Miracles While You Wait(奇跡は寝て待て)
Saintly Remains(聖遺物)
サーザヴァ大通りの広場にいるペテン師から受注。
- カポンDLCの「悪人に平穏なし」前提クエスト。
- 必要なアイテム自体はクエスト開始前から集めることが出来る。
- このクエストが終了すると、ペテン師はレデチコに移動する。
- ついでに、多少関連のあるサイドクエスト「聖遺物」の解説もここで。
ペテン師と話をする。
- サーザヴァの街で怪しい口上を述べているペテン師に話しかける。
- どこかで会ったことがあると言われる。(会ってません)
- 夢で見た謎のお告げにより、ヘンリーを弟子にすることに決められる。
- 彼は開発元に気に入られているのか、複数のクエストに登場し様々な場所で言及されるが、にも関わらず本名は設定されていない。
- Charlatanは名前ではなく詐欺師、ペテン師のこと。しかも自分では認めていない他称である。ヘンリーが面と向かって彼をペテン師と呼ぶことはない。
(他の誰かに対して「あのペテン師が~」と話すことはある。)
- 彼はなかなかファンキーなセリフをガンガン吐いてくるが、彼自身が自分でそれを信じているかとなると、かなり微妙である。
- 異端を貫く中にも、合理性と現実性に沿った彼なりの美学が存在するらしく、「俺ルール」ではあるが、それなりのモラルも備えている。殺人などの暴力はご法度。
- 自分の妄想を信じた狂人ではなく、演出として計算ずくで魔法使いを装っている…ペテン師である。
商品の仕入れをする。
- ペテン師の弟子になったヘンリー君が何をするのかというと、彼の店に並べる胡散臭い商品の仕入れ。
- 彼の商品は、怪しげな効能の薬(不能治療など)やお守り(魔除け)、遺物(有名人の体の一部)など。
- ヘンリーが入手するよう求められる品物は3つ。
- プロコピウスの歯。
- 上棟飾りの枝。
- 猫の足のお守り。
- ゲーム内でも多少の説明は行われるが、それでも文化の違いによって意味がわからないものが多いと思われる。
それぞれのアイテムがどういった意味を持つものかは、後で少し解説。
プロコピウスの歯の入手。
- ペテン師の知る農民プロコピウスは、酒場で彼に虫歯が痛むことを嘆いていた。むしろそれを聞いたから商品としてそれを扱うことを思いついたのだろう。
- 修道院の南側にある畑で働いているプロコピウスに、鍛冶屋で虫歯を抜いてもらうように説得する。
- 別に説得力のパラメータは必要ではないが、このプロコピウス、かなりのビビリで、目を離すと途中で逃げ帰ってしまう。
- 彼と一緒に鍛冶屋のミケシュ(刀でも鎧でもないニュートラルの鍛冶屋。サーザヴァの鍛冶屋の良心)まで歩き、彼が立ち止まるたびに話しかけて「虫歯はほっといても治らないぞ!」と念を押し続けなければならない。
- 鍛冶屋に到着すると、会話だけムービー。グロシーンは流れません。
- 「ほれ、抜けた。記念に取っておくかね?」「あ、僕がもらいます」
- このプロコピウス君は、ペテン師に関わった人物の中で、唯一まっとうに幸せになれた人物と言っても過言ではない。
ペテン師がまともに人の為になることをしたのはこれが最初で最後である。歯を磨こう。
- また殴りあいで奪うことも可能。誰かに見られた場合衛兵が呼ばれます。
上棟飾りの枝。
- 上棟飾りは修道院の大聖堂、正門の真上に吊るされている。
- ちょうど改修工事で西側に伸びる尖塔が建築されている途中であり、工事のための足場が隣で組まれている。
- なので、ハシゴで天辺まで登ると、ちょうど建築中のビルの工事現場から隣の完成しているビルを覗き込む形で上棟飾り近くまで接近することが出来る。
- 後は弓矢で射落とすだけ。隣からならそれほど無理なく狙えるだろう。緑の葉っぱの部分を弓で撃つと枝を落とすことが出来る。縛ってある根元の部分は判定がないようだ。
- 弓の腕前さえ確かならば、地上から直接狙い撃っても、射落とすこと自体は可能である。ただし、街中で弓を構える行為は、通りがかった住民から犯罪として認識されるので、銃乱射のテロリストのような扱いを受けてしまう。注意。
猫の足のお守り。
- お守りを所有しているギャンブラーから盗めば手っ取り早いが、話しかけて購入することも可能である。
