【鎧の魔槍】

Last-modified: 2024-02-26 (月) 00:49:11

ダイの大冒険

【ドラゴンクエスト ダイの大冒険】に登場する武器。魔界の名工【ロン・ベルク】の代表作である、「鎧化(アムド)」系の武具の一つで、槍と鎧が一体化している。鎧化武器の例に漏れず『【デイン系】以外の呪文を無効化する【オリハルコン】の次に堅い金属』でできている。
 
経緯は若干不明瞭だが、【バラン】直属の竜騎衆が一人、陸戦騎【ラーハルト】愛用の槍。
普通に考えればロン・ベルクが作成したのち、鎧の魔剣や光魔の杖と共にバーンに献上された物が、槍使いのラーハルトに丁度良い戦力増強としてバラン経由で下賜されたと考えるのが素直な流れだろうか。
この槍は激闘を交わした【ヒュンケル】に引き継がれ、ロン・ベルクの手で改良されつつ長らく活用されるが、物語終盤で蘇ったラーハルトの手に再び戻った。
また、【アバン】もラーハルトから【ミスト】戦で槍本体を、【バーン】戦では鎧に仕込まれた剣を借り受け利用している。

所有者の変遷

鎧の魔槍がラーハルトから譲られるという流れは、敵幹部から頼れる味方になったヒュンケルの衣替えという意味も持っている。
 
不死騎団長として全身を覆う【鎧の魔剣】を装備したヒュンケルは、表情の見えない鎧姿で底知れない迫力を持つ悪の幹部という演出であったが、味方となり頼れる戦士兼美形の兄貴という立場になった後は、表情の出しにくい鉄仮面のような兜が邪魔になってしまった。
ハドラー戦では戦いの後に脱げ落ち、そのまま拾わずダイ達に合流に向かっている(旧アニメ版では、兜につけたまま剣を変形させた負荷によるものか破損してしまったという形になっている)、ラーハルト戦においては挨拶代わりの一撃で早々に兜が破損し顔が見えるようになる。
漫画としては表情を描写する都合から兜は無いほうが良いが、毎回のように兜だけ破損するのでは不自然になってしまう。
そこで登場したのが「鎧の魔剣の兄弟とも言える同等クラスの武器」であり、「ヒュンケルの特徴的なギミックである鎧化もできる」鎧の魔槍だったのである。
鎧の魔槍は、単にヒュンケルの表情の見える鎧への変更のみならず、ヒュンケルとラーハルトの男の友情、それによるバランからは聞きだすことはできないダイとバランの過去の説明、さらにはダイとの武器被り解消という一石四鳥をなしとげ、強烈な存在感を持つ武器となった。
 
ヒュンケルに敗れたラーハルトは力尽きる寸前にバラン、ひいてはダイの為に魔槍を彼に託す。その直後のバラン戦にて魔剣は焼失したためヒュンケルはこれを機に槍使いへと転向するのだが、流石のヒュンケルも槍については全くの素人であったため、アバンの書に記されていたアバン流槍殺法を読み解き、槍の扱いに熟達するために修行の旅に出て、自在に槍を扱えるようになった。
バーンとの初戦における敗北でかなりの損傷を受けたため、【ダイの剣】と共にロン・ベルクの下に帰還、改良修理される事となる。その後最終決戦にてヒュンケルと共に戦い続けたが度重なる戦闘と負傷によってついにヒュンケルは戦線離脱、復活したラーハルトに魔槍は返却された。
ラーハルトの手に戻るまでヒュンケルは魔槍に向かって「友」と呼びかけることが多く、死闘と友情を交わしたラーハルトの分身として愛着を持っていたようだ。
 
最終決戦に入りヒュンケルが激闘の末にリタイア、同時に本来の所有者のラーハルトが復活し彼の元に戻った魔槍だったが、異常な防御力を持つミストバーンとの戦いによる度重なる衝撃の蓄積で穂先が目に見えて傷みだし、バーンとの最終決戦ではラーハルトが玉砕した際についに槍本体がバラバラに大破した。
魔剣の場合は刀身が失われたのをしてヒュンケルが「死んだ」と断言したのだが、魔槍の場合どこをどれぐらい損傷すると修復不能になるのかは明言されていないため、このあとどうなったかは不明である。
 
新旧共にバーン戦で使用されたり、ヒュンケルの因縁であるミストバーン戦で使われたり、グランドクルスの触媒にされたり、戦友同士で受け渡しがあったりと、物語的に中々美味しい活躍をしており、道具としては人間のキャラクターに迫るほどの名脇役と言えるかもしれない。

