【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】

Last-modified: 2023-12-03 (日) 17:22:56

公式Web

ダイの大冒険ポータル(サイトX(旧Twitter)
2020年版アニメ公式(サイトX

概要

原作漫画の正式名称は『DRAGON QUEST ―ダイの大冒険―』
原作【三条陸】、漫画【稲田浩司】、監修【堀井雄二】
ドラゴンクエストの世界設定を踏襲した冒険ファンタジー漫画で、1989年から1996年まで【週刊少年ジャンプ】で定期連載された。これはナンバリング作で言えば【天空シリーズ】3作品の発売時期と重なっている。
ジャンプ黄金期を支えた作品の一つであり、DQファンからも高く評価されているドラクエ漫画の金字塔。
多くの技・呪文などの設定がナンバリング作を含む後のゲーム作品に逆輸入された。
1991年(全46話)、2020年と2度にわたってアニメ化されており、いずれも【東映アニメーション】(旧:東映動画)が制作している。
 
海外版(アニメ・コミック)では「ダイ」は "FLY" に置き換えられている。これは「死」を意味する英語の "die" との音の重なりを避けたものとされている。
なおフランスではDQ8現地版発売の翌年、コミックのタイトルがオリジナルに忠実な"DRAGON QUEST La Quête de Daï" に変更された。
2020年版アニメやそれに関連するゲーム作品などの海外展開では、ダイの名前は変更されることなくタイトルも『DRAGON QUEST:THE ADVENTURE of DAI』の訳が当てられている。

漫画

DQ4発売前の1989年、ドラクエを盛り上げる宣伝の一環として【鳥嶋和彦】が読み切り漫画掲載を企画。
ゲーム版のシナリオをそのまま漫画化するのは先の展開を知ってるからつまらないと堀井が意見した事により、ドラクエの世界観と設定を借りたオリジナル作品となった。
その特別読切『デルパ!イルイル!』が宣伝企画として異例の高順位だったことから連載化が決定され、本格連載の布石となる特別読切第二弾『ダイ爆発!!!』を掲載したうえで連載開始。
この経緯の為、上述の特別読切二本は連載版の前日談となっており、『ダイ』単行本でも連載版第1話の前に掲載されている。
総話数は読み切り5話+ジャンプ連載344話(単行本では第300話と第301話が統合され343話)。また番外編が1話だけ存在する。
 
「魔法は契約という儀式とレベルアップによって使用可能になる」「人によっては絶対契約できない呪文もある」など、ゲーム上のシステムを無理なく表現することや、【……知らなかったのか…?大魔王からは逃げられない…!!!】といったDQファンをニヤリとさせる台詞回しに定評があり、オリジナル技を織り混ぜつつもDQらしさを演出しており、終盤あたりから特に作品独自のストーリー展開やキャラクター毎の設定を深める方向にシフトし、現在に至るまで高い評価を得ている。本作の特徴として非常に計算された構成力の高さが挙げられ、最序盤から張り巡らされた伏線とことごとく作劇のツボを押さえた場面作りを意識的に投影した、プロ脚本家である原作者ならではの脚本演出の「基本」を徹底して押さえた作りになっており、複雑な展開でも非常に読みやすく、かつ読者はカタルシスを覚えやすいという構成になっている。
また、前述した台詞回しの秀逸さには殊更に定評があり、敵味方を問わず真似したくなるような名台詞のオンパレード、特に後半から終盤にかけては畳み掛けるかのごとく名台詞の嵐で、現在まで非常に高い評価を受ける最大の要因の一つとなっている。
ちなみに「生命」と書いて「いのち」、「奇跡」は「奇」の表記が一貫して用いられているのも特徴。
 
作中では本編開始から終了までの時間経過はおよそ3ヶ月程度でしかなかったというのは有名な話。
とはいえDQなどのRPGはよほど変則的なプレイをしてない限り数ヶ月もあればラスボス撃破までこぎ着けるし、レベル上げなどを頑張りさえすればごく短期間のうちに見違えるように強くなれたりもする。
日数的にはかなりの駆け足だが、もしかしたらそうした点をイメージしたのかもしれない。
キャラクターの魅力や秀逸な台詞回し、同掲載誌では類まれな伏線消化など人気作たり得る要素も多数持っており、実際連載終了から20年以上経った今なお衰えない人気を保っている。
ちなみに後に三条陸が関わっている作品に影響を及ぼしているシーンがいくつか登場している(主にビィトやキョウリュウジャーなど)。
 
