【実験】Scorpionで砲弾を弾くことはできるのか?

Last-modified: 2019-10-02 (水) 18:10:29

1.はじめに

WoTのTier7プレミアム車両に、M56 Scorpionというアメリカ駆逐戦車がある。この車両は小柄な車体で優れた隠蔽率を持つ一方で、空輸可能なその車体は装甲が全周1mm(防盾は装甲0mm扱いの開口部以外5mm)という驚異のペラペラソースっぷりを発揮している。

Tier1軽戦車のHE弾ですら貫通力は18~19mm程度あるので、本車両にとって砲弾を弾くということはもはや不可能である。1mm装甲部分はもとより、最も厚い5mm装甲部分でさえ、2倍/3倍ルールを回避できる砲はほとんど存在しない(2倍ルールも回避できるのはPz.I Cの7.92mm機関砲くらいである)。3倍ルールが適用されるならばAP系の砲弾は強制跳弾がなくなるうえ、2倍ルールも同時に適用されるので標準化後の入射角度はAP弾で必ず69deg(∵AP弾の元の標準化角度が5deg、2倍ルールによるボーナスが1.4*3=4.2倍以上なので標準化ボーナスは21deg以上)以下になる。

入射角度69degにおいては実装甲厚が元の装甲厚の2.79倍となるので、3倍ルールが適用されるAP弾を撃たれた場合の実装甲厚は最大でも14mm程度と予測される。これでは跳弾を期待することはできない。
しかし、3倍ルールが適用されるのはAP系の砲弾のみであるということに注意していただきたい。HEAT弾においては3倍ルールがないため、HEAT弾の強制跳弾限界である入射角度85degを超えると強制跳弾となるのだ。
この性質を利用することにより、HEAT弾であれば貫通力に関係なく跳弾することが可能なのではないか、という予測を立てて実験を行うことにした。


なお、履帯や主砲に砲弾を撃ち込んだ場合もダメージが入らないことがあるが、これは空間装甲で「吸った」ものであるので、「弾いた」とは言えない。本稿ではそちらに関しては無視することとする。

2.実験方法

  • 用意した車両
    • M56 Scorpion (アメリカ Tier7 TD)
      本実験で最も重要な車両。砲弾を弾く被験者である。クラン内ではS氏のみが所持している。
    • AMX 50 Foch (155) (フランス Tier10 TD)
      高貫通力のHEAT弾(貫通力395mm)を発射する車両として用意した。本来は最高貫通力を誇るJagdPz E 100(HEAT弾貫通力420mm)を用意したかったのだが、クラメンに所持者が一人もいなかったため断念した。なおこちらの車両もH氏しか所持していないレア車両である。
    • SP I C (ドイツ Tier7 LT)
      観測用車両として用意した。また自らもHEAT弾(貫通力250mm)を発射することができる。
  • 実験環境
    トレーニングルームにおいて、チーム1をAMX 50 Foch (155)、SP I Cの2両、チーム2をM56 Scorpionの1両に設定して、マップは会敵が早いミッテンガルドとした。
  • 実験手順
    1. 戦闘開始後、チーム1の2両はチーム2の陣地に向かい、M56 Scorpionはチーム2の陣地内に停車する。チーム1の2両は共にHEAT弾を装填する。
    2. M56 Scorpionはマップ中央の方(マップ上では下向き)を向き、チーム1の2両はマップ上でいう右側からM56 Scorpionを狙う態勢とする。この際、AMX 50 Foch (155)がM56 Scorpionの真横にいるようにし、SP I CはAMX 50 Foch (155)の隣から、やや斜め向きにM56 Scorpionを見るようにする。
    3. AMX 50 Foch (155)は、M56 Scorpionの防盾の前面をできるだけ真横から掠らせるように撃つ。防盾で跳弾すれば実験は成功である。
    4. AMX 50 Foch (155)とSP I Cの位置を入れ替えて、SP I CのHEAT弾でも同様に砲撃を行う。

3.実験結果

AMX 50 Foch (155)の砲撃に対する結果

shot_178.jpg
実 験 成 功
※画像をクリックするとgifを表示


当初の予想通り、防盾で砲弾を弾くことに成功した。なお、H氏のAMX 50 Foch (155)は一発目で目標の箇所に砲撃を命中させた。

SP I Cの砲撃に対する結果

shot_189.jpg
実 験 成 功
※画像をクリックするとgifを表示(画質悪いのはエンコードの都合...)


こちらも防盾で砲弾を弾くことに成功した。なお、筆者のSP I Cも一発目で目標の箇所に砲撃を命中させることができた(その後は2発とも外した)。

4.考察

HEAT弾に対する跳弾について

「はじめに」で触れたとおり、いずれも防盾前面に対する入射角度が85degを超えたために強制跳弾が発生したと考えられる。

5.今後の課題

今回の実験で検証できたのはHEAT弾での跳弾だけであるが、実はごく限られた条件下においてAP弾に対する跳弾を期待することもできるという仮説が立っている。具体的には、2倍ルールすら適用されないPz.I Cの7.92mm機関砲をほぼ真横から当てることでAP弾の強制跳弾を発生させるという方針だ。近日中に実験を行い、続報を発表したいと思う。
また、本実験では装甲厚が5mmもある防盾での跳弾しか取り扱わなかったが、うまくいけば装甲厚1mmの車体でも同様に跳弾を期待できるのではないかと考えている。こちらは防盾よりも狙える箇所が少ないため、実験の難易度はかなり高くなることが予測される。

6.謝辞

筆者の下らない思い付きに付き合っていただいたS氏、H氏には心から感謝している。特に、劇場版ガルパンをBlu-rayで鑑賞中に、これからクライマックスというところでH氏からの呼び出しに応じてくれたS氏には頭が上がらない。

  • わかった これからすこーぴおんたんにのる -- らぷたー? 2016-06-12 (日) 05:05:23
  • なんか次なる実験の可能性が示唆されてる…… -- れでぃ? 2016-06-12 (日) 08:17:48
  • これは間違いなくH氏は変態ですね -- シバフスキー? 2016-06-12 (日) 10:16:32
  • すこーぴおんつよい! -- うどん? 2016-06-14 (火) 02:57:28
  • すこーぴおんばんざい! -- 2019-10-02 (水) 18:10:29