歌声は時空を超えて

――しばらく前のこと

女王子

あいどる、ふぇす……ですか？

レオナ

アイドルというと、王国の政務官殿が、
先日歌って踊っていたあれか？

大阪城

そう！　そのあいどるです！

なんとこの度、みっつの世界を巻き込んで、
アイドルフェスを開催することになったんですよ～！

そういうわけで、日ノ本からわたくしと、
ゲシュペンス島からは――

ラキオン

ヘカトンケイル娘のラキオンだ！
会場設営も力仕事もおまかせだぞー！

――って、あれぇー……？
勢いでここまで来たけど、
もしかして重要な話とかしてるトコだったかぁ？

トゥーダ

えぇと、まさに帝国軍と王国軍の、
重要な国家会談の最中でしたね……。

大阪城

おっとぉ……？
会議は大切！　これは後で出直しましょう！

レオナ

ああ、いや、待ってくれ。
異世界を巻き込んだアイドルフェス、と言ったな。
王子、この件に帝国軍も協力させてもらえないだろうか？

アンナ

帝国からもアイドルを、ということですか？

レオナ

ああ。王国のアイドルたちが持つ
国家規模の人気は、もはや見過ごすことができない。

国にも軍にも民にも有用なのであれば、
白の帝国もまた、アイドルのプロデュースに
乗り出すべきなのではないか、とな。

トゥーダ

（レオナさん、疲れているんでしょうか……？）

ツキコ

（うぅん、あの顔は本気だよ。
いつだって真面目なのがレオナさんだから）

アンナ

なるほど、そういうことであれば。
ただ、そうなると問題なのは人選ですね。

帝国側はレオナさんにお任せするとして、
王子、王国からは誰に出場してもらえば……。

王子

…………。

？？？

――お困りのようですね？

アンナ

えっ……？
あ、あの、あなたは……？

アイギス神殿

何を隠そう、私はアイギス神殿。
誰よりも何よりも、あなたたちを見守り続けてきた私こそ、
アイドルフェス出場者を選ぶのに最適だと思いませんか？

女王子

えっ、あっ、えっ？
アイギスしん、でん？　ええぇぇっ？

アイギス神殿

異世界とのアイドルフェスともなれば、
出場者はその世界代表と言っても良いはず。

ならば、代表者は誰もが認める、
最高にきゅーとできゃわわなアイドルでなければなりません！

アンナ

きゅーとで、きゃ、きゃわわ……？

大阪城

もっちろん！
全国統一目指して、みんながんばろー！

ラキオン

し、神殿がしゃべって……？
あっ、お、おうっ！　まかせなー！！

アンナ

…………えっと。えぇ！？

――現在。

女王子

そういうわけで、
まったく現実についていけないまま、
とうとうオーディションの日が来てしまいました……。

ラキオン

ん？　どうしたんだ？
緊張してるなら肩でも揉んでやろうかー？
ふっふっふ、肩だけと言わず全身同時にでも――

女王子

だ、大丈夫です！
はぁ……それにしても、どうして私がアイドルに……。

レオナ

よし、出場者は揃ったようだな。
では陛下、訓示をお願い致します。

白の皇帝

…………。
…………異世界に、この世界の歌を聴かせてくるといい。

大阪城

はいはーい！
それじゃあわたくしから、
出場者と審査員の紹介をしちゃいまーす！

えんとりーなんばーわん！
伝説は過去のものじゃない、
紡がれ続けるものこそ伝説だ！　アンナさーん！

アンナ

のんのん、アンナちゃんって呼んでね♪

一般兵

うぉぉぉぉ！　アンナちゃーん！！

大阪城

お次は小悪魔きゅーとな二人組！
よわよわざこざこのみんなー？
これが！　この子たちが！　エス★エフだー！

エス★エフ

せーのっ、みんなー！！
エス★エフに会いに来てくれて、ありがとー！！

学生

エフネ姐さんー！　エスネア姐さんー！！

大阪城

なんと、エスネアちゃんは日ノ本での
アイドル指導にも来てくれていました！
今日は凱旋コンサートでもありまーす！

お次は王国に咲く一輪の花！
傾国？　のんのん、王位簒奪の美少女！
名前はないしょ、女王子ちゃん！！

女王子

えっ、あのっ、それは過去のことで！　しかも未遂で！
あぁもう……こうなった以上、
全力で歌って踊って、フェス出場を目指します！

一般兵

王国市民代表ー！
せーのっ、り――

女王子

本名は！！　内緒なんです！！

大阪城

そして、都市ごとの予選を勝ち抜いた最後の出場者！
神秘の幻獣使いと、
敬慮なる神官戦士の二人組、ツキコ★トゥーダ！！

ツキコ★トゥーダ

あなたの未来は――
せーの、私たちのものっ♪

帝国民

ツキコ様ー！　トゥーダ団長ー！！

大阪城

そしてそして、審査員は王子殿下、
アイギス神殿さん、ラキオンちゃん、わたくしです！
本当は皇帝陛下も参加する予定だったんだけど――

白の皇帝

……王子が審査するのなら、俺が出る必要はない。

大阪城

――とのこと！

さらに、協賛のすぽんさーはこちらのとおり。
