概要
・ソ連ツリーのTier3軽戦車、BT-2の上位機種にあたる。
・史実では快速性能を活かせたためしがなく、ノモンハン、ポーランド、フィンランド、東部戦線と、投入されるたびに大損害を被っていた。
・ここから育てて何になれるかと言うと……
・Tier3~5の戦場に何の因果に巻き込まれたかTier1の車輌が混じってる……ということがたまにあるが、そのTier1のT-1軽戦車に筆者のBT-7がズボケオされたことがあり、本紙記者の愚息もたまらず昇天。
BT-7の強いところ
・超速力 I号C型の78km/hに次ぐ快速性能!
・大出力 最大33.54馬力/tというハラショーぶり 加速に時間がかからない!
・隠蔽力 停止時も走行時も0.360、Tier3軽戦車では上位クラス!
・通信力 最大で615m、司令塔としての能力もばっちり!
BT-7の弱いところ
・紙装甲 前面や新砲塔ですら最厚20mm! 履帯も丸出しでプチプチ切れる、機銃弾すら防げねえ…
・超胴長 なんと車体長5.56m! 繁みからケツがはみ出て高隠蔽率も台無し…
・低火力 23mm機銃全弾撃ちこんでも総ダメージ144、I号C型の半分以下…
・ド近眼 視界は強化してもたった300、見つける前にこっちが見つかる…
・小回り カーブがとにかく曲がれない、市街戦では徐行しないと建物にすぐひっかかる…
プロレタリアに力を
大概にして戦車と云う物は、生まれた時分からその役割を身につけてゐる。
ひとへに重戦車の類は装甲と火力で矢面に立つものであり、駆逐戦車は物陰からチヤンスを伺うものである。
しかるに軽戦車は足の速さと身の小ささを生かし、重戦車や駆逐戦車の目となるものと相場は決まってゐる。
それはつい今しがた迄BT-2であった。
BT-2はたいそう脚の速い軽戦車である。鉱山(MINES)でもカレリア(KARELIA)でも
小高い丘を誰よりも早く獲っていたし、ヒメルスドルフ(HIMMELSDORF)などでは
東の線路を雲耀の間に駆け抜け、敵陣を食い荒らすのがBT-2であった。
マリノフカ(MALINOVKA)でも建物や繁みに隠れて芋を蒸かしたことなど、一度とてなかった。
そのような破廉恥な真似は旋回のできぬT18あたりの仕事でしょう、といった素振りである。
ぐるりと北東を大回りして敵の後背を突くのは、いつでもBT-2の仕事であった。
BT-2は大神すみぺ様の御寵愛を受け、えいおうと経験値を食み、やがてBT-5仕様となった。
T-1やLoLやらをひとしきり食いつくし、エリヰトとなったBT-5は、次の道を歩むことにした。
斯くして、BT-7が軽戦車として生を受けたのはほんの先刻のことである。
さあ、初仕事と洒落込もうじゃァないか。
意気軒昂に斡旋所へ赴いたBT-7が訊いた言葉は、耳を疑うものだった。
「無いよ。お前にやる仕事なンぞ」
どういうことだい親爺さん。BT-7はかみついた。
途惑うのも無理のない話だった。
BT-2(BT-5)の頃には、何処のマップであろうとも、行けば仕事があったものだ。
時速55kmの快速に追いつける敵は、誰独り居はしなかった。
noob御用達のT18も、どこをとっても重装甲のH35も、BT-2の前にはうどん玉と大差がなかった。
やァ皆さん、ここにうどん玉がありますよ。捏ねて刻んで、煮てしまっておやりなさいナ。
「いつの話をしてるンだい。お前さンはBT-2じゃないだろう」
「ああそうだとも、僕ぁBT-7に進化したンだ。上位機種になったってのに、
その言い草はあンまりってもンじゃないか」
「上位機種だって? ははは、こいつは呆れたね」
親爺は濁った目をぎょろりと向け、口先だけで嗤ってみせた。
「おまえさン、自分が誰なのか、判ってないンじゃないのかい、ええ」
「何を云ってゐるンだい、判ってゐるとも。
BT-2よりも更に15km/h以上早くなった、BT-7だぜ」
「それがわかっていないと云うんだよ、このドめくら奴が。
その速い脚でどこの戦場を駆けるってンだ。Tier3だぞ、この薄ら莫迦。
てめえ、自分で自分の肉叢ぁ、よく見てみろッ」
どん、と親爺は番台に拳を打ちつける。
冷めてしまった番茶が、湯飲みから飛沫を飛ばした。
BT-7は今や激昂していた。
戦場をもらいに行った先で、こんな辱めを受ける謂れがあるものか。
「俺の体躯がどうだって云うンだッ」
「その装甲厚はなンだい、えヽ!
一番厚い前面装甲で20mm、強化してもやっぱり20mmだって?
お前さン、tier3って戦場を舐めてるンじゃアないか!」
「そいつは俺だけに限った話じゃないだろう!
