ショト装甲)が追加された。それにより砲塔正面の防御力は大幅に強化され、天板と増加装甲が施されていない砲身基部以外に当たった如何なる弾を無力化する事が出来る。一方で車体には改修がなされておらず、複合装甲ではあるためHEATFS弾に対してはある程度の防御力があるものの、APFSDS弾を防ぐ事はまず出来ない。よってハルダウンをして極力車体を晒さない立ち回りを心掛けなければならない。側面装甲は僅か50mmしかなく、戦車砲には勿論対空自走砲の30mm機関砲にすら抜かれかねない。昼飯は勿論車体に僅かな傾斜を付けただけでもAPFSDS弾に容易に抜かれてしまうため常に敵車輌に対して正面を向くようにしよう。唯一砲塔側面前部の増加装甲ボックスが装備されている部分のみは砲塔正面と同等の防御力を持つ*5。そのため砲身基部を狙われない為にもハルダウン中は砲塔を振り続けるのが有効。
モジュール配置は、基本的にはLeopard 1A1A1のモジュール配置を踏襲している。Leopard 1A1A1との相違点は砲塔後部に移った砲塔弾薬庫と履帯上に追加された燃料タンク。前面の弾薬庫は搭載弾数を15発まで減らさないと無くならず、車体正面装甲が薄い事も相まって本車の最大の弱点となる。もし平地での戦闘が避けられない場合は車体を横にした状態で戦った方が生存率は高まる(モジュール損傷に目を瞑れば)。
機動力
増加装甲ボックスを装備した事により4t近く重量が増加してしまったものの、59tの車輌に1500hpもの高出力エンジンを装備しており出力重量比は25を超える。最高速度は76km/h(AB)にも及び、加速力も非常に高い。また34km/hで後退できるため万が一砲身などをやられてしまっても迅速に撤退する事が出来る。
総論
高い機動力と優秀な攻撃力を持つ攻撃向きの主力戦車。やや心もとない車体装甲を機動力と地形でカバーする事が出来れば優れた砲塔装甲と主砲性能で敵車輌を一方的に攻撃する事ができるだろう。
史実
西ドイツ陸軍は旧式化したアメリカ製のM47、M48戦車シリーズの後継として1970年代後期にレオパルト2戦車を実用化したが、引き続いてレオパルト1戦車シリーズの後継となる新型MBTの開発に着手した。
ちょうどフランス陸軍もAMX-30戦車シリーズの後継となる新型MBT(後のルクレール戦車)の開発を開始していたため、西ドイツ陸軍はレオパルト1/AMX-30戦車を生み出した「標準戦車」(Standard Panzer)計画で一度失敗したにも関わらず、再びフランス陸軍と新型MBTを共同開発することを決めた。
この新型MBTの名称はフランス側の意向で「ナポレオン」(Napoléon:革命期フランスの英雄でフランス第一帝政の皇帝)とされ、1980年2月に開発協定が締結された。
しかし西ドイツ陸軍が、ワルシャワ条約機構側の圧倒的な機甲戦力に対抗するためにナポレオン戦車を早期に実用化することを望んだのに対し、フランス陸軍は様々な新機軸を盛り込んでじっくり時間を掛けて開発することを希望したため両国の意見がまとまらず、結局1982年末に共同開発計画は中止されることになった。
ただし西ドイツ陸軍は、標準戦車やアメリカ陸軍と共同で行ったKpz.70/MBT70戦車の開発ですでにMBTの共同開発に2度失敗しており、この苦い経験からナポレオン戦車の共同開発が失敗に終わることもある程度想定していた。
そのためナポレオン戦車計画が失敗した場合の保険として、密かに「Pzkw.2000」(Panzerkampfwagen 2000:2000年代型戦車)の名称で将来「レオパルト3」となるべき新型MBTの開発も進めていた。
ナポレオン戦車の開発中止が決まると西ドイツ陸軍はPzkw.2000の開発に本格的に着手し、KJPz.4-5駆逐戦車のように車体上部に密閉式の戦闘室を設けて120mm滑腔砲を1~2門固定装備する車両を新規開発するプランや、レオパルト2戦車の車体に自動装填装置を備えたコンパクト砲塔または背負い式の無人砲塔を搭載するプラン、レオパルト2戦車を基本部分はそのままに改修によって能力を向上させるプランなど様々なコンセプトの車両の研究を進めた。
そして、ミハイル・ゴルバチョフが書記長に就任した1980年代後半からソヴィエト連邦との関係に改善の兆しが見られたため、西ドイツ軍はソ連軍との全面対決の可能性は低くなったと判断し、莫大なコストと時間が必要なMBTの新規開発を行わず、既存のレオパルト2戦車に近代化改修を施して能力を向上させるプランを選択することを決めた。