本作の特徴としてはもう一つ、単純に"世界を救うヒーロー"だけではない、【勇者】という称号について回る負の部分を丁寧に描くという、当時としても珍しい点があげられる。
人々の期待という重圧やその称号に見合った自己犠牲的行動、「狡兎死して走狗煮らる」な末路の暗示など、決して英雄として称賛されるだけではない「生々しさ」が印象的。
 
ゲーム版のDQでは勇者=自分(の思い描いた英雄像)であるため、プレイヤー各自の想像による解釈が可能であり、またその範疇に収めておくべきものであった。
つまり本作のように実際のシナリオ・システム上で明確に描いてしまえばただのストレス要因にしかならない部分でもあり、DQ本編というゲームとして面白いものを、読み物としても面白くするバランス調整は大変だということが浮き彫りになった例だろう。
昨今では人間像を深く掘り下げるストーリー手法も馴染み、主人公が英雄像とは限らなくなってきたが、そうした作品群が台頭しだすよりも前のことであり、なかなか思い切った発想だったとも言える。
 
なおダイ大の連載された時期はゲームハードがファミコンからスーパーファミコン(さらに末期にはPlayStationやセガサターン)へと移行し、ゲームの普及や人気の定着に伴って「シンプルな勧善懲悪」モノは飽きられつつあった。
そのためエンターテインメント全体が新たな方向性を模索し、DQシリーズでもAI等新機軸の導入や自由度からストーリー重視の作風への転換が進みつつあった(例えばDQ4ではラスボスにもドラマ性が与えられ、DQ5は主人公の半生を丁寧に描き、DQ6は""と"現実"を行き来する壮大なストーリー…といったように)。
そして各種新型機はFCから大幅に上がった性能を誇りながら、なおもゲームでは表現が難しい部分が(シナリオ面にも)大きかった。
そんなタイミングにおいて、"DQが持つ底知れない可能性の一つを垣間見せた冒険作"というのが本作の総評といえようか。

刊行形態

原作連載当時に刊行されたジャンプコミックスの単行本は全37巻。
 
2003年~2004年にかけて、集英社文庫<コミック版>として全22巻に再編して刊行。各巻ごとに章タイトルがつけられている。
文庫版では、単行本に掲載されていた呪文大全とキャラクター・プロフィールが未収録となってしまった。
また扉絵ページの多くもカットされているため、原作DQ風のステータス表示や武器解説も未収録。
 
2020年~2021年にかけて、後述の新アニメ版放送に合わせて新装彩録版が刊行。
全25巻に再編され、5巻ごとに一区切りとなり章タイトルがつけられている。第3巻までは文庫版と区切りが同じだが、それ以降は区切り及び収録話数が異なっている。
なお新装彩録版とは雑誌掲載時のカラーページを再現し表紙を描き下ろしたいわゆる「完全版コミックス」なのだが、ジャンプコミックスと同サイズの判型のためか、このような名称がつけられている。
文庫版ではカットされた呪文大全とキャラクター・プロフィール、扉絵も再集録。各章5巻目の巻末にはイラストレーションギャラリーとして、当時のジャンプや単行本の表紙イラストなども収録されている。
一方で単行本や文庫版と比べ、社会情勢の変化による表現の差し替えが一部に存在する。

  • 「邪悪の六芒星」の描かれた場面は内部の線を消す処置がとられ「邪悪の六星」表記となっている。
  • ラーハルトの「オレもディーノさまと同じ混血児なのさ」が「オレもディーノさまと同じなのさ」に修正されている。

デザインワーク

通常モンスターやその派生キャラなどは当然DQシリーズ準拠だが、本作オリジナルのモンスターや登場キャラクターの衣装などは複数の人間が関わってデザインされている。
 
特別読切時代や連載初期は、三条陸がシナリオだけでなく人物や【パプニカのナイフ】などのラフデザインを考案して稲田浩司に渡していた。
しかし魔軍司令ハドラーを考えたあたりから間にプロのデザイナーを挟んだ方が良いと思うようになり、友人である神田正弘にキャラクターなどを発注するようになったという。このため「大冒険への旅立ち!!の巻」における六大軍団長のイメージ図は三条陸のラフデザインに基づいており、クロコダインのシルエットに角があったりする。
その後は主要な敵キャラクターなどは神田正弘に発注し、端役などは三条陸と稲田浩司でデザインしていたという。
しかし連載後期になると神田正弘が別の仕事で多忙になったため、三条陸は妻の友人として既知の間柄であった戸橋ことみに話を持ち掛け、復活アバンの衣装が戸橋ことみの初デザインとなっている。
 
