【ツクダオリジナル】

Last-modified: 2022-11-26 (土) 14:32:29

概要

かつて存在していた日本の玩具会社。「ダッコちゃん人形」の販売も担当した玩具流通業ツクダの製造部門として1974年創立。
オセロやルービックキューブといった定番玩具を主力商品に、対象年齢・分野・分類を問わず様々な玩具を販売していた。
 
テレビでツクダオリジナル製品のCMを見かけたり、実際に持っていた・遊んだ、という人もいるだろう。
1人でも遊べるLSIゲーム「コンピューターオセロ」、大容量タンク付き強力水鉄砲「エアーウォーターガン」、女児向けリアル家事玩具シリーズ「ファーストママ」、風呂玩具「およげ ゆ太郎」など、多彩な製品名を上げればきりがない。
「ボールを相手のゴールにシュウゥゥゥゥ!!」という妙にテンションの高いCMで知られる対戦ピンボールゲーム「バトルドーム」もこの会社の製品である。
中にはパパをゴミ扱いするファーストママの掃除機といった、今では確実に抗議を食らいそうなCMもあるが……。
 
ちなみにルービックキューブやバトルドームは海外の玩具会社からライセンスを得て販売した製品で、ツクダオリジナルが独自開発した玩具というわけではない。
他社製品のライセンス販売には積極的であり、軟体マッチョマンのアクションフィギュア「ミスターX」「ストレッチストロンガー」、欧米的な濃い顔が特徴のキャベツ畑人形こと「キャベッジパッチキッズ」
謎の生物と称したプランクトンの飼育キット「シーモンキー」、積まれた棒を引き抜くパーティーゲーム「アンバランス」などがツクダオリジナルによって輸入販売された。
国内企業の玩具では現在も販売されているパーティーゲーム「番犬ガオガオ」がある。
 
テレビゲーム市場へは早期から参入しており、1977年に世界初のカラーテレビゲーム機「ベルコン」を発売する快挙を成し遂げている。
その後1983年にセガSG-1000互換機「オセロマルチビジョン」を発売。しかし同ハードの展開終了後はSFC・GBの「オセロワールド」などごく少数のゲームソフトを他社ハードへ供給するに留まった。
セガ互換機を販売していた事情もあったのか、FCとGBの「オセロ」はツクダオリジナルではなく、同社よりライセンスを受けた玩具会社の河田(現:カワダ)からの発売とされた。
 
以上のように全く新しいコンセプトの玩具を意欲的に開発・輸入・販売する企業であったが、少子化とテレビゲーム普及の波には逆らえなかったのか「バトルドーム」以降のヒット作に恵まれなかった。
2002年に親会社ツクダの経営不振からバンダイグループへ吸収、翌2003年にツクダは倒産、会社清算された。
一方ツクダオリジナルは同社OBによる玩具会社ワクイコーポレーションを吸収し社名をパルボックスに変更。さらに2005年にはバンダイグループのメガハウスに統合された。
 
オセロをはじめとした前身企業の主要玩具はメガハウスにより継続販売されている。
なお前述「番犬ガオガオ」のライセンス元は2006年からバンダイ傘下の小型家電製造会社となっており、奇しくもグループ会社同士でライセンスを結ぶ関係となった。

ドラクエとの関係

ドラクエのグッズや関連商品を発売したことは無いのだが、一風変わった事情で両者には深い関係があった。
1990年代から2000年代初頭にかけて発売されたドラクエグッズのうち【スライム】のグッズには必ず

「スライム」はツクダオリジナルの登録商標です。

と書かれていたのだ。
 
これはバービー人形で有名なアメリカの玩具メーカー、マテル社が製造したゲル状の「スライム」という玩具を、ツクダオリジナルがライセンス販売し、その商標権を有していたため。
もともと、粘液のようなもの、どろどろしたものを意味する一般の英単語であり、現在では子供向け科学実験の定番として知られる「スライム」だが、玩具の商品名として扱う場合は、マテル社およびツクダオリジナルが独占使用することを法的に認められていたのである。
 
なお、かつての【エニックス】がこの問題においてツクダオリジナルとどのような契約関係にあったかは不明。
概要で述べた通り、玩具会社としてのツクダオリジナルはバンダイ系列に統合されてしまったため、現在ではこの商標掲示を目にすることもない。
当時のスライムグッズを手に入れる事は難しいが、初期の4コマ劇場の巻末奥付や広告にも冒頭の一文は掲載されているので、古書店などで確認することはできる。
 
玩具の「スライム」は、日本ではツクダオリジナルの事業の一部を引き継いだメガハウス社が販売しているが、諸権利はマテル社からバイアコム社に移っており、メガハウス社の「スライム」のWEBページには「© Viacom」と明記されている。
なお、経産省・特許庁では、示す商品が別物なら同じ名前を使っても商標侵害ではないとしているため、「今でもバイアコムが商標を持っているからスクエニはスライムという言葉を使うたび許可を取らねばならない」という訳ではない。
実際に商標データベースで検索してみると、「スライムSLIME」の商標はバイアコムとは別にスクウェア・エニックスも複数保有していて、様々なアイテムをカバーするためか、申請された使用範囲も雑貨や装身具など多岐にわたる。
もちろんゲームソフトも商品なので、【スライムもりもりドラゴンクエスト】」や「【スライムのおへや】」など、各タイトルもそれぞれ個別に商標登録が認められている。
 
海外版ドラゴンクエストのタイトルがかつて【DRAGON WARRIOR】となっていたのも(7まで、8以降は日本と同じく「Dragon Quest」)同様の理由。詳細は当該項目で。