- ギャンブラーは基本的に大通りの酒場と自宅を往復している。
- また、ダイスゲームを持ちかけてお守りを賭けて一勝負することも出来る。ただし、この方法で入手した場合、幸運のお守りとしてのパゥワーが切れてしまっているではないかと、ペテン師に怒られてしまう。
- 特に勝運の効果が切れたからといってペナルティがあったりするわけではない。(そもそもこれといったものを貰えない)
最後の試練。
- 3つの品物をペテン師に納品すると、彼は最後の大物を入手してくるように命令する。
- それは、埋葬布(shroud)。死体を包んでいる布のこと。このゲームの中では死体が装備している白いローブとして表現されているが、基本的には服の形に縫製されているものではなく、大きな一枚布である。
- 誰のものでもいいわけではなく、生前に徳を積んだ人物のものでなければならない(らしい)。
- 本クエスト開始の段階で、街の教会で一名死者が出る。別にペテン師の仕業ではなく、ゲーム都合的な老衰。
- 正直な商売で人気だった肉屋のロウコタ爺さんが、街の人に惜しまれながら亡くなっている。人々に話を聞くと、ペーターとマークという二人の息子がおり、妻の名はルーシー、元はヴラシムからの移民で、息子二人は悪い人柄ではないが、他人の話を鵜呑みにする質で、冗談が通じないという噂。
- ロウコタ爺さんの死体は聖マーティンの教会の中に安置され、息子が一晩中付き添っており、しかも教会全体が進入禁止の赤エリアに設定されてしまう。
- このイベントが「勝てない奴にゃ」の教会イベントとかち合うと面倒なことになるが、その場合は一応進入禁止は解除されるようだ。ただ、悪党との殺人の打ち合わせを、ロウコタの息子がじっと眺めているシュールな絵面になる。
- この時、説得力が高いと、息子を言いくるめることで、父親の埋葬布を取り上げることが出来る。
- そのためには、まずヘンリーが彼の親族であると思わせなければならない。街の人から聞いた情報を元に、従兄弟のふりをして家族の情報を語る。
- 次に、ロウコタ爺さんが天国へ召されるために、彼の現世の資産を貧しいものに寄付するように説得する。(天国の門をくぐるためには富を抱えていてはならない) つまり、彼が今唯一身につけている埋葬布である。
- うまく息子(21時になると現れるマーク)を説得することができれば、ヘンリーが寄付を代行するという名目で埋葬布を入手出来る。ただし、後日彼と遭遇した時に変なことを言うと嘘がバレるので、注意。
- それほど説得力に自信がない場合はしばらく教会には近づかないようにして時間を経過させよう。
- すると、葬式は終わって、教会の周囲にある墓地の一つに故人が埋葬される。イベントの発生前からずっとシャベルが隣に刺さっており、掘れるようになっていたので、何の穴かと不思議に思っていた人もいるかも知れない。
- あとは人目につかないように墓を掘り返し、埋葬布を盗むだけである。この場合、埋葬布に盗品マークが付く。ペテン師への納品には問題ないが、街中で検問に会ってしまうと、大事なもの扱いではないのでなんと没収されてしまう。注意。
ペテン師に納品。
- 町中にいるペテン師(夜は早速ダイスに興じている)に埋葬布を渡そうとすると、人前でそんなヤバいものを持ち出そうとするなと叱られる。
- 夜に自宅でこっそりと受け取るので、後で来いと言われる。
- ver.1.9.6では渡そうとするセリフの直後に徒歩で彼の自宅に向かうことになる。
この時、隙だらけの背中を狙ってスリを実行してしまうと、その後にレデチコとササウを徒歩で往復するというよくわからない行動ルーチンになってしまう(どこで話しかけてもレデチコにいる前提での会話となる)。 - この男、「家も持たず、荷車だけを財産に放浪の旅をしている」とか言ってなかったか。
- と思いつつマーカーに従うと、町のはずれにやたら大きな豪邸があり、そこに一人で住んでいる。乞食がベンツに…
- とにかく叩き起こして埋葬布を渡そうとするとイベントが始まる。
- ペテン師のインチキにようやく気づいた町人たちが、総出で襲撃をしに来たのだ。ペテン師は窓から脱出し、時間稼ぎを頼まれる。
- 「レデチコで会おう!」
- 怒れる暴徒たちと説得判定。戦っても評判が落ちるだけなので極力穏便に済ませよう。