砦を貸してくださった帝国軍にも大きな拍手を！

それではさっそく、一曲めいきましょー！
アンナさ――うぅん、アイドルアンナちゃん！　どうぞ！

アンナ

一番、アンナ、歌います！

ケイティ

…………はっ。
みなさん戦闘準備を！！

勢いに押されて失念しかけていましたが、
アンナさんが歌うと！　魔物が来ますよ！！

レオナ

砦門は閉じてあるが……。
外から来る魔物を一時的に足止めできる程度か。
総員剣をとれ！！

砦の門は破壊されても
★の評価には影響しません。

んっ、あれ、うぇぇぇ？　なにこれぇ？

ん？　どうかしました？

この歌を聴いてるとぉ、なんだかふわふわして、
踊りたくなっちゃうっていうかぁ……？

体が勝手にぃ、わっ、うわぁー！？
誰か止めてくれー！！

……そうでした、ラキオンさんはモンスター娘。
アンナさんの歌の影響を受けてしまったようです。

アタシのダンスを見ろー！！

王子、このままでは会場が粉砕されます！
魔物を止めつつ、ラキオンさんもなだめなくては！

ラキオン

楽しかった！

大阪城

それはなにより！

アイギス神殿

……一応、審査をしましょうか。

大阪城

ですねぇ。でも、これは……。

ラキオン

うん、これはなんて言えばいいか――

アイギス神殿

アンナちゃん。
あなたの歌はさすがに危険すぎます。

異世界合同でのアイドルフェス、
予想外の魔物を引き寄せてしまっては大変ですからね。
ただ、でも――

大阪城

――ぱふぉーまんすは、最高でしたよ！
伝説の生まれる瞬間、ときめいちゃいました！

アンナ

ぐすっ……ありがとうございます♪

ラキオン

あー……ただ、会場がこの壊れ方だと……。

アイギス神殿

ラキオンちゃんでも直せませんか？

ラキオン

いや、ちょちょいのちょいーだけど、
次のアイドルが歌う前にっていうのはどうかなー。

グリム

――ふふん、それなら私の出番ですねー。

ようやく「門」が安定したので、
近場で良ければどこでも移動できますよー。

ケイティ

いつの間にそんなことを……。

グリム

日ノ本の千狐さんと一緒に、
各世界を安定して
移動できる門を一時的に作っただけです。

これで毎回大きな術を組まなくてもだいじょうぶ。
副産物で、近距離なら同じ世界の移動もできます。
いえい。これはいっぱいナデナデが必要ですねー？

アイギス神殿

（なでなで）

王子

（よしよし）

大阪城

それじゃあ次は場所を移動してから！
皆さん、足元に気をつけてくださいねー♪

大阪城

次のステージは小悪魔ガールズ、エス★エフ！
会場は……な、何だかすごい熱気に包まれています！

アイギス神殿

エスネアちゃん、エフネちゃんの
これまでの歩みを考えれば当然の人気ですね。

エスネアちゃんは地道なアルバイトに励んだり、
生活の破綻した錬金術師のお世話をしたりと――

ニコル

誰が生活破綻のぐーたら錬金術師だってー！？

アイギス神殿

――したりといった、その真面目な姿が、
王国民の心を打ったようです。

一方、エフネちゃんは
その小悪魔的な言動に注目されがちですが、
実際にはとても繊細で優しい心の持ち主。

口は悪いけど色々助けてもらったと、
王都のおばあちゃん、おじいちゃんたちから、
孫がひとり増えたようだと大好評！

ハルモニア

（アイギス神殿さんって、実際何者なのですか？
やけに王国の情勢に詳しいですし、まさか本当に、
あのアイギス神殿そのものなのでしょうか？）

ソラス

（ふふっ、いえいえ、もし「そのもの」なら、
アイギス神殿の建物がなくなっちゃってるはずですよ？）

（実は前々から、英傑の塔をモデルケースとして、
いくつかの重要施設に
強力な防衛戦力を配置できないかと考えていたんです）

英傑の塔

（うむ。私の場合は塔の管理者としての人格に、
活動可能な肉体を与えてもらったものだが――）

ソラス

（アイギス神殿ちゃんの場合には、
人々の祈りや、建物を訪れた者の記憶を核として、
疑似的な肉体を与えることにしたんです）

英傑の塔

（ただ、そのお披露目が、
アイドルフェスのオーディションと
被ってしまったのは完全に誤算だったのだがな）

ソラス

神殿として生まれ、日々祈りの言葉と、
祈りの歌を聞いてきた彼女だからこそ、
アイドルという存在に、強い思い入れがあるのでしょうね。

大阪城

さぁ、エス★エフの準備が整ったようです！
小悪魔きゅーとなふたりの歌、聴かせてくださーい！

エスネア

行くよ！　エフネちゃん！

エフネ

どこまでも付いていきますよ！
ボクらなら、異世界だって制覇できます！

エス★エフ

Makaidol、エス★エフの歌を聴けー！

ガオレオンはダメージを受けません。
また味方ユニットの
射程範囲内にいる場合、
遠距離攻撃を自身に引き付けます。
　
ブロックされている間、
ガオレオンは全ての効果を失います。
　　　　　　（1/2）

