登場人物

Last-modified: 2024-01-17 (水) 07:41:54

ヘンリー(Henry)

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我らが主人公。スカーリッツ住民。老けて見えるが17歳。
無敵の戦士にするもよし、言葉巧みな策士にするもよし、冷酷な暗殺者にするもよし、君がヘンリーだ!
鍛冶屋の父であるマーティンの元で見習いをしながら、友人のフリッツ、マシューや恋人のビアンカらと共に穏やかに暮らしていた。
しかし、ハンガリー王ジギスムント配下のマークヴァート(Markvart von Auliz)指揮するクマン人の軍に村を襲撃される。この襲撃でヘンリーの両親含めスカーリッツの住民の多くが虐殺された。
ヘンリーは敵の馬を盗み脱出して、タルンベルグのディヴィシュ卿のもとに逃げ込み、その後紆余曲折を経て、元スカーリッツ領主ラジック・コビラ卿(Sir Radzig Kobyla)の従者になる。

ただの鍛冶屋の息子なので初期能力は非常に低く、序盤は何をしても上手くいかない。育てるパラメータの種類は多いが、それは一度にすべてを上げることを想定したものではなく、ロールプレイに幅をもたせるためのものなので、ゲームクリアのためだけなら、全く上げる必要のないパラメータも幾つか存在する。自分の好みに合ったものを選んで程よく効率的に育てていこう。
当然、善人プレイで窃盗技能を上げるのは至難だし、悪人プレイでは街の評判は犠牲になる。

最終的になんでもこなすなろうめいた万能超人になるわけだが、初期のポンコツさをたまに思い出してみると非常に感慨深い。

マーティン

ヘンリーの父。腕の良い剣鍛冶師で若い頃は各地を転々として戦争に参加した経験もあるらしいが、今はスカーリッツに落ち着き、息子ヘンリーには剣を握ることを固く禁じている。
日頃は村人のために蹄鉄や釘を作って生計を立てているが、ある日領主であるラジックがある目的のために依頼を行ってきたので、久しぶりに剣を打つことになる。
彼自身が都会を離れた理由は何らかのトラブルであるとしかゲーム中では語られないが、その後最終的にスカーリッツに落ち着いた理由は、息子の誕生であり、ラジック卿との複雑な関係であることが、後に判明する。
最初期のスカーリッツ襲撃において、息子ヘンリーの目の前で、妻とともに殺されてしまう。

ゲーム案の中には、ヘンリーが鍛冶屋の息子らしく自分で剣を作るアイデアもあったそうだが、システムがうまくまとまらなかったために没になってしまったらしい。おかげで、才能は化物なくせにろくに仕事を手伝わないニート息子が爆誕した。

ラジック卿(Sir Radzig Kobyla)

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歴史に実在するボヘミア王軍の司令官。
ヴァーツラフ王にスカーリッツ銀山を任されていた。クマン軍にスカーリッツを略奪された後は、スカーリッツの残った家臣と難民を連れてラッテイの街に逃れる。リーパ家のハヌシュ卿(Sir Hanush)よりラッテイ下層のピルクシュタイン城を借り受け滞在中。
各地で起こる問題の指揮を取るためにマップ内を転々と飛び回るフットワークの軽い御仁である。報告しろ、という指令が出たときに、会いに行く場所が毎回異なるのでよく確認しよう。
ヴァーツラフ4世直属の王軍の指揮官として、身贔屓されて成り上がった新興貴族なので、他の古参の貴族には敵が多い。
王とのコネを利用してディヴィシュ卿の解放に尽力したので、タルンベルクとの仲は良好ということになっているようだ。主人公の父親マーティンとの間に因縁があり、ラジック卿は彼に借りがあるため、ヘンリーの身柄はラジック卿に預けられている。

史実の人物ではあるのだが、その役職についてはゲームとは設定に食い違いがある。
彼はヴァーツラフ王の監禁後、責任者不在となったスカーリッツ城を一時的に管理していたにすぎず、正式にスカーリッツの領主に任命されていたことはない上に、その滞在は一年に満たない。ゲーム内では昔からスカーリッツの領主だったことになっているので、その辺りは主人公のヘンリーと同様の創作である。水○黄門や大○越前くらいにはフィクションの入った時代劇ということだろう。

テレサ(Theresa)

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スカーリッツの住人。粉挽き場の娘で、唯一の女手として家族の面倒を見ていた。弟を産んだ際に母親が死亡し、以降母親の代わりになって弟を育ててきたため、弟に対してはやや過保護な面がある。
スカーリッツ襲撃後にヘンリーが、野盗のラント一味に襲われ殺されかけているところを、ロバード卿と共に救出しラッテイ近くの叔父ペシェクの製粉所へ連れていき看病する。
正統ヒロインのハズなのだが、いかんせん只の村娘であり、時代背景からしてなかなか活躍しにくいこともあって、メインシナリオにもあまり絡むことが出来ないので、やや影が薄い。
一連のサブクエストが終了した後は、何事もなかったかのように日常の塩対応に戻ってしまっていたが、最新のバージョンでは大幅にイベントやセリフが増えた。もう増えすぎなほど増えた。多数のデートなども用意されていてやっと正ヒロインと呼べる所までにはなっている。
また、最後のDLCでは彼女を女性主人公として一時的に操作できるようになった。なぜ彼女が崩壊したスカーリッツに残っていたのか。絶対絶命のピンチからどうやって逃れたかなどの様子が詳しく語られる。ついでに粉ひき所の娘としての逞しさなども明らかとなり、鍵開けなども行える。
毎日真面目に働いていた彼女は初期ステータスであれば全て1だったヘンリーを上回っており、所持していないため使用できないスキルは多いものの、ヘンリーのように何をやっても最初は失敗する、ということはない。本編のヘンリーはAgilityをスカーリッツ内で上げることはほぼ無理だったが、テレサは弓を使えるので鍛えることも可能である。