- 無事に帰ってもらえれば、このクエストは終了である。
- ペテン師の家の中に残されたものは、報酬としてヘンリーが押収できる。薬品類など、それなりに売れば金になるので、まあまあの収入ではある。
- ヘンリーの部屋として認識されるわけではないが、この後、このペテン師の家には誰も住まなくなる。なので勝手に入ってベッドを占領して寝ても誰にも文句は言われない。川の向こうに宿屋もあるが、一軒家で夜中に音楽流して騒ぎたい場合は、こっちを使うといいだろう。ロールプレイ的に。
(1.9.6:敷地内に犬配置、ガードが見回りに来る為、宿としての使用は出来なくなりました)
これで「Miracles While You Wait(奇跡は寝て待て)」は終了。カポンDLCへ続く。
「Saintly Remains(聖遺物)」
- 修道院の管理官、セバスチャン・フォン・ベルクの自宅を警備している衛兵アーバンは、聖プロコピウスの聖遺物に興味がある。
- しかし、修道士達が下っ端の警備員にそんな貴重な品を公開するはずもなく追い払われて憤っている。
- ヘンリーは、退屈しているアーバンに聖プロコピウスにまつわる何かを持ってきて見せることを約束する。
- 信心深いアーバンは、聖遺物を盗む気はなく、ただ有り難い品を拝んで満足したいだけなので、不用意な話をすると、怒られて話を聞いてくれなくなってしまう。
- この時、見せるアイテム候補となりうるのは3つ。
- 聖プロコピウスの骨。
- 聖プロコピウスの歯。
- 聖プロコピウスの洞窟にあったボウル。
ペテン師から品物を購入。
- ペテン師がまだサーザヴァにいれば、アーバンの願いをたちどころに叶えてくれる。金で。
- もしヘンリーが「奇跡は寝て待て」で「プロコピウスの歯」をペテン師に渡していれば、それを。そうでなくとも専用のアイテムとして「骨」を販売してくれる。この骨が何の骨かは誰にもわからない。
修道院の洞窟に侵入する。
- 修道院の工事現場から、川方向に向かっていくと、足場のハシゴの下に洞窟の入り口が見つかる。鍵はかかっていないので、修道院内部への侵入ほど難しくはない。
- 洞窟の中にはほとんど何も置かれていないが、木製の皿が一枚置かれている。それをプロコピウスが使っていた食器と主張してアーバンに見せることができる。
- 350年前の木製の安い皿が腐らずに残っている可能性は薄いが、そこは奇跡パゥワーを信じるということで。なお、このゲームはリアル指向なので魔法は出てきません。
アーバンに聖遺物を見せる。
- ペテン師由来の品なら売りつけることになるが、本当に洞窟からボウルを持ってきた場合は、アーバンがそれを拝んだ後、ちゃんと洞窟へ戻してくるように言われる。
- どういう理屈で察知するのかわからないが、次回話しかけた時にまだ持っていると、盗人判定をされて攻撃されてしまうので、ちゃんと戻しに行こう。
これで「Saintly Remains(聖遺物)」も終了。
ペテン師のクエストアイテム&商品解説
- 以下、クエストで登場したペテン師関係のアイテムに付いての解説。
聖遺物の説明。
- まずキリスト教徒にとって、「聖遺物」がどのような意味を持つかの説明から。
- キリスト教系の教えの基本として、「最後の審判」の日には全ての死者が蘇る、という思想がある。
その為、基本的に後で使うことになる死体を、破壊したり焼いたりするのは禁忌である。 - また、生前に聖職者としての業績を積んで、教会から「聖人」と認められた者の死体や遺品は「聖遺物」として特別な聖なる奇跡を起こす力があるとみなされている。
(そもそも生前に超自然的な「奇跡」を起こした実績のある事が「聖人」認定の条件である) - しかし、そういった聖遺物を収めていることが聖堂の設立要件だったり、人気のある有名人の奇跡の力を私的に所有しようとする者が多発したりしたため、故人の遺体をバラして金銭を対価に切り売りする者が出た。
- 元々聖人認定されるような有名人は、逆に政敵に弾圧を受けた殉教者(信仰が元で殺された人物)だったりすることが多いため、最初から死体が損壊されていることも少なくない。
- 末期的には、ある程度業績を残した聖職者は、生きているうちから身体のパーツを狙われ、処刑されることになるとハイエナのように嬉々として人々が群がり、絶命したその場で奪い合うように死体を解体して、飛び散った脳漿まで残さず持ち去ったとされる。