性能

普段は長さに不釣合いなほど巨大な穂先を持った槍の姿だが、【鎧の魔剣】と同じく「鎧化」の声に反応し穂先が展開して鎧に変わり、シンプルでスマートな槍本体が現れる。
「鎧化」の場面は初登場時のラーハルトvsヒュンケル戦、病床から起きたヒュンケルが死の大地に向かう直前、ヒュンケルがミナカトールに臨む直前、復活したラーハルトが再びまとった時の4回描写されているが、鎧となる部分が大きく展開して装備者の身を覆う特徴的な瞬間は最初の1回きりで、後の回では省略されている
重装備となる【鎧の魔剣】に比べて、胸当て部分は重厚だが腕と脚は大きく露出する機動性を重視するデザインで、軽装なぶん防御性は魔剣にやや劣る。また上記のように表情を見せるための衣替えが主目的でもあるため、頭部はヘッドギア或いは鉢金状となって顔の部分は覆っていない。
鎧の下は魔剣と同じく黒いタイツスーツとなっており、【アルビナス】の毒針が貫通する程度の防御力しかない(とは言え毒針の使用者が使用者のため、針がオリハルコン製で材質の性能差の可能性もある)。
しかしそのぶん動きの自由度は高く、さらに全身の各部に武器を仕込んであり、あらゆる体勢から攻撃を繰り出せるようになっている。ヒュンケル曰く、ラーハルトほど器用では無いため周りに付いた武器はあまり使わないようで、単体で利用することは何度かあったが槍との同時使用はほとんど見られなかった。
 
槍以外の武装としては左手にブーメラン兼小盾を持つ他、右手甲は鋭い先端を活かした投擲武器として使える。
更に胸部には2本の手裏剣を格納、両膝の突起も武器になる。
また、槍自体にも柄を短く伸縮させて盾に格納したり、側面から針状の刃を展開して十字槍に変形する機能が存在している。
単行本21巻末に載っている「キャラクターQ&Aコーナー」によると、「ロン・ベルクとの特訓で聞いた物だけで10か所はあった」とのこと。
 
言葉を発する事は無いが、意思を持ち合わせているらしく、状況次第では持ち主や生みの親であるロン・ベルクの下へ跳ぶことも可能のようだ。
一度【エイミ】によって隠された事もあったが、その際もたとえ素手でも戦いに向かおうとするヒュンケルの前へといつのまにか出現した。また、ラーハルトは「鎧もお前のことが気に入ったみたいだな」と発言しており、武器の側の意思によっては機能や全力を発揮できないらしい。
 
ちなみによく【死の大地】での【バラン】との勝負で「【クロコダイン】が魔法が利かないと言及しているけど【デイン系】使えばバランはこの勝負に乗らなくてよかったんじゃね?」という突っ込みがされることもあるが、デイン系を選ばなかった(選べなかった)理由もいくつか考察されている。この辺りは【無刀陣】のページに書かれている。
 
物語中盤でバーンに敗れ、かなりの損傷を受けたため【ダイの剣】と共に次なる戦いに備えるべくロン・ベルクの下に舞い戻り修理、改良される。
穂先もシンプルな形から左右にパルチザンのような刃が付き、【グランドクルス】使用時には直角に展開し十字状になる。
右腕は刃のみを伸ばして使うこともでき、ヒムとの戦闘では左手に握るナイフと合わせてグランドクルスの発動を狙っていた。
 
ちなみに鎧化しない状態でもラーハルトはオリハルコンの身体を持つ【マキシマム】の頭部を直接刺突し、すぐさま全身を切り刻んだ。さらに直後、手下の兵士の駒5体を【ハーケンディストール】で纏めて両断、一掃して見せた。この様に、鎧の魔剣は非使用時は鞘として構築されるが、こちらは鎧そのものを巨大な槍としても使用できるようだ。
 
単行本の随所にあるキャラクターデータからの逆算で、
元は攻撃力85、守備力80(16巻)。強化修復後は攻撃力90、守備力85(30巻)。
作中では「攻撃力、防御力が飛躍的に上がっている」と言われているが、それぞれ5ずつしか増えていない。ある意味兄弟武器の【ブラックロッド】も似たようなものだが。とはいえ劇的な強化が可能≒以前作った物に粗があった、手抜きだったということになってしまうので足掻きに近い強化なのだろう。強くなるには使い手のレベルアップしかないとロン・ベルクは語っている。
 
【戦士】の武器としては3の【稲妻の剣】(85)や【魔神の斧】(90)と同等、槍としては最強格の【デーモンスピア】(99)に次ぐ程度と、当時のゲームバランスであれば十分実用に堪える数値。
むしろ防具としての性能が高く、単純に守備力で言えばDQ3の【光の鎧】(75)、DQ4の【天空の鎧】(70)という伝説の勇者の装備以上な上にデイン系以外の呪文に完全耐性があるため、たとえ他の選択肢があってもこれを選ばない方がどうかしているレベルで強い。
ただし、兜や盾も兼ねていると考えるとトータルではやや物足りない。(3の【勇者の盾】で50、4の【天空の兜】で30、【天空の盾】で55)
おそらく物理守備力で考えるならば鎧の魔剣の方がより強力だっただろう。

