【ヴェルザー】

Last-modified: 2023-11-13 (月) 19:04:52

概要

漫画【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】に登場するキャラクター。
【大魔王バーン】【魔界】の覇権を長らく争っていた「冥竜王」と呼ばれる強力なドラゴン。一人称は「オレ」。
最後の知恵あるドラゴンと言われ、他の竜と違い言葉を発する事もできる。
アニメ(2020年新版)での声優は【ドラゴンボール】フリーザの声優で有名な中尾隆聖。ドラゴンボールZの頃はちょうど1991年の旧版アニメが放送されていたが、ヴェルザーは放送打ち切りの余波で最終回に回想で一瞬姿を見せるだけに終わった。
DQ11Sでは【フールフール】、ライバルズでは【ゲマ】を演じている。
 
バーンとは地上を狙うもの同士敵対関係にあったが、一時休戦、先に地上を制覇した方に従うという条約を組み、その際に友好の証と称してバーンの監視役兼暗殺者として【キルバーン】を送り込む。
その後、【竜の騎士】である【バラン】に倒された後、精霊に不死身の魂を封印され石にされてしまう。
実力については主に回想で語られているため詳しくは分からないが、【ラーハルト】曰く、「ヴェルザーと比べると魔王【ハドラー】など黙殺しても仕方ない小物」と言わしめるほどの力を持っており、実際にかつてはバーンとは魔界を二分して争っていた事が物語の終盤にて明かされ、相当の実力であることが伺える。
なお【闘気】や強力な炎のブレスで攻撃していたらしい。
 
星ドラやスーパーライトのコラボイベントで登場。
全盛時の姿の色は紫の体色に赤色の腹、翼。見た目としては非常に正統派なドラゴンで色といいどことなく【竜王】を思わせる。
星ドラでは2019年に色違いの破邪の淵竜が登場した。

真竜の戦い

かつてバーンと対立する以前、魔界のドラゴン勢力は統一されていない状態で、「雷竜ボリクス」というドラゴンが、まだ「冥竜」と冠されていたヴェルザーと対立していた。
 
戦況は膠着し、決着をつけるために二体の竜は決闘を行う。
最終的にはヴェルザーが勝利し、魔界におけるドラゴン勢力の覇権はヴェルザーが掌握。この時より「冥竜王ヴェルザー」を名乗るようになった。
 
なお、この戦いは「真竜の戦い」と呼ばれ魔界の語り草となるほどの名勝負であった。
その戦いの中で起きた凄まじい現象が非常に珍しいものであったためである。
 
互いの魔力・闘気が、最高位かつ互角のレベルで炸裂した場合に強烈なエネルギーフィールドが発生し、そのエネルギーは周囲に留まったまま互いの身体には届かないものの、誰も立ち入れないほどの超高熱が支配する空間を形成する。
そして戦況の拮抗が崩れた瞬間、力が弱まった方、すなわち敗者となる側へと蓄積していた全エネルギーが一気に注がれる。
この時は敗れたボリクスがこのエネルギーを受ける羽目となりそのまま凄絶に絶命した模様。
 
後の【ダイ】とハドラーの戦いでこの真竜の戦いが再現され、バーンがキルバーンに解説している。
ヴェルザー直属の部下であるキルバーンなら知っていたのではないかとも思うが、原理こそ判明しているがこれほどの凄まじい事態になるには最上クラスの戦士が限界レベルで互角に近い戦いをしなければならず、そのような機会はまず起きないので実際に見たのは初めてだったのだろう。
この時は投げ込まれた【鎧の魔槍】の仕込みナイフが一瞬で蒸発する程の苛烈なエネルギーフィールドであった。
しかし、結果として敗れたハドラーは、ボリクスのように絶命しておらず、執念で再び立ち上がった。

バーンとの協定締結

真竜の戦いより後、ヴェルザーは魔界の覇権を争いバーンと衝突。
自分が魔界の神となりいずれは地上に進行して太陽を我物にしようと野心を抱いていたが、奇しくも対立していた大魔王バーンも同じ志を抱いていたため、
『各々が神になるための戦略を進め、成功(太陽を手に入れること)した方に従う=部下になる』
という彼の賭けの提案を受け入れ協定を結ぶ。
 
とはいえ、ヴェルザーは「地上を手に入れ支配したい」のに対し、バーンは「地上を消し飛ばして太陽の光を魔界に降り注がせたい」と思想の違いがみられる。
地上を標的にしているという点こそ共通しているが、最終目的の共存は明らかに不可能であり最終的な利害は真っ向から対立することになる。
協定締結後バーンの元へ監視役兼暗殺目的で友好の証と称してキルバーンを派遣、バーンもその目的を平然と指摘する等、互いに妨害こそしないものの全く信用はしておらず、実質的には仮初めの不可侵条約でしかないようだ。