- もちろん聖遺物の売買など教会(組織)は建前上は認めていないが、新しい教会を建てる際に、寄付の額に応じて支店へ「お裾分け」する遺物の質や量を変えるくらいは平気でやっていた。
聖プロコピウスの歯。
- 聖プロコピウスは、堕落した聖職者が増えた世の中を捨てて、辺境の洞窟に閉じこもり、修行生活を送った聖職者。
- このサーザヴァ地方は聖プロコピウスが修行しながら暮らしていた洞窟に、人が集まって修道院が建ち、町として発展した場所である。
- つまり、街と修道院の創設者。
- 法隆寺の「聖徳太子」か高野山の「弘法大師」のようなものと思うと良い。チェコ界隈では常識、地元を離れてもそれなりには名前を知られている感じの有名人である。
- 日本で言う「役小角」の「前鬼後鬼」のように捕まえた悪魔を従者として使役していたという逸話がある。なので対悪魔戦では特攻の霊能力者扱い。
騙して捕らえたとか、説得して改心させたのではなく、物理的に格闘で投げ飛ばして鎖でつないだとかいう脳筋仕様。強い。
- ゲーム中に登場する「サーザヴァの聖プロコピウス修道院」にはその聖プロコピウスの遺体を含む聖遺物が厳重に保管されているが、盗難を恐れて厳重に隔離され、場所も一部の者しか知らない。
- で、ヘンリー君はその「プロコピウスの歯」を入手するよう命じられるのだが、当然ヘンリー君がゲーム中で言及するように、そんな物は簡単に手に入らない。ゲームは1403年だが、聖プロコピウスが没したのは1053年。350年前である。
- ペテン師が見つけ出した抜け道は、生きている別のプロコピウス君から歯を貰ってくること。
- 前述の通りプロコピウスは超有名人、そして基本的に西洋の人名はそういった聖人にあやかって付けるのがほとんど。つまりこのサーザヴァにも聖プロコピウスにちなんだプロコピウス某が大量にいる。その中の一人の歯を「サーザヴァのプロコピウスの歯」として売っても、何も嘘はついていない。詐欺ではない。このサーザヴァに産まれたプロコピウスという名に神秘のパゥワーが備わっているのだ!という理屈である。
- 高野山で「弘法の書による掛け軸」という触れ込みで「弘法(ひろのり)君の書初めの宿題」が売られているようなもの。
- ちなみに列聖とは、死者が生前の功績を認められ、聖人として教会に認定されること。現代でもバチカンで行われており、有名所ではマザー・テレサなどが聖人認定されている。
上棟飾りの枝。(Topping-out)
- 建物を建てる時に、日本の神道でも上棟式という縁起担ぎの儀式が行われるが、それの西洋版が「トッピング・アウト」である。
- 由来は全く別物のようだが、だいたいやることは同じのようなのでこの訳が使われている。
- 柱や梁などの基本的な建物の枠が完成した段階で、建物のてっぺんに常緑樹(マツとか)の枝に飾り付けをしたものが設置される。
- 日本では神主が祈祷するところだが、西洋ではそこまで宗教色(というかキリスト教色)の強い儀式ではなく、棟梁や市長などが持ち寄った飾りや旗などを取り付けて、宴会を開くらしい。
- ただ、今回の作品内では修道院の建物の飾りなので、当然立ち会った当時の高位聖職者達の聖なるパゥワーが豊富に込められたであろう。
- ペテン師は本気でこの上棟飾りの一部を盗んでくるように指示する。
- ただの飾りであるので、特別な効果があったりはしない。それほど高価な材料を使うようなものではなく、むしろ明らかに建築の際に余った木切れなどが使われる類のシロモノ。新しい建物に建て替えるときも、普通に新しい飾りを作って使うようなので、古い飾りを盗んでどうこうとは、誰も考えていないようである。
- 歯の項目でも触れた「サーザヴァの聖プロコピウス修道院」はプロコピウスが修行を行っていた洞窟の上に建てられた修道院。
- ゲーム内で行われているのは、その大聖堂の改築・増築工事である。建築現場の奥の方に洞窟への入口がある。
- 大聖堂の正面にある正門の上にその飾りが七夕の笹のような感じで吊るされている。
- 今回の建築自体はただの改修なので、このトッピング・アウトが聖堂に飾られたのはもっと昔のことである。
- 足場がそこまで届くように組まれているのも、ゲーム的偶然の設計によるもの。
