【冥王ゴルゴナ】

Last-modified: 2024-04-20 (土) 06:52:39

ロトの紋章

漫画【ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章】に登場するボスキャラ。ルゴナではなくルゴナである。
作品の怪奇要素の多くの部分を引き受けていると言っても過言ではなく、こいつが現れるとその回は漫画の対象年齢が5歳くらいアップする。

概要

彷徨える亡者の魂を司る冥王。
漆黒のローブで全身を覆い、時折蜘蛛の様な顔や腕を覗かせる正体不明の怪人で、「グブブブブッ…」と不気味な空気の漏れる音ともつかない笑い声を発する。
 
【異魔神】率いる魔王軍の大幹部「四大魔王」の一人であり、不死・霊体系モンスターからなる妖(ファントム)兵団を指揮する。
【世界樹】を枯らせる、魔王軍を結成する等、魔王軍の参謀にして知恵袋的存在。
異魔神の最古の配下にして最も近しい存在でもあるため、異魔神の正体を探る上でも重要な存在。

性格

残忍にして冷酷非道、自分以外は全て己の目的を果たすための道具であるとみなす自己中心的な性格。
その下衆さは心優しいアルスをもってして「くず野郎」と声を荒らげるほどであった。
 
【魔人王ジャガン】(後のアラン)の幼少時には彼の養育係も務めていたゴルゴナだが、その時にもこいつの性格の悪質さが窺える。
日々の鍛錬でがいこつけんしやエリミネーターに余裕で勝てるようになり「飽き飽きした」とがなるジャガンに、【ローラン城】陥落後、操られて生かされているローラン城の兵を剣術の練習相手にあてがった。
最初は返り討ちにされるジャガンもやがて兵士達を瀕死まで追い込むほどに成長するが、ロトの血の逆流により人間に止めを刺すには至らなかった。
そのため、ローラン城陥落後妻の【フレイア】と共に捕えていた【ローラン4世】に「この仮面を付け怪物と戦え。勝てば妻を逃がしてやろう」と持ちかける。
その仮面は、禍々しい面相が表すかのごとく目に見える存在を怪物のように見せるゴルゴナの悪意の籠った物だった。
そして、ジャガンには魔人王戴冠の試練のため「ローラン城最強の戦士と戦え」と仕向けたのだ。
自分の息子が怪物に見えたままローラン4世は戦うのだが、ついにジャガンの一撃により斃れる事となる。そしてジャガンに自分の実の父を殺させ、魔人王として覚醒させる事となった。
 
残忍で卑劣な奴ではあるが、ダイ大の【ザボエラ】と違って命惜しさに遠巻きから策を弄するようなタイプではなく、時には戦線に赴いて自ら相まみえている点は唯一、あっちよりはマシである。 

能力

魔法とは異質の力「妖術」を操る事で様々な怪異を引き起こす。
 
瘴気を纏った雲を作り出しそれに乗って移動するため、ゴルゴナが通るだけでも周囲の草木が枯れ果て、瘴気に触れた動物の死骸の山が築かれる。
さらに、妖術の一つである幻術を用いることにより敵を幻惑して自滅させたり、拷問にかけ自白や精神崩壊に追い込んだりといった精神攻撃も得意とする。
 
精神的撹乱のみならず自身の戦闘力もかなりのもので、巨岩を音もなく操ったり、エネルギー弾を打ち出しで雪山にぶつけ雪崩を引き起こしたりなどはお手の物。強力な邪気の塊を吐き出し、敵を跡形もなく消し飛ばすこともできる。
 
中でも特殊な黒い玉を投げつける事で聖なる力を吸収させる「光葬魔雲」が得意技。
劇中では【バラモスゾンビ】を縛めた聖なる力を吸収して加勢し、摩州湖で姿を見せた際にはアルスが放った聖なる竜の闘気を吸収した。
 
だが、ゴルゴナの最大の能力は死した魔物をゾンビ状態で蘇生し使役することだろう。
明確には示されていないが、恐らくその力を最大限引き出せば、極めて生前の姿に近いゾンビを生み出すことは可能であると思われる。
まさに「冥王」の名に相応しい能力だが、ここに「不完全な」ゾンビ状態で復活させているという悪趣味さが加わって地獄絵図と化す。
 
召喚された魔物たちはどこかしら負傷していて、モンスターによっては体の一部が欠損していたり、神経や骨が露出していたりと致命傷レベルのダメージを残している(たとえばゾンビバラモスは皮膚が一切無いので全身の神経が丸出し、ゾンビ【イエティ】は脇腹の傷口から骨が露出し、【ギズモ】系らしきゾンビは体の半分近く欠けている)。
 
