hunt(小説作品・長編)
「罠?」 しぃがびくりと震えた。 暗さに慣れた目が、そこに浮かぶ恐怖を捕らえる。 モララーは軽く助走をつけて、水たまりを飛び越えた。 「こんな事して……。楽に逝けるとは、思わないんだな?」 最初から、久しぶりの獲物はじっくりなぶる予定だったのだが、 彼は嗜虐心からそう言った。 このしぃは後悔しなくてはならない。 被虐AAの分際で、加虐AAのモララーを出し抜こうとしたのだから。 「友達が君を待ってるから、とりあえず移動するんだな」 モララーが腰のホルダーに手をやると、しぃは息をのんだ。 「大丈夫、撃つのは足だよ。……口径は小さいし、ショックで逝けると 期待しないんだな?」 路地に銃声が響いた。
作者
- 不明