備考

DQ9に登場した魔槍(まそう)と名の付く武器は同個体と似たような形質をしているが、鎧化するような要素は無く、能力にも似た点はない。
 
旧アニメでも当初は登場が予定されていたが打ち切りの関係で鎧化ラーハルト及び鎧化ヒュンケルの作画はされていたものの未登場となった。

デザインと見た目の変遷

強化前における鎧化した際のデザインは基本的に同じだが、ラーハルト装備時とヒュンケル装備時で上衣の色が異なっている。
ラーハルトの場合はそれまで着ていた衣服の上に魔槍のアーマーが装着されたようにも見えるが、ヒュンケルに託された際には(鎧の魔剣が破損して上半身が裸だったためか)どこからともなく黒い上衣が出現している。
 
強化後のデザインは全体的に装飾と鋭角的なパーツが増えており、鎧の魔剣(鎧化)に近くなった印象を受ける。アンダーウェアは上下一体の全身タイツ状態なのか、あるいは見えていない腰アーマー部分で上下に分かれているのか、強化前と異なり上衣の裾は見えなくなっている。
こちらはラーハルト装備時もアンダーウェアの色に違いはない。
なおコミックス33巻の背表紙には強化後の鎧をまとったラーハルトの姿が描かれているが、本編中ではヒュンケルが使用した武器やヒムとの戦いで破損した部位が多数あり、本編中でラーハルトが完全な状態の強化版鎧の魔槍(鎧化)を見せた事はない。
もっとも、返還した時点で鎧は複数の武器を使用したうえに全体的にかなりのダメージを受けており、そのまま背表紙にするには少々格好がつかないという事情はある。
背表紙には「忘れていた」からと【フレイザード】が戦死から10巻近くも空けて出てきたこともあり、このイラスト自体が本編とは連動しておらず、はっきりと言ってしまえば「撮影用」「グラビア」に近い扱いなのだろう。
 
バーンパレスにおける鎧の魔槍の外見に関わる描写は以下の通り。

  1. 胸部の牙部分のナイフ(左側)……真竜の戦い解説のためにハドラーに向かって投擲され蒸発
  2. 右腰部アーマーの一部と左肩と右こめかみ……ヒムの猛攻を受け破損
  3. 盾……ヒムの隙を作る為に投げて破壊される
  4. 胸部の牙部分のナイフ(右側)……ヒムにグランドクルスを仕掛けるために右手甲の刃と合わせて使おうとするも反撃され取り落とす
  5. ラーハルトに返還されるが破損した部位はそのまま
  6. 右肩・両腰部アーマー・左手甲……身軽にするためかミストバーン撃破後の回復タイムに外される
  7. 右手甲の剣……真バーンに挑む際【アバン】に手渡し、損傷はしなかったものの、アバンが【瞳】にされたシーン以後は描写なし

星ドラ

ダイの大冒険コラボガチャ(2017年3月以降)にて登場。
メインスキル「鎧化」で2ターンの間攻撃力と防御力を強化してデイン系以外の呪文ダメージを無効にする。また鎧化中のみハーケンディストールが使用可能。

ウォーク

二度目のダイ大と同じ2022年12月1日開始のふくびきで登場。
魔剣と同様、武器である槍とかぶと、鎧の上、下の4か所に分かれており、それぞれ武器が「鎧の魔槍」、防具が「鎧の魔槍(部位名)」の名称で登場する。
いずれも星5装備。見た目はラーハルトのアムド時と同様だが、修得する技はヒュンケル由来。
 
槍は強化によって通常は攻撃力が最大169、4回の限界突破で最大221まで到達する。
レベル25で【ブラッディースクライド】、28で【虚空閃】、30で【グランドクルス】を修得する。
いきなりスキルはHP5%以上で致死ダメージ時に1回だけHP1で生き残る「光の闘気」。
 
HPを削ってバギ系の強力な攻撃を放つグランドクルスに、イオ系、ドルマ系とバラエティに富んだ属性攻撃を使える。
攻撃は全て威力が400%台でこの時期としては高くないのが欠点。

魂の絆

武器として

ラーハルトのキャラ獲得イベントと同時に実装。
ガチャで引き当てる事によりラーハルトがハーケンディストールを修得する。
突属性ので、突属性ダメージアップと魔法防御力アップの特性を持つ。

キャラクターの見た目に関して

鎧の魔槍(鎧化)ラーハルトと鎧の魔槍(鎧化)ヒュンケルは、原作通りの鎧化したグラフィックが再現されている。
 
【絆の勇者】に装備させた場合、装備変更画面を抜けると「鎧化!」のセリフを発し、装備している防具に関係なく鎧化状態のグラフィックになる。
アンダーウェアはヒュンケルと同じ黒いもの。
ただし盾は実際に装備しているものがグラフィックに反映されるため、ブーメランにもなる盾は再現されない。
また鉢金状の頭防具も再現されず身に付けていないが、理由は不明。

ストーリー上での扱い

ラーハルトのキャラ獲得イベント後に魔槍ヒュンケルの獲得イベントが実装されたため、イベント上ではラーハルトが持っている物はラーハルト自身と共に【ミラドシア】に来た物、ヒュンケルが手に入れたのはミラドシアで発見されたもう一振り、という扱いになっている。