スケイド学校図書

Last-modified: 2006-04-17 (月) 11:28:20

スケイド国にある各学校で読める本。

迫りくる脅威

スケイド国は、ミッドランド大陸の北方ルフトアイ辺境にある小さな王国でした。
悪戯に領土拡張を計ることも無く、漁業や林業を糧にして慎ましく生活していました。
のどかな生活は永遠に続くと思われていましたが、
バース連邦の領土拡大が始まり、それに伴う周辺諸国の勢力争いが始まりました。
スケイド国は、もうそれらと無関係でいることは不可能だったのです。

 

建国以来の危機を迎えたスケイド国の国王アリオールは、
せめて息子のアディンとその妹シンシアだけでも生きながらえさせようと、
彼に海の向こうのゼーン大陸への移住を勧めました。
ゼーン大陸には、シルティス王家と深い繋がりのあるサーレス家が統治していたラン国の存在があったからです。

 

しかし、了承するものとばかり思っていた息子アディンの口からは、
父の勧めをきっぱりと断る言葉と、国王であるアリオールを仰天させる計画が飛び出てきたのです。

未知なる大陸へ

その計画とは、ミッドランド大陸の影響が及ばない未開の地がまだまだ多く存在する東の大陸ゼーン。
その中でもスケイド国と似た気候風土の土地を選び出し新しい国を建国、
さらには新国に国民ごと移住をしてしまおうという大胆な計画でした。

 

自らの保身を露ほども考える事無く全国民を守ろうとしていたアディンを見て、
王家の保身を考えてしまっていたアリオールは自分を恥じました。
アリオールは息子アディンに、父として、国王として、新しい国が出来るまで必ずこの地を守り抜くことを誓います。
出発に際しては、シルティス王家親衛隊長ダレル・ウルマースに
隊員の中でも選りすぐりの戦士を帯同させる事を命じました。
選抜されたのは、親衛隊最強の戦斧術の使い手オレッグ・ブロビンと、槍術の使い手リズリー・エレガードです。
両者共、心・技・体、全てにおいて申し分無く、アディンの護衛に適任でした。

 

覚悟を決めたアディンは、アリオールの親書を携え一路ラン国へ向かったのです。
厳しく、長い航海を終えて、ラン国ドレドン港に着いた一行は、国王ビセンテの元へと通されました。

建国に向けて

直接シルティス王家と縁の有ったサンティナ=サーレスはもう存命ではありませんでしたが、
時のラン国王ビセンテは古い絆に対しても協力を惜しむ事はありませんでした。
ルース魔法師団、サンティナ協会の長経験者で結成された建国部隊を結成、同行する事を決定したのです。
こうして心強い援軍を加えた一行は極秘裏にゼーン大陸の北、カラスコ地方へ向かいました。

 

カラスコ地方は風雪に閉ざされ、害獣すらも寄り付かない厳しい気候の土地でしたが、
この悪条件はかえって新スケイド国の建国作業を他から隠し続ける結果となりました。
秘密を守る為、情報は遮断され作業も難航し、眠れない夜もありましたが、
アディンは仲間に励まされ粘り強く作業を続けました。
国を離れて三年、遂に新スケイド国の準備が整ったのです。

 

準備が整ったアディンは一旦ラン国に戻って新スケイド建国を報告しました。
国王ビセンテは、旧スケイド国の無事と、アディン達を祖国に送る為の準備ができている事を告げました。
こうしてアディンは、祖国へ戻っていったのです。

新たなる王

不安を胸に城へと辿り着いた一行は、堂々と掲げられるシルティス王家の旗を見て喜びに沸きました。
しかし喜びも束の間、城に戻ったアディンには悲しい知らせが待っていたのです。
父アリオールは帰らぬ人となっていました。
悲劇はそれだけに留まらず、親衛隊長ダレルも散り、残った王妃マリアと妹のシンシア、
そして大きく数を減らした親衛隊員達で何とか国民を守っていると言う有様でした。

 

アリオールは、自らの死をアディンには知らせない事、
アディンが戻るまで絶対に希望を失うなと言い残して息を引き取ったそうです。
払った犠牲の大きさに悲しみ、悲嘆に暮れるアディンでしたが、
そんな彼に王妃マリアは「歩みを止めるな、希望を捨てるな。この国の王はお前なのだから」
と言う王の最後の言葉を伝えました。
その言葉に決意を新たにしたアディンに率いられた国民は、何度かに分かれてゼーン大陸へと移住を始めました。

 

しかし、何故かアリオールの遺骸だけは息子との約束を守るかの如くその場を国を離れる事は無かったのです。
最後の国民とアディンを乗せた船が国を離れる時、それまでの重みが嘘の様に軽くなり、
アリオールの亡骸は新しいスケイド国へと運ばれて行きました。
アリオールの亡骸は、国全体を見渡せるようにスケイド国郊外の小高い丘に作られた
誰も立ち入る事のできない聖域へと埋葬されました。
その後アディンは正式に王位を継承し、新しいスケイド国王として後の建国作業に従事したのです。