こんな痛々しい格好に加え、魔物たちは自我も残っているので常に死の苦痛に苛まれ続ける。「痛い…苦しい……」とか「もういやだ、死なせてくれ…」といった悲痛なうめき声を上げる様は見ているこっちがツラい。
だが彼らはゾンビ故に死ねない上、体の一部を斬り落とされるとその肉片が「異種再生」して別種のゾンビ状態の魔物が誕生し、新たな戦力と犠牲者が比例して増加する始末。
ゾンビ状態の方が彼にとっては操りやすく強力な部下であるため、魔物たちを死地に送り込み、敵に殺させて倒した敵の力を吸収した状態で蘇生させている。
そして彼らを永遠の苦しみと共に蘇生させると「苦しみから逃れたければ敵を倒せ」と言い放つのだ。
無論彼らがどれほどの戦果を上げようが苦しみから逃れ得る術など存在しないため、「ゲスの極み、鬼畜の所業」とはまさにこの事。
 
ゾンビ軍団への唯一の対抗手段は聖なる力で完全に消滅させる事だが、光葬魔雲で聖なる力をかき消してしまえるので絶対的なものではない。
 
さらなる切り札として、敵を冥界に引きずり込む事さえも可能。
この場所はゴルゴナのホームグラウンドであり、真の力を発揮することができるため、引きずり込まれたが最後、生きて脱出することは不可能に近い。
そしてそのやり口は、さまよう亡者の群れを集めて引きずり込んだ生者たちを跡形もなく喰らいつくさせるという、これまたえげつないやり方である。

正体

その正体は1万2千年前に繁栄を極めた「ムー帝国」の太陽王ラ・ムーの弟。現在の姿からは想像もつかない太ったおっさんである。
 
科学者だが魔導師として召喚術にも長けていたゴルゴナは世界征服を目論み、不老不死の研究の実験で生まれた副産物「世界樹のエキスで作られた不死のゴーレム」を与える条件で異魔神と契約、異魔神を現世へと召喚する。
現人神として崇拝される事になった異魔神をこいつは自身の野望に利用しようとしたが、次第に手に負えなくなり帝国の滅亡を招いたのだった。
ゴルゴナはその責任を取らされ、直属の部下の研究者6人(ツークーマン、オティカワン、トピアポ、フロレンシア、キアーラ、ポポルヴー)と共に崩壊する大地に取り残されたが、その際に冥界の王である大蜘蛛と契約。部下達と共に大蜘蛛と融合し、不老不死の肉体を得た。
かくしてゴルゴナは自分を見捨てた兄への復讐と世界征服を目論む。
一度は【ルビス】に封印されたが大魔王【ゾーマ】に彼女が封印された際に復活。そしてゾーマ亡き後再び活動を始め、オメガルーラで宇宙の彼方へ追放された異魔神の精神を呼び戻し、今回の事件へと発展することになるのだった。
 
現在の「ゴルゴナ」は、元のゴルゴナ+大蜘蛛+部下6人が融合した怪物の総称というべき存在。
普段はローブで隠されている大蜘蛛の背中に本来のゴルゴナの顔がついており、その周囲に部下6人の顔が仮面のように張り付いている。
ただし、意思決定権は本来のゴルゴナが持っているらしく、大きなダメージを受けるなどして都合が悪くなった部下は容赦なく大蜘蛛の背中から放出されてしまう。そして大蜘蛛から切り離された者は大蜘蛛の力を失って1万2000年分の歳月が瞬時に経過し、そのまま老衰により滅んでしまう。
なお冥王として振るう数々の能力は本来大蜘蛛が持っていたもの。
 
他者の生命を弄び続けた男の末路、それは実に無惨なものであった。
自らの兄であるタオ老師との戦いで大蜘蛛が致命傷を負わされ、ゴルゴナは助かりたい一心で大蜘蛛をまるごと切り捨て自ら離脱。
残した大蜘蛛と部下たちをゾンビ化して戦わせようとするが、力の源であった大蜘蛛から分離したこいつにそんな能力は残っているはずもなかった。
自分で力を捨ててしまう墓穴を掘って窮地に立たされたゴルゴナは、復讐したかった相手である兄に対して「かつての栄光を共に取り戻そう」と吹き込み騙し討ちを仕掛けるも、そんな浅はかな策は老師には全く通じず。
頭上から放たれた彼の気功砲の一撃により命乞いの台詞ごと消し飛ばされ無様な最期を遂げた。また大蜘蛛の遺骸はその後四大魔王の一人である若かりし頃の【竜王】が回収したが、異魔神への報告後握りつぶされた。
なお異魔神はゴルゴナが死んだ事を意にも介さなかったが、竜王はそんなゴルゴナへの憐憫の情を抱いた。
 
物語の前半から多大な存在感を見せていたが、正体が判明してからの凋落ぶりが凄まじかったキャラクター。
自己中で人相の悪い布袋様という人間時の様相(ゴルゴナと部下は七福神がモデルとの事。特に人間時のゴルゴナの体型は布袋様そっくり)、そして擁護しようのない無様な最期、物語前半で見せた大物感がブチ壊しである。