装甲の薄いtier3なンてよくある話じゃないか、チハ車、マルダァII……」
親爺は欧米人の様に、ボディ・ランゲージを使ってみせた。
肩をすくめ、両の掌をくくィと持ち上げた。曰く、こいつはお手上げだ。
「ああ、チハは前面25mm、マルダァIIも30mm、てめェと大差ないね。
T18の75mmで前面抜かれて一発死することにかけちゃあ、てめぇの同類よ」
だったら何故俺だけに、という言葉を発することはできなかった。
息継ぎの間に親爺に二の句を継がれてしまったのだ。
「BT-7がTier3の偵察用車輌だってことがわかっていねえと見えるぜ。
無理もねえ、BT-2の時分にゃあ大砲撃って、自走砲狩るのが仕事だったもンなァ」
「どういう意味だい」
「お前さン、Tier3のBT-7が戦場に臨む時、誰と組まされるのかわかってるのかい。
いいか、Tier3の速度のある軽戦車、即ち偵察役を期待されてる車輌はな、Tier5と組まされるンだぞ」
うむ、とBT-7はひとつ呻いた。
これまで、彼の前任だったBT-2(BT-5)の主戦場にいたのは、どう高くともTier3であった。
Tier5とは彼の知らぬ世界である。
「さっきチハとマルダァIIIの話を出したな。あいつらも同じ、Tier5と当たる事もあらァ。
だがな、あいつらが戦場で高Tierの連中に喰われても、そこまで痛くはねぇのさ。
そこが偵察車輌であるてめェの立場と違うところよ」
「俺の、BT-7の立場だって」
「そうよ。偵察用車輌の一番大事なところはなンだかわかってるかい」
「敵を見つけることか」
救えねェ、親爺の肩と掌は再びそう云った。
「違う。敵を見つけて、仲間に知らせて──生き続けるこった」
「生き残る……」
「偵察車輌はやられちゃならねえ。偵察車輌の一番大事なことは、味方の目になることよ。
然るに、おめえのその肉叢はなンだって云ってンだよ。
装甲20mm、車体長5.6m弱。しかも視界は260mに、無線は300mときた。何ができるンだよ、てめェによ。
Tier5の戦場にいるのは誰だ?M4シャーマン、IV号戦車、III号突撃砲、エンタエンタミショーン、てなもンよ。
情報が雌雄を決する、そンな鉄火場にBT-7が行ってみろ。視界に何も映らんまま、レンジ外から撃たれて、noob scout!
それで終ィさね」
あからさまな侮辱。
BT-7は履帯をきしませ、怒りにリベットをよじらせた。
「無駄に踏ン張ンじゃねぇ。ただでさえBTシリーズは履帯が切れやすいンだ」
「余計なお世話だ。だったら、他のTier3軽戦車にはできるって云うのかい」
「できるぜ。まず、I号C型とM3スチュアートならな。
繁みに隠れて敵をやり過ごし、改良した無線機で情報を伝える。まさに偵察車輌の仕事だね」
「隠蔽率なら俺だって高いッ。無線機を改造していいなら、俺だって──」
「何が隠蔽率だッ! 寝言はそのクソ長ェ尻を縮めてからほざきやがれッ。
てめえを収めきれる繁みがいったいどれだけあるってンだ!
それに無線機改良だと? おめぇ、自分が一銭の投資に値するとでも思ってやがンのか?
おい、お前を育てると、次は何になれるンだよ、オゥ」
「……A-20だよ」
「A-20? A-20! お前と同じ、目にもなれねえうすのろ軽戦車か!
こいつはとンだお笑い種だ! 屑が育って、その先は塵か!
それが判っていて、お前を育てろって云うのかい、えヽッ!」
「だが、A-20からはT-34にもなれる──」
「T-34に行く道は一本じゃねえ! 欲しけりゃT-80から行きゃあいいンだよッ。
A-20だと、Tier8と組まされるンだッ、わかってるのかッ!」
ぶるぶると震え、俯角を下げるばかりのBT-7に、止めとばかりに親爺はたたみかけた。
「これでわかったかい。I号C型には投資できても、おめえには投資できねえ理由が。
生き残らなきゃならない場で、装甲の薄さとガタイのでかさのせいでマッチ棒!
スピードがどれだけ高かろうと、カーブ曲がれねえからそれも活かせねえ!
I号C型の真似をして一撃離脱をしようにも、車体長が長すぎて七面鳥撃ちよ!
23mmマシンガン? 全弾当てて総ダメージ144か、お笑い種だ!
それに耐えて育てて、その先に待ってンなァ、A-20ときやがった!
