GB版
1991年に発売されたゲームボーイ用アクションRPG。
FF外伝を名乗るだけあって固有名詞もFFのものが使われているが、
ゲーム内容的にはゼルダの伝説に近く、今これをFFシリーズと言われると違和感を禁じえない。
続編の「聖剣伝説2」からはFF色が無くなってしまい、本作の立場は聖剣シリーズとFFシリーズに挟まれた微妙なものとなる。
「聖剣伝説」が1つのブランドとして確立し、FFの名前に頼る必要がなくなったということか。
同じく、FF外伝的要素のあるサガシリーズも、ロマンシングサガから独立したシリーズとなっている。
かつてのFF大辞典でも本作だけはFFシリーズで「2」以降は別物という際どい感じの扱いだった。
しかしながら、ハードで悲しくも感動的なストーリーと、素晴らしいミュージックの名作。
このストーリーの根源は、4にて語られている。
FF外伝らしくキャラグラフィックをファミコン時代のFFシリーズから流用している点も特徴。
例として、ヒーローは戦士。ヒロインは3の水の巫女エリア。
序盤のパートナーとして登場する旅の男は赤魔道士。
モブキャラとして白魔道士、他にも敵キャラとして黒魔道士や忍者などが登場。
- 例として挙げられているキャラは印象こそ似ているもののドットは別物。
そもそも厳密に言えば「流用」はおそらくない。黒魔道士やチョコボなど、ほぼそのままのドットもあるが細かく修正が入っている。
聖剣伝説シリーズとして独立した後も、FFシリーズでおなじみの武器名などが引用されている場合がある。
(ラグナロク・デスブリンガー・ブレイブブレイド・円月輪など)
本作でのチョコボは単なる乗り物ではなく一人のキャラクターとして登場している。
これはチョコボの生みの親で本作を手がけた石井氏の意向が強い。
これが後のFF5のボコになり、人外の仲間キャラクターに発展していったと思うと面白い。
Lv90以上になるとフレアが効かなくなるバグがある。
更にLv99から更にLvアップすると、延々とLvアップが続くバグがある。
- 正確には魔力が94~99になるとフレアが効かなくなるというもの。
ストーリーの進行上フレアで破壊するシーンがあるのだがこのバグのせいで進行不可能になってしまう。
Lvアップバグに関しては回避不可能。
かつてスクウェアはディスクシステムで「聖剣伝説 THE EMERGENCE OF EXCALIBUR」という
横スクロール型アクションRPGを開発していたが発売中止になった。
本作にはそのタイトルのみ引き継がれたが、内容は全く異なるものになっている。
なお、ディスクシステムの聖剣伝説が発売中止になった後にスクウェアが出したRPGが
「ファイナルファンタジー」である。
SaGaファンに絶大なる人気を誇るイトケンこと伊藤賢治氏の「ソロ」デビュー作品でもある。
(デビューはSaga2 秘宝伝説だが、植松伸夫氏と2名で作成している)
そのためロマサガあたりからSaGaシリーズに入ったファンの中には、この作品に携わっていることを知らない人もいたりする。
「実は企画当初はテニスゲームだった」だの、
「“FF外伝”という位置付けにした理由は、その方が売れると思ったから」だの、
本当なのかネタなのかも判りかねる開発者発言が多数。
- 企画当初と言えば、召喚獣も召喚出来る案があったとか。ファイアをメーターマックスで撃つと召喚発動とかあったらしい。
海外版タイトルは「FINAL FANTASY ADVENTURE」。
- これはアメリカ版のタイトルで、ヨーロッパ版のタイトルは「MYSTIC QUEST」。
もちろんFFUSA ミスティッククエストとは別物である。 - 海外GB版Sa・Gaも「FINAL FANTASY LEGEND」として発売されている。
当時のスクウェアUSAが「スクウェアのRPG=FINAL FANTASY」というブランドで売り出そうとしていた結果らしい。
石井浩一氏は4つのキーワードのもとに聖剣伝説を開発した。
- 『FF』とは違うアプローチのゲームであること
- タブーとされていたアンハッピーエンドとなる"せつなさ"をテーマにしたストーリーであること
(以降のシリーズや根源の4でも異性とは不幸な結末を迎えている)- またヒーロー自身、幾度も攫われるヒロインを助け出すために孤独な旅を続ける、という姿も今振り返ると「せつなさ」を感じさせる。愛する人と再会してもすぐに引き離されるのだから…