マット

テレサDLCと同時に実装された犬の相棒。名前には「雑種犬」の意味合いがあるので、「ワン公」「ノラ」といった類のネーミングである。
スカーリッツ襲撃までは村の肉屋に飼われていたが、瀕死のヘンリーと共にテレサに引き取られてラッテイまでついてきた。
幾つかの命令を覚えさせることで、物を探したり獲物を狩ったり敵と戦わせたり出来るようになる。

マシュー&フリッツ

ヘンリーと愉快な仲間たち。スカーリッツ鉱山で働く大工で、そこそこ腕は立つようなのだが、サボリ癖のある上に悪戯にのみ機転の回るマシューと何事にも考えが足りず乱暴なフリッツのコンビは村で悪評が高い。よく酒場で飲んだくれている。
スカーリッツ襲撃後はサーザヴァ、レデチコ、森の広場亭、そしてDLCのプリビスラヴィッツと、転々と居場所を変え、各地で揉め事を起こしながら暮らしていた。
コミカルな描かれ方をしているものの、先の展開によっては、ハードな選択を迫られることになるため、彼らのイベントを進めるに当たってはそれなりの覚悟が必要となる。リアルDQNのクラスメートの凋落を見ているようで、なかなか心に刺さるものがある。友情ってなんだろう。

本編でも複数のクエストに登場し、DLCでも三番目の傭兵DLCを除いて満遍なく出番がある。ハードコアのゲーム開始前にうっかりヘンリーを殺していたり、ヘンリーとは非常に関係が深い。
スカーリッツ村では、フリッツは貴重なロックピックの供給源である。村が滅びるまで他に入手手段がないので、村と共に消滅する幾つかの箱を開けるためには、関連イベントの順番を調整してフリッツから受け取る必要がある。
また、決して発生しない確率0%の没イベントとして、街道でのランダム盗賊襲撃に、何故か鎧を着たフリッツが混じっている(敵ではない)パターンが設定だけされている。
おすすめMODのRoads are Dangerousでは、その没イベントが少確率で発生するように調整されているので、全国のフリッツファンは探してみるといいだろう。ちなみにデータ中のイベント名は『イノシシ』…

ヨハンカ

正ヒロインではなくモブ顔で恋愛イベントもない(恋人が別にいる)くせに、異様なまでの存在感を誇るスカーリッツ幼馴染組の娘。
本編時代から関連クエストの難易度の高さで、女性NPCの影が薄いこのゲームの中でもかなり目立つ部類だったが、テレサDLCにおいて、ヒロインテレサを差し置いて、半分以上をヨハンカ関係のクエで蹂躙したことから、一人飛び抜けて描写の濃い女性キャラクターとなった。
テレサの主張が基本的にマイルドで、ヘンリーの対立軸になることが少ないのに対して、ヨハンカの主張は(道徳的ではあるが)かなり過激で、たびたびヘンリーを振り回すことになる。かなり厳しい言葉で叱られることも多いので、プレイヤーによっては好き嫌いのわかれることであろう。しかし、女性キャラの活躍が薄い中、一人猛然と奮戦しているのは間違いない。
基本的にシナリオは一本道のKCDにおいて、彼女のクエストは紛れもなくマルチエンドの構成である。複雑すぎてバグに見舞われることも多いが、平凡な日本の開発者なら、彼女を正ヒロインに置いていたことだろう。しかし、これはKCD。上司の妻に手を出すのは許されても、友人の恋人に手を出すのは許されないのである。

マティアス

マシューやフリッツとつるんでいるスカーリッツ幼馴染組。どちらかというと、フリッツ(ジャイ○ン)とマシュー(ス○夫)に対する○び太ポジ。テレサDLCの前はヨハンカに片思いしているように見えたが、なんとヨハンカの方が最初からマティアスに惚れていたことが明らかになった。設定変わった?
スカーリッツを離れた後は、マシ&フリと離れて一時期マーハジェドの牧場で真面目に働いていた。本編ストーリーの進行によってやがてヨハンカのいるサーザヴァへ移動する。
本編にもDLCにも関わる重要な人物ではあるのだが、役どころが地味過ぎて印象は薄い。DLCでの登場がなければ完全にモブだっただろう。

ズビシェク

テレサのいたスカーリッツの製粉所の居候。怠け者の役立たず扱いで評判が悪い。昔からスカーリッツに住んでいたようだが、フリッツやマシュー、ヘンリーとも仲は良くない。ただし、フリッツやマシューも村での評判は酷いので、どっちもどっちである。
スカーリッツ襲撃後、ヘンリーに追われて逃げ出した先でラントに遭遇してしまい、おそらく自分の身を守るためにヘンリーを売り飛ばし、主人公の剣が奪われる原因を作った。
一人で大規模な悪事を働くほどの度胸はない小心者の小悪党だが、やり口が卑怯くさいため、ヘイト稼ぎの効率が異常に高い。タンクの才能がある。

