この小説は?
この小説は名のとおりシリアスです。
シリアスが苦手な人は注意して読んでください。
こちらもなるべく気をつけます。
それでも暗くなるかもしれないので、お気をつけください。
小説
…はあ、はあ、はあ…
何なんだよここ………
そこはまさしく地獄とよぶにふさわしい場所だった…
ビルらしき建物はボロボロに崩れ去り、家という家は原型をとどめぬほど壊されており、人の気配すら感じない…
お願いだよ…誰かいてくれよ…
彼はこの地獄の場所を、もう三時間ほど歩いている
もはや人はいないのか、と思って引き返そうとも思ったが、彼は知らぬ間にここにいたのだ、引き返せるわけがない
いい加減にしてくれよ…もうやだよ…
もはや体力も気力も限界に達している…
ついに彼は立ち止まった
帰りたい…帰りたいよ…
彼は、もう歩けない、歩けそうにもない
…このまま、ずうっとこうしたままなのかな…
彼はついにあきらめの言葉を口にした…
………え?
今何か声が…
…ック、……ック、……スン
誰かいるんだ!
彼は声のする方へと急いだ
彼は走って走って…ようやくそこにたどり着いた
そこは、もはや地面と呼べる踏み位置のない、町のようだった。
でも、確かにここのどこかに誰かがいる…そう確信していた
しかし、さがすまでもなかった
その、地獄の土地に彼は一人、子供を見つけた
その子は気づいてはいない
彼は近づいて…驚きを隠せなかった
その子の足の下には地面がないのだから…
驚きながらも彼はそっと手をかけて
「君、早く帰ろう。きっとみんな心配しているよ」
そういって自分もびっくりした
どうして帰ろう、なんて言いだすんだろう。それに誰だよ、みんなって。この子には家族がないかもしれないのに…
だがそれよりも行動が先に出た
なにせ、彼の後ろから、異形とだけでは言い表せない、醜い何かが出てきた
もはや迷っていられない
彼はその子を立たせて、無理やり走り出した
扉があった
しかし、もはや気にすることが出来ない
あの、醜きものがいつ襲ってくるかで頭がいっぱいだった
しかし…
彼は今自分が何を連れているかようやく分かった
子供のような後姿だったが、この子の胴体は真っ赤な血で染まっていた
足には鎖がつながっており、顔は口以外消えていた
そしてその子が発した言葉…
「お前が来なければ、あいつに天国へ連れられた。お前のような、気持ちを踏みにじるような物は地獄に落ちてしまえ」
「……………」 …何?聞こえないよ…。
「………イ…」 …体の節々が痛いよ……。
「……ロ…イ」 …頭が…ずきずきする…。
「…ロイ!!」 …え? ここは…?
マルス「いつまで寝てんだか、風邪引くよ?」
……え……………夢…………?
そこは、見慣れた自分の部屋。もう、すでに朝だ。
マルス「先に、ご飯食べてるから、さっさと来てね」
…あれは全部…夢…だったのか?
考えていると、マルスが ああ、そうだ、といって
マルス「花飾っといたよ。気分向いたし」
黄色いバラだよ、と言い残して、部屋から出て行った。
なんだか頭の整理がつかないまま、花を見てみた。
きれいなバラだな…それしか思い浮かばなかった。
だが……………
ロイ「…!?っ」
みるみる赤く染まりだしたバラ。
そのバラの奥で…………… あの子が笑ってた………ような気がした。
~fin~