帰れ。Tier5の連中にnoob、moronと云われたくなければ、帰れ!」
※A-20は偵察枠ではありません
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マッチング親爺の前からBT-7が姿を消し、幾日、幾月が経っただろう。
誰が悪いわけでもない。ただ、BT-7がTier3だったことだけが悪いのだ。
それであるが故に、親爺は独り、深く思うのだ。
「Tier2のまま、BT-2のままでいれば、きっと今もあいつは幸せなままだったろう。
高速を活かして、Vickers Mk.IIやBisonを狩る暮らしを続けていればよかったのに。
どうして、BT-7なンぞに、なってしまったのだろうなァ……」、と。
♪暴虐の雲 光を覆い
敵の嵐は荒れ狂う
ひるまず進め我らが友よ
敵の鉄鎖をうち砕け
今更だけどちょっと比較してみようか
上記文章で挙げているBT-7、I号C型、M3に加え、50km/h以上出せるTier3の軽戦車、およびBT-5の性能を比較してみるんやな
※蒼字=BEST 紅字=WORST なのだわ
※BT-5はTier2で参考掲示のため、BEST・WORSTの対象外
車種 | 国籍 | Tier | 耐久 | 車体装甲厚 | 砲塔装甲厚 | 最高速度 | 車体重量 | エンジン | t/hp | 視界 | 通信 | 車体長 |
BT-7 | SOV | 3 | 220 | 20/15/13 | 20/15/13 | 72km/h | 14.31t | 500hp | 33.54 | 300m | 615m | 5.56m |
T-46 | SOV | 3 | 250 | 15/15/15 | 22/15/15 | 58km/h | 14.97t | 350hp | 23.38 | 310m | 360m | 5.73m |
Pz.I C | GER | 3 | 230 | 30/20/20 | 30/14/14 | 78km/h | 8.05t | 180hp | 22.36 | 340m | 700m | 4.19m |
Pz.II G | GER | 3 | 240 | 30/20/14 | 30/14/14 | 65km/h | 10.77t | 180hp | 16.71 | 330m | 700m | 4.81m? |
M3 Stuart | USA | 3 | 230 | 38/25/25 | 38/32/32 | 61km/h | 12.75t | 350hp | 27.45 | 330m | 615m | 4.53m |
M22 Locust | USA | 3 | 250 | 25/13/13 | 25/25/25 | 64km/h | 6.92t | 192hp | 27.75 | 330m | 395m | 3.93m |
BT-5 | SOV | 2 | 160 | 13/13/13 | 26/13/13 | 55km/h | 10.76t | 450hp | 41.82 | 280m | 300m | 5.50m |
・こうして見ると、同じソ連の偵察用軽戦車であるT-46よりはずっとまし、ということがわかる。
・とはいえ、比較8項目中3項目で最下位。4項目最下位のT-46と五十歩百歩である。
・同じ快速車輌であるI号C型と比べると差は歴然。トン当たり馬力の差で、「停止・減速後の再加速」性能についてはBT-7のほうが遥かに優越しているが、それ以外については目も当てられない。
・偵察車輌で砲火力について論じてもしょうがないのではあえて表から外しているが、実はこれについてもBT-7は論外。I号C型のように、敵戦車の背後に忍び寄って「昨日徹夜で研究した作戦を実行する時がきたよ、名づけて『戦略大作戦』ー!」をやろうとしても、I号の機関銃は全弾ヒットで320ダメージなのに対し、BT-7の機関銃は144ダメージ。戦車砲であっても、T-46の76mm砲に遠く及ばない。何もかも論外である。
・そして悲惨なのが車体長。こればかりは改造もクソもない。隠れたつもりの繁みからはみだしたケツに、76.2mm砲弾がスーッと吸い込まれて・・・ これは・・・ありがたい・・・
・つーか自分で表をまとめてびっくりしたけどよ、I号C型、M3スチュアート、この2車種を持ってたら、BT-7を使う理由が何一つねぇじゃねえか!
同志諸君、評価し給え
コメント
- A-20の怪文書では良さそうに書かれてるのに・・ -- 2013-10-26 (土) 23:51:39
- 機関砲使うか? -- 2013-10-27 (日) 00:38:49
- 相手の注目を集めることにかけてはなかなかなので最序盤に敵の視界ぎりぎりまでつっこんでちょろちょろすると敵さんが立ち止まってこっち向いてくれる…その間に味方が位置取りを完了させてくれるとちょっと有利になるし -- 2013-10-27 (日) 13:57:15
- ティア3の軽戦車に偵察期待してないな -- 2013-11-27 (水) 07:37:58
- 表のtとhpが逆 -- 2014-01-02 (木) 16:27:39
- エンタエンタミショーン -- 2014-04-26 (土) 04:21:29
- インタインタナショナール -- 2014-06-14 (土) 01:09:18
- A-20は無事9.1の世界に飛ばされ大活躍しましたとさ -- 2014-06-14 (土) 20:01:02
- 残骸の砲塔のシルエットが色々危ないねハハッ(甲高い声) -- 2016-08-06 (土) 11:39:19
- Pz.I Cに粘着されると即殺される問題 -- 2018-05-14 (月) 10:50:20
- 速いだけの取り柄生かしてtier5相手にするの好きだった… -- 2020-01-26 (日) 18:49:20