ハヌシュ卿(Sir Hanush of Leipa)

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歴史に実在するボヘミア貴族。
ラッテイ領の次期領主カポン卿の後見人で現ラッテイ統治者。ラジック卿やディヴィシュ卿とは旧知の仲。
スカーリッツ襲撃後、ラジック卿やその家臣・難民の為、ラッテイに避難所を提供している。

ものすごく口が悪く辛辣に人を煽り罵るが、基本的にその発言内容自体はゲーム内屈指の常識人。治安維持に難民側の仲介役を起用したり、喧嘩の罰が共同作業だったり、外見に似合わず細かな心配りが各方面に行き届いている。脳筋の部下も我儘な甥も辛抱強く面倒を見ており、叱るときは一番にとことん貶すが、褒めるときは一番に手放しで祝ってくれる。
リーパはチェコ有数の大貴族の家系であり、直接の当主ではなく傍系の一時的な管理者ではあるが、ラッテイはゲーム中でGNPが盛られていることもあって、ゲーム内のNPCではトップレベルに影響力が高い。文献によっては立場に矛盾した記述のあるらしい謎の多い人物だが、ラジック卿を匿ったことは史実なので、友好関係があったことは間違いない。
ちなみに、この顔のモデルはゲームの開発者Daniel Vávraである。親子で主要キャラのモデルになったりBGMのコーラス隊になっていたり飼い犬を最強の馬にしてみたり、色々露出が激しい。実に楽しそうでなにより。

カポン卿(Sir Hans Capon)

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多少名前にアレンジが加わっているが歴史に実在するボヘミア貴族。
ラッテイ次期領主。父である(リーパの)ヘンリー卿が急死した後、王の不在で相続関係の手続きが停止しているため、ハヌシュ卿が後見を務めている。

イヤミなお坊ちゃん役で、主人公を少女漫画のようにいびってくれるため多くのプレイヤーにとって第一印象は良くないだろう。
が、叱られた内容は納得して受け止める素直な一面も持つ(ただし一晩かかる)。負けず嫌いで事あるごとに勝負を持ちかけ、色々と面倒な人物ではあるが、貴族らしく太っ腹で対価もその都度それなりに払ってはくれるので、態度がデカいのをスルーできれば意外と仲良くなれる。
というかツン期の方が短く、すぐに良き友人となって色々クエストを振ってくれるようになるだろう。

ちなみに、序盤にカポン卿との弓対決と剣対決に勝つと高性能なカポン卿のハンティングボウが貰える。
酒と女と狩りに明け暮れているので、ハヌシュ卿からは度々説教を受けている。母親はポルナ[ボヘミア南部の街]にいるらしい。
ただし、会いに行くと人形のように着飾らせて結婚させられるので嫌な様子。
DLC第二弾では彼を中心にストーリーが展開する。

バーナード隊長(Captain Bernard)

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ラッテイ守備隊長。ヘンリーに剣術などの指南をしてくれる。
下級貴族の一員で、ウォルフリンとミロタという従兄弟がいるが、すごく仲が悪い。
ゲーム内では常に悪い知らせをハヌシュ卿に伝える役回りで、恐縮ばかりしているような描写が目立つが、本来は強面の頑固オヤジである。

典型的な脳筋ゴリラで、根本から体育会系の人。初対面で命令違反を複数かましているヘンリーの印象は良くない。バーナードに捜査を任せると全部拷問になる、と遠くの街まで噂になっている。斥候がどんな報告を持ち帰っても突撃の命令を出す。容疑者を連れ帰ると、ヒャッハーと殴りかかって殺してしまう。など、その手の現象が頻発する。

しかし、戦闘訓練の指導は非常に懇切丁寧。村の酔っぱらいにボコボコにされていた鍛冶屋の息子でも、一騎当千の猛者に仕立て上げてくれる。彼の教えるマスターストライクが強すぎるせいで戦闘バランスが崩れているとの声も。
戦闘に勝てないときは、バーナード隊長に会いに行け、がみんなの合言葉。
ちなみに戦闘ボイスがユニーク扱いではないらしく、稀に彼の声帯とセリフを使いまわされた盗賊が現れて驚愕させられる。

ディヴィシュ卿(Sir Divish)

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歴史に実在するタルンベルク領主。
スカーリッツ襲撃直後に逃げ込んできたヘンリーを一時的に保護する。主人公の父親にも面識があり、ラジック卿と彼の関係を知っていた。ゲーム内で智将・策略家といった役割を振られている割には各方面で受難が多く、かといって目に見えるシーンでは特に失策を打つこともなく出来るオーラを放っているので、やはり凶悪な運勢の星回りなのだろうと思われる苦労人。妻はステファニー(Lady Stephanie)。
プラハ城伯の肩書を持つ。この時代、ローマが天皇(教皇)のいる京都と考えるとプラハは将軍(皇帝)のいる江戸。そこの防衛を任される城伯なのだから、つまり身分的には先の副将軍の御老公のような立場の人。ただし、お家騒動で焼き討ちにあい、長年幽閉された上に解放の身代金も支払ったので、今実家に戻って必死に復興作業中である。家格ではややリーパに負けるかも知れないが、それでも古い貴族の当主本人であり、自身に役職も付いているので、身分的には妻も含めて他から頭一つ飛び抜けて偉い。
ただ背負った不幸の星のせいで財政的に困窮しているので、影響力では裕福なハヌシュ卿に一歩劣るようだ。