これ以外では、読者から公募したデザインを基にして、作中に登場させる企画が実施されている。
連載中盤にはダイたちの新コスチュームが募集され、ロモス武術大会のあたりから本編に登場している。なおポップの衣装だけは登場が遅く、そのうえ杖は初戦で切られて投擲武器にされて溶かされるわ、服はあっさり燃やされるわと散々な扱いであった。作画が大変だったのだろうか。
連載終盤にはオリジナルモンスターが募集され、受賞作である【ハイパーザボエラ】【ジャッジ】【ドラムーン】は漫画本編へ登場している。

スピンオフ

【月刊Vジャンプ】2020年12月号より、青年期の勇者【アバン】を主人公にその宿敵である魔王【ハドラー】やその部下たちとの戦いを描いたスピンオフ作品「勇者アバンと獄炎の魔王」が連載開始(11月号にはプロローグが掲載)。
原作:三条陸。漫画:芝田優作。
芝田の父・芝田浩樹は東映アニメーション所属のアニメーターで、旧アニメでは一部の回の演出や劇場版2作目の監督を務めた。
 
企画会議では続編案も出たが、「新アニメからダイに触れることになる新しい読者へのネタバレにならないようにしたい」という三条の意見を取り入れ、勇者アバンの若かりし頃を描くことになった。
 
2022年12月2日には原作・監修:三条陸、漫画:稲田浩司、小説:山本カズヨシによる小説「【ドラゴンクエスト ダイの大冒険 それぞれの道】」が発売。
原作の空白を埋めるエピソードとしてダイの弟子(ダイ)、海賊船あらわる(ポップ)、マホイミを習得せよ(マァム)、鬼岩城へ(ヒュンケル&クロコダイン)、レオナの休日(レオナ)の5編を収録。

ゲーム作品との関係

DQシリーズへの影響

ゲームには存在しないオリジナルの呪文特技が登場するのは関連作品にはよくあることだが、ダイの大冒険のオリジナル呪文特技は極めて語感が良く、抜群のネーミングセンスを誇っている。
その結果、【ギガブレイク】【メドローア】など、本作オリジナルの技や呪文などが数多くゲームへ逆輸入され(詳細はダイの大冒険を参照)、【閃光烈火拳】【国王会心撃】といったパロディ的な形で取り入れられたものもある。
このほか、装備限定技の元とされる【閃華裂光拳】や、【…今のはメラゾーマでは無い…メラだ…】に代表される、使用者の力量で威力が変化する描写を入れ、【かしこさ】によって変動することに影響を与えたとも言われる。
またDQ11では大地斬をはじめとしたアバン流の剣技が勇者の特技として登場。モーションも【アバンストラッシュ】同様の逆手持ちになっており、できるかぎりの再現を図っている。
ストーリー面でも異変後のストーリーに今作を意識した要素が見られる。特に【六軍王】はその印象が強い。
【強モンスター】も「魔王の邪悪な意志の影響を受け凶暴化」というのがデルムリン島のモンスターたちがハドラーの影響を受け凶暴化したことを彷彿とさせる。

DQシリーズへの出演・コラボレーション

長らく特技や呪文のみの逆輸入であったが、2016年12月~2017年4月の星ドラとのコラボでついにキャラクターの逆輸入が実施され、ゲーム側での夢の共演が実現。また各キャラクターの装備品も登場している。
さらに2017年4月よりDQMJ3Pのバージョン1.1でダイの大冒険のモンスターが登場するようになり、同月よりDQMSLやモンパレでもコラボが実施された。
コラボ時期を考慮すると、20周年+この参戦に合わせて権利調整をまとめて行ったものと思われる。
 
2020年11月にはDQウォークとのコラボを行っており、その後もタクトやドラけし!でコラボイベントが実施されている。
なお後述の新アニメ放送以後に行われるコラボ企画では、非DQ作品と実施されるものも含め、基本的に新アニメ版に基づくデザインや声優で登場するようになっている。
その為2022年の星ドラとのコラボはアニメ版に根拠しており、限定装備も「アニメ版○○」という名称のものが新たに登場した。