- 女性や低年齢層の子供達といった、アクションが苦手なプレイヤーでもエンディングまでいけるアクションRPG
- キャラクタ・モンスター・背景が絵本のようなファンタジービジュアルの統一感を持たすこと
- せつない話は駄目だった時期なんてのがあったのか…。でもおかげで聖剣やってすげー感動したものだ。
- 攻略本に「テストプレイしていた女の子がエンディングで泣いてしまった」という逸話が掲載されている。
テストプレイしていたからこそヒーローとヒロインに感情移入する感覚は一入で、そのためエンディングで彼らの結末に涙した事も「そうした感動が待っているよ」と読者に伝えられたのだろう。
その時代ならではの優しさ(真剣な涙なら笑うのではなく、共有するものという事)を感じさせるエピソードである。
- 攻略本に「テストプレイしていた女の子がエンディングで泣いてしまった」という逸話が掲載されている。
- せつない話は駄目だった時期なんてのがあったのか…。でもおかげで聖剣やってすげー感動したものだ。
かの手塚氏の元アシスタントの漫画家が連載していたファミコン漫画で
これとサガが登場したことがあった。
- それと同じかどうか不明だがコミックボンボンで登場していた。
内容は主人公がゲームの世界に入りこんでヒーローになり、序盤からガイアの洞窟を抜けるシーンが描かれていた(雑誌掲載時ではガイアの洞窟のくだりも少し描かれているが単行本ではカットされた)。
にしてもあの漫画はビルをテトリスにしたり無茶苦茶やってたな…。
イトケンによると、10人足らずのスタッフで制作していたらしい。
- 同時期に開発していたFF4に人員リソースを割かれていたためだろう。
- イトケンとほぼ同時期に入社した北瀬の最初の配属先がこの作品で、当時の状況をこう語っている。
石井とグラフィックの渋谷員子デザイナーだけで、あとは新人という10名ほどのチームでした。 会社的にはFF3の発売直後で、聖剣チームの他には立ち上がったばかりのFF4チームと SaGa2秘宝伝説チームがいました。
ゲームセンターCXでは、2023年に挑戦。
任天堂との合作のマリオRPGを除くと、スクウェア作品には初挑戦となった。
GBA版(新約・参考記述)
2003年にゲームボーイアドバンスにて「ファイナルファンタジー外伝」を外し、「新約 聖剣伝説」としてリメイクされた。
こちらは新約だけに設定やシステムが色々と変更され、内容的にはかなり別物と化している。
「新約」との対比として、初代ゲームボーイ版や携帯版の方が「旧約」と呼ばれることもある。
ただし、公式には旧約という表記は無く、あくまでも俗称である。
※この辞典では新約でのリメイク部分は扱わず、初代FF外伝の方のみをFFとして扱う。
詳細・理由は【聖剣伝説シリーズ】の新約の節を参照
携帯アプリ版
2006年より、売り切りの携帯電話アプリとして配信中。
GBA版新約とは異なり、元祖ゲームボーイ版の内容をそのままベースとしたリメイク。
オリジナル版と携帯電話アプリ版の違いは以下の通り。
- グラフィックがカラーに変更され、主人公のグラフィックが描き直されている(オリジナル版より若干大きくなっており、頭髪など細かいディテールが打ち込まれている)。
- 武器やアイテムが番号キーで順次送り変更できるようになっている。
- 剣の突き攻撃とゲージMAX攻撃が方向キー2回入力に変更されている。
- 遺跡の洞窟の入り口を塞いでいるガラスに当たり判定がなくなった。
- 新しい武器としてマンティスの鎌が追加されている。
- バグ技である画面切り替えでワープが修正されている。
- ハードウェアによるものと思われるが滝からの落下シーンでの連続画面切り替えやダイムの塔の浮上シーンなどスクロールに関する処理がオリジナル版よりも遅い。
- 台詞に漢字が使われている。
- 攻撃したり、ダメージを受けたりすると携帯が振動する(ON/OFF可能)
- アイテムに説明文が付いた
- アイテム名の表記が少し違うものがある。
石井浩一氏は聖剣伝説に白黒のイメージを持っており、そのままカラーにしただけの物には否定的見解を示したが、
スクエニ・モバイル事業部のプロデューサーで聖剣ファンでもある加藤拓氏が