バランとの戦い

大魔王バーンの地上消滅計画を察知し、準備不足ながら先手を打って地上へ侵攻しようとしていた所、ダイの父親であり【竜の騎士】である若かりし頃のバランに察知され、激戦の末に倒されてしまった
ちょうどこの時、地上ではハドラーが魔王を名乗り世界征服に乗り出していたが、ヴェルザーと比べれば黙殺もやむ無しと判断された。本来成敗に出てくるはずの竜の騎士に代わって、人間の勇者である【アバン】らとの激戦を繰り広げている。
バーンの計画が誰にも察知されずに進められたのも、ヴェルザーが先走ってバランの注意を惹き付けた事が少なからず影響していると考えられる。
 
このバランとの戦いの中で、一度だけヴェルザーは魔界の超爆弾「【黒の核晶】」を使用している。
バランをある大陸に誘い出し、大陸ごと爆破して消滅させる算段だったが、結果はバランに大ダメージを負わせはしたものの倒しきれず大陸は消滅、領地だけを失う結果となった。
そのため、地上及び魔界の「支配」を望み領地にこだわるヴェルザーは、支配する土地を消失させては本末転倒と表立って黒の核晶を使うことはなくなった(その後に使ったのは同格のバーンを殺す目的でキルバーンに搭載されたものだけである)。
 
バランに一度倒されはしたが、所持している不死身の魂により復活することができる特殊能力が備わっているためいずれ時が来れば蘇る筈だったが、転生の輪に入ろうとしていたところで天界の精霊たちに魂を封印され、石像となって魔界の奥地に幽閉される。
これにより、ヴェルザーは自身の地上への進出を断念せざるを得なくなり、彼の地上支配計画は頓挫してしまう。
ちなみに身動きは取れなくなったが、魂が封印されただけで死亡した訳ではないため、この状態でも会話や自身の像を地上へ投影する事は出来る。
 
2021年7月10日公開の【ダイ好きTV】#30にて、バランとヴェルザーが戦った舞台は「ヴェルザーが地上の寸前くらいにひそかに作り上げた前線基地的な地底の空間というのが僕のイメージでした」と原作者により語られた。
つまりヴェルザーは地上侵攻の寸前まで駒を進めていたということになる。
原作ではヴェルザー討伐時の空が明るかったため、激しい戦闘の中で地底の空間の天井が抜けた可能性もあるが、地上の人々には最後まで察知されることはなかった。

その後

未だに地上の支配を諦めていなかった彼ではあるが、大魔王バーンの地上破壊計画がほぼ完了した際に、祝辞を述べるために投影で唐突に顔を表す。
 
身動きがとれない彼に対して、この後は天界に攻め込んで封印を解いてやろうか?とバーンは言葉をかけるが、プライドを傷つけられたらしく、無視して姿を消す。
 
姿を消す際にダイを見て「父には遠く及ばぬ」と評価したが、これは地上破壊を止められず戦意喪失していたダイと、殺気と覇気に溢れていたバランとを比較した結果であり、竜魔人になり、それを得たダイを見れば評価を改めただろう(実際はダイの力はバラン以上だと認識している)。
バーンも「バランよりもあらゆる点でダイの方が上」と負け惜しみであるとした上でバランのような殺気を放っていない点だけがバランに負けていると挙げている(この時のバーンの台詞を額面通りに解釈すると、『真大魔王バーン > 双竜紋ダイ > 竜魔人バラン > 冥竜王ヴェルザー』という図式になって、魔界の覇権を争ったバーンとヴェルザーの間に随分と実力差があるように見えてしまう。しかし、本編ではバランがヴェルザーを単独で倒したという明確な話はなく、バラン自身の加齢による衰えの可能性があるため、実力差については真相不明。また多少実力差があったところで、ヴェルザーはただ討伐してもいずれ復活し、バーンもうかつに手は出せないだろう)。
或いは、戦いにおける感情の本質を見ての評価かもしれない。なぜなら、彼の願望である「支配」とは、人間がよく持つタイプのそれとそっくりであり、キルバーンからも「人間みたいだ」と指摘されている通り、彼の精神構造が人間に近いため、感情から生まれる人間の強さの本質を正確に見ることができると思われる。逆にバーンはそういった人間特有の精神から生まれる強さをまったく理解出来なかったため足元をすくわれている。
後にバーンが鬼眼の力を解放したことを察知するとそこまで追い詰めていることを認識している。

余談

荒廃した大地が広がる「魔界」に竜族・魔族を閉じ込めた神々に対して強い怒りと憎しみを抱き、封印されてからも後悔するどころか、益々神々に対する憎しみを更に強くする逆恨みのような執念を見せたり、バーンにわざわざ負け惜しみじみた祝辞を言いにきたりするなど竜族の頂点に立つ大物の割に妙に人間臭く感情的な所があり、
「あの方は欲深いんだ。竜らしくないんだ。まるで人間みたいだよね?フッフッフ…」
と、キルバーンに陰口を言われたこともある。
 