DQシリーズ以外への出演・コラボレーション

ジャンプ関連作品

連載当時は【ドラゴンボール】を筆頭に今なお語り継がれる名作たちがしのぎを削った「ジャンプ黄金期」の真っ最中であり、本作もまたそれに名を連ねるに十二分に値する名作である。しかし作品名に「ドラゴンクエスト」を冠しているが故に権利関係が面倒くさいことになっており、ジャンプ関連のオールスターゲームなどには長らく出演できなかったという悲運な側面もあった。
実際、DQ5発表時の『ファミコン通信』1990年26号のインタビュー記事で、堀井雄二が自身の関わる『ファミコンジャンプⅡ』(1991/12/2発売)に触れた時、次のように述べている。

――少年ジャンプ誌上で、『ドラクエ』の漫画(=ダイ大)を連載してますよね。ということは『ファミコンジャンプ』にも『ドラクエ』がでたりして?
堀井 ああ、それね。いちおう『ドラクエ』の漫画ははずしてるよ。そうしないといろいろ矛盾が生じたり、つじつまが合わなくなる可能性もあるから。ユーザーも混乱するだろうし。

しかし連載終了から22年後の2018年、スマホアプリ『週刊少年ジャンプ オレコレクション!!』『ジャンプチヒーローズ』にて登場を果たし、ダイやポップ、魔王軍が登場した。
2019年発売の『JUMP FORCE』では、ダイのみが登場。旧声優による唯一の音声収録となっている。

それ以外の作品

2020年版アニメの放映以来、スクウェア・エニックス内外の他IPのスマホゲームとのコラボレーションが行われるようになった。

  • 『モンスターストライク』(2021年7月15日~)
  • 『パズル&ドラゴンズ』(2021年8月30日~、2022年3月7日~、2023年1月23日~)
  • 『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』(2022年1月20日~)
  • 『ガーディアンテイルズ』(2023年2月8日~)

『ダイ』のゲーム作品

連載当時にはゲーム化されていないが、2020年の再アニメ化と併せてゲーム化プロジェクトも同時に始動し、アーケード・スマホ・コンシューマ機の3作品がリリースされている。
【ドラゴンクエスト ダイの大冒険 ゲームプロジェクト】を参照。

アニメ版(1991)

1991年にアニメ化され、同年10月17日から翌1992年9月24日まで放映された。
全46話。木曜日19:00~19:30、TBS系列で放映。
ドラクエ関係のアニメ作品としては【ドラゴンクエスト~勇者アベル伝説~】に次ぐ2作目となる。
 
オープニングテーマには、【すぎやまこういち】の書き下ろしである【勇者よいそげ!!】、エンディングテーマには【この道わが旅】(いずれも歌唱付き)、スポンサー紹介時のBGMには【Love Song 探して】が使われたほか、作中でもDQシリーズのアレンジBGMがふんだんに流された。
 
基本的に原作に忠実で、オリジナルストーリーなどは基本的に皆無である。しかし原作では触れられなかった細かな描写や場面などが上手く肉付けされており、アニメ作品としての完成度も折り紙付き。
しかし…
 
視聴率的には問題なかったようだが、TV局の番組改変の枠取りによって原作コミックス10巻の4割(つまり全体のわずか4分の1)程度までで打ち切りとなった。
よりにもよって「バラン編」と呼ばれる作中でも特に人気の高いエピソード寸前での打ち切りでもあったため、後述の2020版アニメの発表まで、再アニメ化要望の声は絶えなかった。ちなみに竜騎衆のダイコロが発売されたが、ダイの記憶が奪われるあたりで終了となった。
 
なおアニメ版は元々1年のみの予定であり、それ自体は計画通りであったのだが、延長を前提とした構成になっていたため竜騎衆登場付近で終了してしまうことが発覚。日時を変更して存続などの代替措置もなかったため、バラン編のラストを改変の上、記憶抹消に耐え抜いたダイがバランを撃退するという形で終了となった。(PERFECT BOOKより)
もっとも、当時は連載ペースが単行本12巻(地上最大の攻防!!の巻)までだったので、どちらにしても途中で終わらざるを得なかったであろう。アベル伝説のように後から続編が作られて完結までされなかったのは惜しまれるところだが…。
 
VHSビデオの発売も行われた。
後述の2020年版アニメの発表後には、2020年1月6日より1991年版のオンライン配信が開始された。同年7月3日には下記のアニメ映画版3作を含んでBlu-ray Discで発売された。

