機甲戦争AIGIS

ソーマ

――ここ、は……？

アリサ

どこか異国の街、でしょうか？
いずれも廃墟ばかりのようですが……。

クレイブ

見覚えのない建築様式ですね。
工業的な雰囲気を感じますが、
鋼の都のそれとも大きく異なるような。

アンナ

ひとまず状況把握を。
遺跡に転移魔法が仕掛けられていたのかもしれません。

セシリーさん、ハリッサさん、
周辺建築物の調査を――

セシリー

……いや、その必要はない。

この地面の振動……。
巨大な何かがこちらへ接近しています。

アンナ

巨大な……？
大群ではなく、ですか？

モーティマ

巨人か何かでも来てるってのか！？

レアン

全員何かに隠れろ！
建物の影に、巨大な鎧が見えた！

ベルナール

敵は巨人だ――機械のな！！

無人兵器

――適合者ノ遺伝情報ヲ確認。
排除スル。

王子

…………ッ！！

アンナ

王子！！

王子

……逃げろ、アンナッ！！

？？？

（来い……適合者よ……ここへ……）

王子

…………ッ！？

？？？

（乗れ……私に……乗れ……ッ！！）

（待っていたぞ、この時を。

君がここに至る瞬間を……！！）

適合シークエンス――完了。
英雄騎操縦者、照合、確認。

行くぞ、我が友、我が相棒！
大切な仲間を救うのは――君の勇気と誓いだッ！！

エレイン

なっ……へ、へ、変身したぁ！？

カリオペ

よく分からないけど、
王子が乗ったなら味方ってことよね？
なんだか、王子みたいな姿してるし！

クレイブ

だといいのですが……。
ともあれ、総員戦闘陣形を！

NPC：ダイオージ
　
トークンを配置した近接マスに
移動することができます。
　
また、ダイオージは倒されても
★の評価には影響しません。

？？？

――あと一体！
さぁ、君の名を教えてくれ、我が友よ！

王子

……王子。
王国の、王子だ。

？？？

最終契約――完了。
これより我が鎧、我が剣は、君の翼となる！

我が名は『ダイオージ』！！
さぁ王子よ、共に叫べ！　我らが必殺の剣の名を！！

王子&ダイオージ

――必殺！　ダイオージブレェェェェェドッ！！

ソーマ

…………か、勝っちゃいましたね？

レアン

巨人が鎧を着てた、ってわけじゃなさそうだな。
やっぱりこいつら、機械の鎧だったようだ。

アンナ

……王子、その巨大な鎧はいったい？

王子

…………。

ダイオージ

私はダイオージ。
彼が、王子が契約者となった瞬間から、
私は正義の味方、英雄騎たるダイオージとなった。

愛と、勇気と、誓いの名のもとに、
共にこの世界を取り戻そうではないか！！

ダイオージ

運命の出会い、天命に謳われし戦い、
戦場にて王子とダイオージが巡り合う。

しかし、戦士に安息は訪れない。
激戦をくぐり抜けた彼らを待っていたのは、
次なる地獄の戦場だった。

滅びの果て、悪魔が生み出した
理想のディストピア。

そこに生きるものはなく、
ただ機械が使命を遂行し続けるのみ。

次回、機甲戦争AIGIS、
――『アンナ、出撃』

――ここは、名もなき機械達の戦場

アンナ

……なる、ほど。
つまりこの世界は、機械によって滅ぼされたと？

ダイオージ

うむ。
人を守護するために造られたディアボロス。
しかし彼は、守るために殺し続けた。

やがて彼自身が人類の敵となり、
平和と繁栄のために、
彼はこの街の住人を殺し尽くしたのだ。

ヴァレリー

僕の知る限り、千年戦争以降に
機械が反乱を起こした国の記録はないはずだ。

パレス

……ということは、ここは、まさか。

アンナ

異世界、ということですか……。

ダイオージ

フム……しかし不思議なものだ。
私の適合遺伝子の持ち主が、
まさか異世界からここに来た者だったとは。

王子

…………（こくり）

アンナ

その、適合遺伝子というのは？

ダイオージ

私は人類最後の希望として、
ディアボロスに対抗する戦士のために造られた英雄騎だ。

人類技術の集大成たるディアボロスを倒すため、
私は常人には耐えきれない
超高出力の精神接続機構を備えている。

その精神接続に適性を持つ者は、
全人類の中でも、1パーセント未満に過ぎないのだ。

ミーシャ