ロバード卿(Sir Robard)

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タルンベルクの守備隊隊長。ヘンリーがタルンベルクに着いた際、クマン軍から受けた矢を抜いてくれた。
ディヴィシュ卿が幽閉された時、残された若きステファニーを連れて避難。囚われた主人を助けるために嫁いだばかりの姫を連れて国中を旅して回った騎士という、小説の主人公のような過去を持つ男。死にかけのヘンリーを間一髪で助けに来たり、チュートリアル後のオープニングシーンで長尺のアップになったりと、出番が少なくても見せ場を心得ているのはやはり前作主人公的な属性か。
初対面時、ディヴィシュ卿との面会まではとても親切なのだが、そのあとヘンリーがステファニーと出会うと、即座にゴミを見るような視線に変わる。奥様が目をつけた若い男には当然良い顔はしていないが、それでも奥様の自由にさせているあたり、やはり7年の苦楽を共にした情があるのかも知れない。

ステファニー夫人(Lady Stephanie)

歴史に実在するタルンベルク領主夫人。
このゲームでは女性NPCの扱いが雑だが、それでもゲーム内に登場する女性NPCの中では他を遠く引き離して頂点に君臨する身分の高さを誇る。
ゲーム内描写からはちょっとふわふわした感じの言動が目立つが、それなりに波乱万丈の人生を送っている。ディヴィシュとの結婚直後にタルンベルクが襲撃され、ロバードと共に夫を解放するため国内を駆け回って協力者を集めた。古参貴族に不人気なはずのラジック卿との関係も、この辺りの形振り構わぬ夫人の行動が縁になっているのかもしれない。
ゲーム内では流産したことによって子はいないことになっているが、史実のディヴィシュ卿には数名息子がいて跡を継いでいる。先妻や妾の子という可能性もあるが、ディヴィシュの死後、タルンベルクは一旦ステファニーに相続され、その後息子に渡されるのはゲーム時代から数えて15年ほど後なので、遅く出来た息子の成人待ちだったということも有り得る。
つまり、XXXXの息子である可能性が微レ存?

ゴドウィン神父

ウズヒッツにある聖マリアン教会の教区司祭。本来は脇役モブの立ち位置のハズだが、オリジナルボイス&顔モデル&エロイベントムービーが用意された優遇キャラである。DLCのカポン君ですら本番シーンは声だけなのに。その言動のインパクトで彼のイベントがゲーム内でもっとも印象深かったと言う人も多い。
初見では僧服を着て木刀で素振りをしている、一見ただ者ではないオーラをまとった爺さんだが、本当にただ者ではない。
ただし、彼のイベントはメインストーリーで彼の説得に失敗するところから始まるので、彼に出会う前にレベルを上げすぎていると見過ごしてしまうこともある。件のイベント以外では、基本的にとてもまともな態度しか見せないので、見逃したか否かで彼の印象は大きく変わることだろう。
飲み過ぎで二日酔いに苦しむ神父のために、ヘンリーが酔い醒ましの薬を自分で実験しながら調合する没クエストがあったようだ。没にするなよー。
実は顔のモデルが、開発者(ハヌシュ卿の人)のリアル父親らしい。いろいろと納得した。

ニコデモス修道士

サーザヴァ修道院の診療所の責任者。モブ顔ではあるが、製作者側はかなり気に入っているようで、なかなか重要な役どころで渋い活躍を見せる。
ヨハンカを助手にしてひたすらスカーリッツ負傷者の手当てをしたり、各地に出張して診察や治療を行ったりしている。
プレイヤーから見ても、なかなか重要な便利キャラであり、修道院自体の立地、ファストトラベルポイントや錬金設備からの距離に加えて、全ての種類のアイテムを買い取ることが出来るため、非常に重宝する。在庫のトランクも診療所内にあるので、夜の間に鍵を開けて適当なゴミを詰め込んでおけば、勝手に換金してくれるので簡単。
このゲームに登場する聖職者の中で、一番聖職者らしい清廉な人物である。

ペシェク

テレサの叔父。ラッテイ水車の粉挽き。通称ジャムおじさん。パン屋ではない。
ゲームのチュートリアルを終えて、まともに生きていこうとするプレイヤーたちを、いきなり悪の道へ引きずり込むワルい大人。
相棒のヴォイツェックのイベントが没になって出番がかなり減ってしまった。しかし、自由行動開始直後の盗品買い取り、ファストトラベル位置に近い無料拠点、手取り腰取り丁寧な犯罪指導、そしてほぼ専用ともいえる胡散臭いBGMによって、プレイヤーたちに強烈な印象を残していく。
トーナメントのイベントも、没データのセリフを見る限り、出場者の中から優勝しそうな選手を選んで賭ける形式だったらしい。いろいろと目立たせるネタはあったが、運に恵まれなかったようだ。
各地の粉挽きが全員盗品を買い取ってくれればよかったのだが、あいにく取引ができるのは彼と友人二人のみ。彼らの製粉所の位置についてはThe Good Thiefのページを参照のこと。
泥棒技術に長けながらも何故か倉庫と金庫に鍵を再施錠しないため、セキュリティを甘く見ているフシが有る。