アニメ映画版

東映アニメフェア作品として他作品と同時上映という形だが映画化もされており、

  • ドラゴンクエスト ダイの大冒険
  • ドラゴンクエスト ダイの大冒険 起ちあがれ!! アバンの使徒
  • ドラゴンクエスト ダイの大冒険 ぶちやぶれ!! 新生6大将軍

の3作が上映された。
このうち1作目はテレビ版のパイロット版であり、レオナとの出会いからハドラー復活までを再構成し、本編ともアニメ(1991)とも違うパラレルな世界感になっている。
2、3作目はアニメ(1991)の番外編で本編の時系列に組み込んでも違和感のない作品となっている。
1作目は長らくソフト化に恵まれずブルーレイ発売まで日の目を見なかった。

アニメ版(2020)

2019年12月21日、1991年版アニメの終了から28年ぶり、原作完結から24年ぶりとなる2020年秋に完全新作でアニメ化されることが発表。
その時公開された動画には、【ダイの剣】が墓標のように突き立てられた図(原作のラストシーン)が映されていた。
BGM担当者は林ゆうき。再アニメ化に合わせて展開される各種ゲーム作品でも林の曲が使用される。
セルアニメとCGとのハイブリッドで、主にキャラクターはセル画、モンスターを集団で描くシーンなどはCGで描かれている。
モンスターのCGは、スクエニから提供された参考素材を元に東映側で改めて作成している。
 
2020年10月3日から2022年10月22日まで、毎週土曜日9:30~10:00、テレビ東京系列で放映されていた。全100話で、DVD・Blu-rayは全8巻が発売中。
主題歌はOPは1年目は【生きるをする】、2年目は【Bravest】。背景には、旧アニメ版では登場せずに終わった【ジャンク】の姿が描かれている。EDは「mother」で、どちらも歌・編曲はマカロニえんぴつ(作詞・作曲はギター&ボーカルのはっとり)。
主題歌は後述の第3クール以降も含め、スポンサーの一社であるトイズファクトリー所属のグループが担当。
サウンドトラック及びBlu-rayソフトはavexからの発売となる。
玩具メーカーであるタカラトミーはアーケードゲームの運営と、各種関連商品を発売している。なおタカラトミーは2006年にタカラとトミーの合併により誕生した会社だが、このうちタカラは1991年版でもスポンサーを務めていた。
 
初回では冒頭から多くの主要登場人物が姿を見せた他、【キラーパンサー】などDQ5からDQ10までのモンスターが序盤から登場したり、【ダイ】【ロモス】へ行かずニセ勇者一行との戦いがデルムリン島近海の船上で行われたり、一行と戦うのが【ドラゴン】に変更されたりするなど、原作のアレンジが見られる。
また、一話から【バラン】【アルキード王国】を滅ぼすシーンや、その後赤ん坊のダイが【デルムリン島】に流れつくシーン、【メガンテ】を唱える瞬間【アバン】【フローラ】を脳裏に浮かべるシーン、【まぞっほ】に勇気づけられた【ポップ】の胸のしるしが緑に輝くシーンなど、原作完結済みの強みを活かした、後のストーリーを踏まえた演出が各所に見られるようになった。
そして原作終盤の絵柄や雰囲気も重視されているが、そのためにギャグ性の強いシーンはカットもしくは表現が抑えめにされている。そんな中で、鼻水を垂らしながら驚愕するシーンだけはしっかりと維持されており、シナリオのト書きにも「ハナタレ驚愕」と指示書きされているという。
 
一方、旧アニメ版に比べると個々のやりとりが矢継ぎ早気味に済まされるなど全体的に進行が早く、存在そのものがカットされているやりとりが序盤から散見される。
【バラン】とダイの出会いを例にしても旧アニメ版では42話だったのに対し、新アニメ版では23~4話であるなどかなり差がある。
旧アニメ版の時は当時連載中の原作に追いつかないようにオリジナルのシーンで引き延ばしが多々見受けられたし、新アニメ版は全100話完結なのでそんなにゆっくりめに描写するわけにもいかないのだろうが…。
シリーズ構成である千葉克彦によれば、主要な話をカットせずに原作約350話をアニメ100話で収める方針としたため、後半になって収まりきらない可能性を考え特に前半を詰めた結果だという。
 