スキルやアビリティなどで
攻撃の優先順位が指定された
敵がいる場合や一部の攻撃は
引き付けの効果を受けません。
　　　　　　（2/2）

ハルモニア

…………。
ガオレオン様、何か言い訳はありますか？

ガオレオン

ぎくっ……な、何のことだ？

ハルモニア

ノリが良いのは美徳ですが、
良すぎて周囲に迷惑をかけるのは最低の行いです。

ガオレオン

ぐぬぬぬぬ、し、しかし、
元魔王軍のアイドルが、
異世界制覇を目指すというのなら応援せねば……！

ハルモニア

推しアイドルに迷惑をかけない！
基本中の基本ですよ！

ガオレオン

ガオォ……。

ハルモニア

デシウス様もです。
あぁ、いえ、これは少々とばっちりではありますが。

デシウス

ウムゥ……ハメを外した者を止めようとしたのだが、
むしろ逆効果だったようだ……。

ハルモニア

はぁ……魔界組は団結力が素晴らしいですが、
それが今回は、完全に逆効果になっていますね。

――そしてふたりとも。

エフネ

は、ひゃいっ。

エスネア

うぅぅぅ～。

ハルモニア

楽しいのはわかりますが、
ファンサービスし過ぎです！

観客を煽るだけならまだ良いですが、
妖術連射に、予定にないアンコール連発、
先日の魔界ツアーの悪ノリが全然抜けていません。

異世界合同のアイドルフェスとなれば、
それは親善大使も同然なのですよ？
もし別の世界の観客が、怪我でもしたらどうするのですか。

エスネア

うぅぅ、ごめんなさ～い……。

ラキオン

えーっと、これはどういう判断になるんだ……？

大阪城

事務所NG……うぅん、保護者NGってことで？

エフネ

そーんなぁ……。

ハルモニア

（その分、次のライヴ予定をしっかり仕込みますから。
気を緩めずに特訓するんですよ？）

エスネア

（わっ、さっすがー！
いーっぱい頑張るね！！）

エフネ

（やりたいこといっぱいですからね！
エス★エフはまだまだ止まりませんよ！！）

大阪城

ではでは、お次のアイドル&会場へ！

大阪城

オーディション参加のアイドルたちも、
とうとう最後の2組です！

アイギス神殿

最終選考は対バン形式。
奇しくも王国代表と、帝国代表となりましたね。

ラキオン

やっぱ神殿としては、
自国のアイドルを応援したくなるものかー？

アイギス神殿

いえいえ、白の帝国にもアイギス信徒はいますし、
王国にもアダマス信徒がいます。
信仰によって推しを選ぶのは良くないことですよ。

推しとは、そう、己の心が震え、
推さずにはいられない時に、
自然と推したくなるものなのですから。

女王子

……ツキコさん、トゥーダさん、
いいライブにしましょうね。

トゥーダ

あはは……まだライヴじゃなくて、
オーディションですけどね。

女王子

あっ……そ、そうでした。
緊張しすぎてうっかり……。

ツキコ

それだけ、あなたも真剣ってことだよね。
ツキコたちも、全力で歌うから、
一緒に王子さまに、気持ちを届けようね。

女王子

ふぇぇっ！？
あのっ、私は王子殿下とそういう関係では……！？

ツキコ

誰かを想って歌ううたと、ただ上手いだけのうた。
それは全然違うものになるから。

だから、こっそり心の中で、
王子さまを想って歌うくらい、許されると思うよ……？

大阪城

おぉっとー？　ここまで声は聞こえませんが、
すでにアイドルたちの水面下での
激しい攻防が始まっているようです！

互いにエールを投げかけているのか、
はたまたライバル同士、
熱い火花を散らしているのでしょうかー！？

ラキオン

（いや、ただの恋愛トークに
聞こえたんだけど……まぁいっか！）

あっ、ところで王子はどっちを応援するんだ？
ほらほらぁ、アタシだけに教えてみなよー。
こっそり指差すだけでいいからさー？

王子

…………。

アイドル衣装を着た
ゴブリンプリンセス三姉妹がいる間は、
敵のゴブリンの攻撃と防御が
アップします。

まだオーディションですけど、
こんなところに立っているのが、夢みたいです。

私はただの女の子で、きっと普通の人生を送って、
ごく普通におばあちゃんになっていくんだって、
小さい頃はそんなふうに思っていました。

でも、現実はそうじゃなかった。
魔物が復活して、それからずっと、つらい闘いの日々で。
でも、それでも、王子殿下は約束してくれました。

王国は、もう二度と負けないと。
誰一人、置いていかないと。

だから私も、前に進むために歌います。
誰かの心に、勇気の火を灯せるように！

――ちょーっと待ったぁ！！
勝手に「あと2組」とか言わないでくれるかしら！？

そうよ！　まだここに、
一番イケてるゴブリンプリンセス三姉妹がいるのよ！？

つまり、えっと、
私たちも参加したいということです。

と、と、と、飛び入り参加だー！？
ゴブリンプリンセス三姉妹が、
まさかのオーディション乱入です！

それくらいで驚くと思わないことです！
アイドルとは、闇を照らす輝きなのですから！

レオナさんに指名されて、
アイドルしてこいと言われた時は、
本当にどうしようかと思いましたが……。

うん、特訓もオーディションの予選も、
とても楽しかったよね。

はい。もともと歌うのは好きでしたけど、