……あ、あの、もし王子にその才能がなかったら、
もしかしてあなたの中で、
精神がずたぼろになってたのでは……？

ダイオージ

安心してくれ、
その時にはリミッターをかけていた。ただ、
勝利を掴むことは難しかっただろうが。

王子

…………。

ダイオージ

フッ、王子よ、胸を張ってくれ。
我らは奇跡的な確率を乗り越え、
こうして運命の出会いを果たすことができたのだから。

――しかし、我が戦力はまだ完全ではない。
試作型である私の支援用に、
試験型機体が存在するのだが……。

カゲロウ

ん……それは、ダイオージの
変身前の姿に似た鎧のことか？

サイゾウ

それならば、周辺調査中に
あちらの建物で見かけましたぞ。

ダイオージ

王子、君の仲間は優れたエージェント揃いだな！

それで王子よ、君に補佐官はいるか？

フィリス

補佐官……。

アサル

政務官……。

アンナ

えっ、あ、あの、私、ですか？
確かに私は王国の政務官ですが……。

ダイオージ

フフフッ、素晴らしい。
さぁ王子の補佐官――いや、政務官殿。
さっそく試験型機体との契約を――

ローレン

――王子！　前方より敵影だ！

ダイオージ

クッ……もう察知されたのか。
アンナ嬢、どうか君の力を貸してほしい。
王子よ、我らは露払いに出るぞ！

王子

…………！！

アンナ

……私が、戦場に出る。
できるのでしょうか、そんなことが。

？？？

（心配しないで……あなたは、いままでずっと、
あの人のそばで戦ってきたのでしょう？）

アンナ

この声は……もしかして、あなたが？

？？？

（えぇ。私は試作型英雄騎の、支援用ユニット。
彼が戦場に立ち続けられるよう、
その傷を癒し、背中を支えるのが私の役割）

（あなたもまた、彼を支えてきたのでしょう？）

アンナ

…………はい。
私はアンナ。王国の政務官です。
あなたの名前は？

？？？

適合シークエンス――完了。
支援騎操縦者、登録、確認。最終契約――完了。

アンナホープネス

私はアンナホープネス。
貴方の願いに力を与え、彼の支えとなるもの。

アンナ

アンナホープネス……。
一緒に、一緒に行きましょう。
王子を助けるために――アンナ、出撃しますっ！！

NPC：アンナホープネス
　
トークンを配置した遠距離マスに
移動することができます。
　
また、アンナホープネスは倒されても
★の評価には影響しません。

――鳥かぁ？
いや、デカすぎる！　何なんだあいつは！？

王子、どうやら私の目覚めを察知したようだ。
来たぞ、人類の理想を託され、
その理想ゆえに人類に滅びをもたらした悪魔が！

――ターゲットを確認。殲滅する。

クレイブ

……強い。
ただ火力と装甲を束ねただけではない、
あのディアボロスからは、戦士の魂を感じます。

モーティマ

魂だなんだって言ったって、
勝てなきゃどうしようもねぇぞ！？
何か手はねぇのか！？

パレス

――ッ！！
上空から魔力反応！　機械じゃありません！
これは――感じたことなる魔力です！！

ヴァレリー

なっ……ここは異世界だろう！？
既知の魔力反応があるはずが――

？？？

――待たせたな、人類種の剣、力学の悪魔、
英雄になりそこねた悲劇の悪魔よ。

ディアボロス

――メルカバ―。
偽りの正義、諦観の理想か。

理想の称号は、我のものだ。
人類を未来へ導くその力は、
神ではなく、人の手によって守られるのだから。

アンナ

ディアボロス、撤退していきます。
……助かった、と言って良いのでしょうか。

ヴァレリー

知っている魔力……か。
なるほど、これは確かに、
僕らの知る「神」や「亜神」に連なる魔力だね。

メルカバ―

我が創造主を知る者たちか。
当騎は亜神によって紡がれし神造兵器。
固有機体名をメルカバ―という。

……お前は、未完成だった試作型か。
無事に操縦者を得たとみえる。

ダイオージ

ああ。私は最高の操縦者を得たぞ、メルカバ―！
人間と機械は手を取り合える、
その証明はここに成就したのだ。

メルカバ―

滅びの果ての証明か。
まぁいい。今はディアボロスの排除が優先だ。

当騎はディアボロスを追撃する。
お前たちは好きにしろ。

ダイオージ

待て、メルカバ―！