ヘルマン

ラッテイの処刑人。関連クエが複数あるが、最初のペシェクの依頼で殺してしまい、発生しなくなった人もいるかもしれない。
ペシェクには凶暴だと言われたり、街の人にも不浄の人扱いされているが、狙って敵対的な行動を取らない限りは、非常に穏やかな人物である。
声がしゃがれていて、かなり特徴的なのだが、他のキャラであまり聞かない。オリジナルボイス?声色の使い分け?
中世三大エンガチョ職、『クズ肉屋(動物の死骸処理屋)』『ウンコ掃除屋』『墓掘り人』のうち、『墓掘り人』に近いような描写がされることもあるが、
もっと立場が高く、骨折の治療のような高度な知識や、剣術(斬首用)・拷問術(犯人尋問用)のような専門的な特殊技能を複数有しているため、完全な裏方の『墓掘り人』よりも、高給取りで敬われる存在である。
ただし、DLCのヨハンカ編をバッドエンドでプレイすれば、なぜ彼の仕事が村人から嫌われるかがよくわかる。これを何度もいろいろな相手にやっているのならば、本人の人柄とは無関係に、ヘイトをかき集めても無理はない。

アンドリュー

ノイホフ~ウズヒッツ間にある酒場、森の広場亭の主人。オリジナルボイス&顔モデルの持ち主。影の薄いマティアスを蹴り落として、マシュー&フリッツと共に愉快な仲間たちトリオを形成している。マシ&フリのイベントを進める前から、既に単体で胡散臭い波動を放っているが、三人が揃ったときは、非常に大掛かりかつ薄汚い外道クエストを繰り広げてくれる。
金だけとってアイテムを渡さないバグや、絞首刑になっても何事もなかったかのように復活するバグなどで、悪名を轟かせていたが、最近少しずつ訂正された上に、昼メシをタダで奢ってくれるオプションまでついたので、やや角が取れて人柄が丸くなったように思える。ちなみにタダ飯の条件は、彼の誘いに乗ってマシューとフリッツを殺すことである。あ、丸くなってねーわ。

ペテン師

カポンDLCの第二の主役。ペシェクやアンドリューとは違った方向性の胡散臭い言動が制作陣のお気に入りらしく、本名すら不明なのにやたら露出が多い上、彼のみが扱っている効果のない謎アイテムが非常にたくさんある。そのほとんどは、ゲーム中に何一つも利用価値がないフレーバーアイテム。彼一人の演出のために非常に多くのリソースが割り振られている。
DLC以前にも主役を張るサブクエストがあり、屋台の荷車だけを持って世界を放浪していると言いながら、サーザヴァではかなりの豪邸に住んでいる。サブイベント中にレデチコへと移動し、以降マップ中央の立地で怪しい商売を続けるようになる。

マリウス

プリビスラヴィッツDLC、「灰の中から」の登場人物。タルンベルクのディヴィシュ卿に仕える境界設定師であり、測量士・設計士・建築士・会計士・秘書を合わせたような役割を担う。街づくりシミュレーションのUI擬人化、といえるブラック職業だが、中世では実際それくらいのことをやっていたようだ。開拓予定地に突貫して、土地開発の陣頭指揮を取る専門家である。
一人で複数の専門技術を併せ持つため、代わりの効かない非常に貴重な人材であり、人質に取られるとすごく痛い。そんな人物を護衛もなしに戦場跡へ送り出してはいけない。
とにかく几帳面な性格で、いかなる情報であっても、帳簿に欠かさず記入し、また事ある毎にそれを確認し直さなければ気がすまない。口癖はフムフム。
主人公としてマップ内をフラフラ出歩かなければならない主人公の代わりに、プリ村をしっかり管理してくれる。(金さえ出せば)

トビアス・フェイファー

スカーリッツ鉱山の機械技師。スカーリッツの民間人の中では一番の金持ち。独身。
チュートリアル中のスカーリッツ内では、主人公ヘンリーの両親・恋人・友人・師匠に加えて、このトビアスが攻撃不能のVIP扱いをされていたにも関わらず特にイベントもなかったので謎の人物だったが、物語後半になると、主人公の知識・技術的な面でのサポート役として活躍する。またテレサDLCでもなかなか大きな役割を与えられており、単なる背景描写だった村のダンスや、なぜあの日スカーリッツの酒場にいる必要があったのか等、物語を織りなす糸に密接に関わっていたことが分かる。
本職と全く関係ない偽造硬貨の鑑定や、犯人捜査、筆跡鑑定、投石機の製作など、かなりの無茶振りをされているが、なんだかんだ言いつつ、対策の道筋は常に考え出しているので、実際優秀な人材であることは間違いない。

コンラート・キーザー

オリジナルボイス&顔モデルが用意されているが、あまり出番はない。なぜに?と思ったら、本国でそこそこ有名な俳優さんらしい。ゲスト出演的な。
キャラクター的には史実に実在した兵器学者で、中世の戦争機械についてまとめた「ベリフォルティス」という本の著者。平賀源内くらいに思っておけばよいと思われる。多分。
彼が「ロケット」について言及している部分があるが、ロケットの発明及び名付け自体は彼ではなくイタリアの科学者のものである。だが、ボヘミアまで普及してはいなくとも、彼の時代に既に発明されていたこと自体は間違いないので、「キーザーも専門家だから最先端の情報をいち早く入手していた」という設定で言わせてみたのだろう。