それを誰かに聴いてもらって、
しかも喜んでもらえるなんて、最高です。

トゥーダさんも楽しいなら、良かった。
だってこの道は、まだまだずーっと続くんだから。

それは、八咫烏の導きですか？

うぅん、もっと続けたいって、
ツキコもそう思ってるよってこと。

えへっ、同じことを考えてました。
それじゃあ、一緒に歌いましょう。

うん。
――でも、その前にちょっとアクシデントがあるよ。

はい？

――ちょーっと待ったぁ！！
勝手に「あと2組」とか言わないでくれるかしら！？

そうよ！　まだここに、
一番イケてるゴブリンプリンセス三姉妹がいるのよ！？

つまり、えっと、
私たちも参加したいということです。

と、と、と、飛び入り参加だー！？
ゴブリンプリンセス三姉妹が、
まさかのオーディション乱入です！

ね？

あれ？　どっちかは選べないってことかぁ？
それとも審査員だから、本音を隠してるとか……。

…………（にこにこ）

むむむ、表情が読めない……。

――王子殿下！　大変です！
ゴブリンプリンセス三姉妹が、
こちらを目指して接近中とのこと！

――世界一美しいアイドルをお忘れじゃないかしら？
勝手に「あと2組」とか言わないでほしいわね！！

そうよ！　まだここに、
一番イケてるゴブリンプリンセス三姉妹がいるのよ！？

つまり、えっと、
私たちも参加したいということです。

と、と、と、飛び入り参加だー！？
ゴブリンプリンセス三姉妹が、
まさかのオーディション乱入です！

ゴブリンプリンセス次女

きぃぃぃっ！
次よ、次の曲を――

ゴブリンプリンセス長女

次女、おやめ。
王国と帝国のアイドルたち、負けたわ。完敗よ。

ゴブリンプリンセス次女

お、お姉様！？

ゴブリンプリンセス三女

……まだまだ、特訓が必要ですわね。
歌も踊りも、それからアイドルの魂も。

ゴブリンプリンセス長女

歌は魂……それを教わってしまったわね。

女王子

皆さんの本気は、ちゃんと伝わってきました。

ゴブリンプリンセス長女

ふふっ、慰めの言葉はいらないわ。
だって、これからはライバルなんだもの。

女王子

そうですね。
これからも、絶対負けませんよ！

ツキコ

また、ステージで戦う日が来るよ。
でも今回は、ツキコたちの勝ち。

ゴブリンプリンセス三女

あはは、言ってくれますわね。
それではお姉様方、さっそく戻って特訓を――

ゴブリン博士

――いいえ、お待ちくださレ！
ゴブリン軍団ニモ、至高にしテ伝説の
アイドルが健在でアルことヲお忘れカ！？

トゥーダ

……えっと、お忘れてます。
お忘れてるので出てこないと嬉しいんですけど……。

ゴブリン博士

ミヨ！　あの山の果てヲ！
あの御方コソ、アイドルを超えたアイドル！！

――超アイドルメカゴブリンクイーン様デアル！！

ラキオン

――あれは、移動要塞か！？

アイギス神殿

いいえ、あれは建物でも兵器でもありませんよ。

アンナ

で、でも、きらきら輝くあの威容、
ゴブリン博士と比べると巨大すぎる姿、
どうみても要塞の一種としか……！

王子

…………（ふるふる）

アイギス神殿

王子ちゃんは気付いたようですね。
そう、あれは……。

――超アイドル、メカゴブリンクイーン！！

ラキオン

（この神殿、ノリ良すぎないか？
あっちのメカゴブリンクイーンのノリもやばいけどさぁ）

メカゴブリンクイーン

ウフフフフッ、
おあつらえ向きの花道ねぇ！

アンナ

ここは街道です！
アイギス神殿への通路を花道扱いしないで下さい！

ラキオン

（あー、この政務官はアイドルしてないと常識人なんだなぁ）

メカゴブリンクイーン

問答無用よぉ！
アイドルならば歌で対抗なさい！

ラキオン

うわっ、やっば！
こっちに向かってくるぅぅぅぅ！？

メカゴブリンクイーン

――ウフフフッ！！
さぁ、ここからが本当のステージよぉ！！

トゥーダ

えっ、えぇぇぇッ！？
なんですかあの巨大な……衣装？
衣装って言って大丈夫ですかあの大きさ！

ツキコ

それにあの豪華さ……。
間違いない、メカゴブリンクイーンは
本気でアイドルの頂点を取るつもりだよ。

大阪城

飛び入りに次ぐ飛び入り！
でも誰ひとり退こうとしないこの状況！
アイドルの素質はばっちりですね！！

ラキオン

度胸はすわってるなーって思うよ、うん。
いやそれより！　あれだけド派手だと
最強なアタシも対抗したくなっちゃうぞ！

大阪城

落ち着いてー！
はい、今この場の主役は！？

ラキオン

はっ、そうか、これはオーディション！
外野が口出しするのは筋違いってやつだな！

大阪城

それじゃあ見せてもらいましょう！
超アイドルメカゴブリンクイーンの、
全力のぱふぉーまんすを！

発光するマスに配置した
ユニットは射程が
上昇します。

超アイドルメカゴブリンクイーンは、
戦場にいるゴブリンの応援団の
総数に応じて
攻撃と防御がアップします。

ゴブリン博士から攻撃を
受けると毒状態になり、
一定時間継続ダメージを受け続けます。
　
毒によるダメージは、女神の加護や
攻撃の無効化の影響を受けませんが
状態異常に対するユニット能力で
軽減や回復、無効化が可能です。