今の君では、ディアボロスに届くまい。
我らは手を取り合うことができる。そうだろう？

メルカバ―

それは機械たるお前の言葉だ。
当騎は操縦者たる者に問いたい。

君はこの世界のために、戦う意志があるのか？

王子

…………ああ。

メルカバー

――この世界は、幾度も危機を乗り越えてきた。

異次元よりの侵略者はもとより、
人類間での戦争となれば数えきれない。

その果ての、短い平和に対し、
ある亜神が人類に送ったのが、当騎だ。

アンナ

……神獣のような存在、なのでしょうか。

メルカバ―

当騎はいわば、ひとつの道標だった。
この力を巡って殺し合うのか、
平和の理想を叶えるため利用するのか……。

この時代の人類は、神に至ることを選んだ。
そのために、当騎を分析し、
究極互換騎としてコピーを生み出した。

しかし、模倣は失敗した。
生み出されたディアボロスは、
理想から逸脱した人類の抹殺を開始したのだ。

殺すな、争うな、奪うな、騙すな――
ディアボロスの悲痛な叫びは、
決して人類に届くことはなかった。

だから彼は、争う者を、他者を害する者を、
剪定することにしたのだ。

アンナ

……それでは、そんなことをしたら、
人類の誰ひとり生き残ることは――

メルカバ―

然り。彼は、優しすぎた。
そして人類とは未完成な存在なのだと、
学習し、理解する機能を与えられなかった。

最後の人類は、彼の嘆きを終わらせるために、
試作型――いや、ダイオージを建造した。

だが、お前はこの時代の人類が歩んだ、
最後に残された証明だ。
お前まで失えば、この時代はなかったことになる。

だから、やはり
ディアボロスとの決戦は当騎のみで――

王子&ダイオージ

――断る。

ダイオージ

……相棒、我が友。
同じ気持ちでいてくれたか。

王子

…………（こくり）

ダイオージ

まだ、人類の灯火は消えていない。
ここに私と王子と、仲間たちと、メルカバ―、君がいる。

メルカバ―

了解した。
今この時代に至って、ようやく当騎は
人類の意志を入力された。

――当騎は、お前たちの剣となろう。
元の世界への帰還も、
当騎の魔力にて助力することを誓おう。

ジョヴァンニ

……でも、どうやってディアボロスの所に行くんだ？
あいつ空飛んで行っちまったぞ？

ダイオージ

それならば問題ない。
私には飛行能力が備わっているからな！

メルカバ―

ディアボロスを倒すための英雄騎ならば、
飛行機能があるのも当然か。

では、決戦の場に赴くとしよう。
王子、仲間たちをダイオージの手に乗せてやれ。

王子

…………（こくり）

ディアボロス

――人は、何を望む。

殺し、争い、奪い、騙す。
人類とは、他者を想うことの出来ない存在なのか。

私に託された理想とは、
この世界に存在しないものだったのか。

ダイオージ、貴様はなぜ、
人と手を取り合うことができたのだ。

――王子よ、お前だけが、例外だとでもいうのか？

機甲戦争AIGIS
最終回『激戦の果てに』

証明して見せよ。
人類の持つ、可能性を。

メルカバー

――敵防空網突破。
王子、このまま
墜落した空中戦艦に着陸するぞ。

ソーマ

く、空中戦艦……？
この巨大な街の廃墟、船なんですか！？

ダイオージ

今は水上に放棄されているが、
かつては大空を駆けた、
正真正銘の空中戦艦だ！

メルカバー

そして、ディアボロスに乗っ取られ、
無人兵器の母艦と化した、
人類を抹殺するための基地でもある。

ジョヴァンニ

確かに、あちこちに
船体らしい名残があるぜ……。

アンナ

……人の造ったものが、
人に牙をむいているなんて。

アンナホープネス

アンナ、私たちのように、
人と共にあることを選んだ機械もいます。
人も機械も同じなのですよ。

ディアボロス

――否、人と機械は相容れぬものだ。

アンナ

来ましたか、ディアボロス。
空中戦艦に到達するまで待っていてくれるとは、
やはりあなたも、対話を望んでいるのでは……？

ディアボロス

我は、人を守護するものだ。
お前たちは人類か、その敵か。
我には、それを見極める義務がある。

ダイオージ

人の守護者を名乗る者よ、
悪魔の名を付けられし、理想の騎士よ。
