【ゆうべは おたのしみでしたね。】

Last-modified: 2024-02-11 (日) 02:29:01

概要

DQ1に登場した伝説的な台詞。
リメイク版では「ゆうべは お楽しみでしたね。」と漢字を使用した表記になる。
 
堀井節の代表例であると共に、ドラクエのお色気要素として【ぱふぱふ】と並び称される。
なお「ぱふぱふ」と違って、登場頻度は低い。直接的すぎて扱いづらいのだろう。
  
DQ10スピンオフのラブコメ漫画【ゆうべはお楽しみでしたね】(深夜ドラマも)のタイトルもここから。
男女のDQ10プレイヤー2人がルームシェアという、まさにこの台詞を引用するに相応しいストーリーとなっている。

DQ1

宿屋に泊まると通常、翌朝に宿屋の主人から

*「おはよう ございます。
  ゆうべは よく おやすみ でしたね。

と言われるところ、
【ローラ姫】を救出後、姫を抱きかかえた状態で宿屋に泊まると

*「おはよう ございます。
  ゆうべは おたのしみでしたね。

に変わる。
思春期のプレイヤーの妄想を膨らませ、大人のプレイヤーをニヤリとさせ、少年少女に新しいドアを開いた偉大なるセリフである。
さらには昭和の住宅事情や、こういうネタが許された当時の空気をも感じ取ることができる。テレビで普通に「セーラー服を脱がさないで」とか「ちょっとだけよ」「あんたも好きねえ」とやっていた頃の話である。
 
そもそもローラ姫を救出すると姫を「お姫様だっこ」(FC1当時にはなかった言い方だが)したグラになるが、普通なら【ルーラ】【キメラのつばさ】【ラダトーム】城に帰るであろうところ、実はその状態で宿屋に泊まることができるのがポイント。
いつも通りの「よくおやすみでしたね」でもプレイヤーはおかしくて仕方ないところだが、なんと、その内心を見透かしたかのようにセリフが変わる。あっ、気付かれてた……という、主人公とプレイヤーの気恥ずかしさがシンクロするようなネタ。
常にプレイヤーを驚かせることを考えているという【堀井雄二】の真骨頂。してやったり、という笑顔が目に浮かぶようだ。
ROMの記憶容量の少なさに苦戦する中、こんなセリフを入れ込んだのはさすがである。
 
このネタに、当時の大人たちが一斉に食いついたようだ。
エニックスの雑誌広告には、セリフを楽しむアドバイスの一つとして「ローラ姫を助けたなら、そのまま、宿屋に泊まってみよう。」と書かれていた。
徳間書店の『ファミリーコンピュータMagazine』のウルテクコーナーでは、「ローラ姫とファミコンでもやって遊んでたのかな。」とすっとぼけ、同社の【完全攻略本】ではわざわざ囲み記事で取り上げたうえで「え? ボクたち楽しいことなんかしてない(?)よ。」と締めている。
角川書店の『◯勝ファミコン』では、1986年発売のファミコンゲーム「セクロス」を挙げている。今でもネット上で隠語として通用している言葉でありきわめて先駆的だが、小学生向けの媒体として、相当踏み込んだ表現と言える。
余談だが、その後の現実世界でも熱愛報道された芸能人たちは決まって「2人でテレビゲームをしていた」という旨の言い訳が定番と化しているという。…これもDQの影響なのだろうか?
 
ただし、リアルに考えると相当に嫌味でお節介な台詞である。むしろ通常時の「よくおやすみでしたね」の方が「どうして分かる? まさか覗いてた?」とこわい。あくまでもFCのチープな表現を補いつつ、プレイヤーに温かみとリアルな手触りを感じさせるための工夫として生まれた台詞と見るべきだろう。

リメイク版

宿屋の主人は女性に代わる(FC版は男性)。
全くうろたえる様子もなくこのセリフを言うあたり、肝が据わっている。
 
SFC・GBC版ではローラ姫に加えて、話しかけるとついて来る町娘もこの台詞の対象となった。
このため、ゲーム開始直後からこの台詞を拝むことができる。
ローラと町娘との3人で泊まることも可能。なお2人だろうが3人だろうが宿代は変わらない。
ちなみに、「3人でお楽しみでしたね」にセリフが変わるという噂が立ったことがあるが、検証によりガセネタと判明している。
 
