研究:岩魚

Last-modified: 2010-03-24 (水) 17:55:35

イワナについて

 
 他の鱒類と同様、冷水を好むため、河川上流域に生息する場合が多い。
 世界的に見ると、鮭のように海に下って成長してから遡上する生活サイクルを行うはずだが、日本はイワナの南限に位置しているらしく、北海道(アメマス)以外では海水がぬるすぎて川にとどまるものがほとんどらしい。
 そうなると、川にとどまったイワナは、他の川のイワナと交流するチャンスが無くなり、河川ごとに独自の変異をして、見た目や色合いがカナリ違うものがある。大きく亜種に分けたとすると、アメマス(エゾイワナ)・ニッコウイワナ・ヤマトイワナ・キリクチ・ゴギとなる。
 
 イワナ属には、オショロコマが日本にもともといたが、外来種としてカワマスやレイクトラウトがいる。
 外来種は生態系を壊し、在来種の存続に悪影響を与えることが多いが、これらもその例に漏れず、在来種の減少要因となっている。特にカワマスは、イワナとの雑種が出来やすく、成長もいいのだが繁殖力が低いため純粋なイワナが生き残るのに障害となる。
 そもそもヤマメ同様、イワナは人工繁殖の放流ものが大半を占めているので河川にいた純粋な地域固体はほとんどいないと思われる。
 
 食欲は旺盛で、警戒心より食欲が勝っているようなイメージがある。動物性プランクトン、水生昆虫、他の魚、その他の水底の小動物など何でも食べる。

 扁平な胴体のヤマメと違い、丸型の胴体をしており、陸上でも腹を下にして蛇のように移動できる。その分泳ぎに関してはヤマメに比べると鈍いところがある。
 

日本の絶滅危惧イワナ亜種

 

  • キリクチ(紀伊半島)
     IUCNの絶滅危惧種、環境省の絶滅のおそれのある地域個体群に指定
  • ゴギ亜種(西中国地方)
     環境省の絶滅のおそれのある地域個体群に指定
     

イワナ属の種・亜種

 

  • イワナ
    【学名 Salvelinus leucomaenis】
    【英名 Whitespotted char】(ホワイトスポテッド・チャー)
     
     体のベース色は褐色・灰色・青みがかった物と地域によってまちまち。背中から側面に白い斑点がある。おなかは白っぽい。
     夏でも水温が摂氏15度以下の冷水を好む。
     
  • アメマス(エゾイワナ)
    【学名 Salvelinus leucomaenis leucomaenis】
     
     北海道・朝鮮半島東側・樺太・千島・カムチャッカの河川とオホーツク・ベーリングの海に分布するイワナの亜種。
     陸封イワナはせいぜい大きくても30センチ後半がいいところだが、アメマスは軽く倍の大きさになる。海岸からのアメマス釣り(海アメ)というジャンルまで確立されている。
     白い斑点が一番くっきりしている。
     
  • ニッコウイワナ
    【学名 Salvelinus leucomaenis pluvius 】
     
     イワナの日本固有亜種。東北・関東地方の山岳部、滋賀県、鳥取県にかけて分布。環境省のレッドリストに載っている。
     全長 30~80 cm 程度まで。白斑点以外に側面から腹部にかけて、より大きな橙色~薄桃色の斑紋が散在する。
     
  • ヤマトイワナ
    【学名 Salvelinus leucomaenis japonicus】
     
     イワナの日本固有亜種。本州中部地方の太平洋側、山岳地帯の河川に生息。
     体長 25 cm。他のイワナ亜種のような白い斑点が目立たず、側面により小型で紅色の小斑が散らばる。
     キリクチと呼ばれている個体群が、紀伊半島の十津川水系(奈良県)に分布しているが、ヤマトイワナの地域変異型として考える場合が一般的になっている。この個体群が、イワナ類の南限とされている。
     IUCN レッドリストでは、キリクチを、英名 Kirikuchi char、学名 Salvelinus japonicus として、他のイワナとは別種として取り扱っており、単独で絶滅危惧種に指定している。
     
  • ゴギ
    【学名 Salvelinus leucomaenis imbrius】
     
     イワナの日本固有亜種。中国地方の島根県、岡山県、広島県、山口県などの山岳地帯に生息。
     背部から体側の白斑が、頭部にも続いているのが目立つ。体長は 20 cm 程度。日本での分布の西限(キリクチ個体群を除けば南限でもある)の亜種で、ゴギの分布の西南限は、日本海側では島根県の横田川、瀬戸内海側では山口県の岩国川であるとされる。
     
  • その他のイワナ属
    • カワマス(ブルックトラウト)
      【学名 Salvelinus fontinalis Mitchill】
      【英名 brook trout】
       
       北アメリカ大陸(カナダ東岸、ニューファンドランド島からハドソン湾西岸にかけてと五大湖、ミネソタ州からジョージア州にかけてのミシシッピ川流域)に分布。陸封型と降海型がおり、降海型では、全長 86 cm、9.4 kg の報告がある。
       陸封型の個体は、背面と背ビレが暗緑色~緑がかった暗褐色で、小斑がつながった不規則な模様があり、側面に薄青色で囲まれた赤い斑点が散在する。降海型では、背面は暗緑色、体側が銀色で腹部は白くなり、赤い小斑の色が薄くなる。成熟したオスは体高が高くなり、背部が盛り上がったサケ型の体になり、腹部と腹ビレ、尻ビレなどが赤く発色する婚姻色を呈する。
       世界中の温帯域の国に人為的に移入されており、場所によっては生態系に深刻な影響を与えている地域もあるという。
       
    • レイクトラウト
      【学名 Salvelinus namaycush】
      【英名 Lake trout】
       
       基本的に冷水性の湖沼に住む完全な湖沼陸封型のイワナであり、北アメリカ大陸、カナダ北部からアメリカ、ニューイングランド地方にかけて、五大湖の流域が原産地だが、北アメリカ大陸の他の地域にも広く移入された。また、「スプレイク」(Splake) と呼ばれる雑種が、レイクトラウトの卵にカワマスの精子で授精させた人工交雑によって作出され、ゲームフィッシュとして各地に導入されている。
       イワナ属の中では最大級の大きさになる魚で、最大の全長は1.5m、30kg以上。50年の生存記録がある。体は暗緑色から灰色で、そこに白色~淡黄色の斑点が散在する。腹部は白い。現在、中善寺湖に移植されており、毎年80cm~100cm級のレイクトラウトが釣り人によって捕獲されている。同湖の漁業関係者からは、ヒメマスへの影響を危惧する声もあがっている。
       
    • カワサバ
       
       イワナとヤマメの交雑種でヤマメの特徴であるパーマークがあるが、背中の斑点がイワナの特徴である流れる傾向がみられ斑紋が海の魚のサバのように見える事からカワサバと呼ばれるようになった。地方や魚によって体の模様はバラバラ。温度耐性試験の結果両親のイワナ・ヤマメよりも高温に強いという事が分かった。

岩魚攻略

 ヤマメとは違い、一箇所に待ち構えて餌をとるイメージがある。
 また、一度ルアーを見切られても、何度かアタックしてくる獰猛さがある。
 川底の水草や岩陰に潜んでいることが多いため、近くをゆっくり誘い出すようにルアーを通すことでヒットに繋がることが多い。