ウルリッヒ

ゲーム中盤で登場する謎の老騎士。敵とも味方とも言い切れないスタンスで、助けてくれたり殺しに来たりする。オリジナルボイス&顔モデルの持ち主。
ドイツ人騎士なので、セリフに訛りがあり、時々ドイツ語が混じっているが、翻訳されていないものはだいたい罵倒語なので心配はいらない。
仕える主君の命令で、素性を隠して隠密任務を行っている。かつては凄腕の剣士だったらしいが、寄る年波には勝てず衰えてきている。それでも油断するとサクサク刻まれるので注意。かつてはかなりヤバい仕事の数々に手を染めてきたらしい。
偽造通貨の捜査においては、かなり大きな役目を持ってはいるのだが、KCDでは初対面時に殺すことが出来てしまうために、人によっては全く協力しないルートもあり得る。

紹介自体がネタバレ・敵陣営のキャラクター達

紹介自体がネタバレ
  • イストヴァン・トス
    黒幕。ハンガリー貴族であり、オスマン帝国の兵に両親を殺された。ジギスムント軍の将としてこの地域の領地を自分の物にしようとしている。
    序盤のスカーリッツ襲撃の直前にラジックの元を訪問していたのも偵察である。
    プリビスラヴィッツ及びヴラニックに傭兵として雇った盗賊やクマン人の拠点を築き、サーザヴァ修道院の高位聖職者と結託してボヘミア通貨であるプラハ=グロッシェンの偽造を行っている。ヘンリーの父の形見の剣をラントから受け取った。
    一応ラスボスなのだが、直接戦闘もなく剣を持ったまま逃げられてしまう。シナリオ分割の歪みが最も極端に現れた人物。
  • エリック
    トスの右腕。両親をトスに殺されて孤児となったが、その後トスに育てられて腹心となった。ヘンリーと境遇は似ているが、敵側に拾われて真逆の人生をたどった人物と言える。ヴラニックの拠点管理や通貨偽造の手引、そしてディヴィシュ卿のライバルであるハヴェル・メデク軍との仲介指揮などを任されている。
    ヴラニックの拠点の管理をしていたが、ハヴェル・メデク軍との交戦で捕虜となり、その後は人質交換でトスと共に逃亡した。
    どの戦場においてもヘンリーと直接戦う機会はなかったので、剣の腕前などの強さは不明である。しかし、若いという設定(おそらくヘンリーと同年代)なので、これから伸びて強敵として成長するのであろう。
  • ヴァニエック
    序盤のスカーリッツで、剣のチュートリアルを行って、このゲームにおける武器戦闘の体験をさせてくれる流れの傭兵。
    終盤のヴラニックで雇われ傭兵として再登場する。シナリオ案の中では、プリビスラヴィッツのラントのように、ボスキャラとして君臨するはずだったようなのだが、出番をまるごとカットされてしまい、終盤の連戦イベントの中で、まさかのラスボス不在という状況が産まれた。
    飄々とした人柄で、村人からは胡散臭い目で見られて評判が悪いが、自分が口にした契約は決して裏切らないというポリシーを持つことが、没イベントで語られている。
  • イェゼク
    スカーリッツの鉱山跡地で通貨偽造を行っていたモラヴィア貴族。
    モラヴィア辺境伯領にかつて存在したロノフ城の騎士。辺境伯ヨープストの言いがかりに等しい謀略によって、主君及び同僚騎士が皆殺しにされ、自身も死刑を宣告される。
    ラポタに救われた後、故郷を復興させることを悲願に、仇敵ヨープストに対してゲリラ活動を続けていたが、やがて犯罪者として土地を追われてボヘミアに流れ着き、飢えて立ち行かなくなったところをエリックに拾われた。
    辺境伯ヨープストに対しては激しい怨念を持つが、ヨープストの策略で誘拐されているヴァーツラフや、その部下であるラジックなどに直接の恨みはない。犯罪者としての放浪生活に疲れたと嘆き、場合によってはラジックに仕えて忠誠を誓ってもいいと話すが、終盤でヨープストが接近してきたためにちょっと無理がありそう。
    巻き込んだラポタの身上に関しては罪悪感があるのか、裏切られても悪くは言わないし、死ねば哀れみかばう。
  • ラポタ
    ブルノー(モラヴィア辺境伯領の首都)の処刑人の部下だったが、言いがかりで死刑判決を受けて投獄されたイェゼクを哀れに思い助け出したことで、共に犯罪者として国を追われる身となり、最終的には通貨偽造の共犯となった。プレーヤー側は滅びかけたマーハジェド・商隊壊滅のロヴナ・ウルリッヒとの決闘と、殺伐としたイベントを繰り返しているので忘れがちだが、ラポタ自身の犯行は贋金用の材料集めの使いっぱしりである。手段や目的は真っ当ではないが、金を払って違法な材料を強引に買う(あとストーカー)以外のことはしていない。荒事は全く得意ではないので、追い詰められるとすぐに降参する。
    当初の行動の動機は、確かな善意・正義感であったため、いつかイェゼクが城を取り戻して騎士に戻ったら、部下として雇ってもらおうと儚い夢を見ていたが、ヘンリーに捕縛されて情報を渡したことで、もう合わせる顔がないと全てを諦め、犯罪者として絞首刑になるくらいなら、いっそこの場で殺せと言ってくる。