メカゴブリンクイーン

…………強く、なったわねぇ。
あなたはもう、野に咲く小さな花じゃない。
未来に咲き誇る大輪の花よ。

女王子

……ありがとうございます。

メカゴブリンクイーン

帝国のあなたたちも。
素晴らしいステージだったわ。

トゥーダ

恐縮です……？

ツキコ

…………。

トゥーダ

ん、どうしました？
何か気になることでもありましたか？

ツキコ

うぅん、だってメカゴブリンクイーンとは、
また戦うことになるはずだから、
まだ別れの言葉を伝えるには早いかなって。

トゥーダ

ああ、ゴブリン軍団は物質界連合の一員とはいえ、
一応本来は敵対している勢力ですからね。

ツキコ

そういう意味じゃないんだけど……。
うぅん、時が来ればみんな分かるよね。

大阪城

――さぁて、それでは各審査員の評価が終わりました！

異世界を巻き込む、記念すべきアイドルフェス！
本番出場を決めたのは――

女王子ちゃん！　そしてツキコ★トゥーダの2組！
審査員全員一致で両者共に出場決定です！

女王子

わ、私が、本当にフェスに……。

トゥーダ

共に頑張りましょうね。
王国、帝国代表というだけでなく、
この世界代表でもあるのですから。

ツキコ

他の世界にも、ツキコたちみんなの歌を、
いっぱい届けようね。

ラキオン

それじゃあ皆、フェス本番でな！！

――各都市代表予選の最中、
　　　　東の国でのこと

アイギス神殿

ふぅ、ここの予選も無事終了しましたね。
アイドルを目指す女の子たちの晴れ姿、
ふふ、何度見ても眼福です。しあわせ。

エレット

エクス様、信仰、ちょっと揺らぎそうになりました。
後で懺悔を聞いてください……。

エクス

心配いりませんわ。
あの御方はアイギス神殿様であって、
女神アイギス様ではありませんから。

アイギス神殿

ふふ、そのとおり。
私はあくまで、アイギス神殿を訪れた、
皆さんの想いや記憶から生まれた存在ですから。

王国が復興を遂げた今、肉体を得たからこそ、
こうして朗らかで可愛いお姉さんになったのですよ？

エレット

ああ、そっか……。
魔物復活の直後だったりしたら、
みんなの悲しみに影響されてたかもってことだよね。

ラキオン

――おーい、ヤグラの建築終わったぞー？
って、何しんみりしてんのさぁ。
これから東の国名物ボンオドリするんだろー？

レギーナ

オボーンにはまだ時期が早いけどな（もぐもぐ）

フィリス

でも、せっかく踊りの文化がここにもあるんだ。
異世界のお客人のためにもぜひって、
村人たちの計らいを無駄にもできないさ。

大阪城

おぉぉぉ……この世界にも盆踊りが！
ちょっと様式が違うのも、異世界っぽくでいいですね！

アイギス神殿

そうだ、せっかくですし、
女王子ちゃん、ツキコちゃん、トゥーダちゃん、
盆踊りに参加しちゃいましょう。

女王子

えっ、でも大丈夫ですか？
たぶん途中で乱闘になったりしますよ？

トゥーダ

いわゆる王国式ですか……。
まぁ、祭りと喧嘩は切り離せないですしね。

ツキコ

王子さまに晴れ姿を見せられるなら、
ツキコは大丈夫だよ？

女王子

つ、ツキコさん！　抜け駆けは禁止です！
こういうのは淑女協定を結んでおくべきです！

ツキコ

あれ？　女王子ちゃんは、
王子さまとそういう関係じゃないって言ってなかった？

女王子

それはそれです！

トゥーダ

まぁまぁ。それでは一緒に、
ボンオドリを楽しみましょうか♪

女王子がいる間は、
全ての敵ユニットの
攻撃と防御がアップします。

ツキコ★トゥーダがいる間は、
全ての敵ユニットの
攻撃と防御がアップします。

大阪城は、
自身の攻撃力の値で
自身を含む周囲の敵を回復します。
　
また、大阪城がいる間は
全ての敵の攻撃力が
固定値で500アップします。

アイギス神殿がいる間は、
全ての敵ユニットの
攻撃力がアップします。
　
またアイギス神殿がいる間は、
全ての敵のHPが徐々に回復します。

と、とととと、止めてくださいぃいぃぃ～！？

馬が！　太鼓の音にノっちゃって～！！

なるほど、ここまで含めて王国式！

さすがにあれは違います！
本当に馬が暴走しちゃってます！

王子、このままでは祭りの真ん中に、
キャリーさんが突入してしまいます！

事故が起きる前に、彼女を受け止めましょう！

キャリー

た、助かりましたぁ……。
最近は大丈夫だったんですけどねぁ……。

アンナ

ご無事で何よりです。
お怪我も無いようですし、
キャリーさんもボンオドリに参加してみては？

キャリー

えっ、いえ、でも私は警備の仕事が……。

トゥーダ

まぁまぁ。
せっかくのお祭りなんですよ？

ラキオン