2021年4月1日(【エイプリルフール】)でのアニメ公式Twitterでは、ニセ勇者一行が主役の座を乗っ取った。
同月の放送(3クール目以降)からはEDはXIIX(テントゥエンティ)の【アカシ】となり、アニメ本編も91年版で打ち切りになったストーリーよりも先の物語が展開されている。
5クール目からはEDがハンブレッダーズの【名前】、7クール目からはミテイノハナシの【飛ぶ鳥は】?になった。
 
2022年8月11日には東京・池袋サンシャインシティ文化会館ビル2階展示ホールDにて初のリアルイベント「ドラゴンクエスト ダイの大冒険展 ~勇者の軌跡 いざ最終決戦へ~」が開催された。

表現に関する変更点

連載当時からの規制や情勢の変化や、海外での展開が行われることもあって、一部の表現には手が加えられている。

  • 【ずるぼん】の衣装にある【十字架】が、DQ9以降で用いられる逆Y字状のものに変更。
  • 魔王軍のシンボル「邪悪の六芒星」が、六角形を強調し対角線となる頂点を二つの曲線で結んで外側にもう一つ六角形を配置した、六芒星を連想させにくいものに変更。また、「六角魔法陣」という呼び方に変わっている。
    なお、これらの星は原作時点から別個の色が割り当てられているが、新アニメの「六角魔法陣」では色の配置が異なっている。
  • 性的な表現への対応。場面のカット、直接的な描写を見せないなど。
    • 特に顕著なのが【マトリフ】で、直接的な行動はせず発言のみに。それはそれでセクハラではあるが…。
  • レオナからダイへの第一声が「チビ」から「小さい」に変更。(但し、デジタル放送の番組紹介には「チビッ!」と記載。)
  • 流血表現はあるが、鮮血ではなく濁った色で描写され、モンスターなどの血は青緑色(銅を含むヘモシアニンに近い色)で描かれる。
  • 「女の膝枕~」や「マァムよりキツイって…それ本当に女かよ」→「それじゃ鬼じゃん」等、「女」と性別を指す部分は削除ないし変更されている。
  • 【フレイザード】【マリン】の顔を焼く描写がマイルド化。また、【アポロ】が「貴様女の顔になんてことを!」と非難する台詞が「貴様マリンに何という真似を!」に変えられている。それに伴いフレイザードの返答も変えられている。
  • 武闘家になってからの【マァム】【武闘着】の下に黒いスパッツを履くように(原作では生足)。激しいアクションでパンツが見えないというのは不自然だからだろう。

不正アクセス被害とその影響

2022年3月、東映アニメーションが不正アクセスの被害を受け、アニメ制作を一時停止せざるを得なくなる事態が発生。
『ダイ』2020年版を含むTVアニメシリーズ4作品と、4月公開予定だったドラゴンボール劇場版が対象となってしまった。
被害発生経緯については再開発表時に公表され、社員がダウンロードしたデータにランサムウェアが仕込まれていたことが原因だとされる。
 
第73話の放送に合わせてクロブレと魂の絆ではアバン復活キャンペーンが予定されていたのだが、よりにもよってそのタイミングでの放送中断となってしまった。
このためキャンペーンは延期することができず、アニメ初見の視聴者にはネタバレとなりかねない状況で、なぜアバンが新衣装でいるのか詳細を触れられないまま実施されている。
一応のフォローとして、『ダイ』ポータルサイトでは「アニメ第73話のネタバレである」と断りを入れた上で、原作の該当エピソード4話分を期間限定無料公開している。
 
約一か月後の4月6日、TVアニメ4作品の放送再開時期が発表。
『ダイ』は中断前の放送回である第72話を再放送した後、4月16日より新作エピソードの放送が再開されることとなった。
これにより本来の放送予定から5週間分の遅延が発生している。ただし元々総集編が一回放送予定だったとも言われており、その場合は4話分の遅延となる。
第72話はダイ達がダイヤ・ナインに閉じ込められた状況で終わったため、視聴者の一部からは「ポップが一ヶ月【ヒャダルコ】で耐えている」と話題にされている。
 