ラント(Runt)

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スカリッツ襲撃後に死体あさりをしていた野盗のボス。両親を埋葬しに戻ったヘンリーを襲い、ヘンリーの父の最後の作品であるラジック卿の剣を奪う。
プリビスラヴィッツの廃村を拠点に、各地でゲリラ活動をしている。
物語中盤で必ず再戦することになる。実はこのゲームではこの男以外は(自分の手で)殺さずにクリアすることが可能である。実績解除の条件でもラントだけ例外、となっているが、かと言って戦闘を回避し続けているとラントに勝てないので、しっかりと訓練をしておこう。

マークヴァート・フォン・オーリッツ(Markvart von Auliz)

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ジギスムント配下の騎士。クマン軍を率いてスカーリッツを襲撃した。
主人公ヘンリーの両親の仇である。

ジギスムント(Sigismund)

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後の神聖ローマ帝国ルクセンブルク家第3代の皇帝(在位:1433年 - 1437年)
ルクセンブルク公(在位:1378年 - 1388年)
ブランデンブルク選帝侯(在位:1378年 - 1388年、1411年 - 1415年)
ハンガリー王(在位:1387年 - 1437年)
第4代ローマ王(在位:1410年 - 1437年)
ボヘミア王(在位:1419年 - 1437年)

事の発端を起こした後のHRE皇帝様。ボヘミア人には「レッドフォックス」と呼ばれていたらしい。


当時のHRE帝国の皇帝ヴァーツラフはニートだったため、世界の歴史の流れはジギスムントを中心に動いていた。
ボヘミアを放置してハンガリーを軸に見ると情勢がよくわかる。

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ヨーロッパ全域を支配した元祖ローマ帝国は緩やかに西に分裂した(ゲームの更に1000年近く前)が、この時代には、西半分は既にゲルマン系王朝の連合体(ドイツ・イタリアフランスボヘミアハンガリー等)に乗っ取られ(ゲームの400年ほど前)、神聖ローマ帝国*1と名を変えている。残った東半分は急激に成長してきたイスラム教のオスマン帝国(トルコ周辺)に攻め込まれ、滅亡の危機に瀕している(ゲームの50年前~ゲーム時代)。

神聖ローマ皇帝兼ボヘミア王ヴァーツラフの異母弟ジギスムントは、婿養子としてハンガリーの王となり、眼前に迫るオスマン帝国と睨み合っている。滅びに瀕した東ローマからイスラム勢力を追い払う為、七年前に『ニコポリスの戦い』で神聖ローマ帝国軍の総大将として最前線で戦ったが、ローマ側連合軍の足並みが揃わず大敗した。
軍がまとまらなかった原因としては、当時の軍隊に明確な指揮権の概念がなかったこと、バチカンの委任を受けたジギスムントに対立教皇を擁するフランス側の貴族が反発したこと、その対立を抑え込むべき権力を持つはずの皇帝が全く政治に参加しておらず後ろ盾にならなかったこと、などが挙げられる。

ちなみにヴァーツラフは同じ頃、賄賂人事のスキャンダルで炎上して、に助けを求めている(当然ジギスムントはそれどころではない)。よって、ジギスムントオスマンの逆襲に備えるため、役に立たない兄を排除して帝国内の権力を掌握することを狙っている。

ジギスムントが雇用するクマン人部隊は、一つ時代が昔(ゲームの100年前)のチンギス・ハン率いるタタール人のモンゴル帝国に国を滅ぼされハンガリーに流れてきたキプチャク(カザフスタン周辺)難民の子孫。ゲーム内で彼らが話している言語はキプチャクのものではなくハンガリー語である。ジギスムントは国内に溢れた難民をまとめて安く雇用し、政敵の土地へ特攻させて口減らしを兼ねているのである。実際にモンゴル帝国に征服されてタタール軍にもキプチャクが組み込まれているので、ローマ帝国内では区別の付いていない者も多い。魔王チンギス様があまりの暴虐で有名*2なので、馬に乗って攻めてきた謎の軍を、序盤の主人公がタタールではないかと推測しているのもそのせい。ゲーム内でタタール軍という単語が出たら『魔王軍』と読み替えるとニュアンスが大体正しい。

ゲーム後の歴史の流れ

この後、ジギスムントは皇帝となるが、ローマフランスに分裂していた教会の権威をまとめるためにヤン・フスの処刑に関わったことで、プロテスタントの先駆けともなるフス戦争(ゲームから10年後)の泥沼に足を踏み入れることになる。史実では、ジギスムントが帝国の覇権を握った後も、彼のやり口に怒り心頭のボヘミア国内勢力はゲリラ戦を延々と続けてまとまらず、東ローマ帝国オスマン帝国にトドメをさされて完全に滅亡(ゲームから50年後)し、古代ローマの系統は途絶えた。