結局彼が最終的にどうなったのかは不明だが、後年の三条インタビューによると(当時のジャンプは連載が更に延長することがありがちだったため)大魔王バーン打倒後の後日談「魔界編」とよばれる構想があったようだ。
 
ヴェルザーが石化したのも魔界編への伏線の一つであり、当初は魔界の有力な3つ(バーン・ヴェルザー・もう一人)の勢力が交わした協定により、「敗者は石になる」という呪いを掛け合っていたという設定だった。なおダイに敗れ去ったバーンも死した後に石化している。
しかし、バーン編で完結が決まったことで、3つの勢力ではなくなりバーンとヴェルザーが魔界を二分していたことになり、バランに敗れたヴェルザーは天界の精霊たちに魂を封じられたために石化したという設定になった。
 
ただし、上記のとおり、バランを基準とするとバーンと魔界の覇権を二分していた割にはバーンよりずいぶん弱い印象を受ける。
このあたりを物語の都合から生まれる矛盾ととるか、色々と理由を考察して補完するかは読み手次第だろう。

クロスブレイド

超2弾コレクション2にて【シークレット】として参戦。
必殺技は世界を包む漆黒。

星ドラ

ダイの大冒険コラボのダンジョンイベント「緊急襲来!ヴェルザー」にてボスとして登場。また、ヴェルザーを模した装備が何点か登場している。

DQMSL

2018年5月に実施された2回目のダイの大冒険コラボにて登場。
転生前(Sランク)は作中で登場する岩にされた姿で「ヴェルザー」名義で、転生後(SS)は「冥竜王ヴェルザー」名義で本来の姿となる。
???系でウェイトは32、サブ系統は魔王。
 
特性はAI2回行動とバトル開始時にいわゆる魔王バリアに加えて守備力、斬撃、呪文、息耐性が1段階アップする「黒炎のオーラ」、
攻撃を受けた後にHPとMPを回復する「冥竜の竜鱗」。
特技は敵全体にみがわりを無視してギラ系特大息ダメージを与えた後に継続ダメージ状態にする「魔界の業火」、
敵全体に無属性の息ダメージの後確率で回復封じ・猛毒にする「漆黒の吐息」、敵全体にランダムで必中の無属性体技ダメージを与える「天地鳴動」。
Sランクでは敵全体を確率で即死させ、その後に無属性体技ダメージを与える「戦慄の波動」。
能力値はHPと守備力が非常に高く、MPも高めな耐久型。メラ・イオ・ドルマ無効・ギラ吸収の優秀な属性耐性と耐性UPに加えて、
冥竜の竜鱗の被弾時HP回復により生半可なダメージを与えても倒れない凄まじい耐久力を持つ。反対に攻撃力、素早さ、賢さは低い。
また、魔王バリアのおかげで目立たないが状態異常耐性も実は低い。

実装当初は魔界の業火の性能が凄まじく、対策も困難だったため大活躍していた。
当時は上位波動持ちやこいつを行動前に倒せるほどの火力を持つモンスターが少なく、ほぼ確実に魔界の業火を撃てたためだ。
しかし、後に新生転生【オルゴ・デミーラ】ゴア・サイコピサロなどの天敵が登場してからは鳴りを潜めていった。

新生転生

後に2020年10月にダイコラボにより新生転生が行われた。
特性に「炎と雷の使い手」、「被ダメージ上限999」、戦闘開始時に発動し、相手が力尽きた際に敵全体に残HPの10%のダメージを与え、更に確率で息防御力を下げる「真竜の戦い」が追加。
特技は敵全体のみがわり無視のメラ系の特大息ダメージに加え継続MP減少状態を付与する「冥竜の業火」、威力と攻撃回数は天地鳴動と同じだが、体技防御低下がついた「真・天地鳴動」。
また、新生転生を行うとバギ系耐性が通常から無効に変更される。新生転生で耐性が強化されるのは史上初の試みで、後に【ヒヒュドラード】【ジェノダーク】などの新生転生の際にも行われた。
耐久力の強化や二種類の属性を使えるようになったため対応できる範囲が広くなり、再び表舞台へ返り咲くことに成功し、採用率は高い。
ただし、依然としてオルゴ・デミーラが天敵である他、上位波動持ちも増えているため動けるようにサポートはしてあげたい。

魂の絆

原作ストーリー【竜の軌跡】では原作通り【バラン】【バーン】【キルバーン】に言及されるのみ。
【絆の旅路】に至ってはエピローグで【キルバーン】が少し言及するのみである。