スマホ版では町娘と泊まってもこのセリフは言わなくなった。いろいろ問題が大きいと判断されたのだろうが…
一緒に泊まる女性が誰かによって宿屋の主人のセリフが変わることから、ローラ姫と泊まった際に本当に「お楽しみ」をしていた可能性が高まった(FC版ではこの女性は着いて来ず、一緒に泊まることはできない)。
ちなみに旧エニックス社よりも旧スクウェア・現スクエニ社の方がいろんな基準が厳しいようだ。
なお【マイラ】ではベッドが2つしかなく、片方はオッサンが寝ているのだが、姫と泊まるとしっかりこのセリフになる。つまり……???

CDシアター

【リムルダール】の宿にて、【かげのきし】から救い出されたローラ姫と主人公アレフが改めて再会を喜び合い、感極まったローラ姫がアレフに抱きついた瞬間、食事を持った宿の親父が入ってきて、「その様子だとゆうべはさぞかし、お楽しみに……」とからかうもアレフに怒鳴られ退散、というコント的な展開。
相当にデリカシーを欠いた親父だが、元々のセリフ自体もリアルに考えるとデリカシーのない台詞なのでやむを得ない。むしろその嫌味っぽさを感じさせないための脚本家の苦心が窺われるところだ。

以後作での引用

DQ6(リメイク版)

ちょっとしたセルフパロディとして再登場している。
ストーリー後半に【ひょうたん島】の宿屋に泊まった後、宿屋の店主に話しかけると「夕べはお楽しみでしたね」と発言するのだ。
え、一体誰と?【ミレーユ】【バーバラ】?まさかハッサ(ryと動揺するのもつかの間、「でも、枕投げはほどほどにしてくださいよ」というオチ。
DQ1とはうって変わってほのぼのしているが、このようにお色気ネタの可能性を完全に潰した形でないと引用できないのだろう。

DQ8(3DS版)

【写真】の装飾の一つとして、このセリフのウィンドウが用意されている。
宿屋のカウンターで主人公に【ミーティア】を抱っこするスペシャルポーズをさせてこのウィンドウで装飾することで、DQ1を再現したネタ写真を作ることも可能。

DQ11

【エマ】と結婚した後、自宅で一泊すると彼女から「ゆうべは あなたと一緒で 楽しかったわ」と言われる。
そしてPS4版ではその直後に同名の【トロフィー】を獲得できる。

愛する人と永遠の愛を誓った ……そして夜が明けた!

夫婦なので「お楽しみ」してもなんら問題ないのだが、その間、仲間はどこにいたのだろうか?
 
欧米版は英語「Till Death Do Us Part」など、いずれの言語でも「死が二人を分かつまで」となっている。一緒に獲得できる【結婚おめでとう!】の称号の説明「死が二人を分かつまで共にいることを誓った(日本語版では永遠の愛を誓った)」に合わせたものだろうが、お色気ネタの規制が相当厳しいことが窺われる。エマの台詞も「It was so nice spending time with you」と「ゆうべ」が抜けている。
中国語版では「昨天晩上很開心吧」と直訳(この訳はその後DQ1にも採用される)だが、お色気の含みがあるのか不明。なお、「そして夜が明けた!」の部分も訳されている。こちらのエマの台詞は「昨晩有你陪在身邊、我好開心」。

ビルダーズ1

スタッフロールの後、主人公の弟子の荒くれの一人から寝相に関して言われる。
中国語版では「昨晩過得很愉快是吧」と後のDQ11とは訳が少し異なる。

余談(DQ5)

DQ5には宿屋に夫婦で宿泊してそういうことをするイベントが存在するが、残念ながら(?)このセリフは登場しない。
ここは同作のキモである世代がつながる大事なポイントで、茶化しちゃいけないので当然だろう。