それでもどうしても色付きで遊んでみたいと説得して移植されることになった。
- タイトル画面は、まずGB版の白黒で登場して、背景付きのカラーのタイトルになるという
カラー化を前面に出した演出がなされている。
移植の精度やキーレスポンスはかなりいいのだが、携帯電話というハードウェアの仕様上移動操作がやりづらい。
特に剣の突き及びゲージMAX攻撃が方向キー2回入力というのは慣れないととっさに出せなかったりする。
いくつかの携帯機種で体験版がプリインストールされている。
旅の男とともにヒドラを倒し、月の鏡を入手して自動的に洞窟を出たところでセーブ画面になり体験版終了。
体験版のセーブデータは引き継ぎ可能。
イラスト担当はHACCAN氏。
多くのライトノベルで挿絵を書いている他、『虫姫さま ふたり』や『英雄伝説「空の軌跡 the 3rd」』等のゲーム作品でもイラストを担当。
同じくアプリ化する『聖剣伝説2』も氏がイラストを担当している。
頼む、WiiウェアかPSストアでDLできるようにしてくれ~
- ナンバリングFFなら携帯(ガラケー)アプリで出たならその流れでスマホアプリでも出そうなものだが、ロマサガの1や2同様「非(ナンバリング)FF」だとそう簡単にはいかないようだ。
iPhone版だけ出た(Android版はない)聖剣2や、Androidでは非対応機種だらけ(対応機種でも操作性や不具合など評価はあまり芳しくない)のクロノ・トリガーみたいな「一応出た」というような事例もあるが…(とかくiOSを優先しがちなのはFFでも見られる事だが)
聖剣1に関しては、コンシューマーも含めこの携帯アプリ版が「唯一」の「オリジナル(FF外伝)ベースの移植リメイク」となっている。ガラケーの普及度が年々下がっている今、早急に新媒体へのさらなる移植が求められる。 - なおガラケー版ロマサガ2はVita/iOS/Androidでリマスターと称して実質移植された。聖剣2のAndroid版も4年遅れで出ている。
残念ながらSwitch版への移植は叶わなかったが、ガラケー版初代の移植もファンの望みが強ければいつか実現するかもしれない。 - 願わくばアプリ版のサントラも発売してほしい。単発が無理なら歴代の本作サントラセット3枚組とかでもいいから…!
PS Vita/iOS/Android版
2016年2月4日に全世界同時配信(海外版はiOS/Android版のみ)価格は国内版1400円
2015年6月下旬の聖剣RoM内における聖剣1コラボでリメイク版制作が告知
同年9月17日に正式にリメイク発表が行われ、公式サイトがオープン。
新約の頃と比べるとFFらしいデザインになっている。
新約とかではなく、ファイナルファンタジー外伝としているのがポイント。
旧約ファンとしてはかなりうれしい。
海外版ではタイトルが変更され「ADVENTURES OF MANA」となりファイナルファンタジーの名前は完全に取り除かれている。
- 「FINAL FANTASY ADVENTURE」から取られている。新約聖剣伝説は「SWORD OF MANA」であり、別物として扱われているようだ。
基本的なシステム、ストーリーはオリジナル版を踏襲しつつ、より遊びやすく改良されている。
オリジナル版からの主な変更点など(携帯アプリ版からの変更点も継承されている詳しくは上記参照)
- グラフィックが3D化。キャラクターやモンスターなどは聖剣RoMからのモデルが使用されている
- 操作はバーチャルパッドで行う。PS Vita版はキー操作も可能。
- スマホ版もキーパッド操作には対応しており、市販のBluetooth又はUSB接続のコントローラーを用意すれば物理キーで操作プレイ出来る。
- ヒーローの斜め移動及び斜め攻撃が可能に、モンスターも斜めに攻撃するようになった。
- 方向を細か調整しないといけないため、射程の長い武器や投擲、魔法などで狙いをつけづらくなった。
- 剣の突き攻撃からの3回攻撃ができるようになった。
- NPCに当たり判定が付き、モンスターの飛び道具を受けると怯むようになり、ある程度受けると行動不能になる。時間経過で復帰するがその間攻撃は行わず、そうだんもできなくなる。