- ゲーム内の修道院は現存するサーザヴァの修道院を忠実に模してデザインされているのだが、
実はこの建物、フス戦争(ゲーム時代の直後にチェコで起こった内乱)によって一度破壊されて建て直されているため、
本当は、今残っている建物と1403年の建物は若干異なる。再建時に(当時の)今風の新しいデザインで作り直されたらしい。
猫の足のお守り。
- まず前提として知っておかなければならないのは、西洋では一般的に「ウサギの足」が幸運のお守りとして扱われていることである。(ただし、今のように有名なシンボルになったのは20世紀のアメリカ以降と言われているので、中世ヨーロッパ当時のウサギの足とは、若干ニュアンスが異なることもありうるかもしれない)
- ウサギは多産と繁栄を象徴するので、縁起物として好まれていた。
- ウサギの名を関する貴族などもおり、(ゲーム内ではハネキン・「ヘア」、史実ではスビニエフ・「ザイーツ」など)日本の一方的なやられ役のイメージよりは、カッコいい系のアイテムである。
- 基本的には、左の後ろ足を使って、留め金を取り付けてチャーム形式に仕立てるらしいが、説明文に後ろ足と明記していながら挿絵では前足が切られていたりすることもあるので、厳密に、というわけではないようだ。
- ウサギの足で赤ん坊の頭をペタペタ撫でると、丈夫な子供に育つらしい。
- ゲーム内ではそれの亜種として、猫の足(pawなのでこれは前足)をお守りにしているギャンブラーがいる。
- 世間的に猫の足には特に意味はない。ウサギに引っ掛けたジョークアイテム。
- そのギャンブラーは足をクズ肉屋(knacker)にもらったと言っている。
- ウサギの足は基本的に自分で狩った物を加工して作るもの(この時代のこの地域では密猟になってしまうが)だが、猫のような普通人間の食べない動物を解体するのは、knacker、死骸解体業者である。
- このknackerというのは、馬や犬などの家畜や野良猫・カラス等の死体を解体して、肉をペットの餌などにして売る職業。墓掘り人・排泄物処理人と並ぶ中世三大エンガチョ職。兼業していることも多く、サーザヴァの街でもNPCとしての名称は墓掘り人だが、セリフではknackerと呼ばれ、ウンコ処分もしていると本人が語っている。
埋葬布
- 有名なのはトリノの聖骸布であるが、キリスト教以外でも古くから用いられた埋葬用の大きな布。
- 棺を用いず死体を土葬する場合に、遺体の散逸を防ぐ目的があったと思われる。(復活するので) ある意味ではミイラの包帯も含まれるだろうか。
- ユダヤ教などでは簡易的な衣服の形に仕立てられていることもあるそうだが、日本の死装束のように完全に服として縫製されていたわけではないらしい。
- 金持ちの埋葬布だったとしても、豪華な装飾をされたりはしたらしいが、基本的には一枚布。死体に着せる服は服で、別に着せたようだ。
- キリストが包まれたとされる聖遺物としての聖骸布が世に知られたのが1353年とのことなので、ちょうど一般にも埋葬布ブームが起こってもおかしくはないタイミング。
- ゲーム上の表現の問題として白いローブの形で描写されていると思われる。
その他、ペテン師の商品の由来
- 彼が販売している商品全般が、ゲーム内では特に効果のない、この手の胡散臭いフレーバーアイテム類である。
- Bone powder of St. Thomas(聖トーマスの骨粉)
- 人骨の聖遺物としての役割は既に述べたので、聖トーマスについて。
- キリストの12人の使徒の一人。ペトロやヨハネなどの有名所に比べて、地味な人物ではある。
- キリストの再臨を何度聞かされても信じず、復活した本人を目にして尚、脇腹の傷を触って確かめた、という逸話があり、「疑い深いトーマス」というフレーズの元となっている。
- Kyffhauser crystal(キフホイザーの水晶)
- キフホイザー(Kyffhäuser)というのはドイツにある山。ゲーム時代よりずっと前の皇帝バルバロッサ、フレデリックI世が眠っている洞窟があるなど、色々な伝説を抱えている。
- だが、何故そこの水晶が不思議アイテムにカウントされているかと言うと、これは恐らくWood crystalと呼ばれる、植物を内部に封じ込めた水晶が、この洞窟で発見されたからだと思われる。