Vジャンプの『勇者アバンと獄炎の魔王』連載はアニメの放送内容との連動を三条陸が公言しており、【ザムザ】登場や【サババ】訪問はアニメと『勇者アバン』でほぼ同時期に展開されている。
【凍れる時間の秘法】に関するアバン一行の顛末も、アニメ第89話(8月6日放送)と『勇者アバン』第22話前編(7月21日発売)で同じ場面が描写されたのだが、『勇者アバン』では「なぜアバンがロカとレイラを置いて戦いに行くのか」は第22話後編(8月20日発売)へと持ち越された。
分割掲載になった理由の公式発表はないが、上述の放送スケジュールのずれによってアニメ第89話に先行する(遅延がなければ7月9日に放送済みでネタバレにならなかった)のを避けたのではないかと考えられる。
 
総話数が100話であり、この事件がなければ本来は9月24日(第4土曜日)までの放送スケジュールであったと思われる。遅延した4話分は時間帯変更なしでそのまま放送する措置が取られ、最終話は10月22日(第4土曜日)へとずれ込んでいる。
なお不正アクセスによってスポンサー契約が切れた所を今度こそ完結させようという強い想いで東映アニメーション自らスポンサーになり最後まで放送された。

声の出演

キャラ名1991年2020年備考
【ダイ】藤田淑子種﨑敦美
【ポップ】難波圭一豊永利行
【マァム】富永みーな小松未可子
【ヒュンケル】堀秀行梶裕貴
【レオナ】久川綾早見沙織
【アバン】田中秀幸櫻井孝宏
【アキーム】山本兼平
【アポロ】緑川光坂口周平
【エイミ】冬馬由美石川由依
【カナル】相馬康一
【クルテマッカVII世】廣田行生
【クロコダイン】銀河万丈前野智昭
【ゴメス】木内太郎
【ゴメちゃん】冬馬由美降幡愛1作目映画は国府田マリ子
【シナナ】あずさ欣平塾一久
【ジャンク】稲田恵司
【スタングル】佐々木義人
【チウ】堀江瞬
【ネルソン】内海賢二近藤浩徳2作目映画は飯塚昭三
【ノヴァ】岡本信彦
【バウスン】木下浩之
【バダック】田原アルノ多田野曜平
【バロリア】中村源太
【ヒム】三木眞一郎
【ヒルト】相馬康一
【フォブスター】田中健大
【フォルケン】牛山茂
【フローラ】高橋李依
【マトリフ】青森伸山路和弘
【マリン】江森浩子安野希世乃
【メルル】南場千絵子小原好美
【ラーバ】山本祥太
【ラーハルト】石田彰
【ロン・ベルク】東地宏樹
【アルビナス】田村ゆかり
【ガルダンディー】木村昴
【キルバーン】田中秀幸吉野裕行
【ザボエラ】龍田直樹岩田光央
【ザムザ】陶山章央
【シグマ】小林親弘
【バーン】内海賢二土師孝也真バーンは子安武人
【バラン】石塚運昇速水奨
【バルトス】平野正人渡辺いっけい
【ピロロ】江森浩子吉野裕行
【フェンブレン】遊佐浩二
【フレイザード】山口健奈良徹
【ブロック】川島得愛
【ボラホーン】杉村憲司
【マキシマム】玄田哲章
【ミストバーン】難波圭一子安武人
【ミスト】古川登志夫
【モルグ】増田有宏園部啓一
【アルキード王】家中宏
【ヴェルザー】中尾隆聖
【ゴッポル】龍田直樹水内清光
【スティーヌ】小林さやか
【ずるぼん】江森浩子日笠陽子
【ソアラ】山崎和佳奈茅野愛衣
【タラタ】越後屋コースケ
【テムジン】増岡弘中博史
【でろりん】緑川光下野紘
【ナバラ】江森浩子塩田朋子
【ネイル村の長老】不明小形満
【バロン】塩屋翼柿原徹也
【ブラス】田の中勇緒方賢一映画1作目は滝口順平
【へろへろ】堀之紀間宮康弘
【ボリクス】相馬康一
【マザードラゴン】戸田恵子
【まぞっほ】青野武岩崎ひろし
【ミーナ】山田恭子木野日菜
【竜水晶】小林通孝戸田恵子
【レイラ】上村典子折笠愛新アニメの若い頃は小松未可子
【ロカ】三宅健太
【ガルヴァス】柴田秀勝
【ザングレイ】郷里大輔
【ダブルドーラ】江川央生
【デスカール】田原アルノ
【ブレーガン】緑川光
【ベグロム】?山口健
【ベルドーサ】平野正人
【メネロ】川浪葉子

