ジェノサイド・ハロウィン

「逃げるのです、我が愛しき人の子らよ。立ち止まるな、行けッ!」
「大好きよ……みんな。私の子になってくれて嬉しかった。ようやく、最後の夢が叶ったの」
居なくなっていった者たちの面影を胸に、終わりのその先を夢見た女と巨人が居た。
この東京で2人は出会い、肩を並べて夢を見てきた。
時には仕方なく、時には必要だったからと愛しいものとの別れを迎え続けて尚、夢を重ねてきた。
今宵はなんでもありな日、その中で2人は並んで目の前の光景に思いを馳せる。
多くの者たちが叫び声を上げ、炎のように燃えあがる日。
この日は、人も、獣人も、天使も、悪魔も、皆が揃って賑わいを見せる。
そして遠くへ行ってしまった子たちも、どこかで笑っていて欲しいと2人は願う。
スルトとハーロットも忘れまい、これまで「さよなら」を告げて来た愛しき者たちの面影を。
いつか、あの日の結末に続く夢を、1枚の写真に残そう。