- 通常、この手の水晶は高圧のマグマが冷え固まって生成されるため、植物繊維が内部に混入するということはほぼありえない。何故こんな現象が発生したのかを、偉い地質学者が総出で議論をぶつけ合うことになったため、謎の石という扱いをされているのだろう。
- ただし、バルバロッサの伝説に関してはゲーム時代から存在するものだが、例の水晶の発見は近代になってからである。
- Mandrake root(マンドレイクの根)
- 根っこが人の形をしており、引っこ抜くと叫び声を上げて、聞いたら死ぬというアレ。モデルになった植物は複数あるようだが、現代では特定のナス科の植物の名前として固定されている。
- とりあえず、古代でマンドレイクと呼ばれていた植物は、おどろおどろしい魔術の材料というよりは、アルカロイド系の毒成分を利用した手術時の麻酔薬、痙攣や躁鬱などの疾患に対する薬草として普通に使われていたようである。
- キリスト教がはびこった中世は、ギリシャ・ローマで発展した科学を、各方面でレベルダウンさせたので、魔女が空を飛ぶのに使うとか、処刑台にこぼれた精液から生えるとか言い出されたのは、その後の話。
- どうしてそうなった。というまでもなく、アルカロイド系の毒には幻覚作用があるので、ラリってしまったら当人の頭の中で何が起こっても不思議ではない。
- Salt of St. James' Madonna(聖ジェームスの聖母の塩)
- 名前をそのまま受け取ると男か女か意味不明だが、どちらも人ではないので落ち着いて。
- 「聖ジェームズ教会の聖母像が流した血の涙から作られた塩」である。
- しかし、この手の「涙を流す聖母像」が有名になったのは20世紀に入ってから。
- 史実のこの時代のどこかの聖ジェームス教会で、血の涙を流す聖母像が話題になっていたわけではないようだ。
- まあ、ペテン師の品物だから仕方ない。
- Urim and Thummim(ウリムとトムニム)
- 旧約聖書に登場するヘブライ語のワード。2つの色違いの石で、文字の書かれた占い盤と共に使われる、古代の神官が使った神託の道具らしい。
- ウリム・トムニムの訳には諸説あるが、「光と完全」を意味するだとか、「啓示と真実」「有罪と無罪」など解釈に幅がある。
- 区分けされた文字盤の上に、2つの石を転がし、その位置関係で占いをするそうな。
- 基本的にはヘブライ版コックリさんの10円玉に当たる部分で、占い盤がセットでないのはかなり不親切な欠陥商品である。
- Powdered unicorn horn(粉末のユニコーンの角)
- 私も最近食べられることを知った食料に分類されるアイテム。
- 伝承ではユニコーンの角には解毒作用があるとされ、よくファンタジー系のゲームでは状態異常のステータスを全て解除する万能薬として使われる。
- KCD的リアル路線で行くと、サイだのイッカククジラだのの角牙じゃないかと思われるが、こういった動物由来のタンパク質やカルシウムは、酸やアルカリ等の特定の毒物に対しては、接触すると変色したり溶解したりするため、解毒とまではいかずとも、毒の判別くらいには実際に役に立ったのではないかと言われる。
- とはいえ、それってサイの角じゃなくて、自分の爪やら家畜の骨粉でも同じじゃない?
- それはそれとして、ゲーム中ではこの粉の効能は、勃起不全の治療薬だと説明されている。…毒は!?
- Rosehip wine(ローズヒップワイン)
- 飲料に分類されるアイテム。バラの果実から生成された果実酒。普通に現代でも商品として流通している。
- なぜかKCD中ではペテン師が独占販売を行っているオリジナルの酒だが、他のアイテムと違って普通に酒としての効果がある唯一まともな品。
- これがペテン師の商品にされている理由はよくわからない。
- 説明文に、バラの茂みに実ったブドウから作られた奇跡のワイン、と書かれているのがまずかったのだろうか?
- French altar candle(フランスの祭壇用キャンドル)
- これに関しては、ペテン師も販売しているが、普通に各地の教会に置かれていたりもするので、神秘アイテムと言うよりは、ただのシャレオツ装飾品と思われる。
- あえてこれにペテン要素を探すとしたら、恐らく産地偽装問題だろうか。