- ボスモンスターのモーションが見直された、なかにはオリジナル版と全く異なるパターンをとるボスもいる。
- 新たにショートカットが設定可能になった。アイテム・魔法・武器から計3つまで設定可能でアイコンをタッチすることで瞬時に使用(武器は装備)できる。
- 消費アイテムを使いきった際に同じアイテムがある場合、自動的にセットされる。
- 音楽もリニューアルアレンジ。新約で追加されたパートや本作からの新規パートが追加された曲もある。
- 2016/6/28の更新でGB版オリジナル音源の選択が可能になった
- チョコボに乗る際にはヒーローがチョコボに乗っているグラフィックとなった。
- 前半でのチョコボの加入が任意ではなく、強制になった。
- 店でひみつの言葉を正しく入力すると、ヒーローの鎧と盾が聖剣伝説3のデュラン(パラディン)と同じ物に変化する。
- GB版では上下と南北の区別がなく、主人公が敵の北側に立っているときに敵がジャンプするとダメージを受けたが、3D化に伴い、そのようなことはなくなった。
逆にこちらの攻撃も敵がジャンプしてると当たらなくなり、結果的にはジャンプする敵は倒しにくくなっている。 - オリジナル版では敵の飛び道具はヒーローを狙ってくるものと、ただ正面に飛ばすものがあったが、全てヒーローを狙ってくるようになった。
- オリジナル版では1マップ辺りの敵の出現数は2種類の敵が1~2体ずつ、合計4体が限度のマップがほとんどであった。それが最大出現数が増え、片方の敵しか出ない場合もある。
イラストは携帯アプリ版に引き続きHACCAN氏が担当。携帯アプリ版の頭身が高く写実的なデザインからデフォルメされたかわいらしいデザインに変更されている。
赤魔の外見も正体が別人のようになっている。
「白黒のタイトルロゴが色付きに変わっていく」というタイトル演出は上記携帯(ガラケー)アプリ版を踏襲している。
センターラインから上下にカラー部分が拡大していくという表現形式まで同じであり、先行したガラケー版をオマージュした可能性は高い。
ただし、こちらではNew Gameを選択してからオープニングあらすじと共に背景が登場する。
Switch版「聖剣伝説コレクション」
公式サイト
2017年6月1日発売。開発はレトロゲームやアーケードゲーム復刻でおなじみの有限会社エムツー。
GB版FF外伝、2、3が収録されている。
一切の移植・リメイクがなかった聖剣3が注目されがちな作品だが、
FF外伝を「GB版そのままのイメージで遊べる移植作品」としても初のタイトルとなる。
純粋な移植作品であり、致命的なバグの修正を除きゲームバランス調整やゲーム内新要素の追加は行われていない。
- 倫理問題の対応が必要だったようで、そこは修正を余儀なくされたらしい。(ソース)
おそらく街の人を攻撃し倒すことが出来なくなっている点だと思われる。- なお攻撃自体は可能なので、ブラッドソードを活用した技はGB版同様使用可能。
HPが無限になってるのだろうか?
- なお攻撃自体は可能なので、ブラッドソードを活用した技はGB版同様使用可能。
システム的な追加要素として、以下が搭載されている。
- どこでもセーブが可能な「クイックセーブ機能」
- ゲーム内の音源をタイトル画面から聞くことが出来る「ミュージックモード」
- 視聴出来るのはサントラ音源ではなく実機音源。
実機の音色を完全に再現しており、適当に移植したソフトにありがちなBGMの劣化がないのは良い。
- 視聴出来るのはサントラ音源ではなく実機音源。
- ゲーム画面を見やすい大きさに変えたり、色合いを変えることが出来る「画面切り替えモード」
- 聖剣2,3は画面サイズの大小切り替えのみだが、
FF外伝は上記に加え単純な白黒の「デフォルトモード」、スーパーゲームボーイ程度の色が付く「スーパーゲームボーイモード」、初代ゲームボーイの液晶を再現した「GAMEBOYモード」の3種類が用意されており、
より当時の実機プレイ感覚を思い起こさせる工夫がなされている。
- 聖剣2,3は画面サイズの大小切り替えのみだが、
本ソフトの発売を記念し、FFBEで2017年6月1日~14日まで聖剣コラボイベントが実施された。
6月8日~14日まで限定探索クエスト『グランス城・探索』が開催され、本作のヒーロー(☆5~6)がEASYクリア報酬として配布された。