そうだぞー？
ほら、祭りの輪の中に～、とんでけ～♪

女王子

あっ、ラキオンさんが
キャリーさんをぶん投げました！？

キャリー

きゃ～～～～ッ！？

女王子

おぉ……無事に着地しました。
さすが歴戦のキャリーさん。

アンナ

ふふっ、それでは皆さん、
ボンオドリの続きを楽しみましょうか。

ツキコ

あっ、ゲシュペンス島のダンス、
また見せてほしいな。
見たことのない踊りだったから。

ラキオン

お？　しょーがないなぁ。
んふふふ、それじゃ一緒に踊っちゃうか！

女王子

――アイドルって、何なのでしょうか。

フェスも目前なのに、
まったく考えがまとまらないし、
本当に私がここにいてもいいのか、分からないし……。

私は英雄である王子さまや、
神話の存在である英傑の方々とは、違うんです。

ただの小娘が、皆の前で歌って踊るなんて。
それを皆が待ち望んでいるなんて、
そんなの、信じられないですよ……。

マウロ

――ならばその悩み！
このボクが解決してあげよう！！

女王子

あ、あなたは……。
確か、ブラックドラゴン娘のマウロさん？

マウロ

わっ、覚えててくれた！？
にゃははー、嬉しいなー！

おっと、それはともかく、
お悩みならこのボクが解決してあげよー。

女王子

えぅ……？

グリム

まぁまぁ、ここは可愛いお騒がせコンビに任せて。

マウロ

さぁ、女王子ちゃんのお悩みを言ってみなよ！

女王子

……私では、このキラキラしたステージに、
ふさわしくないんじゃないかって、そう思って。

マウロ

（きたぁ～！　これ！　これだよねグリム！）

グリム

（そうですそうです。
アイドルのライヴ直前と言ったら、
この真剣な迷いと戸惑いと――）

マウロ

――会場からの逃走！

グリム

雨の中追いかけてくるプロデューサー！

マウロ

芽生える信頼！！
かんぺきじゃん。かんぺきな流れじゃん。

グリム

まぁ、王子さまからは、
「悩んでいたら相談に乗ってあげてほしい」って
言われてましたけど、これも相談の一環ですよねー。

マウロ

えっ、そうだっけ？　ともかく善は急げ！
最大戦速で女王子ちゃんの逃走幇助だ！

グリム

いえーい。
王子さま公認でいっぱい召喚しますよー。

ケイティ

――女王子さん、いったいどこへ……。
って、た、大変です！
グリムさんたちがまた何か召喚しています！

女王子がいる間は、
全ての敵ユニットの
攻撃と防御がアップします。

異界の虫はHPが徐々に回復します。
ブロックされている間は回復効果が
無くなります。

マウロ

おっかしいなぁ。
今度は上手くいくと思ったんだけど。

グリム

むむぅー。
また失敗です。

ケイティ

ふたりとも、女王子さんを困らせちゃだめですよ。
大事なステージの直前なんですから。

マウロ

いや、困らせてるのはボクたちじゃなくて――

女王子

…………はい。
こんなふうになっているのは、
私の心が弱いから、ですね。

ケイティ

……女王子、さん？

女王子

ごめんなさい。
やっぱり私、歌えないです。

国民の代表とか、アイドルだとか、
肩書ばかりどんどん大きくなっていって……。

私、そんなにすごい人じゃないんです。
「きみなら大丈夫」とか「大好き」とか、
歌う資格……私にはないんです！

一番そういう言葉をかけてほしいのは、
私の方なんですから！

ケイティ

ま、待って！　待ってください！！
王子っ……王子はどこに――

女王子さん！　女王子さーん！！

女王子

――はぁっ……はぁっ、はぁ……。
もうやだ、やだよぉ……。

誰も私のことなんて待ってないのに……。
王子さまも、みんなも、
私のことを過大評価し過ぎなんです……。

消えたい……。
いびつなおにぎりになって消えちゃいたい……。

ツキコ

――消えちゃだめだよ。

女王子

……ツキコさん。

トゥーダ

女王子さん、不安なのは分かりますよ。
でも、ファンまで裏切るつもりですか？

女王子

私にファンなんていません！

ツキコ

…………女王子ちゃん、
いま、酷いこと言ってるのわかってる？

女王子

…………ごめん、なさい。
でも、私じゃ……世界に響くような歌なんて！

ツキコ

ツキコも、トゥーダさんも、女王子ちゃんのファンだよ。
一緒に歌う仲間だけど、それ以上に
女王子ちゃんのことが大好きだよ。

でもそれ以上に、今の女王子ちゃんは、
誰よりも応援してくれてる
王子さまのことを裏切ろうとしてるんだよ。

女王子

…………っ！
ずるいです、そんな言い方！

ファンのために歌えとか、
好きな人のために歌えとか、
ただの言葉遊びじゃないですか、そんなの！

トゥーダ