考察

DQ6・DQ7において勇者への転職が可能になったのは、本作において「それで現に救われてる人がいるなら、勇者が百人いたっていいだろう」「勇者はむしろ周囲に勇気を与えるためにいる」といった独自の勇者論が展開されたことが大きいという説がある。
本作だけでも【ダイ】【アバン】【ノヴァ】、偽勇者の【でろりん】も加えると勇者が4名も登場している。
また、【クロコダイン】も「オレは勇者を名乗る大人の戦士と星の数ほど戦った」と言っているので登場こそしていないものの魔王を倒そうと旅した「自称」勇者は多数いたと思われる。
 
ただ、ゲーム作品でもDQ1やDQ3ではかつて多くの勇者が竜王やゾーマを倒そうとしていたわけで、この作品がきっかけでそのような風潮が新たに始まったわけではない。
事実DQ3では、サイモンやオルテガといったサブキャラクターも勇者と呼ばれている。
そもそもDQのヒントとなった作品の一つである『ウィザードリィ』は「任務に成功した者は国王親衛隊に召し抱えると言う条件で、敵のアジトに冒険者を給料0で突っ込ませる」と言う内容であり、当然多数の冒険者(勇者候補)が存在、そのほとんどが志半ばで散っていった。
DQを元ネタとしたコメディである『魔法陣グルグル』でも、国王が「数撃ちゃ当たる」的なノリで多数の勇者を認定しており、DQで勇者に渡される支度金が少ない(衛兵の方が良い装備をしている)ことへの皮肉となっている。なおこの作品の主人公は「称号は勇者だが職業は盗賊」だったりもする。
こうした傾向ゆえか、DQ4以降になるとゲーム開始直後に国王と面会するようなシナリオは無くなった。正真正銘の王女様である【アリーナ】も父親の目を盗んでのお忍び旅行と言う理由が付いている。
 
また、全体像を見れば世界設定そのものが異なり、死者の蘇生が困難なのに強力な呪文・特技は大きなリスクを背負って使用されている。
例として、

  • 魔法が使えれば誰でも使えるが僧侶以外が使うと万に一つも蘇生不能で下手をすると身体がバラバラになる【メガンテ】
  • 使用するとしばらくまともに行動不能な上、一歩間違えれば死んでしまう【グランドクルス】
  • 剣と魔法を同時に繰り出せる人外でなければ使えない魔法剣、【ギガブレイク】
  • MPの半分近くを消耗した上、反射されたら同じ魔法で相殺するしか防御方のない【メドローア】
  • 存在そのものが伝説の範疇でしかない【ザオリク】

など。
 
また、勇者を「勇気ある者」として描くことで、勇者最大の武器を「勇気」としており、これが周囲を奮い立たせる役割の源流になっている(肩書きどおり本人がまず勇気を必要とする)。
一方で、上記で言われている「選ばれた者というポジションが喪失しているのではないか」という点も、本作では選ばれた者の地位を【竜の騎士】という形で「ドラゴンクエスト」に相応しい名前を以って登場させ、「2つの意味での勇者」を両立させている。

その他

  • サブタイトルが「ダイ」の「大」冒険と、ちょっとした言葉遊びになっており、連載開始前の読切版第二弾のサブタイトルが「ダイ爆発!!!(大爆発)」となっていることから考えても、意図的にタイトルにこの駄洒落を組み込んだと思われる。
  • 連載開始時の『週刊少年ジャンプ』1989年45号(10月23日号)の巻頭カラーページではまずDQ4の初出し情報(オープニング・各章タイトルの画像紹介)、次にアニメ『ドラゴンクエスト』(いわゆる「アベル伝説」)の放映前情報、そしてダイ大の冒頭カラーページと繋がっていて、まさにDQ4発売に向けてのメディアミックスぶりが凝縮されている。
  • 「主人公の身内が敵幹部」「ヘタレキャラが勇気を振り絞って大活躍」「敵ボスは変身&主人公を勧誘する」など、いわゆるお約束展開をうまく纏め上げており、2chの作劇におけるお約束展開について語るタイプのスレでは頻繁に話題に上り、一部では聖典とまで評されるほどである。
  • 人気少年漫画の宿命として「ラスボス後の連載延長」が関係者から求められ、原作者も備えとして伏線を張りつつ5年後を舞台とした「魔界編」の構想を練っていたが、結局は予定通りの完結となった。

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【ドラゴンクエストIV外伝 地獄の迷宮】(作者が同じ)