私と王子の絆を、お前に見せてやろう。

ディアボロス

…………絆、だと？

王子

人は、理性だけで生きていくことはできない。
争いもまた、人の真の姿の一つだ。

だが、その果てであっても、
必ず手を取り合うことができる。
俺たちは、そう信じて歩み続けている。

ディアボロス

ならば見せてみよ。
我の選択は間違いだったと、証明してみせろ。

ダイオージ

メルカバ―、アンナホープネス、
アンナ、仲間たち、そして王子……。

この世界最後の戦いを始めよう。
悲劇を、ここで終わらせるのだ……！！

味方ユニット：メルカバ―
　
配置後に同じマスにユニットを
重ねることによって、
性能が変化します。
　
また、メルカバ―は倒されても
★の評価に影響しません。

ディアボロス

…………我、は――

ダイオージ

ディアボロス、人は争うものだ。
理想を抱けば、その先に必ず激突する。

王子と接続した私には、
人の歴史が、想いが、今も伝わってきている。

彼らの世界でも、争いは終わらない。
幾度も繰り返される戦いが、
悲劇を生み出し続けている。

ディアボロス

ならば、なぜ。

ダイオージ

それでも、人は歩み続けることができる。
理想を目指して。

ディアボロス

…………理解不能。

しかし、同時に理解不能なノイズを観測した。

我は――お前たちを、羨ましいと、そう考えている。

王子

…………共に来い、ディアボロス。

アンナ

…………王子。

アンナホープネス

…………。

ディアボロス

――断る。

レアン

……なんだ、この振動。
さっきのより大きいぞ。

カリオペ

これ……魔力の暴走に似てない？

ディアボロス

これより、空中戦艦、及び我の自爆を開始する。
総員に退避を求める。

ダイオージ

なっ……ディアボロス！
なぜだ、なぜ王子の手を取らない！

ディアボロス

お前たちは――眩しすぎる――。

メルカバ―

ダイオージ、彼らを連れて飛べ。
当騎は全出力をもって転移魔法を構築する。

ダイオージ

……了解した。
アンナホープネス、援護を！

アンナホープネス

はい、ダイオージ！

王子&ダイオージ

『ダイオージ、スーパーブースタァァァァァッッ！！』

アンナホープネス

飛行を開始します。
……いえ、待ってください。
背後から高熱源反応！！

アンナ

なっ……ディアボロスが砲を構えて……！？
なぜ……どうして！？

アンナホープネス

――？　ディアボロスから通信が……。
なるほど、そういうことですか。
アンナ、王子、皆さん、どうかご無事で。

アンナ

きゃっ！？
わ、私、どうして外に――アンナホープネス！？

ダイオージ

グォォォォッ！！
ダイオージスーパーブースターが！？

――いや、そう、か。そういうことか。
どこまでも素直じゃない理想の騎士め！

王子、今、メルカバ―から通信が入ったぞ。
これはどうやら、
ディアボロスからの贈り物らしい。

メルカバ―の魔力、ディアボロスの熱量、
ダイオージスーパーブースターの超パワー……。

それらを束ね、時空に亀裂を穿つ！
君たちを元の世界へ送り届けるために！

王子

…………ッ！

ダイオージ

もう、あまり時間はない……最後に、聞かせてくれ。

君たちは、私の希望の光だった。
私は、君たちの輝きになれただろうか――

王子

…………（こくり）

ダイオージ

――ありがとう、王子。

グスタフ

――ふぅ、順調快調！
これなら遺跡発掘完了もすぐじゃな！

アンナ

……ここは、王国……？

アルレット

ん？　うっわ、どうしたの？
みんなズタボロになってない！？

グスタフ

発掘作業を張り切りすぎたのか？
――おっと王子、せっかく発掘の見学に来たんじゃ、
せっかくだしお前も掘っていかんか。

王子

…………。
…………（こくり）

アルレット

……んー、んんー？
どうしたのさ王子さま、にやにやしちゃって。

王子

…………！（かつーん、かつーん）

…………ッ！！（ガチン！！）

アルレット

ん、何この音？
もしかして、すごいの掘り当てちゃった？

アンナ

ふふっ、えぇ、とんでもないものを。

？？？

――また会ったな。
我が友！　我が相棒！！