また、ボヘミアのヤン・ジシュカがジギスムント軍に対して用いた銃火器によるゲリラ戦は、鎧を着た鈍重な騎士の存在意義を奪い、このジギスムントの時代を境にヨーロッパの中世は終わる。維持費のかからない銃という安価な武力が一般化したことで、平民が貴族に劣らぬ兵力を持てるようになり、封建制度が崩れて民主化の波が沸き起こる。

東ローマが押さえていた中東の聖地がイスラム教の支配下になり、陸路でのアジアとの貿易路が断たれてしまったこと。
教会のトップは統一されたものの、末端の信者が大量にプロテスタントに流れ、カトリックとしての勢力基盤が揺らいだこと。

これらの要因によって、教会の後押しを受けた海路での貿易路の開拓が急速に進められ、大航海時代が始まり、キリスト教は世界各地での布教・及び大規模な奴隷貿易によって、失われた信者の代わりの労働力を掻き集める。特にコロンブスのアメリカ大陸への到達(ゲームから100年後)によってその流れが加速し、やがて日本へのキリスト教・鉄砲の伝来も行われる(ゲームから150年後)。

ジギスムントの悲願だったオスマン討伐は達成されず頓挫してしまったが、その失敗の結果として世界の進む道筋が大きく折れ曲がり、現代に繋がっていった。
このゲームの舞台はまさに中世の末期、騎士が騎士として活躍できた最後の時代の出来事なのである。

ヴァーツラフ

主人公軍の王様だが、弟であるジギスムントに捕縛されているのでゲーム中で姿を見せることはない。
ラジック卿を贔屓して王軍指揮官の地位につけたが、そのため古参の有力貴族からは反感を買った。
昔は真面目に王様をやろうとしたこともあったらしいが、足の引っ張りに嫌気が差して投げ出してしまい、遊び呆けていた。
ゲームの基盤となる大騒動の原因となった人物である。
余談だが、wikipediaではヴェンツェルおよびヴァーツラフ、PS4日本語版ではヴェンツェスラウス(ベンツェスラウス)と名前の表記が一貫しないせいで検索しにくい。
ヨーロッパの歴史上の有名人が、国ごとに異なった発音で呼ばれるのはよくあることである。この手の人名の表記で、日本でよく採用されるのは現地での発音、または話者の幅が広い英語圏での呼び名のどちらかだが、ヴァーツラフやジギスムントを含む神聖ローマ帝国の皇帝は、立場上、複数の国の王を兼ねていることが珍しくないため、どの国での話をしているのかによって「現地での発音」が異なることがありうる。
このゲームはボヘミアを舞台としたチェコのゲームであるため、有志訳版ではボヘミア王としてのヴァーツラフ表記が採用されているが、DMM版では英語音声での発音に沿ったヴェンツェスラウスとなっている。ちなみに、ヴェンツェルはローマ・ドイツでの名称。

チェコ語ドイツ語英語仏語
インジフ
(Jindřich)
ハインリヒ
(Heinrich)
ヘンリー
(Henry)
アンリ
(Henri)
カレル
(Karel)
カール
(Karl)
チャールズ
(Charles)
シャルル
(Charles)
ヴァーツラフ
(Václav)
ヴェンツェル
(Wenzel)
ヴェンツェスラウス
(Wenceslaus)
ヴェンセラス
(Venceslas)
ジクムント
(Zikmund)
ジギスムント
(Sigismund)
シギスムント
(Sigismund)
シジスモン
(Sigismond)
ヨシュト
(Jošt)
ヨープスト
(Jobst)
ヨブスト
(Jobst)
ジョス
(Josse)

※太字は有志訳での表記。有志訳の選定は多数決による。

ヨープスト

ジギスムントとヴァーツラフの従兄弟。ボヘミアの隣のモラヴィア辺境伯。ボヘミアとモラヴィアを足したのが大体今のチェコである。
あっちについたりこっちについたりフラフラしながら、二人の抗争を煽り立てている。野心あふれる謀略家で、被害者も各方面に多数。
どれだけヤバい人かと言うと、例えるなら『本編終了後にヘンリー君に笑顔で金を借りに来るトス』のようなヤバさ。
そして、なんだかんだと『結局一言も謝罪なしに、実際に金を借りることが出来てしまう話術と権力の持ち主』である。超ヤバい。
自分の計略が原因で家族と全財産を失いボロボロになっている被害者の前で「争いは無益だ」と言い放ち協力を迫る面の皮の厚さ、反抗した相手は容赦なく言いがかりをつけて犯罪者扱いで根絶やしにする冷酷さ、そして味方につけていた自分の家族含む協力者たちも、用が済めば即座にことごとく切り捨てていく腹黒さ、どこをとっても金太郎飴のように凶悪な面の出てくる、関わりたくない筆頭キャラである。

専用の役者を立ててオリジナルボイス&顔モデルが用意されているが、エピローグにちょろっとしか出てこない。
ゲームがシナリオの途中で分割されてしまったおかげだろう。次回作での活躍に期待。


*1 ローマをブランド名として用いているだけで、ローマ人の国ではない
*2 魔王様語録「男たる者の最大の快楽は敵を撃滅し、これをまっしぐらに駆逐し、その所有する財物を奪い、その親しい人々が嘆き悲しむのを眺め、その馬に跨り、その敵の妻と娘を犯すことにある」byWikipedia