この小説は?
ここは、…シリアスになっています。
しかも、前回の作品は、シリアス+ホラーでしたが、今回はホラーは入りません。
少し難しい表現に加え、本っ当に少し暴力シーンがあるかとおもわれます。
それらが苦手な方は、こちらからご退場願います。
大丈夫な方だけ、どうぞ。
小説
…その日、彼は嘘をついた。
本当に、些細な、それでいて、とてもやさしい嘘を。
…でも、彼は知らなかった。
とても大切な ”仲間” が、こんなことになるなど…。
どこか、いつか
「ねえ、天国ってどうなっていると思う」
いつかいわれた、そんな言葉
彼は、真面目に返した「そんなの、誰も知らないよ」と
そしたら、大事な”仲間”が笑った
「どうして笑うの?」聞いても答えてくれない
ますますむきになって「答えてよ」といっても、彼は笑うだけ
これだから、その”仲間”はわからない…
”仲間”は、不治の病に犯されていた
彼は、一度病気で、この病院に来た
出会って早々「早くよくなれよ」
彼はどぎまぎして言った「いきなり言われても…」
そうしたら言われた「ば~か、いきなりだから言うんだろ」
もしかしたら、それが全てのはじまりだったのかも…、彼はときどきそう思う
ある日、雨が降った
とてもいやな予感がした
彼は、傘も持たずに出て行った
病院につくなり、真っ先に”仲間”の病室へ向かった
開けたとたん…
聞こえたのは悲鳴
彼の、「悪い予感」は的中してしまった
”仲間”の『義父さん』が来ていたのだ
あたりには、真っ赤な液体…ともいうべき血が飛び散っていた
彼は何とか、『義父さん』を止めて、帰らせた
そもそも、”仲間”が不治の病に犯されているのも、”仲間”の『義父さん』が悪いのだ
せっかく生まれてきた”仲間”を、「こんなやつ、生まれてこなければいい」と言って、毎日毎晩暴力を振るって、家畜同様に扱っていた そのせいで病気になってしまったのだ
彼には信じられなかった
その『義父さん』は、狂っているのかとも思ったぐらいだ
普通は、可愛がる、愛情を注ぐ、それが普通というもの
今も彼は、『義父さん』が来なければいい 一生来なければいい、と思って恨んでる
……………
……ドウシテ…?
どうして、こんなに辛い思いをしなければいけない…?
いっそのこと…、…もうキエサリタイ……
最後が、やってきたのは、明るく晴れた日
いつものように、彼は”仲間”の病室に向かった
いつものように、たあいのないおしゃべり
…このまま、”いつも”が、もっと
…もっと…?
次の言葉が見つからない と、耳をすまさなければ、聞き落としてしまう声
「その次の言葉を見つけるために、生きるんだろ?」
いったん中断です …そろそろ終わらせなくては…