はぁー……あー……もー……。

どうして、ここに王子殿下が割って入ってこないか、
ちゃんとわかっていますか？

グリムさんとマウロさん、
それから私たちだけに任せて、
会場で待っているのかわかりませんか？

女王子

…………。

トゥーダ

女王子さんは、さっきから嘘ばっかり。
不安な気持ちに、どうにか理由をつけようとして、
本当に自分がしたいことを隠そうとしてます。

本当は――国民より、ファンよりも、
王子殿下に歌を聴いてほしいんじゃないんですか！？

女王子

……てる。

わかってるんです！　そんなことはっ！！

トゥーダは
一定範囲内のユニットに
継続してダメージを与えます。

女王子

…………はぁっ、はぁ……はぁ。

トゥーダ

ふぅ……本当にただの元一般市民ですか？
この鍛え方、生半可なものじゃないですね。

ツキコ

神官戦士長と張り合うなんて、
よっぽど熱心に訓練してきたんだと思うよ。

女王子

……当たり前です。

だって私は、初代王国議会議長で、
王国民的アイドルですから。

トゥーダ

ふふっ……。

ツキコ

うん。

女王子

王子に追いついて、並び立って、
あの人が作る未来を、隣で見るんです。

大阪城

（飛び出していこうか迷いましたけど……）

マウロ

（にゃっはっはー。
なー？　大丈夫っていったろー？）

ラキオン

（いや、アイドルが殴り合いってどうなんだ？
いいのか？　王国式仲直りってことか？）

アイギス神殿

（最初から心は決まっていて、
それでも不安になってしまうなんてこと、
長い人生を歩んでいればよくあることですよ）

ラキオン

（いや、アイギス神殿は生まれたばかりだろ！）

アイギス神殿

（築年数なら誰よりも長いですし？）

グリム

……はっ、三人がこっち来ますよ。

ラキオン

やばっ、隠れろ～！！

トゥーダ

……あのごっつい多腕で、
隠れてるつもりなんでしょうか？

ツキコ

見なかったことにしてあげよ。
――さぁふたりとも、リハが始まるよ。

女王子

えぇ。もう、絶対止まりません。
どんなライバルが現れたって、王国式で全力全開です！

トゥーダ

帝国式の申し子、アダマス教の神官戦士に、
八咫烏の巫女までついてますよ。
私たちは――最強のアイドルです！

女王子

――行きましょう！
私たちが、伝説を継ぐアイドルです！！

ゴブリン博士

――ワタクシは今日、一人の友を失うカモしれナイ。

ゴブリン

ギャギャ……。

ゴブリン博士

シカシ、ソレデモ。
ワタクシは見たかっタ。
コノ目で、一度ダケでも……。

ゴブリン

博士、マダトマレル。
ヤメル　ナラ　イマ！

ゴブリン博士

クッ……。

ラキオン

ん？　あそこにいるのは……。
おーい！　ゴブリン博士ー？

ゴブリン博士

――ッ！！
見つかっテしまったナラバ、仕方ナイ！！

ケイティ

――はい、それではリハーサル開始です！
さん、にー、いち――

ゴブリン博士

そのリハーサル、待っタァァァァァッ！！

大阪城

わぁぁ！？
いったい何事ですか！？

ゴブリン博士

スマナイ、王国と帝国のアイドルたちヨ。
シカシ、ワタクシはドウシテモ諦めきれナイノダ！

観客席デ、燃え尽きたヨウニ、
タダ新しいアイドルたちヲ見守ル、
メカゴブリンクイーン様のお姿ヲ見ヨ……！

アレガ果たしテ、
メカゴブリンクイーン様らしい
お姿ダト言えるダロウカ！？

メカゴブリンクイーン

ゴブリン博士……。

ゴブリン博士

メカゴブリンクイーン様トハ、
大いナル母性ト、世界一の美貌、
そして己が欲望を偽らぬ生き様ヲ備エタお方！

ワタクシは、イマここで、
世界の敵にナッテデモ、
メカゴブリンクイーン様の勇姿を見たいノダ！！

ラキオン

ゴブリン博士、お前、まさか……。

アイギス神殿

愛する人のために、
自分を悪役にしてでも……！？

王子

…………（こくり）

ゴブリン博士

お、王子……オマエは……！
許してクレルと言うノカ……！？

ナラバ！　メカゴブリンクイーン様！
イマこそ天空に羽ばたきクダサレ！

メカゴブリンクイーン

――えぇ。
一番のファンに焚き付けられたら、
もう一度飛ばずにはいられないものね。

オーホッホッホ！　さぁご覧なさい！
これがアイドルたる女王の姿よ！！

ゴブリン博士の
攻撃を受けた味方ユニットは
2秒間、防御力と
魔法耐性が減少します。
　
この効果は、状態異常に対する
ユニットの能力では
軽減、無効化できません。

超アイドルメカゴブリンクイーンは
戦場にいるゴブリンの応援団の
総数に応じて
攻撃と防御がアップします。
　
さらに戦場にゴブリン博士がいると
攻撃と防御が大幅にアップします。