余談

エッゾ(北海道)地方編にて彼の操るゾンビ軍団の中にポンキッキのガチャピンとムックが何気なく紛れている。
その他にもグノンの操る獣兵団にトトロが混ざったりしている(しかも切り捨てられて出血までしている)が、完全版ではトトロは斬られず、出血もしていない状態に修正されている。
自主規制なり大人の事情なりで何かしらの配慮がなされたのだろう。
逆に捉えれば、ダメージ映写が修正されただけで彼ら自体は消されたり差し替えられたりせずそのまま続投しているので、斬られたりフルボッコにされたりと暴力的な行為を被る描写さえなければ、登場させる事自体は問題はないのかもしれない。
ただ獣兵団もゾンビ軍団もどちらも全滅させられているため描写がないだけでガチャピンもムックもトトロも最終的に死んでいるはずなのだがそれはよかったのだろうか?それとも斬られたりしても死亡はせず撤退したのだろうか?
 
またこれ以外にも、ドラクエの他キャラや【ドラゴンボール】のキャラの他、ドラクエとは全く無関係な他作品のキャラクターが大量に出演していることが読者に確認されている。

DQMSL

ロト紋コラボで【ゾンビ系】として登場。
ローブを被った姿はSランクの冥王ゴルゴナ、ローブを脱いで大蜘蛛の姿をさらけ出した姿がSSランクの真・冥王ゴルゴナ。
SSランクの真・冥王ゴルゴナはウェイト25で、サブ系統はロトの紋章。
原作同様背中には部下の顔が付いているが、どういう訳かオティカワンとポポルヴーの位置が入れ替わってしまっているというミスがある。
 
特技は、冥王ゴルゴナは【いてつく波動】と???系に効果大の無属性体技ダメージを与える「光葬魔雲」、
真・冥王ゴルゴナは無属性体技ダメージを与えつつ様々な状態異常を与える「腐・病・葬・怨・魔」、ラウンドの最後に自分以外の味方全体の執念状態を解除してHP半分で復活させる「六芒魔法陣」を使用可能。
特性は【自動HP回復】HPが0になってもラウンド終了まで確定で生き残る「冥王の瘴気」。
 
六芒魔法陣が兎にも角にも強力で、ゾンビ系統パはゴルゴナなしには成り立たないほど重要な存在。
【ラザマナス】が登場当初は性能が悪かったこともあり、ゾンビ系はコイツが系統王と冗談混じりに言われていた。
同様の役割をもつ【デスソシスト】と比較すると、攻撃能力や【くじけぬ心】が無い点が劣るが、【ウェイト】が2低い、全体蘇生を最大3回使える(後述)、確定亡者である、状態異常に強い(行動不能系の状態異常が全て無効)などの点で勝る。
なお、六芒魔法陣は消費MPが158(最大まで強化しても152)と重く、パワーアップやスキル・装備による補強無しだと1回しか使えない。
どうしてもMPが足りない場合は最大MPアップ系や消費MP節約系のリーダー特性を持つモンスターをリーダーにするか、【魔炎鳥】【邪炎のかがやき】でカバーすると良い。
 
初登場以後長らく復刻されなかったが再度のロト紋コラボ時に新生転生が実装。
特性が自動HP大回復に強化された他、全ステータス+20と戦闘中1度のみ死亡時に敵全体を猛毒・マホトーン状態にする特性の大蜘蛛のあがきを習得。
特技は戦闘中1度のみMPをすべて消費し六芒魔法陣の効果に加えて敵全体の素早さを確率で下げる特技である「冥府の邪法」を習得した。
使用方法は新生前とほぼ同じだが、スキルや装備品でMPを強化すれば冥府の邪法によって実質3回まで全体蘇生を使用可能になった。
また、新生でMPが+20されたことにより、【魔弾銃】などのMPが大幅に上がる装備品を装備させると無星でも全体蘇生を3回使えるようになった。
亡者対策も増えているものの、ゾンビ系もラザマナスの新生転生などで強化がなされているため、採用率はなかなか高い。
 
また復刻時にロト紋コラボ確定券が無料で配布され異魔神かゴルゴナのどちらかを確定で入手でき、ゴルゴナそのものの普及率も上がった。
運良くゴルゴナを引き当てやっとゾンビパを組めると歓喜する者も多かったが、お世辞にも採用率が高いとは言い難い異魔神を引き当ててしまい神妙な顔つきになる者も一定数存在した。

関連項目

【冥王ネルゲル】→冥王つながり
続編において、一度は復活するも、出落ちとなってしまったがクインゾルマによって肉体を与えられて再度復活したその姿は……
【ミストバーン】→普段は顔や姿を隠し、大魔王の正体に関わっている、と言う部分では共通するものがある。…が、それ以外はほぼすべてにおいて対照的。
【ザボエラ】→その性格や思想、立ち位置、科学者的な側面から先程の往生際の悪い所や惨めな最期に至る部分まで、共通点が非常に多い。