1989年から開始されたこの能力向上計画ではまず、MaK社(Maschinenbau Kiel:キール機械製作所、現ラインメタル・ラントジステーム社)で生産された第5生産バッチのレオパルト2A4戦車の最終生産車(車体製造番号:20825)を用いて、「KVT」(Komponentenversuchsträger:コンポーネント試験車両)と呼ばれる改良型レオパルト2戦車の試作車が製作され、試験を実施して実用性を検証することになった。
KVTは特に装甲防御力の強化に重点を置いた改良が施され、砲塔の前面に「ショト装甲」(Schott panzerung:隔壁装甲)と呼ばれる大きな楔形の増加装甲ボックスが装着された他、砲塔の左右側面にも板状の増加装甲が装着され、砲塔上面にもトップアタック式対戦車兵器への対策として一部にERA(爆発反応装甲)を含む増加装甲が装着された。
車体も前面上部に増加装甲が装着され、砲塔前面のショト装甲に干渉しないよう操縦手用ハッチは従来の跳ね上げ式から電動スライド式に変更された。
また車内には、乗員を保護するためのスポール・ライナー(Spall Liner:破片防御用の内張り)が張り巡らされた。
これらの改良によってKVTの戦闘重量はレオパルト2A4戦車の55.15tから60.5tに増加することが見込まれたが、KVTはレイアウトの検証が主目的の試作車だったため増加装甲などは張りぼてだったようである。
西ドイツ陸軍(1990年に東西ドイツ統合によりドイツ陸軍に改組)はKVTの試験の結果を基に、保有するレオパルト2A4戦車の内699両に対してKVTに準じた近代化改修を実施することを計画していたが、1991年末にソ連が崩壊したことで冷戦が終結したためこの計画を放棄し、代わりに「KWS」(Kampfwertsteigerung:戦闘能力向上)と呼ばれる3段階のレオパルト2近代化改修計画を策定した。
第1段階のKWS-Iと第3段階のKWS-IIIは攻撃力の向上を目指した改修プランで、KWS-Iは従来の44口径120mm滑腔砲に代えてより高初速の55口径120mm滑腔砲を搭載するというもの、KWS-IIIはラインメタル社が新規開発した140mm滑腔砲を搭載してさらに攻撃力を強化するというものであった。
これに対して第2段階のKWS-IIは主に装甲防御力の向上に重点が置かれた改修プランで、特に砲塔前面の装甲を強化することが主眼となっていた。
ドイツ陸軍はレオパルト2戦車について攻撃力よりも装甲防御力を向上させるのが急務だと認識していたため、KWSの3つの改修プランの内KWS-IIが最初に実施されることになった。
レオパルト2戦車シリーズの生産メーカーであるミュンヘンのKM(クラウス・マッファイ)社(1999年にKMW(クラウス・マッファイ・ヴェクマン)社に改組)は、ドイツ陸軍の要請に基づいて第8生産バッチのレオパルト2A4戦車2両を用いて「TVM」(Truppenversuchsmuster:部隊試験サンプル)と呼ばれる改良型試作車を製作した。
2両の試作車のうち、車体製造番号11156のレオパルト2A4戦車を用いて製作された「TVM-I」(別名:TVM Maximum)はKVTにほぼ準じた改修を施した重装甲タイプの試作車で、車体製造番号11157の車両を用いて製作された「TVM-II」(別名:TVM Minimum)はKVTから砲塔上面と車体前面の増加装甲などを省略した軽装甲タイプの試作車であった。
またTVM-IとTVM-IIでは砲塔側面の増加装甲の形状が異なっており、TVM-IはKVTと同じフラットな形状であったがTVM-IIは緩い傾斜の楔形になっていた。
後にレオパルト2A5戦車の生産型に採用されたのは、TVM-IIに用いられたのと同じ楔形タイプの増加装甲である。
TVM-IとTVM-IIを用いた部隊試験は1991年12月~92年4月にかけて実施され、試験の結果が良好だったためドイツ陸軍は350両のレオパルト2A4戦車を軽装甲タイプのTVM-IIに準じた改修を行うことを決め、改修車には「レオパルト2A5」の制式名称を与えることになった。
一方、重装甲タイプのTVM-Iは1994年1~6月にかけて行われたスウェーデン陸軍の次期MBT選定のための性能比較試験に参加し、アメリカのM1A2エイブラムズ戦車とフランスのルクレール戦車を抑えて勝利を収めた。
ドイツ政府は1994年1月にKM社との間で、350両(内125両はオプション)のレオパルト2A4戦車をA5型に改修する契約を締結した。
砲塔の改修作業はカッセルのヴェクマン社が行うこととされ、車体と砲塔を統合する最終組み立てはKM社が担当することになった。
KM社は1995年に第1陣として16両のレオパルト2A5戦車をドイツ陸軍に引き渡し、以後1996年1月から月6両のペースで改修が実施されていった。
そして最終的にドイツ陸軍のレオパルト2A4戦車の内350両がA5型に改修され、さらにこの内225両がA6型への改修を受けている。
出典:戦車研究室