ゴブリン騎獣楽団がいる間は
敵のゴブリンの攻撃と防御が
アップします。

ゴブリン博士

……ぐすっ、ずびっ……アリガトウ、アリガトウ。

王子

…………（ぽふぽふ）

メカゴブリンクイーン

あぁら、博士？
たったこれだけのステージで、
まさか満足したなんて言わないわよねぇ？

あなたのおかげで思い出したわ。
世界を求めたあの日、
強くありたいと願ったあの日のことを。

ゴブリン博士

おぉ、おぉ……！！

メカゴブリンクイーン

さぁ、出ていらっしゃいアイドルたち。
最高のアイドルには、
最高のライバルが必要でしょう！？

ラキオン

――機材は万全、こっちの準備はいつでもいいぞ。

アイギス神殿

リハーサルのつもりが、
もう本番同然の緊張感ですね。

アンナ

ふふっ、あの子たちにしてみれば、
本番じゃない瞬間なんて、ひとつもないはずですよ。

アイギス神殿

おっと、それもそうでした。
どんなステージにも全力で、
それがアイドルというものでしたね。

メカゴブリンクイーン

――準備は、できたようねぇ。

ラキオン

9人のアイドルが、ステージに……。
へへっ、輝いてるぜ、みんな。

女王子

――誰かのために歌うとか、
みんなのために歌うとか、そういうの、
実はまだ分かっていません。

いつでも私は、なんとか置いていかれないように、
走り続けるので精一杯で……。

でも、今は悩みません。
ステージに立ったなら、私はアイドルだから！

ゲシュペンス島のみんな！
日の本のみんな！　一緒に、みんなで、
私たちが最強のアイドルだって見せてあげましょう！

タンタル

おっけー任せて！
イけるところまでイかせ――じゃなかった！
全力でイっちゃおうッ！！

江戸城

天下無双は剣技のみならず。
あいどるの道もまた、極めて見せましょう！

ケイティ

……不思議、ですね。
熱にあてられてしまったのでしょうか。
彼女らを見ていると、力がわいてきます。

メカゴブリンクイーン

さぁ、来なさいアイドルたち！
今日、この夜を、伝説にするわよぉ！！

アイドルたちの想いと歌により
力が湧いてきました。
　
全ての味方ユニットの
攻撃力と防御力がアップし
HPが徐々に回復します。

――アイドルは、死なズ。

何度デモ、白鳥の如く蘇ル！！

な、ななな、なんだよその姿ー！？

あれは……そう、そういうこと。
ゴブリン博士の愛が技術に昇華し、
彼女に白き翼を与えたのですね！

あんたもだいぶ影響されてるなー！？

ウフフフフッ！！
超アイドル、メカゴブリンクイーンの
華麗なるステージはここからよ！！

メカゴブリンクイーン

――ウフフッ、今度こそ完敗よ……。

ゴブリン博士

お見事デシタ、メカゴブリンクイーン様……！

エフネ

…………わぉ。

エスネア

ん、どしたの？

エフネ

色々アクシデントがあったはずなのに、
リハーサルの進行表どおりに進んでたみたいなんです。

リノ

ええっ、じゃあぜーんぶ、
メカゴブリンクイーンの手のひらの上だったってこと？

メカゴブリンクイーン

さぁ博士、撤収するわよ！
衣装を片付けたら、本番の応援に戻るんだから！

ゴブリン博士

ハハァッ！

ケイティ

えーっと、そういうわけで
無事にリハーサルまで完了しちゃいましたね。

女王子

ついに……本番。

トゥーダ

おや？　さっきよりも緊張がほぐれてますね。
なんだか楽しそうですよ？

女王子

みなさんのおかげです。
今なら、世界で一番のアイドルになれそうですよ。

ケイティ

それでは、皆さん
出番が来るまで一度楽屋で休憩を。
スケジュールは予定通り進行します！

ラキオン

――さて、さっきは思い詰めてたみたいだけど。

アイギス神殿

あの様子なら、もう元気づける必要もありませんね。

王子

…………（こくり）

ラキオン

じゃ、アタシたちは観客席に向かうか！

トゥーダ

め、メイクくずれてないですか！？
髪型と、それから衣装と……！

女王子

今さらですよトゥーダさん。
大丈夫、めちゃくちゃ可愛いし、
ドキドキするくらいきゅーとです！

ツキコ

戦場に出るときより緊張してない？
さっきの女王子さん以上にガッチガチだよ。

トゥーダ

本番は緊張するものですよ！？

女王子

ふふっ、私だって緊張してます。
でもこれは、楽しい緊張です。

ツキコ

あっ……こういう時は、
おまじないをするんだって聞いたよ。

トゥーダ

ああ、手のひらにアダマス様って書いて
ごっくんするとかそういう……。

女王子

では私たちの場合は――
神さまに祈ったり？

ツキコ

じゃあ、そうしよ。
私たちに、八咫烏の加護と――

トゥーダ

アダマス様の加護と！

女王子

アイギス様の加護と！　それから――

女王子&ツキコ&トゥーダ

（ちらっ）

王子

…………（ぐっ）

女王子

最高のファンの応援を胸に！

女王子

王国民のみんなー！

トゥーダ

帝国民のみなさーん！

ツキコ

異世界のみんなー！

女王子

おまたせ、私たちのステージ開幕です！

女王子&ツキコ&トゥーダ

歌声は、時空を超えて！！

絶対不敗の最強アイドル、
私たちの歌で、千年先を見せてあげます！